説明

警報連携システム、警報連携方法、警報器及びCATVアダプタ

【課題】複数の警報システムを、CATV伝送路を経由して相互に連携することにより、相互に機能を強化して信頼性と安心感を向上可能とする。
【解決手段】複数の住宅24−1,24−2に、異状を検知した場合に相互に連携して警報する住警器10−11〜10−22を備えた警報システムを設置し、各住宅の警報システムをCATVアダプタ100−1,100−2、CATV伝送路204、上り下り変換装置300を経由して連携させる。住宅24−1の住警器10−11で火災を検知した場合、当該住宅内で火災警報を行うと共に、火災連携連動信号をCATVアダプタ100−1、CATV伝送路204の上り下り変換装置300及びCATVアダプタ100−2を経由して住宅24−2のCATVアダプタ100−1に送信して、これを介して住警器10−21,10−22から他の住戸の火災を示す他住戸火災警報を出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の住戸にそれぞれ設置された警報システムを、CATV伝送路を経由して連携させる警報連携システム、警報連携方法、警報器及びCATVアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における火災やガス漏れなどの異状を検知して警報する警報器が普及している。このうち、住宅用火災警報器を住警器と言う。
【0003】
例えばこのような住警器にあっては、住警器内にセンサ部と警報部を一体に備え、センサ部の検出信号から火災を検知すると警報部から所定パターンの火災警報を出力するようにしており、所謂自動火災報知設備に設けるような受信設備等を必要とせず住警器単体で火災監視と警報とができることから、設置が簡単でコスト的にも安価であり、一般住宅での設置義務化に伴い広く普及している。
【0004】
また、複数の住警器間で通信を行うことによって、任意の住警器で火災警報が出力されると、他の住警器でも連動して火災警報を出力させる連動型の警報システムも提案され、実用化されている。
【0005】
このような連動型の警報システムでは、住警器で火災を検知した場合、当該火災を検知した連動元の住警器は、メッセージを含む所定パターンの火災警報音、例えば「ウーウー火災警報器が作動しました 確認してください」を出力し、一方、連動先の警報器では例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった火災警報音を出力するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−020663号公報
【特許文献2】特開2009−259125号公報
【特許文献3】特開平11−252522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このような従来の連動型住警器を用いた火災警報システムにあっては通常、例えば1つの警報システムで1つの住戸を監視対象とし、この住戸内の火災監視を必要とする場所毎に住警器を設置し、これら住警器のうち任意の住警器で火災を検知した場合に、他の住警器でもこれに連動し、その結果当該住戸内の全ての住警器で警報することを基本としている。
【0008】
しかしながら、連動型住警器を用いた警報システムの利用形態としては、別々の住戸に設置した警報システムの間で相互に連携を必要とする場合が想定される。例えば親世帯と子供世帯が別の場所(住戸)に居住しており、それぞれの住戸に連動型警報器を用いた警報システムを設置していた場合、この2つの警報システム間において、相互に連携した警報ができれば、警報連動可能得範囲が拡張される等、警報システムの機能を強化することができると共に、利用者の安心感を高めることが可能であるが、現状では、これに対し利用者が簡易に対応できる有効な仕組みは設けられていない。
【0009】
一方、CATVシステムにあっては、ヘッドエンドを頂点とするツリー構造のCATV伝送路を介して加入者宅にテレビ信号を送ってテレビ番組の視聴サービスを提供しており、また近年にあっては、同伝送路を用いてインターネット等外部ネットワークと接続し、加入者宅のパソコンなどによるネットワークへのアクセスも可能にしている。
【0010】
本発明は、例えば複数の住戸にそれぞれ設置した警報システムを、CATV伝送路を経由して相互に連携する仕組みにより、機能を拡張、強化して信頼性と安心感を向上可能とする警報連携システム、警報連携方法、警報器及びCATVアダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(警報連携システムA)
