説明

警告装置

【課題】警告表示に対する運転者の関心が薄れることがない警告装置を提供する。
【解決手段】本発明は、車両に搭載され車両速度が制限速度を超えていることを運転者に対し警告する警告装置であって、前記車両の車両速度を検出する車速センサ210と、前記車両が走行する道路の制限速度に係る情報を取得するナビゲーションシステム部800と、前記車両の車両速度が制限速度を超えてからも運転者に対し警告を猶予する警告猶予時間を設定する警告猶予時間設定部と、車速センサ210で検出された車両速度が、ナビゲーションシステム部800で取得された制限速度を超えたとき、車両速度が継続して制限速度を超えている時間を計時する計時部と、前記計時部で計時する計時時間が、前記告猶予時間設定部でされた猶予時間を超えたとき、運転者に警告を行うインターフェイス部600と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、車両速度が制限速度を超えていることを運転者に対し警告する警告装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GPSに基づくカーナビゲーションシステムの普及により、車両が走行する道路情報を取得することが容易となり、走行する道路の制限速度に関する情報などを取得することが可能となってきた。これに伴い、現在の車両速度が制限速度を超えているかを判定し、判定によって車両速度が制限速度を超えている場合には、運転者にその旨警告を行う警告装置などが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2007−199026号公報)には、車両の車速を取得する車速取得手段と、走行中の走行道路の制限速度を取得する制限速度取得手段と、前記車速を示すための車速目盛と車速表示数字とを含む文字盤と指針とを画像として書き換え表示可能であり、前記制限速度に対応する前記車速目盛を所定の位置にして前記文字盤を表示し、前記指針をアナログ的に回動表示して前記車速を示す表示手段と、を備えることを特徴とする車両用速度表示装置が開示されている。
【特許文献1】特開2007−199026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような車両用速度表示装置による警告では、制限速度が常に同じような単調なディスプレイ法によって表示されていることで、表示に対する運転者の関心が薄れてしまい、警告の意味を成さなくなるおそれがある、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、車両に搭載され車両速度が制限速度を超えていることを運転者に対し警告する警告装置であって、前記車両の車両速度を検出する車両速度検出部と、前記車両が走行する道路の制限速度に係る情報を取得する制限速度情報取得部と、前記車両の車両速度が制限速度を超えてからも運転者に対し警告を猶予する警告猶予時間を設定する警告猶予時間設定部と、前記車両速度検出部で検出された車両速度が、前記制限速度情報取得部で取得された制限速度を継続して超えている時間を計時する計時部と、前記計時部で計時する計時時間が、前記警告猶予時間設定部でされた猶予時間を超えたとき、運転者に警告を行う警告部と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の警告装置において、前記車両の運転者の運転行動予測を行う運転行動予測部を有し、前記警告猶予時間が前記運転行動予測部によって予測された運転者の運転行動に基づいて警告猶予時刻を設定することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載の警告装置において、前記車両の周辺状況を取得する車両周辺状況取得部を有し、前記運転行動予測部は、前記車両周辺状況取得部によって取得された周辺状況に基づいて前記運転者の運転行動を予測することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る発明は、請求項2又は請求項3に記載の警告装置において、前記
運転行動予測部は、運転者の「通常」の運転行動、「車線変更」の運転行動、「合流」の運転行動および「停車車両回避」の運転行動を予測し、該運転行動に応じて前記警告猶予時間を設定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に係る発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の警告装置において、前記計時部は、車両速度が前記制限速度を越えたときに計時を開始し、車両速度が前記制限速度以下または計時時間が前記警告猶予時間を越えたときに計時を終了することを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に係る発明は、請求項1に記載の警告装置において、前記車両のアクセル開度を検出するアクセル開度検出部を有し、前記警告猶予時間が前記アクセル開度検出部で検出されたアクセル開度に基づいて警告猶予時間を設定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に係る発明は、請求項1に記載の警告装置において、前記車両の加速度を算出する加速度算出部を有し、前記警告猶予時間が前記加速度算出部で算出された加速度に基づいて警告猶予時間を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る警告装置によれば、速度超過した後のタイミングで、制限速度に関する警告表示を行うようにすることで、運転者が速度超過したか否かを意識しやすくするので、警告表示に対する運転者の関心が薄れてしまい、警告の意味を成さなくなることがない。
【0013】
また、本発明に係る警告装置によれば、警告表示を行うときには、必要に応じて警告猶予時間を設けることで、運転者が意図しない速度超過に対する警告を避け、運転者に必要以上の負荷を与えずに警告表示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る警告装置が搭載される車両の概略を示す図であり、図2は本発明の実施の形態に係る警告装置のブロック構成の概略を示す図である。なお、本実施形態の警告装置は、自動車、ハイブリッド車、電気自動車などの車両に搭載されることを想定しているが、その他の移動手段に搭載することも可能である。
【0015】
