説明

警報器及び警報システム

【課題】火災、ガス漏れといった異常検出の種別に応じてグループを構成することで同一又は異種の警報器間での連動警報を可能として住宅等の警戒区画での監視性能を高める。
【解決手段】送信処理部60はイベント検出部58で異常を検出した場合に、他の警報器にメモリ22に記憶された自己の属するグループ符号42と、警報のオン又は警報のオフを示すオンオフ符号を含むイベント信号を送信する。警報処理部64は、イベント検出部58で異常を検出した時に第1の異常警報を出力し、受信処理部62で他の警報器からのイベント信号を受信した時に、受信したイベント信号から自己のグループ符号と警報オンのオンオフ符号を判定した場合に第1の異常警報を出力し、受信したイベント信号から連携グループ符号と警報オンのオンオフ符号を判定した場合にメモリ22の第2異常警報情報46に基づき第1の異常警報とは異なる第2の異常警報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災やガス漏れなどの異常を検出して警報すると共に他の警報器に信号を中継送信して警報を連動出力させる警報器及び警報システムに関する。

【背景技術】
【0002】
従来、住宅における火災を検出して警報する住宅用警報器(以下「住警器」という)が普及しており、近年にあっては、複数の住警器を相互に通信させ、1つの住警器の異常情報を他の警報器でも警報できる連動型警報システム向けの無線式住警器が実用化されており、これらの中には電池電源によって動作するものがある。
【0003】
無線通信を行う連動型の警報システムにあっては、ある住警器で火災を検出した場合、火災を検出した連動元の住警器は、例えば「ウーウー火災警報器が作動しました 確認してください」との音声メッセージを出力し、一方、連動先の住警器では「ウーウー別の火災警報器が作動しました 確認してください」という音声メッセージを出力するようにしている。また、連動元の住警器の警報ランプは明滅とし、連動先の住警器の警報ランプは点滅とし、警報ランプの表示からも連動元か連動先かが区別できるようにしている。
【0004】
一方、住宅には火災を検出して警報する住警器の他、ガス漏れ警報器やCO警報器、さらには各種の防犯用警報器などが設置される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−094719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の連動警報を行う無線式の住警器にあっては、同種の異常である火災の検出について連動警報を行うが、それ以外にガス漏れ警報器、CO警報器、防犯用警報器は独立した別の警報システムを構築しており、同じ住宅での異常監視が異常の種別毎に別々に行われることから不経済であり、また、住警器は居間や寝室などの人のいる部屋に設置されるが、ガス漏れ警報器やCO警報器は台所などの特定の場所に設置され、その場所にいないと警報が聞こえづらいという問題もある。
【0007】
本発明は、火災、ガス漏れ、盗難といった異常検出の種別に応じてグループを構成することで同一又は異種の警報器グループ間での連動警報を可能として住宅等の異常監視性能を高める警報器及び警報システムを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0008】
(警報器)
本発明は警報器であって、
異常の有無を含むイベントを検出するイベント検出部と、
イベント検出部で異常を検出した時に、他の警報器へ前記イベント検出部の検出対象となる第1の異常を示すイベント符号を含むイベント信号を送信する送信処理部と、
他の警報器からのイベント信号を受信する受信処理部と、
イベント検出部で異常を検出した時に第1の異常警報を出力し、受信処理部で他の警報器からのイベント信号を受信した時に、イベント信号のイベント符号内容がイベント検出部の検出対象と同種の異常を示す場合には第1の異常警報を出力し、イベント符号内容がイベント検出部の検出対象とは異なる異常を示す場合には、イベント符号内容に応じて第1の異常警報とは異なる第2の異常警報を出力する警報処理部と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
ここで、警報処理部は、イベント検出部で異常が検出されたときは、他の警報器から受信したイベント信号に基づく第2の異常警報に優先して、イベント検出部で検出された異常を第1の異常警報として警報する。
【0010】
警報処理部は、イベント検出部で異常が検出されたことに基づく第1の異常警報出力中に他の警報器からイベント検出部の検出対象とは異なる異常を示すイベント符号を含むイベント信号を受信したときには、第1の異常警報に優先して前記第2の異常を警報するようにしても良い。
【0011】
警報処理部は、イベント検出部で異常が検出されたことに基づく第1の異常警報出力中に他の警報器からイベント検出部の検出対象とは異なる異常を示すイベント符号を含むイベント信号を受信したときには、第1の異常警報に優先して第2の異常を警報するようにしても良い。
【0012】
警報処理部は、イベント検出部で異常が検出されると共に、他の警報器からイベント信号を受信しているときには、イベント検出部で検出された異常を第1の異常警報として出力し、併せて他の警報器から受信したイベント信号に基づく異常を第2の異常警報として出力するようにしても良い。
【0013】
イベント検出部は火災の有無を検出し、
送信処理部はイベント検出部の検出対象となる第1の異常として火災を示すイベント符号を含むイベント信号を送信し、
警報処理部は、イベント検出部で火災を検出した時に第1の異常警報として火災警報を出力し、受信処理部で他の警報器からのイベント信号を受信した時に、イベント信号のイベント符号内容がイベント検出部の検出対象と同種の火災を示す場合には第1の異常警報として火災警報を出力し、イベント符号内容がイベント検出部の検出対象とは異なる異常を示す場合には、イベント符号内容に応じて火災警報とは異なる第2の異常警報を出力する。
【0014】
警報処理部は、火災警報とは異なる第2の異常警報としてガス漏れ警報または盗難警報を出力する。
【0015】
送信処理部は、イベント検出部で異常の復旧を検出した場合に、他の警報器に異常復旧を示すイベント符号を含むイベント信号を送信させ、
警報処理部は、イベント検出部で異常の復旧を検出した場合に第1の異常警報の出力を停止し、受信処理部で他の警報器からのイベント信号を受信した時に、受信したイベント信号から第1の異常の復旧を示すイベント符号を判定した場合に第1の異常警報の出力を停止し、受信したイベント信号から第2の異常の復旧を示すイベント符号を判定した場合に第2の異常警報の出力を停止する。
【0016】
送信処理部は、イベント検出部により異常警報の停止指示を検出した場合に、他の警報器に警報停止を示すイベント符号を含むイベント信号を送信させ、
警報処理部は、前記イベント検出部により異常警報の停止指示を検出した場合に第1の異常警報の出力を停止し、受信処理部で他の警報器からのイベント信号を受信した時に、受信したイベント信号から第1の異常の警報停止を示すイベント符号を判定した場合に第1の異常警報の出力を停止し、受信したイベント信号から第2の異常の警報停止を示すイベント符号を判定した場合に第2の異常警報の出力を停止する。
【0017】
(システム)
本発明は警報システムであって、
警戒エリアに、