本発明は、異状を検知した場合に警報する警報器からなる複数の警報システムを、CATVアダプタを介してCATV伝送路に接続することにより複数の警報システム間で所定の通信を可能とし、連携させたことを特徴とする。
【0012】
ここで、複数の警報システム間での連携は、複数の警報システムのうち、任意の警報システムで異状が検知された場合に、当該警報システム以外の他の警報システムで警報する。
【0013】
CATV伝送路の所定位置に、警報システムからの上り信号を受けて変換処理し、下り信号として送出する上り下り変換装置を設ける。
【0014】
警報システムの一部または全部は、複数の警報器を連動動作させる。
【0015】
警報器は同一の警報システム内に設けられた他の警報器と連動する。
【0016】
(警報連携方法A)
本発明は、警報連携方法に於いて、複数の警報システムに設けた異状を検知した場合に警報する警報器を、上り信号を下り信号に変換する上り下り変換装置を備えたCATV伝送路にCATVアダプタを介して接続することにより複数の警報システム間で所定の通信を可能とし、連携させたことを特徴とする。
【0017】
ここで、複数の警報システム間での連携は、複数の警報システムのうち、任意の警報システムで異状が検知された場合に、当該警報システム以外の他の警報システムで警報する。
【0018】
CATV伝送路は、ヘッドエンド側となるツリー構造の頂点又はその上流に、上り下り変換装置を設ける。
【0019】
複数の警報システムの少なくとも1つは、他の警報システムとは異なる所在地に設けられる。
【0020】
複数の警報システムの少なくとも1つは、他の警報システムとは異なる住戸に設けられる。
【0021】
(警報連携システムB)
本発明は、異状を検知した場合に警報する警報器を備えた複数の警報システムを、CATVアダプタを介して接続したツリー構造をとるCATV伝送路を経由して連携させる警報連携システムに於いて、
CATV伝送路は、ツリー構造の頂点又はその上流側に、CATVアダプタから送信された上り信号を下り信号に変換して送信する上り下り変換装置を設け、
警報器は、
異状を検知した場合に、連動元を示す異状警報を出力すると共に同じ警報システム内の他の警報器及びCATVアダプタに異状連動信号を送信し、一方、同じ警報システム内の他の警報器から異状連動信号の受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を出力させ、更に、CATVアダプタから送信された異状連携連動信号の受信を検知した場合に、連携先警報システムの異状を示す異状警報を出力する警報制御部、
を備え、
CATVアダプタは、
警報器から送信された異状連動信号の受信を検知した場合に、当該異状連動信号を上り異状連携連動信号に変換してCATV伝送路に送信し、一方、他の警報システムのCATVアダプタから送信されて上り下り変換装置で変換された下り異状連携連動信号の受信を検知した場合、当該下り異状連携連動信号を異状連携連動信号に変換して同じ警報システム内の警報器に送信するプロトコル変換部を備えたことを特徴とする。
【0022】
(警報連携方法B)
本発明は、異状を検知した場合に警報する警報器を備えた複数の警報システムを、CATVアダプタを介して接続したツリー構造をとるCATV伝送路を経由して連携させる警報連携方法に於いて、
CATV伝送路におけるツリー構造の頂点又はその上流側に上り下り変換装置を設けて、前記CATVアダプタから送信された上り信号を下り信号に変換して送信し、
警報器は、
警報制御部により、異状を検知した場合に、連動元を示す異状警報を出力すると共に同じ警報システム内の他の警報器及びCATVアダプタに異状連動信号を送信し、一方、同じ警報システム内の他の警報器から異状連動信号の受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を出力させ、更に、CATVアダプタから送信された異状連携連動信号の受信を検知した場合に、連携先警報システムの異状を示す異状警報を出力し、
CATVアダプタは、プロトコル変換部により、警報器から送信された異状連動信号の受信を検知した場合に、当該異状連動信号を上り異状連携連動信号に変換してCATV伝送路に送信し、一方、他の警報システムのCATVアダプタから送信されて上り下り変換装置で変換された下り異状連携連動信号の受信を検知した場合、当該下り異状連携連動信号を異状連携連動信号に変換して同じ警報システム内の警報器に送信する、
ことを特徴とする。
【0023】
(警報器)
