警報装置
【課題】警報装置の発報が誤報である場合や、安全が確保された場合等において、一定の操作を行うことにより発報を一時停止させることが可能であるとともに、ユーザーが発報の一時停止時間を、そのときの状況に応じて選択することが可能な警報装置を提供する。
【解決手段】異常状態を検知して警報を発報するとともに、操作部に対する停止操作により発報を一時停止する警報装置であって、互いに長さが異なる第1段階から第3段階までの3段階の停止時間を格納した記憶部2と、停止操作に基づいて、停止時間の中から、第1段階或いは第2段階の何れかの停止時間を選択し、選択された停止時間に亘って発報を一時停止する制御部1とを備え、第2段階の一時停止状態を経由し、第3段階の割り込み操作をして初めて第3段階の一時停止状態にすることができ、且つ、第3段階の割り込み操作が、複雑な操作あるいはユーザー側では実行できない操作を伴うものである警報装置。
【解決手段】異常状態を検知して警報を発報するとともに、操作部に対する停止操作により発報を一時停止する警報装置であって、互いに長さが異なる第1段階から第3段階までの3段階の停止時間を格納した記憶部2と、停止操作に基づいて、停止時間の中から、第1段階或いは第2段階の何れかの停止時間を選択し、選択された停止時間に亘って発報を一時停止する制御部1とを備え、第2段階の一時停止状態を経由し、第3段階の割り込み操作をして初めて第3段階の一時停止状態にすることができ、且つ、第3段階の割り込み操作が、複雑な操作あるいはユーザー側では実行できない操作を伴うものである警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス漏れや火災等の異常状態を検知して警報を発報するとともに、停止操作により発報を一時停止する警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス漏れや火災等の異常状態を検知して警報を発報する警報装置には、警報の発報を一時的に停止するための一時停止機能を備えたものがある。このような警報装置であれば、例えば、警報装置の発報が誤報であった場合や、異常状態が発生したが安全対策が講じられたためその異常状態が解消した場合等において、ユーザーは警報装置の発報を一時停止することにより、不要で耳障りな警報音を一時的に止めることができる。そして、ユーザーは、発報の一時停止期間中に業者に連絡をすることになる。このような一時停止機能を備えた従来の警報装置として、警報停止スイッチを有する警報装置があった(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−208957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一時停止機能を備えた警報装置の一時停止時間は、通常、10分程度の時間となっている。これは、警報装置の発報が誤報であるか否かの判断が困難である場合を考慮したものである。ユーザーが警報装置の発報を一時停止状態にしても短時間のうちに発報を再開させることで、もし誤報ではなく異常状態であった場合でも、そのことをユーザーになるべく迅速に報知し、万一の被害の拡大を防止するためである。このように従来の警報装置では、安易に発報の停止状態を継続させないことで、ユーザーが被る可能性のあるリスクを低減しようとしている。
【0005】
しかし、ユーザーが明らかに警報装置の誤報であると判断できる場合、あるいは安全対策を講じたため異常状態が既に解消したと判断できる場合もあり、このような場合にまで一律に警報装置の一時停止時間を一定時間に設定しておくことは、時にはユーザーにとって不便なものである。従って、状況に応じて融通の利く警報装置が望まれている。
【0006】
この点、上記特許文献1に記載されている警報装置では、元々備わっているテスト用スイッチに警報スイッチを兼用させ、特殊なスイッチ操作をすることにより上述の一時停止とは別に、警報の発報を完全に停止させることができるようになっている。つまり、警報が誤報である場合は、サービス会社が到着するまでの間、ユーザーが通常分からない特殊なスイッチ操作をすることで、完全に警報停止状態にするのである。
【0007】
ところが、特許文献1の警報装置では、発報の一時停止をする場合は、単一の一時停止時間が予め設定されており、ユーザーが状況に応じて一時停止時間を選択することまではできない。しかも、この一時停止時間は、上述したように安易に停止状態を継続させないように、10分程度に設定されている。従って、このような短時間の一時停止時間では当該停止時間中に業者が現場に到着することは困難であり、結局警報の発報が再開されてしまうことになる。そのため、ユーザーは、耳障りな発報が再開されないように、面倒な一時停止操作を何度も繰り返す必要がある。
【0008】
また、特許文献1には、業者が到着するまでの間、ユーザーが警報装置のスイッチの引き紐を引きっぱなしにすることで、完全に警報停止状態にすることが記載されている。しかし、引き紐を引きっぱなしにする操作のみでは、警報停止時間をユーザーが選択して設定することは不可能である。このように、特許文献1の警報装置では、ユーザーに対する利便性は依然として改善されていない。
【0009】
従って、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、警報装置の発報が誤報である場合や、安全が確保された場合等において、一定の操作を行うことにより発報を一時停止させることが可能であるとともに、ユーザーが発報の一時停止時間を、そのときの状況に応じて選択することが可能な警報装置を提供する点にある。
また、警報装置の誤報等に対するユーザーの判断ミスによって、警報を長期に亘って一時停止状態にしてしまうというリスクを低減しながら、警報装置の利便性および信頼性を向上する点にある。
さらに、第3段階の割り込みを行うためのスイッチ操作を、何らかの偶然によって実行されることがあり得ないものとする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る警報装置の特徴構成は、異常状態を検知して警報を発報するとともに、操作部に対する停止操作により前記発報を一時停止する警報装置であって、互いに長さが異なる第1段階から第3段階までの3段階の停止時間を格納した記憶部と、前記停止操作に基づいて、前記停止時間の中から、第1段階或いは第2段階の何れかの停止時間を選択し、選択された停止時間に亘って前記発報を一時停止する制御部とを備え、前記第2段階の一時停止状態を経由し、第3段階の割り込み操作をして初めて第3段階の一時停止状態にすることができ、且つ、前記第3段階の割り込み操作が、複雑な操作あるいはユーザー側では実行できない操作を伴うものである点にある。
【0011】
本構成の警報装置であれば、例えば、ユーザーが操作部に対して停止操作を行うと、制御手段は記憶部に格納された互いに長さが異なる複数の停止時間の中から、その停止操作に基づいて一の停止時間を選択し、警報の発報を一時停止することができる。このように、一つの警報装置で複数の一時停止時間を設定することが可能であるので、そのときの状況に応じた警報の一時停止状態を、ユーザー等の意思で適宜実現することができる。従って、異常状態や警報の誤報等に対して適切な対処ができるようになり、警報装置の利便性および信頼性が向上する。
また、必ず第2段階の停止状態を経由し、第3段階の割り込み操作をして初めて第3段階の一時停止状態にすることができる。このようなフローを採用した理由は、一時停止時間が非常に長い場合、業者によって誤報か否かが確認されないままユーザーが最初からそのような長い停止時間を設定してしまうことを防止するためである。しかし、本当に必要なとき(例えば、確実に誤報であった場合)、あるいは業者が安全を確認または確保した場合は、そのような長い停止時間を設定することが可能となる。従って、警報装置の誤報等に対するユーザーの判断ミスによって、警報を長期に亘って一時停止状態にしてしまうというリスクを低減しながらも、警報装置の利便性および信頼性を向上することができる。
しかも、第3段階の割り込み操作は、非常に複雑なスイッチ操作(例えば、スイッチを1秒以上押し続けた後、1秒以上の間隔を空けて1秒以上押し続け、その後1秒以上の間隔を空けて0.5秒以内の短時間の押し動作を3秒以内に4回繰り返し、さらにその後1秒以上の間隔を空けて1秒以上押し続けたときの状態)あるいはユーザー側では実行できないようなスイッチ操作(例えば、後述するような隠しスイッチによるスイッチ操作)を伴うものである。このため、第3段階の割り込み操作は、業者の到着を待ち、業者が行うスイッチ操作によって初めて一時停止操作が可能となる。従って、第3段階の割り込みを行うためのスイッチ操作は、何らかの偶然によって実行されることはあり得ない。
【0012】
本発明の警報装置では、前記制御部は、前記停止操作の操作パターンを認識するとともに、当該操作パターンに対応する停止時間を選択し、当該停止時間に亘って前記発報を一時停止することも可能である。
【0013】
本構成の警報装置であれば、ユーザーが停止操作を行うときの操作パターンと記憶部に格納されている互いに長さが異なる複数の停止時間とが対応付けられており、制御部がユーザーの操作パターンを認識することにより、その操作パターンに対応した停止時間が選択される。すなわち、ユーザーは停止操作の操作パターンを変更するだけの簡単な操作で、目的とする警報の停止時間を確実に選択することができる。
【0014】
本発明の警報装置では、前記停止操作は、第1停止時間に亘って前記発報を一時停止する第1停止操作と、第2停止時間に亘って前記発報を一時停止する第2停止操作とを含み、前記制御部は、前記第1停止操作に基づく一時停止中に、前記第2停止操作が行われた場合に前記第2停止時間に亘って前記発報を一時停止することも可能である。
【0015】
本構成の警報装置であれば、発報が第1停止操作に基づいた一時停止中にあることを前提として、第2停止操作がなされることで制御部が第2停止時間を選択する。そして、制御部はこの第2停止時間に亘って発報を一時停止することができる。このため、例えば、第2停止時間が非常に長い停止時間である場合、ユーザーが誤報か否かを確認しないまま最初からそのような長い停止時間を設定してしまうことを防止しつつ、本当に必要なとき(例えば、誤報であったときや安全が確認されたとき)はそのような長い停止時間を設定することが可能となる。従って、警報装置の誤報等に対するユーザーの判断ミスによって、警報を長期に亘って一時停止状態にしてしまうというリスクを低減しながらも、警報装置の利便性および信頼性を向上させることができる。
【0016】
本発明の警報装置では、前記警報の発報が一時停止状態にある場合において、警報停止解除の割込操作がなされることにより、前記制御部は前記一時停止状態を解除することも可能である。
【0017】
警報の発報が一時停止状態にあっても、その一時停止状態を解除した方がよい場合もある。そのような場合、本構成の警報装置であれば、警報停止解除の割込操作をすることにより、一時停止状態を解除することができるので、警報装置の利便性および信頼性を向上させることができる。
【0018】
本発明の警報装置では、前記警報停止解除の割込操作は、前記操作部に対する前記警報停止解除の割込操作の操作パターンを、前記制御部が認識することにより行うことができる。
【0019】
本構成の警報装置であれば、制御部が、操作部に対する警報停止解除の割込操作の操作パターン(例えば、警報装置のスイッチに物体が連続的に接触し続ける等の状態)を認識することにより、警報停止解除の割込操作がなされたと判断することができる。これにより、警報装置に対して本来意図しない操作が行われた場合は、警報の発報を再開することによりユーザーに異常状態を報知し、利便性よりも安全性や信頼性を優先して一時停止状態を解除することができる。
【0020】
本発明の警報装置では、前記第3段階の割り込み操作を、ユーザーが操作できない隠しスイッチを使用して行う。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の警報装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の警報装置の具体的な構成例を示す斜視図
【図3】本発明の警報装置における処理工程を示したフローチャート
【図4】本発明の警報装置における処理工程を示したフローチャート
【図5】本発明の警報装置における処理工程を示したフローチャート
【図6】本発明の警報装置における処理工程を示したフローチャート
【図7】本発明の警報装置における処理工程を示したフローチャート
【図8】本発明の警報装置における処理工程(サブルーチン)を示したフローチャート
【図9】本発明の警報装置における処理工程(サブルーチン)を示したフローチャート
【図10】表示出力部を構成するLEDを隠しスイッチに利用した例を示す模式図
【図11】衝撃スイッチを隠しスイッチとした例を示す模式図
【図12】風圧スイッチを隠しスイッチとした例を示す模式図
【図13】発光―受光スイッチを隠しスイッチとした例を示す模式図
【図14】マイクスイッチを隠しスイッチとした例を示す模式図
【図15】治具スイッチを隠しスイッチとした例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の警報装置に関する実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得る態様であれば、当業者が実施し得る範囲においてあらゆる変更、改変が可能である。
【0023】
〔警報装置の構成〕
図1は、本発明の警報装置100の構成を示すブロック図である。また、図2は、本発明の警報装置100の具体的な構成例を示す斜視図であり、(a)は壁面設置タイプの警報装置、(b)は天井設置タイプの警報装置である。先ず、図1を参照して、警報装置100の構成を説明する。この警報装置100は、ガス漏れや火災等の異常状態を検知して警報を発報し、停止操作により前記発報を一時停止するものであり、その主要な構成要素として、制御部としての集積回路(以下、CPU)1と、記憶部としての不揮発性メモリ(以下、EEPROM)2とを備えている。また、その他の構成要素として、スイッチ3、センサー素子4、温度サーミスタ5、表示出力部6、音声出力部7等を備えることができる。なお、図2の製品例において、CPU1、EEPROM2、センサー素子4、および温度サーミスタ5は図示されていないが、警報装置100の内部に格納された基板上に配置されている。また。センサー素子4および温度サーミスタ5については、センサー室14内に配置されている。以下、警報装置100の各部について説明する。
