説明

警備点検システム、警備点検端末、警備点検方法、及び警備点検プログラム

【課題】警備点検における作業効率を向上させる。
【解決手段】監視サーバから指示された警備点検の対象施設内に設置された施設内端末と通信ネットワークを介して接続され、前記施設内を巡回して警備用機器を点検するためにユーザが操作する警備点検装置において、前記施設内端末と前記監視サーバから送られる鍵情報による照合を行い、暗号化による機密情報の通信を行う暗号化通信手段と、現在の位置を測位する位置測位手段と、前記施設内端末に対して前記警備用機器に関する位置情報を、前記位置測位手段により得られる位置情報として、前記機密情報を更新させる警備用機器位置更新手段と、前記警備用機器位置更新手段により前記施設内端末によって更新された機密情報を画面に表示する画面表示手段とを有することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警備点検システム、警備点検端末、警備点検方法、及び警備点検プログラムに係り、特に警備点検における作業効率を向上させるための警備点検システム、警備点検端末、警備点検方法、及び警備点検プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルや工場、デパート、病院、マンション等の集合住宅等の警備対象施設に火災又は不法侵入等の異常を検知するセンサ(侵入検知センサ)や非常灯等の警備用機器、及び上記警備用機器を管理する警備装置等を設置し、警備対象施設の異常を検知した場合に通信ネットワークを介して接続される監視サーバ等に送信し、監視サーバにて異常があった施設の遠隔監視を行ったり、警備員を急行させるといった警備システムが存在している。
【0003】
ここで、警備用機器の定期点検や新規設置、撤去等の作業を行う場合には、警備員等の作業者は、施設の見取り図が描かれた紙面を用いたり、CAD(Computer Aided Design)データとして作成された警備用機器の位置に関する情報等を作業員のモバイル端末(携帯型の警備点検端末)等に記録し、それを参照して機器の点検、新規設置、撤去等を行う。
【0004】
しかしながら、実際の警備用機器の新規設置や撤去等の作業状態と連動して、その内容を速やかに紙面やCADデータ上に反映する手段がないため、例えば追加した機器の記載漏れや撤去機器の削除漏れが発生する。また、ヒューマンエラーにより、警備用機器の点検漏れが発生する可能性がある。
【0005】
更に、紙面やモバイル端末に記録された警備用機器の位置に関する情報等は、警備点検における機密情報ということができるが、この紙面やモバイル端末を紛失したり、盗難にあったりした場合には、その機密情報が漏洩する可能性がある。したがって、もし警備用機器の設置位置に関する情報が漏洩した場合、賊に警備の手薄な場所を知られてしまう。
【0006】
そこで、近年では、施設情報等の管理情報を電子化して統合管理し、表示(可視化)することができるシステムが存在する(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
また、警備員がモバイル端末の紛失等があっても機密情報の漏洩がないようなシステムが存在する(例えば、特許文献2参照。)。上述の特許文献2に示される手法では、予め許可又は権限を有する者が、予め定められた場所においてのみ、サーバからユーザ端末にダウンロードされたアクセス制御プログラムを介して、所定の情報にアクセスすることができることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−287615号公報
【特許文献2】特開2005−71071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1には、位置情報と結び付けて管理されていないため機器の設置場所等の情報が曖昧となり、例えば機密情報である図面データに対しての記入漏れが発生する可能性がある。また、センサ等の警備用機器の点検、新規設置、撤去作業の内容を直ぐに可視化し、未点検のセンサとの見分けを行うようなシステムは未だ存在していないため、点検漏れが発生する可能性があり、作業の効率が悪い。
【0010】
また、上述した特許文献2には、ユーザ端末からサーバへ通信を行って、図面データ等の機密情報をダウンロードすることがない。また、特許文献2における位置情報は、(x,y)の二次元座標であるため、例えば10階建てのビルの4階のみが契約先(警備対象施設)であった場合に、(x,y,z)等の3次元座標を用いて建物の各階のどの部分に位置するか等を把握しなければならないが、それを実現することができない。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、警備点検における作業効率を向上させるための警備点検システム、警備点検端末、警備点検方法、及び警備点検プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本件発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
【0013】
本発明では、監視サーバと、警備点検の対象施設内に設置された施設内端末と、前記施設内を巡回して警備用機器を点検する際に作業員が所持する警備点検装置とを備える警備点検システムにおいて、前記監視サーバは、前記施設内端末と前記警備点検装置との間で暗号化通信を行わせるための鍵情報を生成する鍵生成手段と、前記施設内端末における警備点検状況を管理する施設内端末管理情報と、予め設定される対象施設で警備点検を行う作業員を決定し、決定した作業員が所持する警備点検装置に対して前記鍵情報を送信する警備点検装置管理手段とを有し、前記施設内端末は、前記警備点検装置と前記鍵情報による照合を行い暗号化による機密情報の通信を行う暗号化通信手段と、前記施設内の警備対象となる警備員が所持する警備点検装置の位置情報及び作業内容を監視する警備点検装置監視手段と、前記警備点検装置から得られる前記警備用機器に関する位置情報を用いて前記機密情報を更新する機密情報更新手段とを有し、前記警備点検装置は、前記施設内端末と前記鍵情報による照合を行い暗号化による前記機密情報の通信を行う暗号化通信手段と、現在の位置を測位する位置測位手段と、前記施設内端末に対して前記警備用機器に関する位置情報を前記位置測位手段により得られる位置情報として、前記機密情報を更新させる警備用機器位置更新手段とを有することを特徴とする。これにより、警備点検における作業効率を向上させることができる。
【0014】
更に本発明は、監視サーバから指示された警備点検の対象施設内に設置された施設内端末と通信ネットワークを介して接続され、前記施設内を巡回して警備用機器を点検するためにユーザが操作する警備点検装置において、前記施設内端末と前記監視サーバから送られる鍵情報による照合を行い、暗号化による機密情報の通信を行う暗号化通信手段と、現在の位置を測位する位置測位手段と、前記施設内端末に対して前記警備用機器に関する位置情報を、前記位置測位手段により得られる位置情報として、前記機密情報を更新させる警備用機器位置更新手段と、前記警備用機器位置更新手段により前記施設内端末によって更新された機密情報を画面に表示する画面表示手段とを有することを特徴とする。これにより、警備点検における作業効率を向上させることができる。
【0015】
また本発明では、前記警備用機器位置更新手段は、前記位置測位手段により位置情報を取得する際、位置情報を更新する対象となる警備用機器の近辺で前記位置情報を取得し、取得した位置情報と共に前記警備用機器の識別情報を前記施設内端末に送信することを特徴とする。
【0016】
また本発明では、前記施設内端末により得られる機密情報を、所定の条件に基づいて消去する機密情報消去手段とを有することを特徴とする。
【0017】
更に本発明は、監視サーバから指示された警備点検の対象施設内に設置された施設内端末と通信ネットワークを介して接続され、前記施設内を巡回して警備用機器を点検するためにユーザが操作する警備点検装置における警備点検方法において、前記施設内端末と前記監視サーバから送られる鍵情報による照合を行い、暗号化による機密情報の通信を行う暗号化通信手順と、現在の位置を位置測位手段により測位する位置測位手順と、前記施設内端末に対して前記警備用機器に関する位置情報を、前記位置測位手順により得られる位置情報として、前記機密情報を更新させる警備用機器位置更新手順と、前記警備用機器位置更新手順により前記施設内端末によって更新された機密情報を画面に表示する画面表示手順とを有することを特徴とする。これにより、警備点検における作業効率を向上させることができる。
【0018】
また本発明では、前記警備用機器位置更新手順は、前記位置測位手段により位置情報を取得する際、位置情報を更新する対象となる警備用機器の近辺で前記位置情報を取得し、取得した位置情報と共に前記警備用機器の識別情報を前記施設内端末に送信することを特徴とする。
【0019】
また本発明では、前記施設内端末により得られる機密情報を、所定の条件に基づいて消去する機密情報消去手順とを有することを特徴とする。
【0020】
更に本発明は、監視サーバから指示された警備点検の対象施設内に設置された施設内端末と通信ネットワークを介して接続され、前記施設内を巡回して警備用機器を点検するためにユーザが操作する警備点検装置における警備点検プログラムにおいて、
前記施設内端末と前記監視サーバから送られる鍵情報による照合を行い、暗号化による機密情報の通信を行う暗号化通信手段、
現在の位置を測位する位置測位手段、
前記施設内端末に対して前記警備用機器に関する位置情報を、前記位置測位手段により得られる位置情報として、前記機密情報を更新させる警備用機器位置更新手段、及び、
