説明

警報システム

【課題】警報システムに属した警報器のスピーカの断線を居住者に確実に気付かせるようにする。
【解決手段】警報器1は、警報を音声出力するスピーカ13aと、定期的にスピーカ13aの断線を試験する試験部14と、前記試験によってスピーカの断線を検出すると、スピーカ13aの断線を通知する制御信号を他の警報器1に送信する一方、他の警報器からスピーカの断線を通知する制御信号を受信すると、対応した故障警報を音声出力させる制御部17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連動して警報を音声出力する複数の警報器で構成された警報システムにおける、警報器のスピーカの断線を報知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
警報器におけるスピーカの断線を検出する従来技術の例として、次の特許文献1、特許文献2には、警報出力部に試験用の信号を入力して、スピーカの出力信号を測定することで、スピーカの断線を検出する技術が記載されている。また、特許文献3には、検知部の断線等の試験結果を表示灯でブリンキング表示する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2002-170183号公報
【特許文献2】特開2006-184960号公報
【特許文献3】特開2005-267466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
住宅用火災警報器等では、確実な警報動作を期するために、警報器のスピーカの断線を自己診断して居住者に通知することが望ましい、そのためには、例えば、上記特許文献1、2に記載されているスピーカの断線を検出する技術と、特許文献3に記載されている試験結果を表示灯でブリンキング表示する技術とを組み合わせることが考えられる。
【0004】
しかしながら、ブリンキング表示だけでは、居住者が気付かないこともあり、また、たとえ気付いたとしても、なぜブリンキング表示しているのかわからないことも想定される。そこで、本発明は、警報器のスピーカの断線を居住者に確実に気付かせることができる警報システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明による警報システムは、制御信号を相互に伝送し、いずれかの警報器が監視対象の異常を検知したときには、複数の警報器から連動して警報を出力する警報システムであって、前記警報器は、警報を音声出力するスピーカと、定期的に前記スピーカの断線を試験する試験部と、前記試験によってスピーカの断線を検出すると、スピーカの断線を通知する制御信号を他の警報器に送信する一方、他の警報器からスピーカの断線を通知する制御信号を受信すると、対応した故障警報を音声出力させる制御部とを備える。
【0006】
更に望ましい構成では、前記警報器は、所定の検知範囲で人体を感知する人感センサを更に備え、前記制御部は、他の警報器からスピーカの断線を通知する制御信号を受信すると、前記人感センサが人体を検知した時点で、前記断線警報を音声出力させる。
【0007】
あるいは、前記警報器は、時刻情報を保持、更新する時計部を更に備え、前記制御部は、他の警報器からスピーカの断線を通知する制御信号を受信すると、前記時刻情報に基づいて、予め設定された時刻に、前記断線警報を音声出力させる。
【発明の効果】
【0008】
従来気付きにくかったスピーカの断線故障を、他の警報器1が出力する故障警報を聞くだけで、直ちに知ることができる。また、スピーカが断線故障した警報器として、そのときに故障警報を音声出力していない警報器を特定できる。
【0009】
人感センサ、あるいは時計部を備えた構成では、居住者が傍にいるとき、あるいは居住者の生活時間帯に故障警報を出力するので、居住者に感知器の故障をより確実に気付かせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、相互に制御信号を伝送し、いずれかの警報器が監視対象の異常を検知したときには、複数の警報器から連動して警報を出力するワイヤレス警報システムに好適である。このような警報システムとしては、例えば、住宅用の火災警報システム、ガス漏れ警報システム、防犯警報システム等、他の警報システムがあるが、以下、火災警報システムを例として説明する。