本発明は、CATVアダプタを介してCATV伝送路に接続され、CATVアダプタから送信された上り信号をツリー構造の頂点またはその上流に配置した上り下り変換装置により下り信号に変換して他のCATVアダプタに送信し、CATV伝送路を経由して連携する複数の警報システムに設けた警報器に於いて、
異状を検知した場合に、連動元を示す異状警報を出力すると共に同じ警報システム内の他の警報器及びCATVアダプタに異状連動信号を送信し、一方、同じ警報システム内の他の警報器から異状連動信号の受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を出力させ、更に、CATVアダプタから送信された異状連携連動信号の受信を検知した場合に、連携先警報システムの異状を示す異状警報を出力する警報制御部を備えことを特徴とする。
【0024】
(CATVアダプタ)
本発明は、ツリー構造の伝送路の所定位置に配置した上り下り変換装置により上り信号を下り信号に変換して送信するCATV伝送路に接続され、CATV伝送路を経由して複数の警報システムに設けた警報器を連携させるCATVアダプタに於いて、
警報器との間で信号を送受信する警報器通信部と、
CATV伝送路との間で信号を送受信するCATV通信部と、
警報器通信部による警報器から送信された連携連動信号の受信を検知した場合に、当該連携連動信号を上り連携連動信号に変換してCATV通信部からCATV伝送路へ送信し、一方、CATV通信部による他の警報システムのCATVアダプタから送信されて上り下り変換装置で変換された下り連携連動信号の受信を検知した場合、当該下り連携連動信号を連携連動信号に変換して警報器通信部から同じ警報システム内の警報器へ送信するプロトコル変換部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、例えば複数の住戸のいずれかに設けた警報システムの警報器で火災等所定の異状を検知した場合、異状を検知した警報器及びそれと同じ警報システム内の(例えば同じ住戸に設置している)他の警報器から火災警報を出力させると共に、CATVアダプタからCATV伝送路に上り信号として火災連携連動信号を送信し、CATV伝送路のヘッドエンド側に配置した上り下り変換装置により上り信号を下り信号に変換して他のCATVアダプタを経由して他の住戸の警報器に火災連携連動信号を送信して、当該他の住戸の警報システムを構成する警報器でも火災警報を出力させることができ、例えば相互に離れた住戸等に別々に設置している警報システムによる警報監視を、CATV伝送路を利用して相互に連携させることで、全体的な連動可能範囲を簡単且つフレキシブルに拡張することができ、またそれぞれの利用者の対応の余地を拡大して安心感を高めることができる。
【0026】
また例えば住警器の火災復旧や警報停止についても、CATV伝送路を経由して住戸間連携連動信号を別住戸に設置している警報システムへ送信して連携連動させ、当該別住戸の警報器から報知させることができる。
【0027】
また例えば内蔵電池(バッテリー)電源で動作する住警器のローバッテリー障害やセンサ障害などを検知した場合にも同様に、CATV伝送路を経由して連携連動信号伝送して連携連動させ、別住戸の警報器から報知させることができる。
【0028】
更に、CATVシステムにあっては、CATV伝送路を警報システムの連携に活用することで、複数住戸間の警報連携という新たなサービスを提供することができ、CATVシステムの利用価値を高めることで、CATVシステムの加入者サービスを向上できる。
【0029】
また、これらは、CATVシステムに上り下り変換装置を設けた上で、各警報システムに対しCATVアダプタを少なくとも1台ずつ設けるだけで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】2つの住宅に設置された警報システムを、CATV伝送路を経由して連携する本発明による警報連携システムの概略構成を示した説明図
【図2】本発明で用いる警報器としての住警器の外観を示した説明図
【図3】本発明で用いる警報器としての住警器の実施形態を示したブロック図
【図4】本発明で用いるCATV伝送路のヘッドエンド側に配置される上り下り変換装置の実施形態を示したブロック図
【図5】本発明で用いるCATVアダプタの実施形態を示したブロック図
【図6】図3の住警器による処理の概略を例示したフローチャート
【図7】図6に続く、住警器による処理の概略を例示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明により2つの住宅(2住戸)に設置された警報システムを連携する場合の、警報連携システムの概略構成例を示した説明図である。このような警報連携システムは例えば、高齢者住居とその管理者住居、被介護者住居と介護者住居、託児所とそこに預けられた子の親の住居、学校と生徒の住居、職場と自宅、企業の事業所間、同一施設の複数の建屋間等でも利用することができる。
