説明

識別装置の損券レベルの自動設定

【課題】個別ATMで損券閾値を設定するものであり他システムとの整合をとることはできない。また、オペレータにより選択されたレベルの閾値が新たな損券レベルとして設定されることで複数台のシステムの整合をとるには、勝手が悪くなっていた。
【解決手段】金融機関における自動機システムにおいて、ネットワーク経由でATM、ソーターなどより、紙幣の記番号データ、受付または排除データを受信し、受信したデータより自動的に損券レベルを設定する紙幣識別装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明考案における自動機システムの識別装置において、ネットワークにより紙幣記番号と受付または排除情報を入手し損券レベルを調整し、各識別装置の紙幣受付または排除性能を均一化する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特許文献1がある。この公報には、汚損紙幣識別装置が用いられる地域の流通紙幣に対応した汚損基準の設定を可能とし、また長期間使用されたことによる汚損基準の変化にも適切に対応し得るようにすることにあると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平3−290672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公知例においては、個別ATMで収集した紙幣データより汚損基準の閾値調整を個別に行っている。
【0005】
そのため、個別ATMで損券閾値を設定するものであり他システムとの整合をとることはできない。
【0006】
また、真券と汚損券の境界を示す閾値の設定をオペレータが自動機装置毎に行うため、複数台のシステムの整合をとるには、勝手が悪くなっていた。
【0007】
本発明の目的は、ネットワークを経由して他機種の紙幣毎の記番号と受付または排除情報を入手し、自機種内に保存している紙幣データベース(以下、記番号データベース)より汚損券の汚れ具合を数段階のレベルに分類した、段階別の分類(以下、損券レベル)を自動設定し、自動機システムにおいて機種間の紙幣受付性能を統一することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前述の目的を達成するために、紙幣の識別を実施する金融機関の自動機システムにおいてネットワークで各機種を接続し、紙幣の記番号と受付または排除情報をネットワーク経由で入手する。このデータと記番号データベースを使用して損券レベルを自動調整することを構成したことにある。
【0009】
上述のような構成としたので、自動機システム全体で損券レベルが一定となり受付または排除性能の機体差がなくなるという効果が発生する。
【0010】
さらには、損券レベルの補正可能閾値範囲をあらかじめ設定することにより排除しなければならない汚損券、偽券などを受け付けることもなくなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ネットワークを使用することにより自動機装置において紙幣、商品券、小切手などの損券レベルが統一された自動機装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】自動機システム概要図である。
【図2】ATMのメニュー画面である。
【図3】ATMにおける損券レベル調整フローである。
【図4】記番号データベースレコードである。
【図5】閾値調整の補正範囲を示した図である。
【図6】自動機装置の内部構成図である。
【図7】紙幣仕分装置の内部構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1から図7を参照して、本発明の実施例を説明する。本実施形態は、銀行システムなどの金融機関システムに採用される例えばATM(Automatic Teller Machine)、ソーターのような自動取引装置に関する。
【0014】
まず、図1は、本実施形態に係わるシステム構成図であり、図4は記番号データベースレコードであり、図6は自動機装置の内部構成図である。本構成図および内部構成図を用いて、概略構成を説明する。
【0015】
