説明

警報器

【課題】下方空間に結露水を外部に排水せずに散逸させる警報器を提供する。
【解決手段】天井面Cの側となる背面部21のうちコネクタ6に対向する部分を、内部側に凹入して形成された第一凹部22と、第一凹部22の底部22aに開口され、コネクタ6の差し込み口を底部22aの側に向けて露出させる開口部22bと、背面部21における第一凹部22に隣接する部分を、内部側に凹入して形成された第二凹部23と、背面部21における第一凹部22と第二凹部23との間の部分を、内部側に凹入して形成され、第一凹部22と第二凹部23とを連通可能な連通凹部24と、を備え、連通凹部24の凹入深さを、少なくとも第二凹部23の凹入深さD2よりも浅く設定し、第二凹部23の底部23aに、第二凹部23に侵入した結露水を、第二凹部23内において周囲に拡散させる拡散機構23bを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井面に取り付けられて、周辺環境の変化を検知すると共に、外部機器からの接続線を接続するコネクタが内蔵された警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
このような天井付けの警報器においては、天井面に発生した結露水が接続線を伝って機器内部のコネクタにまで至り、内部機器の故障が誘発される虞がある。そこで、従来、この問題を解決するものとして、特許文献1に記載のような警報器があった。
【0003】
特許文献1に記載の警報器は、天井面の側となる背面部(文献では「天面」)のうちコネクタ(文献では「出力コネクタ」)に対向する部分を、内部側に凹入して形成された第一凹部(文献では「嵌入凹部」)と、第一凹部の底部に開口され、コネクタの差し込み口を底部の側に向けて露出させる開口部(文献では「露出穴」)と、背面部における第一凹部に隣接する部分を、内部側に凹入して形成された第二凹部(大面積収容部)と、を備えている。
【0004】
特許文献1に記載の警報器においては、まず、天井面側から下ろしてきた接続線の先端部を開口部を介してコネクタに接続する。そして、第一凹部と第二凹部とを連結する線状ガイド部に接続線を嵌め込んで第二凹部に引き込み、余剰分の接続線を第二凹部に収納する。また、第二凹部には、第二凹部から筐体本体の外部に達する排水溝が設けられている。
【0005】
この構成であれば、天井面に発生した結露水は、先ずは第二凹部に侵入するので、直接、第一凹部に侵入することはなく、仮に、結露水が第二凹部に溜まった場合でも、結露水は排水溝を介して外部に排水される。このように、特許文献1に記載の技術であれば、結露水を第一凹部に侵入させず、結露水がコネクタに接触することを防止することができるとされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4690138号公報(段落[0027]乃至[0034],図1乃至図5(特に図5))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の警報器は、結露水を外部に排水するので、警報器の下方にそのまま滴り落ちることとなる。例えば、警報器の下方が、水分を嫌う作業スペースや飲食を行うスペースであったりすると、結露水が滴り落ちるのは好ましくない。また、下方にいる人に結露水が滴り落ちると、不快に感じられることもある。
【0008】
上記実情を鑑み、本発明は、下方空間に結露水を外部に排水せずに散逸させて、結露水による内部機器の故障を防止可能な警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る警報器の第一特徴構成は、天井面に取り付けられて、周辺環境の変化を検知すると共に、外部機器からの接続線を接続するコネクタが内蔵された警報器であって、前記天井面の側となる背面部のうち前記コネクタに対向する部分を、内部側に凹入して形成された第一凹部と、前記第一凹部の底部に開口され、前記コネクタの差し込み口を前記底部の側に向けて露出させる開口部と、前記背面部における前記第一凹部に隣接する部分を、前記内部側に凹入して形成された第二凹部と、前記背面部における前記第一凹部と前記第二凹部との間の部分を、前記内部側に凹入して形成され、前記第一凹部と前記第二凹部とを連通可能な連通凹部と、を備え、前記連通凹部の凹入深さを、少なくとも前記第二凹部の凹入深さよりも浅く設定し、前記第二凹部の底部に、前記第二凹部に侵入した結露水を、前記第二凹部内において周囲に拡散させる拡散機構を備えた点にある。
