説明

警報器

【課題】使用者が睡眠中における報知音の出力を防止すると共に、機能異常を確実に報知する警報器を提供する。
【解決手段】環境における物理量を検出し、検出した物理量が所定値以上であったときに警報音を出力する警報器であって、周囲の明るさを測定する照度測定部5と、自器の機能試験を行うことで機能異常を検出する機能異常検出部と、測定された明るさが所定値以上のときに検出された機能異常を報知するための報知音を出力させる制御部7とを備えており、制御部7は、機能異常が検出されてから所定時間の間継続して前記所定値以上の明るさが測定されなかった場合においても前記報知音を出力させる警報器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、火災、ガス漏れ等の環境異常を検知して警報音を出力する警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、火災、ガス漏れ等の環境異常を検出して警報音を出力する警報器において、自器の機能試験を行い機能異常が検出された際に報知音を出力するものが知られている。このような試験機能を設けたことにより、使用者は警報器の故障を未然に知ることができ、災害時において機能異常により警報音が出力されないといった事態を防ぐことができる。
【0003】
しかしながら、この試験機能は夜間に機能異常の報知音が出力された場合には使用者の睡眠の妨げとなるため、周囲が明るい時にのみ報知音を出力するものが提案されている。例えば、下記非特許文献1では、周囲の明るさを検知する受光素子と、受光素子からの受光出力が設定レベル以下に低下しことを検出する受光出力検出手段を備えており、受光出力が設定レベル以下の場合には、電池電圧低下の警報出力を禁止する制御手段を備えた警報器が示されている。
【0004】
したがって、この場合には、周囲が明るい時にのみ電池電圧低下の警報出力を行うため、警報出力により使用者の睡眠を妨げてしまうような事態を防ぐことができる。
【非特許文献1】公開実用新案公報 平1−68593
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記した非特許文献1に記載の警報器では、普段使用しておらず締め切った部屋においては、長い間警報器の周囲が暗いままの場合があり、電池電圧低下の警報出力がなされないまま電池切れとなる虞があった。
【0006】
本願発明は、係る課題を解決するためになしたものであり、その目的は、使用者が睡眠中における報知音の出力を防止すると共に、機能異常を確実に報知する警報器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明では、環境における物理量を検出し、検出した物理量が所定値以上であったときに警報音を出力する警報器であって、周囲の明るさを測定する照度測定部と、自器の機能試験を行うことで機能異常を検出する機能異常検出部と、測定された明るさが所定値以上のときに検出された機能異常を報知するための報知音を出力させる制御部とを備えており、制御部は、機能異常が検出されてから所定時間の間継続して前記所定値以上の明るさが測定されなかった場合においても前記報知音を出力させることを特徴としている。
【0008】
また、本願請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の警報器において、制御部は、所定値以上の明るさが測定されなかった場合においては、所定値以上の明るさを測定した場合に比べて前記報知音の出力音量を大きくすることを特徴としている。
また、本願請求項3記載の発明では、上記請求項1または2記載の警報器において、警報器は電池の電力により動作するものであって、機能異常検出部は電池電圧が所定値以下に低下したことを前記機能異常として検出し、制御部は前記電池電圧の低下を報知するための報知音を出力させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明の警報器によれば、測定された明るさが所定値以上の場合に報知音を出力させるよう制御し、且つ、所定時間の間継続して所定値以上の明るさが測定されなかった場合においても報知音を出力させるので、使用者が睡眠中における報知音の出力を防止すると共に、機能異常が報知されないままになるのを防止することができる。
【0010】
請求項2に係る発明の警報器によれば、所定値以上の明るさが所定時間測定されなかった場合の報知音は、出力音量を大きくするため、普段使用しておらず締め切った部屋等の報知音に気付きにくい場所に設置された警報器においても、報知音を使用者により聞き取りやすくすることができる。
【0011】