図1及び図2において、10は車両、32はステアリング、54はアクセルペダル、100はECU、200は走行情報取得部、210は車速センサ、400は車両周辺情報取得部、410はミリ波レーダー、420はカメラ、500は運転操作部、510はアクセル開度センサ、540はアクセル反力制御部、560はステアリング振動制御部、600はインターフェイス部、610はディスプレイ、630はスピーカ、800はナビゲーションシステム部、810はナビゲーションシステム、820はナビゲーションデータベースをそれぞれ示している。
【0016】
車両10は、本発明の警告装置が搭載されたものであり、通常のガソリンを燃料としエンジンを動力源として走行する車両を例にとり説明するが、上述したように本発明の警告装置が搭載される車両の種類はこれに限定されるものではない。
【0017】
ECU100はエレクトロニックコントロールユニットの略であり、CPUとCPU上で動作するプログラムを保持するROMとCPUのワークエリアであるRAMなどからなる汎用の情報処理機構である。また、周知のようにこのようなECU100は、ブロック図に示すような計時部を当然備えてなるものである。ECU100は、ブロック図中に示されているECU100と接続される各構成と協働・動作する。また、ECU100は、
本発明の警告装置における種々の制御処理は、ECU100内のROMなどの記憶手段に記憶保持されるプログラムやデータに基づいて実行されるものである。
【0018】
特許請求の範囲に記載された「警告猶予時間設定部」、「計時部」は、このECU100の動作を上位概念的に表現したものである。また、特許請求の範囲に記載されている判定に関する動作、ECU100の機能によるものである。なお、本実施形態においては、上記の各手段はECU100とECU100上で実行されるプログラムによって実現されるものとしているが、これらの各手段はこれに限定されるものではなく、論理回路などのハードウエアのみで実現されるようなものであってもよい。
【0019】
走行情報取得部200は、車両10の実走行に関連する情報などを取得する構成であり、少なくとも車速センサ210が設けられており、車両10の速度(自車両速度)のセンシングを行うようになっている。このような車速センサ210で取得された車速に基づいて、ECU100などでは車両の加速度を算出することが可能となる。なお、走行情報取得部200として、ジャイロなどのその他のセンサ類を設けるようにしてもよい。
【0020】
車両周辺情報取得部400は、車両10周辺の車外の情報などを取得する構成であり、本実施形態では、車両10の前方側及び後方側にミリ波レーダー410とカメラ420とを有している。ミリ波レーダー410は、車両10の前方を走行する車両や障害物との間の距離を計測するものである。ここで計測された前方車両、後方車両との車間距離は、ECU100に入力される。また、計測された車間距離と、車速センサ210で取得される自車両の速度情報とから、ECU100は、自車両の前方、後方を走行する車両の速度から自車両の速度を差し引いた相対速度の算出を行ったりする。
【0021】
また、カメラ420は前方を走行する車両や障害物や路面に係る画像を取得する。取得された画像データはECU100に送信され、ECU100で画像解析されることによって、例えば前方車両と間の距離情報を得たり、周辺の車両の走行状況を取得したり、或いは路面の状態を判断することによって路面の摩擦係数を得たりする。
【0022】
以上のような車両周辺情報取得部400で取得された情報と、後述するナビゲーションシステム部800で得られる情報とに基づいて、運転者の運転操作の予測を行うようにする。なお、特許請求の範囲に記載された「車両周辺状況取得部」は、車両周辺情報取得部400などの構成を上位概念で表現したものである。
【0023】
運転操作部500は、車両10の運転に関連する構成であり、本発明の警告装置においては、例えばアクセル開度センサ510、アクセル反力制御部540、ステアリング振動制御部560の各構成からなっている。
【0024】
アクセル開度センサ510はアクセルペダル54の踏み込み量(角度)を検出するものである。アクセル反力制御部540は、運転者によるアクセルペダル54の踏み込みに抗する力(図1の矢印A)をアクチュエータ(不図示)などにより発生させて、アクセルペダル54にこの力をアクセル反力として伝える制御部である。このようなアクセル反力制御部540は、過度な燃料消費を防止するためにECU100によって動作指示がなされる。このようなアクセル反力制御部540によって、運転者は反力をアクセルペダル54から感じて、自らの運転が制限速度から外れていることを報知される。
【0025】
また、このようなアクセル反力制御部540によって発生される反力は、運転者によるアクセルペダル54の踏み込みを押し戻し、車両10のさらなる急な加速を回避させる。
【0026】
ステアリング振動制御部560は、車両10の運転者が操作するステアリング32に搭
載されて、運転者の手のひらに振動を与える制御を行うものであって、このようなステアリング振動制御部560が動作することによって、運転者に制限速度から外れていることを報知可能となる。
【0027】
インターフェイス部600は、車両10の運転席部に設けられ、運転者に対し車両10に係る情報などを提供する構成である。インターフェイス部600におけるディスプレイ610は液晶などの表示装置であり、このディスプレイ610に文字・図形情報等を表示することによって、運転者に対して視覚的に所定の情報を報知することを可能とする。このようなディスプレイ610によって、車両10の運転者は本発明に係る警告装置から、車両10の速度が制限速度を超過していることなどの情報を視覚的に受けることができる。このような制限速度超過に係る警告表示の表示方法については種々の形態が考えられるが、ディスプレイ610において、運転者に対する警告表示の具体的な表示方法については後に詳しく説明する。特許請求の範囲に記載された「警告部」、「表示部」は、このようなディスプレイ610などの構成を上位概念で表現したものである。
【0028】
また、インターフェイス部600は、スピーカ630も含んでおり、必要に応じて運転者に対して、音声による案内や警告を行い得るようになっている。インターフェイス部600のディスプレイ610及びスピーカ630は双方共に、運転操作が制限速度を超過しているような場合の報知手段として機能し得るものである。
【0029】