前記警備用機器位置更新手段により前記施設内端末によって更新された機密情報を画面に表示する画面表示手段として機能させる。これにより、警備点検における作業効率を向上させることができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における警備点検処理を容易に実現することができる。
【0021】
また本発明では、前記警備用機器位置更新手段は、
前記位置測位手段により位置情報を取得する際、位置情報を更新する対象となる警備用機器の近辺で前記位置情報を取得し、取得した位置情報と共に前記警備用機器の識別情報を前記施設内端末に送信することを特徴とする。
【0022】
また本発明では、前記施設内端末により得られる機密情報を、所定の条件に基づいて消去する機密情報消去手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、警備点検における作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態における警備点検システムの概略構成の一例を示す図である。
【図2】本実施形態における監視サーバの機能構成例を示す図である。
【図3】本実施形態における施設内端末の機能構成例を示す図である。
【図4】本実施形態におけるモバイル端末の機能構成例を示す図である。
【図5】本実施形態における警備点検が実現可能なハードウェア構成の一例を示す図である。
【図6】電子鍵の配信の様子を説明するための図である。
【図7】モバイル端末の持ち出しの様子を説明するための一例を示す図である。
【図8】電子鍵の検証の様子を示す一例の図である。
【図9】図面データの配信の様子を説明する一例を示す図である。
【図10】図面データの紛失防止方法を説明するための一例を示す図である。
【図11】本実施形態における図面データの一例を示す図である。
【図12】図面データに含まれる機密情報の一例を示す図である。
【図13】機器管理テーブルの一例を示す図である。
【図14】操作により表示される表示内容の一例を示す図である。
【図15】警備用機器の位置取得方法の一例を説明するための図である。
【図16】本実施形態における警備用機器の点検時の動作について説明するための一例を示す図である。
【図17】本実施形態における警備点検システムについての一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<本発明について>
本発明は、警備用機器を新規設置した場合や撤去した場合に、警備点検作業を行う作業員(警備員)等のユーザが常時所持しているモバイル端末等の警備点検端末から得られる位置情報を用いて効率的に図面データ等に反映させることにより追加機器の記載漏れや撤去機器の削除漏れを防止する。
【0026】
また、本発明は、例えば警備対象施設等に設置される警備用機器(例えば、侵入検知センサ等)について、その定期点検や詳細点検、新規設置や撤去等の作業を実施する際に、図面データ等の警備を行う上で重要な機密情報の紛失や漏洩事故を防止すると共に警備用機器の点検漏れを防止する。
【0027】
具体的には、本発明は、例えば機密情報として、警備対象施設の位置情報(3次元座標系)や建物の間取り(見取り図)、侵入検知センサや火災報知センサの各センサ群又は非常灯等の警備用機器の設置場所(3次元座標系)等を含む図面データを用い、更に警備点検完了前後でその図面データの表示内容を変更する。これにより、点検未完了部分が明確になり、点検漏れを防止することができる。
【0028】
以下に、本発明における警備点検システム、警備点検端末、警備点検方法、及び警備点検プログラムを好適に実施した形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態で用いられる機密情報の一例として、上述した図面データを使用することとするが、本発明に適用可能な機密情報としては特にこれに限定されず、例えば警備点検作業を行う警備員等の作業員に関する情報や巡回手順、緊急時連絡先等の情報も含むものとする。
【0029】
<本実施形態:警備点検システムの概略構成例>
図1は、本実施形態における警備点検システムの概略構成の一例を示す図である。図1に示す警備点検システム10は、監視サーバ11と、対象施設(契約先施設)12と、支社13とを有するよう構成されており、監視サーバ11、対象施設12、及び支社13とは、電話回線や専用回線、インターネット回線等の通信ネットワーク14−1,14−2によりデータ等が送受信可能な状態で接続されている。なお、図1に示す通信ネットワーク14−1,14−2は、同一の通信ネットワーク14としてもよい。
【0030】
なお、上述した警備点検システム10において、監視サーバ11により管理される対象施設12や支社13は、それぞれ複数でもよく、またある1つの対象施設12に対する支社13の数や、ある1つの支社13に対する対象施設12の数が複数であってもよい。
【0031】
また、通信ネットワーク14−1,14−2は、何れもVPN(Virtual Private Network)等により暗号化されたデータを用いて送受信を行うセキュアな通信路を用いて送受信されることが好ましい。VPN通信することで、インターネット等の公共のネットワークを、あたかも専用回線のように利用することができ仮想プライベートネットワークを構築することができる。これにより、監視サーバ11、対象施設12、及び支社13の通信ネットワーク間のセキュリティを向上させることができる。
【0032】
また、支社13は、例えば監視サーバ11を管理する企業(管理会社)等に属する企業を意味し、具体的には、ある対象施設12に対して警備点検作業等を行う作業員が所属する営業所や支店等を示している。なお、支社13は、監視サーバ11を管理する企業に限定されずに、例えば監視サーバ11を所有する企業から委託を受けた会社であってもよい。
【0033】
図1に示すように、監視サーバ11には、警備点検である1又は複数の対象施設毎に機密情報としての1又は複数の図面データ21が格納されている。この図面データ21は、対象施設12内に設置される施設内端末22にも通信ネットワーク14−1を介して送信され、格納される。施設内端末22は、対象施設12に設置された複数の警備用機器として、例えばセンサ23−1〜23−nの全ての位置、警備点検状況、点検状況を管理する。
【0034】
また、支社13にあるモバイル端末24は、警備点検作業を行う警備員(作業員)等のユーザが常時所持している警備点検端末であり、例えばノートパソコンや携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等を用いることができる。例えば、警備がモバイル端末24を所持して支社13から対象施設12に移動すると、モバイル端末24と施設内端末22間で暗号化通信等による照合を行い、照合の結果、機密情報を取得してもよいモバイル端末であれば、施設内端末22から図面データ21が送信される。
【0035】
なお、上述したモバイル端末24と施設内端末22間での照合については、予めモバイル端末24が支社13にあるときに、監視サーバ11から施設内端末22及びモバイル端末24に対してそれぞれ通信ネットワーク14−1,14−2を介して、電子鍵等の鍵情報が送られ、モバイル端末24が対象施設12内に移動し、施設内端末22と無線通信できる状況になったときに、その電子鍵を用いて図面データの送付前に事前に鍵照合を行う。これにより、図面データ21の安全性を向上させることができる。
【0036】
また、作業員は、所持するモバイル端末24の表示画面に表示された図面データ21を参照しながら、対象施設12の所定の場所に設置された各センサ23−1〜23−n等の警備用機器の点検等を行ったり、新規設置、撤去時におけるモバイル端末24による更新情報の登録等を行う。
【0037】
ここで、警備用機器の点検の場合に、作業員は、モバイル端末24を用いて対象施設12にある各センサ23−1〜23−nを1個ずつ正常に動作するかを点検し、その点検した結果をその都度施設内端末22に送信する。なお、点検結果を送信する場合には、モバイル端末24に表示されている図面データ21を用いて、例えば点検したセンサを選択し、「OK」又は「NG」の指示をして送信してもよく、また検知センサであればそのセンサを実際に動作させ、そのセンサの稼動の有無を設置内端末22で確かめさせてもよい。
【0038】
また、施設内端末22は、モバイル端末24から得られた点検結果を図面データ21に反映し、その反映された図面データ21をモバイル端末24に送ると共に、監視サーバ21にも出力する。これにより、監視サーバ11及び対象施設12で常に最新の図面データ21を管理することができる。また、作業員は、モバイル端末24から常に更新される図面データ21を参照して効率的に警備点検作業を行うことで、警備用機器の点検漏れを防止することができる。
【0039】
なお、モバイル端末24を所持した警備員が目的とする対象施設12に到達すると、図面データ21が施設内端末22からモバイル端末24に送られることになるが、実際には、送信前に監視サーバ11から施設内端末22及びモバイル端末24に対して電子鍵等の鍵情報が送られ、その電子鍵を用いて図面データ21の送付前に事前に鍵照合することによって始めて適切なユーザに対して図面データ21が送られる。そのため、図面データ21の漏洩を防止することができる。
【0040】
更に、対象施設12に設置される警備用機器の位置情報を把握する場合、センサ毎にGPS(Global Positioning System)機能等を設けてその位置を把握してもよいが、その場合にはコストが高くなる。そのため、本実施形態では、モバイル端末24に設けられたGPSや加速度センサ等の位置測位機能を用いる。具体的には、モバイル端末24を設置された警備用機器の近辺(真下、直近)等に持って行き、モバイル端末24のGPSや加速度センサ等の位置測位機能により測位した3次元情報(例えば、緯度、経度、高度等に対応する(x,y,z)座標系)を取得し、その位置情報を施設内端末22に送信することで、1つ1つの機器の位置を容易に把握することができ、図面データ21に即座に反映させることができる。また、上述したように、警備用施設が複数階のフロアに及ぶ場合にもセンサの位置を正確に認識することができるため、効率的な設備点検を実現することができる。