請求項3に係る発明の警報器によれば、電池電圧の低下を報知するにあたり、使用者の睡眠を妨げることを防止しつつも確実に報知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1〜3は、本願発明に対応した第一の実施形態である警報器を示している。この警報器は、環境における物理量を検出し、検出した物理量が所定値以上であったときに警報音を出力する警報器であって、周囲の明るさを測定する照度測定部5と、自器の機能試験を行うことで機能異常を検出する機能異常検出部と、測定された明るさが所定値以上のときに検出された機能異常を報知するための報知音を出力させる制御部7とを備えており、制御部7は、機能異常が検出されてから所定時間の間継続して前記所定値以上の明るさが測定されなかった場合においても前記報知音を出力させる。そして、制御部7は、所定値以上の明るさが測定されなかった場合においては、所定値以上の明るさを測定した場合に比べて前記報知音の出力音量を大きくするものである。
【0013】
以下、この実施形態の警報器を、より具体的詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態の警報器の基本構成を示すブロック図であり、図2は、警報器の外観構成を示す斜視図である。図3は、警報器の基本動作の一例を示すフローチャートである。また、本実施形態における警報器は、環境における物理量として煙濃度を検出することで火災警報を発する電池駆動式の警報器であり、機能異常として電池電圧の低下を検出するものである。
【0014】
図1より、この警報器は警報器本体Aの中に、煙濃度を検出する火災検知部1と、報知音および警報音を出力する報知部2と、駆動源となる電池3と、電池電圧を測定する電圧測定部4と、周囲の明るさを測定する照度測定部5と、各種操作に使用される操作ボタン6と、各部の制御を行う制御部7とを備えている。また、制御部7には所定のタイミングで計時を開始する計時部8が設けられている。
【0015】
ここで、警報器本体Aは、各構成部品を収納する容器であり、図2に示すようにプラスチックなどにより略円盤状に形成され、警報器本体Aの内部に収納された火災検知部1に外気を導入する開口9を備えている。この警報器本体Aは、天井や壁等の構造物に取り付けられる。
【0016】
火災検知部1は、環境における物理量として煙を検出するセンサーであり、従来用いられているものと同様の構成であるため詳しくは図示しないが、煙感知室内に発光素子と受光素子を有した構造になっている。そして、所定周期で発光素子を駆動して、その発光を煙感知室内に流入して来た煙粒子に当て、煙粒子からの散乱光を受光素子で受光して電気信
号に変換させて、煙濃度を検出している。
【0017】
報知部2は、火災検知部1で検出した煙濃度が所定値以上になったときに、制御部7からの制御を受けて音声により警報音を出力するスピーカで構成されており、例えば、「ヒュー、ヒュー、火事です、火事です」といった警報音を出力する。スピーカから出力される警報音は操作ボタン6を押すことで停止することができる。
【0018】
電圧測定部4は、電池3の電圧を測定しており、測定した電圧が所定の閾値以下になったときに、電池切れを検知して電池切れ信号を制御部7に送信する。なお、電池切れの閾値は、閾値を下回ってからもしばらくの間は火災警報の出力が可能な電圧値に設定しており、例えば、定格電圧3Vの電池を使用する場合は、電池切れの閾値を2.7V程度に設定する。
【0019】
照度測定部5は、受光素子を用いて照度を測定するものであり、測定した照度は制御部7に送信する。
【0020】
制御部7は、ICなどで構成される電子部品を実装したプリント基板(不図示)で構成されており、電圧測定部4から電池切れ信号を受信した場合において、照度測定部5の照度が所定の閾値以上であれば電池切れを報知する報知音を報知部2から出力させる。また、電池切れ信号を受信した際に、照度が所定の閾値を下回っている場合には、計時部8による計時を開始させ、所定時間経過後においても照度が所定の閾値を下回り続けていた場合には、電池切れを報知する報知音を出力させる。なお、所定時間としては、例えば、使用者の睡眠を邪魔しないよう10時間程度に設定することができる。
【0021】
したがって、この実施形態においては、電圧測定部4が機能異常検出部として作用する。なお、上記照度の閾値としては、人が室内で活動できない程度の照度、例えば、10lx程度に設定することができ、また、報知音としては、例えば、「ピッ、電池切れです」といったものである。ただし、上記の閾値(電池切れ閾値、照度閾値)や報知音は、これに限定されるものではない。
【0022】
次に、図3を参照して、この警報器において電池切れが検知されてから報知音を出力されるまでのフローを説明する。まず、電圧測定部4で電池切れ検知されると(S01)、制御部7は照度が所定の閾値以上か否かを判定し(S02)、照度が所定の閾値以上である場合は、報知部2から電池切れの報知音を出力させる(S06)。一方、照度が所定の閾値を下回る場合は、計時部8の計時を開始させる(S03)。
