説明

警備装置

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、警備装置に係り、特に、ガス漏れ、火災等の発生や侵入者等を感知して警報を発する警報手段を備えた移動式の警備装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、バッテリ単一電源で使用する移動式防犯防災システムは、ガス感知などの各種感知機能と、移動用モータを駆動するなどの複合的な機能を行うため、短時間に多くの電力が消耗される。
【0003】このような移動システムの電源としてバッテリを用いる場合、バッテリの特性上、限られた容量のため長時間の連続動作が不可能であり、移動システムを正常動作、つまりすべての機能を動作させる場合、バッテリの電圧が急に消耗されるため、最終的には移動システムの動作が停止され、本来の機能を行うことが出来なくなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】移動システムの動作を長時間行うためには、大容量のバッテリを用いれば可能であるが、このようにすると、移動システムの全体の大きさ及び重量が大きくなるという問題点があった。
【0005】本発明は、上記の問題点に鑑みてなせれたものであり、その目的は、移動式の警備装置において、電源部の出力電圧が低下した際に駆動手段に対する電力の供給を遮断することにより、警備装置としての作動時間を長くすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明の移動式の警備装置は、異常を感知して警報を発する警報手段と、前記警備装置を移動させる駆動手段と、前記警報手段及び前記駆動手段に電力を供給する電源部と、前記電源部の出力電圧の低下を検知する検知手段と、前記検知手段が前記電源部の出力電圧の低下を検知した場合に、前記駆動手段に対する前記電源部からの電力の供給を遮断する遮断手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
【作用】上記の構成により、本発明の移動式の警備装置は、電源部の出力電圧が低下した場合に、警備装置の補助的な機能であるところの警備装置の移動に供する駆動手段に対する電力の供給を遮断することにより、電力の消費を抑え、警備装置として欠くことのできない機能である警報手段の作動時間を長くすることができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面を参照して詳しく説明する。
【0009】図1において、1はバッテリ電源であり、2はバッテリ1の電圧レベルとモータ駆動用最大基準電圧とを比較し、その出力をマイクロコンピュータ10に入力する第1電圧比較部であり、3は上記バッテリ1の電圧レベルとガス感知部4を駆動する最低基準電圧とを比較し、その出力をマイクロコンピュータ10に入力する第2電圧比較部である。4はガス漏れの有無を感知するガス感知部であって、ガス漏れの発生時に作動してガス漏れ信号をマイクロコンピュータ10に入力して警報音を発するようにする。また、5は侵入者感知部であって、侵入者を感知した場合、侵入者感知信号をマイクロコンピュータ10に入力して警報音を発するよう制御するようにする。更に、6は火災感知部であって、火災が生じた場合、火災感知信号を上記侵入者感知部5及びガス感知部4と同様にマイクロコンピュータ10に入力し、警報音を発するようにする。
【0010】また、7はモータを駆動するモータ駆動部であり、8は上記各感知部中、少なくとも1つの感知部が異常状態を感知した場合、マイクロコンピュータ10の制御により警報音を発する警報手段としてのブザーである。
【0011】次に、本実施例のバッテリ単一電源移動システムの機能制御について、図2を参照して詳述する。
【0012】第1電圧比較部2では、バッテリ1の電圧レベルV1 とモータを駆動できる最低基準電圧Vref1を比較する。バッテリ1の電源電圧VBBより十分小さいブレークダウン特性をもつツェナダイオードZD1を用い、抵抗RZ1を介して、第1電圧比較器C1の非反転ターミナル(+)にバッテリ1の+側を接続する。このようにして、非反転ターミナル(+)にモータを駆動できる最低基準電圧Vref1としてバッテリ1の電圧より小さい電圧を設定する。更に、抵抗RA1,RB1及び可変抵抗RV1を用いてバッテリ1の電圧レベルV1 が第1電圧比較器C1の反転ターミナル(−)に入力されるようにする。
【0013】このような状態において、バッテリ1の電圧レベルV1 より第1電圧比較器C1の最低基準電圧Vref1が高い場合には、第1電圧比較器C1の出力がHとなり、抵抗R1 ,R2 によりトランジスタTr1のベースにバイアス電圧が印加されるため、トランジスタTr1がオンされ、第1の発光ダイオードLED1 が発光することにより、モータ駆動部7の駆動不可能状態を表示する。つまり、V1 ≦Vref1の場合には第1電圧比較器C1からHレベルの信号が出力され、マイクロコンピュータ10のターミナルI1 に印加される。これにより、マイクロコンピュータ10のターミナルO1 ,O2 にはLレベル信号が出力され、モータMが正向き又は逆向きにも全く駆動されない為、移動システムの前進及び後退が不能となる。