【0010】
本特徴構成であれば、先端部をコネクタに接続した後の接続線を、連通凹部を介して第二凹部に引き込めば、天井面からの結露水は、接続線を伝って先ず第二凹部に溜まることとなる。そして、第二凹部に侵入した結露水は、拡散機構によって第二凹部の底部の広範囲に亘って拡散される。したがって、結露水の外気に対する接触面積が広くなり、結露水の蒸発が促進され、結露水は、外部に排水せずとも散逸する。
【0011】
また、例えば、結露水の量が多い場合であっても、連通凹部の凹入深さは少なくとも第二凹部の凹入深さよりも浅く設定されているので、結露水は連通凹部によって堰き止められ、第一凹部へ侵入しにくい。
【0012】
これらの結果、結露水を第一凹部に侵入させず、結露水がコネクタに接触することを防止することができる。即ち、下方空間に結露水を排水せずに、結露水による内部機器の故障を防止可能な警報器とすることができる。
【0013】
本発明に係る警報器の第二特徴構成は、前記拡散機構は、前記底部の外周に沿って形成された溝である点にある。
【0014】
本特徴構成によると、拡散機構は、第一凹部の底部の外周に沿って形成された溝であり、第一凹部に侵入した結露水が溝に接触すると、結露水は毛細管現象によって底部の全体に亘って拡散される。即ち、第一凹部の底部の外周に沿って溝を形成するという簡単な構成で、結露水を効率よく蒸発させられる。
【0015】
本発明に係る警報器の第三特徴構成は、前記連通凹部の底部を、前記第一凹部の側から前記第二凹部の側に向うに従って前記背面部から離間する傾斜面に形成してある点にある。
【0016】
本特徴構成によると、連通凹部の底部は第一凹部の側から第二凹部の側に向けて下降傾斜しているので、結露水が連通凹部を伝って第一凹部に侵入することが防止される。
【0017】
本発明に係る警報器の第四特徴構成は、前記傾斜面に、前記連通凹部の幅に亘って前記背面部の側に突出する突起部を備えた点にある。
【0018】
本特徴構成のように、連通凹部の傾斜面に突起部を備えることで、突起部が障害となって、結露水が連通凹部を伝って第一凹部に侵入することが、より確実に防止される。また、突起部を設けることによって、突起部を設けていない場合と比較して、接続線と傾斜面とが接触しやすくなる。この結果、仮に、接続線を伝って第二凹部の側から第一凹部の側へ結露水が移行しようとしても、その結露水は突起部に接触して、傾斜面のうち突起部よりも第二凹部の側へ流れ落ちる。これにより、さらに、結露水が第一凹部に侵入することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る煙感知器の斜視図である。
【図2】天井面に取り付けた状態の煙感知器の側面図である。
【図3】煙感知器の正面図である。
【図4】煙感知器の背面図である。
【図5】正面側から観た煙感知器の分解斜視図である。
【図6】背面側から観た煙感知器の分解斜視図である。
【図7】図3におけるVII−VII方向の断面図である。
【図8】導入凹部及び収納凹部付近の背面図である。
【図9】収納凹部の断面斜視図である。
【図10】図8におけるX−X方向の断面図である。
【図11】煙感知器の煙検知性能に関する実証データを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
〔全体構成について〕