【0023】
この後、照度が所定の閾値以上になった場合には報知音を出力させるが(S06)、照度が閾値を下回ったままの場合は、そのまま報知音は出力されない(S04)。そして、照度が閾値を下回ったまま所定時間が経過した場合には(S05)、報知音が出力される(S07)。ここで、所定時間照度が閾値を下回り続けた場合は、警報器が設置された部屋が普段使用されていない部屋であることが予想されるので、通常の報知音に比べて音量の大きい報知音を出力する。
【0024】
また、測定される照度については、例えば、睡眠中に他人が扉を開けた際に一瞬だけ室内が明るくなる場合等において報知するのを防止するために、複数回連続して測定照度が閾値を上回った場合にのみ報知音を出力する構成にしてもよい。
【0025】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る警報器によれば、測定された明るさが所定値以上の場合に報知音を出力させるよう制御するので、使用者が部屋の明かりを消した睡眠中に報知音が出力されて、使用者の睡眠が妨げられるのを防止することができる。
【0026】
そして、電池切れを検知してから所定時間経過しても照度が所定値以下の場合においては、報知音を出力させるため、普段使用されない締め切った部屋においても電池切れを確実に報知することができる。
【0027】
また、照度が所定時間ずっと閾値以下であった場合には、報知音の音量を大きくするため、締め切った部屋からの報知音でも使用者が聞き取りやすくなるものである。なお、本発明は上記のように報知音の音量を大きくしなくてもよいが、この場合は、上記の効果は奏さない。
【0028】
また以上のような報知機能は、検知された後すぐに使用者が知る必要はないが、所定時間のうちに確実に知らせる必要のある電池切れ検知の報知に用いることがより効果的である。
【0029】
ただし、本発明の報知機能は報知する機能異常として、電池切れにのみ応用されるものではなく様々な機能異常の報知に応用することができる。図4に示す別の実施形態では、機能異常検出部10が設けられており、機能異常検出部10は、火災検知部1の検知性能劣化等の様々な機能異常を検知する。そして、機能異常が検知された後の報知音出力のプロセスは上記第一の実施形態と同様のため説明を省略する。
【0030】
なお、上記第一の実施形態および別の実施形態では、火災を検知する火災警報器として説明したが、本発明の警報器はこれに限定されるものではなく、ガス警報器等の種々の警報器に適応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本願発明の一実施形態である警報器を示すブロック図。
【図2】同警報器の外観を示す斜視図。
【図3】同警報器の報知音出力のフローを示すフロー図。
【図4】本願発明の別の実施形態である警報器のブロック図。
【符号の説明】
【0032】
1 火災検知部
2 報知部
3 電池
4 電圧測定部(機能異常検出部)
5 照度測定部
7 制御部
8 計時部
10 機能異常検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境における物理量を検出し、検出した物理量が所定値以上であったときに警報音を出力する警報器であって、
周囲の明るさを測定する照度測定部と、自器の機能試験を行うことで機能異常を検出する機能異常検出部と、測定された明るさが所定値以上のときに検出された機能異常を報知するための報知音を出力させる制御部とを備えており、
制御部は、機能異常が検出されてから所定時間の間継続して前記所定値以上の明るさが測定されなかった場合においても前記報知音を出力させることを特徴とする警報器。
【請求項2】
制御部は、所定値以上の明るさが測定されなかった場合においては、所定値以上の明るさを測定した場合に比べて前記報知音の出力音量を大きくすることを特徴とする請求項1記載の警報器。
【請求項3】
警報器は電池の電力により動作するものであって、機能異常検出部は電池電圧が所定値以下に低下したことを前記機能異常として検出し、制御部は前記電池電圧の低下を報知するための報知音を出力させることを特徴とした請求項1または2記載の警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−176184(P2009−176184A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15901(P2008−15901)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】