【0041】
また、本実施形態では、モバイル端末24を用いた点検の終了後、対象施設12から出る場合には、モバイル端末24内に蓄積された図面データ21は消去される。これにより、データの漏洩を未然に防止することができる。
【0042】
次に、上述した監視サーバ11、施設内端末22、及びモバイル端末24のそれぞれの機能構成例について図を用いて説明する。
【0043】
<監視サーバ11:機能構成例>
図2は、本実施形態における監視サーバの機能構成例を示す図である。図2に示す監視サーバ11は、入力手段31と、出力手段32と、蓄積手段33と、暗号化通信手段34と、鍵生成手段35と、施設内端末管理手段36と、モバイル端末管理手段37と、警備点検状況把握手段38と、画面生成手段39と、通知手段40と、送受信手段41と、制御手段42とを有するよう構成されている。
【0044】
入力手段31は、管理者等のユーザからの暗号化通信指示や、鍵生成指示、施設内端末管理指示、モバイル端末管理指示、点検状況把握指示、画面生成指示、通知指示、送受信指示、等の各種指示を受け付ける。なお、入力手段31は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、マイク等の音声入力デバイス等からなる。
【0045】
出力手段32は、入力手段31により入力された指示内容や、各指示内容に基づいて生成された制御データや施設内端末22やモバイル端末24から送られる各種情報の内容を表示したり、その音声を出力する。なお、出力手段32は、ディスプレイ等の画面表示機能やスピーカ等の音声出力機能等を有する。
【0046】
蓄積手段33は、各施設内端末22及びモバイル端末に送付する生成された電子鍵等の鍵情報や、各施設内端末22から得られる図面データ、及びその更新情報、警備点検における問題発生時の情報、問題発生時における対応方法、モバイル端末24に対するアクセス情報、警備員(作業員)情報、警備点検状況の把握情報、画面生成結果等が蓄積されており、必要に応じて読み出しや書き込みが行われる。なお、蓄積手段33は、上述した各種データを通信ネットワーク14−1,14−2等に接続された外部装置等から取得することもできる。
【0047】
暗号化通信手段34は、対象施設12及び支社13とセキュア通信を行うために、送信するデータに暗号化を行って通信するものである。なお、暗号化通信手段34は、例えばVPN通信等を用いることができる。
【0048】
鍵生成手段35は、対象施設12において、モバイル端末24の照合を行うための鍵を生成する。つまり、監視サーバ11は、鍵生成手段35により例えば電子鍵Kを生成し、対象施設に設置された端末(施設内端末22)とモバイル端末24に送信する。モバイル端末24に送信された電子鍵Kは、対象施設12に移動したときに、施設内端末と照合を行い、照合の結果がよければ、図面データ21を取得するためのものである。また、施設内端末22に送信される電子鍵Kは、その対象施設12において、定期点検等の理由により作業員が対象施設に行くことを施設内端末22の管理者等に通知するためにも用いられる。
【0049】
更に、鍵生成手段35は、モバイル端末24が支社13にあるときに、電子鍵KをVPN等のセキュアな通信路である通信ネットワーク14−2を介して送信するのが好ましい。これにより、電子鍵Kの漏洩、盗難を防止することができる
施設内端末管理手段36は、監視サーバ11が管理する契約先である全ての対象施設の現在の警備点検状況等を管理するものである。また、施設内端末管理手段36は、センサ等の定期的な点検が必要である場合には、その期限管理も兼ねており、その点検日に応じて作業員を割り当てて対応させる。また、施設内端末管理手段36は、対象施設12で何か不審者侵入等の問題が発生した場合には、対象施設12に対して遠隔操作により非常ベルを鳴らしたり、扉のドアを全部閉めて開かないようにしたり、検知したセンサの近くのカメラにより撮影した映像を表示させたり、その問題のあった対象施設12に他の警備員等を向かわせたり、警察に通報する等の処理を行う。
【0050】
モバイル端末管理手段37は、施設内端末管理手段36により管理された施設内端末22が設置された対象施設12に警備点検作業を行わせる作業員等を管理する。具体的には、モバイル端末管理手段37は、対象施設12で警備点検させる作業員を決定すると、その作業員のモバイル端末24に対して、鍵生成手段35で生成された電子鍵Kや行き先の対象施設12に関する情報(名称、住所、電話番号等)等を送受信手段41により送信する。
【0051】
また、モバイル端末管理手段37は、どの作業員がどこにいるかを、それぞれの作業員が所持するモバイル端末24を介して取得する。具体的には、例えば、モバイル端末管理手段37は、GPS機能等の位置測位手段等を持たせたモバイル端末24と定期的に通信することで3次元位置情報(例えば、(x,y,z)に対応する(緯度、経度、高度)等)に基づいて、蓄積手段33等に予め蓄積された3次元地図情報(例えば、契約先の対象施設12の図面データ等の機密情報も含む。)等と比較して作業員の位置情報を取得する。したがって、契約先の対象施設が複数回に及ぶ場合にも正確な3次元位置を取得することができ、どの作業員がどの階で警備点検しているかを正確に把握することができる。
【0052】
また、警備点検状況把握手段38は、モバイル端末管理手段37により得られる位置情報から各契約先の対象施設12及びモバイル端末24における警備用機器の点検状況を把握する。具体的には、警備点検状況把握手段38は、その作業員が所持するモバイル端末24から定期的に得られる位置情報と、予め指示した作業内容とから、その作業員が指示通り作業しているか否かをリアルタイムで管理することができる。また、警備点検状況把握手段38は、警備が必要な施設については、1又は複数の警備員を、その対象施設に向かわせる等の対応を行う。
【0053】
画面生成手段39は、図面データ21等、警備に必要なデータを作業員、管理者等が認識し易い状態に画面生成を行う。また、画面生成手段39は、契約先に対して送信する図面データ21の画面を生成し、監視サーバ11でも容易に各契約先の情報を取得できるようにする。また、対象施設12から得られる図面データ等の機密情報の更新情報を監視サーバ11にも出力する画面も生成する。更に、画面生成手段39は、対象施設12より不審者侵入等の問題が発生したことを示す信号を受信した場合には、その施設に関する情報や、近くにいる警備員の情報等の緊急時用に表示する画面を生成する。更に、画面生成手段39は、問題発生信号を送信してきた対象施設12に対してその問題への対応策や遠隔操作の内容等を監視員に指示するための画面を生成する。なお、画面生成に必要な各種情報は、蓄積手段33に予め蓄積されている情報等から必要な情報を適宜読み出して使用することができる。また、生成した画面は、ディスプレイやスピーカ等を有する出力手段32により音声等と共に出力する。
【0054】
通知手段40は、対象施設12からの問題発生信号により問題発生の信号に対応させて管理者や警備会社におけるその対象施設12(例えば、ビル等の建物等)の担当警備員、監視員、代表責任者等に通知を行うアラート機能を有する。なお、通知手段40は、電子メール機能や音声、専用のアプリケーションによる画面表示等により通知することができる。
【0055】
送受信手段41は、通信ネットワーク14−1又は14−2を介して対象施設12及び支社13とのセキュアな通信を行う。また、送受信手段41は、警備点検システム10を構成する他の端末に送信したり、他の端末から各種データを受信するための通信インタフェースとして用いることができる。
【0056】
制御手段42は、警備点検システム10における各機能構成全体の制御を行う。具体的には、制御手段42は、入力手段31により入力されたユーザからの入力情報に基づいて暗号化通信を行ったり、鍵生成を行ったり、施設内端末の管理を制御したり、モバイル端末の管理を制御したり、警備点検状況を把握したり、画面生成したり、通信制御したり、送受信制御により他の端末との送受信を行う等の各種制御を行う。
【0057】
<施設内端末22:機能構成例>
図3は、本実施形態における施設内端末の機能構成例を示す図である。図3に示す施設内端末22は、入力手段51と、出力手段52と、蓄積手段53と、暗号化通信手段54と、モバイル端末監視手段55と、警備点検状況把握手段56と、機密情報更新手段57と、画面生成手段58と、通知手段59と、送受信手段60と、制御手段61とを有するよう構成されている。
【0058】
入力手段51は、対象施設管理者や警備責任者等のユーザからの暗号化通信指示や、モバイル端末監視指示、警備点検状況把握指示、画面生成指示、通知指示、送受信指示、等の各種指示を受け付ける。なお、入力手段51は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、マイク等の音声入力デバイス等からなる。
【0059】
出力手段52は、入力手段51により入力された指示内容や、各指示内容に基づいて生成された制御データや施設内端末22やモバイル端末24から送られる各種情報の内容を表示したり、その音声を出力する。なお、出力手段52は、ディスプレイ等の画面表示機能やスピーカ等の音声出力機能等を有する。
【0060】
蓄積手段53は、監視サーバ11から得られる電子鍵等の鍵情報や図面データ、問題発生時における対応方法、モバイル端末24に対するアクセス情報、警備員情報、警備情報の把握情報、画面生成結果等が蓄積されており、必要に応じて読み出しや書き込みが行われる。なお、蓄積手段53は、上述した各種データを通信ネットワーク14−1等に接続された外部装置等から取得することもできる。
