説明

警報器

【課題】スピーカからの警報音が出なくなる障害が発生しても、警報音に代替する警報動作を行って警報機能の低下を抑制する。
【解決手段】警報処理部40は、火災等の異常を検知した場合に、火災警報音をスピーカ36から出力すると共にLED22を点灯して警報表示する。障害検知部42はスピーカ36から警報音が出力されない警報音障害を検知する。警報音代替処理部50はイベント検知部38で警報音障害検知を検出した場合、スピーカ36の警報音に代替する警報動作を行わせる。警報音代替処理部は例えばLED22に流す駆動電流を増加させて表示輝度を上げて強く光らせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災等の異状や障害を検知して警報音出力と警報表示を行う警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における火災やガス漏れなどの異状を検知して警報する警報器が普及している。このうち、住宅用火災警報器を住警器と言う。
【0003】
このような住警器にあっては、住警器内にセンサ部と警報部を一体に備え、センサ部の検出信号から火災を検知すると警報部から音声メッセージを含む所定パターンの火災警報音を出力するようにしており、専用の受信設備等を必要とせず住警器単体で火災監視と警報ができることから、設置が簡単でコスト的にも安価であり、一般住宅での設置義務化に伴い広く普及している。
【0004】
また、複数の住警器間で通信を行うことによって、任意の住警器で火災警報音が出力されると、他の住警器でも連動して火災警報音を出力させる連動型の住警器システムも提案されている。
【0005】
このような連動型の住警器システムでは、住警器で火災を検知した場合、火災を検知した連動元の住警器は、メッセージと警報音を含む所定パターンの火災警報音、例えば「ピーピーピー 火災です 火事です」を出力し、一方、連動先の警報器では例えば「ピーピーピー 別の警報器が作動しました」といった連動先を示す火災警報音を出力するようにしている。
【0006】
また、近年、住警器の低消費電力化が推し進められた結果、電池寿命が例えば10年以上といった長寿命が保証されており、その間、電池交換は不要である。長期間使用して電池寿命に近づき、電池電圧(残り容量)の低下が検出されると、電池切れ予告警報(以下、「ローバッテリー障害警報」と言う)を出力して電池交換を促すようにしている。
【0007】
ローバッテリー障害警報の出力開始後(電池電圧低下検出後)は、引き続き所定時間(例えば72時間)以上にわたって断続的なローバッテリー警報出力が可能であれば良いものとされており、即ち、所定時間以内に電池交換が行われれば問題ないものとされている。一般的には、この期間中も正常な監視動作が出来るように設計されていることから、ローバッテリー警報は火災警報のように緊急性の高い警報ではない。
【0008】
また従来の住警器にあっては、ローバッテリー障害の有無を周期的に判断する自動点検以外に、センサや検出回路、音声報知回路故障の有無、汚損等による感度異状などセンサ障害を検知する自動点検を周期的に実行してメモリに記憶しており、通常状態で警報停止スイッチの操作により点検を指示すると、メモリに記憶された点検結果を報知するようにしている。
【0009】
点検結果の報知は、障害がなければ、例えば火災警報音と同じ「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」といった警報音を、スピーカを点検するため低い音量で1回出力する。一方、ローバッテリー障害を検出していれば「ピッ 電池切れです」といった障害警報音を複数回出力し、また、センサ障害を検出していれば「ピッ 故障です」といった障害警報音を複数回出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−094719号公報
【特許文献2】実用新案登録第3154579号公報
【特許文献3】特開2009−244937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、このような従来の住警器にあっては、スピーカからの音声メッセージによる警報が重要であり、スピーカ系統が故障して音が出なくなると、住警器としての機能が失われるという問題がある。
【0012】
本発明は、スピーカからの警報音が出なくなる障害が発生しても、警報音に代替する警報動作を行って警報機能の低下を抑制する警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、警報器に於いて、
警戒領域の環境変化を検出して検出信号を出力するセンサ部と、
警報音を出力する音響変換器と、
警報を表示する警報表示器と、
センサ部の検出信号出力から警戒領域における異状及び音響変換器の警報音出力性能の低下又は喪失状態を示す警報音障害をはじめとするイベントを検知するイベント検知部と、
イベント検知部で異状を検知した場合に、音響変換器から警報音を出力させると共に警報表示器を駆動して警報表示させる警報処理部と、
イベント検知部で警報音障害を検知した場合、音響変換器の警報音に代替する警報動作を行わせる警報音代替処理部と、
を設けたことを特徴とする。
【0014】
ここで、警報器が電池電源で動作する場合、警報音代替処理部は、イベント検知部で警報音障害検知を検知した場合、警報表示器に流す駆動電流を増加させて表示輝度を上げる。
【0015】
警報表示器に流す駆動電流の増加分は、音響変換器の設定平均駆動電流を超えない。
【0016】
更に、警報表示器以外に1又は複数の表示器を備え、
警報音代替処理部は、イベント検知部で警報音障害を検知した場合、警報表示器および表示器の少なくとも1つを駆動して警報表示させる。
【0017】
警報器が電池電源で動作する場合、警報表示器以外の1又は複数の表示器の駆動に要する電流は、音響変換器の設定平均駆動電流を超えない。
【0018】
異状を示すイベント信号を送信する送信部と、
他の警報器から異状を示すイベント信号を受信する受信部と、
を備え、
警報音代替処理部は、イベント検知部で警報音障害を検知した場合、送信部の送信電力を増加させる。
【0019】
警報器が電池電源で動作する場合、送信電力を駆動電流増加により増加させるときの、当該増加する駆動電流は、音響変換器の設定平均駆動電流を超えない。
【0020】
イベント検知部は、イベントとして、警報音障害以外に電池電源の電圧低下およびセンサ部の故障をはじめとする障害を検知し、
警報処理部は、イベント検知部で警報音障害以外の他の障害を検知した場合、音響変換器からの障害警報音と警報表示器の警報表示とにより障害警報を出力させ、
警報音代替処理部は、イベント検知部で警報音障害検知及び他の障害を検知した場合、音響変換器の障害警報出力に代替する警報動作を行わせる。
【0021】
更に、警報振動を発生させる警報振動器を備え、
警報音代替処理部は、イベント検知部で警報音障害を検知した場合、警報振動器に駆動電流を流して警報振動を発生させる。
【0022】
警報器が電池電源で動作する場合、警報振動器に流す駆動電流は、音響変換器の設定平均駆動電流を超えない。
【発明の効果】
【0023】
本発明の警報器によれば、スピーカやブザーなどの音響変換器からの警報音性能の低下又は出力線断線などにより警報音が出ない警報音喪失状態といった警報音障害が発生し、この状態で火災などの異状を検知した場合、警報音による警報出力に代替する警報音代替処理として、例えばLED等の警報表示器に流す駆動電流を増加して警報表示の輝度を高めて強く光るようにしたり、或いは警報器に設けている他の表示器を警報表示器と共に駆動して複数の表示器を光らせて警報表示を行う等の代替制御を行うことで、警報音が出ないことによる警報機能の低下を抑制し、より確実に利用者に異状発生を知らせることができる。
【0024】
また住警器が無線通信により異状を示すイベント信号を送信して異状警報を連動させる場合には、警報音性能の低下又は出力線断線などにより警報音が出ない警報音喪失状態といった警報音障害が発生した場合、異状を示すイベント信号の送信電力又は送信頻度を増加させ、迅速且つ確実に他の警報器にイベント信号を送信することで、連動先の警報器からの警報音による警報で代替し、より確実に利用者に異状の検知を警報することができる。
【0025】
また警報音性能の低下又は出力線断線などにより警報音が出ない警報音喪失状態といった状態でローバッテリー障害やセンサ障害などを検知した場合にも、LED等の警報表示器に流す駆動電流を増加させて警報表示の輝度を高めて強く光らせるといった警報音代替処理を行うことで、警報音が出ないことにより低下した警報機能の低下を抑制し、より確実に利用者に障害発生を知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による住警器の外観を示した説明図
【図2】本発明による住警器の実施形態を示したブロック図
【図3】図2の住警器による監視処理を示したフローチャート
【図4】図3に続く住警器の監視処理を示したフローチャート
【図5】図4に続く住警器の監視処理を示したフローチャート
【図6】警報音代替処理として複数のLEDを駆動する本発明による住警器の他の実施形態を示したブロック図
【図7】無線連動型の住警器による監視システムを設置した住宅を示した説明図
【図8】図7に示す無線連動型となる住警器の実施形態を示したブロック図
【図9】図8の実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図
【図10】図8の住警器による監視処理を示したフローチャート
【図11】図10に続く住警器の監視処理を示したフローチャート
【図12】図11に続く住警器の監視処理を示したフローチャート
【図13】図12に続く住警器の監視処理を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は単独で設置して使用する所謂スタンドアロー型となる本発明による住警器の外観を示した説明図であり、図1(A)に正面図を、図1(B)に側面図を示している。なお、取付フック15を設けているほうを上側とする。
【0028】
図1において、本実施形態の住警器10の筐体はカバー12と本体14で構成されている。カバー12の中央には、周囲に複数の煙流入口を開口し、その内部には検煙部16が配置され、警戒領域の環境変化として火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検知するようにしている。検煙部16としては例えば、公知の散乱光式検煙機構が適用できる。
【0029】
カバー12に設けた複数の開口部の内部には検煙部16を備え、検煙部16の左下側には音響穴18が設けられ、この背後にブザーやスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。検煙部16の下側には警報停止スイッチ20が設けられている。
【0030】
警報停止スイッチ20は外部から住警器10の点検結果の報知を指示する点検スイッチとしての機能を兼ねている。たとえば、火災警報時に警報停止スイッチ20が操作されると警報を停止し、通常状態で警報停止スイッチ20が操作されるとメモリに記憶されている自動点検の結果を報知する。ここで通常状態とは、少なくとも火災警報中または障害警報中でない状態を指す。
【0031】
警報停止スイッチ20は、半透明部材で形成されたスイッチカバーと、スイッチカバーの内部に配置されたプッシュスイッチ(図示せず)とで構成されている。即ち、スイッチカバーを押圧操作すると、内蔵のプッシュスイッチが押圧されるようになっている。スイッチカバー内部のプッシュスイッチ近傍には、点線で示すように警報等表示を行うLED22が配置されており、LED22が点灯、点滅、明滅作動すると、作動光が警報停止スイッチ20のスイッチカバーの部分を透過してLED122の作動状態が外部から視認できるようにしている。
【0032】