【0032】
図1において、住宅24−1は例えば親世帯の住宅であり、住宅24−2は子世帯の住宅であり、両者は例えば相互の直接的な無線通信可能距離を超える距離を隔て、異なった場所に建てられている。住宅24−1の台所、居間、主寝室、階段室など所定の警戒エリア(監視領域)には、火災を検知して連動警報する無線連動型の住警器(住宅用火災警報器)10−11、10−12が設置され、連動型の警報システムを構築している。また住宅24−2の台所、居間、子供部屋、主寝室、階段室などの警戒エリア(監視領域)にも、同じく火災を検知して連動警報する無線連動型の住警器(住宅用火災警報器)10−21、10−22が設置され、ここでも連動型の警報システムを構築している。
【0033】
なお、住宅24−1,24−1は説明の都合上、それぞれ住警器を2台設置した場合を例示しているが、それぞれの警報システムを構成する警報器の台数(連動台数)は任意で、1台であっても3以上の複数台であっても良く、それぞれの警報システム毎に必要に応じ適宜の数を設置できる。また、以下、住警器10−11〜10−22をそれぞれ区別せず総称する場合は住警器10という場合がある。
【0034】
またここでは、同一の警報システム内で警報器同士が連動する場合を「連動」といい、また異なる警報システム同士が連動する場合を「連携」という。また連携の結果、連携先の警報システム内で警報器が連動することを「連携連動」という場合がある。
【0035】
また同一警報システム内で警報器同士が送受信する信号を「連動信号」といい、異なる警報システムの警報器同士で送受信する信号を「連携連動信号」という。前者の連動信号には、火災連動信号、火災復旧連動信号、警報停止連動信号及び障害連動信号があり、これらに対応し後者の連携連動信号には火災連携連動信号、火災復旧連携連動信号、警報停止連携連動信号及び障害連携連動信号がある。
【0036】
また住宅24−1,24−2には、それぞれについて構築される警報システムを、CATVシステム200の伝送路を経由して相互連携するためにCATVアダプタ100−1,100−2を設置している。以下、CATVアダプタ100−1,100−2をそれぞれ区別せず総称する場合はCATVアダプタ100という場合がある。
【0037】
CATVシステム200は、ヘッドエンド202にUHFアンテナ205、BSアンテナ206及びCSアンテナ208を接続しており、ヘッドエンド202から引き出された同軸ケーブルを用いたツリー構造をとるCATV伝送路204に、幹線分配増幅器(TDA)210、幹線分岐増幅器(TBA)220、分配器230を設け、最終的にCATV保安器240を介して加入者となる住宅24−1,24−2内のテレビ端子250に接続している。テレビ端子250は例えば図示しない末端の分配器により2分配された2つ口の端子を持ち、一方の端子にテレビ260を接続し、他方の端子にCATVアダプタ250を接続している。
【0038】
なお、CATV伝送路204には、これ以外に分岐増幅器(BA)、分配増幅器(TA)、延長増幅器(EA)などが必要に応じて設けられるが、説明を簡単にするため、省略している。また、光CATVシステムにあっては、光同軸伝送路(HFC伝送路)を使用しており、ヘッドエンド202に続いて光ノードを設け、光ノード以降を同軸ケーブル伝送路としている。
【0039】
このようなCATVシステム200にあっては、ヘッドエンド202から所定の下り周波数帯域を使用した下り信号としてテレビ信号をCATV伝送路204により加入者側に伝送してテレビ視聴サービスを提供しており、また同じくCATV伝送路204により、加入者側からヘッドエンド202に対し、所定の上り周波数帯域を使用して上り信号を伝送している。
【0040】
本発明の警報連携システムは、加入者宅となる住宅24−1,24−2に設けたCATVアダプタ100−1,100−2の間でCATV伝送路204を経由して信号を送受信することで警報システムを連携させるが、CATVシステム200の上り信号は加入者端末からヘッドエンド202へ伝送する信号であり、このままでは加入者端末として設けたCATVアダプタ100−1,100−2の相互間では信号を送受信することができない。
【0041】
そこで本発明にあっては、CATV伝送路204におけるツリー構造の頂点またはその上流、例えばヘッドエンド202と最初の幹線分配増幅器210との間に上り下り変換装置300を配置している。