【0061】
暗号化通信手段54は、監視サーバ11とのセキュア通信を行うために送信するデータに暗号化を行って通信するものである。なお、暗号化通信手段54は、例えばVPN通信を用いることができる。また、暗号化通信手段54は、モバイル端末24との間でもセキュア通信を行う。
【0062】
警備点検装置監視手段としてのモバイル端末監視手段55は、施設内に向かっている若しくは既に存在する警備員が所持するモバイル端末24により各警備員の位置と作業内容を監視する。モバイル端末監視手段55は、モバイル端末24の照合を行うための鍵照合を行う。つまり、モバイル端末監視手段55は、監視サーバ11から送られる電子鍵Kとモバイル端末24が所持する電子鍵Kとを照合し、そのモバイル端末24(警備員)が正しい警備員か否かを判断する。
【0063】
警備点検状況把握手段56は、モバイル端末24により作業員の警備点検状況を把握する。具体的には、警備点検状況把握手段56は、その作業員が所持するモバイル端末24から定期的に得られる位置情報と、予め指示した作業内容とから、その作業員が指示通り作業しているか否かをリアルタイムで管理することができる。また、警備点検状況把握手段56は、警備が必要な施設については、1又は複数の警備員を、その対象施設に向かわせる等の対応を行う。
【0064】
機密情報更新手段57は、モバイル端末24を所持する警備員等により行われる警備用機器の点検結果や、モバイル端末24から得られる新規設置又は撤去等の作業があった警備用機器の位置情報(3次元座標系)に対応させて機密情報である図面データの更新を行う。具体的には機密情報更新手段57は、警備用機器による点検結果が得られた場合には、その対応する警備用機器に対して「OK(又は〇)」、「NG(又は×)」等の表示や色分け等の強調表示を行うことにより、例えば警備用機器毎に点検完了「OK」、点検完了「NG」、点検未完了等の点検状況を容易に把握することができる。
【0065】
また、機密情報更新手段57は、新規設置された警備用機器に関する位置情報がモバイル端末24から得られた場合には、その位置情報と機器名称等を蓄積手段等に登録すると共に、取得した位置情報に対応する図面データ21の適切な位置に警備用機器の種別毎に異なるマークからなる識別表示を行う。また、機密情報更新手段57は、撤去された警備用機器に関する位置情報がモバイル端末24から得られた場合には、その位置情報と機器名称等を蓄積手段等から削除すると共に、取得した位置情報に対応する図面データ21の適切な位置の警備用機器の表示を削除する。
【0066】
なお、上述した警備用機器の新規設置又は撤去等に関する更新処理は、モバイル端末24からの位置情報等を取得せずに施設内端末22から直接図面データ21を更新してもよい。また、機密情報更新手段57は、上述した警備用機器の新規設置又は撤去以外にも、例えば交換時や移動時にも上述の処理を適用することができる。
【0067】
機密情報更新手段57は、更新された図面データ21を送受信手段60により監視サーバ11及びモバイル端末24に送信させる。
【0068】
画面生成手段58は、図面データ21等、警備に必要なデータを管理者が認識し易い状態に画面生成を行う。また、画面生成手段58は、契約先に対して送信する図面データ21の画面を生成し、監視サーバ11でも容易に各契約先の情報を取得できるようにする。また、対象施設12から得られる図面データ等の機密情報の更新情報を監視サーバ11にも出力する画面も生成する。
【0069】
更に、画面生成手段58は、対象施設12より不審者侵入等の問題が発生したことを示す信号を受信した場合には、その施設に関する情報や、近くにいる警備員の情報等の緊急時用に表示する画面を生成する。また、画面生成手段58は、問題発生信号を送信してきた対象施設12に対してその問題への対応策や遠隔操作の内容等を監視員に指示するための画面を生成する。なお、画面生成に必要な各種情報は、蓄積手段53に予め蓄積されている情報等から必要な情報を適宜読み出して使用することができる。また、生成した画面は、ディスプレイやスピーカ等を有する出力手段52により音声等と共に出力する。
【0070】
通知手段59は、モバイル端末24からの問題発生信号により問題発生の信号に対応させて監視サーバ11や警備会社におけるその対象施設12の担当警備員、監視員、代表責任者等に通知を行うアラート機能を有する。なお、通知手段59は、電子メール機能や音声、専用のアプリケーションによる画面表示等により通知することができる。
【0071】
送受信手段60は、通信ネットワーク14−1を介して監視サーバ11とのセキュアな通信を行う。また、送受信手段60は、モバイル端末24との間でもLANや無線通信によりセキュア通信を実現する。また、送受信手段60は、警備点検システム10を構成する他の端末に送信したり、他の端末から各種データを受信するための通信インタフェースとして用いることができる。
【0072】
制御手段61は、警備点検システム10における各機能構成全体の制御を行う。具体的には、制御手段61は、入力手段51により入力されたユーザからの入力情報に基づいて暗号化通信を行ったり、モバイル端末の管理を制御したり、警備点検状況を把握したり、画面生成したり、通信制御したり、送受信制御により他の端末との送受信を行う等の各種制御を行う。
【0073】
<モバイル端末(警備点検端末)24:機能構成例>
図4は、本実施形態におけるモバイル端末の機能構成例を示す図である。図4に示すモバイル端末24は、入力手段71と、出力手段72と、蓄積手段73と、暗号化通信手段74と、位置測位手段75と、画面表示手段77と、機密情報消去手段78と、通知手段79と、送受信手段80と、制御手段81とを有するよう構成されている。
【0074】
入力手段71は、警備員等のユーザからの暗号化通信指示や、位置測位指示、画面生成指示、機密情報消去指示、通知指示、送受信指示、等の各種指示を受け付ける。なお、入力手段71は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、マイク等の音声入力デバイス等からなる。
【0075】
出力手段72は、入力手段71により入力された指示内容や、各指示内容に基づいて生成された制御データや施設内端末22やモバイル端末24から送られる各種情報の内容を表示したり、その音声を出力する。なお、出力手段72は、ディスプレイ等の画面表示機能やスピーカ等の音声出力機能等を有する。
【0076】
蓄積手段73は、後述する警備用機器位置更新手段76で用いられる予め設定される警備用機器の種別情報や、監視サーバ11から得られる電子鍵等の鍵情報、施設内端末22から送られる問題発生時における対応方法、警備員情報、警備情報の把握情報、画面生成結果等が蓄積されており、必要に応じて読み出しや書き込みが行われる。なお、蓄積手段73は、上述した各種データを通信ネットワーク14−2等に接続された外部装置等から取得することもできる。
【0077】
暗号化通信手段74は、監視サーバ11とのセキュア通信を行うために送信するデータに暗号化を行って通信するものである。なお、暗号化通信手段74は、例えばVPN通信を用いることができる。また、暗号化通信手段74は、施設内端末22との間でもセキュア通信を行う。
【0078】
位置測位手段75は、GPS機能等により位置情報(例えば3次元位置情報(x,y,z)等)を取得する。また、位置測位手段75は、取得した3次元位置情報を施設内端末22に出力する。これにより、位置測位手段75により得られる3次元情報を図面データ21に対応させることで、警備員の位置やセンサの位置を明確に把握することができる。
【0079】
警備用機器位置更新手段76は、位置測位手段75により計測された位置情報に蓄積手段73に予め蓄積される警備用機器の種別情報の中から画像する機器種別を付加して送受信手段80により施設内端末22に送信し、施設内端末22に機密情報である図面データ21を更新させる。
【0080】
具体的には、警備用機器位置更新手段76は、例えば警備用機器の新規設置又は撤去等の作業時に用いられるものであり、新規設置や撤去が完了後、警備用機器の位置を図面データ21に反映させて更新させるために、まずユーザである警備員から警備用機器位置更新機能を使用する旨の指示を受け、その後、警備員により新規設置であるか又は撤去であるか何れかの種別の選択、及びその対象機器の種別情報の設定を受け付ける。
【0081】
その後、警備員がその対象となる警備用機器のある、又はあった位置の近辺(真下、直近)の位置にモバイル端末24を移動し、そこで、位置測位手段75により位置情報を取得する。次に、警備用機器位置更新手段76は、位置測位手段75により取得した位置情報を上述した機器種別と新規設置又は撤去等の作業情報と共に施設内端末22に出力する。
【0082】
これにより、施設内端末22において、警備用機器の位置を図面データ21に反映させて更新させることができ、新規設置であれば、同時に得られる位置情報に対応する図面データの所定の位置に該当する警備用機器のマークを表示させ、撤去であれば、同時に得られる位置情報に対応する警備用機器のマークを消去する。
【0083】
このように、モバイル端末24を用いることにより、センサ23等の警備用機器に位置測位機能等を設けることなく、安価な構成で警備点検における作業効率を向上させることができる。
【0084】
画面表示手段77は、施設内端末22から得られる図面データ21等の警備に必要なデータをそのモバイル端末24が備えるディスプレイの大きさや解像度等、出力手段72の仕様に合わせてフォーマット変換して画面に表示する。また、画面表示手段77は、表示された画面に対して点検したエリア又はセンサ23の色を変えたり、「〇」や「×」等の表示を行ったり、入力手段71等によりカーソルをあるセンサ23の位置に移動させ、そのセンサ23に関する情報を取得することもできる。