【0014】一方、V1 ≧Vref1の場合には、第1電圧比較器C1からLレベル信号が出力され、これがマイクロコンピュータ10のターミナルI1 に印加されるため、マイクロコンピュータ10のターミナルO1 又はターミナルO2 中、いずれか1つのターミナルからHレベル信号を出力し、モータMを駆動させることにより、移動システムを前進又は後退を実行する。
【0015】例えば、マイクロコンピュータ10のターミナルO2 からHレベル信号が出力され、ターミナルO1 からLレベル信号が出力されると、抵抗R7 を介し、トランジスタTr3のベースにバイアス電圧が印加され、トランジスタTr3がオンされ、これによりトランジスタTr7がオンされて、モータMのVターミナルには負(−)電圧が印加される。同時に、抵抗R6 を介してトランジスタTr4がオンされ、モータMのUターミナルには+電圧が、即ちターミナルVBBよりバッテリ1の電圧レベルが印加され、モータMを正回転駆動させることにより、移動システムが前進するようになる。
【0016】この際、マイクロコンピュータ10のターミナルO1 では、Lレベルの信号が出力され、トランジスタTr2,Tr5,Tr6がオフされるため、モータMは逆回転されない。
【0017】これと反対に、マイクロコンピュータ10のターミナルO1 からHレベル信号が出力され、ターミナルO2 からLレベル信号が出力されると、抵抗R5 を介してトランジスタTr2がオンされ、これによりトランジスタTr5がオンされ、モータMのUターミナルには−電位が印加される。又、抵抗R8 によりトランジスタTr6のベースにバイアス電圧が印加され、トランジスタTr6がオンされ、バッテリ1の電圧レベルがターミナルVBBよりモータMのVターミナルに印加されるため、モータMが逆回転駆動され、移動システムが後退する。
【0018】第2電圧比較部3では、バッテリ1の電圧レベルV2 とガス感知部4を駆動できる最低基準電圧Vref2を比較する。上記第1電圧比較部2と同様にバッテリ1の電源電圧より十分小さいブレークダウン特性を持つツェナダイオードZD2及び抵抗RZ2を用いてガス感知部4を駆動できる最低基準電圧Vref2を生成し、第2比較器C2の非反転ターミナル(+)に入力する。又、抵抗RA2,RB2及び可変抵抗RV2を用いて生成されるバッテリ1の電圧レベルV2 を第2電圧比較器C2の反転ターミナル(−)に入力する。
【0019】このような状態において、バッテリ1の電圧レベルV2 より第2電圧比較器C2の最低基準電圧Vref2が高い場合には、つまりV2 ≦Vref2の場合には、第2電圧比較器C2からHレベルの信号が出力され、マイクロコンピュータ10のターミナルI2 に印加される。マイクロコンピュータ10はこれを受けてターミナルO3 のLレベル信号を出力し、ガス感知部4が作動しないようにする。
【0020】一方、V2 ≧Vref2の場合には、第2電圧比較器C2からLレベル信号が出力され、マイクロコンピュータ10ターミナルI2 に印加されるため、マイクロコンピュータ10、ターミナルO3 からHレベルの信号が出力され、ガス感知部4を動作状態に保持する。
【0021】つまり、マイクロコンピュータ10のターミナルO3 からHレベル信号が出力されると、抵抗R10を介しトランジスタTr8,Tr9がオンされ、ガスセンサGにVCC電位が印加されるため、動作状態となる。この際、正常状態、つまりガスの漏れていない状態においては、第3電圧比較器C3の非反転ターミナル(+)に印加されるガス検出電圧V3 として、抵抗R12及び可変抵抗RV3を介してアース電位が印加される。また第3電圧比較器C3の反転ターミナル(−)には、VCC電圧を抵抗R13と抵抗RB3で分割して得られるガス検出基準電圧Vref3が印加されるため、第3電圧比較器C3がLレベル信号を出力し、トランジスタTr10 がオフ状態にあるようになる。従って、第2発光ダイオードLED2 が発光されない。
【0022】一方、ガス漏れが発生した場合には、ガス感知部4のガスセンサGが導通状態となり、第3電圧比較器C3のガス検出電圧V3 がガス検出基準電圧Vref3より高くなり、第3電圧比較器C3の出力がHレベル信号を出力するため、トランジスタTr10 がオンされ、第2発光ダイオードLED2 が発光する。更に、この第2発光ダイオードLED2 よりの出力信号がマイクロコンピュータ10のターミナルI3 に入力されるため、マイクロコンピュータ10は、ターミナルO6 からHレベルの信号を出力し、抵抗R16を介し、トランジスタTr11 のベースにバイアス電圧を印加することにより、トランジスタTr11 はオン状態となる。したがって、ブザー8にはVCC電圧が抵抗R15を介して印加されるため、警報音を発するようになる。
【0023】次に、侵入者感知部5及び火災感知部6について述べる。
【0024】まず、マイクロコンピュータ10のターミナルO4 では侵入者感知部5を作動状態に保持するために、Hレベルの信号を出力する。この際、侵入者が存在する場合には、侵入者感知部5の出力信号がマイクロコンピュータ10のターミナルI4 に入力され、マイクロコンピュータ10がターミナルO6 からHレベル信号を出力するため、トランジスタTr11 をオンさせ、ガス感知部4のガス感知時と同様に、ブザー8が警報音を発する。