【0024】
センサー素子4は、警報装置100の検出対象ガスに応じたセンサーである。家庭用警報装置であればセンサー素子4は、例えば、ガスセンサー、COセンサー等が使用されることが多い。また、必要に応じて、センサー素子4とは別に、センサー素子4付近の温度を計測する温度サーミスタ5を設けることもできる。温度サーミスタ5が計測した温度に基づいて、センサー素子4が検知したガス濃度を補正することにより、より正確なガス濃度を算出することができる。
【0025】
センサー素子4からのガス濃度に関する信号、および温度サーミスタ5からの温度信号は、CPU1に送信される。CPU1では、ガス濃度の測定値が測定温度で補正され、正確なガス濃度が求められる。算出したガス濃度は、警報装置100に予め格納されているガス濃度閾値と比較され、ガス漏れ等の異常状態であるか否か、そして異常状態であった場合は、どの程度それが重大であるかを判断する。CPU1が異常状態であると判断した場合、CPU1は表示出力部6に対して異常状態の重大度に応じた表示信号を送る。
【0026】
表示出力部6は、例えば、図2の(a)または(b)に示した警報装置100にあるように、3色のLED(緑色、黄色、赤色)からなるLED表示部とすることができる。その他、液晶パネルや蛍光表示管等を採用してもよい。本実施形態の表示出力部6では、各LEDの点灯パターン(連続点灯、点滅など)によって、そのときの異常状態の重大度をユーザーが認識できるようになっている。また、本実施形態の表示出力部6では、例えば、赤色LEDには都市ガス(メタン)に対する注意報・警報が割り当てられ、黄色LEDには不完全燃焼(一酸化炭素)に対する注意報・警報が割り当てられる。異常無しの場合であっても、表示出力部6が安全であることを示す緑色LEDのみを連続点灯させることにより、ユーザーに対して警報装置100が有効状態(監視状態)であることを認識させることができる。
【0027】
警報装置100が異常状態を感知したときは、音声出力部7であるスピーカにも異常状態の重大度に応じた警報信号が出力される。この異常状態の重大度に応じた警報信号は、音声やメッセージとして出力される。具体的には、警報音の音量、音の高さ、音のパターン等を異常状態の重大度に応じて変えることによって、そのときの異常状態の重大度をユーザーに認識させるのである。あるいは、実際に電子音声や録音した音声によって、「換気してください」、「不完全燃焼が発生しています」、「ガス漏れが発生しています」、「火災が発生しています」等のメッセージを連呼するようにしてもよい。
【0028】
ところで、警報装置100に用いられるセンサー素子4や温度サーミスタ5は、安全性を考慮して、ある程度感度が高いものが採用されるのが通常である。そのため、センサー素子4や温度サーミスタ5は、例えば、局所的あるいは一時的なガス濃度の上昇や温度上昇が発生した場合においても、これらの状態変化を敏感に検出する場合がある。そのような場合、センサー素子4または温度サーミスタ5から検出信号がCPU1に送信され、これをCPU1が異常状態であると判断し、表示出力部6および音声出力部7に異常状態であるとする出力信号を送ることになる。
【0029】
しかし、上記のような局所的あるいは一時的なガス濃度の上昇や温度上昇が発生したとしても、これらの現象が必ずしも異常状態であるとは限らない。例えば、ガス機器を分解整備したときや、日中に窓を閉めきっていた場合等においても、このような現象が起こることがある。このため、警報装置100は、実際には異常状態でない状況であっても、異常状態であるとの警報(すなわち、誤報)を発報してしまう場合がある。
【0030】
そこで、万一上記のような誤報を発報した場合に、その発報を一時的に停止するための手段(一時停止手段)が本実施形態の警報装置100には設けられている。その一時停止手段の一例として、警報装置100の本体に設けられた検査スイッチ13と併用したスイッチ3が挙げられる。検査スイッチ13は、警報装置100の各機能のチェックを実行するためのスイッチであり、通常の操作(例えば、1回の押し操作)を行えばチェックが開始される。ところが、上記のような検査スイッチ本来の機能を実行するためのスイッチ操作(上記の例では、1回の押し操作)とは異なるスイッチ操作をすることで、発報の一時停止を実行できる。例えば、警報の発報中に検査スイッチを2回続けて押してやれば短時間(例えば、5分間)警報が一時停止し、3回続けて押してやれば中時間(例えば、30分間)警報が一時停止するといった具合に、一時停止時間に対応させて本来のスイッチ操作とは異なるやや複雑な操作パターンを設定するのである。なお、実際に行う具体的な操作パターンの例については後で説明する。また、検査スイッチ13の押し方を複雑にするなどして操作パターンをより複雑化した場合には、長時間(例えば、36時間)警報を一時停止させることもできる。このように、検査スイッチ13としての機能と一時停止手段としての機能とを使い分けるべくそれぞれ異なるスイッチ操作を設定しておくことで、一時停止手段としてのスイッチ3を新たに設ける必要がなくなる。なお、警報装置100には、例えば、製造上の理由から部分的にカバー15が設けられるが、このカバー15をスイッチ3および検査スイッチ13と兼用することも可能である。つまり、カバー15にスイッチ機構を設け、カバー15の押圧によってスイッチの接点が接触するように構成する。この場合、図2におけるスイッチ13を廃止することができるため、すっきりとした外観を実現することができる。
【0031】
〔集積回路(CPU)による発報の一時停止処理〕
さて、ユーザーが、上記スイッチ3によって停止操作を実行したとき、発報の一時停止をどれくらいの期間行うかは、警報装置100のCPU1が、前記操作パターンに基づいて、EEPROM2に格納されている互いに長さの異なる複数の停止時間を選択することによって決定される。この互いに長さの異なる複数の停止時間は、ユーザーが停止操作を行うときの操作パターンに対応付けられた時間である。すなわち、CPU1がユーザーの操作パターンを認識することにより、その操作パターンに対応した停止時間が選択されるようになっている。停止時間が選択されると、CPU1は、この選択された停止時間をLEVELタイマー8でカウントし、そのカウント中に亘って発報の一時停止を行う。
【0032】
このようにして本発明の警報報知100では、一つの警報装置100で複数の一時停止時間を設定することが可能である。従って、そのときの状況に応じた警報の一時停止状態を、ユーザーの意思で適宜実現することができる。また、ユーザーは警報の誤報等に対して適切な対処をユーザーサイドで行うことができるようになるので、警報装置100の利便性および信頼性が向上する。さらに、ユーザーは停止操作の操作パターンを変更するだけの簡単な操作で、目的とする警報の停止時間を確実に選択することができる。
【0033】
次に、CPU1が行う発報の一時停止に関する具体的な処理工程を、フローチャートを用いて説明する。なお、以降に示すフローチャートにおいて、各フロー中で用いられるパラメータのアルファベット表記は、以下のような意味を有するものとする。
警報・・・KEIHO = 0:異常状態なし
1:警報状態あり
停止レベル・・・TEILEVEL = 0:警報一時停止なし
1:警報5分間一時停止
2:警報30分間一時停止
3:警報36時間一時停止
タイマー・・・LEVEL1タイマー:5分カウントタイマー
LEVEL2タイマー:30分カウントタイマー
LEVEL3タイマー:36時間カウントタイマー
警報音・・・OTO = 0:警報音の発報を許可
1:警報音の発報を停止
【0034】
上記停止レベル(TEILEVEL)やタイマー(LEVELタイマー)において、レベル1を5分間、レベル2を30分間、レベル3を36時間としているが、これらの時間は次のような理由のため選定したものである。
【0035】
レベル1は、ユーザーの側で安全であると判断して発報を一時停止させる場合である。ところが、このような場合において、ガス漏れ等の異常状態にもかかわらず誤報であるとしてユーザーが発報の一時停止をしてしまうことがある。そこで、万一誤報でない場合であったとしても3〜15分間程度で発報を再開すれば、ガス漏れ等による被害の拡大を防ぐことができる。従って、このときの最も好ましい時間として5分間を採用したものである。
【0036】
レベル2は、ユーザーが業者に連絡をし、安全対策(ガス器具使用禁止、ガス元栓閉止、窓開け換気、避難等)の指示を受けた上で発報を一時停止させる場合である。この場合、ユーザーは、後述するように、やや複雑な一定の停止操作をすることによって発報の一時停止をすることも可能であるが、基本的には業者の到着を待つことになる。そのときの待ち時間が20〜60分程度である。従って、このときの最も好ましい時間として30分間を採用したものである。
【0037】
レベル3は、業者の出動により安全が確認された上で、異常状態を知らせる発報がブザー等の部品の故障等により完全に誤報であったと判断された場合である。この場合、ユーザーは、業者に修理または部品の交換を依頼することになる。そのときの部品(あるいは新品の警報装置)を調達できる時間が12〜48時間程度である。従って、このときの最も好ましい時間として36時間を採用したものである。
【0038】
なお、上記レベル1〜3の一時停止期間中であっても、ユーザーの安全を確保するため、警報装置100が故障等していない限り警報装置100の監視機能は正常に働いている。従って、本実施形態の警報装置100は、警報の発報が一時停止状態にあったとしても、万一の異常状態の監視が行き届かないということはないので、高い安全性および信頼性を確保することができる。
【0039】
図3は、本発明の警報装置100における特に立ち上げ時の処理工程を示したフローチャートである。先ず、警報装置100の電源がONにされると初期設定がなされる(S1)。初期設定では各パラメータの初期化が行われる。初期設定時における各パラメータの値は次のとおりである。
(初期設定値)
・KEIHO = 0
・TEILEVEL = 0
・LEVEL1タイマー = 0カウント
・LEVEL2タイマー = 0カウント
・LEVEL3タイマー = 0カウント
・OTO = 0
【0040】
次に、CPU1は、発報を一時停止するための停止操作が行われるかの監視を開始し(S2)、さらに表示・発報実行ルーチンを行う(S3)。この表示・発報実行ルーチンは図9に示したサブルーチンであり、KEIHO、OTOのパラメータによってLED表示や警報音の発報の有無を決定する。初期設定時は通常の監視状態であるため、緑色LEDを点灯、黄色LEDおよび赤色LEDを消灯させ、警報音の発報を無にする。KEIHO=1、OTO=0の場合は、緑色LEDを点灯、黄色LEDを消灯、赤色LEDを点滅させ、警報音の発報を有にする。KEIHO=1、OTO=1の場合は、緑色LEDを点灯、黄色LEDを消灯、赤色LEDを点滅させ、警報音の発報を無にする。なお、本実施形態では、赤色LEDの作動(点灯・点滅・消灯)によって警報の発報状態を示すようにしているが、他のLEDの点灯パターンによってユーザー等に対する警報発報や注意喚起を行うことも可能である。例えば、都市ガス(メタン)に関する警報を赤色LEDの点灯とし、不完全燃焼(一酸化炭素)に関する警報を黄色LEDの点灯とし、注意を促す場合は赤色LEDまたは黄色LEDの点滅とすることができる。このように、複数の異常状態と各LEDの点灯パターンとを予め対応付けておくことにより、異常状態の種類やそのときの危険度に応じた適切な警報の発報を、ユーザー等に分かり易く表示することができる。
【0041】
ステップ3の表示・発報実行ルーチンの後、異常状態検知を行う(S4)。この異常状態検知は、例えば、図1の警報装置100のブロック図において、センサー素子4からCPU1に入力される信号の値が、CPU1(またはEEPROM2)に予め格納されている所定の閾値を超えているか否かで判断する。信号値が閾値を超えている場合には異常状態検知はYES側に進行し、KEIHO=1を設定(S5)した後、<A>のルーチン(図4)に進行する。信号値が閾値を超えていない場合には異常状態検知はNO側に進行し、表示・発報実行ルーチン(S3)に戻る。
【0042】
図4は、図3の<A>のルーチンであり、警報状態において警報音の発報が一時停止されない場合の処理工程を示したフローチャートである。このルーチンにおいても初めに表示・発報実行ルーチン(S6)が実行される。ステップ6の表示・発報実行ルーチンは、前述したステップ3の表示・発報実行ルーチンと同様である。ステップ6の表示・発報実行ルーチンの後、異常状態検知を行う(S7)。ここで、信号値が閾値を超えていないとして異常状態検知がNO側に進行した場合は、KEIHO=0、TEILEVEL=0、OTO=0を設定(S9)し、図3の<B>からステップ3の表示・発報実行ルーチンに戻る。信号値が閾値を超えているとして異常状態検知がYES側に進行した場合は、警報の発報が必要な状態が継続しているので、そのまま警報表示を続行する。
【0043】
次に、警報の停止操作があるか否か、すなわちスイッチ3による割り込みがあるか否かを判断する(S8)。スイッチ3の割り込みがないと判断した場合は(S8;NO)、ステップ6に戻って表示・発報実行ルーチンを実行する。スイッチ3の割り込みがあったと判断した場合は(S8;YES)、そのスイッチ3の割り込みの種類を判断する(S10、S11)。
【0044】