ナビゲーションシステム部800は、ナビゲーションシステム810やこのナビゲーションシステム810が参照する地図情報、道路情報などのナビゲーションデータベース820とからなっている。ナビゲーションシステム810は、GPS衛星からのGPS信号を受信して自らの位置を計算するGPS測位部を用いることによって、車両の現在位置情報を取得することができる。また、ナビゲーションデータベース820には、地図情報や施設情報に加えて、道路情報を含んでいる。このような道路情報としては、道路の車線数や、合流の有無や、道路の制限速度に関する情報などを包含するものであり、ナビゲーションシステム810は、現在位置情報を取得し、このナビゲーションデータベース820を参照することで、車両が走行する道路の状況や制限速度などを把握することが可能となる。特許請求の範囲に記載されている「制限速度情報取得部」は、このようなナビゲーションシステム部800における動作を上位概念的に表現したものである。なお、本発明の警告装置においては、位置情報を取得することができれば、このようなGPS測位法によらずとも、その他の測位法を用いることができるものである。
【0030】
次に、以上のように構成される本実施形態に係る警告装置の処理・動作について説明する。図3は本発明の実施の形態に係る警告装置の処理・動作のフローチャートを示す図である。なお、このようなフローチャートによる処理・動作は、車両10のエンジン(不図示)がオンとなっている限り実行されるものである。
【0031】
図3において、ステップS100において、警告装置の処理が開始されると、続いてステップS101に進み、車速センサ210によって、車両10の車速が取得される。続いて、ステップS102においては、制限速度情報取得処理のサブルーチンが実行されることによって、車両10が走行する道路の制限速度情報が取得される。
【0032】
ここで、この制限速度情報取得処理のサブルーチンについて説明する。図4は本発明の実施の形態に係る警告装置の制限速度情報取得処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。図4において、ステップS200で、制限速度情報取得処理のサブルーチンが開始されると、続いてステップS201に進み、ナビゲーションシステム部800のナビゲーションシステム810が車両10の現在の位置情報を取得する。ステップS202では、当該現在位置情報に基づいて、ナビゲーションシステム810がナビゲーションデー
タベース820をから車両10が走行する道路の制限速度情報を取得し、ステップS203でメインルーチンにリターンする。
【0033】
再び図3のメインルーチンに戻って説明を続ける。ステップS103では、車速センサ210によって取得された車速と、制限速度情報取得処理で得られた制限速度とを比較し、それらの大小関係を判定する。具体的には、(車速)>(制限速度)であるか否かがステップS103で判定される。ステップS103における判定がNOである場合にはステップS101に戻り、YESである場合にはステップS104に進む。
【0034】
ステップS104では、警告猶予時間算定処理のサブルーチンが実行されることによって、本発明において特徴的な概念である「警告猶予時間」の算定が行われる。この警告猶予時間は、車両10の車両速度が制限速度を超えてからも運転者に対し警告を猶予する所定時間のことを示している。
【0035】
このような警告猶予時間の算定を求めるための処理について説明する。図5は本発明の実施の形態に係る警告装置の警告猶予時間算定処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。図5において、ステップS300で警告猶予時間算定処理が開始されると、続いて、ステップS301で運転行動予測処理のサブルーチンが実行される。この運転行動予測処理は運転者の将来の運転行動を周囲の状況や道路状況から予測する処理である。このような処理のサブルーチンのアルゴリズムについて説明する。図6は本発明の実施の形態に係る警告装置の運転行動予測処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。図6において、ステップS400で運転行動予測処理のサブルーチンが開始されると、ステップS401に進み、ナビゲーションシステム部800で、ルート設定などがされていれば、この情報を取得する。ナビゲーションシステムにおけるルート設定については従来周知の考え方を用いることができる。このステップでは、仮にルート設定がなされていれば、この情報を運転行動予測のための参考情報として取得するようにする。ステップS402では、ナビゲーションデータベース820の地図データベースから道路の構成に係る情報を取得するようにする。このような情報としては、車両10が走行している道路が何車線の道路であるのか、或いは、合流があるか、などの情報であり、これに基づいて運転者の運転行動の予測を行う。また、ステップS403では、車両周辺情報取得部400のミリ波レーダー410やカメラ420から車両10の周辺状況情報が取得される。このような情報は画像解析処理がなされて、周囲の車両走行状況、或いは前方に停車している車両の存否状況などが把握され、これも参照されて運転者の運転行動の予測が行われる。ステップS404では、収集された情報に基づいて、運転者の運転行動予測として、「通常」の運転行動、「車線変更」の運転行動、「合流」の運転行動、「停車車両回避」の運転行動の、いずれかから最も可能性の高い運転行動が選択される。ステップS405では、図5のフローチャートのルーチンにリターンする。
【0036】
再び、図5のフローチャートに戻って説明する。ステップS302では、運転行動予測処理で予測された運転行動が「通常」であるか否かが判定される。すなわち、「通常」の運転行動とは、「車線変更」の運転行動、「合流」の運転行動および「停車車両回避」の運転行動以外の運転行動を示しており、例えば、車線に沿って直進やカーブを走行している状態等がある。ステップS302における判定がYESであるときには、警告を猶予する必要がないので、ステップS304に進み、(警告猶予時間)=0にセットされる。
【0037】
一方、ステップS302における判定がNOであるときには、運転者が加速を行う必要がある「車線変更」、「合流」、「停車車両回避」などの運転行動であるので、速度超過の警告を猶予する猶予時間を設定する。すなわち、ステップS303に進み、警告猶予時間TOを図7に示すテーブルに基づき算定する。すなわち、運転行動予測が「車線変更」
であれば7秒、「合流」であれば8秒、「停車車両回避」であれば6秒が、警告猶予時間
Oとしてセットされる。ステップS305では、メインルーチンにリターンする。
【0038】
以上のとおり、本実施形態においては、上記のような警告猶予時間を設けることで、運転者が意図しない速度超過に対する警告を避け、運転者に必要以上の負荷を与えずに警告表示を行うことができるようになるのである。