【0042】
上り下り変換装置300は、CATVアダプタ100−1,100−2のいずれかから送信された所定の上り周波数f1の上り信号を分離し、所定の下り周波数f2の下り信号に周波数変換して送信し、CATV伝送路204を経由したCATVアダプタ100−1,100−2の相互間での信号送受信を可能とする。
【0043】
住警器10は、自己の属する警報システム内で連動信号を無線により相互に送受信する機能を備え、住宅各所の、それぞれ対応する監視領域について火災発生の有無を監視している。いま住宅24−1で万一、火災が発生したとすると、例えば住警器10−11が火災を検知して警報を開始する。この火災を検知して警報を開始することを、住警器における「発報」という。
【0044】
住警器10−11が発報するとき、住警器10−11は連動元として機能し、連動元の警報動作を行うと共に連動先となる他の住警器10−12に対し、火災連動信号を無線送信する。他の住警器10−12は、連動元の住警器10−11からの火災連動信号を有効受信した場合に、警報音と警報表示により連動先としての警報動作を行う。
【0045】
ここで、住警器10は、受信した連動信号に含まれるグループ符号が自己のメモリに登録しているグループ符号に一致して自己の属する警報システム内の信号であることが確認され、且つ信号内容を正常認識したときに、この連動信号を有効受信したことを検知するようにしている。さらに、連動信号を有効受信した住警器10は必要に応じて連動信号の中継送信を行う。グループ符号は警報システム毎に固有の符号として設定されており、各住警器はこの符号によって自己の属する警報システムに関連する連動信号のみを識別処理することができる。
【0046】
連動元となった住警器10−11の警報動作としては、例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる火災警報音を出力する。一方、連動先の住警器10−12にあっては、「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる火災警報音を出力する。
【0047】
また連動元となった住警器10−11の火災警報に伴う警報表示としては、例えばLEDを点灯する。一方、連動先の住警器10−12にあっては、LEDを点滅する。これによって、連動元警報と連動先警報におけるLEDによる警報表示を区別できるようにしている。なお、ここでは、これら警報表示も連動元或いは連動先の警報動作に含まれるものとする。
【0048】
住警器10は、自己が火災を検知した場合、所定の無線通信プロトコルに従った火災連動信号を、同じ警報システムに属する他の住警器及びCATVアダプタ100へ送信する。また住警器10は同じ警報システムに属する他の住警器から同じ無線通信プロトコルに従って送信された火災連動信号を受信する。各警報システムにおける基本的な警報連動動作は、このような住警器10の送受信機能によって実現される。
【0049】
住警器10における無線通信プロトコルによる送受信は、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠する。もちろん日本国外で使用する場合は、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。特定小電力無線局に準拠した住警器10の送信電力は、STD−30の場合は10mW以下であり、STD−T67の場合は10mW以下または1mW以下であり、見通し通信距離は概ね数十〜100メートル程度となる。
【0050】
CATVアダプタ100には、住警器10と同じ無線通信プロトコルに従って信号を送受信する警報器通信機能と、CATV伝送路204との間で上り信号と下り信号を送受信するCATV通信機能と、警報器通信とCATV通信との間のプロトコル変換を行う機能が設けられている。
【0051】
例えば住宅24−1の住警器10−11で火災を検知した場合、当該住警器10−11は自己の属する警報システム内の住警器10−12へ火災連動信号を送信して連動警報(連動先としての警報動作)を行わせる。この火災連動信号はCATVアダプタ100−1でも火災連携連動信号として受信される。CATVアダプタ100−1はこうして住警器10−11からの火災連動信号を受信した場合、受信した火災連動信号の内容に宛先となるCATVアダプタ100−2のアドレスを指定した火災連動連携信号を生成し、所定の上り周波数f1を使用した上り火災連携連動信号に変換(変調)してCATV伝送路204に送信する。
【0052】