異常を検出して警報する警報器と、
警報器とは異なる異常を検出して警報する異種警報器と、
を配置し、
警報器及び異種警報器の各々は、
警報器および異種警報器は一方向または双方向に通信する通信部と、
通信部によって自己の検出対象と異なる異常信号を受信したときは、当該自己の検出対象と異なる異常を警報する警報部と、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
ここで、警報器は火災を検出して警報し、
異種警報器はガス漏れまたは盗難を検出して警報し、
警報器の警報部は、通信部によって自己の検出対象と異なるガス漏れ又は盗難信号を受信したときは、ガス漏れまたは盗難を警報し、
異種警報器の警報部は、通信部によって自己の検出対象と異なる火災信号を受信したときは、火災を警報する。

【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、同じ住宅などに設置した火災警報器(住警器)、ガス漏れ警報器、盗難警報器等について種別毎にグループを構成し、自己のグループに属する他の同種の警報器との間で警報を連動させると共に、自己の属するグループと連携をとる他の連携グループに属する他の異種の警報器との間で警報を連動させる複合連動(グループ間連動)システムを構築することができ、例えば台所に設置しているガス漏れ警報器でガス漏れを検出して警報した場合、火災検出のために居間や寝室などに設置している警報器でもガス漏れを示す連動警報が出され、異なる場所に異なる種類の警報器を設置していても、相互に警報を連動することで、複数種類の警報を確実に報知し、適切な対応を迅速にとることができる。
【0020】
また同じ通信プロトコルをもつ火災、ガス漏れ、盗難といった種別の異なる警報器について、同一種別の警報器毎に連動警報を行うグループを構成することで、グループ構成が容易となり、必要に応じて異なる種別のグループ間で連携をとりたい場合は、連携グループ符号を記憶部に格納することで、種別グループを超えた異種グループ間で連動警報するシステム簡単に構築することができる。

【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】住宅に対する本発明の警報システムの設置状態を示した説明図
【図2】図1の警報システムに設けた火災を検出して警報する住警器の実施形態を示したブロック図
【図3】図2の実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図
【図4】図1の警報システムに設けたガス漏れを検出して警報するガス漏れ警報器の実施形態を示したブロック図
【図5】図2の住警器による火災監視処理を示したフローチャート
【図6】図4のガス漏れ警報器による火災監視処理を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は住宅に対する本実施形態の警報システムの設置状態を示した説明図である。図1の例にあっては、住宅14に設けられている台所、居間、主寝室、子供部屋のそれぞれに本実施形態の火災を検出して警報する住警器10−1〜10−4が設置され、更に、異種の警報器として台所、居間、更に屋外に建てられたガレージ26にガス漏れ警報器12−1〜12−3を設置している。ここで、ガレージ26にはCO警報器が用いられることも多いが、ここではガス漏れ警報器12−3として説明する。
【0023】
住警器10−1〜10−4、ガス漏れ警報器12−1〜12−3のそれぞれは、イベント信号を相互に無線により送受信する機能を備え、設置場所の火災監視とガス漏れ監視を行っている。
【0024】
本実施形態では、住宅14の住警器10−1〜10−4でグループG1を構成し、またガス漏れ警報器12−1〜12−3で他のグループG2を構成し、イベント信号に自己のグループ符号を含めて送信することで、自己のグループに属するイベント信号を受信処理する。このようにグループを構築するのは、近隣住居等に設置された住警器や警報器との間で無線信号の送受信が行われることによる不要な連動を避けるためである。
【0025】
住警器10−1〜10−4は、その記憶部にガス漏れ警報器12−1〜12−3のグループG2と連携をとるための連携グループ符号G2を記憶しておくことで、ガス漏れ警報器12−1〜12−3からのイベント信号を受信処理する。
【0026】
同様に、ガス漏れ警報器12−1〜12−3は、その記憶部に住警器10−1〜10−4のグループG1と連携をとるための連携グループ符号G1を記憶しておくことで、住警器10−1〜10−4からのイベント信号を受信処理する。
【0027】
このようにすれば、必要に応じ異なるグループ間でも連動させることが出来る。詳しくは後述する。
【0028】
なお例えば住警器10−1〜10―4のみに連携グループ符号G2を記憶登録し、ガス漏れ警報器12−1〜12−3には連携グループ符号GP1を記憶登録しないことで、ガス漏れ警報器12−1〜12−3(GP1)から住警器10−1〜10−4(GP2)への連動のみを行わせ、片方のグループから他方のグループへの片方向連動とすることも出来る。
【0029】
また連携グループ符号を、記憶されていることのみで有効とするのではなく、記憶されているものを内部的に有効化したり無効化したりする手段や処理を用いても良い。
【0030】
グループ識別の方法は住警器や警報器に自己のグループに属する住警器/警報器の固有番号を記憶させて、受信したイベント信号に付加された送信元の固有番号(送信元符号)と照合して自己のグループ内のイベント信号であるか否かを判定する方法等があり、固有番号としては製造番号を用いる等が考えられる。グループ識別方法はこれに限定されず他にも様々考えられるが、本実施形態では各グループに固有の符号(グループ符号)を使用することとして説明する。
【0031】
いま住宅14の子供部屋で万一、火災が発生したとすると、住警器10−4が火災を検出して警報を開始する。この火災を検出して警報を開始することを、住警器における「発報」という。住警器10−4が発報すると、住警器10−4は連動元として機能し、連動先となる他の住警器10−1〜10−3及びガス漏れ警報器12−1〜12−3に対し、自己のグループ符号と火災警報のオンを示すオンオフ符号を含むイベント信号を無線により送信する。住警器10−4と同じグループG1に属する他の住警器10−1〜10−3においては、連動元の住警器10−4からの自己のグループ符号を含む火災警報オンを示すイベント信号を受信した場合に、連動先としての火災警報を出力させる。
【0032】
ここで連動元となった住警器10−4の警報音としては、例えば音声メッセージにより「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を出力する。一方、連動先の住警器10−1〜10−3にあっては、「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージを出力する。
【0033】
一方、イベント信号を送信した住警器10−4とは異なるグループG2に属するガス漏れ警報器12−1〜12−3においては、連動元の住警器10−4からのグループ符号G1を含む火災警報オンを示すイベント信号を受信した場合に、記憶部に記憶している連携グループ符号G1との一致を判別することで、有効なイベント信号として受信し、連動先としての火災警報を出力させる。
【0034】