【0039】
このような警告猶予時間を算定する方法については種々考えることができる。次に、警告猶予時間を算定する他の方法についても説明する。図8は本発明の他の実施形態に係る警告装置の警告猶予時間算定処理サブルーチンのフローチャートを示す図であり、図9は他の実施形態に係る警告装置の警告猶予時間算定処理サブルーチンで用いるチャートを示す図である。図8において、ステップS500で、警告猶予時間算定処理のサブルーチンが開始されると、続いてステップS501に進み、アクセル開度センサ510からアクセル開度に関する情報を取得する。そして、ステップS502では、図9に示すアクセル開度-警告猶予時間チャートから警告猶予時間TOを求めて、ステップS503でリターンする。このような他の実施形態では、車両10の制限速度を超過したとき、アクセル開度が大きい値であれば運転者は意図的に加速を図っているものと仮定し、警告猶予時間を短く設定し、アクセル開度が小さい値であれば運転者は、周囲状況に応じて加速を図っているものと仮定し、警告猶予時間を長く設定している。本実施形態による方法では、必ずしも警告猶予時間が実情に即して正確にセットされるものではないかもしれない。しかし、先の方法に比べると、警告猶予時間算定のためのアルゴリズムが簡略であるというメリットがある。
【0040】
さらに、警告猶予時間を算定する他の方法についても説明する。図10は本発明の他の実施形態に係る警告装置の警告猶予時間算定処理サブルーチンのフローチャートを示す図であり、図11は他の実施形態に係る警告装置の警告猶予時間算定処理サブルーチンで用いるチャートを示す図である。図10において、ステップS600で、警告猶予時間算定処理のサブルーチンが開始されると、続いてステップS601に進み、車両10の加速度が算出される。続いて、ステップS602では、算出された加速度を元に、図11に示す加速度-警告猶予時間チャートから警告猶予時間TOを求める。なお、図11に示すチャート中、αmaxは、車両10の最大加速度を示している。ステップS603で、元のルーチ
ンにリターンする。このような他の実施形態では、車両10の制限速度を超過したとき、加速度が大きい値であれば運転者は意図的に加速を図っているものと仮定し、警告猶予時間を短く設定し、加速度が小さい値であれば運転者は、周囲状況に応じて加速を図っているものと仮定し、警告猶予時間を長く設定している。本実施形態による方法でも、必ずしも警告猶予時間が実情に即して正確にセットされるものではないかもしれない。しかし、運手行動予測によって警告猶予時間を算定する方法に比べると、警告猶予時間算定のためのアルゴリズムが簡略であるというメリットがある。
【0041】
なお、以上においては警告猶予時間を運手行動予測、アクセル開度、加速度からそれぞれ独立的に算定する各方法について以上説明したが、運手行動予測、アクセル開度、加速度の各情報を総合的に勘案するアルゴリズムによって警告猶予時間を求めるようにすることもできる。
【0042】
再び、図3のメインルーチンに戻って説明を続ける。ステップS105では、(警告猶予時間TO)>0であるか否かが判定される。ステップS105の判定結果がNOであれ
ばステップS109に進み、直ちに警告表示処理のサブルーチンが実行されて、運転者に対して超過速度に関する警告が実施される。一方、ステップS105の判定結果がYESであれば、所定の警告猶予時間がセットされていることとなるので、猶予後に運転者の警告を行うべく、ステップS106に進む。
【0043】
ステップS106では、ECU100によって計時が開始される。この計時時間をTとして定義することとする。ステップS107では、(車速)<(制限速度)であるか否かが判定される。ステップS107の判定結果がYESであればステップS101に戻り、判定結果がNOであればステップS108に進む。
【0044】
ステップS108では、(計時時間T)>(警告猶予時間TO)であるか否かが判定さ
れる。ステップS108の判定結果がNOであるときには、ステップS107に戻りループし、判定結果がYESであるときには、警告猶予時間が経過してしまったこととなるので、運転者に対して警告表示を行うべくステップS109に進む。そして、ステップS109で、警告表示処理のサブルーチンが実行されて、運転者に対して速度超過に関する警告を行うようにする。警告表示処理のサブルーチンについて後に詳しく説明する。
【0045】
以上のような構成によれば、速度超過した後のタイミングで、制限速度に関する警告表示を行うようにすることで、運転者が速度超過したか否かを意識しやすくするので、警告表示に対する運転者の関心が薄れてしまい、警告の意味を成さなくなることがない。
【0046】
また、警告表示を行うときには、必要に応じて警告猶予時間を設けることで、運転者が意図しない速度超過に対する警告を避け、運転者に必要以上の負荷を与えずに警告表示を行うことができる。
【0047】
ステップS110では、ステアリング振動制御部560、アクセル反力制御部540のいずれか一方、又は双方の動作を実行する。このようなステアリング振動制御部560、アクセル反力制御部540を動作させ、これによって、運転者が制限速度を超過する運転操作を行っている場合、適切に報知を行うことが可能となる。
【0048】
次に、上述の警告表示処理のサブルーチンについて説明する。図12は本発明の実施の形態に係る警告装置のディスプレイ610における警告表示の画面例を示す図である。図12に示すように、本実施形態に係る警告装置の警告表示画面は、円環状の態様をしており、その中心部分に数値を表示する表示部が、ありその周囲を囲むように複数の円環状の表示部(「表示環」と称することとする)が設けられるようになっている。円環状表示部の中心は、車両10が走行している道路の制限速度を表示する表示ゾーンであり、当該表示ゾーンの周囲に、第1表示環、第2表示環、第3表示環、第4表示環、第5表示環が設けられている。これらの表示環は、第1表示環から順に点灯されるようになっている。また、表示環は複数の色で表示させて、それぞれの色に応じて運転者に所定の情報を報知するようにしている。なお、本実施形態においては、表示環の個数は5個の場合を基に説明しているが、設ける表示環の個数がこれに限定されるわけではない。
【0049】
図12に示す実施形態においては、第1〜第5の表示環の点灯数は、車両速度と制限速度との差分に相当する量に応じた数とする。また、第1〜第5の表示環の点灯色によって、速度超過のレベルを示すようにしている。
【0050】