先ず、ステップ10では、LEVEL1の割り込みか否かを判断する。LEVEL1の割り込みとは、例えば、スイッチ3を軽く押したときの100msec程度のスイッチON状態の操作を意味する。この操作は、停止操作の操作パターンの一例を示すものである。このようなLEVEL1のスイッチ操作は非常に容易であるので、殆んどすべてのユーザーが確実に実行できるものである。従って、警報装置100のマニュアル等を確認するまでもなく容易に警報装置100にLEVEL1の割り込みを認識させることができる。このLEVEL1の割り込みがあったと判断した場合は(S10;YES)、<C>のルーチン(図5)に進行する。なお、この実施形態では、スイッチ割り込みありの状態(S8;YES)で、LEVEL1の割り込み有り(S10;YES)とされた場合に、本明細書における停止操作(第1停止操作)が行われたことになる。
LEVEL1の割り込みではないと判断した場合は(S10;NO)、ステップ11においてLEVEL2の割り込みか否かを判断する。ここで、LEVEL2の割り込みとは、例えば、スイッチ3を1秒以上押し続けた後、1秒以上の間隔を空けて0.5秒以内の短時間の押し動作を2秒以内に3回繰り返し、その後1秒以上の間隔を空けて1秒以上押し続けたときの状態を意味する。この操作も、停止操作の操作パターンの一例を示すものである。このようなスイッチ操作は複雑であるので、ユーザーが警報装置100のマニュアル等を確認したり、業者に連絡して確認しなければ実行することはできず、また何らかの偶然によって実行される確率は非常に低いものである。従って、警報装置100にLEVEL2の割り込みを認識させることは容易ではない。このLEVEL2の割り込みがあったと判断した場合は(S11;YES)、<D>のルーチン(図6)に進行する。LEVEL2の割り込みではないと判断した場合は(S11;NO)、ステップ6に戻って表示・発報実行ルーチンを実行する。なお、この実施形態では、スイッチ割り込みありの状態(S8;YES)で、LEVEL1の割り込みがなく(S10;NO)、LEVEL2の割り込み有り(S11;YES)とされた場合に、本明細書における停止操作(第1停止操作)が行われたことになる。
【0045】
次に<C>のルーチン(図5)、および<D>のルーチン(図6)について説明する。図5は、<C>のルーチンであり、警報状態において警報音が5分間一時停止される場合の処理工程を示したフローチャートである。このルーチンにおいては、初めに、TEILEVEL=1、OTO=1、LEVEL1タイマー=0カウント(リセット状態)に設定する(S12)。次に、図9に示した表示・発報実行ルーチン(S13)を実行する。なお、この場合のLED表示は、KEIHO=1、OTO=1であるから、図9のステップ3´より、緑色LEDが点灯、黄色LEDが消灯、赤色LEDが点滅の状態となり、かつ警報音の発報は無の状態となる。
【0046】
次に、LEVEL1タイマーをカウントアップする(S14)。このLEVEL1タイマーは5分カウントタイマーであり、そのカウント方法は、通常1sec毎に1カウントするものであるが、他のカウント方法、例えば、<C>のルーチンが1サイクルする0.1秒毎にカウントするものとしてもよい。
【0047】
次に、異常状態検知を行う(S15)。ここで、信号値が閾値を超えていないとして異常状態検知がNO側に進行した場合は、KEIHO=0、TEILEVEL=0、OTO=0を設定(S17)し、図3の<B>のルーチンからステップ3の表示・発報実行ルーチンに戻る。信号値が閾値を超えているとして異常状態検知がYES側に進行した場合は、警報の発報が必要な状態が継続しているので、そのまま警報表示を続行する。
【0048】
次に、LEVEL1タイマーのカウントが5分を経過したか否かを判断する(S16)。5分を経過していると判断した場合は(S16;YES)、警報音5分間一時停止の状態から復帰し、TEILEVEL=0、OTO=0に設定して図4の<A>のルーチンに戻る。この場合、警報状態にあって警報音の発報が許可されているので、図4の<A>のルーチンでは、緑色LEDが点灯、黄色LEDが消灯、赤色LEDが点滅の状態となり、かつ警報音の発報が有の状態となる。5分を経過していないと判断した場合は(S16;NO)、警報の停止操作があるか否か、すなわちスイッチ3による割り込みがあるか否かを判断する(S18)。スイッチ3の割り込みがないと判断した場合は(S18;NO)、ステップ13に戻って表示・発報実行ルーチンを実行する。スイッチの割り込みがあったと判断した場合は(S18;YES)、その割り込みが警報の一時停止を解除するための割り込みか否かを判断する(S20)。警報の一時停止を解除するための割り込みでないと判断した場合は(S20;NO)、ステップ13に戻って表示・発報実行ルーチンを実行する。警報の一時停止を解除するための割り込みであったと判断した場合は(S20;YES)、警報5分間一時停止の状態から復帰し、TEILEVEL=0、OTO=0を設定するとともに、LEVEL1タイマーを0カウントにリセットし、図4の<A>のルーチンに戻る。なお、この実施形態では、スイッチ割り込みありの状態(S18;YES)で、警報停止解除の割り込み有り(S20;YES)とされた場合に、本明細書における警報停止解除の割込操作が行われたことになる。この警報停止解除の割込操作は、前述のLEVEL1の割り込み操作であってもよいが、ユーザーが簡単に警報の一時停止の解除を行うことができないように、やや複雑な操作パターン(例えば、スイッチを10秒間押し続ける等)を採用してもよいし、あるいは前述のLEVEL2の割り込み操作を採用してもよい。
【0049】
図6は、<D>のルーチンであり、警報状態において警報音が30分間一時停止される場合の処理工程を示したフローチャートである。この<D>のルーチンが、前述の<C>のルーチンと異なるところは、初めに、TEILEVEL=2、OTO=1、LEVEL2タイマー=0カウント(リセット状態)に設定する点(S22)、およびスイッチの割り込みとして警報の一時停止を解除するための割り込み(S30;YES→S31)の他にLEVEL3の割り込みの判断(S32)がある点である。すなわち、<D>のルーチンでは、警報状態または警報音5分間一時停止状態から警報音36時間一時停止状態に直接移行することはできず、必ず警報音30分間一時停止状態を経由し、LEVEL3の割り込み操作をして初めて警報音36時間一時停止状態にすることができる。このようなフローを採用した理由は、一時停止時間が非常に長い場合、業者によって誤報か否かが確認されないままユーザーが最初からそのような長い停止時間を設定してしまうことを防止するためである。しかし、本当に必要なとき(例えば、確実に誤報であった場合)、あるいは業者が安全を確認または確保した場合は、そのような長い停止時間を設定することが可能となる。従って、警報装置100の誤報等に対するユーザーの判断ミスによって、警報を長期に亘って一時停止状態にしてしまうというリスクを低減しながらも、警報装置100の利便性および信頼性を向上することができるのである。なお、この実施形態では、スイッチ割り込みありの状態(S28;YES)で、警報停止解除の割り込み有り(S30;YES)とされた場合に、本明細書における警報停止解除の割込操作が行われたことになる。また、スイッチ割り込みありの状態(S28;YES)で、警報停止解除の割り込みがなく(S30;NO)、LEVEL3の割り込み有り(S32;YES)とされた場合に、本明細書における停止操作(第2停止操作)が行われたことになる。
【0050】
LEVEL3の割り込みの判断(S32)において、LEVEL3の割り込みがあったと判断した場合は(S32;YES)、<E>のルーチン(図7)に進行する。LEVEL3の割り込みではないと判断した場合は(S32;NO)、ステップ23に戻って表示・発報実行ルーチンを実行する。ここで、LEVEL3の割り込みとは、非常に複雑なスイッチ操作(例えば、スイッチ3を1秒以上押し続けた後、1秒以上の間隔を空けて1秒以上押し続け、その後1秒以上の間隔を空けて0.5秒以内の短時間の押し動作を3秒以内に4回繰り返し、さらにその後1秒以上の間隔を空けて1秒以上押し続けたときの状態)あるいはユーザー側では実行できないようなスイッチ操作(例えば、後述するような隠しスイッチによるスイッチ操作)を伴うものである。このため、LEVEL3の割り込み操作は、業者の到着を待ち、業者が行うスイッチ操作によって初めて一時停止操作が可能となる。従って、LEVEL3の割り込みを行うためのスイッチ操作は、何らかの偶然によって実行されることはあり得ない。
【0051】
図7は、<E>のルーチンであり、警報状態において警報音が36時間一時停止される場合の処理工程を示したフローチャートである。この<E>のルーチンは、前述の<C>のルーチンとほぼ同様であり、初めに、TEILEVEL=3、OTO=1、LEVEL3タイマー=0カウント(リセット状態)に設定する(S33)。なお、<E>のルーチンでは、警報の一時停止を解除するための割り込みがあったか否かの判断(S41)において、割り込みがあったと判断された場合は(S41;YES)、TEILEVEL=0、OTO=0を設定するとともに、LEVEL3タイマーを0カウントにリセットし、図4の<A>のルーチンに戻る。なお、この場合の警報の一時停止を解除するための割り込み操作として、ユーザーは任意に設定した割込操作の操作パターンを採用することができる。なお、この実施形態では、スイッチ割り込みありの状態(S40;YES)で、警報停止解除の割り込み有り(S41;YES)とされた場合に、本明細書における警報停止解除の割込操作が行われたことになる。
【0052】
また、本実施形態の警報装置100では、CPU1が、操作部に対する警報停止解除の割込操作の操作パターン(例えば、警報装置100のスイッチ3に物体が連続的に接触し続ける等の状態)を認識することにより、警報停止解除の割込操作がなされたと判断することができる。これは、警報停止解除の割込操作の操作パターンの一例を示すものである。これにより、警報装置100に対して本来意図しない操作が行われた場合は、警報の発報を再開することによりユーザーに異常状態を報知し、利便性よりも信頼性や安全性を優先して一時停止状態を解除することができる。
【0053】
ところで、<C>のルーチン(図5)、<D>のルーチン(図6)、および<E>のルーチン(図7)において、異常状態検知ステップ(S15、S25、S36)で信号値が閾値を超えているとしてYES側に進行した後、各LEVELタイマーがカウントを行っている最中にガス濃度の急激な上昇や、急激な温度上昇等が起こることがある。従って、このような危険度の増大に対してより安全性を向上させるため、異常状態検知ステップ(S15、S25、S36)の後に図8に示した<X>のルーチンを追加することが有効である。この<X>のルーチンでは、ステップ40に示すように、危険度が所定の閾値を超えた場合(S40;YES)、パラメータをTEILEVEL=0、OTO=0に設定し、<A>のルーチンに戻るようにしている。
【0054】
警報装置100のCPU1が、各LEVELタイマーのカウント中における危険度の増大に対して一時停止状態の解除(割り込み)をするための条件として、以下にいくつかの例を示す。なお、これらの例では、警報装置100は都市ガス用の警報装置を想定している。都市ガスの爆発下限界(LEL)は50000ppmであり、警報装置100の発報は、上記LELの4分の1(すなわち、12500ppm)とする。なお、この都市ガス濃度の他、後述する一酸化炭素(CO)濃度、火災に伴う温度、火災に伴う煙に関する値が、本明細書でいう異常状態の危険度に応じて変化する状態値である。
【0055】
(a)停止レベル1(TEILEVEL=1)の解除(割込)条件
≪解除条件1≫
規定時間(本条件では5分)内に都市ガス濃度がLELを超えると予想される場合に、LEVEL1の割り込みが実行される。
LEVEL1カウンターが規定時間内にカウントする時間をt秒とし、t−1秒からt秒までの都市ガスの平均濃度をE(t)とする。そうすると、1秒当たりの都市ガス濃度上昇量Dは、
D = E(t)−E(t−1) ・・・ (1)
となる。従って、規定時間(5分)における都市ガスの予想濃度Xは、
X = E(t)+[E(t)−E(t−1)]×(300−t) ・・・ (2)
と表すことができる。上記(2)式が50000ppmを超える場合であるから、X>50000となった時点で割り込みが実行され、警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を解除する。
このように、今現在危険な状態にはなっていなくても、異常状態の危険度に応じて変化する状態値が規定時間内に閾値を超えると予想される場合は、一時停止を解除することで、ユーザーへの警報の発報が余裕をもって行われ、危険な状態を未然に回避することができる。
≪解除条件2≫
都市ガス濃度がLELの2分の1を超えた時点(すなわち、E(t)>25000)でLEVEL1の割り込みが実行され、警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を解除する。
このように、異常状態の危険度に応じて変化する状態値が所定の閾値を超えた場合に、一時停止を解除することで、たとえ一時停止中に危険な状態になってもユーザーへの警報の発報を確実に行うことができる。
≪解除条件3≫
別の種類の異常状態を検知した場合にLEVEL1の割り込みが実行され、警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を解除する。これは、発報の一時停止状態において、不完全燃焼(COの発生)や、火災(熱または煙)を検知した場合がある。なお、この解除条件3は、上記解除条件1または解除条件2と組み合わせることも可能である。
上記不完全燃焼警報には、300ppm以上のCOが10分間継続して検知された場合の低濃度警報と、550ppm以上のCOが検知された場合の高濃度警報とがある。低濃度警報による解除条件としては、規定時間内にCO濃度が800ppmを超えると予想される場合(条件1)、CO濃度が550ppmに達した場合(条件2)が挙げられる。高濃度警報による解除条件としては、規定時間内にCO濃度が1000ppmを超えると予想される場合(条件1)、CO濃度が800ppmに達した場合(条件2)が挙げられる。
火災警報(熱)は、約65℃の温度が継続した場合に発報される。火災警報(熱)による解除条件としては、規定時間内に温度が80℃を超えると予想される場合(条件1)、温度が70℃に達した場合(条件2)が挙げられる。