このときのガス漏れ警報器12−1〜12−3からの連動先としての火災警報は、ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージを出力する。
【0035】
また住宅14の例えば台所に設置しているガス漏れ警報器12−1でガス漏れを検出して警報すると、ガス漏れ警報器12−1は連動元として機能し、自己のグループ符号とガス漏れ警報オンを示すオンオフ符号を含むイベント信号を無線により送信する。
【0036】
イベント信号を送信したガス漏れ警報器12−1と同じグループG2に属する他のガス漏れ警報器12−2,12−3においては、連動元のガス漏れ警報器12−1からの自己のグループ符号G2を含むガス漏れ警報オンを示すイベント信号を受信した場合に、連動先としてのガス漏れ警報を出力させる。
【0037】
一方、イベント信号を送信したガス漏れ警報器12−1とは異なるグループG2に属する住警器10−1〜10−4においては、連動元のガス漏れ警報器12−1からグループ符号G2を含むガス漏れ警報オンを示すイベント信号を受信した場合に、記憶部に記憶している連携グループ符号G2との一致を判別することで、有効なイベント信号として受信し、連動先としてのガス漏れ警報を出力させる。
【0038】
ここで連動元となったガス漏れ警報器12−1の警報音としては、例えば音声メッセージにより「ピロピロピロ ガス漏れ警報器が作動しました 確認してください」を出力する。一方、連動先のガス漏れ警報器12−2,12−3や住警器10−1〜10−4にあっては、「ピロピロピロ 別のガス漏れ警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージを出力する。
【0039】
住警器10−1〜10−4及びガス漏れ警報器12−1〜12−3が警報音を出している状態で、警報停止スイッチを操作すると、警報音の停止処理が行われる。ここで、本実施形態の警報音の停止処理としては次のいずれかの停止処理を行う。
【0040】
(1)住警器10−1〜10−3及びガス漏れ警報器12−1〜12−3の内、連動元以外の任意の警報停止スイッチを操作すると、連動元のみが引き続き警報音を出力し、連動先は警報音を停止する。一方、連動元の警報停止スイッチを操作すると、連動元および連動先の全ての警報音を停止する。
【0041】
(2)警報中の住警器10−1〜10−4及びガス漏れ警報器12−1〜12−3の内の任意の警報停止スイッチを操作すると、連動先、連動元に関わらず、全ての警報音を停止する。
【0042】
(3)前記(1)の停止処理を第1モード、前記(2)の停止処理を第2モードとし、いずれか一方のモードを選択して停止処理を行う。
【0043】
図2は図1の警報システムに設けた住警器の実施形態を示したブロック図である。図2は図1に示した4台の住警器10−1〜10−4につき、その内の住警器10−1について回路構成を詳細に示している。他の住警器10−2〜10−4についても同様の構成となる。
【0044】
ここで、住警器10−1と他の住警器10−2〜10−4およびガス漏れ警報器12−1〜12−3を結ぶ矢印はそれぞれが相互に通信することを示しているが、たとえば住警器10−2と住警器10−3、住警器10−2とガス漏れ警報器12−3なども相互に通信させるようにしている。もちろん、図2の矢印の経路でのみ通信するようにしたシステムでも、本発明を適用することが出来る。例えば住警器10−1および住警器10−3をそれぞれグループG1およびグループG2の親機とし、各グループの親機間でのみグループ間連携連動させるようにしても良い。そして、ひとつのグループを構成する住警器または警報器は、同種のもので構成するようにしても良い。このようにすれば、システム構成を容易に把握出来るなどのメリットも得られる。以下はこの場合の例を説明する。
【0045】
住警器10−1はワンチップCPUとして知られたプロセッサ18を備え、プロセッサ18に対してはアンテナ21を備えた無線通信部20、記録回路部(メモリ)22、センサ部24、報知部26、操作部28及び電池電源30を設けている。
【0046】
無線通信部20には送信回路32と受信回路34が設けられ、他の住警器10−2〜10−4及びガス漏れ警報器12−1〜12−3との間でイベント信号を無線により送受信できるようにしている。無線通信部20としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を備える。
【0047】
もちろん無線通信部20としては、日本国内以外の場所については、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
【0048】
記憶部としてのメモリ22には、ベント信号の順番を示す連続番号である連番38、住警器を特定するID(識別子)となる送信元符号40、住警器10−1〜10−4で連動警報を行うグループG1を構成するためのグループ符号42、ガス漏れ警報器12−1〜12−3で連動警報を行う他のグループG2と警報の連携をとるための連携グループ符号45、及び連携グループからの警報オンのイベント信号の受信を判別してガス漏れ警報を出すために使用される第2異常警報情報46が格納されている。
【0049】
送信元符号40としては、国内に提供される住警器の数を予測し、例えば同一符号として重複しないように26ビットの符号コードが使用される。
【0050】
グループ符号42は火災発報という同種の異常を検出するグループを構成する複数の住警器に共通に設定される符号であり、無線通信部20で受信した他の住警器からのイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ22に登録しているグループ符号42に一致したときに、このイベント信号を有効な信号として受信して処理する。もちろん、有効無効の判定は必ずしも一致照合に限らず、他の合理的な判定方法を採用することが出来る。
【0051】
連携グループ符号45は、自己の属するグループと連携を取る少なくとも1つの他の連携グループを示す符号であり、無線通信部20で受信した他の住警器からのイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ22に登録している連携グループ符号45に一致したときに、このイベント信号を有効な信号として処理する。
【0052】
第2異常警報情報46は、住警器10−1の属するグループG1と連携をとる他のグループG2、即ちガス漏れ警報器12−1〜12−3を含む連携グループ G2から警報オンのイベント符号を含むイベント信号を受信し、有効と判定された時の警報出力に使用される情報であり、例えばスピーカ52から出力する音声メッセージとして例えば「ピロピロピロ 別のガス漏れ警報器が作動しました 確認してください」を示す音声データが格納されている。
【0053】
このようにメモリ22に第2異常警報情報46を格納しておくことで、連携グループG2に属する他の警報器からの警報オンのオンオフ信号を含むイベント信号を受信した場合、イベント信号からはイベント種別は不明であるが、警報オンのオンオフ符号に基づきメモリ22の第2異常警報情報46を警報出力することで、連携グループG2で監視しているガス漏れ警報を出力することができる。
【0054】
このようにシンプルな処理で異なるグループ間の相互連動が可能だが、もちろん、イベント信号に警報以外の障害(故障等)その他を含む複数のイベント種別を示すイベント符号を付加するようにして、イベント種別に対応して音声メッセージを格納するようにしても良い。また、音声メッセージだけでなく、連携グループ符号やイベント種別に対応する表示警報の種類ついても管理して制御させることも出来る。このようにしたとき、1つのグループ内に異なる種類の警報器を混在させることも出来るようになる。