【0011】
図1は、本発明を適用した警報器の概略構成を示したブロック図、図2は、その警報器の外観を示した斜視図である。
【0012】
警報器1は、例えば監視対象として火災による熱、あるいは煙を検知する検知部11と、警報停止操作等を受け付ける操作部12と、警報をスピーカ13aから音声出力する音声出力部13と、検知部11の汚損やスピーカ13aの断線等を試験する試験部14と、アンテナ15aを有し、他の警報器1との間で制御信号を送受信する通信部15と、発光ダイオード等からなる表示部16と、時刻情報を保持、更新する時計部18と、所定の範囲で人体を感知する人感センサと、これらの各部を制御する制御部17とを備えている。
【0013】
なお、11aは検知部11を保護する保護カバー、12aは操作部12に設けられた押し釦、12bは押釦12aと連動する引紐、13bは音声出力部13を構成するスピーカ13aのための通音孔を示している。
【0014】
図3は、本発明によるワイヤレス警報システムの構成図である。警報器1には、親警報器1#1と子警報器1#2〜1#4とがある。親警報器1#1と子警報器1#2〜1#4とでは、基本構成はほぼ共通であるが、制御部17が実行する制御プログラム等に違いがある。また、無線による制御信号の伝送は、常に、親警報器1#1と、子警報器1#2〜1#4との間で行われる。なお、警報器1のそれぞれには、固有の識別情報が予め割り当てられており、親警報器1#1は、自己の識別情報と、子警報器1#2〜1#4の全ての識別情報を登録、保持している。一方、子警報器1#2〜1#4は、自己の識別情報と、親警報器1#1の識別情報とを登録、保持している。これらの識別情報は、制御信号の伝送において、送信元、送信先を特定するために使用される。
【0015】
なお、制御信号の伝送は、例えば小電力セキュリティーシステム標準規格に従って行われる。この規格では、無線局は親機、子機によって構成され、400MHz帯を48チャネルに区分したチャネルの1つを選択して、親機と子機とが信号を相互に伝送するようになっている。本発明では、全ての警報器1において、同一のチャネルが予め選択されていることを想定している。
【0016】
警報器1による基本動作は次の通りである。すなわち、子警報器1#2〜1#4は、監視対象の異常を検知すると、警報を出力すると共に、親警報器1#1に対して連動要求信号を送信する。親警報器1#1は、その連動要求信号を受信すると、警報を連動して出力すると共に、他の子警報器1#2〜1#4に対して連動指令信号を送信する。また、親警報器1#1は、自ら監視対象の異常を検知すると、警報を出力すると共に、全ての子警報器1#2〜1#4に対して連動指令信号を送信する。そして、子警報器1#2〜1#4は、親警報器1#1が送信した連動指令信号を受信すると、警報を連動して出力する。
【0017】
その後、警報器1が警報を出力している間に、子警報器1#2〜1#4で警報停止操作を受け付けると、子警報器1#2〜1#4は、親警報器1#1に対して警報停止要求信号を送信する。親警報器1#1は、その警報停止要求信号を受信すると、所定時間、警報を停止すると共に、他の子警報器1#2〜1#4に対して警報停止指令信号を送信する。また、親警報器1#1は、自ら警報停止操作を受け付けると、所定時間、警報を停止すると共に、全ての子警報器1#2〜1#4に対して警報停止指令信号を送信する。そして、子警報器1#2〜1#4は、親警報器1#1が送信した警報停止指令信号を受信すると、所定時間、警報を停止する。
【0018】
また、警報器1は、本発明の特徴として、試験部14によって検知部11の汚損やスピーカ13aの断線等を試験して、異常があれば、対応した警報を音声出力する機能を有している。この自己診断の動作は次の通りである。すなわち、子警報器1#2〜1#4は、時計部の時刻情報に基づいて、定期的に試験部14を作動させて故障を検知すると、表示部および音声出力部13から、故障の種別に対応した故障警報を出力すると共に、親警報器1#1に対して、故障の種別を特定した故障警報要求信号を送信する。また、親警報器1#1は、その故障警報要求信号を受信すると、表示部および音声出力部13から、その故障の種別に対応した故障警報を連動して出力すると共に、他の子警報器1#2〜1#4に対して故障警報指令信号を送信する。また、親警報器1#1は、定期的に試験部14を作動させて故障を検知すると、表示部および音声出力部13から、故障の種別に対応した故障警報を出力すると共に、全ての子警報器1#2〜1#4に対して、故障の種別に対応した故障警報指令信号を送信する。これに対して、子警報器1#2〜1#4は、親警報器1#1が送信した連動指令信号を受信すると、表示部および音声出力部13から、故障の種別に対応した故障警報を出力する。