火災警報(煙)は、煙の透過率が約10%になった場合に発報される。火災警報(煙)による解除条件としては、規定時間内に透過率が20%を超えると予想される場合(条件1)、透過率が15%に達した場合(条件2)が挙げられる。
このように、発報の一時停止中に危険度に応じて変化する状態値を監視するにあたり、複数種の危険度(例えば、CO濃度、火災による温度上昇、煙の増加)を検知することができる。このため、異常状態の変化を確実に判断でき、発報の再開によって危険度の増大をユーザーに確実に報知することができる。従って、本実施形態の警報装置100は、信頼性および安全性が高いものである。
【0056】
(b)停止レベル2(TEILEVEL=2)の解除(割込)条件
≪解除条件1≫
都市ガス濃度がLELの2分の1(すなわち、25000ppm)を超え、かつ規定時間(本条件では30分)内にLELを超えると予想される場合、つまり、
E(t) > 25000 ・・・ (3)
X > 50000 ・・・ (4)
を満たす場合にLEVEL2の割り込みが実行され、警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を解除する。
≪解除条件2≫
別の種類の異常状態を検知した場合にLEVEL2の割り込みが実行され、警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を解除する。これは、上記「(a)停止レベル1(TEILEVEL=1)の解除(割り込み)条件」で述べたのと同様に、発報の一時停止状態において、不完全燃焼(COの発生)や、火災(熱または煙)を検知した場合がある。
COの低濃度警報による解除条件としては、CO濃度が550ppmに達した場合(条件1)が挙げられる。COの高濃度警報による解除条件としては、CO濃度が800ppmに達した場合(条件1)が挙げられる。
火災警報(熱)による解除条件としては、温度が70℃に達し、かつ規定時間内に温度が80℃を超えると予想される場合(条件1)が挙げられる。
火災警報(煙)による解除条件としては、透過率が20%に達した場合(条件1)が挙げられる。
【0057】
(c)停止レベル3(TEILEVEL=3)の解除(割込)条件
≪解除条件1≫
都市ガス濃度がLELの2分の1(すなわち、25000ppm)を超え、かつ1時間後にLELを超えると予想される場合、つまり、
E(t) > 25000 ・・・ (5)
E(t+3600) > 50000 ・・・ (6)
を満たす場合にLEVEL3の割り込みが実行され、警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を解除する。
≪解除条件2≫
都市ガス濃度がLELの4分の3を超えた時点(すなわち、E(t)>37500)でLEVEL3の割り込みが実行され、警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を解除する。
≪解除条件3≫
別の種類の異常状態を検知した場合にLEVEL3の割り込みが実行され、警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を解除する。これは、上記「(a)停止レベル1(TEILEVEL=1)の解除(割り込み)条件」で述べたのと同様に、発報の一時停止状態において、不完全燃焼(COの発生)や、火災(熱または煙)を検知した場合がある。
COの低濃度警報による解除条件としては、CO濃度が550ppmに達した場合(条件1)が挙げられる。高濃度警報による解除条件としては、CO濃度が800ppmに達した場合(条件1)が挙げられる。
火災警報(熱)による解除条件としては、温度が70℃に達し、かつ1時間後に温度が80℃を超えると予想される場合(条件1)が挙げられる。
火災警報(煙)による解除条件としては、透過率が20%に達した場合(条件1)が挙げられる。
【0058】
以上のように、ガス濃度、CO濃度、火災(熱または煙)等の危険度に応じて変化する状態値を、単一または複数種組み合わせて常に監視し、万一これらの状態値が増大した場合は、それに基づいて警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を適切に解除し、発報を再開することで、ユーザーに対して迅速かつ確実に異常状態を報知することができる。従って、ユーザーが、例えば、誤報ではないかという不安を抱きながら発報の一時停止をしたとしても、前記危険度に応じて変化する状態値が増大したときは確実に発報の一時停止が解除されるため、警報装置100の信頼性および安全性を維持することができる。
【0059】
さらに、上で示したように、本実施形態の警報装置100では、複数の停止時間の各々(本実施形態では、5分、30分、36時間に対応する停止レベル1、2、3)に応じて、危険度に関する判定基準(すなわち、一時停止を解除するか否かの判定基準)を変更することができる。例えば、停止レベル1のように一時停止時間が短い場合には判定基準の一つである都市ガス濃度の閾値を高く設定し、少しの危険度の増大では警報発報を再開しないことで警報装置100の利便性を向上させ、停止レベル3のように一時停止時間が長い場合には判定基準の一つである都市ガス濃度の閾値を低く設定し、少しの危険度の増大でも警報発報を再開して警報装置100の安全性を向上させることができる。
【0060】
〔隠しスイッチ〕
前述したように、LEVEL3の割り込み操作を行うには、ユーザーが操作できないような隠しスイッチを使用する場合がある。そこで、このような隠しスイッチについて、いくつかの実施例を以下に具体的に説明する。
【0061】
(1)LEDスイッチ
図10は、表示出力部6を構成するLEDを隠しスイッチに利用した例を示す模式図である。このLEDスイッチ20は、LED21に有色透明または無色透明プラスチック22を対峙させ、当該プラスチック22の一方を押圧部23、他方を接点24としたものである。LED21から発光された光は、プラスチック22の内部を伝播し、押圧部23から出射するようになっている。ユーザーが押圧部23を押すことにより、LEVEL3の割り込み操作が行われる。本構成のLEDスイッチ20の場合、外観上は通常のLEDと見分けがつかないので、通常、ユーザーはスイッチであることに気付かず、隠しスイッチとして有効である。また、このLEDスイッチ20では、LED21を小型化するとともにプラスチック22を多用しているので、スイッチ全体のコストを低減することができる。
【0062】
(2)衝撃スイッチ
図11は、衝撃スイッチ30を隠しスイッチとした例を示す模式図である。衝撃スイッチ30は、基板に接続された一対の導電性のある支持部31と、支持部31に接触状態で載置された金属体32と、この金属体32および支持部31の一部を覆うケース33とから構成されている。警報装置100に対して衝撃を与えると、金属体32が支持部31から浮き上がる。あるいは、警報装置100を傾けても同様に、金属体32が支持部31から浮き上がる。このとき衝撃スイッチ30は一瞬非導電状態となり、このような電気的な変化を検知することでLEVEL3の割り込み操作が行われる。ユーザーは、通常、警報装置100に衝撃を与えるような行動は取らないので、本構成の衝撃スイッチ30は、隠しスイッチとして有効である。
【0063】
(3)風圧スイッチ
図12は、風圧スイッチ40を隠しスイッチとした例を示す模式図である。風圧スイッチ40は、基板に接続された一対の導電性のピン41と、このピン41の側方に配置された膜部材42と、膜部材42に取り付けられピン41側に突出した形状の押圧部43と、膜部材42に気流を導く吹込部44とから構成されている。この風圧スイッチ40では、例えば、ユーザーが吹込部44から息を吹き込むと、膜部材42がピン41側に撓み、押圧部43が一対のピン41のうちの一方を押圧する。これにより一対のピン41は互いに接触し、導通状態となる。従って、このような電気的な変化を検知することでLEVEL3の割り込み操作が行われる。ユーザーは、通常、警報装置100に息を吹きかける等の行動は取らないので、本構成の風圧スイッチ40は、隠しスイッチとして有効である。
【0064】
(4)発光―受光スイッチ
図13は、発光―受光スイッチ50を隠しスイッチとした例を示す模式図である。発光―受光スイッチ50は、例えば、警報装置100の側部に設けられた発光部51と、受光部52と、孔部53とから構成されている。発光部51が発光していても、通常はその光が受光部52に到達することはない。しかし、ユーザーが、孔部53を指等で塞ぐと、発光部51から発せられた光はその一部が指等で反射し、受光部52に到達する。従って、このような光の反射を利用することでLEVEL3の割り込み操作が行われる。ユーザーは、通常、警報装置100の側部の孔部53には気付きにくく、たとえ気付いたとしても孔部53を指等で塞ぐ可能性は小さいと考えられるので、本構成の衝撃スイッチ30は、隠しスイッチとして有効である。
【0065】
(5)マイクスイッチ
図14は、マイクスイッチ60を隠しスイッチとした例を示す模式図である。マイクスイッチ60は、マイク61およびコンピュータ62を主要な構成要素として有している。マイク61は、警報装置100の音声出力部(スピーカ)7と並べて設置される。また、マイクスイッチ60は、コンピュータ62に接続された音声IC63と、音声出力(スピーカ)7に接続されたアンプ64とを備えることもできる。このマイクスイッチ60では、例えば、ユーザーがマイク61に向かって大きな声を発することでLEVEL3の割り込み操作が行われる。コンピュータ62がユーザーの声および言語を認識できる場合は、特定のユーザーが特定の言語(例えば、「故障発生」と複数回連呼する)を発したときにLEVEL3の割り込み操作が行われる。ユーザーは、通常、警報装置100に向かって大きな声を出すという行動(しかも、特定の言語を発する行動)をとることはほとんどないと考えられるので、本構成のマイクスイッチ60は、隠しスイッチとして有効である。また、マイクスイッチ60は、声によって反応するスイッチであるので、図2の(b)で示した天井設置タイプのように手の届かない場所にある警報装置100に用いれば、ユーザーにとって便利である。
【0066】
(6)治具スイッチ
図15は、治具スイッチ70を隠しスイッチとした例を示す模式図である。治具スイッチ70は、LEDからの光を受けるフォトダイオード71と、LEDとフォトダイオードとの間に挿入するための治具72と、治具72の差込口73とから構成されている。LED(特に、緑色LED)は、常時点灯状態にある。従って、フォトダイオード71をLEDの近傍に設置しておくと、フォトダイオード71には光電流が常時流れている。ここで、ユーザーが差込口73に治具72を挿入すると、LEDからフォトダイオード71への光が遮蔽されるので、フォトダイオード71の光電流は一時的に停止する。従って、このような電気的な変化を検知することでLEVEL3の割り込み操作が行われる。ユーザーは、通常、治具72の差込口73には気付きにくく、たとえ差込口73に気付いたとしても治具72がなければスイッチとして機能することはできないので、本構成の治具スイッチ70は、隠しスイッチとして有効である。なお、図15に示すように治具72に複数の切り抜きを設けておけば、治具72を差込口73から抜き差しする際に複雑な光信号を生成することができるため、隠しスイッチとしてより多くの機能を持たせることができる。
【0067】
(その他の隠しスイッチ)
その他にも隠しスイッチとして、図示はしないが、磁気によって接点をオンオフさせる磁気スイッチ、コンデンサに蓄えられる電荷の変化を利用した静電スイッチ、電波をキャッチして電流のオンオフを行う電波スイッチ、温度変化を利用したサーミスタスイッチ等を採用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の警報装置100は、上記実施形態で説明したガス漏れ警報装置や火災警報装置以外にも種々の用途、例えば、水漏警報装置、防犯装置等に応用することも可能である。また、家庭用警報装置だけでなく業務用警報装置にも使用可能であり、さらには各種の防犯ベル等に応用することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 制御部(CPU)
2 記憶部(EEPROM)
3 スイッチ
4 センサー素子
5 温度サーミスタ
6 出力表示部
7 音声出力部
8 LEVELタイマー
100 警報装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス漏れや火災等の異常状態を検知して警報を発報するとともに、停止操作により発報を一時停止する警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス漏れや火災等の異常状態を検知して警報を発報する警報装置には、警報の発報を一時的に停止するための一時停止機能を備えたものがある。このような警報装置であれば、例えば、警報装置の発報が誤報であった場合や、異常状態が発生したが安全対策が講じられたためその異常状態が解消した場合等において、ユーザーは警報装置の発報を一時停止することにより、不要で耳障りな警報音を一時的に止めることができる。そして、ユーザーは、発報の一時停止期間中に業者に連絡をすることになる。このような一時停止機能を備えた従来の警報装置として、警報停止スイッチを有する警報装置があった(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−208957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一時停止機能を備えた警報装置の一時停止時間は、通常、10分程度の時間となっている。これは、警報装置の発報が誤報であるか否かの判断が困難である場合を考慮したものである。ユーザーが警報装置の発報を一時停止状態にしても短時間のうちに発報を再開させることで、もし誤報ではなく異常状態であった場合でも、そのことをユーザーになるべく迅速に報知し、万一の被害の拡大を防止するためである。このように従来の警報装置では、安易に発報の停止状態を継続させないことで、ユーザーが被る可能性のあるリスクを低減しようとしている。