【0055】
センサ部24には、本実施形態にあっては検煙部50が設けられている。検煙部50は煙の流入があると検出信号を出力する。検煙部50からの検出信号はプロセッサ18に取り込まれ(AD変換)、プロセッサ18側で所定の火災レベルを超えると火災発報を判別し、また、検煙部50からの検出信号が低下して火災レベルを下回ることで火災発報がなくなったこと(火災復旧)を判別するようにしている。センサ部24には検煙部50以外に、火災による温度を検出するサーミスタ等の温度変化検出素子や、火災に伴うその他の物理現象変化を検出する各種素子を設けてもよい。
【0056】
報知部26にはスピーカ52とLED54が設けられている。スピーカ52は、図示しない音声合成回路部からの音声メッセージや警報音を出力する。LED54は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常を表示する。スピーカ48に代えて、ブザー等を用いても良い。
【0057】
操作部28には警報停止スイッチ56が設けられている。警報停止スイッチ56を操作すると、住警器10−1から流している警報音を停止することができる。警報停止スイッチ56は、本実施形態にあっては住警器10−1の内部機能や状態の点検開始を指示する点検スイッチと兼用している。警報停止スイッチ56は、報知部26からスピーカ52により警報音を出力しているときにのみ有効となる。一方、警報音を出力していない通常監視状態で警報停止スイッチ56は点検スイッチとして機能し、この状態で警報停止スイッチ56を押すと、所定の点検動作が実行されて報知部26から点検結果を示す音声メッセージなどが出力される。
【0058】
電池電源30は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては住警器10−1における無線通信部20を含む回路部全体の低消費電力化により、例えば10年の電池寿命を保証している。
【0059】
プロセッサ18にはプログラムの実行により実現される機能として、イベント検出部58、送信処理部60、受信処理部62及び警報処理部64が設けられている。
【0060】
イベント検出部58は、センサ部24による異常検出、操作部28による警報停止、センサ部24の異常検出がなくなる異常復旧を含むイベントを検出する。
【0061】
送信処理部60は、イベント検出部58によりセンサ部24による異常検出、操作部28による警報停止、センサ部24の異常検出がなくなる異常復旧を含む自己のイベントを検出した時に、メモリ22に記憶された自己の属するグループ符号42および異常警報オンを示すオンオフ符号を含むイベント信号を連動先の警報器に送信させる。
【0062】
受信処理部62は、住警器10−2〜10−4又はガス漏れ警報器12−1〜12−3からのイベント信号を受信して解読する。
【0063】
警報処理部64は、イベント検出部58で自己の異常として火災発報を検出した時に第1の異常警報として火災警報を出力し、受信処理部62で他の住警器10−2〜10−4からのイベント信号を受信した時に、このイベント信号に含まれる他の警報器のグループ符号がメモリ22に格納している自己のグループ符号42に一致するか否か判定し、一致して自己のグループに属することを判定した場合、第1の異常警報である連動先としての火災警報を出力する。
【0064】
また、警報処理部64は、受信処理部62で例えばガス漏れ警報器12−1からのイベント信号を受信した時に、このイベント信号に含まれる他の警報器のグループ符号がメモリ22に格納している連携グループ符号45に一致するか否か判定し、一致して自己のグループに連携する連携グループに属することを判定した場合、メモリ22に格納している第2異常警報情報46に基づき第1の異常警報とは異なる第2の異常警報としてのガス漏れ警報を出力する。
【0065】
この場合の第1の異常警報である火災警報と第2の異常警報であるガス漏れ警報は、報知部26に設けたスピーカ52による音声メッセージ等の音響警報とLED54の点灯、点滅、明滅などの警報表示を行う。
【0066】
また警報処理部64は、イベント検出部58で自己の火災発報が検出されたときは、連携グループの警報器であるガス漏れ警報器12−1〜12−3のいずれかから受信したイベント信号に基づく第2の異常警報としてのガス漏れ警報に優先して、イベント検出部58で検出された火災発報による第1の異常警報としての火災警報を行う。
【0067】
この優先関係は、警報の種類や設置運用環境、利用者の要望等を考慮して適宜の順位とすることが出来、場合によっては第2の異常情報を優先とすることも出来るし、音響警報における優先順位と表示による優先順位を異ならせること等も出来る。
【0068】
また、警報処理部64は、例えばメモリ22に記憶されている自己のグループ符号42および連携グループ符号45の記憶アドレスに応じて、第1の異常警報である火災警報と第2の異常警報であるガス漏れ警報の優先度を決定し、優先度の高い警報を出力するようにしても良い。
【0069】
更に自己の火災発報とガス漏れ警報器からのイベント信号受信が並行して発生した場合の警報として、自己の火災発報による火災警報を優先する代わりに、イベント検出部58で検出された火災発報に基づき第1の異常警報としての火災警報を出力し、併せてガス漏れ警報器12−1から受信したイベント信号に基づく第2の異常警報としてガス漏れ警報を、重複しなうように順番に出力するようにしても良い。
【0070】
音声警報の例を具体的に説明すると、警報処理部64は、センサ部24に設けた検煙部50の検出信号からイベント検出部58で火災を判別したときに、報知部26のスピーカ52から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、自己の属するグループを示すグループ符合42と火災警報オンのオンオフ符号を含むイベント信号を無線通信部20の送信回路32によりアンテナ21から他の住警器10−2〜10−4及びガス漏れ警報器12−1〜12−3に向けて送信させる。
【0071】
また警報処理部64は、他の住警器10−2〜10−4のいずれかから自己のグループに属する火災警報オンを示すイベント信号を無線通信部20の受信回路34により受信し、受信処理部62で有効となったときに、報知部26のスピーカ52から連動先を示す第1の異常警報となる警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる音声メッセージを繰り返し出力させる。
【0072】
また警報処理部64は、ガス漏れ警報器12から連携グループに属するガス漏れオンを示すイベント信号を無線通信部20の受信回路34により受信し、受信処理部62で有効となったときに、報知部26のスピーカ52から連動先を示す第2の異常警報となる警報音例えば「ピロピロピロ 別のガス漏れ警報器が作動しました 確認してください」となる音声メッセージを繰り返し出力させる。
【0073】
ここで、警報処理部64で火災発報の連動元警報音を出すときには、報知部26のLED54を例えば明滅させ、一方、連動先警報音を出す場合には、報知部26のLED54を点滅させる。これによって、連動元警報と連動先警報におけるLED54の表示を区別できるようにしている。もちろん、連動元警報と連動先警報のいずれについても、同じLED54の明滅または点滅、点灯表示であってもよい。