【0025】また、上記と同様、マイクロコンピュータ10のターミナルO5 では火災感知部6を作動状態に保持するためにHレベルの信号を出力する。火災が生じ、火災を感知した場合には、火災感知部6の出力信号がマイクロコンピュータ10のターミナルI5 に入力され、マイクロコンピュータ10の出力ターミナルO6 からHレベルの信号が出力されることにより、ブザー8が警報音を発するようになる。
【0026】又、図2において、9は電圧レギュレータであり、バッテリ1の出力電圧VBBを入力し、これよりも低い電圧値VCCを出力する。
【0027】次に、本実施例による単一電源移動システムにおける機能制御装置の動作手順を図3のフローチャートを参照して説明する。
【0028】まず、マイクロコンピュータ10に電源が印加されると、マイクロコンピュータ10はステップS1で初期値を設定したのちステップS2に進んで、ガス感知部4,侵入者感知部5,火災感知部6及びモータ駆動部7を駆動し、移動システムの各機能を実行する。
【0029】次に、ステップS3で第1電圧比較部2の出力電圧(VO1)が1(つまり、Hレベル)かどうかを判定して、Yesの場合はステップS4に、Noの場合はステップS5に進む。ステップS4においては、バッテリ1の電圧レベルはモータMを駆動させることのできない低い電圧であるため、モータMの駆動を停止させる。ステップS5に進んで、第2電圧比較部3の出力電圧(VO2)が1(つまり、Hレベル)かどうかを判定して、Yesの場合にはステップS6に、Noの場合はステップS7へ進む。ステップS6においては、バッテリ1の電圧レベルがガス感知部4を作動させることのできない低レベルであるため、ガス感知部4の作動を停止させる。
【0030】次に、ステップS7で移動システムの火災感知部6及び侵入者感知部5だけを作動させることにより、バッテリ電圧の消耗を最小化して、長時間にかけて火災及び侵入者感知だけを行うようにし、移動システムの作動が終了される。
【0031】尚、上記図3のフローチャートにおける、ステップS3〜ステップS7までの処理は、所定の時間間隔で繰り返し実行されるか、もしくはステップS7からステップS3へ処理を戻し、処理ループを形成してもよい。
【0032】
【発明の効果】本発明に拠れば、移動式の警備装置において、電源部の出力電圧が低下した際に駆動手段に対する電力の供給を遮断することにより電力の消費を抑え、警備装置としての作動時間を長くすることができる。
【0033】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例による移動システムの全体の制御構成を表すブロック図である。
【図2】図1の詳細回路例を表す図である。
【図3】本実施例による機能制御装置の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 バッテリ
2 第1電圧比較部
3 第2電圧比較部
4 ガス感知部
5 侵入者感知部
6 火災感知部
7 モータ駆動部
8 ブザー
9 電圧レギュレータ
10 マイクロコンピュータ
G ガスセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 移動式の警備装置であって、異常を感知して警報を発する警報手段と、前記警備装置を移動させる駆動手段と、前記警報手段及び前記駆動手段に電力を供給する電源部と、前記電源部の出力電圧の低下を検知する検知手段と、前記検知手段が前記電源部の出力電圧の低下を検知した場合に、前記駆動手段に対する前記電源部からの電力の供給を遮断する遮断手段と、を備えることを特徴とする警備装置。
【請求項2】 前記警報手段は、ガス漏れを感知して警報を発するガス漏れ警報手段と、侵入者を感知して警報を発する侵入者警報手段と、火災の発生を感知して警報を発する火災感知手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の警備装置。
【請求項3】 前記検知手段が前記電源部の出力電圧の低下を検知した場合に、前記ガス漏れ警報手段に対する前記電源部からの電力の供給を遮断する第2の遮断手段をさらに備え、前記遮断手段は、前記電源部の出力電圧が第1の電圧まで低下した時に、前記駆動手段に対する前記電源部からの電力の供給を遮断し、前記第2の遮断手段は、前記電源部の出力電圧が第2の電圧まで低下した時に、前記ガス漏れ警報手段に対する前記電源部からの電力の供給を遮断することを特徴とする請求項2に記載の警備装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【特許番号】第2608374号
【登録日】平成9年(1997)2月13日
【発行日】平成9年(1997)5月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−11668
【出願日】平成5年(1993)1月27日
【公開番号】特開平6−86471
【公開日】平成6年(1994)3月25日
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【参考文献】
【文献】特開 昭47−30060(JP,A)
【文献】特開 昭61−267476(JP,A)
【文献】特表 昭63−502228(JP,A)