また本体14の裏側上部には略中央部に挿通孔を有する取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁にビスなどをねじ込み、この取付フック15の挿通孔にビスを通して引っかけることで、壁面等に住警器10を所謂壁掛け状に固定設置することができる。
【0033】
住警器10は、住宅の設置場所に対応する監視領域について監視を行い、火災が発生したとすると、火災を検知して警報を開始する。この火災を検知して警報を開始することを、住警器における「発報」という。
【0034】
住警器10の警報動作としては、例えば「ピーピーピー 火事です 火事です」といったスイープ音と音声メッセージからなる所定パターンの火災警報音を出力させる。ここで前半の「ピーピーピー」はスピーカを駆動する音声信号の信号振幅が一定で周波数が例えば2〜3KHzで変化するスイープ警報音である。また住警器10の火災警報に伴う警報表示としてLED22を点滅、点滅又は明滅させる。
【0035】
住警器10が警報音を出している状態で、警報停止スイッチ20を操作すると、警報音及び警報表示の停止処理が行われる。
【0036】
また住警器10は電池電源から供給される電圧の低下からローバッテリー障害を判別する障害検知処理(自動点検)をビルドインテストとして所定周期毎にバックグラウンドで実行しており、ローバッテリー障害を検知した場合、ローバッテリー障害警報を出力させる。
【0037】
ローバッテリー障害警報は、住警器10のスピーカから例えば「ピッ 電池切れです」を複数回連続出力すると共にLEDを例えば点灯し、その後は、定期通報タイマにより所定時間毎に「ピッ 電池切れです」の音声出力とLED22による表示を複数回行う処理を繰り返させる。
【0038】
また住警器10は通常状態で点検スイッチとして機能する警報停止スイッチ20を操作した場合、ビルドインテストとしてバックグランドで実行された障害検知処理によりローバッテリー障害を検知してメモリに更新記憶している場合には、ローバッテリー障害警報として例えば「ピッ 電池切れです」を複数回連続出力すると共にLED22を例えば点灯させる。一方、ローバッテリー障害が検知されていない正常時には、スピーカ動作を点検するために火災警報音と同じ内容「ピーピーピー 火事です 火事です」をスピーカ点検用警報音として低音量で1回出力させると共に、LEDを例えば点灯させる。
【0039】
また住警器10はセンサ障害を判別する障害検知処理(自動点検)をビルドインテストとして所定周期毎にバックグラウンドで実行しており、センサ障害を検知した場合、センサ障害警報を出力させる。住警器10で判別するセンサ障害には、センサや検出回路、音声報知回路故障の有無、汚損等による感度異状などが含まれている。
【0040】
また住警器10は通常状態で点検スイッチとして機能する警報停止スイッチ20を操作した場合、ビルドインテストとしてバックグランドで実行された障害検知処理によりセンサ障害を判別してメモリに更新記憶している場合には、スピーカから障害警報音として例えば「ピッ 故障です」を複数回連続出力させると共に、LED22を例えば点灯させ、その後は定期通報タイマにより所定時間毎に「ピッ 故障です」の音声出力とLED22の点灯による表示を複数回繰り返させる。
【0041】
一方、センサ障害が判別されていない正常時には、スピーカ動作を点検するために火災警報音と同じ内容の「ウーウー 火事です 火事です」をスピーカ点検用警報音として低音量で1回出力させると共に、LEDを例えば点灯させる。
【0042】
また住警器10はスピーカから音の出なくなる異状をはじめとする警報音障害を検知する障害検知処理(自動点検)をビルドインテストとして所定周期毎にバックグラウンドで実行している。ここで警報音障害には、スピーカ断線等による警報音出力性能喪失状態だけでなく、スピーカ線を流れる電流(振幅や平均)が所定範囲にないインピーダンス異常や駆動回路故障などの警報音出力性能の低下も含まれる。
【0043】
住警器10は、警報音障害を検知した場合、スピーカから警報音は出せないことからLED22を例えば点灯させる。
【0044】
更に、スピーカから音の出なくなる異状をはじめとする警報音障害を検知した状態で、火災を検知した場合、火災警報音が出ないことに対する代替処理として例えばLED22に流す駆動電流を増加させてLED22を強く光らせることで、火災警報の出力を利用者に強く知らせるようにする。
【0045】
この点は、スピーカから音の出なくなる異状をはじめとする警報音障害を検知した状態で、ローバッテリー障害又はセンサ障害を検知した場合も同様であり、障害警報音が出ないことに対する代替処理として例えばLED22に流す駆動電流を増加させてLED22を強く光らせることで、障害警報の出力を利用者に強く知らせるようにする。
【0046】
なお図1の住警器10にあっては、検煙部16を備え、火災に伴い発生する煙に基づいて火災を検知する住警器を例に取っているが、これ以外に火災による熱を検出するサーミスタ等の温度検出素子を備えた住警器や火災に伴うその他の物理現象を検出する住警器、火災以外にガス漏れを検出する警報器、侵入者や地震その他の異状(異状)を検出する各種の警報器、これらを組み合わせて成る警報器についても、本発明の対象に含まれる。
【0047】
図2は図1に示した住警器の実施形態を示したブロック図である。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる。また各機能のそれぞれの一部または全部は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであっても、ハードウェアによって実行されるものであっても良い。
【0048】
図2において、住警器10はワンチップCPUとして知られたプロセッサ24を備え、プロセッサ24に対してはメモリ26、センサ部28、報知部30、操作部32、移報部34及び電池電源35を設けている。
【0049】
センサ部28には、煙を検出して煙濃度に応じた検出信号を出力する検煙部16を設けている。前述のように、センサ部28には検煙部16に代えて、火災による温度を検出して検出信号を出力する素子やセンサ、火災に伴うその他の物理現象変化を検出して検出信号を出力する各種素子やセンサを設けても良い。
【0050】
またメモリ26にはビルドインテストとしてバックグラウントで実行される定期的な障害監視処理(自動点検)による障害検知結果として、ローバッテリー障害フラグ52またはセンサ障害フラグ54が各障害を検知した場合に更新記憶される。またローバッテリー障害やセンサ障害を検知した後の定期的な障害警報の出力に使用される定期通報タイマ56が設けられる。なお、定期通報タイマ58はメモリ32に配置せず、プロセッサ24で実行されるプログラム上に記述して実行しても良い。
【0051】
更に本実施形態にあっては、定期的な障害監視処理(自動点検)による障害検知結果として警報音障害フラグ56が記憶され、警報音障害フラグ56は報知部30に設けたスピーカ36から音の出なくなる異状をはじめとする警報音障害を示す。
【0052】
報知部30には警報音等を出力する音響変換器であるスピーカ36と警報表示等を行うLED22が設けられている。スピーカ36は、図示しない音声合成回路部から、自己が保持している各種の音声メッセージや警報音等を、図示しない増幅部を介して出力させる。なお、スピーカ36に代えて圧電ブザーなどを設けても良い。
【0053】
LED22は点灯、点滅又は明滅により火災や障害などの警報を表示させる。更に、本実施形態にあっては、スピーカ36から音の出なくなる異状をはじめとする警報音障害を検知した場合に、LED22に流す駆動電流を増加して強く光らせる警報音代替処理にも使用する。
【0054】
またLED22に代え、2色LEDや液晶表示器等を設けても良い。もちろん、LEDと液晶表示器を併設するなどしても良い。
【0055】
操作部32には警報停止スイッチ20が設けられている。警報停止スイッチ20は、報知部30からスピーカ36により火災や障害の警報音を出力させている場合又はLED22により警報表示を行わせている場合にのみ警報停止スイッチとして機能する。
【0056】
一方、火災警報または障害警報を行っていない通常状態においては、警報停止スイッチ20は点検スイッチとして機能し、この状態で警報停止スイッチ20を操作すると点検操作(点検指示入力)が検出され、ビルドインテストとしてバックグラウンドで実行されてメモリ26に更新記憶されている点検結果の報知が行われる。点検結果の報知は障害報知と正常報知があり、正常報知の際にはスピーカ36からの点検用警報音の出力とLED22の点灯、点滅又は明滅により点検表示が行われる。
【0057】
移報部34は火災を検知して警報した場合に他の機器に移報信号を出力する。移報信号としては例えばリレー接点のオンによる無電圧信号が出力される。
【0058】
電池電源35は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては住警器10における回路部全体の低消費電力化により、例えば10年の電池寿命を保証している。
【0059】
プロセッサ24にはプログラムの実行により実現される機能として、イベント検知部38、警報処理部40及び警報音代替処理部50の機能が設けられる。
【0060】
イベント検知部38は、センサ部28の検出信号出力から検知した火災の有無、操作部32による警報停止指示入力の有無や点検指示入力の有無、センサ部28の検出信号出力が低下して火災検知状態が解消される火災復旧、センサ障害やローバッテリー障害、スピーカ36の警報音障害、更に、スピーカ36の警報音出力性能の低下又は喪失状態を示す警報音障害等のイベントを検出する。
【0061】
警報処理部40は、センサ部28に設けた検煙部16の煙検出信号に基づきイベント検知部38で火災が検知された場合に、イベント検知部38からその旨を示す信号を受け取り、これに基づき報知部30を制御してスピーカ36から火災を示す警報音例えば「ピーピーピー 火事です 火事です」の音声メッセージを繰り返し出力させる共にLED22を例えば点灯させて火災を示す警報表示を行わせる。
【0062】
また警報処理部40は火災警報音の出力中に、イベント検知部38で警報停止スイッチ20の操作が検知されてその旨を示す信号を受けた場合、報知部30に制御を指示してスピーカ36からの火災警報音出力とLED22の警報表示による火災警報を停止させる。このときはLED22による警報表示については、所定時間継続した後に停止させても良い。
【0063】
またイベント検知部38は、ローバッテリー障害検知、センサ障害検知及び警報音障害検知の各処理をビルトインテストとしてバックグラウンドで周期的に自動実行させ、その都度結果がメモリ44に更新記録させている。
【0064】
具体的には、イベント検知部38は、所定の測定時間間隔、例えばT1=4時間間隔で図示しない電圧検出回路を介して直接的又は間接的に、電池電源35から供給される電源電圧をA/D変換により読み込んで所定の閾値電圧と比較し、この閾値電圧以下の時にローバッテリー障害の検出を予備判定(仮判定)し、更にローバッテリー障害検出の予備判定(仮判定)が連続して所定回数続いたときにローバッテリー障害と判定(確定)し、ローバッテリー障害フラグ52をセットしてメモリ26に更新記憶させる。
【0065】
またイベント検知部38は、所定の測定時間間隔、例えばT2=1秒間隔でセンサ部28の検煙部16から出力される煙濃度検出信号をA/D変換により読み込んでメモリ26のバッファ領域に保持させ、例えば所定の時間間隔T3=10分毎に、メモリ26のバッファ領域に保持させている10分間ぶんの検出データの平均値を求め、この平均値が所定の基準レベル(零点レベルという)を下回った時に出力停止状態である等としてセンサ部28の障害と判定し、センサ障害フラグ54をセットしてメモリ26に更新記憶させる。
【0066】