煙感知器は、煙センサ4(図5及び図6参照)、不図示のCOセンサ及び不図示のガスセンサを備えており、天井面Cに取り付けられて、煙の発生と一酸化炭素ガスの発生、及び、都市ガスのガス漏れ、を検知可能な複合型の煙感知器である。また、煙センサ4は、正面視円形状であって、内部に発光部42と受光部43とを備えた光学式のセンサである。以下、天井面Cに煙感知器を取り付けた状態において、天井面Cの側となる側を「裏面」,「後」,「背面」等と称し、天井面Cと反対側となる側を「表面」,「前」,「正面」等と称する。天井面Cに取り付けられるものであるので、正面視で上下の区別は特にない。
【0022】
煙感知器は、図1乃至図3に示すごとく、正面視で円形状であり、側面視で正面側の外形状が略円弧形状である。煙感知器は、煙センサ4、COセンサ、及び、ガスセンサが内装されたフロントケース1を備えている。フロントケース1の背面側はリアケース2によって形成されている。フロントケース1及びリアケース2は、樹脂製であって、射出成形によって形成してある。フロントケース1及びリアケース2は、図3及び図4に示すごとく、正面視円形状である。
【0023】
〔フロントケース及びリアケースについて〕
フロントケース1は、図5乃至図7に示すごとく、正面中央部分を背面側に凹入した凹入部15と、凹入部15と隣り合う正面外周部分である傾斜部16と、を備えている。凹入部15は、径内方向に向うに従って背面側に近付くように、背面側へ膨出する球面状に凹入してある。傾斜部16は、径外方向に向うに従って背面側に近付くように、球面状に傾斜させてある。即ち、傾斜部16は、正面側に膨出する球面から、背面側に膨出する球面(凹入部15)を差し引いた形状となっている。図5及び図7に示すごとく、傾斜部16の背面側の端部から背面側に向けて筒状に立上り部分を設けてある。この立上り部分の背面側の端部にリアケース2を嵌め込む。
【0024】
図6及び図7に示すごとく、フロントケース1の背面側(煙感知器内部側)には、背面側へ立ち上げられた連続壁であるスピーカ収容部11やセンサ収容部12等を備えている。スピーカ収容部11は、フロントケース1とリアケース2とを組付けたとき(以下、単に「組付け時」と称する)に、リアケース2の正面側(煙感知器内部側)に形成されたスピーカ収容部28(図5参照)と協働して不図示のスピーカを収容する空間を構成する。同様に、センサ収容部12は、フロントケース1とリアケース2とを組付けたときに、リアケース2の正面側(煙感知器内部側)に形成されたセンサ収容部29(図5参照)と協働してCOセンサ及びガスセンサを収容する空間を構成する。リアケース2も、樹脂製であって、射出成形によって形成してある。
【0025】
図5及び図7に示すごとく、リアケース2の正面側に、複数の筒状の基板取付ボス部26を備えている。予め煙センサ4を固定した基板5を、基板取付ボス部26の先端部に載置し、正面側からネジ等を締め込んで、基板5をリアケース2に固定する。基板取付ボス部26の位置及び基板5の正面視形状は、基板5を固定したときに煙センサ4が正面視でリアケース2の中心部分に位置するように、設定してある。
【0026】
図5乃至図7に示すごとく、凹入部15の中心部分(径内側部分)には、正面視円形状である煙センサ4の円形状に対応させて円形状の開口15aを設けてある。また、図6に示すごとく、フロントケース1の背面側には、複数の筒状のフロントボス部17を備えている。さらに、図5に示すごとく、リアケース2の正面側のうち組付け時にフロントボス部17に対応する位置に、複数の筒状のリアボス部27を備えている。
【0027】
組付け時には、基板5を取り付けた状態のリアケース2に対して、スピーカ収容部28にスピーカを収容し、センサ収容部29にCOセンサ及びガスセンサを収容する。そして、フロントケース1とリアケース2とを位置合わせすると、図7に示すごとく、フロントボス部17の先端面とリアボス部27の先端面とが同位置になるので、リアケース2の側からネジ等を締め込んで、フロントケース1とリアケース2とを固結する。
【0028】