【0085】
更に、画面表示手段77は、対象施設12により不審者侵入等の問題が発生したことを示す信号を受信した場合には、その施設に関する情報や、近くにいる警備員の情報等の緊急時用に表示する画面を生成して表示する。なお、画面表示手段77は、画面の生成や表示に必要な各種情報は、蓄積手段73に予め蓄積されている情報等から必要な情報を適宜読み出して使用することができる。なお、生成した画面は、スピーカ等を有する出力手段72により音声等と共に出力することもできる。なお、画面表示手段77は、タッチパネル等を用いることもできる。
【0086】
機密情報消去手段78は、所定の条件に基づいて強制的に図面データ等の機密情報を蓄積手段73等から消去する。なお、所定の条件としては、例えば対象施設12内から所定の距離以上離れた場合、施設内端末22とモバイル端末24とで所定時間以上通信ができなくなった場合、電子鍵Kの有効期限を越えた場合、一定時間内に警備員が所定の操作を行わない場合、所定の操作以外の操作が行われた場合、及び警備員との距離が所定の距離以上離れた場合等がある。機密情報消去手段78は、上述の条件のうち少なくとも1つが該当する場合に機密情報を消去する。これにより、より機密情報の漏洩等を高精度に保持することができる。
【0087】
具体例としては、例えば、モバイル端末24が一端対象施設12内に入ってきた後、またその対象施設12から出る場合に、なぜ出たかの理由に関係なく、強制的に図面データ等の機密情報をモバイル端末24から完全に消去する。
【0088】
通知手段79は、警備点検時に警備用機器の故障や警備点検機器からの警報、賊の発見等の問題が発生した際に、その問題に対応する問題発生信号を生成し、施設内端末22に送信する。また、通知手段79は、その問題発生信号に対応させて監視サーバ11や警備会社におけるその対象施設12の担当警備員、監視員、代表責任者等に通知を行うアラート機能を有する。なお、通知手段79は、電子メール機能や音声、専用のアプリケーションによる画面表示等により通知することができる。
【0089】
送受信手段80は、通信ネットワーク14−2を介して監視サーバ11とのセキュアな通信を行う。また、送受信手段80は、施設内端末22との間でもLANや無線通信によりセキュア通信を実現する。また、送受信手段80は、警備点検システム10を構成する他の端末に送信したり、他の端末から各種データを受信するための通信インタフェースとして用いることができる。
【0090】
制御手段81は、警備点検システム10における各機能構成全体の制御を行う。具体的には、制御手段81は、入力手段51により入力されたユーザからの入力情報に基づいて暗号化通信を行ったり、位置測位を行ったり、画面生成したり、機密情報を消去したり、通信制御したり、送受信制御により他の端末との送受信を行う等の各種制御を行う。
【0091】
<ハードウェア構成例>
ここで、上述した警備点検システム10における監視サーバ11、施設内端末22、及びモバイル端末24は、上述した機能を有する専用の装置構成により制御を行うこともできるが、各機能をコンピュータに実行させることができる実行プログラム(警備点検プログラム)を生成し、例えば、汎用のパーソナルコンピュータ、サーバ等にその実行プログラムをインストールすることにより、本発明における警備点検処理を実現することができる。
【0092】
本実施形態における警備点検処理が実現可能なコンピュータのハードウェア構成例について図を用いて説明する。図5は、本実施形態における警備点検が実現可能なハードウェア構成の一例を示す図である。
【0093】
図5におけるコンピュータ本体には、入力装置91と、出力装置92と、ドライブ装置93と、補助記憶装置94と、メモリ装置95と、各種制御を行うCPU(Central Processing Unit)96と、ネットワーク接続装置97とを有するよう構成されており、これらはシステムバスBで相互に接続されている。
【0094】
入力装置91は、使用者等が操作するキーボード及びマウス等のポインティングデバイスを有しており、使用者等からのプログラムの実行等、各種操作信号を入力する。
【0095】
出力装置92は、本発明における処理を行うためのコンピュータ本体を操作するのに必要な各種ウィンドウやデータ等を表示するモニタを有し、CPU96が有する制御プログラムによりプログラムの実行経過や結果等を表示することができる。
【0096】
なお、入力装置91と出力装置92とは、例えばタッチパネル等のように一体型の入出力手段であってもよく、この場合には使用者等の指やペン型の入力装置等を用いて所定の位置をタッチして入力を行うことができる。
【0097】
ここで、本発明においてコンピュータ本体にインストールされる実行プログラムは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやCD−ROM等の可搬型の記録媒体98等により提供される。プログラムを記録した記録媒体98は、ドライブ装置93にセット可能であり、記録媒体98に含まれる実行プログラムが、記録媒体98からドライブ装置93を介して補助記憶装置94にインストールされる。
【0098】
補助記憶装置94は、ハードディスク等のストレージ手段であり、本発明における実行プログラムや、コンピュータに設けられた制御プログラム等を蓄積し必要に応じて入出力を行うことができる。
【0099】
メモリ装置95は、CPU96により補助記憶装置94から読み出された実行プログラム等を格納する。なお、メモリ装置95は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなる。
【0100】
CPU96は、OS(Operating System)等の制御プログラム、及びメモリ装置95により読み出され格納されている実行プログラムに基づいて、各種演算や各ハードウェア構成部とのデータの入出力等、コンピュータ全体の処理を制御して、警備点検等における各処理を実現することができる。プログラムの実行中に必要な各種情報等は、補助記憶装置94から取得することができ、また実行結果等を格納することもできる。
【0101】
ネットワーク接続装置97は、通信ネットワーク14−1,14−2等と接続することにより、実行プログラムを通信ネットワーク14−1,14−2に接続されている他の端末等から取得したり、プログラムを実行することで得られた実行結果又は本発明における実行プログラム自体を他の端末等に提供することができる。上述したようなハードウェア構成により、本発明における警備点検処理を実行することができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における警備点検処理を容易に実現することができる。次に、警備点検処理の具体的な内容について説明する。
【0102】
<本実施形態における警備点検の具体例>
次に、本実施形態における警備点検の具体例について図を用いて説明する。なお、以下に示す説明では、上述した図1に示す警備点検システム10を用いる。
【0103】
警備点検を行う警備会社の警備員(作業員)は、点検時にモバイル端末24を携帯する。モバイル端末24は、図面データを視覚可能にする機能と、無線暗号通信機能と、位置測位機能とを少なくとも有している。
【0104】
<施設内端末設置時のプロセス(初期導入時、機種変更時等)>
警備会社の警備員は、施設内端末設置後に、施設内端末と監視サーバとの間でセキュアな通信の確立を行う。セキュアな通信が確立されたときに、監視サーバは施設内端末に対して、図面データ21のコピーを送信する。コピーを受信した施設内端末22は、これをメモリ等の蓄積手段に保存する。なお、メモリは、不揮発性であると共に、タンパー機能(端末等の不正な開封を検知したときに、メモリ内の情報を消去する機能等)を有していてもよい。
【0105】
ここで、センサ23−1〜23−n等のように警備用機器と施設内端末22は、有線通信又は無線通信により、双方向通信ができる。なお、警備用機器と施設内端末22との間では、セキュアな通信が行われる。
【0106】
<警備用機器新規設置時のプロセス>
警備会社の警備員は、警備用機器を新規に設置した後、施設内端末22との通信を始動する操作を行う。
【0107】
センサ23等の警備用機器は、施設内端末22とセキュアな通信を確立する。その後、警備用機器は、自分の位置を測位するとともに、その情報を施設内端末22に送信する。施設内端末22は、警備用機器から位置情報を受け取ると、それをメモリ内に格納すると共に、監視サーバ11に位置情報のコピーを送信する。
【0108】
<点検時のプロセス>
監視サーバ11は、上述したように電子鍵Kを生成した後、VPN等のセキュアな通信回線である通信ネットワーク14−1,14−2を介して、電子鍵Kをモバイル端末24と施設内端末22に送信する。ここで、図6は、電子鍵の配信の様子を説明するための図である。図6に示すように、監視サーバ11は電子鍵Kを生成し、施設内端末22(施設内端末22)とモバイル端末24に配信する。なお、電子鍵Kは、共通鍵、公開鍵/秘密鍵等の暗号化通信において用いられる一般的な鍵フォーマットを用いることができる。
【0109】
また、図6に示すように、監視サーバ11により生成された電子鍵Kは、セキュアな通信回線を使って、電子鍵Kをモバイル端末24と施設内端末22に送信する。なお、施設内端末22に電子鍵Kを送信する理由は、点検が行われることを施設内端末22に知らせておくためである。
【0110】
次に、警備会社の警備員は、自分が所有するモバイル端末24を持ち出して監視サーバ11から指示があった契約先の対象施設13へと向かう。ここで、図7は、モバイル端末の持ち出しの様子を説明するための一例を示す図である。図7に示すモバイル端末24が持ち出される際には、電子鍵Kのみの情報しか蓄積されておらず、ここで、モバイル端末24が盗難されたとしても、契約先に関する機密情報については一切わからない。