このように煙濃度検出信号の10分間平均値が零点レベルを下回る原因は、検煙部16に設けている受光素子故障や受光素子からの出力信号線断線、受光アンプの停止などの障害が発生したことによるものである可能性が高いためセンサ障害とする。なお、センサ部16にサーミスタなどの温度検出素子を設けた場合にも、各種の処理により、同様にセンサ障害を検出することができる。このような障害についても、検出後はセンサ障害と同様の処理を行ことから、本実施形態にあってはセンサ障害と総称している。
【0067】
またイベント検知部38は、所定の測定時間間隔、例えばローバッテリー障害検知と同じT1=4時間間隔で図示しないスピーカ36を含む音声出力系統を試験して警報音障害を検知する。音声出力系統の試験としては、例えばスピーカ36に対し音が出ないDC試験信号を出力し、スピーカ駆動電流の検出電圧をA/D変換により読み込んで所定の閾値電圧と比較し、この閾値電圧以下の時にスピーカ出力線断線による警報音障害検出を予備判定(仮判定)し、更に警報音障害検出の予備判定(仮判定)が連続して所定回数続いたときに警報音障害と判定(確定)し、ローバッテリー障害フラグ52をセットしてメモリ26に更新記憶させる。
【0068】
またイベント検知部38は、スピーカ断線等による警報音出力性能喪失状態だけでなく、スピーカ線を流れる電流(振幅や平均)が所定範囲にないインピーダンス異常や駆動回路故障などの警報音出力性能の低下についても、例えばスピーカ出力線の断線判定に用いる閾値電圧より高い別の閾値電圧を設定し、それより低い場合に、警報音出力性能の低カを判定してローバッテリー障害フラグ52をセットしてメモリ26に更新記憶させる。
【0069】
このように本実施形態におけるローバッテリー障害、センサ障害及び警報音障害の検知処理(自動点検)はビルドインテストとしてバックグラウンドで実行されているが、バックグラウンドで行わずに、通常状態で警報停止スイッチ20の操作を検出した場合(点検の指示を検知した場合)に、バッテリー障害検知、センサ障害検知及び警報音障害を含む所定の障害検知処理を実施して結果を報知するようにしても良い。
【0070】
また、イベント検知部38は、障害警報中に警報停止スイッチ20の操作が検知された場合には、バッテリー障害、センサ障害及び警報音障害を含む障害検知動作(点検動作)を再度実施して結果を報知した後に障害警報停止処理を行うようにしても良い。このようにすれば、例えばセンサ故障等を再チェックした後に障害警報停止処理が行われるので、ユーザに対し、故障状態をより明確に認知させることができる。
【0071】
警報処理部40は、イベント検知部38でローバッテリー障害が検知された場合、その旨の信号を受けて報知部30に制御を指示し、報知部30のスピーカ36からローバッテリー障害の警報音として例えば「ピッ 電池切れです」を複数回連続出力させると共にLED22を例えば点灯させる。その後は、メモリ26の定期通報タイマ56を起動し、メモリ26に更新記憶されているローバッテリー障害フラグ52に基づき所定時間毎に「ピッ 電池切れです」の音声出力とLED22による表示を複数回行う処理を繰り返す。
【0072】
また警報処理部40は、イベント検知部38でセンサ障害監視部46によるセンサ障害が検知された場合、その旨を示す信号を受けて報知部30に制御指示し、スピーカ36からセンサ障害の警報音として例えば「ピッ 故障です」を複数回連続出力させると共にLED22を例えば点灯させる。その後はメモリ26の定期通報タイマ56を起動させ、メモリ26に更新記憶されているセンサ障害フラグ54に基づき所定時間毎に「ピッ 故障です」の音声出力とLED22による表示を複数回行う処理を繰り返させる。
【0073】
また警報処理部40は、イベント検知部38により通常状態で警報停止スイッチ20の操作による点検操作(点検指示入力)が検知されてその旨を示す信号を受けると共に、メモリ26にローバッテリー障害フラグ52が記憶されていることを検知した場合には、報知部30に制御を指示してそのスピーカ36から例えば「ピッ 電池切れです」を複数回連続出力させると共にLED22を例えば点灯させる。
【0074】
また警報処理部40は、イベント検知部38で警報停止スイッチ20の操作による点検操作(点検指示入力)が検知されてその旨を示す信号を受けると共に、メモリ26にセンサ障害フラグ54が記憶されていることを検知した場合には、報知部30に制御を指示してそのスピーカ36から例えば「ピッ 故障です」を複数回連続出力させると共にLED22を例えば点灯させる。
【0075】
このように点検のために警報停止スイッチ20を操作した場合には、住警器の前に必ず人がいることから、ローバッテリー障害やセンサ障害を確実に知らせることができる。
【0076】
さらに警報処理部40は、イベント検知部38で警報停止スイッチ20の操作による点検操作(点検指示入力)が検知されてその旨を示す信号を受けると共に、メモリ26にローバッテリー障害フラグ52およびセンサ障害フラグ54が記憶されていないことを検知した場合は正常と判断し、この場合には、報知部30に制御を指示し、スピーカ36から正常に警報音が出力されることを確認するスピーカ点検のため、火災警報音と同じ内容をもつ「ピーピーピー 火事です 火事です」をスピーカ点検用警報音として低音量で1回出力させると共にLED22を例えば点灯させて点検表示を行わせる。
【0077】
なお、警報処理部40は、イベント検知部38で警報停止スイッチ20の操作による点検操作(点検指示入力)が検知されてその旨を示す信号を受けた場合、イベント検知部38に制御を指示してローバッテリー障害およびセンサ障害の障害検知処理(点検)を再度実行させ、障害を検知したら障害警報を出力させ、正常を検知すればスピーカ点検用警報音の出力と点検表示を行わせるようにしても良い。これにより最新の点検結果を報知することができる。
【0078】
警報音代替処理部50は、イベント検知部38によりスピーカ36から音の出なくなる異状をはじめとする警報音障害が検知されてメモリ26に警報音障害フラグ56が更新記憶された状態で、イベント検知部38で火災が検出されてその旨を示す信号を受けた場合、報知部30に制御を指示してスピーカ36から火災警報音を出力させようとしても例えば音がでないことから、それに代えてLED22に流す駆動電流を増加させて輝度を高め、スピーカ36から火災警報音が出ない状況であってもLED22からの光を強くして点灯させることで、より確実に利用者に火災警報を伝えるようにする。
【0079】
ここで、警報音障害に対する代替処理によりLED22に流す駆動電流の増加分は、スピーカ36に流す警報音出力のための例えば設定平均駆動電流を超えない範囲とし、スピーカ36が正常に機能している場合と同等またはそれ以下となるような電池電源35の消耗度合とする。なお、電池電源ではなく、AC電源などの外部電源で動作する場合は、このような駆動電流の制限は必ずしも必要ない。
【0080】
また警報音代替処理部50は、イベント検知部38によりスピーカ36から例えば音のでない警報音障害が検知されてメモリ26に警報音障害フラグ56が更新記憶された状態で、イベント検知部38によりローバッテリー障害検知またはセンサ障害検知が検知されてその旨を示す信号を受けた場合、放置部30に制御を指示してスピーカ36から障害警報音を出力させようとしても音がでないことから、それに代えてLED22に流す駆動電流を増加させて輝度を高め、例えばスピーカ36から障害警報音が出ない状況であってもLED22からの光を強くして点灯させることで、より確実に利用者に障害警報を伝えるようにする。
【0081】
この場合にも、警報音障害に対する代替処理によりLED22に流す駆動電流の増加分は、スピーカ36に流す警報音出力のための例えば設定平均駆動電流を超えない範囲とし、スピーカ36が正常に機能している場合と同等またはそれ以下となるような電池電源35の消耗度合とする。
【0082】
図3乃至図5は、図2の住警器10における監視処理の例を示したフローチャートである。図3において、住警器10の電池電源35による電源供給が開始されると、ステップS1で初期化、自己診断、各種設定の読み込みを実行し、異状がなければステップS2に進み、火災を監視している。
【0083】
センサ部28から出力された煙検出信号が所定の火災レベルを超えると、ステップS2で火災検知の検出有りが検知されてステップS3に進み、メモリ26を参照して警報音障害フラグ56が記憶されている否か検知し、警報音障害フラグ56の記憶が検知されない場合はステップS4に進み、報知部30に制御を指示してそのスピーカ36から音声メッセージやブザー音等により火災警報音を出力させると共にLED22を例えば点灯させる火災警報表示により火災警報を出力させる。
【0084】
一方、ステップS3でメモリ26の参照により警報音障害フラグの記憶が検知された場合は、ステップS5に進み、警報音代替処理による火災警報出力としてLED22に流す駆動電流を増加して例えば点灯させ、LED22を強く光らせることにより例えば警報音が出ないことによる火災警報機能の低下を補う。
【0085】
続いて、ステップS6でセンサ部28からの煙検出信号が低下して火災検知状態が解消する火災復旧の有無が検知されており、火災復旧有りが検知されるとステップS7でスピーカ36からの警報音とLED22の警報表示とによる火災警報を停止させる。なお、LED22による火災警報表示は所定時間経過後に停止させても良い。
【0086】
続いてステップS8で警報中における警報停止スイッチ20の警報停止指示操作の有無が検知されており、スイッチ操作有りが検知されるとステップS9に進んでスピーカ36からの火災警報音出力を停止させ、LED22の点灯による火災警報表示を消灯させる。なお、LED22は所定時間経過後に消灯させても良い。
【0087】
続いて図5のステップS10に進み、ローバッテリー障害の有無が検知されており、ローバッテリー障害有りが検知されるとステップS11に進んでメモリ26にローバッテリー障害フラグ52をセットして更新記憶させると共に定期通報タイマ58を起動させる。
【0088】
続いてステップS12でメモリ26を参照して警報音障害検知により警報音障害フラグ56の記憶の有無が検知されており、警報音障害フラグの記憶有りが検知されない場合(スピーカ36が正常な場合)はステップS13に進み、報知部30のスピーカ36から音声メッセージやブザー音等によるローバッテリー障害警報音とLED22を例えば点灯駆動する災警報表示により火災警報を出力させる。
【0089】
一方、ステップS12で警報音障害フラグの記憶有りが検知された場合は、ステップS14に進み、警報音代替処理によるローバッテリー警報出力としてLED22に流す駆動電流を増加させて例えば点灯させ、LED22を強く光らせることにより警報音が出ないことによる障害警報機能の低下を補う。
【0090】
続いてステップS15に進み、センサ障害の有無が検知されており、センサ障害有りが検知されると、ステップS16に進んでメモリ26にセンサ障害フラグ54をセットして更新記憶させると共に定期通報タイマ58を起動させる。
【0091】
続いてステップS17でメモリ26を参照して警報音障害フラグ56の記憶の有無が検知されており、警報音障害フラグの記憶有りが検知されない場合はステップS18に進み、報知部30のスピーカ36から音声メッセージやブザー音等によるセンサ障害警報音とLED22を例えば点滅駆動する災警報表示により障害警報を出力させる。
【0092】
一方、ステップS17で警報音障害フラグの記憶有りが検知された場合は、ステップS19に進み、警報音代替処理によるセンサ障害警報出力としてLED22に流す駆動電流を増加して例えば点灯させ、LED22を強く光らせることにより警報音が出ないことによる障害警報機能の低下を補う。
【0093】
続いてステップS20に進み、警報音障害の有無が検知されており、警報音障害有りが検知されると、ステップS21に進んでメモリ26に警報音障害フラグ56をセットして更新記憶させると共に定期通報タイマ58を起動させた後、ステップS22に進んでLED22の点滅のみによる障害警報表示を行わせる。
【0094】
