説明

警報器

【課題】警報器の周囲の雰囲気との通気性を保障することにより、被検出ガスの検出精度の低下を抑制する。
【解決手段】警報器は、筐体を構成するケース本体10と、ケース本体10の内外を貫通し、このケース本体10の周囲の雰囲気をセンサ室に流入させる通気口と、を有している。この通気口13aは、ケース本体10をなす2つ以上の面10b〜10eにそれぞれ形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報器に係り、特に、使用者が携行可能な警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガス漏れや、火災或いは燃焼機器の不完全燃焼に伴う一酸化炭素といった検出対象ガスを検出して警報を発する警報器が知られている。この類の報知器としては、例えば、室内、浴室や厨房といった場所に固定的に配置されるタイプ以外にも、使用者が携行可能なタイプも知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、住宅用警報器が開示されている。この住宅用警報器は、検知部を含む部品を収容する筐体である保護カバーを備え、この保護カバーの底面には、開口が一つ形成されている。この開口が通気部位として機能することで、警報器の周囲の雰囲気と検知部との間での通気が行われる。また、特許文献2,3には、可搬型ガス検知器が開示されている。このガス検知器では、ガスセンサや回路基板を含む部品を収容する筐体である矩形枠状のケース本体を備え、当該ケース本体の上面にガス導入部が一つ形成されている。このガス導入部が通気部位として機能することで、検知器の周囲の雰囲気とガスセンサとの間での通気が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−50031号公報
【特許文献2】特開2006−209438号公報
【特許文献3】特開2005−134331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、各特許文献に開示された手法によれば、通気部位が一つしか形成されていないため、何らかの事態で通気部位が塞がれてしまった場合には通気性が阻害されてしまい、検出精度の低下を招くといった事態が起こりえる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、警報器の周囲の雰囲気との通気性を保障することにより、被検出ガスの検出精度の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、本発明は、筐体を構成するケース本体と、ケース本体内に収容されて、当該ケース本体内に形成された空間であるセンサ室に含まれる検出対象ガスを検出するガスセンサと、ケース本体の内外を貫通し、ケース本体の周囲の雰囲気をセンサ室に流入させる通気口と、を有する、使用者が携行可能な警報器を提供する。この場合、通気口は、ケース本体をなす2つ以上の面にそれぞれ形成されている。
【0008】
また、本発明において、ケース本体は、通気口が形成される少なくとも一つの面が、非平面的な形状に設定されていることが好ましい。
【0009】
また、本発明において、ケース本体は、ケース本体の周囲の雰囲気がケース本体内部へ流入する通路としての凹状の溝で構成される横穴を有し、横穴は、当該横穴に対する雰囲気の流入方向が、同一面に形成される通気口に対する雰囲気と流入方向と交差するように設定されることが好ましい。
【0010】
また、本発明において、ケース本体は、ケース本体における横穴の周縁部の一部に、外側に凸状に突出した突起部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ケース本体をなす2つ以上の面に通気口をそれぞれ設けることで、複数の通気口を設定することができる。これにより、一つの通気口が塞がれた場合であっても、残余の通気口が存在することで、警報器の周囲の雰囲気との通気性を保障するができるので、被検出ガスの検出精度の低下を抑制することができる。また、2つ以上の面に分散して通気口を形成することで、一つの面が塞がれてしまったとしても、残余の面に形成された通気口が存在することで、警報器の周囲の雰囲気との通気性を保障することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態にかかる警報器を模式的に示す斜視図
【図2】警報器を模式的に示す正面図
【図3】警報器を模式的に示す上面図
【図4】警報器を模式的に示す下面図
【図5】警報器を模式的に示す側面図
【図6】ケース本体の側面を示す斜視図
【図7】側面を中心とするケース本体の断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本実施形態にかかる警報器1を模式的に示す斜視図である。また、図2は警報器を模式的に示す正面図、図3は警報器を模式的に示す上面図、図4は警報器を模式的に示す下面図、図5は警報器を模式的に示す側面図である。本実施形態にかかる警報器1は、検出対象ガス、例えば一酸化炭素(CO)を検出して警報を行うガス警報器であり、特に、燃焼器具の不完全燃焼点検などといったように燃焼器具が設置されている現場にガス点検設備者(使用者)が携行することができる携行用ガス警報器である。
【0014】