【0074】
そして、自己の検出対象となる第1の警報としての火災警報(音響/表示)と、自己の検出対象と異なるガス漏れのイベント信号を受信した際の第2の警報としてのガス漏れ警報(音響/表示)をそれぞれ異ならせる。もちろん、第1の警報に伴う表示を行うLED50とは別に第2の警報に伴う表示を行うLEDを設けることも出来る。
【0075】
また警報処理部64は、連動元を示す警報音の出力中に操作部28に設けている警報停止スイッチ56の操作をイベント検出部58で検出したとき、スピーカ52から出力している連動元を示す第1の異常警報となる警報音を停止させると共に、自己の属するグループ符号と警報オフのオンオフ符号を含むイベント信号を無線通信部20の送信回路32から他の住警器10−2〜10−4及びガス漏れ警報器12−1〜12−3に送信し、他の住警器10−2〜10−4及びガス漏れ警報器12−1〜12−3おける連動先の警報音を停止させる。
【0076】
この場合、スピーカ52ら出力している連動元を示す警報音を停止させ、LED54の表示は少なくとも所定期間保持し、警報オフのイベント信号を無線通信部20の送信回路32から他の住警器10−2〜10−4及びガス漏れ警報器12−1〜12−3に送信し、他の住警器10−2〜10−4及びガス漏れ警報器12−1〜12−3における連動先の警報音とLED54の表示を停止させ、連動元の表示だけは残すようにしても良い。
【0077】
このようにすれば、後に発報履歴として確認することで異常検出元(異常発生場所)を特定することが容易になる。もちろん、その他の警報停止パターンを取ることも出来る。
【0078】
また警報処理部64は、連動先を示す警報音の出力中に他の住警器10−2〜10−4またはガス漏れ警報器12−1〜12−3から自己のグループ又は連携グループに属する警報オフのイベント信号を無線通信部20の受信回路34により受信し、受信処理部62で有効となったときは、連動先を示す警報音を停止させる。
【0079】
また警報処理部64は、センサ部24に設けた検煙部46から煙がなくなることで火災が判別されなくなる異常復旧をイベント検出部58で検出した時に、連動元警報を停止させて通常状態に戻すと共に、このとき送信処理部62により自己の属するグループ符号と警報オフを示すオンオフ符号を含むイベント信号を無線通信部20の送信回路32から連動先の住警器10−2〜10−4及びガス漏れ警報器12−1〜12−3に送信させ、一方、他の住警器10−2〜10−4から自己のグループに属するグループ符号と火災復旧に基づく警報オフを含むイベント信号を無線通信部20の受信回路34で受信し、受信処理部62で有効となった時に、連動先の火災警報を停止させて通常状態に戻す。
【0080】
これよって、住警器10−1で連動元警報が出された場合、現場確認により火災以外の煙による発報と確認されたときや適切な対応により早期に火災の原因が取り除かれた時などには、検煙部50の煙流入口から息を吹き込んで中に入っている煙を出せば、センサ部24からの火災検出信号がなくなり、自動的に連動元の警報音は停止して通常の監視状態に復旧することができる。
【0081】
また警報処理部64は、連動先となるガス漏れ警報の出力中に、例えばガス漏れ警報器12−1から連携グループに属するガス漏れ復旧に基づく警報オフを示すイベント信号を無線通信部20の受信回路34で受信し、受信処理部62で有効となった時に、連動先としてのガス漏れ警報を停止させて通常状態に戻す。
【0082】
図3は本実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図である。図3において、イベント信号36は連番38、送信元符号40、グループ符号42及びオンオフ符号44で構成されている。送信元符号はイベント信号を送信した住警器または警報器を特定する個別のIDであって、国内の無線機器から発信される信号に付加することが規格等で義務づけられている。ここでは例えば各住警器または警報器のシリアル番号を使用する。
【0083】
連番38はイベント信号の順番を示す連続番号であり、イベント信号を送信する毎に1つずつ増加させる。また、連番38は住警器10−1〜10−5およびガス漏れ警報器12の各々で非同期に生成している。
【0084】
連番38は警報器間の通信に於いてイベント信号の中継処理を管理するためのものであるが、本発明に直接関係しないので詳細な説明を省略する。
【0085】
送信元符号40は例えば26ビットの符号である。グループ符号42は例えば8ビットの符号であり、同一グループを構成する例えば図1の住警器10−1〜10−4及びガス漏れ警報器12−1〜12−3につきそれぞれのグループ毎に異なり、グループ内では同じグループ符号が設定されている。
【0086】
なおグループ符号42としては、同一グループの住警器に同一のグループ符号を設定する以外に、予め定めたグループを構成する住警器に共通な基準符号と、各住警器に固有な送信元符号との演算から求めた住警器ごとに異なるグループ符号であってもよい。
【0087】
また、住警器及びガス漏れ警報器のそれぞれで構成するグループに含まれる端末数は例えば8台としており、それ以上設ける場合は、別のグループを構成してグループ間で連携連動させる。
【0088】
オンオフ符号44は、警報(イベント)のオン又は警報のオフを示すオンオフ符号であり、イベント検出部58による火災発報の検出でオンオフ符号42に警報オンをセットし、イベント検出部58による火災発報の復旧、警報停止スイッチ28の操作による警報停止で、オンオフ符号42を警報オフにセットする。
【0089】
図4は図1の警報システムに設けたガス漏れ警報器12−1の実施形態を示したブロック図である。他のガス漏れ警報器12−2、12−3も同様の構成となる。
【0090】
ガス漏れ警報器12−1はプロセッサ118を備え、プロセッサ118に対してはアンテナ121を備えた無線通信部120、メモリ122、ガス漏れを検出するセンサ部124、報知部126、操作部128及び電池電源130を設けている。
【0091】
無線通信部120には送信回路132と受信回路134が設けられる。メモリ122には、イベント信号に付加する連続番号である連番38、自己のID(識別子)である送信元符号40、自己の属するグループ示すグループ符号42(ここではG2)、自己のグループと連携をとる住警器10−1〜10−4が属する連携グループ符号45(ここではG1)、及び連携グループG1からの警報のオンオフ符号を含むイベント信号受信判別による警報出力に使用される第2異常警報情報(火災警報情報)146が格納されている。
【0092】
報知部126にはスピーカ152とLED154が設けられ、操作部128には警報停止スイッチ156が設けられている。スピーカ152に代えて、ブザー等を用いても良い。
【0093】
これらの詳細は、ガス漏れを検出するセンサ部124を除き、図2の住警器10−1に設けた無線通信部20、メモリ22、報知部26、操作部28及び電池電源30と基本的に同じになる。
【0094】
プロセッサ118にはプログラムの実行により実現される機能として、イベント検出部158、送信処理部160、受信処理部162及び警報処理部164が設けられている。イベント検出部158、送信処理部160、受信処理部162及び警報処理部164の機能は、図2の住警器10−1のプロセッサに設けたイベント検出部58、送信処理部60、受信処理部62及び警報処理部64に対応しており、イベント検出部158で検出する第1の異常がガス漏れであり、受信処理部160で他の住警器から受信するイベント信号による第2の異常が火災発報となる点で相違し、それ以外は基本的に同じになる。