なお、警報音障害検知を示す障害警報は、スピーカ36からの障害警報音を出せない障害が検知されているため、LED22の例えば点滅のみによる障害表示となるが、警報音代替処理と同様、LED22に流す駆動電流を増加して例えば点滅させ、LED22を強く光らせることにより障害警報機能を強化しても良い。
【0095】
続いて図5のステップS23に進み、メモリ26におけるローバッテリー障害フラグ52、センサ障害フラグ54又は警報音障害フラグ56の記憶の有無が検知されており、いずれかの障害フラグの記憶有りが検知されるとステップS24に進み、ステップS11、S16又はS21で起動した定期鳴動タイマ62が所定時間経過した定期鳴動タイミングか否が検知される。
【0096】
ステップS24で定期鳴動タイミングが検知されるとステップS25に進み、メモリ26を参照して警報音障害フラグ56の記憶の有無が検知され、警報音障害フラグの記憶有りが検知されない場合はステップS26に進み、報知部30のスピーカ36から音声メッセージやブザー音等によるローバッテリー障害又はセンサ障害の障害警報音を出力させると共にLED22を例えば点滅駆動する障害警報表示により障害警報を出力させる。
【0097】
一方、ステップS25で警報音障害フラグの記憶有りが検知された場合は、ステップS27に進み、警報音代替処理によるセンサ障害警報出力としてLED22に流す駆動電流を増加して例えば点滅させ、LED22を強く光らせることにより警報音が出ないことによる障害警報機能の低下を補う。
【0098】
続いてステップS28に進み、通常状態で点検スイッチとして機能する警報停止スイッチ20による点検操作の有無が検知され、点検操作有りが検知されるとステップS29に進み、メモリ26を参照して警報音障害フラグ56の記憶の有無を検知し、警報音障害フラグの記憶有りが検知されない場合はステップS32に進み、報知部30のスピーカ36から音声メッセージやブザー音等によるローバッテリー障害又はセンサ障害の障害警報音を出力させると共にLED22を例えば点滅駆動させる障害警報表示により障害警報を出力させる。
【0099】
一方、ステップS31で警報音障害フラグの記憶有りが検知された場合は、ステップS33に進み、警報音代替処理によるセンサ障害警報出力としてLED22に流す駆動電流を増加して例えば点滅させ、LED22を強く光らせることにより警報音が出ないことによる障害警報機能の低下を補う。
【0100】
図6はスタンドアローン型の住警器の他の実施形態を示したブロック図であり、本実施形態にあっては、報知部30に複数のLED22−1〜22−nを設けており、警報音代替処理として複数のLED22−1〜22−nを駆動するようにしたことを特徴とする。
【0101】
LED22−1〜22−nとしては、例えば火災警報用LED22−1、ローバッテリー障害用LED22−2、センサ障害用LED22−4、警報音障害用LED22−4の4つが設けられ、表示色を異ならせても良い。警報処理部40はイベント検知部38により火災を検知してその旨を示す信号を受けた場合は火災警報用LED22−1を点灯させ、ローバッテリー障害を検知してその旨を示す信号を受けた場合はローバッテリー障害用LED22−2を点灯させ、センサ障害を検知してその旨を示す信号を受けた場合はセンサ障害用LED22−3を点灯させ、警報音障害検知をしてその旨を示す信号を受けた場合は警報音障害用LED22−4を点灯させる。また、警報処理部40はイベント検知部38で火災、ローバッテリー障害又はセンサ障害が検知された場合、それぞれの内容に対応した警報音をスピーカ36から出力させる。
【0102】
一方、警報音代替処理部48はイベント検知部38で警報音障害が検知されてその胸を示す信号を受けている状態で、火災検知、ローバッテリー障害検知又はセンサ障害が検知されてその旨を示す信号を受けた場合、スピーカ36から警報音が出せないことから、LED22−1〜22−4を同時に例えば点灯、点滅又は明滅させ、警報音が出なくとも利用者の注意を強く引き付けるようにし、警報音が出ないことによる警報機能の低下を補う。
【0103】
それ以外の構成及び機能は図2の実施形態と同じになることから、同一符号を付して説明を省略する。
【0104】
なお、LED22−1〜22−4の駆動方法としては、火災検知であればLED22−1は点滅、障害用のLED22−2〜22−4は点灯とし、警報内容がわかるようにしても良い。また、報知部36に色の異なる2つのLED22−1,22−1を備え、LED22−1を火災警報用、LED22−2を障害警報用とし、警報音障害検知ではLED22−1,22−2を同時駆動するようにしても良い。勿論、LED22−1,22−1は2色LEDであっても良い。
【0105】
図7は住宅に対する本発明による連動型の住警器を用いた監視システムの設置状態を示した説明図である。図7の例にあっては、住宅24に設けられている居間、台所、子供部屋、主寝室、階段室のそれぞれの警戒エリアに火災を検知して警報する無線式の住警器(住宅用火災警報器)100−1〜100−6が設置されている。
【0106】
住警器100−1〜100−6の外観は、図1に示したスタンドアローン型の住警器10と基本的に同じになる。以下、住警器100−1〜100−6をそれぞれ区別せず総称する場合は住警器100という。
【0107】
住警器100−1〜100−6は、イベント信号を無線により相互に送受信する機能を備え、住宅各所の、それぞれ対応する監視領域について監視を行い、ここでは6台で住宅全体の火災監視を行っている。いま住宅24の台所で万一、火災が発生したとすると、住警器100−1で火災が検知されて警報を開始させる。
【0108】
住警器100−1が発報するとき、住警器100−1は連動元として機能し、連動先となる他の住警器100−2〜100−6に対し、火災を示すイベント信号(火災イベント信号)を無線により送信させる。他の住警器100−2〜100−6は、連動元の住警器100−1からの火災発生を示すイベント信号を有効受信した場合に、警報音と警報表示により連動先としての警報動作を行わせる。
【0109】
ここで有効受信とは、受信したイベント信号に含まれるグループ符号がメモリに登録しているグループ符号に一致した場合に、このイベント信号を有効受信したことを検出する。また住警器100−1〜100−6から送信するイベント信号には、送信元の住警器を示す識別情報として例えば送信元符号が含まれている。なお、イベント信号を有効受信した住警器100は必要に応じイベント信号の中継送信を行う。
【0110】
連動元となった住警器100−1の警報動作としては、例えば「ピーピーピー 火火事です 火事です」といったスイープ音とメッセージによる所定パターンの連動元を示す火災警報音を出力させると共にLED22を例えば点灯させて連動元を示す警報表示を行わせる。
【0111】
一方、連動先の住警器100−2〜100−6にあっては、「ピーピーピー 別の警報器が作動しました」といったスイープ音とメッセージによる所定パターンの連動先を示す災警報音を出力させると共にLED22を例えば点滅して連動先を示す警報表示を行わせる。
【0112】
なお、例えば赤色LEDと黄色LEDを設け、連動元は赤色LEDを駆動させ、連動先は黄色LEDを駆動させるといった2色表示としても良い。もちろん、2つのLEDを一体として、赤色と黄色の両方を発光可能な2色LEDが採用できる。
【0113】
住警器100−1〜100−6が警報音を出している状態で、警報停止スイッチが操作されると、警報音及び警報表示の停止処理が行われる。
【0114】
このとき例えば、連動元である住警器100−1で警報停止操作が行われた場合には、全ての住警器100−1〜100−6の警報(警報音出力および/または警報表示出力)が停止され、連動先である住警器100−2〜100−6の何れかで警報停止操作が行われた場合には、連動元の住警器100−1の警報は停止されず、連動先の住警器100−2〜100−6の警報を停止される。
【0115】
また住警器100は電池電源から供給される電圧の低下からローバッテリー障害を検知する監視処理をビルドインテストとして所定周期毎にバックグラウンドで実行しており、ローバッテリー障害が検知された場合、連動元(障害元)を示すローバッテリー障害警報が出力されると共に、他の住警器にローバッテリー障害を示すイベント信号(ローバッテリー障害イベント信号)が送信され、連動先(障害先)を示すローバッテリー障害警報が出力される。
【0116】
連動元を示すローバッテリー障害警報は、住警器100のスピーカから例えば「ピッ 電池切れです」を複数回連続出力させると共にLEDを例えば点灯させ、その後は、定期通報タイマにより所定時間毎に「ピッ 電池切れです」の音声出力とLEDによる表示を複数回行う処理を繰り返させる。また連動先を示すローバッテリー障害警報は、住警器100のスピーカから例えば「ピッ 別の警報器が電池切れです」を複数回連続出力させると共にLEDを例えば点滅させる。
【0117】
また住警器100は通常状態で点検スイッチとして機能する警報停止スイッチが操作された場合、ビルドインテストとしてバックグランドで実行される監視処理によりローバッテリー障害を検知している場合には、ローバッテリー障害警報として例えば「ピッ 電池切れです」を複数回連続出力させると共にLEDを例えば点灯させ、更に他の住警器にローバッテリー障害を示すイベント信号(ローバッテリー障害イベント信号)を送信させ、連動先(障害先)を示すローバッテリー障害警報として例えば「ピッ 別の警報器が電池切れです」を複数回連続出力させると共にLEDを例えば点滅させる。一方、ローバッテリー障害が検知されていない正常時には、スピーカ動作を点検するために火災警報音「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を低い音量で1回出力させる。
【0118】
また住警器100はセンサ障害を判別する監視処理をビルドインテストとして所定周期毎にバックグラウンドで実行させており、センサ障害が検知された場合、連動元(障害元)を示すセンサ障害警報を出力させると共に、他の住警器にセンサ障害を示すイベント信号(センサ障害イベント信号)を送信させ、連動先(障害先)を示すセンサ障害警報を出力させる。住警器100で検知するセンサ障害には、センサや検出回路、汚損等による感度異状などが含まれている。
【0119】
また住警器100は通常状態で点検スイッチとして機能する警報停止スイッチが操作された場合、ビルドインテストとしてバックグランドで実行されている監視処理によりセンサ障害を検知している場合には、スピーカから連動元(障害元)を示す障害警報音として例えば「ピッ 故障です」を複数回連続出力させると共に、LEDを例えば点灯させ、その後は定期通報タイマにより所定時間毎に「ピッ 故障です」の音声出力とLEDの点灯による表示を複数回繰り返させる。
【0120】
また住警器100はセンサ障害が検知された場合、センサ障害を示すイベント信号(センサ障害イベント信号)を他の住警器に送信させることで、例えば「ピッ 別の警報器が故障です」といった警報音を出力させると共に連動元とは異なる表示、例えば点滅を行わせる。
【0121】
また住警器100は通常状態で点検スイッチとして機能する警報停止スイッチの操作が検知された場合、ビルドインテストとしてバックグランドで実行されている監視処理によりセンサ障害を検知している場合には、センサ障害警報として例えば「ピッ 電池切れです」を複数回連続出力させると共にLEDを例えば点灯させ、更に他の住警器にセンサ障害を示すイベント信号(センサ障害イベント信号)を送信させ、連動先(障害先)を示すセンサ障害警報として例えば「ピッ 別の警報器が故障です」を複数回連続出力させると共にLEDを例えば点滅させる。
【0122】
一方、センサ障害が検知されていない正常時には、スピーカ動作を点検するために連動元を示す火災警報音「ウーウー 火事です 火事です」を低い音量で1回出力させると共にLEDを例えば点灯させる。
【0123】