警報器1は、表ケース11と裏ケース12により形成されたケース本体10を備えている。このケース本体10は、複数の面からなる中空箱状の筐体を構成し、図示しないガスセンサ等を収容している。本実施形態において、ガスセンサは、ケース本体10内に形成された空間であるセンサ室における一酸化炭素の濃度を検出するCOセンサであり、このCOセンサとしては、電気化学式ガスセンサ、半導体式ガスセンサ或いは接触燃焼式ガスセンサ等を利用することができる。
【0015】
また、警報器1は、ケース本体10の内部に、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータ(図示せず)を備えている。このマイクロコンピュータには、ガスセンサ、警報表示部20、警報出力部30及び電源操作部40等が接続されている。
【0016】
マイクロコンピュータは、周知のように、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行うものであり、ROMには、CPUのための制御プログラム等が格納されている。そして、CPUは、RAMのワーキングエリアを利用して各種の処理を行う。このマイクロコンピュータは、所定の検出タイミングにおいてガスセンサの出力を読み込み、そして、一酸化炭素の濃度が、予め定められた警報レベルに達すると、警報表示部20及び警報出力部30を制御して、警報を行う。
【0017】
ケース本体10の表面10aには、警報表示によって警報を行う警報表示部20と、警報音によって警報を行う警報出力部30と、操作部40とが設けられている。
【0018】
警報表示部20は、ケース本体10内に配置されたLEDなどのランプ(図示せず)等を含んで構成されている。この警報表示部20は、ケース本体10において「CO」等と記されたCO警報表示領域21をランプの透過光によって発光することにより、一酸化炭素の濃度が警報レベルに達したことを報知する。また、警報表示部20は、「お知らせ」と記された故障お知らせ領域22の近傍においてランプを点灯又は点滅させることにより、機器の故障を報知する。
【0019】
警報出力部30は、ケース本体10内に配置されたスピーカー(図示せず)を含んで構成されている。ケース本体10には、スピーカからの音声メッセージによる警報音を外部に出力するために、複数の放音孔31が形成されている。
【0020】
操作部40は、使用者が操作可能なボタンで構成されている。この操作部40は、例えば、警報器1の電源をオンするオンボタンと、警報器1の電源をオフするオフボタンとを含んでいる。
【0021】
このような構成の警報器1において、ケース本体10には、当該ケース本体10の内外を貫通する複数の通気口13a〜13dが形成されている。これらの通気口13a〜13dは、警報器1の周囲の雰囲気を、ケース本体10内部のセンサ室に流入させるための開口として機能する。
【0022】
ケース本体10を構成する一対の側面10b,10cのうち、一方の側面10bに対応する領域には、4つの通気口13a,13bが形成されている。具体的には、側面10bのうち表ケース11側に対応する領域には、2つの通気口13aが形成され、裏ケース12側に対応する領域には、2つの通気口13bが形成されている。また、ケース本体10の上面10dには、1つの通気口13cが形成されており、ケース本体10の下面10dには、1つの通気口13bが形成されている。このように、警報器1のケース本体10を構成する2つ以上の面10b,10d,10eに、通気口13a〜13dがそれぞれ形成されている。
【0023】
また、4つの通気口13a,13bが形成されているケース本体10の側面10bには、曲面を主体とした形状が適用されている。具体的には、当該側面10bは、これを断面的に捉えた場合に、略円柱形状のセンサ室の周囲を覆うような円弧形状を備えており、総体として、上面10d側から下面10e側へと延在する略円筒形状に形成されている。すなわち、側面10bに対応する通気口13a,13は、平坦な面に形成されているのではく、立体な形状をなす面に形成されていることとなる。
【0024】
さらに、ケース本体10の側面10bには、横穴14が形成されている。ここで、図6は、ケース本体10の側面10bを示す斜視図であり、(b)は、同図(a)に示す領域Aを拡大して示す斜視図である。また、図7は、ケース本体10の側面10bを中心とするケース本体10の断面図である。
【0025】
具体的には、図7に示すように、側面10bに対応する領域(裏ケース12に対応する領域)には、周囲の雰囲気が側面10bに対して略垂直に進んでセンサ室Sへ流入するのではく、これと交差する横方向、すなわち、側面10の面方向に沿って進んだ後にセンサ室Sへ流入する通路としての横穴14が形成されている。換言すれば、横穴14は、当該横穴14に対する雰囲気の流入方向が、同一面(側面10b)に形成される通気口13a,13bに対する雰囲気の流入方向とオフセットするように設定されている。この横穴14は、側面10bの所定位置に、凹状の溝で構成されている。
【0026】
また、裏ケース12において、ケース本体10表面における横穴14の周縁部の一部には、外側に凸状に突出した突起部15が形成されている。
【0027】
このように本実施形態において、通気口13a〜13dは、ケース本体10をなす2つ以上の面10b〜10eにそれぞれ形成されている。かかる構成によれば、2つ以上の面10b〜10eに通気口13a〜13dをそれぞれ設けることで、複数の通気口13a〜13dを設定することができる。これにより、一つの通気口13a〜13dが塞がれた場合であっても、残余の通気口13a〜13dが存在することで、警報器1の周囲の雰囲気との通気性を保障することができるので、被検出ガスの検出精度の低下を抑制することができる。また、一つの面に対して複数の通気口を設定することも有効であるが、携行型警報器1の場合には、可搬性を考慮してケース本体のサイズが小さかったり、使用者の体が触れたりといったように、ケース本体における一つの面の全体が塞がれてしまうといった事態も起こりえる。この点、2つ以上の面10b〜10eに分散して通気口13a〜13dを形成することで、一つの面10b〜10eが塞がれてしまったとしても、残余の面10b〜10eに形成された通気口13a〜13dが存在することで、警報器1の周囲の雰囲気との通気性を保障することができる。