以上のようなディスプレイ610における警告表示画面に基づく、警告表示処理について説明する。図13は本発明の実施の形態に係る警告装置の警告表示処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。図13において、ステップS700で、警告表示処理のサブルーチンが開始されると、ステップS701に進み、取得されている車両10走行中の道路の制限速度を、図12の中央部の制限速度表示ゾーンに表示する。
【0051】
そして、ステップS702では、N={(車両速度)−(制限速度)}/10を算出する。なお、この算出においては、小数点以下は切り捨てるようにする。これは、表示環の数が自然数であることによるものである。ステップS703では、車両10の加速度を算
出する。
【0052】
ステップS704では、該当制限速度の表示色判定マップを用いて、(速度,加速度)のポイントから表示色を特定する。ここで、表示色判定マップとしては、制限速度が30km/hの道路に対応するもの、制限速度が40km/hの道路に対応するもの、制限速度が50km/hの道路に対応するもの、・・・などを複数用意しておき、ECU100のところで説明したROMなどの記憶手段に保持しておくようにする。図14は制限速度50km/hの表示色判定マップの例を示す図である。図14の表示色判定マップは、横軸を速度、縦軸を加速度にした座標平面上に原点を0km/hにして、赤色表示、黄色表示と青色表示の領域の境界線をそれぞれ速度に対する加速度の三次関数で区切っている。図14の表示色判定マップは、ステップS103およびステップS104から警告猶予時間を超えて車速が制限速度を超えている場合以外には利用されることがない。そのため、警告猶予時間未満の場合には速度および加速度に依らず運転者に制限速度との関係を報知することがなく、運転者に煩わしさを感じさせることがない。そして、警告猶予時間を超えて車速が制限速度を超えている場合には、図14により速度と加速度に基づいて制限速度に対して車速が超えている状態で、車両加速度の加減速の度合いである、増速、減速および非加減速(増速および減速もしていない状態または加速および減速がそれぞれ所定値に入る範囲)状態を運転者に報知することができるので、運転者に車速を制限速度内に収めるように促すことができる。また、速度と加速度の表示色判定マップを用い、その加速度領域を速度に対する加速度の三次関数で区切っているのには理由がある。例えば、速度超過をした後に制限速度から乖離するほどその色合いを青色、黄色、赤色と段階的に表示した場合にはそもそも制限速度を超えている車速に対して、青色、黄色、赤色には安全、注意、危険との一般概念の類推が働くと考えられるので、警告の意味を為さなくなる可能性がある。しかしながら、本実施例のように、速度が制限速度を超えた領域において、その加速度が減速になる領域を青色(第一の警告色)、その加速度が非加減速になる領域を黄色(第二の警告色)、その加速度が加速になる領域を赤色(第三の警告色)に設計するとともに、その加速度領域を速度が増加するほど加速度のピークが減少するように設計すること、すなわち、速度に対する加速度の三次関数で領域を区切ることで運転者の感覚および実際の車両特性にも合致した警告を行うことができるようになる。なお、本実施例では加速度領域を三次関数で領域を分けているが、三次関数である必要はなく、加速度の減速側、加速度の定常側と加速度の加速側の領域を高車速になるほど加速が鈍り、かつ、低車速になるほど加速が鋭くなるように速度と加速度を領域分けすることが出来ていれば車両の特性に合致させることが出来る。また、図14の表示色判定マップは、ステップS103と関連を持たせているが、表示色判定マップだけで、制限速度より速度が大きい場合にのみ運転者に警告を出す方法もある。この場合、制限速度で加速度軸と平行に制限速度線を引き、その制限速度線よりも車速が低い場合には、表示色判定マップに色分け領域を設定しない。そして、その制限速度線よりも車速が高い場合には、図14の表示色判定マップの領域を適用すればよい。このようにすることで、図14と同様に運転者の感覚および実際の車両特性にも合致した警告を行うことができるようになる。図14において、例えば、車両10が制限速度50km/hの道路を走行しているものとすると、ステップS704では、図14において(速度,加速度)のポイントが赤色表示、黄色表示、青色表示のどの領域に存在するかを特定することによって、表示環で表示する色を特定する。例えば、(速度,加速度)のポイントがP1に存在するときには特定色は黄色とし、速度,加
速度)のポイントがP2に存在するときには特定色は赤色とする。
【0053】
ステップS705では、先のステップで特定された特定表示色で、第1表示環〜N表示環を点灯する。なお、Nに対応する表示環が存在しない場合には、最大個数の表示環を点灯することでとどめる。車両速度と制限速度で演算された超過速度で演算される差分量である単一の表示環の数は、超過速度が大きい場合に超過速度が小さい場合に比べて大きく設定されるとともに、超過速度に基づいて図14などの警告表示テーブルから超過速度に
基づいて所定の警告色が決定される。このようなステップ705が実行されると、(速度,加速度)のポイントがP1に存在するときのディスプレイ610における警告表示画面
は図15(A)に示すものとなり、(速度,加速度)のポイントがP2に存在するときの
ディスプレイ610における警告表示画面は図15(B)に示すものとなる。ステップS706では、リターンし元のメインルーチンに戻る。
【0054】
以上のような構成によれば、警告表示を行うときにおいては、警告表示のディスプレイ法として、表示環の点灯数が変わるなど、表示に変化がつくために、運転者にとっては速度超過状況に関する変化を把握しやすい、というメリットがある。
【0055】
次に、他の実施形態に係る警告表示処理のサブルーチンについて説明する。図16は本発明の他の実施形態に係る警告装置のディスプレイ610における警告表示の画面例を示す図である。図16に示すように、他の実施形態に係る警告装置の警告表示画面は、円環状の態様をしており、その中心部分に数値を表示する表示部が、ありその周囲を囲むように複数の円環状の表示部(「表示環」と称することとする)が設けられるようになっている。円環状表示部の中心は、車両10が走行している道路の制限速度を表示する表示ゾーンであり、当該表示ゾーンの周囲に、第1表示環、第2表示環、第3表示環、第4表示環、第5表示環が設けられている。これらの表示環は、第1表示環から順に点灯されるようになっている。また、表示環は複数の色で表示させて、それぞれの色に応じて運転者に所定の情報を報知するようにしている。なお、本実施形態においては、表示環の個数は5個の場合を基に説明しているが、設ける表示環の個数がこれに限定されるわけではない。