図8は本発明による無線連動型となる住警器の実施形態を示したブロック図である。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる。また各機能のそれぞれの一部または全部は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであっても、ハードウェアによって実行されるものであっても良い。
【0124】
また図8において、住警器は台所に設置した住警器100−1について示しているが、他の住警器100−2〜100−6についても同様の構成となる。
【0125】
住警器100−1はワンチップCPUとして知られたプロセッサ128を備え、プロセッサ128に対してはアンテナ131を備えた無線通信部130、メモリ132、センサ部134、報知部136、操作部138及び電池電源140を設けている。
【0126】
無線通信部130には送信回路142と受信回路144が設けられ、他の住警器100−2〜100−6との間でイベント信号を無線により送受信できるようにしている。無線通信部130としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を備える。もちろん無線通信部130としては、日本国内以外で使用する場合は、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
【0127】
なお、アンテナ131及び送信回路142を併せて請求項の送信部に対応し、アンテナ131及び受信回路144を併せて請求項の送信部に対応する。また、アンテナ131及び受信回路144を介して受信した信号はプロセッサ128に設けたイベント検知部158で解読される。以下、この解読までを含めて受信と呼ぶことがある。また特に、解読の結果有効な信号と判定されることを区別して表す場合には有効受信と呼ぶ。
【0128】
メモリ132には、イベント信号の順番を示す連続番号である連番148、各住警器を特定する住警器識別情報となる送信元符号150、図7のように住宅に設置した住警器100−1〜100−6で連動警報を行う連動グループを構成するためのグループ符号152が格納されている。
【0129】
連番148はイベント信号を送信する毎に、所定のルールに則って自動生成、更新される(例えばインクリメントされる)符号であり、警報器間の、特に無線通信に於いてイベント信号の中継処理等を管理するためのものであるが、本発明に直接関係しないので詳細な説明を省略する。
【0130】
送信元符号150としては、国内に提供される住警器の何れとも同一符号として重複しないように、例えば26ビットの多ビット符号コードとし、例えば住警器シリアル番号等を利用している。
【0131】
連番148や送信元符号150を利用して再中継を許可したり禁止したりすることができ、不要な通信を避ける処理を行うことで、必要に応じた最適な中継を行うことができる。また例えば、連動先端末で中継送信されるイベント信号には、当該連動先端末の送信元符号に加えて連動元端末の送信元符号を付加するようにして、この連動元端末送信元符号から再送信の可否を判定して処理するようにすることもできる。また、中継送信の許可および禁止はこれに加え、イベント信号が示すイベントの内容毎に設定することもできる。
【0132】
グループ符号152は連動グループを構成する複数の住警器に共通に設定される符号であり、無線通信部130で受信したイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ132に登録しているグループ符号152に一致したときに、このイベント信号を有効な信号として処理することになるので、近隣の住宅等に設置された、連動を要しない他のグループに属する住警器との不要な連動を回避できる。
【0133】
グループ符号152は各住警器について必ずしも同一の符号である必要は無く、これを元に演算等を行うことによって自己が属するグループと他の住警器が属するグループが同じか否かを判定できるものであれば良い。グループ符号52の登録は、出荷前や運用開始前に、外部スイッチの設定や通信機能を使った自動登録等、適宜の方法で行う。
【0134】
またメモリ132には定期的な自動点検による監視機能による障害検知結果として、ローバッテリー障害フラグ176またはセンサ障害フラグ178が各障害を検知した場合に記憶される。またローバッテリー障害やセンサ障害を検知した後の定期的な障害警報の出力にしようされる定期通報タイマ182が設けられる。なお、定期通報タイマ182はメモリ132に配置せず、プロセッサ128で実行されるプログラム上に配置しても良い。
【0135】
更に本実施形態にあっては、定期的な障害監視処理(自動点検)による障害検知結果として警報音障害フラグ180が記憶され、警報音障害フラグ180は報知部136に設けたスピーカ156の警報音出力性能の低下又は喪失状態を示すスピーカ系統の障害となる警報音障害を示す。
【0136】
センサ部134には、例えば煙を検出して煙濃度に応じた検出信号を出力する検煙部116を設けている。前述のように、センサ部134には検煙部116に代えて、火災による温度を検出して検出信号を出力する素子やセンサ、火災に伴うその他の物理現象変化を検出して検出信号を出力する各種素子やセンサを設けても良い。
【0137】
報知部136には警報音等を出力する音響出力器であるスピーカ156と警報表示等を行うLED122が設けられている。スピーカ156は、図示しない音声合成回路部から、自己が保持している各種の音声メッセージや警報音等を、図示しない増幅部を介して出力させる。LED122は火災、障害などの情報を点灯、点滅又は明滅により表示させる。またLED22に代え、2色LEDや液晶表示器等を設けても良い。もちろん、LEDと液晶表示器を併設するなどしても良い。
【0138】
操作部138には警報停止スイッチ120が設けられている。警報停止スイッチ120は、報知部136からスピーカ156により火災や障害の警報音を出力している場合又はLED122により警報表示を行っている場合にのみ警報停止スイッチとして機能する。
【0139】
例えば連動元を示す警報中に警報停止スイッチ120が操作されると、警報音及び警報表示は停止され、連動先を示す警報中に警報停止スイッチ120が操作されると、警報音及び警報表示は停止され、一方、連動先を示す警報中に警報停止スイッチ120が操作されると、警報音は停止され、警報表示は停止または警報音停止から所定時間後に停止されるといった警報停止処理が行われる。
【0140】
一方、連動元または連動先を示す火災警報または障害警報を行っていない通常状態においては、警報停止スイッチ120は点検スイッチとして機能し、この状態で警報停止スイッチ120が操作されると点検操作が検出され、メモリ132にローバッテリー障害フラグ176またはセンサ障害フラグ178が記憶されているか否か検知し、障害フラグが記憶されていれば報知部136のスピーカ156から対応する障害内容を示す音声メッセージなどの障害警報が出力させる。
【0141】
またメモリ32に障害フラグが記憶されていない場合には、点検結果は正常であることから、スピーカ56を点検するための火災警報音と同じスピーカ点検用警報音を低い音量で1回出力させると共にLED22を点灯させる。
【0142】
なお、点検はビルドインテストしてバックグラウンドで自動実行とせずに、通常状態で警報停止スイッチ120の操作が検知された場合(点検が指示された場合)に、バッテリー障害検知及びセンサ障害検知を含む所定の点検動作を実施して結果を報知させるようにしても良い。
【0143】
また、障害警報中に警報停止スイッチ120の操作が検知された場合には、バッテリー障害及びセンサ障害を含む所定の点検動作を実施させて結果を報知させた後に障害警報停止処理を行わせるようにしても良い。このようにすれば、例えばセンサ故障等を再チェックさせた後に障害警報停止処理が行われるので、ユーザに対し、故障状態をより明確に認知させることができる。そして、このとき障害状態が解消(障害復旧)されている場合には、例えば「障害は解消しました」等のメッセージを出力させて、障害停止(復旧)処理に移行させても良い。
【0144】
電池電源140は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては住警器100−1における無線通信部130を含む回路部全体の低消費電力化により、例えば10年の電池寿命を保証している。
【0145】
プロセッサ128にはプログラムの実行により実現される機能として、イベント検知部158、警報処理部164及び警報音代替処理部174の機能が設けられている。
【0146】
イベント検知部158は、センサ部134の検出信号出力から検知した火災の有無、操作部138による警報停止指示入力の有無や点検指示入力の有無、センサ部134の検出信号出力が低下して火災検知状態が解消される火災復旧、センサ障害やローバッテリー障害、警報音出力の性能低下や喪失状態を示す警報音障害等のイベントを検出する。
【0147】
またイベント検知部158は、アンテナ131及び受信回路144を介して他の住警器100−2〜100−6から受信されたイベント信号を受け、これを解読してイベント信号有効受信の有無およびそのイベント内容を検知する。またイベント検知部158は、他の住警器から有効に受信したイベント信号を、必要に応じて中継送信させる。
【0148】
警報処理部164は、イベント検知部158で自己の異状として火災を検知した場合にその旨を示す信号を受け、報知部136に制御を指示し、そのスピーカ156からスイープ音とメッセージからなる所定パターンの連動元を示す警報音を出力させると共に、LED22を点灯させて連動元を示す警報表示を行わせ、更に、火災を示すイベント信号を他の住警器100−2〜100−6に送信させる。
【0149】
具体的に説明すると、警報処理部164は、イベント検知部158でセンサ部134に設けた検煙部116の煙検出信号に基づきイ火災が検知されてその旨を示す信号を受けた場合に、これに基づき報知部136に制御を指示してスピーカ156から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火事です 火事です」の音声メッセージを繰り返し出力させる制御を行うと共に、LED122を点灯させて連動元を示す警報表示制御を行わせ、更に、火災を示すイベント信号を生成し、送信回路142及びアンテナ131を介して他の住警器100−2〜100−6に向けて送信させる。
【0150】
また警報処理部164は、無線通信部130の受信回路144により他の住警器100−2〜100−6の何れかから火災イベント信号を有効受信したことがイベント検知部158で検知されてその旨を示す信号を受けた場合に、報知部136に制御を指示してそのスピーカ156からスイープ音とメッセージからなる所定パターンの連動先を示す警報音(報知音)例えば「ピーピーピー 別の火災警報器が作動しました」を繰り返し出力させると共に、警報表示制御部168によりLED22を点滅させて連動先を示す警報表示を行わせる。
【0151】
また警報処理部164は、イベント検知部158により連動元を示す火災警報音または連動先を示す火災警報音の出力中に警報停止スイッチ120の操作が検出された場合、又は他の住警器100−2〜100−6の何れかからの警報停止を示すイベント信号又は装置イベント信号受信が検知された場合、その旨を示す信号を受けて報知部136に制御を指示し、そのスピーカ156からの音声メッセージとLED122の警報表示による火災警報の出力を停止させる。この場合、LED22による警報表示については、所定時間継続した後に停止させても良い。なお、連動元を示す火災警報中には、警報停止を示すイベント信号や装置イベント信号受信があっても、少なくとも警報音の出力は継続させるようにしても良い。
【0152】
またイベント検知部158には、ローバッテリー障害、センサ障害及び警報音障害の検知機能が設けられている。
【0153】