【0028】
また、本実施形態において、ケース本体10は、通気口13a,13bが形成される少なくとも一つの面(側面)10bが、非平面的な形状、具体的には、曲面形状に設定されている。かかる構成によれば、使用者の体とケース本体10とが接触するといったように、遮蔽物がケース本体10の側面10bを覆うような場合に、当該側面10bが平面であれば、遮蔽物が面的に接触して、側面10bの全体を覆い、全ての通気口13a,13bが塞がれてしまうといったことが生じ得る。一方、側面10bが曲面形状に設定されている場合には、遮蔽物が部分的に接触することで側面10bの全体が覆われるといった事態を抑制することができる。これにより、側面10bに形成された通気口13a,13bが塞がれるといった可能性を低減することができるので、警報器1の周囲の雰囲気との通気性を高めることができる。また、このような非平面的な形状に設定される面(側面)10bには、複数の通気口13a,13bを形成しておくことにより、一つの通気口13a,13bが塞がったとしても、残余の通気口13ab13bが塞がれる確立を高めることができるので、より有効となる。
【0029】
さらに、なお、ケース本体10の面に設定する非平面的な形状としては、曲面形状に限らず、立体的な形状を広く採用することができる。例えば、凹凸を周期的に繰り返すような波型や三角波型であってもよく、一つの面を複数の細分化した面により構成した多角形状としてもよい。
【0030】
また、本実施形態において、ケース本体10は、ケース本体10の周囲の雰囲気がケース本体10内部へ流入する通路としての凹状の溝で構成される横穴14を有している。この横穴14は、横穴14に対する雰囲気の流入方向が、同一面10bに形成される通気口13a,13bに対する流入方向とオフセットするように設定されている。かかる構成によれば、周囲雰囲気の流れに起因して、通気口13a,13bから雰囲気が流入し難いような状況であっても、流入方向がオフセットした関係にある横穴14を備えることで、センサ室に周囲雰囲気を適切に導くことができる。これにより、警報器1の周囲の雰囲気との通気性を保障することができる。
【0031】
また、本実施形態において、ケース本体10は、ケース本体10における横穴14の周縁部の一部に、外側に凸状に突出した突出部15を備えている。かかる構成によれば、突出部15を設けることで、ケース本体10における横穴14の周縁部が同一平面形状にならないので、当該横穴14が遮蔽物によって覆われるような状況であっても、横穴14の周縁部に間隙が確保される。これにより横穴14が完全に塞がれてしまうといった状況を抑制することができ、警報器1の周囲の雰囲気との通気性を保障することができる。
【0032】
以上、本実施形態にかかる警報器について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されることなく、その発明の範囲において種々の変更が可能である。例えば、警報器の形状は、ガスセンサとしては、種々の検出対象ガスを検出できればよく、検出対象ガスを、例えば、メタンガス、プロパンガス、水素ガス等とすることもできる。
【符号の説明】
【0033】
1 警報器
10 ケース本体
10a 表面
10b 側面
10c 側面
10d 上面
10e 下面
11 表ケース
12 裏ケース
13a 通気口
13b 通気口
13c 通気口
13d 通気口
20 警報表示部
21 CO警報表示領域
22 故障お知らせ領域
30 警報出力部
40 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が携行可能な警報器において、
筐体を構成するケース本体と、
前記ケース本体内に収容されて、当該ケース本体内に形成された空間であるセンサ室に含まれる検出対象ガスを検出するガスセンサと、
前記ケース本体の内外を貫通し、前記ケース本体の周囲の雰囲気を前記センサ室に流入させる通気口と、を有し、
前記通気口は、前記ケース本体をなす2つ以上の面にそれぞれ形成されていることを特徴とする警報器。
【請求項2】
前記ケース本体は、前記通気口が形成される少なくとも一つの面が、非平面的な形状に設定されていることを特徴とする請求項1に記載された警報器。
【請求項3】
前記ケース本体は、前記ケース本体の周囲の雰囲気が前記ケース本体内部へ流入する通路としての凹状の溝で構成される横穴を有し、
前記横穴は、当該横穴に対する雰囲気の流入方向が、同一面に形成される前記通気口に対する雰囲気と流入方向とオフセットするように設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載された警報器。
【請求項4】
前記ケース本体は、前記ケース本体表面における前記横穴の周縁部の一部に、外側に凸状に突出した突起部を備えることを特徴とする請求項3に記載された警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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