自動取引装置(以下ATMとする)ATM1は、ATM3、及び、紙幣仕分装置(以下ソーターとする)ソーター4とネットワーク2を経由して接続される。ATM1、及び、AMT3は、利用者の要求する種々の取引を自動的に実施する装置であり、自動機装置600と同一であり、表示部601、入力装置602、カード読取書込部603、通帳読取部604、通帳印字部605、装置内通信部606、送受信部610,補助記憶装置608、主記憶装置609、そしてこれら各部を制御する制御部607などで構成されている。制御部は、CPU,メモリ等のハード構成と、プログラム、データ等のソフト構成とから成り、各種処理、取引を制御する。また、識別装置620も内部に有している。識別装置620は制御部621、画像処理部622、記番号データベース623、装置内通信部624を有している。装置内通信部624と装置内通信部606は画像読取情報の伝達を行い同期ととりながら稼動している。
【0016】
また、ソータ4は利用者の要求するように自動的に紙幣を仕分けする装置700であり、表示部701、入力装置702、画像読取部703、送受信部707,補助記憶装置705、主記憶装置706、記番号データベース708と、そしてこれら各部を制御する制御部704などで構成されている。制御部は、CPU,メモリ等のハード構成と、プログラム、データ等のソフト構成とから成り、各種仕分処理をする。
【0017】
ATM1と接続するATM3は、データの送信または受信を行う送受信部610および送受信部707を介して接続され、記番号データベース623で記憶された、記番号などのデータと、これらを制御する制御部621を有する。ATM1と接続するソーター4は、データの送信または受信を行う送受信部610および送受信部707を介して接続され、ファイル部706の内部にもうけた、記番号などを記憶する記番号データベースと、これらを制御する制御部704を有する。この記番号データベースのレコード400は、号機番号、金種、記番号、受付または排除が記憶されており、ATM3、及び、ソーター4より受信するデータに含まれている。これにより、ATM1は記番号により受付または排除の判断が可能となる。
【0018】
本実施例では、図2から図7を参照して本発明の実施例を説明する。
【0019】
まず、図2は、ATM1のメニュー画面である。ユーザは損券レベルの設定を行いたいときにメニュー200を起動し、紙幣情報収集201を選択する。
【0020】
図3はATMにおける損券レベル調整フロー図である。図3を用いて損券レベル調整フローを説明する。この操作によりネットワーク2をかいして図3ATMにおける損券レベル調整フロー図の記番号情報受信(S301)処理でATM3およびソーター4より記番号データ400を受信する。
【0021】
図4は記番号データベースレコード図である。図4を用いて記番号データベースレコードを説明する。記番号データ400は、号記番号と金種と記番号と受付または排除情報で構成されている。
【0022】
次に、ATM1は記番号データ400を受信したら、記番号データベース検索一致(S302)を行う。記番号データベース検索一致(S302)は、記番号データベース623内に保存している記番号データレコード401の金種と記番号が一致した場合データが存在したとみなす。存在した場合、センサ出力値チェック(S303)を行う。センサ出力値チェック(S303)は、出力値が損券レベルのどのレベルに該当するかを認識する。例えば、センサ出力値が0〜100未満は損券レベル0、センサ出力値100〜200未満は損券レベル1、センサ出力値が200〜300未満は損券レベル2等のようにセンサ出力値と損券レベルを対応させる。ただし、図5の補正可能閾値範囲をあらかじめ決めておき、決められた補正可能閾値範囲内(S304)であれば損券レベル補正(S305)を行う。また、補正閾値範囲外であれば補正不可メッセージ(S306)を画面出力し終了する。
【0023】
補正可能閾値範囲内(S304)の範囲は、図5閾値調整補正範囲で示すように、あらかじめ決まられた補正可能閾値範囲である。この補正可能閾値範囲をさだめることにより真券受付性能の低下、偽券、大きな破れ券、大きな穴あき券などの損券の排除性能を維持できる。上記紙幣データ処理は記番情報受信が終了(S307)するまで、受信データ分繰り返し行う。
【0024】