【0019】
その後、警報器1が故障警報を出力している間に、子警報器1#2〜1#4で警報停止操作を受け付けると、子警報器1#2〜1#4は、親警報器1#1に対して警報停止要求信号を送信する。親警報器1#1は、その警報停止要求信号を受信すると、故障警報を停止すると共に、他の子警報器1#2〜1#4に対して警報停止指令信号を送信する。また、親警報器1#1は、自ら警報停止操作を受け付けると、故障警報を停止すると共に、全ての子警報器1#2〜1#4に対して警報停止指令信号を送信する。これに対して、子警報器1#2〜1#4は、親警報器1#1が送信した警報停止指令信号を受信すると、故障警報を停止する。
【0020】
このように、本発明によれば、警報器1は、試験部14によって検知部11の汚損やスピーカ13aの断線等を試験して、異常があれば、対応した警報を自器および他の警報器から音声出力することができる。ただし、故障がスピーカ13aの断線であれば、その警報器は、故障警報を音声出力できない(表示部による表示は可能)ので、他の警報器からのみ、故障警報を音声出力することになる。
【0021】
故障警報は、例えば、自器の検知部11が故障していれば、「この警報器の検知部に異常が発生しています。点検してください」、他の警報器の検知部11が故障していれば、「他の警報器の検知部11に異常が発生しています。点検してください」というようなメッセージである。また、スピーカ13aの断線であれば、「他の警報器のスピーカが断線しています。点検して下さい」というようなメッセージである。
【0022】
従って、居住者は、そのような故障警報によって、警報器1にどのような異常が発生しているかを直ちに把握して、適切な対処をすることが可能になる。特に、従来気付きにくかったスピーカ13aの断線についても、他の警報器1が出力する故障警報によって、その発生を把握し、また、故障した警報器1として、そのときに故障警報を音声出力していない警報器1を特定できる。
【0023】
図4は、子警報器1#2〜1#4の一つにスピーカ13aの断線が発生した場合の、警報システムの動作を示したフロー図で、親警報器1#1、子警報器1#2〜1#4が連携した動作している。
【0024】
ここでは、子警報器1#2において、スピーカ13aの断線が生じ、その故障を自己診断により検出している(S101、S102)。そのため、子警報器1#2は、表示部の点滅を開始すると共に、親警報器1#1に対して、故障警報要求信号を送信している(S103、S104)。その故障警報要求信号を受信した親警報器1#1は、表示部の点滅と、故障警報の出力とを開始すると共に、子警報器1#2〜1#4に対して、故障警報指令信号を送信している(S201〜S203)。その故障警報指令信号を受信した子警報器1#3、1#4は、表示部の点滅と、故障警報の出力とを開始している(S301、S302、S401、S402)。その後、子警報器1#3は、警報停止操作を受け付けたことにより、親警報器1#1に対して、警報停止要求信号を送信している(S303、S304)。その警報停止要求信号を受信した親警報器1#1は、表示部を消灯し、故障警報を停止すると共に、子警報器1#2〜1#4に対して、警報停止指令信号を送信している(S204〜S206)。その警報停止指令信号を受信した子警報器1#2は、表示部を消灯している(S105、S106)。また、子警報器1#3、1#4は、表示部を消灯し、故障警報を停止している(S305、S306、S403、S404)。
【0025】
また、更に望ましい変形例では、警報器1は、所定の範囲で人体を感知する人感センサ19を更に備え、制御部17は、人感センサ19が人体を検知した時点で、故障警報を音声出力させるようにしてもよい。
【0026】
