説明

警報器

【課題】外部環境の変化の報知を、視覚的により認識しやすい警報器を提供する。
【解決手段】外部環境の変化を検知する検知手段と、外部環境の変化を報知する報知手段20と、を設けた警報器において、報知手段20は、間隔を空けて配置された複数の発光部21と、報知手段20の外側表面に形成され、それぞれの発光部21から放たれた光を各別に間隔を空けて外部に放射する複数の光放射面22と、各発光部21から発光部21に対応する光放射面22に至る光路が、光放射面22の側ほど拡散する拡散部23と、複数の発光部21における発光のさせ方を制御する制御部24と、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部環境の変化を検知する検知手段と、前記外部環境の変化を報知する報知手段と、を設けた警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の警報器として、温度上昇や被検知ガスを検知する検知手段としてのセンサと、当該センサが検知した外部環境の変化を、単一のランプの点灯などで視覚的に知らせる報知手段を備えたものが知られている。警報器においてランプの点灯などで外部環境の変化を知らせる技術は一般的であるため、特許文献は記載しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
警報器が外部環境の変化を検知し、単一のランプを備えた報知手段が点灯して検知した当該変化を報知したとき、例えば電源の入力を知らせるランプなど警報を知らせる以外のランプの点灯と即座に判別し難い場合があった。この場合、報知手段の作動の有無を使用者が警報器に近づいて再確認するなどして、当該外部環境の変化に対する対策が遅れる虞があった。
【0004】
従って、本発明の目的は、外部環境の変化の報知を、視覚的により認識しやすい警報器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明に係る警報器は、外部環境の変化を検知する検知手段と、前記外部環境の変化を報知する報知手段と、を設けた警報器であって、その第一特徴構成は、前記報知手段は、間隔を空けて配置された複数の発光部と、前記報知手段の外側表面に形成され、それぞれの発光部から放たれた光を各別に間隔を空けて外部に放射する複数の光放射面と、各発光部から当該発光部に対応する光放射面に至る光路が、当該光放射面の側ほど拡散する拡散部と、前記複数の発光部における発光のさせ方を制御する制御部と、を設けた点にある。
【0006】
本構成によれば、複数の発光部から放たれた光は、それぞれの発光部に対応する拡散部を経由して、光放射面から報知手段の外部に放射される。拡散部は、光放射面の側ほど拡散する円錐状に形成してあり、発光部から放たれた光が当該拡散部を経由すれば、当該光が広がるように光放射面から放射される。このように報知手段から発せられた光は、放射する範囲が広くなるため使用者によって認識し易くなる。
【0007】
また、複数の光放射面は間隔を空けて配置してある。そのため、それぞれの発光部から放たれたそれぞれの光は、対応する光放射面から重なることなく放射され、個々の発光部の光の輪郭を明瞭に認識させることができる。これにより、個々の発光部が点灯する度に、使用者に報知手段から光(警報)が発せられていることを認識させ易くなる。
【0008】
本発明に係る警報器の第二特徴構成は、前記制御部が、隣接する発光部を一方向に向って順次発光させるように制御する点にある。
【0009】
本構成では、まず一の発光部を点灯させた後に隣接する発光部を点灯させ、さらに当該発光部に隣接する発光部を点灯させる。このように一方向に向って順次発光させるように制御することで、使用者に光が一方向に向って走るように認識させることができる。そのため、単にランプが点灯している態様ではないため使用者の目を引き易くなり、電源の入力を知らせる電源ランプなど警報を知らせる以外のランプの点灯と誤認し難くなる。よって、火災に対する対策を迅速に行なうことができる。
【0010】
本発明に係る警報器の第三特徴構成は、少なくとも前記拡散部の一部および前記光放射面の側方を遮光する遮光手段を設けた点にある。
【0011】
本構成によれば、少なくとも拡散部の一部および光放射面の側方を遮光手段で囲むように遮光しているため、報知手段に近接して配設してある発光手段が点灯しても、遮光手段で遮光された拡散部の一部および光放射面まで光が到達することはない。よって、報知手段で警報の報知がない場合に、当該報知手段から光が放射されているように誤認することはない。
【0012】
本発明に係る警報器の第四特徴構成は、前記光放射面の成形面を、前記発光部から放たれた光を斜め下方に放射するべく傾斜状に形成した点にある。
【0013】
警報器は、室内壁の上部に配設することが多い。
本構成によれば、警報器を室内壁の上部に配設した際に、光放射面が斜め下方を向くように成形した傾斜部を備えることができるため、発光部から放たれた光を斜め下方に放射することができる。そのため、警報器を配設した高さレベルより低い高さから報知手段のライトの点灯を視認し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の警報器の構成の概略を示すブロック図である。