【0005】
しかし、ユーザーが明らかに警報装置の誤報であると判断できる場合、あるいは安全対策を講じたため異常状態が既に解消したと判断できる場合もあり、このような場合にまで一律に警報装置の一時停止時間を一定時間に設定しておくことは、時にはユーザーにとって不便なものである。従って、状況に応じて融通の利く警報装置が望まれている。
【0006】
この点、上記特許文献1に記載されている警報装置では、元々備わっているテスト用スイッチに警報スイッチを兼用させ、特殊なスイッチ操作をすることにより上述の一時停止とは別に、警報の発報を完全に停止させることができるようになっている。つまり、警報が誤報である場合は、サービス会社が到着するまでの間、ユーザーが通常分からない特殊なスイッチ操作をすることで、完全に警報停止状態にするのである。
【0007】
ところが、特許文献1の警報装置では、発報の一時停止をする場合は、単一の一時停止時間が予め設定されており、ユーザーが状況に応じて一時停止時間を選択することまではできない。しかも、この一時停止時間は、上述したように安易に停止状態を継続させないように、10分程度に設定されている。従って、このような短時間の一時停止時間では当該停止時間中に業者が現場に到着することは困難であり、結局警報の発報が再開されてしまうことになる。そのため、ユーザーは、耳障りな発報が再開されないように、面倒な一時停止操作を何度も繰り返す必要がある。
【0008】
また、特許文献1には、業者が到着するまでの間、ユーザーが警報装置のスイッチの引き紐を引きっぱなしにすることで、完全に警報停止状態にすることが記載されている。しかし、引き紐を引きっぱなしにする操作のみでは、警報停止時間をユーザーが選択して設定することは不可能である。このように、特許文献1の警報装置では、ユーザーに対する利便性は依然として改善されていない。
【0009】
従って、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、警報装置の発報が誤報である場合や、安全が確保された場合等において、一定の操作を行うことにより発報を一時停止させることが可能であるとともに、ユーザーが発報の一時停止時間を、そのときの状況に応じて選択することが可能な警報装置を提供する点にある。
また、警報装置の誤報等に対するユーザーの判断ミスによって、警報を長期に亘って一時停止状態にしてしまうというリスクを低減しながら、警報装置の利便性および信頼性を向上する点にある。
さらに、第3段階の割り込みを行うためのスイッチ操作を、何らかの偶然によって実行されることがあり得ないものとする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る警報装置の特徴構成は、異常状態を検知して警報を発報するとともに、操作部に対する停止操作により前記発報を一時停止する警報装置であって、互いに長さが異なる第1段階から第3段階までの3段階の停止時間を格納した記憶部と、前記停止操作に基づいて、前記停止時間の中から、第1段階或いは第2段階の何れかの停止時間を選択し、選択された停止時間に亘って前記発報を一時停止する制御部とを備え、前記第2段階の一時停止状態を経由し、第3段階の割り込み操作をして初めて第3段階の一時停止状態にすることができ、且つ、前記第3段階の割り込み操作が、複雑な操作あるいはユーザー側では実行できない操作を伴うものである点にある。
【0011】
本構成の警報装置であれば、例えば、ユーザーが操作部に対して停止操作を行うと、制御手段は記憶部に格納された互いに長さが異なる複数の停止時間の中から、その停止操作に基づいて一の停止時間を選択し、警報の発報を一時停止することができる。このように、一つの警報装置で複数の一時停止時間を設定することが可能であるので、そのときの状況に応じた警報の一時停止状態を、ユーザー等の意思で適宜実現することができる。従って、異常状態や警報の誤報等に対して適切な対処ができるようになり、警報装置の利便性および信頼性が向上する。
また、必ず第2段階の停止状態を経由し、第3段階の割り込み操作をして初めて第3段階の一時停止状態にすることができる。このようなフローを採用した理由は、一時停止時間が非常に長い場合、業者によって誤報か否かが確認されないままユーザーが最初からそのような長い停止時間を設定してしまうことを防止するためである。しかし、本当に必要なとき(例えば、確実に誤報であった場合)、あるいは業者が安全を確認または確保した場合は、そのような長い停止時間を設定することが可能となる。従って、警報装置の誤報等に対するユーザーの判断ミスによって、警報を長期に亘って一時停止状態にしてしまうというリスクを低減しながらも、警報装置の利便性および信頼性を向上することができる。
しかも、第3段階の割り込み操作は、非常に複雑なスイッチ操作(例えば、スイッチを1秒以上押し続けた後、1秒以上の間隔を空けて1秒以上押し続け、その後1秒以上の間隔を空けて0.5秒以内の短時間の押し動作を3秒以内に4回繰り返し、さらにその後1秒以上の間隔を空けて1秒以上押し続けたときの状態)あるいはユーザー側では実行できないようなスイッチ操作(例えば、後述するような隠しスイッチによるスイッチ操作)を伴うものである。このため、第3段階の割り込み操作は、業者の到着を待ち、業者が行うスイッチ操作によって初めて一時停止操作が可能となる。従って、第3段階の割り込みを行うためのスイッチ操作は、何らかの偶然によって実行されることはあり得ない。
【0012】
本発明の警報装置では、前記制御部は、前記停止操作の操作パターンを認識するとともに、当該操作パターンに対応する停止時間を選択し、当該停止時間に亘って前記発報を一時停止することも可能である。
【0013】
本構成の警報装置であれば、ユーザーが停止操作を行うときの操作パターンと記憶部に格納されている互いに長さが異なる複数の停止時間とが対応付けられており、制御部がユーザーの操作パターンを認識することにより、その操作パターンに対応した停止時間が選択される。すなわち、ユーザーは停止操作の操作パターンを変更するだけの簡単な操作で、目的とする警報の停止時間を確実に選択することができる。
【0014】
本発明の警報装置では、前記停止操作は、第1停止時間に亘って前記発報を一時停止する第1停止操作と、第2停止時間に亘って前記発報を一時停止する第2停止操作とを含み、前記制御部は、前記第1停止操作に基づく一時停止中に、前記第2停止操作が行われた場合に前記第2停止時間に亘って前記発報を一時停止することも可能である。
【0015】
本構成の警報装置であれば、発報が第1停止操作に基づいた一時停止中にあることを前提として、第2停止操作がなされることで制御部が第2停止時間を選択する。そして、制御部はこの第2停止時間に亘って発報を一時停止することができる。このため、例えば、第2停止時間が非常に長い停止時間である場合、ユーザーが誤報か否かを確認しないまま最初からそのような長い停止時間を設定してしまうことを防止しつつ、本当に必要なとき(例えば、誤報であったときや安全が確認されたとき)はそのような長い停止時間を設定することが可能となる。従って、警報装置の誤報等に対するユーザーの判断ミスによって、警報を長期に亘って一時停止状態にしてしまうというリスクを低減しながらも、警報装置の利便性および信頼性を向上させることができる。
【0016】
本発明の警報装置では、前記警報の発報が一時停止状態にある場合において、警報停止解除の割込操作がなされることにより、前記制御部は前記一時停止状態を解除することも可能である。
【0017】
警報の発報が一時停止状態にあっても、その一時停止状態を解除した方がよい場合もある。そのような場合、本構成の警報装置であれば、警報停止解除の割込操作をすることにより、一時停止状態を解除することができるので、警報装置の利便性および信頼性を向上させることができる。
【0018】
本発明の警報装置では、前記警報停止解除の割込操作は、前記操作部に対する前記警報停止解除の割込操作の操作パターンを、前記制御部が認識することにより行うことができる。
【0019】
本構成の警報装置であれば、制御部が、操作部に対する警報停止解除の割込操作の操作パターン(例えば、警報装置のスイッチに物体が連続的に接触し続ける等の状態)を認識することにより、警報停止解除の割込操作がなされたと判断することができる。これにより、警報装置に対して本来意図しない操作が行われた場合は、警報の発報を再開することによりユーザーに異常状態を報知し、利便性よりも安全性や信頼性を優先して一時停止状態を解除することができる。
【0020】
本発明の警報装置では、前記第3段階の割り込み操作を、ユーザーが操作できない隠しスイッチを使用して行う。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の警報装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の警報装置の具体的な構成例を示す斜視図
【図3】本発明の警報装置における処理工程を示したフローチャート
【図4】本発明の警報装置における処理工程を示したフローチャート
【図5】本発明の警報装置における処理工程を示したフローチャート
【図6】本発明の警報装置における処理工程を示したフローチャート
【図7】本発明の警報装置における処理工程を示したフローチャート
【図8】本発明の警報装置における処理工程(サブルーチン)を示したフローチャート
【図9】本発明の警報装置における処理工程(サブルーチン)を示したフローチャート
【図10】表示出力部を構成するLEDを隠しスイッチに利用した例を示す模式図
【図11】衝撃スイッチを隠しスイッチとした例を示す模式図
【図12】風圧スイッチを隠しスイッチとした例を示す模式図
【図13】発光―受光スイッチを隠しスイッチとした例を示す模式図
【図14】マイクスイッチを隠しスイッチとした例を示す模式図
【図15】治具スイッチを隠しスイッチとした例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の警報装置に関する実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得る態様であれば、当業者が実施し得る範囲においてあらゆる変更、改変が可能である。
【0023】
〔警報装置の構成〕
図1は、本発明の警報装置100の構成を示すブロック図である。また、図2は、本発明の警報装置100の具体的な構成例を示す斜視図であり、(a)は壁面設置タイプの警報装置、(b)は天井設置タイプの警報装置である。先ず、図1を参照して、警報装置100の構成を説明する。この警報装置100は、ガス漏れや火災等の異常状態を検知して警報を発報し、停止操作により前記発報を一時停止するものであり、その主要な構成要素として、制御部としての集積回路(以下、CPU)1と、記憶部としての不揮発性メモリ(以下、EEPROM)2とを備えている。また、その他の構成要素として、スイッチ3、センサー素子4、温度サーミスタ5、表示出力部6、音声出力部7等を備えることができる。なお、図2の製品例において、CPU1、EEPROM2、センサー素子4、および温度サーミスタ5は図示されていないが、警報装置100の内部に格納された基板上に配置されている。また。センサー素子4および温度サーミスタ5については、センサー室14内に配置されている。以下、警報装置100の各部について説明する。
【0024】
センサー素子4は、警報装置100の検出対象ガスに応じたセンサーである。家庭用警報装置であればセンサー素子4は、例えば、ガスセンサー、COセンサー等が使用されることが多い。また、必要に応じて、センサー素子4とは別に、センサー素子4付近の温度を計測する温度サーミスタ5を設けることもできる。温度サーミスタ5が計測した温度に基づいて、センサー素子4が検知したガス濃度を補正することにより、より正確なガス濃度を算出することができる。
【0025】
センサー素子4からのガス濃度に関する信号、および温度サーミスタ5からの温度信号は、CPU1に送信される。CPU1では、ガス濃度の測定値が測定温度で補正され、正確なガス濃度が求められる。算出したガス濃度は、警報装置100に予め格納されているガス濃度閾値と比較され、ガス漏れ等の異常状態であるか否か、そして異常状態であった場合は、どの程度それが重大であるかを判断する。CPU1が異常状態であると判断した場合、CPU1は表示出力部6に対して異常状態の重大度に応じた表示信号を送る。
【0026】
表示出力部6は、例えば、図2の(a)または(b)に示した警報装置100にあるように、3色のLED(緑色、黄色、赤色)からなるLED表示部とすることができる。その他、液晶パネルや蛍光表示管等を採用してもよい。本実施形態の表示出力部6では、各LEDの点灯パターン(連続点灯、点滅など)によって、そのときの異常状態の重大度をユーザーが認識できるようになっている。また、本実施形態の表示出力部6では、例えば、赤色LEDには都市ガス(メタン)に対する注意報・警報が割り当てられ、黄色LEDには不完全燃焼(一酸化炭素)に対する注意報・警報が割り当てられる。異常無しの場合であっても、表示出力部6が安全であることを示す緑色LEDのみを連続点灯させることにより、ユーザーに対して警報装置100が有効状態(監視状態)であることを認識させることができる。
【0027】
警報装置100が異常状態を感知したときは、音声出力部7であるスピーカにも異常状態の重大度に応じた警報信号が出力される。この異常状態の重大度に応じた警報信号は、音声やメッセージとして出力される。具体的には、警報音の音量、音の高さ、音のパターン等を異常状態の重大度に応じて変えることによって、そのときの異常状態の重大度をユーザーに認識させるのである。あるいは、実際に電子音声や録音した音声によって、「換気してください」、「不完全燃焼が発生しています」、「ガス漏れが発生しています」、「火災が発生しています」等のメッセージを連呼するようにしてもよい。
【0028】