この構成では、子警報器1#2〜1#4は、自器の故障を検出すると、親警報器1#1に対して故障警報要求信号を送信すると共に、故障警報の出力待機状態となって、人感センサ19が人体を感知した時点で、故障警報を出力する(スピーカ13aの断線であれば、表示部の点滅のみ行う)。また、親警報器1#1から故障警報指令信号を受信した場合も、故障警報の出力待機状態となって、人感センサ19が人体を感知した時点で、故障警報を出力する。一方、親警報器1#1は、子警報器1#2〜1#4から故障警報要求信号を受信すると、子警報器1#2〜1#4に対して故障警報指令信号を送信すると共に、故障警報の出力待機状態となって、人感センサ19が人体を感知した時点で、故障警報を出力する。また、自器の故障を検出すると、子警報器1#2〜1#4に対して故障警報指令信号を送信すると共に、故障警報の出力待機状態となって、人感センサ19が人体を感知した時点で、故障警報を出力する。なお、子警報器1#2〜1#4は、故障警報出力待機状態のときに、親警報器1#1から警報停止指令信号を受信すると、故障警報出力待機状態を解除する。また、親警報器1#1は、故障警報出力待機状態のときに、子警報器1#2〜1#4から警報停止要求信号を受信すると、あるいは自器で警報停止操作を受け付けると、子警報器1#2〜1#4に対して警報停止指令信号を送信すると共に、故障警報出力待機状態を解除する。
【0027】
更に変形例として、警報器1は、時刻情報を保持、更新する時計部18を更に備え、制御部17は、時刻情報に基づいて、予め設定された時刻に、故障警報を音声出力させるようにしてもよい。この変形例は、上記変形例の人感センサ19を時計部18に置き換えたもので、動作は基本的に共通している。すなわち、この変形例における予め設定された時刻になった時点での動作は、上記変形例において人感センサ19が人体を感知した時点での動作に相当する。なお、故障警報を出力すべき時刻は、居住者の生活時間帯に合わせておく。
【0028】
これらの変形例では、居住者が傍にいるとき、あるいは居住者の生活時間帯に故障警報を出力するので、居住者に感知器の故障をより確実に気付かせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明を適用した警報器の概略構成を示したブロック図である。
【図2】本発明を適用した警報器の外観を示した斜視図である。
【図3】本発明によるワイヤレス警報システムの構成図である。
【図4】警報器の一つにスピーカの断線が発生した場合の、警報システムの動作を示したフロー図である。
【符号の説明】
【0030】
1 警報器
13a スピーカ
14 試験部
17 制御部
18 時計部
19 人感センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御信号を相互に伝送し、いずれかの警報器が監視対象の異常を検知したときには、複数の警報器から連動して警報を出力する警報システムにおいて、
前記警報器は、
警報を音声出力するスピーカと、
定期的に前記スピーカの断線を試験する試験部と、
前記試験によってスピーカの断線を検出すると、スピーカの断線を通知する制御信号を他の警報器に送信する一方、他の警報器からスピーカの断線を通知する制御信号を受信すると、対応した故障警報を音声出力させる制御部とを備える警報システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記警報器は、
所定の範囲で人体を感知する人感センサを更に備え、
前記制御部は、他の警報器からスピーカの断線を通知する制御信号を受信すると、前記人感センサが人体を検知した時点で、前記故障警報を音声出力させる警報システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記警報器は、
時刻情報を保持、更新する時計部を更に備え、
前記制御部は、他の警報器からスピーカの断線を通知する制御信号を受信すると、前記時刻情報に基づいて、予め設定された時刻に、前記故障警報を音声出力させる警報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−108026(P2010−108026A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276463(P2008−276463)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】