【図2】警報器の上面視の概略図である。
【図3】報知手段の概略図である。
【図4】報知手段の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の警報器は、例えば、火災や被検知ガスの漏洩など、外部環境の変化を検知して使用者に報知するものである。本実施形態では、火災警報、COガス漏洩警報、ガス漏洩警報の機能を有する複合型の警報器について説明する。
【0016】
図1,2に示したように、本発明の警報器Xは、外部環境の変化を検知する検知手段10と、外部環境の変化を報知する報知手段20と、を設ける。
【0017】
(検知手段)
検知手段10として、火災センサ、COセンサおよび都市ガスセンサを備える。火災センサは、温度の上昇を感知する温度センサや、煙感知機能を有する公知の散乱光式煙センサなどが使用できる。本実施形態では当該散乱光式煙センサを使用した場合について説明する。この場合、ケース1の前面中央部には、煙センサの外周側を金網で被覆して構成された円筒状の煙検知部(図外)を突設し、当該煙検知部の前方を覆う前カバー部2を隆起形成するとよい(図2)。
【0018】
COセンサは不完全燃焼で発生する一酸化炭素ガスを検出でき、都市ガスセンサは炭化水素ガス等の漏洩ガスを検出することができるものであれば、公知の半導体式センサ素子や接触燃焼式ガスセンサ素子などが使用できる。これらセンサは、ケース1の右側面上部に形成された複数のスリット3を通して警報器Xの内部に流入した一酸化炭素ガスおよび都市ガスを検知できるように配設する。
【0019】
(報知手段)
報知手段20は、例えば各センサが警報レベル以上の煙濃度、CO濃度および都市ガス濃度を継続して検知したことを後述の演算手段30が判定した場合、当該演算手段30から警報信号を受け取り、ランプの点滅や音声により警報を発する。本実施形態では、警報を視覚的に報知する上ランプ表示部4および下ランプ表示部5をケース1の前面下部に設ける。
【0020】
上ランプ表示部4の裏側には、煙センサが煙を検知したときに点灯する火災警報部20Aが配設される。下ランプ表示部5の裏側には、通電時に点灯する電源ランプ、一酸化炭素ガスセンサが一定濃度以上の一酸化炭素ガスを検知したときに点灯する不完全燃焼警報部20B、都市ガスセンサが一定濃度以上の都市ガスを検知したときに点灯する都市ガス警報部20Cが配設される。
【0021】
また、警報を音声で報知する警報スピーカ部6をケース1の前面上部に設ける。ケース1の前面下端部には、警報音を停止する警報音停止スイッチ7を設ける。
【0022】
図3,4に示したように、火災警報部20A(報知手段20の一部)は、間隔を空けて配置された複数の発光部21(21a〜21c)を設ける。
報知手段20の外側表面には、それぞれの発光部21から放たれた光を各別に間隔を空けて外部に放射する複数の光放射面22(22a〜22c:上ランプ表示部4の一部)が形成される。
各発光部21から当該発光部21に対応する光放射面22に至る光路には、当該光放射面22の側ほど拡散する拡散部23(23a〜23c)が形成される。
さらに、火災警報部20Aには、複数の発光部21a〜21cにおける発光のさせ方を制御する制御部24を設ける。
【0023】
発光部21は、発光ダイオード(LED)や白熱電球など、公知の発光手段を使用できる。発光部21の数は複数であればよく、複数の発光部21の配置態様(直線状、曲線状など)、および、発光部21に使用する発光手段の色は特に限定されるものではない。本実施形態では3つの発光部21a〜21cを直線状に配置した場合について説明する。
本発明の警報器Xでは、間隔を空けて複数の発光部21a〜21cを配置してあり、それぞれの発光部21a〜21cに対応する複数の光放射面22a〜22cが間隔を空けて配置してある。
【0024】
発光部21から放たれた光は、それぞれの発光部21a〜21cに対応する拡散部23a〜23cを経由して、光放射面22a〜22cから報知手段20の外部に放射される。拡散部23は、高分子微粒子や低屈折率の無機微粒子などを含んだ公知の光拡散剤を含有する樹脂によって形成するとよい。例えば発光部21としてLEDを光源として使用する場合、拡散部23が例えば乳半色や乳白色を呈するようにする。拡散部23は、光放射面22の側ほど拡散する円錐状に形成してあり、発光部21から放たれた光が当該拡散部23を経由すれば、当該光が広がるように光放射面22から放射される。このように火災警報部20Aから発せられた光は、放射する範囲が広くなるため使用者によって認識し易くなる。
【0025】
複数の光放射面22a〜22cは間隔を空けて配置してある。そのため、それぞれの発光部21a〜21cから放たれたそれぞれの光は、対応する光放射面22a〜22cから重なることなく放射され、個々の発光部21の光の輪郭を明瞭に認識させることができる。
【0026】
本発明では複数の発光部21を同時に点灯させるのではなく、制御部24によって、隣接する発光部21を一方向に向って順次発光させるように制御している。即ち、まず発光部21aを点灯させた後に隣接する発光部21bを点灯させ、さらに当該発光部21bに隣接する発光部21cを点灯させる。このように一方向に向って順次発光させるように制御することで、使用者に光が一方向に向って走るように認識させることができる。そのため、単にランプが点灯している態様ではないため使用者の目を引き易くなる。