イベント検知部158によるローバッテリー障害の検知は、所定の測定時間間隔、例えばT11=4時間間隔で図示しない電圧検出回路を介して直接的又は間接的に、電池電源140から供給される電源電圧をA/D変換により読み込んで所定の閾値電圧と比較し、この閾値電圧以下の時にローバッテリー障害の検出を予備判定し、更にローバッテリー障害検出の仮判定が連続して所定回数続いたときにローバッテリー障害と検知(確定)し、ローバッテリー障害フラグ176をセットしてメモリ132に更新記憶させる。
【0154】
イベント検知部158によるセンサ障害の検知は、所定の測定時間間隔、例えばT12=1秒間隔でセンサ部134の検煙部116から出力される煙検出信号をA/D変換により読み込んでメモリ132のバッファ領域に保持し、例えば所定の時間間隔T13=100分毎に、メモリ132のバッファ領域に保持している100分間ぶんの検出データの平均値を求め、この平均値が所定の基準レベル(零点レベルという)を下回った時に出力停止状態である等としてセンサ部134の障害を検知し、センサ障害フラグ178をセットしてメモリ132に更新記憶させる。
【0155】
このように煙濃度検出信号の100分間平均値が零点レベルを下回る原因は、検煙部116に設けている受光素子故障や受光素子からの出力信号線断線、受光アンプの停止などの障害が発生したことによるものである可能性が高いためセンサ障害とする。
【0156】
なお、センサ部116にサーミスタなどの温度検出素子を設けた場合にも、各種の処理により、同様にセンサ障害を検出することができる。その他、他の回路故障、通信異状等を同様に障害監視することができる。このような障害についても、検出後はセンサ障害と同様の処理を行ことから、本実施形態にあってはセンサ障害と総称している。
【0157】
イベント検知部158による警報音障害の検知は、所定の測定時間間隔、例えばローバッテリー障害検知と同じT11=4時間間隔でスピーカ156を含む図示しない音声出力系統を試験して障害の有無を検知する。音声出力系統の試験としては、例えばスピーカ156に対し音が出ないDC試験信号を出力し、スピーカ駆動電流の検出電圧をA/D変換により読み込んで所定の閾値電圧と比較し、この閾値電圧以下の時にスピーカ出力線断線による警報音障害検出を予備判定(仮判定)し、更に警報音障害検出の予備判定(仮判定)が連続して所定回数続いたときに警報音障害と検知(確定)し、ローバッテリー障害フラグ184をセットしてメモリ132に更新記憶させる。
【0158】
またイベント検知部158は、スピーカ断線等による警報音出力性能喪失状態だけでなく、スピーカ線を流れる電流(振幅や平均)が所定範囲にないインピーダンス異常や駆動回路故障などの警報音出力性能の低下についても、例えばスピーカ出力線の断線判定に用いる閾値電圧より高い別の閾値電圧を設定し、それより低い場合に、警報音出力性能の低カを判定してローバッテリー障害フラグ180をセットしてメモリ132に更新記憶させる。
【0159】
このように本実施形態におけるローバッテリー障害検知部168、センサ障害検知部170及び警報音障害検知部172の監視処理(自動点検)はビルドインステップとして所定周期毎にバックグラウンドで実行されている。
【0160】
なお、障害検知はバックグラウンドで行わずに、通常状態で警報停止スイッチ120の操作が検知された場合(点検の指示が検知された場合)に、バッテリー障害検知、センサ障害検知及び警報音障害検知を含む所定の障害検知動作(点検動作)を実施して結果を報知させるようにしても良い。
【0161】
また、障害警報中に警報停止スイッチ120の操作が検知された場合には、バッテリー障害検知、センサ障害検知及び警報音障害検知を含む障害検知動作(点検動作)を再度実施して結果を報知させた後に障害警報停止処理を行わせるようにしても良い。このようにすれば、例えばセンサ故障等を再チェックした後に障害警報停止処理が行われるので、ユーザに対し、故障状態をより明確に認知させることができる。
【0162】
警報処理部164は、イベント検知部158でローバッテリー障害が検知されてその旨を示す信号を受けた場合、報知部136に制御を指示してそのスピーカ156から連動元(障害元)を示すローバッテリー障害の警報音としてたとえば「ピッ 電池切れです」を複数回連続出力させると共に、LED122を例えば点灯させる。その後は、メモリ132の定期通報タイマ182を起動させ、メモリ132に記憶しているローバッテリー障害フラグに基づき所定時間毎に「ピッ 電池切れです」の音声出力とLED122の点滅などによる表示を複数回行う処理を繰り返させる。
【0163】
また警報処理部164は、イベント検知部158でローバッテリー障害が検知されてその旨を示す信号を受けた場合、ローバッテリー障害イベント信号を生成し、送信回路142及びアンテナコ131を介して他の住警器100−2〜100−6に送信させることで、連動先を示すローバッテリー障害警報を警報音として「ピッ 別の警報器が電池切れです」を出力させると共に連動元とは異なる点滅表示を行わせる。
【0164】
また警報処理部164は、イベント検知部158でセンサ障害検知部170によるセンサ障害を検知してその旨を示す信号を受けた場合、報知部136に制御を指示してそのスピーカ156から連動元(障害元)を示すセンサ障害の警報音として例えば「ピッ 故障です」を複数回連続出力させると共に、LED122を例えば点灯させる。その後はメモリ132の定期通報タイマ182を起動させ、メモリ132に記憶されたセンサ障害フラグ178に基づき所定時間毎に「ピッ 故障です」の音声出力とLED22による表示を複数回行う処理を繰り返させる。同時に警報処理部164は、センサ障害イベント信号を生成して他の住警器100−2〜100−6に送信させることで、連動先を示すローバッテリー障害警報を警報音として「ピッ 別の警報器が電池切れです」を出力させると共に連動元とは異なる点滅表示を行わせる。
【0165】
また警報処理部164は、イベント検知部158により通常状態で点検スイッチとして機能する警報停止スイッチ120の操作による点検指示操作(点検指示入力)が検知されてその旨を示す信号を受け、更に、メモリ132にローバッテリー障害フラグ176が記憶されていることを検知した場合には、報知部136に制御を指示してそのスピーカ156から例えば「ピッ 電池切れです」を複数回連続出力させると共に、LED122を例えば点灯させ、更に、ローバッテリー障害イベント信号を生成して、送信回路142及びアンテナ131を介して他の住警器100−2〜100−6に送信させることで、連動先を示すローバッテリー障害警報を警報音として「ピッ 別の警報器が電池切れです」」を出力させると共に連動元とは異なる点滅表示を行わせる。
【0166】
また警報処理部164は、イベント検知部158により警報停止スイッチ120の操作による点検指示操作(点検指示入力)が検知されてその旨を示す信号を受け、更にメモリ132にセンサ障害フラグ178が記憶されていることを検知した場合には、報知部136に制御を指示してそのスピーカ156から例えば「ピッ 故障です」を複数回連続出力させると共に、LED122を例えば点灯させ、更にセンサ障害イベント信号を生成させて、送信回路142及びアンテナ131を介して他の住警器100−2〜100−6に送信させることで、連動先を示すローバッテリー障害警報を警報音として「ピッ 別の警報器が電池切れです」を出力させると共に、連動元とは異なる点滅表示を行わせる。
【0167】
このように点検のために警報停止スイッチ120を操作した場合には、住警器の前に必ず人がいることから、ローバッテリー障害やセンサ障害を確実に知らせることができる。
【0168】
また警報処理部164は、イベント検知部158により警報停止スイッチ120の操作による点検指示操作(点検指示入力)が検知されてその旨を示す信号を受け、更にメモリ132に警報音障害フラグ180が記憶されていることを検知した場合には、スピーカ136からは音がでないことから、LED122を例えば点灯させ、警報音障害イベント信号を生成させ、送信回路142及びアンテナ131を介して他の住警器100−2〜100−6に送信させることで、連動先を示すローバッテリー障害警報を警報音として「ピッ 別の警報器が電池切れです」を出力させると共に、連動元とは異なる点滅表示を行わせる。このためスピーカ156から音の出ない警報音障害については連動先の住警器100−2〜100−6の警報音からその内容を知ることができる。
【0169】
また警報処理部164は、イベント検知部158で通常状態で点検スイッチとして機能する警報停止スイッチ120の操作による点検指示操作(点検指示入力)が検知されてその旨を示す信号を受けた場合、メモリ132にローバッテリー障害フラグ176、センサ障害フラグ180及び警報音障害フラグ180が記憶されていない場合は正常と判断し、この場合には、報知部136に制御指示してそのスピーカ156から正常に警報音が出力されることを確認するスピーカ点検のため、火災警報音と同じ内容をもつスピーカ点検用警報音として「ウー ウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を低い音量で1回出力させると共に、LED122を点灯して点検表示を行う。
【0170】
なお、警報処理部164は、イベント検知部158により通常状態で点検スイッチとして機能する警報停止スイッチ120の操作による点検指示操作(点検指示入力)が検知された場合、障害検知部166にローバッテリー障害及びセンサ障害の検知処理(自動点検)を再度実行させ、障害を検知すれば障害警報を出力させ、正常を検知すればスピーカ点検用の警報音を出力させると共に警報表示を行わせるようにしても良い。これにより、最新の点検結果を報知することができる。
【0171】
警報音代替処理部174は、イベント検知部158によりスピーカ156から音の出なくなる異状をはじめとするの出ない警報音障害を検知した状態で警報する場合、本実施形態にあっては、
(1)LED22の駆動電流の増加
(2)複数のLEDの同時駆動
(3)他の住警器に送信するイベント信号の送信電力の増加
(4)他の住警器に送信するイベント信号の送信頻度の増加
に対応可能である。
【0172】
(1)のLED駆動電流の増加はLEDからの光を強くすることで警報音が出ない場合の警報を代替する。(2)の複数LEDの同時駆動は図6のように報知部に複数のLEDを設けた場合に対応できる。(3)の送信電力の増加は、火災や障害を示すイベント信号の受信により他の住警器で連動警報が確実に行われることで代替する。(4)の送信頻度の増加は、イベント検出時に所定回数送信するイベント信号の送信間隔を短くして他の住警器による連動警報を迅速化して代替する。なお、以下の説明では(1)のLED駆動電流増加を例にとって説明する。
【0173】
警報音代替処理部174は、イベント検知部158によりスピーカ136から例えば音の出ない警報音障害が検知されてメモリ132に警報音障害フラグ180が記憶された状態で、イベント検知部158により火災を検出してその旨を示す信号を受けた場合、警報処理部164により報知部136に制御を指示してスピーカ136から火災警報音を出力させようとしても音がでないことから、それに代えてLED122に流す駆動電流を増加させて輝度を高め、火災警報音が出ない状況であってもLED122からの光を強くして点灯することで、より確実に利用者に連動元を示す火災警報を伝えるようにする。
【0174】
また警報音代替処理部174は、イベント検知部158によりスピーカ136から例えば音の出ない警報音障害が検知されてメモリ132に警報音障害フラグ180が記憶された状態で、イベント検知部158により他の住警器から火災を示すイベント信号の有効受信を検出してその旨を示す信号を受けた場合、警報処理部164により報知部136に制御を指示して火災警報音を出力させようとしても音がでないことから、それに代えてLED122に流す駆動電流を増加させて輝度を高め、火災警報音が出ない状況であってもLED122からの光を強くして点滅させることで、より確実に利用者に連動先を示す火災警報を伝えるようにする。
【0175】