【0111】
また、例えば、図7に示す支社13から対象施設12までの区間Aの間でモバイル端末24が警備員の身体から離れた場合、紛失や盗難・強奪の可能性があったと考えられる。したがって、その場合に本実施形態では、例えば区間Aにおいてモバイル端末24が警備員の身体から離れた時点で、電子鍵Kを消去するか又はその電子鍵を無効にすることができる。なお、モバイル端末24がそれを所持する警備員から離れたことを認識するには、例えば警備員の衣服や、時計、カード等の身軽に身に着けられるものと、モバイル端末24との間で電子タグ等のように非接触型の通信機器を備え、それらの通信ができない程距離が離れた場合には、両者が離れたものと認識することができる。
【0112】
次に、警備員が対象施設12の建物内に入った後、モバイル端末24を操作して、施設内端末22との無線暗号通信を試みる。ここで、図8は、電子鍵の検証の様子を示す一例の図である。本実施形態における電子鍵Kの検証では、具体的には、「(1)モバイル端末24→施設内端末22:接続要求の送信」、「(2)施設内端末22→モバイル端末24:チャレンジMの送信」、「(3)モバイル端末24→施設内端末22:鍵付ハッシュ値H(M,K)の送信」、「(4)施設内端末22:鍵付ハッシュ値H(M,K)の検証」を行う。施設内端末22は、上記手順による暗号通信において、鍵付ハッシュ値が正しいと判断した場合には、電子鍵Kが正しいものと判断し、電子鍵Kを用いてモバイル端末24と暗号通信を行う。
【0113】
また、施設内端末22は、暗号通信により図面データ21をモバイル端末24に送信する。ここで、図9は、図面データの配信の様子を説明する一例を示す図である。図9に示すように、暗号化通信により図面データ21が施設内端末22からモバイル端末24に送信され、これを受信したモバイル端末24は、当該図面データの視覚化を行う。
【0114】
警備会社の警備員は、モバイル端末24を携帯しながら、センサ23−1〜23−n等の警備用機器の動作試験等の点検を行う。また、モバイル端末24により警備点検が終わった警備用機器や新規設置や撤去した警備用機器がある場合には、その変更を行った内容を示す変更内容情報を暗号化通信により施設内端末22に送信する。施設内端末22は、図面データ21に変更部分を反映させて、その変更された図面データ21をモバイル端末24に暗号化通信で送信すると共に監視サーバ11にも通信ネットワーク14−1を介して送信する。これにより、施設内端末22と監視サーバ11との間で同期処理を行うことができ、更にモバイル端末24にも最新の形状点検状況が反映された図面データ21を表示させることができ、作業員の作業の効率化を向上させることができる。
【0115】
<警備用機器撤去時のプロセス>
次に、警備会社の警備員は、警備用機器であるセンサ23−1〜23−nの1部又は全部を指示により撤去する。施設内端末22は、警備用機器とのセキュアな通信が確立されなくなる。このため、施設内端末22は、警備用機器が撤去されたものと判断する。施設内端末22は、撤去された警備用機器に対応する位置情報を、メモリから消去すると共に、監視サーバ11にその位置情報又は図面データを送信する。
【0116】
<図面データの紛失防止について>
ここで、本実施形態において使用される機密情報としての図面データ21の紛失を防止するために消去等の処理を行い、図面データ21の紛失を防止する手法について図を用いて説明する。図10は、図面データの紛失防止方法を説明するための一例を示す図である。
【0117】
ここで、本実施形態では、本発明における機密情報として図面データ21を扱っており、その図面データ21は、施設内端末22と監視サーバ11が保管している。モバイル端末24には、位置情報をリアルタイムに測位できる機能を有している。
【0118】
そして、モバイル端末24の現在位置が、対象施設の建物から離れたときには、モバイル端末24内に格納されている図面データ21を自動的に消去する。具体的には、モバイル端末24に図面データ21が保持された状態で、モバイル端末24の位置測位手段75で測位された位置情報により、モバイル端末24が対象施設12内等の所定エリアから持ち出されたこと検知した場合、又はモバイル端末24と設置内端末22とが所定時間以上通信できなくなった場合にモバイル端末24に記録された図面データ21を消去する。ま、また、消去処理は、施設内端末22からの消去指示によりモバイル端末24内の図面データ21を削除する。また、削除以外の他の手法としては、例えば無意味な記号や図面を図面データ21に複数回上書きすることで、図面の詳細やセンサ等の警備用機器の正確な位置が分からないようにすることができる。
【0119】
これにより、点検帰りにモバイル端末24を奪われたり、紛失したりしたとしても、図面データ21が漏洩することを防止することができる。更に、鍵に有効期限を設けておくことにより、所定期間以外の時間で電子データを見るのを禁止することができる。
【0120】
また、上述したように、警備点検の対象施設12に向かう警備員がモバイル端末24を奪われたり、紛失したりしたとしても、図面データ21が漏洩することはない。なお、この他にも一定時間内に警備員が所定の操作を行わない場合や、所定の操作以外の操作が行われた場合には、警備員以外の人が操作しているものと判断し、図面データの紛失防止処理を行うようにしてもよい。
【0121】
なお、上述した処理においては、施設内端末22とモバイル端末24との間、施設内端末22と監視サーバ11との間、警備用機器である各センサ23−1〜23−nと施設内端末22との間は、セキュアな回線で接続されているため、警備用機器の位置情報が、外部に漏洩することはない。
【0122】
また、上述した実施形態では、契約先には、警備員以外の人は入れないことが前提条件となっており、賊(強盗等)に脅されて対象施設12に入る場合には、例えば、パニックカード等により、賊に気付かれないように犯罪を外部に通報することができる。
【0123】
また、本実施形態では、モバイル端末24を所持した第三者(拾得、盗難、強奪等による)が、契約先に入ることがないように、警備員の身体からモバイル端末が離れた場合、電子鍵Kを無効にすることができる。
【0124】
<図面データ例>
ここで、本実施形態における図面データの例について図を用いて説明する。図11は、本実施形態における図面データの一例を示す図である。図11に示す図では、一例として、1階から3階までの施設の見取り図が示されている(図11(a)〜(c))。
【0125】
なお、図11に表示される画面は、図11(a)〜(c)に示すように複数の階を1画面上に並べて配置してもよく、各階毎又は各階における所定の距離領域毎、1又は複数の部屋毎、1部屋のある位置部分毎に表示してもよい。
【0126】
図11(a)〜(c)の各フロア階には、複数種類の異なる警備用機器又は警備をする上で必要となる機器センサがその設置位置に種類が視認できる状態で表示されている。例えば、図11には、セキュリティランプ(非常灯等)101、ICカードリーダ102、開閉センサ103、空間センサ(赤外線センサ)104、火災センサ105等が所定の位置に設置されている。モバイル端末24は、警備点検の対象施設内に入る際に、施設内端末22と暗号化通信を行って鍵照合処理を行い、照合の結果、問題がない場合には、図11に示す対象施設12の図面データを施設内端末22から取得する。
【0127】
これにより、このデータを用いて点検処理を容易に行うことができる。なお、図11に提示されるセンサ等については、本発明においては図11に限定されるものではない。ここで、図12は、図面データに含まれる機密情報の一例を示す図である。本実施形態では、例えば、図12(a)に示すように、回路系統とそれに対応する信号との対応表を設定して予め蓄積しておくことで、障害や問題が発生した場合に、その記号のみを転送すれば、モバイル端末24、施設内端末22、及び監視サーバ11の間ではその内容を把握することができ、他の者にその記号のみを盗聴された場合であっても何を意味しているのかは図12(a)に示す対応表を持たなければわかることができない。したがって、情報のセキュリティ化を向上させることができる。また、その記号と位置情報とを関連付けておくことで、どの場所でどのような機器の障害かを容易に把握することができる。
【0128】
なお、図12(a)の回路系統(信号)とは、例えば「警備エリアや警報の種別」と表現することができる。つまり、警備対象の建物を複数の警備エリアに分割し、分割した警備エリア毎に信号を設定する。例えば、1階の社長室に侵入者を検知すると、施設内端末22は信号「A4」を監視サーバ11に送信し、1階の金庫が持ち出されたことを検知すると、信号「A1」を監視サーバ11に送信する。これにより、監視サーバ11の監視員は警備対象の建物に侵入者が発生し、侵入者が金庫に何らかの行為を行っていることを遠隔地にいながら知ることができる。また、回路系統には、警報の種別として火災、停電等の情報を送信することができる。なお、上述の処理は、例えば警備点検時等に作業者が所持するモバイル端末24と施設内端末22との間でその信号の送受信を行うことができる。
【0129】
また、図12(b)に示すように、上述した図面データ21に表示される警備用機器の「記号(マーク)」や「品名」等を対応付けて蓄積しておくことで、その記号の内容を容易に理解することができる。更に、図12(c)に示すように、図面データ21上に示す「記号」に対応させて「機器名称」、「一般名称」、「その機能・役割」等を取得することにより、その具体的な意味が容易に理解することができる。なお、図12(b),(c)に示す各項目が上述する機器種別に相当する。これにより、ユーザは、どのような警備用機器が図面データ21のどの位置に設置されているかを容易に把握することができ、使用性を向上させることができる。