【0027】
複数の発光部21を順次点灯させる点灯パターンは、種々設定するとよい。例えば、直線状に配置された複数の発光部21a〜21cを発光部21aから発光部21cまで順次点灯し、一通り点灯が終われば一旦すべての発光部21a〜21cを消灯し、再度、発光部21aから同様のパターンで点灯する。或いは、発光部21aから発光部21cまで順次点灯して、一通り点灯が終われば一旦すべての発光部21a〜21cを消灯し、発光部21cから発光部21aまで逆方向に順次点灯させてもよい。
点灯した発光部21を消灯させるタイミングは、隣接する発光部21が点灯する直前に消灯するように制御してもよい。
【0028】
上述した光放射面22の成形面は、発光部21から放たれた光を斜め下方に放射するべく傾斜状に形成するとよい(図3)。
【0029】
本実施形態では、検知手段10として煙センサや都市ガスセンサを使用している。これらセンサは煙や空気より軽い都市ガスを検知するため、警報器Xは、通常、室内壁の上部に配設する。
本構成では、警報器Xを室内壁の上部に配設した際に、光放射面22が斜め下方を向くように成形した傾斜部25を備えることができるため、発光部21から放たれた光を斜め下方に放射することができる。そのため、警報器Xを配設した高さレベルより低い高さから報知手段20のライトの点灯を視認し易くなる。
【0030】
(演算手段)
演算手段30は、上述した各センサが煙、一酸化炭素ガスおよび都市ガスをそれぞれ検知した各出力に基づき、煙濃度、CO濃度および都市ガス濃度をそれぞれ算出する濃度算出部を備える。
さらに演算手段30は、各センサが警報レベル以上の煙濃度、CO濃度および都市ガス濃度を継続して検知した場合、警報信号を報知手段20に送って当該報知手段20により警報を発するように制御する。
【0031】
(遮光手段)
本実施形態では、少なくとも拡散部23の一部および光放射面22の側方を遮光する遮光手段40を設ける。遮光手段40は当該遮光ができるものであればどのような部材でもよいが、例えば、薄板状の金属板、樹脂板などを使用すればよい。
【0032】
上述したように本実施形態では、上ランプ表示部4および下ランプ表示部5を上下に配設している。警報器Xのケース1は、通常、PMMA樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂)などの透明性の高い材料で作製される。また、拡散部23は、乳白色を呈する樹脂で作製されている。このとき、例えば下ランプ表示部5において不完全燃焼警報部20Bが点灯した場合、下ランプ表示部5の直ぐ上方に配置した上ランプ表示部4まで光が到達することが考えられる。
このとき、仮に遮光手段40を設けない構成であれば、火災警報部20Aで警報の報知がない場合であっても、恰も上ランプ表示部4から光が放射されているように誤認する虞がある。
しかし、本実施形態では、少なくとも拡散部23の一部および光放射面22の側方を遮光手段40で囲むように遮光しているため、下ランプ表示部5においてランプが点灯しても、上ランプ表示部4まで光が到達することはない。よって、火災警報部20Aで警報の報知がない場合に、上ランプ表示部4から光が放射されているように誤認することはない。
【0033】
〔別実施の形態〕
上述した実施形態では、火災警報部20Aのみにおいて隣接する発光部21を一方向に向って順次発光させるように構成したが、不完全燃焼警報部20B、都市ガス警報部20Cにおいても、複数の発光部を配設して隣接する発光部を設けて、当該発光部を一方向に向って順次発光させるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、外部環境の変化を検知する検知手段と、前記外部環境の変化を報知する報知手段と、を設けた警報器に利用できる。
【符号の説明】
【0035】
X 警報器
10 検知手段
20 報知手段
21 発光部
22 光放射面
23 拡散部
24 制御部
40 遮光手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部環境の変化を検知する検知手段と、前記外部環境の変化を報知する報知手段と、を設けた警報器において、
前記報知手段は、間隔を空けて配置された複数の発光部と、
前記報知手段の外側表面に形成され、それぞれの発光部から放たれた光を各別に間隔を空けて外部に放射する複数の光放射面と、
各発光部から当該発光部に対応する光放射面に至る光路が、当該光放射面の側ほど拡散する拡散部と、
前記複数の発光部における発光のさせ方を制御する制御部と、を設けた警報器。
【請求項2】
前記制御部は、隣接する発光部を一方向に向って順次発光させるように制御する請求項1に記載の警報器。
【請求項3】
少なくとも前記拡散部の一部および前記光放射面の側方を遮光する遮光手段を設けた請求項1又は2に記載の警報器。
【請求項4】
前記光放射面の成形面が、前記発光部から放たれた光を斜め下方に放射するべく傾斜状に形成してある請求項1〜3の何れか一項に記載の警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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