ここで、警報音障害に対する代替処理によりLED122に流す駆動電流の増加分は、スピーカ156に流す警報音出力のための設定平均駆動電流を超えない範囲とし、スピーカ156が正常に機能している場合と同等またはそれ以下となるような電池電源140の消耗度合とする。
【0176】
また警報音代替処理部174は、イベント検知部158によりスピーカ136から例えば音のでない警報音障害が検知されてメモリ132に警報音障害フラグ180が記憶された状態で、イベント検知部158でローバッテリー障害検知またはセンサ障害検知が検知されてその旨を示す信号を受けた場合、警報処理部164から報知部136に制御を指示して障害警報音を出力しようとしても音がでないことから、それに代えてLED122に流す駆動電流を増加させて輝度を高め、スピーカ156から障害警報音が出ない状況であってもLED122からの光を強くして点灯することで、より確実に利用者に障害警報を伝えるようにする。
【0177】
この場合にも、警報音障害に対する代替処理によりLED122に流す駆動電流の増加分は、スピーカ156に流す警報音出力のための設定平均駆動電流を超えない範囲とし、スピーカ156が正常に機能している場合と同等またはそれ以下となるような電池電源140の消耗度合とする。
【0178】
図9は本実施形態で連動警報に使用するイベント信号のフォーマットを概略的に示した説明図である。図9において、イベント信号146は連番148、送信元符号150、グループ符号152及びイベント符号154で構成されている。
【0179】
連番148はイベント信号の順番を示す連続番号であり、端末(住警器)それぞれにイベント信号を送信する毎に1つずつ増加させる。また、連番148は住警器の各々で非同期に生成している。連番148は住警器100間の、主に無線通信に於いてイベント信号の中継処理等を管理するためのものであるが、本発明に直接関係しないので詳細な説明を省略する。
【0180】
送信元符号150は住警器識別情報として用いられる例えば26ビットの符号であり、例えば住警器のシリアル番号等を利用している。グループ符号152は例えば8ビットの符号であり、同一グループを構成する例えば図6の住警器100−1〜100−6につき例えば同じグループ符号が設定されている。
【0181】
なおグループ符号152としては、同一グループの住警器に同一のグループ符号を設定する以外に、例えば予め定めたグループを構成する住警器に共通な基準符号と各住警器に固有な送信元符号との演算から求めた住警器ごとに異なるグループ符号であってもよい。すなわち、イベント信号を受信した各端末(住警器)がそれをもとに自己と同一グループの端末からの信号であるか否かを判定できるものであれば、どのような符号であっても良い。
【0182】
イベント符号154は、火災、ガス漏れ(例えばガス漏れ警報器やガス漏れ検出機能を併せ持つ住警器等の場合)などのイベント内容を表す符号であり、本実施形態にあっては4ビット符号を使用しており、例えば
0001=火災
0010=ガス漏れ
0011=警報停止(火災警報停止、ガス漏れ警報停止、障害警報停止)
0100=復旧(火災復旧、ガス漏れ復旧、障害復旧)
0101=センサ障害
0110=ローバッテリー障害
0111=警報音障害
としている。ここで、0000はイベント検出を伴わない、例えば定期通報に使用する。
【0183】
なおイベント符号42のビット数は5ビット、6ビットと増加させることで、更に多くのイベント内容を表すことができる。例えば、復旧のイベント符号は火災復旧,ガス漏れ復旧、障害復旧に分けても良い。
【0184】
また、火災以外の異状を検知する警報器では、上記の0001を検出対象となる異状イベントに置き換えても良いし、検出対象となる異状イベントの種類を、例えば上記に追加しても良い。このようにして、例えば同じグループ内に、検出対象とする異状種別の異なる警報器を混在させることもできる。
【0185】
図10乃至図13は図8の住警器100−1における監視処理の例を示したフローチャートである。図10において、住警器100−1の電池電源140による電源供給が開始されると、ステップS41で初期化、自己診断、禁止モードの設定の有無を含む各種設定の読み込みを実行し、異状がなければステップS42に進み、火災の有無を検知している。
【0186】
センサ部134から出力された煙検出信号が所定の火災レベルを超えると火災が検知され、ステップS42で火災有りが検知されてステップS43に進み、連番、火災を検知している住警器を特定する送信元符号、グループ符号、火災を示すイベント符号を含むイベント信号を生成して他の住警器に無線送信させる。
【0187】
続いてステップS44でメモリ132を参照して警報音障害フラグ180の記憶の有無が検知され、警報音障害フラグ180の記憶検出有りが検知されない場合はステップS45に進み、報知部136のスピーカ156から火災警報音とLED22の点灯により連動元を示す火災警報を出力させる。
【0188】
一方、ステップS44で警報音障害フラグ180の記憶検出有りが検知された場合は、ステップS46に進み、警報音代替処理による火災警報出力としてLED122に流す駆動電流を増加して点灯させ、LED122を強く光らせることにより警報音が出ないことによる連動元を示す火災警報機能の低下を補う。
【0189】
続いて、ステップS47でセンサ部134からの煙検出信号が低下して火災検知状態が解消する火災復旧の有無が検知されており、火災復旧が検知されるとステップS48で連番、送信元符号、グループ符号、火災復旧を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に送信させた後、ステップS49でスピーカ156からの警報音とLED122の点滅により連動元を示す火災警報を停止させる。なお、LED122による警報表示は所定時間経過後に消灯しても良い。
【0190】
続いてステップ50で警報中における警報停止スイッチ120の警報停止指示操作の有無が検知されており、スイッチ操作が検知されるとステップS51に進んで連番、送信元符号、グループ符号、警報停止を示すイベント符号を含むイベント信号が生成されて他の住警器に送信され、ステップS52に進んでスピーカ156からの連動元を示す警報音出力が停止され、LED22の警報表示を停止させる。なお、LED22は所定時間経過後に停止させても良い。
【0191】
続いて図11のステップS53に進み、他の住警器から送信または中継送信された火災を示すイベント信号の有効受信の有無が検知されている。他の住警器からの火災を示すイベント信号の有効受信検出有りが検知されるとステップS54に進み、メモリ132を参照して警報音障害フラグ180の記憶の有無が検知され、警報音障害フラグ180の記憶検出有りが検知されない場合はステップS55に進み、報知部136のスピーカ156から火災警報音とLED122の点滅により連動先を示す火災警報を出力させる。
【0192】
一方、ステップS54で警報音障害フラグ180の記憶検出有りが検知された場合は、ステップS56に進み、警報音代替処理による火災警報出力としてLED122に流す駆動電流を増加して点滅させ、LED122を強く光らせることにより警報音が出ないことによる連動先を示す火災警報機能の低下を補う。
【0193】
なお、他の住警器からローバッテリー障害、センサ障害又は警報音障害を示すイベント信号が受信された場合の処理は省略しているが、ステップS53〜S56に示した火災を示すイベント信号が受信された場合と基本的に同じになる。
【0194】
次にステップS57で他の住警器から送信または中継送信された火災復旧を示すイベント信号の有効受信の有無が検知されており、火災復旧を示すイベント信号の有効受信有りが検知されると、ステップS58に進んで連動先の警報として行っているスピーカ156からの警報音出力とLED122による警報表示を停止させる。
【0195】
次にステップS59で他の住警器から送信または中継送信された警報停止を示すイベント信号の有効受信の有無が検知されて、警報停止を示すイベント信号の有効受信有りが検知されると、ステップS60に進んで警報中の有無が検知され、警報中が検知されるとステップS61に進んで連動先としての警報音出力を停止させ、警報表示も停止させる。
【0196】
続いて図12のステップS62に進み、ローバッテリー障害の有無が検知されており、ローバッテリー障害有りが検知されるとステップS63に進んでメモリ132にローバッテリー障害フラグ176をセットして記憶させると共に定期通報タイマ182を起動させる。
【0197】
続いてステップS64に進み、メモリ132を参照して警報音障害フラグ180の記憶の有無が検知されており、警報音障害フラグ180の記憶有りが検知されない場合はステップS65に進み、報知部136のスピーカ156からローバッテリー障害警報音とLED122の点灯により連動元を示すローバッテリー障害警報を出力させる。
【0198】
一方、ステップS64で警報音障害フラグ180の記憶有りが検知された場合は、ステップS66に進み、警報音代替処理によるローバッテリー障害警報出力としてLED122に流す駆動電流を増加して点灯させ、LED122を強く光らせることにより警報音が出ないことによる連動先を示すローバッテリー障害警報機能の低下を補う。
【0199】
続いてステップS67に進んで連番、送信元符号、グループ符号、ローバッテリー障害を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に送信して連動先としての障害警報を行わせる。
【0200】
続いてステップS68に進み、センサ障害の有無が検知されており、センサ障害判別有りが検知されるとステップS69に進んでメモリ132にセンサ障害フラグ178をセットして記憶させると共に定期通報タイマ182を起動させる。
【0201】
続いてステップS70に進み、メモリ132を参照して警報音障害フラグ180の記憶検の有無が検知され、警報音障害フラグ180の記憶有りが検知されない場合はステップS71に進み、報知部136のスピーカ156からセンサ障害警報音とLED122の点灯により連動元を示すセンサ障害警報を出力させる。
【0202】
一方、ステップS70で警報音障害フラグ180の記憶有りが検知された場合は、ステップS72に進み、警報音代替処理によるセンサ障害警報出力としてLED122に流す駆動電流を増加して点灯させ、LED122を強く光らせることにより警報音が出ないことによる連動先を示すセンサ障害警報機能の低下を補う。
【0203】
続いてステップS73に進んで連番、送信元符号、グループ符号、センサ障害を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に送信させる。
【0204】
続いてステップS74に進み、警報音障害の有無が検知されており、警報音障害判別有りが検知されるとステップS75に進んでメモリ132に警報音障害フラグ180をセットして記憶させると共に定期通報タイマ182を起動させる。
【0205】
続いてステップS76で障害元を示す警報音障害警報を行わせるが、この場合、スピーカ156から音はでないため、LED122の例えば点灯のみにより障害表示を行わせる。この場合にも、LED122に流す駆動電流を増加してLED122からは強い光が出すようにしても良い。
【0206】
続いてステップS77に進んで連番、送信元符号、グループ符号、警報音障害を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に送信させ、他の住警器で連動先を示す障害警報音の出力と点滅による警報表示を行わせる。
【0207】
続いて図13のステップS78に進み、ステップS63、S69又はS75で起動した定期鳴動タイマ186による所定時間経過した定期鳴動タイミングか否かが検知されており、定期鳴動タイミングが検知されるとステップS79に進み、メモリ132にローバッテリー障害フラグ176、センサ障害フラグ178又は警報音障害フラグ180が記憶されているか否か検知され、いずれかの障害フラグの記憶が検知されるとステップS80に進み、モリ132を参照して警報音障害フラグ180の記憶の有無が検知され、警報音障害フラグ180の記憶有りが検知されない場合はステップS81に進み、報知部136のスピーカ156からローバッテリー障害又はセンサ障害に対応した警報音とLED122の点灯により連動元を示す障害警報を出力させる。