【0095】
また、メモリ122に格納された第2異常警報情報146には、ガス漏れ警報器12−1の属するグループG2と連携をとる他のグループG1、即ちガス漏れと異なる異常である火災を検出する住警器10−1〜10−4から成る連携グループG1から警報オンのイベント符号を含むイベント信号を受信した時の警報出力に使用される情報であり、例えばスピーカ152から出力する音声メッセージとして例えば「ピーピーピー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」を示す音声データが格納されている。
【0096】
このようにメモリ122に第2異常警報情報146を格納しておくことで、連携グループG1に属する他の警報器からの警報オンのオンオフ信号を含むイベント信号を受信した場合、イベント信号からはイベント種別は不明であるが、警報オンのオンオフ符号に基づきメモリ122の第2異常警報情報146を警報出力することで、連携グループG1で監視している火災警報を出力することができる。
【0097】
図5は図2の住警器10−1における火災監視処理の詳細を示したフローチャートであり、プロセッサ18のプログラムの実行による処理となる。
【0098】
図5において、火災監視処理は、ステップS1で火災発報を監視しており、センサ部24から出力された検出信号が所定の火災レベルを超えると火災発報を判別してステップS2に進み、連番、送信元符号、グループ符号及び警報オンを示すオンオフ符号を含むイベント信号を他の住警器及びガス漏れ警報器に無線により送信した後、ステップS3で連動元を示す警報を出力する。
【0099】
続いて、ステップS4でセンサ部24からの検出信号が低下して火災発報がなくなる火災復旧の有無を判別しており、火災発報が継続している場合はステップS5で警報停止スイッチ56による警報停止操作の有無を判別し、警報停止操作が無ければステップS6で他の住警器又はガス漏れ警報器からの同一又は連携グループに属する警報オフを示すオンオフ符号を含むイベント信号受信の有無を判別する処理を繰り返している。なお、火災発報の継続中にあっては、所定時間毎に火災発報を示すイベント信号の送信を繰り返している。
【0100】
ステップS4〜S6の処理サイクル中に、センサ部24からの検出信号が低下し火災発報がなくなるとステップS4で火災復旧が判別され、ステップS7で連番、送信元符号、グループ符号及び警報オフを示すオンオフ符号を含むイベント信号を他の住警器及びガス漏れ警報器に送信し、ステップS8に進んで連動元警報を停止し、この場合は通常の監視状態に戻る。
【0101】
またステップS6で他の住警器又はガス漏れ警報器から同一又は連携グループに属する警報オフのオンオフ符号を含むイベント信号受信を判別すると、ステップS8に進んで連動元警報を停止する。これに限らず、警報停止処理は、先述の(1)〜(3)のパターンの何れに依っても良い。またLED54による表示は、先に述べたように履歴(記憶)表示を行うなど、音響警報の停止処理と異ならせることも出来る。
【0102】
ステップS5で自己の警報停止操作を判別した場合は、ステップS7に進んで他の住警器および警報器に連番、送信元符号、グループ符号及び警報オフを示すオンオフ符号を含むイベント信号を送信し、ステップS8で連動元警報を停止する。
【0103】
一方、ステップS1で火災発報でなかった場合には、ステップS9で他の住警器またはガス漏れ警報器からの同一又は連携グループに属するイベント信号受信の有無を判別している。他の住警器又はガス漏れ警報器からの同一又は連携グループに属するイベント信号受信を判別すると、ステップS10に進んで受信したイベントが自己の検出対象と同種の火災発報のイベントか否か判別する。
【0104】
このイベント種別の判別は、受信したイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ22に格納した自己の属するグループのグループ符号と一致すれば自己の検出対象と同種の火災発報イベントと判別し、メモリ22に登録している連携グループと一致すれば異種のガス漏れイベントと判別する。
【0105】
ステップS10で同種の火災発報イベントを判別した場合はステップS11に進んで連動先としての火災警報(第1の異常警報)を行う。またステップS11で自己の検出対象と異種のガス漏れイベントを判別した場合はステップS12に進み、メモリ22に格納している第2異常警報情報46に基づき連動先としてのガス漏れ警報(第2の異常警報)を出力する。
【0106】
次にステップS13で他の住警器またはガス漏れ警報器から同一又は連携グループに属する警報オフを示すオンオフ符号を含むイベント信号受信の有無を判別しており、同一又は連携グループに属する警報オフを示すイベント信号を受信すると、ステップS16に進んで連動先としての火災又はガス漏れ警報を停止し、この場合は通常の監視状態に戻る。ここでも、音響警報停止処理と表示警報停止処理の内容や組み合わせパターンから適宜に選択して行わせることが出来る。
【0107】
このステップS13で判別される警報オフを示すオンオフ符号を含むイベント信号は、他の住警器又はガス漏れ警報器が、異常復旧又は警報停止操作のイベントを検出して送信したイベント信号である。
【0108】
ステップS13で警報オフを示すイベント信号受信がない場合には、ステップS14で警報停止スイッチ56による警報停止操作の有無を判別しており、警報停止操作を判別すると、ステップS15に進んで他の住警器およびガス漏れ警報器に、連番、送信元符号、グループ符号及び警報オフを示すオンオフ符号を含むイベント信号を送信した後、ステップS16で連動先としての火災又はガス漏れ警報を停止する。
【0109】
図6は図4のガス漏れ警報器12におけるガス漏れ監視処理の詳細を示したフローチャートであり、プロセッサ118のプログラムの実行による処理となる。
【0110】
図6において、ガス漏れ災監視処理は、ステップS21でガス漏れを監視しており、センサ部124から出力された検出信号が所定のレベルを超えるとガス漏れを判別してステップS22に進み、連番、送信元符号、グループ符号及び警報オンを示すオンオフ符号を含むイベント信号を他の住警器及びガス漏れ警報器に無線により送信した後、ステップS23で連動元を示す警報を出力する。
【0111】
続いて、ステップS24でセンサ部124からの検出信号が低下してガス漏れがなくなるガス漏れ復旧の有無を判別しており、ガス漏れが継続している場合はステップS25で警報停止スイッチ156による警報停止操作の有無を判別し、警報停止操作が無ければステップS26で他の住警器又はガス漏れ警報器からの同一又は連携グループに属する警報オフを示すオンオフ符号を含むイベント信号受信の有無を判別する処理を繰り返している。なお、ガス漏れの継続中にあっては、所定時間毎にガス漏れを示すイベント信号の送信を繰り返している。
【0112】
ステップS24〜S26の処理サイクル中に、センサ部124からの検出信号が低下しガス漏れがなくなるとステップS24でガス漏れ復旧が判別され、ステップS27で連番、送信元符号、グループ符号及び警報オフを示すオンオフ符号を含むイベント信号を他の住警器及びガス漏れ警報器に送信し、ステップS28に進んで連動元警報を停止し、この場合は通常の監視状態に戻る。