【0130】
なお、図12(c)においては、具体的には、例えば金庫感知器は、金属を感知するセンサである。また、金庫感知器は、金庫からセンサが取り外されたり、振動を検知した際、施設内端末22に警報を出力する等の機能・役割を有する。また、同様に空間センサ(赤外線センサ)は、赤外線により人体を検知するセンサである。なお、センサの種類により、感知範囲(距離)が異なる。また、開閉センサ(マグネットセンサ)は、扉や窓等の開閉状態を検知するセンサである。開閉センサは、扉や窓に磁石を取り付け、磁界の有無により開閉を検知する等の機能・役割を有する。また、火災センサは、火災を検知するセンサである。また、火災センサは、定温式(所定の温度以上になると警報)、差動式(短期間に所定以上の温度差を検知すると警報)、煙感知式等のセンサ等がある。これにより、警備員は、不慣れな場合でも容易にその場所に設置されている警備用機器を理解することができる。
【0131】
また、図13は、機器管理テーブルの一例を示す図である。図13に示すセンサ等の機器管理テーブルは、監視サーバ11や施設内端末22、モバイル端末24に蓄積され、その項目としては、例えば「機器管理No.」、「機器名称」、「エリア(信号種別)」、「機器識別情報」、「ID」、「位置情報(3次元座標系<緯度,経度,高度>)」、「点検完了フラグ」、「点検日時」等が存在する。なお、機器管理テーブルは、図面と合わせたデータ形式であってもよいし、上記のように図面とは別のデータであってもよい。
【0132】
なお、「機器識別情報」とは、例えばIPアドレスのようなものを用いることができが、特にこれに限定されるものではなく、機器毎に識別できるものであればよい。また、「ID」とは、例えばS/N(Serial Number)や、Macアドレスのようなものを用いることができる。また、「座標」とは、本実施形態においては、経度・緯度・高度からなる3次元座標系としたが本発明においてはこれに限定されるものではなく、他の3次元座標として、予め設定された空間座標系を基準とした値を設定してもよい。なお、「点検完了フラグ」は、点検を完了した機器や、完了していない機器等を識別するためのものであり、具体的には点検終了後には「1」、点検未終了の場合には「0」、故障等の障害発生時には「2」等がセットされる。また、点検日時は、点検によりモバイル端末24から送られる点検信号が施設内端末22に送信され、施設内端末22が受信した時間が記録される。これにより、いつ点検処理が行われたかを確認することができ、更に全体で費やした時間を管理して効率的な運用を行うことができる。
【0133】
なお、本実施形態では、上述した図面データ等をモバイル端末24等で表示するだけでなく、実際の操作により編集や表示内容の変更等を行うことができる。ここで、図14は、操作により表示される表示内容の一例を示す図である。例えば、図14に示すように、画面上に表示されるカーソル106を警備用機器に合わせることにより、上述した図13に示す各種機器管理データ等を表示させることができる。これにより、表示されている各種機器の様々な情報を容易に取得することができる。
【0134】
なお、上述した図11〜図14に示す図面データ等が、施設内端末22の画面生成手段58等で生成され、モバイル端末24の画面表示手段77により表示される。
【0135】
<警備用機器の位置情報取得方法>
次に、モバイル端末24を用いて警備用機器の位置情報取得手順について図を用いて説明する。図15は、警備用機器の位置取得方法の一例を説明するための図である。なお、図15の例では、センサには、通信可能なRFID(Radio Frequency IDentification)が内蔵されているものとする。図15に示すように、警備員は、モバイル端末24を用いてセンサ23のRFIDとの通信により予め設定されている機器識別情報としてのIDを読み取り、センサ23の位置を決定する。
【0136】
なお、センサ23の真下で行うことにより、センサ23の緯度、経度を正確に把握することができる。更にセンサ23にモバイル端末24を近付けることができない場合には、予めそのモバイル端末24を使用する警備員は予め決まっているため、その警備員の身長情報を予め登録しておき、その身長とセンサが設置されている天井の高さ情報とを用いて、モバイル端末24で得られた高度の値に所定数を加算する等して調整することで、より正確な位置情報を取得することができる。これにより、センサ23の3次元位置情報をセンサ23に位置測位手段等の特別高価な構成を設けることなく安価に位置情報を取得することができる。更に、この3次元位置情報を用いることで、対象施設12が図11(a)〜(c)に示すように複数階に及ぶ場合にも、警備用機器の位置を容易に把握することができる。
【0137】
なお、図15に示すように、センサ23のRFIDと位置情報を施設内端末22に送信することで、図面データ21等に反映させることで、高精度な図面データを生成することができる。
【0138】
<警備用機器(センサ等)点検時の動作(図面データへの機器情報反映)>
次に、本実施形態における警備用機器の点検時の動作について図を用いて説明する。図16は、本実施形態における警備用機器の点検時の動作について説明するための一例を示す図である。なお、図16(a)〜(c)は、センサの設置から疎通確認、センサの動作試験、及び試験結果送信までの一連の様子を示している。
【0139】
警備用機器(センサ等)の点検時の動作(図面データへの機器情報反映等)については、まず、センサ設置を行い、その後、図16(a)に示すようにセンサ23と施設内端末22間との疎通確認を行う。なお、疎通確認とは、例えばセンサ23の情報(種別やアドレス等)を施設内端末22に登録する作業である。
【0140】
次に、センサ23の動作試験を行う場合には、例えば図16(b)に示すようにセンサ23が物体検出センサであれば、警備員がそのセンサに検知されるような動作を行い、実際に検知したか否かをチェックする。ここで、センサ23が検知されている場合(テスト結果「OK」)には、その内容(OK信号)が施設内端末22に通知され、通知された内容に伴う対応が警備員のモバイル端末24に通知されるため、動作確認を容易に行うことができる。
【0141】
なお、センサ23の動作試験が終了後、試験結果を送信する。具体的には、施設内端末22は、試験結果(OK信号)を無線等の手段によりモバイル端末24に送信する。
【0142】
なお、本実施形態では、図16(c)に示すように、センサ23の位置情報を施設内端末22に取得させることができる。具体的には、例えばモバイル端末24をセンサ23の真下若しくは直近に置き、位置情報(3次元座標)を取得する。その取得した位置情報を施設内端末22に送信することでセンサ23の位置情報の登録を行うことができる。施設内端末は、モバイル端末24により得られた位置情報をセンサ23のIDやアドレスと結び付けて管理し、同時に図面データ21に反映する。なお、上述の処理は、例えばセンサ23を新規設置した場合等にセンサ23自体に位置計測及び送信機能を有する必要がなく安価な構成とすることができ、警備員も容易にセンサの位置情報を施設内端末22や通信ネットワーク14−1で接続された監視サーバ11に送信することができるため、作業効率を向上させることができる。
【0143】
<動作シーケンス>
次に、上述した本実施形態における警備点検システムについての一例の動作シーケンスについて、シーケンス図を用いて説明する。図17は、本実施形態における警備点検システムについての一例を示すシーケンス図である。なお、図17に示すシーケンス図では、監視サーバ11と、施設内端末22と、モバイル端末24とを用いて、警備点検システムの一連のシーケンスについて説明する。
【0144】
図17に示す例では、まず監視サーバ11において、対象施設と警備員(作業員)を指定し(S01)、対応する鍵を生成する(S02)。次に、その鍵情報を施設内端末22に送信する(S03)。これにより、施設内端末22は、この施設に警備員がくることを事前に認識することができる。なお、S03の処理にて警備員が来ることを示す情報を付加して送ってもよい。
【0145】
なお、監視サーバ11が所持するその施設の図面データ等は、事前に施設内端末22に送信されているが、もし送信されていない場合は、警備や巡回に必要な図面データ21を施設内端末22に出力する(S04)。更に、監視サーバ11は、S02の処理にて生成した鍵情報をその施設への警備を行う担当警備員のモバイル端末24に送信する(S05)。なお、S05の処理において、鍵情報の他に何時にどの施設に向かうべきかの行き先情報も付与することができる。
【0146】
次に、モバイル端末24が施設内端末22と通信できるようになると(S06)、鍵の照合を行い(S07)、照合の結果がOKの場合は、図面データ21をモバイル端末24に送信する(S08)。なお、S07の処理において、照合の結果がNGであった場合には、それ以降の処理は行わず、エラー情報は、施設内端末22から監視サーバ11やモバイル端末24に送信される。
【0147】
モバイル端末24は、施設内端末22から図面データ21を取得すると、その図面データ21を画面に表示する(S09)。次に、モバイル端末24を所持しながら、警備員が巡回し、それぞれのセンサの点検を行う(S10)。なお、S10の処理では、上述したように警備用機器の新規設置又は撤去等の作業時におけるその警備用機器の位置情報の取得も行う。また、S10の処理の後、得られた点検の結果や位置情報等は、施設内端末22に送信され(S11)、施設内端末22にて更新された図面データ21が生成されて(S12)、またモバイル端末24に返信される(S13)。このようにして、モバイル端末24は各センサの全てが終了するまで巡回を行う。なお、モバイル端末24には、施設内端末22から送られる最新の図面データ21が反映される。