【0208】
またステップS80で警報音障害フラグ180の記憶有りが検知された場合は、ステップS82に進み、メモリ132を参照してローバッテリー障害フラグ176又はセンサ障害フラグ178の記憶有りが検知された場合はステップS83に進み、警報音代替処理によるセンサ障害警報出力としてLED122に流す駆動電流を増加して点灯させ、LED122を強く光らせることにより警報音が出ないことによるローバッテリー障害又はセンサ障害の警報機能の低下を補う。
【0209】
一方、ステップS82でメモリ132を参照してローバッテリー障害フラグ176又はセンサ障害フラグ178の記憶有りが検知されない場合はステップS84に進み、この場合は警報音障害フラグ180のみの記憶であることから、LED122を点灯して警報音障害を警報させる。なお、警報音障害についてもLED122の駆動電流を増加させて強く光らせても良い。
【0210】
続いてステップS85に進み、連番、送信元符号、グループ符号、ローバッテリー障害、センサ障害又は警報音障害を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に送信して連動先としての障害警報を行わせる。
【0211】
続いてステップS86に進み、通常状態で点検スイッチとして機能する警報停止スイッチ120による点検操作の有無が検知されており、点検操作有りが検知されるとステップS81に進み、メモリ132にローバッテリー障害フラグ176、センサ障害フラグ178又は警報音障害フラグ180が記憶有りが検知されない場合、障害検出の記憶無し(正常)が検知されてステップS88に進み、スピーカ156から連動元を示す火災警報音をスピーカ点検用警報音として低音量で1回出力させると共に、LED122を点灯して点検表示を行わせる。
【0212】
一方、ステップS87でメモリ132にローバッテリー障害フラグ176、センサ障害フラグ178又は警報音障害フラグ180の記憶有りが検知された場合は、ステップS89に進んで警報音障害フラグ180の記憶の有無が検知され、警報音障害フラグ180の記憶有りが検知されない場合はステップS90に進み、報知部136のスピーカ156からローバッテリー又はセンサ障害に対応した警報音とLED122の点灯により連動元を示す障害警報を出力させる。
【0213】
またステップS89で警報音障害フラグ180の記憶有りが検知された場合は、ステップS91に進み、モリ132を参照してローバッテリー障害フラグ176又はセンサ障害フラグ178の記憶有りが検知された場合はステップS92に進み、警報音代替処理によるセンサ障害警報出力としてLED122に流す駆動電流を増加して点灯させ、LED122を強く光らせることにより警報音が出ないことによるローバッテリー障害又はセンサ障害の警報機能の低下を補う。
【0214】
一方、ステップS91でメモリ132を参照してローバッテリー障害フラグ176又はセンサ障害フラグ178の記憶有りが検知されない場合はステップS93に進み、この場合は警報音障害フラグ180のみの記憶であることから、LED122を点灯して警報音障害を警報させる。なお、警報音障害についてもLED122の駆動電流を増加させて強く光らせても良い。
【0215】
続いてステップS94に進み、連番、送信元符号、グループ符号、ローバッテリー障害、センサ障害又は警報音障害を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に送信させて連動先としての障害警報を行わせる。
【0216】
なお、本発明における警報音障害が発生した場合の代替処理の他の実施形態として、警報器に警報振動を発生させる警報振動器となるバイブレータを設け、イベント検知部で警報音障害検知を検出した場合、バイブレータに駆動電流を流して警報振動を発生させるようにしても良い。この場合にも、バイブレータに流す駆動電流は、スピーカの設定平均駆動電流を超えないようにする。
【0217】
また、図8の実施形態において、「(3)他の住警器に送信するイベント信号の送信電力の増加」については、イベント検知部158で警報音障害が検知された場合にその旨を示す信号を受けて警報音代替処理部174により他の住警器に送信するイベント信号の送信電力を駆動電流増加により増加させる場合、当該増加する駆動電流は、スピーカ136の設定平均駆動電流を超えないようにする。
【0218】
また、上記の実施形態は火災を検知して警報する住警器を例にとるものであったが、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器を配置した警報システムやそれら各種の警報器を混在させて配置した警報システムについても同様に適用できる。
【0219】
また、連動型の警報器同士は必ずしも連動するものでなくても良く、一部の警報器は連動し、他の警報器は連動しないものとしても良い。
【0220】
また、警報器の各連携は無線通信によるものでなくても良く、有線通信によっても、また有線と無線を適宜混在させるものであっても良い。
【0221】
また、上記の実施形態で警報停止スイッチとして示した操作手段は、必ずしもスイッチである必要は無く、リモコン装置等を使用して外部からの通信によって警報履歴出力を指示するもの等、どのような手段や方法を適用しても良い。
【0222】
また上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入する等ができる。
【0223】
また、上記実施の形態で示した各機器のプロセッサは、その機能の一部又は全部を、例えばワイヤードロジック等による他の手段に代えることができる。プロセッサを含め他の電気的、機能的構成は適宜に統廃合することもできる。
【0224】
また上記の実施形態で述べた「受信がある」、「受信が無い」、「受信した場合」、「受信を判別」等は、受信した信号が有効なものとして認識されたか否かの判定も含んでいる。
【0225】
また、警報器の規格等によっては、上記実施形態のLEDによる表示が「警報」と認められない場合があるが、本発明では規格上「警報」に含まれるか否かに関わらず、警報表示、警報に伴う表示、または単に表示として記載している。本発明の目的を達成できるものであれば、どのような表示手段を用いても構わない。そして、表示部は警報器と別体に設けられていても良い。
【0226】
また、上記の実施形態では、電池電源によって動作する住警器を例に取ったが、電池電源以外の電源で動作するものにも本発明を適用できる。この場合にはローバッテリー障害に代えて電源障害を検知することになる。
【0227】
また、上記の実施形態は住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報器にも適用できる。
【0228】
また、上記の実施形態は警報器にセンサ部と警報出力処理部を一体に設けた場合を例にとるが、他の実施形態として、センサ部と警報出力処理部を別体とした警報器であっても良い。
【0229】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0230】
10,100,100−1〜100−6:住警器
12:カバー
14:本体
16:検煙部
17:取付フック
18:音響孔
20:警報停止スイッチ
22,22−1〜22−n:LED
24,128:プロセッサ
26,132:メモリ
28,134:センサ部
30,136:報知部
32,138:操作部
34:移報部
35,140:電池電源
36,156:スピーカ
38,158:イベント検知部
40,164:警報処理部
50,174:警報音代替処理部
52,176:ローバッテリー障害フラグ
54,178:センサ障害フラグ
56,180:警報音障害フラグ
58,182:定期通報タイマ
130:無線通信部
142:送信回路
144:受信回路
146:イベント信号
148:連番
150:送信元符号
152:グループ符号
154:イベント符号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
警戒領域の環境変化を検出して検出信号を出力するセンサ部と、
警報音を出力する音響変換器と、
警報を表示する警報表示器と、
前記センサ部の検出信号出力から警戒領域における異状及び前記音響変換器の警報音出力性能の低下又は喪失状態を示す警報音障害をはじめとするイベントを検知するイベント検知部と、
前記イベント検知部で異状を検知した場合に、前記音響変換器から警報音を出力させると共に前記警報表示器を駆動して警報表示させる警報処理部と、
前記イベント検知部で警報音障害を検知した場合、前記音響変換器の警報音に代替する警報動作を行わせる警報音代替処理部と、
を設けたことを特徴とする警報器。
【請求項2】
請求項1記載の警報器に於いて、電池電源で動作する場合、前記警報音代替処理部は、前記イベント検知部で警報音障害検知を検出した場合、前記警報表示器に流す駆動電流を増加させて表示輝度を上げることを特徴とする警報器。
【請求項3】
請求項2記載の警報器に於いて、前記警報表示器に流す駆動電流の増加分は、前記音響変換器の設定平均駆動電流を超えないことを特徴とする警報器。
【請求項4】
請求項1記載の警報器に於いて、
更に、前記警報表示器以外に1又は複数の表示器を備え、
前記警報音代替処理部は、前記イベント検知部で警報音障害を検知した場合、前記警報表示器および前記表示器の少なくとも1つを駆動して警報表示させることを特徴とする警報器。
【請求項5】
請求項2記載の警報器に於いて、当該警報器が電池電源で動作する場合、前記警報表示器以外の1又は複数の表示器の駆動に要する電流は、前記音響変換器の設定平均駆動電流を超えないことを特徴とする警報器。
【請求項6】
請求項1記載の警報器に於いて、更に、
他の警報器に異状を示すイベント信号を送信する送信部と、
他の警報器から異状を示すイベント信号を受信する受信部と、
を備え、
前記警報音代替処理部は、前記イベント検知部で警報音障害を検知した場合、前記送信部の送信電力を増加させることを特徴とする警報器。
【請求項7】
請求項6記載の警報器に於いて、当該警報器が電池電源で動作する場合、前記送信電力を駆動電流増加により増加させるときの、当該増加する駆動電流は、前記音響変換器の設定平均駆動電流を超えないことを特徴とする警報器。
【請求項8】
請求項1記載の警報器に於いて、
前記イベント検知部は、前記イベンとして、前記警報音障害以外に前記電池電源の電圧低下および前記センサ部の故障をはじめとする障害を検知し、
前記警報処理部は、前記イベント検知部で警報音障害以外の他の障害を検知した場合、前記音響変換器からの障害警報音と警報表示器の警報表示とにより障害警報を出力させ、
前記警報音代替処理部は、前記イベント検知部で前記警報音障害検知及び他の障害を検知した場合、前記音響変換器の障害警報出力に代替する警報動作を行わせることを特徴とする警報器。
【請求項9】
請求項1記載の警報器に於いて、
更に、警報振動を発生させる警報振動器を備え、
前記警報音代替処理部は、前記イベント検知部で警報音障害を検知した場合、前記警報振動器に駆動電流を流して警報振動を発生させることを特徴とする警報器。
【請求項10】
請求項9記載の警報器に於いて、当該警報器が電池電源で動作する場合、前記警報振動器に流す駆動電流は、前記音響変換器の設定平均駆動電流を超えないことを特徴とする警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−242880(P2012−242880A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109100(P2011−109100)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】