ところで、警報装置100に用いられるセンサー素子4や温度サーミスタ5は、安全性を考慮して、ある程度感度が高いものが採用されるのが通常である。そのため、センサー素子4や温度サーミスタ5は、例えば、局所的あるいは一時的なガス濃度の上昇や温度上昇が発生した場合においても、これらの状態変化を敏感に検出する場合がある。そのような場合、センサー素子4または温度サーミスタ5から検出信号がCPU1に送信され、これをCPU1が異常状態であると判断し、表示出力部6および音声出力部7に異常状態であるとする出力信号を送ることになる。
【0029】
しかし、上記のような局所的あるいは一時的なガス濃度の上昇や温度上昇が発生したとしても、これらの現象が必ずしも異常状態であるとは限らない。例えば、ガス機器を分解整備したときや、日中に窓を閉めきっていた場合等においても、このような現象が起こることがある。このため、警報装置100は、実際には異常状態でない状況であっても、異常状態であるとの警報(すなわち、誤報)を発報してしまう場合がある。
【0030】
そこで、万一上記のような誤報を発報した場合に、その発報を一時的に停止するための手段(一時停止手段)が本実施形態の警報装置100には設けられている。その一時停止手段の一例として、警報装置100の本体に設けられた検査スイッチ13と併用したスイッチ3が挙げられる。検査スイッチ13は、警報装置100の各機能のチェックを実行するためのスイッチであり、通常の操作(例えば、1回の押し操作)を行えばチェックが開始される。ところが、上記のような検査スイッチ本来の機能を実行するためのスイッチ操作(上記の例では、1回の押し操作)とは異なるスイッチ操作をすることで、発報の一時停止を実行できる。例えば、警報の発報中に検査スイッチを2回続けて押してやれば短時間(例えば、5分間)警報が一時停止し、3回続けて押してやれば中時間(例えば、30分間)警報が一時停止するといった具合に、一時停止時間に対応させて本来のスイッチ操作とは異なるやや複雑な操作パターンを設定するのである。なお、実際に行う具体的な操作パターンの例については後で説明する。また、検査スイッチ13の押し方を複雑にするなどして操作パターンをより複雑化した場合には、長時間(例えば、36時間)警報を一時停止させることもできる。このように、検査スイッチ13としての機能と一時停止手段としての機能とを使い分けるべくそれぞれ異なるスイッチ操作を設定しておくことで、一時停止手段としてのスイッチ3を新たに設ける必要がなくなる。なお、警報装置100には、例えば、製造上の理由から部分的にカバー15が設けられるが、このカバー15をスイッチ3および検査スイッチ13と兼用することも可能である。つまり、カバー15にスイッチ機構を設け、カバー15の押圧によってスイッチの接点が接触するように構成する。この場合、図2におけるスイッチ13を廃止することができるため、すっきりとした外観を実現することができる。
【0031】
〔集積回路(CPU)による発報の一時停止処理〕
さて、ユーザーが、上記スイッチ3によって停止操作を実行したとき、発報の一時停止をどれくらいの期間行うかは、警報装置100のCPU1が、前記操作パターンに基づいて、EEPROM2に格納されている互いに長さの異なる複数の停止時間を選択することによって決定される。この互いに長さの異なる複数の停止時間は、ユーザーが停止操作を行うときの操作パターンに対応付けられた時間である。すなわち、CPU1がユーザーの操作パターンを認識することにより、その操作パターンに対応した停止時間が選択されるようになっている。停止時間が選択されると、CPU1は、この選択された停止時間をLEVELタイマー8でカウントし、そのカウント中に亘って発報の一時停止を行う。
【0032】
このようにして本発明の警報報知100では、一つの警報装置100で複数の一時停止時間を設定することが可能である。従って、そのときの状況に応じた警報の一時停止状態を、ユーザーの意思で適宜実現することができる。また、ユーザーは警報の誤報等に対して適切な対処をユーザーサイドで行うことができるようになるので、警報装置100の利便性および信頼性が向上する。さらに、ユーザーは停止操作の操作パターンを変更するだけの簡単な操作で、目的とする警報の停止時間を確実に選択することができる。
【0033】
次に、CPU1が行う発報の一時停止に関する具体的な処理工程を、フローチャートを用いて説明する。なお、以降に示すフローチャートにおいて、各フロー中で用いられるパラメータのアルファベット表記は、以下のような意味を有するものとする。
警報・・・KEIHO = 0:異常状態なし
1:警報状態あり
停止レベル・・・TEILEVEL = 0:警報一時停止なし
1:警報5分間一時停止
2:警報30分間一時停止
3:警報36時間一時停止
タイマー・・・LEVEL1タイマー:5分カウントタイマー
LEVEL2タイマー:30分カウントタイマー
LEVEL3タイマー:36時間カウントタイマー
警報音・・・OTO = 0:警報音の発報を許可
1:警報音の発報を停止
【0034】
上記停止レベル(TEILEVEL)やタイマー(LEVELタイマー)において、レベル1を5分間、レベル2を30分間、レベル3を36時間としているが、これらの時間は次のような理由のため選定したものである。
【0035】
レベル1は、ユーザーの側で安全であると判断して発報を一時停止させる場合である。ところが、このような場合において、ガス漏れ等の異常状態にもかかわらず誤報であるとしてユーザーが発報の一時停止をしてしまうことがある。そこで、万一誤報でない場合であったとしても3〜15分間程度で発報を再開すれば、ガス漏れ等による被害の拡大を防ぐことができる。従って、このときの最も好ましい時間として5分間を採用したものである。
【0036】
レベル2は、ユーザーが業者に連絡をし、安全対策(ガス器具使用禁止、ガス元栓閉止、窓開け換気、避難等)の指示を受けた上で発報を一時停止させる場合である。この場合、ユーザーは、後述するように、やや複雑な一定の停止操作をすることによって発報の一時停止をすることも可能であるが、基本的には業者の到着を待つことになる。そのときの待ち時間が20〜60分程度である。従って、このときの最も好ましい時間として30分間を採用したものである。
【0037】
レベル3は、業者の出動により安全が確認された上で、異常状態を知らせる発報がブザー等の部品の故障等により完全に誤報であったと判断された場合である。この場合、ユーザーは、業者に修理または部品の交換を依頼することになる。そのときの部品(あるいは新品の警報装置)を調達できる時間が12〜48時間程度である。従って、このときの最も好ましい時間として36時間を採用したものである。
【0038】
なお、上記レベル1〜3の一時停止期間中であっても、ユーザーの安全を確保するため、警報装置100が故障等していない限り警報装置100の監視機能は正常に働いている。従って、本実施形態の警報装置100は、警報の発報が一時停止状態にあったとしても、万一の異常状態の監視が行き届かないということはないので、高い安全性および信頼性を確保することができる。
【0039】
図3は、本発明の警報装置100における特に立ち上げ時の処理工程を示したフローチャートである。先ず、警報装置100の電源がONにされると初期設定がなされる(S1)。初期設定では各パラメータの初期化が行われる。初期設定時における各パラメータの値は次のとおりである。
(初期設定値)
・KEIHO = 0
・TEILEVEL = 0
・LEVEL1タイマー = 0カウント
・LEVEL2タイマー = 0カウント
・LEVEL3タイマー = 0カウント
・OTO = 0
【0040】
次に、CPU1は、発報を一時停止するための停止操作が行われるかの監視を開始し(S2)、さらに表示・発報実行ルーチンを行う(S3)。この表示・発報実行ルーチンは図9に示したサブルーチンであり、KEIHO、OTOのパラメータによってLED表示や警報音の発報の有無を決定する。初期設定時は通常の監視状態であるため、緑色LEDを点灯、黄色LEDおよび赤色LEDを消灯させ、警報音の発報を無にする。KEIHO=1、OTO=0の場合は、緑色LEDを点灯、黄色LEDを消灯、赤色LEDを点滅させ、警報音の発報を有にする。KEIHO=1、OTO=1の場合は、緑色LEDを点灯、黄色LEDを消灯、赤色LEDを点滅させ、警報音の発報を無にする。なお、本実施形態では、赤色LEDの作動(点灯・点滅・消灯)によって警報の発報状態を示すようにしているが、他のLEDの点灯パターンによってユーザー等に対する警報発報や注意喚起を行うことも可能である。例えば、都市ガス(メタン)に関する警報を赤色LEDの点灯とし、不完全燃焼(一酸化炭素)に関する警報を黄色LEDの点灯とし、注意を促す場合は赤色LEDまたは黄色LEDの点滅とすることができる。このように、複数の異常状態と各LEDの点灯パターンとを予め対応付けておくことにより、異常状態の種類やそのときの危険度に応じた適切な警報の発報を、ユーザー等に分かり易く表示することができる。
【0041】
ステップ3の表示・発報実行ルーチンの後、異常状態検知を行う(S4)。この異常状態検知は、例えば、図1の警報装置100のブロック図において、センサー素子4からCPU1に入力される信号の値が、CPU1(またはEEPROM2)に予め格納されている所定の閾値を超えているか否かで判断する。信号値が閾値を超えている場合には異常状態検知はYES側に進行し、KEIHO=1を設定(S5)した後、<A>のルーチン(図4)に進行する。信号値が閾値を超えていない場合には異常状態検知はNO側に進行し、表示・発報実行ルーチン(S3)に戻る。
【0042】
図4は、図3の<A>のルーチンであり、警報状態において警報音の発報が一時停止されない場合の処理工程を示したフローチャートである。このルーチンにおいても初めに表示・発報実行ルーチン(S6)が実行される。ステップ6の表示・発報実行ルーチンは、前述したステップ3の表示・発報実行ルーチンと同様である。ステップ6の表示・発報実行ルーチンの後、異常状態検知を行う(S7)。ここで、信号値が閾値を超えていないとして異常状態検知がNO側に進行した場合は、KEIHO=0、TEILEVEL=0、OTO=0を設定(S9)し、図3の<B>からステップ3の表示・発報実行ルーチンに戻る。信号値が閾値を超えているとして異常状態検知がYES側に進行した場合は、警報の発報が必要な状態が継続しているので、そのまま警報表示を続行する。
【0043】
次に、警報の停止操作があるか否か、すなわちスイッチ3による割り込みがあるか否かを判断する(S8)。スイッチ3の割り込みがないと判断した場合は(S8;NO)、ステップ6に戻って表示・発報実行ルーチンを実行する。スイッチ3の割り込みがあったと判断した場合は(S8;YES)、そのスイッチ3の割り込みの種類を判断する(S10、S11)。
【0044】
先ず、ステップ10では、LEVEL1の割り込みか否かを判断する。LEVEL1の割り込みとは、例えば、スイッチ3を軽く押したときの100msec程度のスイッチON状態の操作を意味する。この操作は、停止操作の操作パターンの一例を示すものである。このようなLEVEL1のスイッチ操作は非常に容易であるので、殆んどすべてのユーザーが確実に実行できるものである。従って、警報装置100のマニュアル等を確認するまでもなく容易に警報装置100にLEVEL1の割り込みを認識させることができる。このLEVEL1の割り込みがあったと判断した場合は(S10;YES)、<C>のルーチン(図5)に進行する。なお、この実施形態では、スイッチ割り込みありの状態(S8;YES)で、LEVEL1の割り込み有り(S10;YES)とされた場合に、本明細書における停止操作(第1停止操作)が行われたことになる。
LEVEL1の割り込みではないと判断した場合は(S10;NO)、ステップ11においてLEVEL2の割り込みか否かを判断する。ここで、LEVEL2の割り込みとは、例えば、スイッチ3を1秒以上押し続けた後、1秒以上の間隔を空けて0.5秒以内の短時間の押し動作を2秒以内に3回繰り返し、その後1秒以上の間隔を空けて1秒以上押し続けたときの状態を意味する。この操作も、停止操作の操作パターンの一例を示すものである。このようなスイッチ操作は複雑であるので、ユーザーが警報装置100のマニュアル等を確認したり、業者に連絡して確認しなければ実行することはできず、また何らかの偶然によって実行される確率は非常に低いものである。従って、警報装置100にLEVEL2の割り込みを認識させることは容易ではない。このLEVEL2の割り込みがあったと判断した場合は(S11;YES)、<D>のルーチン(図6)に進行する。LEVEL2の割り込みではないと判断した場合は(S11;NO)、ステップ6に戻って表示・発報実行ルーチンを実行する。なお、この実施形態では、スイッチ割り込みありの状態(S8;YES)で、LEVEL1の割り込みがなく(S10;NO)、LEVEL2の割り込み有り(S11;YES)とされた場合に、本明細書における停止操作(第1停止操作)が行われたことになる。
【0045】
次に<C>のルーチン(図5)、および<D>のルーチン(図6)について説明する。図5は、<C>のルーチンであり、警報状態において警報音が5分間一時停止される場合の処理工程を示したフローチャートである。このルーチンにおいては、初めに、TEILEVEL=1、OTO=1、LEVEL1タイマー=0カウント(リセット状態)に設定する(S12)。次に、図9に示した表示・発報実行ルーチン(S13)を実行する。なお、この場合のLED表示は、KEIHO=1、OTO=1であるから、図9のステップ3´より、緑色LEDが点灯、黄色LEDが消灯、赤色LEDが点滅の状態となり、かつ警報音の発報は無の状態となる。
【0046】
次に、LEVEL1タイマーをカウントアップする(S14)。このLEVEL1タイマーは5分カウントタイマーであり、そのカウント方法は、通常1sec毎に1カウントするものであるが、他のカウント方法、例えば、<C>のルーチンが1サイクルする0.1秒毎にカウントするものとしてもよい。
【0047】
次に、異常状態検知を行う(S15)。ここで、信号値が閾値を超えていないとして異常状態検知がNO側に進行した場合は、KEIHO=0、TEILEVEL=0、OTO=0を設定(S17)し、図3の<B>のルーチンからステップ3の表示・発報実行ルーチンに戻る。信号値が閾値を超えているとして異常状態検知がYES側に進行した場合は、警報の発報が必要な状態が継続しているので、そのまま警報表示を続行する。