【0148】
なお、モバイル端末24が最新の情報を画面に表示し(S14)、点検を行っている際(S15)、あるセンサにおいて、動作しない等の問題が発生した場合には、その問題発生信号を生成して施設内端末22に送信する(S16)。施設内端末22は、問題発生を検知し(S17)、その旨を迅速に監視サーバ11に送信する(S18)。
【0149】
監視サーバ11は、近くにいる担当警備員や他の応援警備員への連絡を行い(S19)、施設内端末22に対しては、問題に対応する適切な対応を遠隔操作等による指示信号を生成して施設内端末22に送信する(S20)。更に、施設内端末22は、同様の指示信号を必要に応じてモバイル端末24にも送信する(S21)。
【0150】
上述の処理により、現時点でどこまでの点検が終了していて、どこでどのような問題が発生しているかをリアルタイムに取得することができ、迅速な対応を行うことができる。
【0151】
次に、点検が終了になると(S22)、点検が終了したことを示す終了信号を施設内端末22に送信する(S23)。このとき、施設内端末22は、点検漏れ等があるか否かをチェックし(S24)、点検漏れがあれば、点検漏れのセンサの位置情報等を送信する(S25)。上述のS22〜S25の処理を行うことで、漏れのない警備用機器の点検が可能となる。次に、ビル等の対象施設12を退出すると(S26)、データ消去信号が施設内端末22から送られて(S27)、モバイル端末24は図面データ21の削除を行う(S28)。なお、S27の処理がなくても、例えばモバイル端末24が対象施設12から出た場合や施設内端末22との通信が所定時間以内にできなかった場合には、その図面データ21を削除する。
【0152】
上述したように、本発明によれば、警備点検における作業効率を向上させることができる。具体的には、センサの3次元位置情報を、モバイル端末の位置測位手段を利用して取得することで、センサに位置測位手段等の特別高価な構成を設けることなく安価に位置情報を取得することができる。更に、この3次元位置情報を用いることで、対象施設が複数階に及ぶ場合にも警備用機器の位置を容易に把握することができる。
【0153】
また本発明によれば、警備用機器の点検漏れを防止することができる。具体的には、機密情報を自動的に消去するか、無意味な記号を複数回書き込むことにより、点検帰りにモバイル端末を奪われたり、紛失したりしたとしても、図面データが漏洩することを防止することができる。また、点検に向かう社員はモバイル端末を携帯しているが、当該端末を奪われたり、紛失したりしたとしても、図面データが漏洩することはない。更に、施設内端末とモバイル端末との間、施設内端末と監視サーバとの間、警備用機器と施設内端末との間は、セキュアな回線で接続されているため、警備用機器の位置情報が、外部に漏洩することはない。
【0154】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0155】
10 警備点検システム
11 監視サーバ
12 契約先施設
13 支社
14 通信ネットワーク
21 図面データ
22 施設内端末
23 センサ(警備用機器)
24 モバイル端末(警備点検装置)
31,51,71 入力手段
32,52,72 出力手段
33,53,73 蓄積手段
34,54,74 暗号化通信手段
35 鍵生成手段
36 施設内端末管理手段
37 モバイル端末管理手段
38,56 警備点検状況把握手段
39,58 画面生成手段
40,59,79 通知手段
41,60,80 送受信手段
42,61,81 制御手段
54 暗号化通信手段
55 モバイル端末監視手段
57 機密情報更新手段
75 位置測位手段
76 警備用機器位置更新手段
77 画面表示手段
78 機密情報消去手段
91 入力装置
92 出力装置
93 ドライブ装置
94 補助記憶装置
95 メモリ装置
96 CPU
97 ネットワーク接続装置
98 記録媒体
101 セキュリティランプ(非常灯等)
102 ICカードリーダ
103 開閉センサ
104 空間センサ(赤外線センサ)
105 火災センサ
106 カーソル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視サーバと、警備点検の対象施設内に設置された施設内端末と、前記施設内を巡回して警備用機器を点検する際に作業員が所持する警備点検装置とを備える警備点検システムにおいて、
前記監視サーバは、前記施設内端末と前記警備点検装置との間で暗号化通信を行わせるための鍵情報を生成する鍵生成手段と、前記施設内端末における警備点検状況を管理する施設内端末管理情報と、予め設定される対象施設で警備点検を行う作業員を決定し、決定した作業員が所持する警備点検装置に対して前記鍵情報を送信する警備点検装置管理手段とを有し、
前記施設内端末は、前記警備点検装置と前記鍵情報による照合を行い暗号化による機密情報の通信を行う暗号化通信手段と、前記施設内の警備対象となる警備員が所持する警備点検装置の位置情報及び作業内容を監視する警備点検装置監視手段と、前記警備点検装置から得られる前記警備用機器に関する位置情報を用いて前記機密情報を更新する機密情報更新手段とを有し、
前記警備点検装置は、前記施設内端末と前記鍵情報による照合を行い暗号化による前記機密情報の通信を行う暗号化通信手段と、現在の位置を測位する位置測位手段と、前記施設内端末に対して前記警備用機器に関する位置情報を前記位置測位手段により得られる位置情報として、前記機密情報を更新させる警備用機器位置更新手段とを有することを特徴とする警備点検システム。
【請求項2】
監視サーバから指示された警備点検の対象施設内に設置された施設内端末と通信ネットワークを介して接続され、前記施設内を巡回して警備用機器を点検するためにユーザが操作する警備点検装置において、
前記施設内端末と前記監視サーバから送られる鍵情報による照合を行い、暗号化による機密情報の通信を行う暗号化通信手段と、
現在の位置を測位する位置測位手段と、
前記施設内端末に対して前記警備用機器に関する位置情報を、前記位置測位手段により得られる位置情報として、前記機密情報を更新させる警備用機器位置更新手段と、
前記警備用機器位置更新手段により前記施設内端末によって更新された機密情報を画面に表示する画面表示手段とを有することを特徴とする警備点検装置。
【請求項3】
前記警備用機器位置更新手段は、
前記位置測位手段により位置情報を取得する際、位置情報を更新する対象となる警備用機器の近辺で前記位置情報を取得し、取得した位置情報と共に前記警備用機器の識別情報を前記施設内端末に送信することを特徴とする請求項2に記載の警備点検装置。
【請求項4】
前記施設内端末により得られる機密情報を、所定の条件に基づいて消去する機密情報消去手段とを有することを特徴とする請求項2又は3に記載の警備点検装置。
【請求項5】
監視サーバから指示された警備点検の対象施設内に設置された施設内端末と通信ネットワークを介して接続され、前記施設内を巡回して警備用機器を点検するためにユーザが操作する警備点検装置における警備点検方法において、
前記施設内端末と前記監視サーバから送られる鍵情報による照合を行い、暗号化による機密情報の通信を行う暗号化通信手順と、
現在の位置を位置測位手段により測位する位置測位手順と、
前記施設内端末に対して前記警備用機器に関する位置情報を、前記位置測位手順により得られる位置情報として、前記機密情報を更新させる警備用機器位置更新手順と、
前記警備用機器位置更新手順により前記施設内端末によって更新された機密情報を画面に表示する画面表示手順とを有することを特徴とする警備点検方法。
【請求項6】
前記警備用機器位置更新手順は、
前記位置測位手段により位置情報を取得する際、位置情報を更新する対象となる警備用機器の近辺で前記位置情報を取得し、取得した位置情報と共に前記警備用機器の識別情報を前記施設内端末に送信することを特徴とする請求項5に記載の警備点検方法。
【請求項7】
前記施設内端末により得られる機密情報を、所定の条件に基づいて消去する機密情報消去手順とを有することを特徴とする請求項5又は6に記載の警備点検方法。
【請求項8】
監視サーバから指示された警備点検の対象施設内に設置された施設内端末と通信ネットワークを介して接続され、前記施設内を巡回して警備用機器を点検するためにユーザが操作する警備点検装置における警備点検プログラムにおいて、
前記施設内端末と前記監視サーバから送られる鍵情報による照合を行い、暗号化による機密情報の通信を行う暗号化通信手段、
現在の位置を測位する位置測位手段、
前記施設内端末に対して前記警備用機器に関する位置情報を、前記位置測位手段により得られる位置情報として、前記機密情報を更新させる警備用機器位置更新手段、及び、
前記警備用機器位置更新手段により前記施設内端末によって更新された機密情報を画面に表示する画面表示手段として機能させるための警備点検プログラム。
【請求項9】
前記警備用機器位置更新手段は、
前記位置測位手段により位置情報を取得する際、位置情報を更新する対象となる警備用機器の近辺で前記位置情報を取得し、取得した位置情報と共に前記警備用機器の識別情報を前記施設内端末に送信することを特徴とする請求項8に記載の警備点検プログラム。
【請求項10】
前記施設内端末により得られる機密情報を、所定の条件に基づいて消去する機密情報消去手段とを有することを特徴とする請求項8又は9に記載の警備点検プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−231659(P2010−231659A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80495(P2009−80495)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】