一方、記番号データベース623に一致する記番号が存在しない場合も想定する。この場合、紙幣をATM1で読みこみ、紙幣毎に金種と記番号とセンサ出力値を読み込み、損券レベルを設定する機能も設ける。まず、ユーザは、図2に記載されたATMメニューの紙幣読込み202を選択する。紙幣読込み(S310)で、紙幣毎の金種と記番号とセンサ出力値読み込み(S311)を行う。このデータと記番号号データベース623と比較し、記番号データベース検索一致(S312)チェックを行う。一致した場合、センサ出力値チェック(S303)を行う。センサ出力値チェック(S303)は、出力値が損券レベルのどのレベルに該当するかを認識する。例えば、センサ出力値が0〜100未満は損券レベル0、センサ出力値100〜200未満は損券レベル1、センサ出力値が200〜300未満は損券レベル2等、のようにセンサ出力値と損券レベルを対応させる。ただし、図5の補正可能閾値範囲をあらかじめ決めておき、決められた補正可能閾値範囲内(S304)であれば損券レベル補正(S305)を行う。また、補正閾値範囲外であれば補正不可メッセージ(S306)を画面出力し終了する。記番号データベース検索一致(S312)で一致しなかった場合、記番号データレコード401に追加保存する。そして、センサ出力値チェック(S303)を行う。センサ出力値チェック(S303)は、出力値が損券レベルのどのレベルに該当するかを認識する。例えば、センサ出力値が0〜100未満は損券レベル0、センサ出力値100〜200未満は損券レベル1、センサ出力値が200〜300未満は損券レベル2、のようにセンサ出力値と損券レベルを対応させる。ただし、図5の補正可能閾値範囲をあらかじめ決めておき、決められた補正可能閾値範囲内(S304)であれば損券レベル補正(S305)を行う。また、補正閾値範囲外であれば補正不可メッセージ(S306)を画面出力し終了する。上記紙幣データ処理は紙幣読込が終了(S315)するまで、読取データ分繰り返し行う。
【0025】
ここでは、紙幣での実施例を記しているが、商品券、小切手など有価証券で記載された番号を有するものでもよい。また、ネットワークは、有線LAN、無線LAN、公衆回線、インターネット、等データ転送可能なシステム構成を使用してもよい。また、自動機システムに接続される装置は、ATM、ソーター以外の紙幣識別機能を有した識別装置にも適用される。
【符号の説明】
【0026】
1…自動取引装置(ATM)、2…ネットワーク、3…自動取引装置(ATM)、4…紙幣仕分装置(ソーター)、200…ATMメニュー、400…記番号データ、401…記番号データベース、500…閾値調整補正範囲図、601…表示部、602…入力装置、603…カード読取書き込み部、604…通帳読取書込部、605…通帳印字部、606…装置内通信部、607…制御部(自動機装置側)、608…補助記憶装置、609…主記憶装置、609…記番号データベース、610…送受信部、621…制御部(識別装置)、622…画像読取部、623…記番号データベース(識別装置)、624…装置内通信部(識別装置側)(識別装置)、701…表示部(紙幣仕分装置)、702…入力装置(紙幣仕分装置)、703…画像読取仕分部(紙幣仕分装置)、704…制御部(紙幣仕分装置)、705…補助記憶装置(紙幣仕分装置)、706…主記憶装置(紙幣仕分装置)、706…記番号データベース(紙幣仕分装置)、707…送受信部(紙幣仕分装置側)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関における自動機装置において、ネットワーク経由でATMより、紙幣の記番号データと紙幣の受付または排除データを受信し、受信したデータより自動的に損券レベルを設定する紙幣識別装置。
【請求項2】
前記紙幣の記番号データと紙幣の受付または排除データは、自動機システムのATMにおいて個別に機種設定を行っていた損券レベルを、ネットワーク経由で他のATMより、紙幣の記番号データと紙幣の受付または排除データを受信し、この受信したデータを使用することにより他機種と同等の受付または排除性能とすることを可能としたことを特徴とする請求項1に記載の紙幣識別装置。
【請求項3】
ネットワーク経由でATMより、紙幣の記番号データと紙幣の受付または排除データを受信し、受信したデータと識別装置が保有する記番号データベースと比較し、記番号データベースのセンサ出力値より損券レベルを自動的に設定することを可能とする紙幣識別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−123696(P2012−123696A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275237(P2010−275237)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】