【0056】
図16に示す実施形態においては、第1〜第5の表示環の点灯数は、車両速度が制限速度を超えたとき計時された時間に関連する量に応じた数とする。また、第1〜第5の表示環の点灯色によって、速度超過のレベルを示すようにしている。
【0057】
以上のようなディスプレイ610における警告表示画面に基づく、警告表示処理について説明する。図17は本発明の他の実施形態に係る警告装置の警告表示処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。図17において、ステップS800で、警告表示処理のサブルーチンが開始されると、ステップS801に進み、取得されている車両10走行中の道路の制限速度を、図16の中央部の制限速度表示ゾーンに表示する。
【0058】
そして、ステップS802では、N=(T−TO)/20を算出する。なお、この算出
においては、小数点以下は切り捨てるようにする。これは、表示環の数が自然数であることによるものである。ステップS803では、車両10の加速度を算出する。また、T−TOを20で除しているが、20に特別な意味が存在するわけではなく、表示環の一つ分
の表示を20秒分に相当するようにしているだけである。
【0059】
ステップS803では、該当制限速度の表示色判定マップを用いて、(速度,時間)のポイントから表示色を特定する。この実施形態でも同様に、表示色判定マップとしては、制限速度が30km/hの道路に対応するもの、制限速度が40km/hの道路に対応するもの、制限速度が50km/hの道路に対応するもの、・・・などを複数用意しておき、ECU100のところで説明したROMなどの記憶手段に保持しておくようにする。図18は制限速度50km/hの表示色判定マップの例を示す図である。図18は、横軸を速度、縦軸を計時時間Tと警告猶予時間TOの差にした座標平面上に原点を0km/hに
して青色表示、黄色表示と赤色表示の領域の境界線を速度および計時時間Tと警告猶予時間TOの差による楕円関数で区切っている。図18の表示色判定マップは、ステップS1
03およびステップS104から警告猶予時間を超えて車速が制限速度を超えている場合以外には利用されることがない。そのため、警告猶予時間未満の場合には速度および加速度に依らず運転者に制限速度との関係を報知することがなく、運転者に煩わしさを感じさ
せることがない。そして、警告猶予時間を超えて車速が制限速度を超えている場合には、図18により計時時間Tと警告猶予時間TOと速度に基づいて制限速度に対して車速が超
えている状態で、車両が制限車速を超えている時間である超過時間の度合いを運転者に報知することができるので、運転者に車速を制限速度内に収めるように促すことができる。
【0060】
ところで、図18の表示色判定マップにおいて横軸を速度とし縦軸を計時時間Tと警告猶予時間TOの差である超過時間とした楕円関数で領域分けをしている理由は、図14と
同じ理由に依る。すなわち、車両特性上は、速度が高くなるほど加速側の加速度は鈍くなり、速度が低くなるほど加速側の加速度は鋭くなる。そのため、車速が低い領域でその超過時間は長くなるように、かつ、車速が低い領域に対して車速が高い領域でその超過時間を短くなるように設計し、さらに、個々の車両の速度と出力トルクの関係に基づいて青色(第一の警告色)領域、黄色(第二の警告色)領域および赤色(第三の警告色)領域の境界領域線の楕円を設計することで車両特性上および運転者の感覚にも合致した表示色判定マップにすることができる。なお、図18の表示色判定マップは、ステップS103と関連を持たせているが、表示色判定マップだけで、制限速度より速度が大きい場合にのみ運転者に警告を出す方法もある。この場合、制限速度で超過時間軸と平行に制限速度線を引き、その制限速度線よりも車速が低い場合には、表示色判定マップに色分け領域を設定しない。そして、その制限速度線よりも車速が高い場合には、図18の表示色判定マップの領域を適用すればよい。このようにすることで、図18と同様に運転者の感覚および実際の車両特性にも合致した警告を行うことができるようになるので、このような例も好適である。図18において、例えば、車両10が制限速度50km/hの道路を走行しているものとすると、ステップS803では、図18において(速度,時間)のポイントが赤色表示、黄色表示、青色表示のどの領域に存在するかを特定することによって、表示環で表示する色を特定する。例えば、(速度,時間)のポイントがP1に存在するときには特定色は
黄色とし、速度,時間)のポイントがP2に存在するときには特定色は赤色とする。
【0061】
ステップS804では、先のステップで特定された特定表示色で、第1表示環〜N表示環を点灯する。なお、Nに対応する表示環が存在しない場合には、最大個数の表示環を点灯することでとどめる。このようなステップ705が実行されると、(速度,時間)のポイントがP1に存在するときのディスプレイ610における警告表示画面は図19(A)
に示すものとなり、(速度,時間)のポイントがP2に存在するときのディスプレイ61
0における警告表示画面は図19(B)に示すものとなる。ステップS805で、リターンし元のメインルーチンに戻る。
【0062】
以上のような構成によれば、警告表示を行うときにおいては、警告表示のディスプレイ法として、表示環の点灯数が変わるなど、表示に変化がつくために、運転者にとっては速度超過状況に関する変化を把握しやすい、というメリットがある。
【0063】
次に、他の実施形態に係る警告表示処理のサブルーチンについて説明する。図20は本発明の他の実施形態に係る警告装置のディスプレイ610における警告表示の画面例を示す図である。本実施形態は、制限速度を表示する表示ゾーンや表示環の構成については、図12で説明した構成と変わることがない。すなわち、図20で示す実施形態においても、第1〜第5の表示環の点灯数は、車両速度と制限速度との差分に相当する量に応じた数とする。
【0064】
本実施形態が、図12に示した実施形態と異なる点は、警告表示画面の上部左右に罰則情報に関する情報が示されるようになっている点である。すなわち、警告表示画面左上には、違反点数表示ゾーンが設けられ、また、警告表示画面右上には罰金等情報表示ゾーンが設けられるようになっている。また、第1〜第5の表示環の点灯色によって、速度超過に伴う罰則レベルが示されるようになっている。
【0065】
