説明

警備端末

【課題】
緊急性の高い場合のみ即応機関に通報され、それ以外の場合には利用者の判断に委ね、効率の良い警備を実現することができる警備端末を提供することにある。
【解決手段】
火災やガス漏れ等の非常的な事象が非常検知手段で検知された場合に、常に警備会社等の即応機関に非常的な事象が通報される24時間通報手段と、即応機関に通報するか他の通報先に通報するかを予め選択可能で、警備対象施設内への侵入等の防犯的な事象が防犯検知手段で検知された場合に、予め選択された通報先に防犯的な事象が通報されるセルフ指定通報手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警備対象施設の警備状況をインターネット等の電気通信回線を介して通報する警備端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般の家庭や店舗、工場等の警備対象施設側に、異常を検知するセンサ等を設け、異常の情報を警備端末を介して警備会社のセンタ装置や各種端末装置に通報する警備システムが用いられている。例えば、特許文献1では、利用者の自宅に設置されたセルフセキュリティシステムが、異常を検知するとネットワークを介して異常情報をセルフセキュリティサーバに送信し、セルフセキュリティサーバは、この異常情報を利用者の携帯端末に通知する。そして、利用者は、状況を判断して警備会社のサービスが必要と判断すると、対処要請をセルフセキュリティサーバに行うようにするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−129960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の警備端末では、警備状態になっている状態で、警備対象施設の異常を検知すると、一律に警備会社に通報するような形態がとられていた。このような形態の場合、検知するセンサ等の誤動作などの場合も一律に警備会社に通報され、警備員がその都度出動することになり、警備費用の増大に繋がっていた。そこで、特許文献1に示されるシステムでは、異常を検知するとまず利用者に通知し、利用者が警備会社等に連絡するようにしているが、緊急性の高い異常に関しては、警備会社等への通報が遅れるといった問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、緊急性の高い場合のみ即応機関に通報され、それ以外の場合には利用者の判断に委ね、効率の良い警備を実現することができる警備端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の警備端末は、火災やガス漏れ等の非常的な事象が非常検知手段で検知された場合に、常に警備会社等の即応機関に非常的な事象が通報される24時間通報手段と、即応機関に通報するか他の通報先に通報するかを予め選択可能で、警備対象施設内への侵入等の防犯的な事象が防犯検知手段で検知された場合に、予め選択された通報先に防犯的な事象が通報されるセルフ指定通報手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の警備端末は、非常的な事象を選択する非常事象選択手段を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の警備端末は、防犯的な事象を選択する防犯事象選択手段を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の警備端末は、電気通信回線を介して即応機関との間で所定間隔で通信を行う定期通信手段を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の警備端末は、セルフ指定通報手段が、通報先として警備対象施設内の警報表示手段を選択できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、火災やガス漏れ等の非常的な事象が非常検知手段で検知された場合に、常に警備会社等の即応機関に非常的な事象が通報され、緊急性の低い防犯的な事象が防犯検知手段で検知された場合に、予め選択された通報先に防犯的な事象が通報されることで、緊急性の高い場合のみ即応機関に通報され、それ以外の場合には利用者の判断に委ね、効率の良い警備を実現することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、非常的な事象を選択する非常事象選択手段を備えることから、各警備対象施設の状況に応じて、即応機関に通報が必要な緊急性の高い異常を的確に選択することが可能である。
【0013】