【0048】
次に、LEVEL1タイマーのカウントが5分を経過したか否かを判断する(S16)。5分を経過していると判断した場合は(S16;YES)、警報音5分間一時停止の状態から復帰し、TEILEVEL=0、OTO=0に設定して図4の<A>のルーチンに戻る。この場合、警報状態にあって警報音の発報が許可されているので、図4の<A>のルーチンでは、緑色LEDが点灯、黄色LEDが消灯、赤色LEDが点滅の状態となり、かつ警報音の発報が有の状態となる。5分を経過していないと判断した場合は(S16;NO)、警報の停止操作があるか否か、すなわちスイッチ3による割り込みがあるか否かを判断する(S18)。スイッチ3の割り込みがないと判断した場合は(S18;NO)、ステップ13に戻って表示・発報実行ルーチンを実行する。スイッチの割り込みがあったと判断した場合は(S18;YES)、その割り込みが警報の一時停止を解除するための割り込みか否かを判断する(S20)。警報の一時停止を解除するための割り込みでないと判断した場合は(S20;NO)、ステップ13に戻って表示・発報実行ルーチンを実行する。警報の一時停止を解除するための割り込みであったと判断した場合は(S20;YES)、警報5分間一時停止の状態から復帰し、TEILEVEL=0、OTO=0を設定するとともに、LEVEL1タイマーを0カウントにリセットし、図4の<A>のルーチンに戻る。なお、この実施形態では、スイッチ割り込みありの状態(S18;YES)で、警報停止解除の割り込み有り(S20;YES)とされた場合に、本明細書における警報停止解除の割込操作が行われたことになる。この警報停止解除の割込操作は、前述のLEVEL1の割り込み操作であってもよいが、ユーザーが簡単に警報の一時停止の解除を行うことができないように、やや複雑な操作パターン(例えば、スイッチを10秒間押し続ける等)を採用してもよいし、あるいは前述のLEVEL2の割り込み操作を採用してもよい。
【0049】
図6は、<D>のルーチンであり、警報状態において警報音が30分間一時停止される場合の処理工程を示したフローチャートである。この<D>のルーチンが、前述の<C>のルーチンと異なるところは、初めに、TEILEVEL=2、OTO=1、LEVEL2タイマー=0カウント(リセット状態)に設定する点(S22)、およびスイッチの割り込みとして警報の一時停止を解除するための割り込み(S30;YES→S31)の他にLEVEL3の割り込みの判断(S32)がある点である。すなわち、<D>のルーチンでは、警報状態または警報音5分間一時停止状態から警報音36時間一時停止状態に直接移行することはできず、必ず警報音30分間一時停止状態を経由し、LEVEL3の割り込み操作をして初めて警報音36時間一時停止状態にすることができる。このようなフローを採用した理由は、一時停止時間が非常に長い場合、業者によって誤報か否かが確認されないままユーザーが最初からそのような長い停止時間を設定してしまうことを防止するためである。しかし、本当に必要なとき(例えば、確実に誤報であった場合)、あるいは業者が安全を確認または確保した場合は、そのような長い停止時間を設定することが可能となる。従って、警報装置100の誤報等に対するユーザーの判断ミスによって、警報を長期に亘って一時停止状態にしてしまうというリスクを低減しながらも、警報装置100の利便性および信頼性を向上することができるのである。なお、この実施形態では、スイッチ割り込みありの状態(S28;YES)で、警報停止解除の割り込み有り(S30;YES)とされた場合に、本明細書における警報停止解除の割込操作が行われたことになる。また、スイッチ割り込みありの状態(S28;YES)で、警報停止解除の割り込みがなく(S30;NO)、LEVEL3の割り込み有り(S32;YES)とされた場合に、本明細書における停止操作(第2停止操作)が行われたことになる。
【0050】
LEVEL3の割り込みの判断(S32)において、LEVEL3の割り込みがあったと判断した場合は(S32;YES)、<E>のルーチン(図7)に進行する。LEVEL3の割り込みではないと判断した場合は(S32;NO)、ステップ23に戻って表示・発報実行ルーチンを実行する。ここで、LEVEL3の割り込みとは、非常に複雑なスイッチ操作(例えば、スイッチ3を1秒以上押し続けた後、1秒以上の間隔を空けて1秒以上押し続け、その後1秒以上の間隔を空けて0.5秒以内の短時間の押し動作を3秒以内に4回繰り返し、さらにその後1秒以上の間隔を空けて1秒以上押し続けたときの状態)あるいはユーザー側では実行できないようなスイッチ操作(例えば、後述するような隠しスイッチによるスイッチ操作)を伴うものである。このため、LEVEL3の割り込み操作は、業者の到着を待ち、業者が行うスイッチ操作によって初めて一時停止操作が可能となる。従って、LEVEL3の割り込みを行うためのスイッチ操作は、何らかの偶然によって実行されることはあり得ない。
【0051】
図7は、<E>のルーチンであり、警報状態において警報音が36時間一時停止される場合の処理工程を示したフローチャートである。この<E>のルーチンは、前述の<C>のルーチンとほぼ同様であり、初めに、TEILEVEL=3、OTO=1、LEVEL3タイマー=0カウント(リセット状態)に設定する(S33)。なお、<E>のルーチンでは、警報の一時停止を解除するための割り込みがあったか否かの判断(S41)において、割り込みがあったと判断された場合は(S41;YES)、TEILEVEL=0、OTO=0を設定するとともに、LEVEL3タイマーを0カウントにリセットし、図4の<A>のルーチンに戻る。なお、この場合の警報の一時停止を解除するための割り込み操作として、ユーザーは任意に設定した割込操作の操作パターンを採用することができる。なお、この実施形態では、スイッチ割り込みありの状態(S40;YES)で、警報停止解除の割り込み有り(S41;YES)とされた場合に、本明細書における警報停止解除の割込操作が行われたことになる。
【0052】
また、本実施形態の警報装置100では、CPU1が、操作部に対する警報停止解除の割込操作の操作パターン(例えば、警報装置100のスイッチ3に物体が連続的に接触し続ける等の状態)を認識することにより、警報停止解除の割込操作がなされたと判断することができる。これは、警報停止解除の割込操作の操作パターンの一例を示すものである。これにより、警報装置100に対して本来意図しない操作が行われた場合は、警報の発報を再開することによりユーザーに異常状態を報知し、利便性よりも信頼性や安全性を優先して一時停止状態を解除することができる。
【0053】
ところで、<C>のルーチン(図5)、<D>のルーチン(図6)、および<E>のルーチン(図7)において、異常状態検知ステップ(S15、S25、S36)で信号値が閾値を超えているとしてYES側に進行した後、各LEVELタイマーがカウントを行っている最中にガス濃度の急激な上昇や、急激な温度上昇等が起こることがある。従って、このような危険度の増大に対してより安全性を向上させるため、異常状態検知ステップ(S15、S25、S36)の後に図8に示した<X>のルーチンを追加することが有効である。この<X>のルーチンでは、ステップ40に示すように、危険度が所定の閾値を超えた場合(S40;YES)、パラメータをTEILEVEL=0、OTO=0に設定し、<A>のルーチンに戻るようにしている。
【0054】
警報装置100のCPU1が、各LEVELタイマーのカウント中における危険度の増大に対して一時停止状態の解除(割り込み)をするための条件として、以下にいくつかの例を示す。なお、これらの例では、警報装置100は都市ガス用の警報装置を想定している。都市ガスの爆発下限界(LEL)は50000ppmであり、警報装置100の発報は、上記LELの4分の1(すなわち、12500ppm)とする。なお、この都市ガス濃度の他、後述する一酸化炭素(CO)濃度、火災に伴う温度、火災に伴う煙に関する値が、本明細書でいう異常状態の危険度に応じて変化する状態値である。
【0055】
(a)停止レベル1(TEILEVEL=1)の解除(割込)条件
≪解除条件1≫
規定時間(本条件では5分)内に都市ガス濃度がLELを超えると予想される場合に、LEVEL1の割り込みが実行される。
LEVEL1カウンターが規定時間内にカウントする時間をt秒とし、t−1秒からt秒までの都市ガスの平均濃度をE(t)とする。そうすると、1秒当たりの都市ガス濃度上昇量Dは、
D = E(t)−E(t−1) ・・・ (1)
となる。従って、規定時間(5分)における都市ガスの予想濃度Xは、
X = E(t)+[E(t)−E(t−1)]×(300−t) ・・・ (2)
と表すことができる。上記(2)式が50000ppmを超える場合であるから、X>50000となった時点で割り込みが実行され、警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を解除する。
このように、今現在危険な状態にはなっていなくても、異常状態の危険度に応じて変化する状態値が規定時間内に閾値を超えると予想される場合は、一時停止を解除することで、ユーザーへの警報の発報が余裕をもって行われ、危険な状態を未然に回避することができる。
≪解除条件2≫
都市ガス濃度がLELの2分の1を超えた時点(すなわち、E(t)>25000)でLEVEL1の割り込みが実行され、警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を解除する。
このように、異常状態の危険度に応じて変化する状態値が所定の閾値を超えた場合に、一時停止を解除することで、たとえ一時停止中に危険な状態になってもユーザーへの警報の発報を確実に行うことができる。
≪解除条件3≫
別の種類の異常状態を検知した場合にLEVEL1の割り込みが実行され、警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を解除する。これは、発報の一時停止状態において、不完全燃焼(COの発生)や、火災(熱または煙)を検知した場合がある。なお、この解除条件3は、上記解除条件1または解除条件2と組み合わせることも可能である。
上記不完全燃焼警報には、300ppm以上のCOが10分間継続して検知された場合の低濃度警報と、550ppm以上のCOが検知された場合の高濃度警報とがある。低濃度警報による解除条件としては、規定時間内にCO濃度が800ppmを超えると予想される場合(条件1)、CO濃度が550ppmに達した場合(条件2)が挙げられる。高濃度警報による解除条件としては、規定時間内にCO濃度が1000ppmを超えると予想される場合(条件1)、CO濃度が800ppmに達した場合(条件2)が挙げられる。
火災警報(熱)は、約65℃の温度が継続した場合に発報される。火災警報(熱)による解除条件としては、規定時間内に温度が80℃を超えると予想される場合(条件1)、温度が70℃に達した場合(条件2)が挙げられる。
火災警報(煙)は、煙の透過率が約10%になった場合に発報される。火災警報(煙)による解除条件としては、規定時間内に透過率が20%を超えると予想される場合(条件1)、透過率が15%に達した場合(条件2)が挙げられる。
このように、発報の一時停止中に危険度に応じて変化する状態値を監視するにあたり、複数種の危険度(例えば、CO濃度、火災による温度上昇、煙の増加)を検知することができる。このため、異常状態の変化を確実に判断でき、発報の再開によって危険度の増大をユーザーに確実に報知することができる。従って、本実施形態の警報装置100は、信頼性および安全性が高いものである。
【0056】
(b)停止レベル2(TEILEVEL=2)の解除(割込)条件
≪解除条件1≫
都市ガス濃度がLELの2分の1(すなわち、25000ppm)を超え、かつ規定時間(本条件では30分)内にLELを超えると予想される場合、つまり、
E(t) > 25000 ・・・ (3)
X > 50000 ・・・ (4)
を満たす場合にLEVEL2の割り込みが実行され、警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を解除する。
≪解除条件2≫
別の種類の異常状態を検知した場合にLEVEL2の割り込みが実行され、警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を解除する。これは、上記「(a)停止レベル1(TEILEVEL=1)の解除(割り込み)条件」で述べたのと同様に、発報の一時停止状態において、不完全燃焼(COの発生)や、火災(熱または煙)を検知した場合がある。
COの低濃度警報による解除条件としては、CO濃度が550ppmに達した場合(条件1)が挙げられる。COの高濃度警報による解除条件としては、CO濃度が800ppmに達した場合(条件1)が挙げられる。
火災警報(熱)による解除条件としては、温度が70℃に達し、かつ規定時間内に温度が80℃を超えると予想される場合(条件1)が挙げられる。
火災警報(煙)による解除条件としては、透過率が20%に達した場合(条件1)が挙げられる。
【0057】
(c)停止レベル3(TEILEVEL=3)の解除(割込)条件
≪解除条件1≫
都市ガス濃度がLELの2分の1(すなわち、25000ppm)を超え、かつ1時間後にLELを超えると予想される場合、つまり、
E(t) > 25000 ・・・ (5)
E(t+3600) > 50000 ・・・ (6)
を満たす場合にLEVEL3の割り込みが実行され、警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を解除する。
≪解除条件2≫
都市ガス濃度がLELの4分の3を超えた時点(すなわち、E(t)>37500)でLEVEL3の割り込みが実行され、警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を解除する。
≪解除条件3≫