このとき、煙センサ4が開口15aを貫通し、煙センサ4が正面側に露出される。詳しくは、図7に示すごとく、側面視において、煙センサ4の煙導入口41のうち背面側の端部は、開口部15aと略同位置となる。また、煙センサ4の正面側の面は、凹入部15と傾斜部16との境界である境界ラインbよりも、正面側に突出している。即ち、側面視において、少なくとも煙導入口41の全てが開口部15aよりも正面側に露出し、かつ、煙導入口41の背面側の一部が境界ラインbよりも背面側に引退している状態となっている。なお、境界ラインbは、フロントケース1において最も正面側に位置する環状の境界線を示すこととなる。
【0029】
〔トップカバーについて〕
図5乃至図7に示すごとく、リアケース2が組付けられたフロントケース1に対して、正面側から、トップカバー3を取り付ける。トップカバー3は正面視円形状に形成してある。トップカバー3の背面側に十字形状に形成された当たり部(図6参照)が、煙センサ4の正面側の面に当接して、トップカバー3は、凹入部15に対して離間した状態で対向するように位置決めされる。
【0030】
トップカバー3の背面側には、図6に示すごとく、周方向に沿って均等に配置された支持脚31を四箇所備えている。そして、フロントケース1のうち支持脚31の位置に対応する位置に係止孔18を四箇所形成してある。支持脚31を係止孔18に係止させることによって、トップカバー3をフロントケース1に固定する。トップカバー3は、このようにしてフロントケース1に固定され、煙センサ4を正面側から覆い込むと共に、凹入部15と協働して煙センサ4に煙を誘導する環状の煙流路7を構成する。煙流路7は360°全ての方向に開放されており、煙は、煙流路7の外周の何れの方向からも、煙流路7に流入可能である。
【0031】
トップカバー3は、図2,図3,図7に示すごとく、正面分を正面側へ球面状に膨出して形成した中央部32と、中央部32の外周部分を径外方向に延長して形成された鍔部33とを備えている。中央部32の膨出形状の曲率半径は、延長面f(球面形状)の曲率半径よりも大きく設定してあり、かつ、トップカバー3の正面側中心部であって、最頂部32aは、延長面fよりも凹入部15の側に位置する。また、中央部32の裏面は、正面形状に対応して正面側へ膨出する形状に形成してあり、外周側から煙センサ4側に向うに従ってトップカバー3の裏面と凹入部15の表面とが離間し、煙流路7が広がる。
【0032】
このように、煙流路7が、外周側(入り口側)から煙センサ4に近付くに従って広がっているので、煙は、何れかの方向から煙流路7に一旦入りさえすれば、図7に示すごとく、内部の広い空間で煙センサ4の外周回りに万遍なく拡散され、煙の流れ方向にあまり影響を受けることなく、適切かつ円滑に煙導入口41にまで到達する。
【0033】
鍔部33は、図2,図3,図7に示すごとく、境界ラインbよりも径外方向に幅wだけ突出させてある。鍔部33の裏面は、径外方向に平行、または、傾斜部16に沿う側へ少し傾斜させてある。また、鍔部33と境界ラインbとは、距離hだけ離間している。天井面Cから傾斜部16に沿って流れてきた煙は、鍔部33にぶつかって、そのまま流れ去ることがない。つまり、煙は鍔部33に受け止められ、確実に煙流路7の内部に流入する。
【0034】
鍔部33の突出量によって外観形状に対する印象に多少の差は出るものの、中央部32の曲率半径を延長面fの曲率半径よりも大きく設定し、かつ、最頂部32aを延長面fよりも凹入部15の側に位置させることで、少なくとも、トップカバー3の側面視における厚みが薄くなると共に、傾斜部16とトップカバー3との連続感が演出される。よって、トップカバー3の装置全体に対する存在感が小さくなり、かつ、煙感知器全体としても薄型のものとなって、外観デザインが向上する。
【0035】
ところで、支持脚31は、トップカバー3のうち凹入部15の範囲内に形成してあり、トップカバー3をフロントケース1に取り付けた状態では、煙流路7の奥まった箇所に位置することとなって、外観視でほとんど目立たず、外観デザインに影響を与えない。さらに、図3に示すごとく、四箇所の支持脚31のうち少なくとも二箇所の位置は、正面視で、煙センサ4の発光部42の近傍と、受光部43の近傍と、になるように設定してある。つまり、支持脚31は、そもそも煙導入口41が設けられない発光部42の近傍または受光部43の近傍に位置するので、煙センサ4への煙の流入が阻害されにくい。特に図示はしないが、残りの二箇所の支持脚31も、煙導入口41と煙導入口41との間の外壁面の近傍となるように配置されている。