請求項3の発明によれば、防犯的な事象を選択する防犯事象選択手段を備えることから、即応機関に即時に通報されるべきではない事象を任意に設定可能で、効率の良い警備を実現することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、電気通信回線を介して即応機関との間で所定間隔で通信を行う定期通信手段を備えることから、警備端末や通信回線の異常を適宜把握することが可能である。
【0015】
請求項5の発明によれば、セルフ指定通報手段が通報先として警備対象施設内の警報表示手段を選択できることから、警備対象施設に利用者が居る場合に効率の良い警備を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る警備端末の一例を示す構成図である。
【図2】同警備端末の外観を示す説明図である。
【図3】同警備端末の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。本発明の形態における警備端末は、警備対象施設の警備状況をインターネット等の電気通信回線を介して通報するものである。図1は、本発明に係る警備端末の一例を示す構成図である。図2は、同警備端末の外観を示す説明図である。図3は、同警備端末の動作を示すタイミングチャートである。
【0018】
図において、警備システム1は、一般の家庭や店舗、工場等の警備対象施設3に設けられた警備端末10、インターネット網や電話の公衆回線等の電気通信回線である通信回線8、監視側であるセンタ6等から構成されている。
【0019】
警備端末10は、警備対象施設3での異常を検知する各種の検知手段を備え、検知した異常を警備会社、警察や消防等の即応機関や、利用者の携帯電話等の携帯端末30に通信回線8を介して通報する機能を備えている。尚、本実施の形態では、即応機関として、警備会社のセンタ6を示し、他の通報先として利用者の携帯端末30のみを示しているが、これらに限定されるものではない。
【0020】
警備端末10に設けられる検知手段としては、炎や煙により火災を検知する火災検知器13、ガス漏れを検知するガス漏れ検知器14、緊急時に押下する緊急スイッチ15、人や動物の敷地内への侵入を検知する熱線センサ16、ドアの開閉の有無を検知する等の各種センサ17、画像で監視するカメラ18等がある。
【0021】
また、警備端末10には、セルフ/オンライン切換スイッチ12を備えている。このセルフ/オンライン切換スイッチ12は、後述する防犯的な事象が検知された場合には、即応機関であるセンタ6に通報するか、予め利用者が選択した携帯端末30に通報するかを切り換えるものである。
【0022】
次に、本実施の形態の警備システム1における警備端末10の操作及び動作を説明する。まず、警備端末10は、火災やガス漏れ等の非常的な事象が非常検知手段で検知された場合に、常に警備会社等の即応機関(本実施の形態ではセンタ6)に、非常的な事象が通報される24時間通報手段を備えており、この非常検知手段に該当する検知手段を選択する(非常事象選択手段)。非常検知手段としては、例えば、火災検知器13、ガス漏れ検知器14、緊急スイッチ15等である。
【0023】
また、警備端末10は、即応機関に通報するか他の通報先に通報するかを予め選択可能で、警備対象施設3への侵入等の防犯的な事象が防犯検知手段で検知された場合に、予め選択された通報先に防犯的な事象が通報されるセルフ指定通報手段を備えており、この防犯検知手段に該当する検知手段を選択する(防犯事象選択手段)。防犯検知手段としては、例えば、熱線センサ16、各種センサ17、カメラ18等である。尚、セルフ指定通報手段により通報される通報先を予め設定するようにする。この通報先としては、利用者の携帯電話等の携帯端末30の他、警備端末10に設けた警報表示手段(ランプや鳴動手段等)や、警備端末10とは別に警備対象施設3に設けた警備表示手段(ランプや鳴動手段等)であってもよい。
【0024】
尚、非常検知手段に該当する検知手段及び防犯検知手段に該当する検知手段のいずれも、任意に選択することが可能で、その選択・指定は、警備端末10で行ってもセンタ装置20からの指令で警備端末10に対して行うようにしてもよい。
【0025】
そして、警備端末10で警備中は、警備対象施設3に利用者が居るか居ないかにかかわらず、定常的に24時間通報手段が動作して、火災やガス漏れ等の非常的な事象の監視が行われ、非常的な事象が検知された場合にはセンタ6に通報される。非常的な事象が通報された場合には、センタ6の担当者がセンタ装置20に接続されたセンタ端末21で非常的な事象の内容等を確認し、警備員を出動させたり消防や警察に通報するような対処を行う。
【0026】