【0113】
またステップS26で他のガス漏れ警報器又は住警器から同一又は連携グループに属する警報オフのオンオフ符号を含むイベント信号受信を判別すると、ステップS28に進んで連動元警報を停止する。
【0114】
ステップS25で自己の警報停止操作を判別した場合は、ステップS27に進んで他の住警器に連番、送信元符号、グループ符号及び警報オフを示すオンオフ符号を含むイベント信号を送信し、ステップS28で連動元警報を停止する。これに限らず、警報停止処理は、先述の(1)〜(3)のパターンの何れに依っても良い。またLED154による表示は、先に述べたように履歴(記憶)表示を行うなど、音響警報の停止処理と異ならせることも出来る。
【0115】
一方、ステップS21で火災発報でなかった場合には、ステップS29で他のガス漏れ警報器又は住警器からの同一又は連携グループに属するイベント信号受信の有無を判別している。他のガス漏れ警報器又は住警器からの同一又は連携グループに属するイベント信号受信を判別すると、ステップS30に進んで受信したイベントが自己の検出対象と同種のガス漏れのイベントか否か判別する。
【0116】
このイベント種別の判別は、受信したイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ122に格納した自己の属するグループのグループ符号と一致すれば自己の検出対象と同種のガス漏れイベントと判別し、メモリ122に登録している連携グループと一致すれば異種の火災発報イベントと判別する。
【0117】
ステップS30で同種のガス漏れイベントを判別した場合はステップS31に進んで連動先としてのガス漏れ警報(第1の異常警報)を行う。またステップS31で自己と異種の火災発報イベントを判別した場合はステップS32に進み、メモリ122に格納している第2異常警報情報146に基づき連動先としての火災警報(第2の異常警報)を出力する。
【0118】
次にステップS33で他のガス漏れ警報器又は住警器から同一又は連携グループに属する警報オフを示すオンオフ符号を含むイベント信号受信の有無を判別しており、同一又は連携グループに属する警報オフを示すイベント信号を受信すると、ステップS36に進んで連動先としてのガス漏れ又は火災警報を停止し、この場合は通常の監視状態に戻る。
【0119】
このステップS33で判別される警報オフを示すオンオフ符号を含むイベント信号は、他のガス漏れ警報器又は住警器が、異常復旧又は警報停止操作のイベントを検出して送信したイベント信号である。
【0120】
ステップS33で警報オフを示すイベント信号受信がない場合には、ステップS34で警報停止スイッチ156による警報停止操作の有無を判別しており、警報停止操作を判別すると、ステップS35に進んで他の住警器およびガス漏れ警報器に、連番、送信元符号、グループ符号及び警報オフを示すオンオフ符号を含むイベント信号を送信した後、ステップS36で連動先としてのガス漏れ又は火災警報を停止する。
【0121】
なお上記の実施形態は火災を検出して警報する住警器のグループとガス漏れを検出して警報するガス漏れ警報器のグループを構成して同一及び異種グループの警報器で連動警報を行う警報システムを例にとるものであったが、ガス漏れ警報器以外に、CO警報器や各種の防犯用警報器を配置した警報システムについても同様に適用できる。
【0122】
上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入する等が出来る。
【0123】
自己の検出対象と同種の警報(第1の異常警報)と、異なる種類の異常警報(第2の異常警報)は独立して行われるので、第1の警報と第2の警報を同時に出力することもあり、このような場合の警報停止や復旧は第1の警報と第2の警報のどちらかのみについて実施されることもある。このような場合はつまり、第1、第2の警報出力中に例えば第1の警報停止を示すイベント信号を受信した場合には、第1の警報のみを停止して第2の異常警報は引き続き出力するといった処理となる。
【0124】
一方、第2の異常警報中に第1の異常警報を示すイベント信号を受信したときには、第2の異常警報を停止して第1の異常警報を出力するなど、警報に優先順位を付けることも出来る。これにより例えば、場合によっては防犯要警報器からの異常信号よりも火災を優先とするなど、異常発生に伴う危険度に応じて利用者に適切な警報を行うことが出来る。
【0125】
そして、第2の異常警報は2種類目の警報という意味に限定されない。自己の検出対象と異なる異常警報を複数処理することも出来る。もちろん、場合により第2の警報を優先としても良い。これら優先度は、スイッチやその他適宜の手段で利用者が設定できるようにしても良いし、ソフトウェアやハードウェアを用いた各種手段により出荷時に予め設定登録しておいても良い。
【0126】
このように優先度を設定したな場合でも、音響警報や表示警報、それらの停止処理等についてのバリエーションは、上記実施例と同様に選択することが出来る。警報の種類によっては優先度の設定が極めて難しい場合もあり、このようなときには専門家等が設置環境やその他の条件を考慮して行うべきであるが、利用者が設定しても問題の無い範囲のみ利用者が自由に設定できるようにし、その他は利用者には変更できない手段によって専門家が設定するようにしても良い。利用者は設定可能な範囲で優先度を設定することが出来、異常発生の際にどのような対処するべきかを予め想定することも出来る。
【0127】
また例えば第1の異常警報を優先的に音響警報している時でも、第2の異常警報を表示によって行う等、音響警報と表示警報を組み合わせた優先処理を行うことも出来る。そして、連動元と連動先の違いによっても優先処理を異ならせることが出来る。例えば、システム全体としては火災警報を最優先とする場合、火災発生時は連動元も連動先も火災を音声警報する。同時にガス漏れが発生している場合は、この連動元となるガス漏れ警報器にとっては第1の異常警報となるガス漏れ警報を表示のみで警報し、第2の異常警報となる火災を音声で警報することなどが出来る。そして、火災警報器(住警器)は、自己にとっては第1の異常警報となる火災を音声警報しつつ、第2の異常警報となるガス漏れを表示で警報する。そして例えば、第1の異常警報を優先としている場合でも、第2の異常のみが有る場合には、これを優先警報と同様に警報し、この警報中に第1の異常発生が有ったときに第1の異常を優先警報する。
【0128】
このような処理によって、システム全体としてもきめ細かな警報を行い、利用者は発生している異常を確実に知ることが出来、そのうち優先的な(危険度の高い)異常は何かを知ることも出来る。更に、例えば連動元の表示は点灯とし連動先の表示は点滅とすることによって、視認している警報器が連動元であるか連動先であるかをも知ることが出来る。このように異常警報に優先度を設けたり連動元と連動先で警報の出力方法を異ならせたり、またそれらを組み合わせることによっても、異常発生の際に、利用者がより適切に対処することが可能になる。
【0129】
また上記の実施形態では、住警器に対する異種警報器として配置したガス漏れ警報器に送信と受信を行う無線通信部を設けて双方向通信する場合を例にとっているが、ガス漏れ警報器などの異種警報器については、異常を検出してイベント信号を送信する送信機能のみを設けた片方向通信としても良い。
【0130】