【0036】
図1乃至図3に示すごとく、フロントケース1の正面側には、ライトガイド1Aや、音響口13、ガス流入口14、スイッチ1B、が備えられている。ライトガイド1Aは、傾斜部16に設けられた環状の発光部材であり、点灯、点滅等によって、視覚的に警報を発する。音響口13は、スピーカ収容部11に対応する位置において、傾斜部16からフロントケース1の外周側部に亘ってスリット状に開口され、スピーカが発した警報音を外部に開放する。ガス流入口14は、センサ収容部12に対応する位置において、傾斜部16からフロントケース1の外周面に亘ってスリット状に開口され、COガス等の流入を許容する。また、傾斜部16とフロントケース1の外周側部とに亘る位置に、押し操作可能なスイッチ1Bを備えてある。スイッチ1Bを押すと、警報状態が解除され、スピーカ音やライドガイドの発光が止まる。
【0037】
〔天井面への取り付けについて〕
煙感知器の天井面Cへの取り付け方法を説明する。天井面Cには、図2に示すごとく、予め取付ベースSを固定してある。リアケース2の背面からは、フック形状の端子金具tを突出させてある。そして、端子金具tを取付ベースSのうちの不図示の差し込み孔に差し込み、回転させると、端子金具tがその差し込み孔に係止し、煙感知器が取付ベースSに固定される。端子金具tによって、取付ベースSから、基板5に取り付けられた各部品に対して電力が供給される。
【0038】
〔煙感知性能の実証について〕
煙感知器の煙感知性能の実証実験を行ったので、図11に基づいて以下に説明する。本発明の構成を採用したことにより煙性能が向上したことを確認すべく、本発明の構成を採用していない煙感知器についても対比実験を行った。この対比される煙感知器は、鍔部33を有していない以外は、本発明に係る煙感知器と同じ構成を有する。詳細には、対比される煙感知器のトップカバー3には、図7に示す延長面fよりも径方向外側の部分(鍔部33及び中央部32の外周の一部)が備えられていない。
【0039】
本実証実験は、一定濃度の煙を一方向から他方向に直線的に流し続けている容器に、正面側を下向きにした状態で煙感知器を投入して、煙センサ4から出力を得るものであって、以下の手順で行う。
[手順1]
実証開始後15秒後に、煙感知器を容器に投入し、センサ出力を得る。なお、センサ出力は煙濃度と対応している。
[手順2]
60秒経過したら、煙感知器を容器から取り出し、装置内に入った煙を完全に排出させる。
[手順3]
30秒間経過したら、煙感知器の煙の流れる方向に対する角度を45°回転させて、再び煙感知器を容器に投入し、センサ出力を得る。
【0040】
上述の[手順1]から[手順3]9回繰り返して、全周方向(45°毎に360°)からの煙に対する煙感知性能を確認した。図11(a)が鍔部33を備えていない煙感知器の実証データであり、図11(b)が本発明に係る煙感知器の実証データである。
【0041】
図11(a)から明らかなように、本発明の構成を有さない煙感知器では、うまく煙が流入せず、煙が感知できていない。本発明の構成を有さない煙感知器は、ほとんど煙を感知できなかったので、0°から180°までで実験を終了した。これに対して、図11(b)に示すごとく、本発明の構成を有する煙感知器であると、360°何れの方向からの煙であっても、即座かつ正確に感知していることが分かる。
【0042】
また、特に実証データは示さないが、本発明の構成を備えた煙感知器において、鍔部33の幅w(図7参照)、及び、境界ラインbと鍔部33の裏面との距離h(図7参照)を、各種変更して本実証実験を行った。この実証により、幅wは2mm以上、距離hは3mm以上であると、好適な煙検知が可能であることが分かった。なお、図11(a)のデータは、幅wが2mm、距離hが3.8mmのものを使用している。幅wが2mm程度であれば、鍔部33の突出が目立たず、煙感知器の側面視円弧形状の外観を損ねることもない。
【0043】