以上のようなディスプレイ610における警告表示画面に基づく、警告表示処理について説明する。図21は本発明の他の実施形態に係る警告装置の警告表示処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。図21において、ステップS900で、警告表示処理のサブルーチンが開始されると、ステップS901に進み、取得されている車両10走行中の道路の制限速度を、図20の中央部の制限速度表示ゾーンに表示する。
【0066】
そして、ステップS902では、N={(車両速度)−(制限速度)}/10を算出する。なお、この算出においては、小数点以下は切り捨てるようにする。これは、表示環の数が自然数であることによるものである。
【0067】
ステップS903では、(超過速度)={(車両速度)−(制限速度)}から点数情報を特定し、警告画面左上に表示する。ここで、このような点数情報を特定するためのテーブルは図22に示すものを用いる。図22は超過速度と罰則事項、表示環表示色との関係テーブルを示す図である。超過速度は、15km/h未満、15km/h以上20km/h未満、20km/h以上25km/h未満、25km/h以上30km/h未満、30km/h以上50km/h未満および50km/h以上の6つの区分に分類されている。そして、分類毎に道路交通法違反等の点数情報、点数情報に対応する罰金・罰則等の情報が分類されている。また、警告表示の際の表示色である表示環表示色が15km/h未満と15km/h以上20km/h未満で青色、20km/h以上25km/h未満と25km/h以上30km/h未満で黄色および30km/h以上50km/h未満および50km/h以上で赤色が設定されている。
【0068】
また、ステップS904では、(超過速度)={(車両速度)−(制限速度)}から、図22を参照して罰金等の情報を特定し警告画面右上に表示する。
【0069】
ステップS905では、(超過速度)={(車両速度)−(制限速度)}から、図22を参照して、表示環で表示する色を特定する。例えば、車両10の超過速度が10km/hであるときには特定色は青色とし、35km/hであるときには特定色は赤色とする。ところで、ステップS902からステップS905では、超過速度を車両速度と制限速度の差分で敢えて演算している。制限車速は、走行中に移動しているので道路によって変化したりするだけでなく、例えば高速道路等では天候によって変化することがあるので、ナビゲーションシステム部800から取得した制限車速と現在の車両速度で演算し続けて、それに対応する点数情報、罰金・罰則等情報および表示色を特定することによって運転手に的確な罰則等を提示することができる。さらに、点数情報と罰金・罰則等の情報を表示するとともに、第一の警告色である青色、第三の警告色である赤色および第二の警告色である黄色をそれぞれ、道路交通法違反の青切符、赤切符および青切符でも減点が2点以上
でその罰金・罰則が重いものに対応づけるように報知することになる。そのため、一般的に類推される警告の概念に適した警告を行うことができるとともに、違反行為による損害を具体的に報知することができるようになるので、感覚的および理知的に運転者に車速を制限速度内に収めるように促すことができる。なお、図22のテーブル(警告表示テーブル)は、ナビゲーションシステム部800の車両の現在位置情報やナビゲーションデータベース820等に基づいてその制限速度から随時または定期的に変更される。
【0070】
ステップS906では、先のステップで特定された特定表示色で、第1表示環〜N表示環を点灯する。なお、Nに対応する表示環が存在しない場合には、最大個数の表示環を点灯することでとどめる。車両速度と制限速度で演算された超過速度で演算される差分量である単一の表示環の数は、超過速度が大きい場合に超過速度が小さい場合に比べて大きく設定されるとともに、超過速度に基づいて図22の警告表示テーブルから超過速度に基づいて所定の警告色が決定される。
【0071】
このようなステップ906が実行されると、車両10の超過速度が10km/hであるときのディスプレイ610における警告表示画面は図23(A)に示すものとなり、車両10の超過速度が35km/hであるときのディスプレイ610における警告表示画面は図23(B)に示すものとなる。ステップS906では、リターンし元のメインルーチンに戻る。
【0072】
以上のような構成によれば、警告表示を行うときにおいては、警告表示のディスプレイ法として、表示環の点灯数が変わるなど、表示に変化がつくために、運転者にとっては速度超過状況に関する変化を把握しやすい、というメリットがある。
【0073】
なお、上述のように種々の警告画面の表示形態について説明したが、図12、図16及び図20を並列的に示すような構成としてもよいし、図12の表示、図16の表示、図20の表示を時分割でディスプレイするような構成としてもよい。また、上述の実施形態では、視覚に基づく警告について重点的に説明したが、警告を音声によって行うことでよりいっそうの警告効果を得ることができるのは言うまでもない。
【0074】
また、図14および図18の第一の警告色、第二の警告色および第三の警告色は、それぞれ実施例では青色、黄色および赤色に対応させているが、警告図のようにしても良い。この場合、表示色判定マップは表示図判定マップとなるし、その上位概念としては運転者に報知することでその警告の度合いを知らしめるマップ(警告度合い報知マップ)であれば他の実施形態でも可能であることは言うまでもない。
【0075】
以上、本発明の警告装置によれば、速度超過した後のタイミングで、制限速度に関する警告表示を行うようにすることで、運転者が速度超過したか否かを意識しやすくするので、警告表示に対する運転者の関心が薄れてしまい、警告の意味を成さなくなることがない。
【0076】
また、本発明の警告装置によれば、警告表示を行うときには、必要に応じて警告猶予時間を設けることで、運転者が意図しない速度超過に対する警告を避け、運転者に必要以上の負荷を与えずに警告表示を行うことができる。
【0077】