また、上記の実施形態は住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報器にも適用できる。
【0131】
また、音響警報装置としてブザーを使用する場合は、異なる種類の鳴動音(周波数、周期、音色等)によって各種異常警報を行わせることが出来、これにより音声メッセージ同様に内容を区別することが出来る。
【0132】
また、上記の実施形態は警報器にセンサ部と警報出力処理部を一体に設けた場合を例にとるが、他の実施形態として、センサ部と警報出力処理部を別体とした警報器であっても良い。
【0133】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。

【符号の説明】
【0134】
10−1〜10−5:住警器
12:ガス漏れ警報器
14:住宅
16:ガレージ
18,118:プロセッサ
20,120:無線通信部
21,121:アンテナ
22,122:メモリ
24,124:センサ部
26,126:報知部
28,128:操作部
30,130:電池電源
32,132:送信回路
34,134:受信回路
36:イベント信号
38:連番
40:送信元符号
42:グループ符号
44:オンオフ符号
46,146:第2異常警報情報
50:検煙部
52,152:スピーカ
54,154:LED
56,156:警報停止スイッチ
58,158:イベント検出部
60,160:送信処理部
62,162:受信処理部
64,164:警報処理部
66,166:イベント符号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同種の異常を検出して警報する自己の属するグループの他の警報器と、異種の異常を検出して警報する他のグループに属する他の警報器との間で警報を連動させて異常を監視する警報器に於いて、
異常の有無を含むイベントを検出するイベント検出部と、
自己の属するグループのグループ符号、自己の属するグループと連携を取る少なくとも1つの他の連携グループの連携グループ符号、及び前記連携グループに対応した第2の異常警報情報を記憶する記憶部と、
前記イベント検出部で異常を検出した場合に、他の警報器へ前記記憶部に記憶された自己の属するグループ符号と、警報のオン又は警報のオフを示すオンオフ符号を含むイベント信号を送信する送信処理部と、
他の警報器からのイベント信号を受信する受信処理部と、
前記イベント検出部で異常を検出した時に第1の異常警報を出力し、前記受信処理部で他の警報器からのイベント信号を受信した時に、受信したイベント信号から自己のグループ符号と警報オンのオンオフ符号を判定した場合に第1の異常警報を出力し、受信したイベント信号から連携グループ符号と警報オンのオンオフ符号を判定した場合に前記記憶部の第2の異常警報情報に基づき第1の異常警報とは異なる第2の異常警報を出力する警報処理部と、
を備えたことを特徴とする警報器。

【請求項2】
請求項1記載の警報器に於いて、前記警報処理部は、前記イベント検出部で異常が検出されたときは、他の警報器から受信したイベント信号に基づく前記第2の異常警報に優先して、前記イベント検出部で検出された異常を第1の異常警報として警報することを特徴とする警報器。

【請求項3】
請求項1記載の警報器に於いて、前記警報処理部は、前記イベント検出部で異常が検出されたことに基づく第1の異常警報出力中に他の警報器から前記イベント検出部の検出対象とは異なる異常を示すイベント符号を含むイベント信号を受信したときには、前記第1の異常警報に優先して前記第2の異常を警報することを特徴とする警報器。

【請求項4】
請求項1記載の警報器に於いて、前記警報処理部は、前記記憶部に記憶されている前記グループ符号および前記連携グループ符号の記憶アドレスに応じて、前記第1の異常警報と前記第2の異常警報の優先度を決定することを特徴とする警報器。

【請求項5】
請求項1記載の警報器に於いて、前記警報処理部は、前記イベント検出部で異常が検出されると共に、他の警報器からイベント信号を受信しているときには、前記イベント検出部で検出された異常を第1の異常警報として出力し、併せて前記他の警報器から受信したイベント信号に基づく異常を第2の異常警報として出力することを特徴とする警報器。

【請求項6】
請求項1記載の警報器に於いて、
前記送信処理部は、前記イベント検出部で異常の復旧を検出した場合に、他の警報器に自己のグループ符号と、警報のオフを示すオンオフ符号を含むイベント信号を送信させ、
前記警報処理部は、前記イベント検出部で異常の復旧を検出した場合に前記第1の異常警報の出力を停止し、前記受信処理部で他の警報器からのイベント信号を受信した時に、受信したイベント信号から自己のグループ符号と警報オフのオンオフ符号を判定した場合に第1の異常警報の出力を停止し、受信したイベント信号から連携グループ符号と警報オフのオンオフ符号を判定した場合に前記第2の異常警報の出力を停止することを特徴とする警報器。

【請求項7】
請求項1記載の警報器に於いて、
前記送信処理部は、前記イベント検出部により異常警報の停止指示を検出した場合に、他の警報器に自己のグループ符号と、警報のオフを示すオンオフ符号を含むイベント信号を送信させ、
前記警報処理部は、前記イベント検出部により異常警報の停止指示を検出した場合に前記第1の異常警報の出力を停止し、前記受信処理部で他の警報器からのイベント信号を受信した時に、受信したイベント信号から自己のグループ符号と警報オフのオンオフ符号を判定した場合に第1の異常警報の出力を停止し、受信したイベント信号から連携グループ符号と警報オフのオンオフ符号を判定した場合に前記第2の異常警報の出力を停止することを特徴とする警報器。

【請求項8】
同種の異常を検出して警報する複数の警報器を備えたグループを異常の種別毎に構成し、同一グループ内の警報器及び異なるグループの警報器の間で警報を連動させて異常を監視する警報システムに於いて、
前記各グループに属する警報器の各々は、
異常の有無を含むイベントを検出するイベント検出部と、
自己の属するグループのグループ符号、自己の属するグループと連携を取る少なくとも1つの他の連携グループの連携グループ符号、及び前記連携グループに対応した第2の異常警報情報を記憶する記憶部と、
前記イベント検出部で異常を検出した場合に、他の警報器へ前記記憶部に記憶された自己の属するグループ符号と、警報のオン又は警報のオフを示すオンオフ符号を含むイベント信号を送信する送信処理部と、
他の警報器からのイベント信号を受信する受信処理部と、
前記イベント検出部で異常を検出した時に第1の異常警報を出力し、前記受信処理部で他の警報器からのイベント信号を受信した時に、受信したイベント信号から自己のグループ符号と警報オンのオンオフ符号を判定した場合に第1の異常警報を出力し、受信したイベント信号から連携グループ符号と警報オンのオンオフ符号を判定した場合に前記記憶部の第2の異常警報情報に基づき第1の異常警報とは異なる第2の異常警報を出力する警報処理部と、
を備えたことを特徴とする警報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−272040(P2010−272040A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124916(P2009−124916)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】