〔リアケースの裏面構造について〕
煙感知器は、機器単体でも使用可能であるが、接続線Lによって外部機器と接続して使用することも可能である。煙感知器には、基板5に接続された「コネクタ」としての出力コネクタ6を配備してある(図9,図10参照)。外部機器と接続する場合は、接続線Lの一方の端部を外部機器に接続し、接続線Lの他方の端部に取り付けた接続コネクタLcを出力コネクタ6に差し込む。これにより、接続線Lを介して、煙センサ4やCOセンサ等の出力を外部機器に出力することができ、他の煙感知器と連係して外部機器による集中管理や、外部機器へのセンサ出力データの書き出し等が可能である。
【0044】
しかしながら、このような天井付けの煙感知器においては、天井面Cにおいて発生した結露水が接続線Lを伝って出力コネクタ6にまで至り、機器内部の故障が誘発される虞がある。そこで、以下の構成を採用し、結露水が出力コネクタ6にまで至ることを防止している。
【0045】
図2,図8,図9,図10に示すごとく、リアケース2の背面部21のうち、出力コネクタ6に対向する部分を内部側に凹入して、有底の穴である第一凹部22を形成してある。第一凹部22の底部22aの一部を開口して開口部22bを設けてある。開口部22bによって、出力コネクタ6の差し込み口は底部22aの側に向けて露出されている。出力コネクタ6を使用しないときは、図4,図6に示すごとく、第一凹部22をコネクタカバー2Aによって閉塞する。
【0046】
また、背面部21のうち、周方向において第一凹部22に隣接する部分を、内部側に凹入して第二凹部23を形成してある。第二凹部23は、周方向に長い有底の長穴である。さらに、背面部21における第一凹部22と第二凹部23との間の部分を内部側に凹入して、第一凹部22と第二凹部23とを連通可能な連通凹部24を形成してある。
【0047】
図9及び図10に示すごとく、第一凹部22の底部22aと第二凹部23の底部23aとは平面状に形成してある。連通凹部24の底部24aは、第一凹部22の側から第二凹部23の側へ向うに従って正面側に傾斜する傾斜形状に形成してある。つまり、連通凹部24の凹入深さは、第一凹部22の凹入深さD1及び第二凹部23の凹入深さD2よりも浅い。なお、底部24aが、本発明に係る「傾斜面」に相当する。
【0048】
そして、連通凹部24のうち第一凹部22の側の端部において、連通凹部24の幅に亘ると共に、底部24aから背面部21の表面にまで至る壁であるノックアウト25をリアケース2に一体的に備えている。初期状態では、ノックアウト25が存在するので、第一凹部22と第二凹部23とは連通していないが、ノックアウト25をニッパー等の治具でリアケース2から分断すると、第一凹部22と第二凹部23とは連通凹部24を介して連通する。また、連通凹部24の底部24aの中間箇所に、連通凹部24の幅に亘って背面部21の側に突出する突起部24bを備えている。
【0049】
煙感知器を外部機器と接続するときは、ノックアウト25を分断する。そして、図10に示すごとく、接続コネクタLcを出力コネクタ6に差し込む。そして、接続線Lの余り部分を、連通凹部24を通して第二凹部23に引き込み、第二凹部23の内部にその接続線Lの余り部分を束ねて収納する。
【0050】
このような構成とすることで、天井付近で発生した結露水が接続線Lを伝って垂れてきた場合は、結露水は、第一凹部22には到達せず、第二凹部23に溜まる。第二凹部23の底部23aには、その外周に沿って「拡散機構」としての溝23bが掘り込んである。結露水は、溝23bに接触すると、毛細管現象によって底部23aの全体に亘って拡散される。したがって、結露水の外気に対する接触面積が広くなって結露水の蒸発が促進され、結露水は短い時間で効率よく散逸する。
【0051】
仮に、結露水の量が多く、第二凹部23に結露水が溜まってしまったとしても、上述したように、連通凹部24の凹入深さが少なくとも第二凹部23の凹入深さD2よりも浅いので、結露水は連通凹部24によって堰き止められ、第一凹部22には侵入しない。そもそも、第二凹部23は接続線Lの余り部分を収容できる程度に広く形成してあるので、結露水が連通凹部24を乗り越えて第一凹部22に侵入することはない。