また、本発明の警告装置によれば、警告表示を行うときには、警告表示のディスプレイ法として、表示に変化をつけるようにするために、運転者にとっては速度超過状況に関する変化を把握しやすい、というメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態に係る警告装置が搭載される車両の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る警告装置のブロック構成の概略を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る警告装置の処理・動作のフローチャートを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る警告装置の制限速度情報取得処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る警告装置の警告猶予時間算定処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る警告装置の運転行動予測処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図7】運転行動種別と警告猶予時間との関係を規定するテーブルを示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る警告装置の警告猶予時間算定処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図9】他の実施形態に係る警告装置の警告猶予時間算定処理サブルーチンで用いるチャートを示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る警告装置の警告猶予時間算定処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図11】他の実施形態に係る警告装置の警告猶予時間算定処理サブルーチンで用いるチャートを示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る警告装置のディスプレイ610における警告表示の画面例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る警告装置の警告表示処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図14】制限速度50km/hの表示色判定マップの例を示す図である。
【図15】ディスプレイ610における警告表示画面例を示す図である。
【図16】本発明の他の実施形態に係る警告装置のディスプレイ610における警告表示の画面例を示す図である。
【図17】本発明の他の実施形態に係る警告装置の警告表示処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図18】他の実施形態に係る警告装置における制限速度50km/hの表示色判定マップの例を示す図である。
【図19】他の実施形態に係る警告装置における警告表示画面例を示す図である。
【図20】本発明の他の実施形態に係る警告装置のディスプレイ610における警告表示の画面例を示す図である。
【図21】本発明の他の実施形態に係る警告装置の警告表示処理サブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図22】超過速度と罰則事項、表示環表示色との関係テーブルを示す図である。
【図23】他の実施形態に係る警告装置における警告表示画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
10・・・車両、32・・・ステアリング、54・・・アクセルペダル、100・・・ECU、200・・・走行情報取得部、210・・・車速センサ、400・・・車両周辺情報取得部、410・・・ミリ波レーダー、420・・・カメラ、500・・・運転操作部、510・・・アクセル開度センサ、540・・・アクセル反力制御部、560・・・ステアリング振動制御部、600・・・インターフェイス部、610・・・ディスプレイ、630・・・スピーカ、800・・・ナビゲーションシステム部、810・・・ナビゲーションシステム、820・・・ナビゲーションデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され車両速度が制限速度を超えていることを運転者に対し警告する警告装置であって、
前記車両の車両速度を検出する車両速度検出部と、
前記車両が走行する道路の制限速度に係る情報を取得する制限速度情報取得部と、
前記車両の車両速度が制限速度を超えてからも運転者に対し警告を猶予する警告猶予時間を設定する警告猶予時間設定部と、
前記車両速度検出部で検出された車両速度が、前記制限速度情報取得部で取得された制限速度を継続して超えている時間を計時する計時部と、
前記計時部で計時する計時時間が、前記警告猶予時間設定部でされた猶予時間を超えたとき、運転者に警告を行う警告部と、を有することを特徴とする警告装置。
【請求項2】
前記車両の運転者の運転行動予測を行う運転行動予測部を有し、
前記警告猶予時間が前記運転行動予測部によって予測された運転者の運転行動に基づいて警告猶予時刻を設定することを特徴とする請求項1に記載の警告装置。
【請求項3】
前記車両の周辺状況を取得する車両周辺状況取得部を有し、
前記運転行動予測部は、前記車両周辺状況取得部によって取得された周辺状況に基づいて前記運転者の運転行動を予測することを特徴とする請求項2に記載の警告装置。
【請求項4】
前記運転行動予測部は、運転者の「通常」の運転行動、「車線変更」の運転行動、「合流」の運転行動および「停車車両回避」の運転行動を予測し、該運転行動に応じて前記警告猶予時間を設定することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の警告装置。
【請求項5】
前記計時部は、車両速度が前記制限速度を越えたときに計時を開始し、車両速度が前記制限速度以下または計時時間が前記警告猶予時間を越えたときに計時を終了することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の警告装置。
【請求項6】
前記車両のアクセル開度を検出するアクセル開度検出部を有し、
前記警告猶予時間が前記アクセル開度検出部で検出されたアクセル開度に基づいて警告猶予時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の警告装置。
【請求項7】
前記車両の加速度を算出する加速度算出部を有し、
前記警告猶予時間が前記加速度算出部で算出された加速度に基づいて警告猶予時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の警告装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−128733(P2010−128733A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301965(P2008−301965)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】