別の種類の異常状態を検知した場合にLEVEL3の割り込みが実行され、警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を解除する。これは、上記「(a)停止レベル1(TEILEVEL=1)の解除(割り込み)条件」で述べたのと同様に、発報の一時停止状態において、不完全燃焼(COの発生)や、火災(熱または煙)を検知した場合がある。
COの低濃度警報による解除条件としては、CO濃度が550ppmに達した場合(条件1)が挙げられる。高濃度警報による解除条件としては、CO濃度が800ppmに達した場合(条件1)が挙げられる。
火災警報(熱)による解除条件としては、温度が70℃に達し、かつ1時間後に温度が80℃を超えると予想される場合(条件1)が挙げられる。
火災警報(煙)による解除条件としては、透過率が20%に達した場合(条件1)が挙げられる。
【0058】
以上のように、ガス濃度、CO濃度、火災(熱または煙)等の危険度に応じて変化する状態値を、単一または複数種組み合わせて常に監視し、万一これらの状態値が増大した場合は、それに基づいて警報装置100のCPU1が発報の一時停止状態を適切に解除し、発報を再開することで、ユーザーに対して迅速かつ確実に異常状態を報知することができる。従って、ユーザーが、例えば、誤報ではないかという不安を抱きながら発報の一時停止をしたとしても、前記危険度に応じて変化する状態値が増大したときは確実に発報の一時停止が解除されるため、警報装置100の信頼性および安全性を維持することができる。
【0059】
さらに、上で示したように、本実施形態の警報装置100では、複数の停止時間の各々(本実施形態では、5分、30分、36時間に対応する停止レベル1、2、3)に応じて、危険度に関する判定基準(すなわち、一時停止を解除するか否かの判定基準)を変更することができる。例えば、停止レベル1のように一時停止時間が短い場合には判定基準の一つである都市ガス濃度の閾値を高く設定し、少しの危険度の増大では警報発報を再開しないことで警報装置100の利便性を向上させ、停止レベル3のように一時停止時間が長い場合には判定基準の一つである都市ガス濃度の閾値を低く設定し、少しの危険度の増大でも警報発報を再開して警報装置100の安全性を向上させることができる。
【0060】
〔隠しスイッチ〕
前述したように、LEVEL3の割り込み操作を行うには、ユーザーが操作できないような隠しスイッチを使用する場合がある。そこで、このような隠しスイッチについて、いくつかの実施例を以下に具体的に説明する。
【0061】
(1)LEDスイッチ
図10は、表示出力部6を構成するLEDを隠しスイッチに利用した例を示す模式図である。このLEDスイッチ20は、LED21に有色透明または無色透明プラスチック22を対峙させ、当該プラスチック22の一方を押圧部23、他方を接点24としたものである。LED21から発光された光は、プラスチック22の内部を伝播し、押圧部23から出射するようになっている。ユーザーが押圧部23を押すことにより、LEVEL3の割り込み操作が行われる。本構成のLEDスイッチ20の場合、外観上は通常のLEDと見分けがつかないので、通常、ユーザーはスイッチであることに気付かず、隠しスイッチとして有効である。また、このLEDスイッチ20では、LED21を小型化するとともにプラスチック22を多用しているので、スイッチ全体のコストを低減することができる。
【0062】
(2)衝撃スイッチ
図11は、衝撃スイッチ30を隠しスイッチとした例を示す模式図である。衝撃スイッチ30は、基板に接続された一対の導電性のある支持部31と、支持部31に接触状態で載置された金属体32と、この金属体32および支持部31の一部を覆うケース33とから構成されている。警報装置100に対して衝撃を与えると、金属体32が支持部31から浮き上がる。あるいは、警報装置100を傾けても同様に、金属体32が支持部31から浮き上がる。このとき衝撃スイッチ30は一瞬非導電状態となり、このような電気的な変化を検知することでLEVEL3の割り込み操作が行われる。ユーザーは、通常、警報装置100に衝撃を与えるような行動は取らないので、本構成の衝撃スイッチ30は、隠しスイッチとして有効である。
【0063】
(3)風圧スイッチ
図12は、風圧スイッチ40を隠しスイッチとした例を示す模式図である。風圧スイッチ40は、基板に接続された一対の導電性のピン41と、このピン41の側方に配置された膜部材42と、膜部材42に取り付けられピン41側に突出した形状の押圧部43と、膜部材42に気流を導く吹込部44とから構成されている。この風圧スイッチ40では、例えば、ユーザーが吹込部44から息を吹き込むと、膜部材42がピン41側に撓み、押圧部43が一対のピン41のうちの一方を押圧する。これにより一対のピン41は互いに接触し、導通状態となる。従って、このような電気的な変化を検知することでLEVEL3の割り込み操作が行われる。ユーザーは、通常、警報装置100に息を吹きかける等の行動は取らないので、本構成の風圧スイッチ40は、隠しスイッチとして有効である。
【0064】
(4)発光―受光スイッチ
図13は、発光―受光スイッチ50を隠しスイッチとした例を示す模式図である。発光―受光スイッチ50は、例えば、警報装置100の側部に設けられた発光部51と、受光部52と、孔部53とから構成されている。発光部51が発光していても、通常はその光が受光部52に到達することはない。しかし、ユーザーが、孔部53を指等で塞ぐと、発光部51から発せられた光はその一部が指等で反射し、受光部52に到達する。従って、このような光の反射を利用することでLEVEL3の割り込み操作が行われる。ユーザーは、通常、警報装置100の側部の孔部53には気付きにくく、たとえ気付いたとしても孔部53を指等で塞ぐ可能性は小さいと考えられるので、本構成の衝撃スイッチ30は、隠しスイッチとして有効である。
【0065】
(5)マイクスイッチ
図14は、マイクスイッチ60を隠しスイッチとした例を示す模式図である。マイクスイッチ60は、マイク61およびコンピュータ62を主要な構成要素として有している。マイク61は、警報装置100の音声出力部(スピーカ)7と並べて設置される。また、マイクスイッチ60は、コンピュータ62に接続された音声IC63と、音声出力(スピーカ)7に接続されたアンプ64とを備えることもできる。このマイクスイッチ60では、例えば、ユーザーがマイク61に向かって大きな声を発することでLEVEL3の割り込み操作が行われる。コンピュータ62がユーザーの声および言語を認識できる場合は、特定のユーザーが特定の言語(例えば、「故障発生」と複数回連呼する)を発したときにLEVEL3の割り込み操作が行われる。ユーザーは、通常、警報装置100に向かって大きな声を出すという行動(しかも、特定の言語を発する行動)をとることはほとんどないと考えられるので、本構成のマイクスイッチ60は、隠しスイッチとして有効である。また、マイクスイッチ60は、声によって反応するスイッチであるので、図2の(b)で示した天井設置タイプのように手の届かない場所にある警報装置100に用いれば、ユーザーにとって便利である。
【0066】
(6)治具スイッチ
図15は、治具スイッチ70を隠しスイッチとした例を示す模式図である。治具スイッチ70は、LEDからの光を受けるフォトダイオード71と、LEDとフォトダイオードとの間に挿入するための治具72と、治具72の差込口73とから構成されている。LED(特に、緑色LED)は、常時点灯状態にある。従って、フォトダイオード71をLEDの近傍に設置しておくと、フォトダイオード71には光電流が常時流れている。ここで、ユーザーが差込口73に治具72を挿入すると、LEDからフォトダイオード71への光が遮蔽されるので、フォトダイオード71の光電流は一時的に停止する。従って、このような電気的な変化を検知することでLEVEL3の割り込み操作が行われる。ユーザーは、通常、治具72の差込口73には気付きにくく、たとえ差込口73に気付いたとしても治具72がなければスイッチとして機能することはできないので、本構成の治具スイッチ70は、隠しスイッチとして有効である。なお、図15に示すように治具72に複数の切り抜きを設けておけば、治具72を差込口73から抜き差しする際に複雑な光信号を生成することができるため、隠しスイッチとしてより多くの機能を持たせることができる。
【0067】
(その他の隠しスイッチ)
その他にも隠しスイッチとして、図示はしないが、磁気によって接点をオンオフさせる磁気スイッチ、コンデンサに蓄えられる電荷の変化を利用した静電スイッチ、電波をキャッチして電流のオンオフを行う電波スイッチ、温度変化を利用したサーミスタスイッチ等を採用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の警報装置100は、上記実施形態で説明したガス漏れ警報装置や火災警報装置以外にも種々の用途、例えば、水漏警報装置、防犯装置等に応用することも可能である。また、家庭用警報装置だけでなく業務用警報装置にも使用可能であり、さらには各種の防犯ベル等に応用することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 制御部(CPU)
2 記憶部(EEPROM)
3 スイッチ
4 センサー素子
5 温度サーミスタ
6 出力表示部
7 音声出力部
8 LEVELタイマー
100 警報装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常状態を検知して警報を発報するとともに、操作部に対する停止操作により前記発報を一時停止する警報装置であって、
互いに長さが異なる第1段階から第3段階までの3段階の停止時間を格納した記憶部と、
前記停止操作に基づいて、前記停止時間の中から、第1段階或いは第2段階の何れかの停止時間を選択し、選択された停止時間に亘って前記発報を一時停止する制御部とを備え、
前記第2段階の一時停止状態を経由し、第3段階の割り込み操作をして初めて第3段階の一時停止状態にすることができ、且つ、前記第3段階の割り込み操作が、複雑な操作あるいはユーザー側では実行できない操作を伴うものである警報装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記停止操作の操作パターンを認識するとともに、当該操作パターンに対応する停止時間を選択し、当該停止時間に亘って前記発報を一時停止する請求項1に記載の警報装置。
【請求項3】
前記停止操作は、第1停止時間に亘って前記発報を一時停止する第1停止操作と、第2停止時間に亘って前記発報を一時停止する第2停止操作とを含み、
前記制御部は、前記第1停止操作に基づく一時停止中に、前記第2停止操作が行われた場合に前記第2停止時間に亘って前記発報を一時停止する請求項1または2に記載の警報装置。
【請求項4】
前記警報の発報が一時停止状態にある場合において、警報停止解除の割込操作がなされることにより、前記制御部は前記一時停止状態を解除する請求項1〜3の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項5】
前記警報停止解除の割込操作は、前記操作部に対する前記警報停止解除の割込操作の操作パターンを、前記制御部が認識することにより行われる請求項4に記載の警報装置。
【請求項6】
前記第3段階の割り込み操作を、ユーザーが操作できない隠しスイッチを使用して行う請求項1〜5に記載の警報装置。
【請求項1】
異常状態を検知して警報を発報するとともに、操作部に対する停止操作により前記発報を一時停止する警報装置であって、
互いに長さが異なる第1段階から第3段階までの3段階の停止時間を格納した記憶部と、
前記停止操作に基づいて、前記停止時間の中から、第1段階或いは第2段階の何れかの停止時間を選択し、選択された停止時間に亘って前記発報を一時停止する制御部とを備え、
前記第2段階の一時停止状態を経由し、第3段階の割り込み操作をして初めて第3段階の一時停止状態にすることができ、且つ、前記第3段階の割り込み操作が、複雑な操作あるいはユーザー側では実行できない操作を伴うものである警報装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記停止操作の操作パターンを認識するとともに、当該操作パターンに対応する停止時間を選択し、当該停止時間に亘って前記発報を一時停止する請求項1に記載の警報装置。
【請求項3】
前記停止操作は、第1停止時間に亘って前記発報を一時停止する第1停止操作と、第2停止時間に亘って前記発報を一時停止する第2停止操作とを含み、
前記制御部は、前記第1停止操作に基づく一時停止中に、前記第2停止操作が行われた場合に前記第2停止時間に亘って前記発報を一時停止する請求項1または2に記載の警報装置。
【請求項4】
前記警報の発報が一時停止状態にある場合において、警報停止解除の割込操作がなされることにより、前記制御部は前記一時停止状態を解除する請求項1〜3の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項5】
前記警報停止解除の割込操作は、前記操作部に対する前記警報停止解除の割込操作の操作パターンを、前記制御部が認識することにより行われる請求項4に記載の警報装置。
【請求項6】
前記第3段階の割り込み操作を、ユーザーが操作できない隠しスイッチを使用して行う請求項1〜5に記載の警報装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−238274(P2011−238274A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157982(P2011−157982)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【分割の表示】特願2005−325000(P2005−325000)の分割
【原出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【分割の表示】特願2005−325000(P2005−325000)の分割
【原出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
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