【0052】
さらに、底部24aに突起部24bを備えているので、図10に示すごとく、接続線Lは突起部24bと接触しやすい。この結果、仮に、連通凹部24に収容された接続線Lを伝って第二凹部23の側から第一凹部22の側へ結露水が移行しようとしても、その結露水は突起部24bに接触して、底部24aのうち突起部24bよりも第二凹部23の側へ流れ落ちる。そして、底部24aが傾斜形状に形成されているので、この結露水は第二凹部23に流れ、連通凹部24と第二凹部23との境目の溝23b部に接触して拡散される。
【0053】
このように、結露水を煙感知器の外部に排水することなく、迅速に散逸させられる。
【0054】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態においては、拡散機構として、底部23aの外周に溝23bを備えた例を示したが、これに限られるものではない。第二凹部23に侵入した結露水を、第二凹部23内において周囲に拡散させるものであれば、他の構成であっても良い。特に図示はしないが、例えば、拡散機構として、底部23aの全範囲に亘って、溝を設けたり、凹凸加工を施しても良い。
【0055】
(2)上述の実施形態においては、底部24aに突起部24bを設けたが、突起部24bは設けていなくても良い。
【0056】
(3)上述の実施形態において、連通凹部24の底部24bを傾斜形状に構成したが、連通凹部24の凹入深さが、少なくとも第二凹部23の凹入深さD2よりも浅ければ、これに限られるものではない。特に図示はしないが、例えば、連通凹部を単なる突起としてあっても良い。また、連通凹部24の凹入深さが第一凹部22の凹入深さD1よりも深くても良い。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、複合型の煙感知器以外であっても、その他の天井付け警報器であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
6 出力コネクタ(コネクタ)
21 背面部
22 第一凹部
22a 底部
22b 開口部
23 第二凹部
23a 底部
23b 溝(拡散機構)
24 連通凹部
24a 底部(傾斜面)
24b 突起部
C 天井面
L 接続線
D2 凹入深さ(第二凹部の凹入深さ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面に取り付けられて、周辺環境の変化を検知すると共に、外部機器からの接続線を接続するコネクタが内蔵された警報器であって、
前記天井面の側となる背面部のうち前記コネクタに対向する部分を、内部側に凹入して形成された第一凹部と、
前記第一凹部の底部に開口され、前記コネクタの差し込み口を前記底部の側に向けて露出させる開口部と、
前記背面部における前記第一凹部に隣接する部分を、前記内部側に凹入して形成された第二凹部と、
前記背面部における前記第一凹部と前記第二凹部との間の部分を、前記内部側に凹入して形成され、前記第一凹部と前記第二凹部とを連通可能な連通凹部と、を備え、
前記連通凹部の凹入深さを、少なくとも前記第二凹部の凹入深さよりも浅く設定し、
前記第二凹部の底部に、前記第二凹部に侵入した結露水を、前記第二凹部内において周囲に拡散させる拡散機構を備えた警報器。
【請求項2】
前記拡散機構は、前記底部の外周に沿って形成された溝である請求項1に記載の警報器。
【請求項3】
前記連通凹部の底部を、前記第一凹部の側から前記第二凹部の側に向うに従って前記背面部から離間する傾斜面に形成してある請求項1または2に記載の警報器。
【請求項4】
前記傾斜面に、前記連通凹部の幅に亘って前記背面部の側に突出する突起部を備えた請求項3に記載の警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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