また、利用者が警備対象施設3に居らず外出しているような場合でも、利用者がセルフ/オンライン切換スイッチ12で、通報先をセンタ6以外の携帯端末30を設定している場合には、警備対象施設3への侵入等の防犯的な事象が検知された場合には、センタ6に通報されることなく、携帯端末30に通知される。また、利用者が警備対象施設3に居るような場合で、通報先に警報表示手段を選択している場合には、防犯的な事象が検知された場合には、警報表示手段が防犯的な事象の発生を表示する。さらに、セルフ/オンライン切換スイッチ12で、通報先がセンタ6に設定されており、防犯的な事象が検知された場合にはセンタ6に通報され、センタ6の担当者がセンタ装置20に接続されたセンタ端末21で防犯的な事象の内容等を確認し、警備員を出動させたりするような対処を行う。
【0027】
尚、警備端末10は、通信回線8を介して所定の時間間隔でセンタ装置20との間で通信を行う定期通信手段を備え、通信回線8の断線や警備端末10やセンタ装置20の不具合を相互に監視している。
【0028】
以上のように、本実施の形態の警備端末10によれば、火災やガス漏れ等の非常的な事象が非常検知手段で検知された場合に、常に警備会社のセンタ6等の即応機関に非常的な事象が通報され、緊急性の低い防犯的な事象が防犯検知手段で検知された場合に、予め選択された通報先に防犯的な事象が通報されることで、緊急性の高い場合のみ即応機関に通報され、それ以外の場合には利用者の判断に委ね、効率の良い警備を実現することができる。
【0029】
また、非常的な事象を選択する非常事象選択手段を備えることから、各警備対象施設3の状況に応じて、即応機関に通報が必要な緊急性の高い異常を的確に選択することが可能である。
【0030】
さらに、防犯的な事象を選択する防犯事象選択手段を備えることから、即応機関に即時に通報されるべきではない事象を任意に設定可能で、効率の良い警備を実現することができる。
【0031】
さらに、通信回線8を介して即応機関との間で所定間隔で通信を行う定期通信手段を備えることから、警備端末10や通信回線8の異常を適宜把握することが可能である。
【0032】
さらに、セルフ指定通報手段が通報先として警備対象施設3の警報表示手段を選択できることから、警備対象施設3に利用者が居る場合に効率の良い警備を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、本発明によれば、緊急性の高い場合のみ即応機関に通報され、それ以外の場合には利用者の判断に委ね、効率の良い警備を実現することができる警備端末を提供することができる。
【符号の説明】
【0034】
1・・・・警備システム
3・・・・警備対象施設
6・・・・センタ
8・・・・通信回線
10・・・警備端末
12・・・セルフ/オンライン切換スイッチ
13・・・火災検知器
14・・・ガス漏れ検知機
15・・・緊急スイッチ
16・・・熱線センサ
17・・・各種センサ
18・・・カメラ
20・・・センタ装置
21・・・センタ端末
30・・・携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
警備対象施設の警備状況をインターネット等の電気通信回線を介して通報する警備端末において、
火災やガス漏れ等の非常的な事象が非常検知手段で検知された場合に、常に警備会社等の即応機関に該非常的な事象が通報される24時間通報手段と、
該即応機関に通報するか他の通報先に通報するかを予め選択可能で、該警備対象施設内への侵入等の防犯的な事象が防犯検知手段で検知された場合に、予め選択された通報先に該防犯的な事象が通報されるセルフ指定通報手段とを備えることを特徴とする警備端末。
【請求項2】
前記非常的な事象を選択する非常事象選択手段を備えることを特徴とする請求項1記載の警備端末。
【請求項3】
前記防犯的な事象を選択する防犯事象選択手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の警備端末。
【請求項4】
前記電気通信回線を介して前記即応機関との間で所定間隔で通信を行う定期通信手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の警備端末。
【請求項5】
前記セルフ指定通報手段が、通報先として前記警備対象施設内の警報表示手段を選択できることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の警備端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−176457(P2010−176457A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19248(P2009−19248)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000101400)アツミ電氣株式会社 (69)
【Fターム(参考)】