CATV伝送路204に設けた上り下り変換装置300は、CATVアダプタ100−1から送信された上り周波数f1の上り火災連携連動信号を分離し、所定の下り周波数f2の下り火災連携連動信号に周波数変換して送信する。上り下り変換装置300から送信された下り火災連携連動信号は住宅24−2のCATVアダプタ100−2で受信され、住宅24−2に設けた警報システムの住警器10−21,10−22に対して火災連携連動信号を無線送信し、住警器10−21,10−22から住宅24−1における火災発生を示す火災警報(他住戸火災警報)の動作を行わせる。ここで、「他住戸」とは他の警報システム(他システム)を指す。以下同じ。
【0053】
この住警器10−21,10−22による他住戸火災警報動作としては例えば「ウーウー 住戸Aの火災警報器が作動しました 確認してください」といった、住戸24−1を特定した音声メッセージを繰り返し出力させると共に、LED22を点灯させて火災警報表示を行わせる。ここで、住戸Aの、どの住警器が火災を検知したかまで特定して報知することもできる。
【0054】
このような住宅24−2で他住戸となる住宅24−1の火災警報を実現するため、各連動信号および連携連動信号には住宅24−1に設けた送信側警報システムのグループ符号が付されており、各住警器10はこれを識別処理するが、これに加えて連動元住警器10−11のID(送信元識別符号として後述する識別子)を付して同様に認識処理するようにすることで、他住戸火災警報内容は住宅24−1を特定するだけでなく、その住警器10−11によって検知されたことまでを特定する内容とすることができる。また、住宅24−1に設けた送信側警報システムのグループ符号が「住戸A」に対応することも、例えば住宅24−2を構成する住警器10−21,10−22のメモリに予め登録記憶されたテーブルを参照して認識するようにしている。
【0055】
なお、住警器10及びCATVアダプタ100の無線通信プロトコルとしては、前述したSTD−30またはSTD−60以外に、例えばRFID(Radio Frequency IDentification「電波による個体識別」の略)に割当てられた900MHzの周波数、即ち950〜957MHzを使用したZ−Wave(R)やZigBee(R)として知られたセンサネットワーク用の近距離無線通信プロトコルを使用しても良い。
【0056】
一方、住宅24−1の住警器10−11で火災を検知して警報した後に、火災復旧または住警器10−11設けた操作部の警報停止操作を検知した場合、当該住警器10−11は、住警器10−12及びCATVアダプタ100−1に対し住戸内の火災復旧連動信号または警報停止連動信号を送信する。
【0057】
これを受信したCATVアダプタ100−1は、CATVアダプタ100−2のアドレスを宛先指定したうえで当該復旧連携連動信号また警報停止連携連動信号を、上り周波数f1を使用した上り火災復旧連携連動信号また上り警報停止連携連動信号に変換してCATV伝送路204へ送信し、上り下り変換装置300で下り火災復旧連携連動信号また下り警報停止連携連動信号に周波数変換してCATVアダプタ100−2へ送信し、これを受信したCATVアダプタ100−2が更に住宅24−2の住警器10−21,10−22にプロトコル変換して火災復旧連携連動信号また警報停止連携連動信号送信し、他住戸火災警報を停止させる。
【0058】
なお、同じ状況で住警器10−12に設けた操作部の警報停止操作が行われた場合には、これを検知した住警器10−12は連動先の(自己の)警報動作を停止すると共に住警器10−11に警報停止連動信号を送信し、これが住警器10−11で受信されて必要に応じ連動元の警報停止処理が行われる。また住警器10−12からの警報停止連動信号は警報停止連携連動信号としてCATVアダプタ100−1でも受信されて、これに伴い上記同様に周波数変換された警報停止連携連動信号が上り下り変換装置300を介してCATVアダプタ100−2へ送信される。そしてCATVアダプタ100−2は住警器10−21,10−22へ警報停止連携連動信号を送信し、これを受けた住警器10−21,10−22から出力されている他住戸火災警報が停止される。
【0059】
ここで、図1における通信経路を整理すると、例えば住宅24−1に設置した住警器10−11,10−12の間は無線通信経路11aとなり、住警器10−11,10−12の各々とCATVアダプタ100−1の間は無線通信経路11bとなる。この点は住戸24−2についても同様である。
【0060】
図2は本発明で使用する無線連動型の煙式住警器の外観を示した説明図であり、図2(A)に正面図を、図2(B)に側面図を示している。なお、取付フック15を設けているほうを上側とする。
【0061】
図2において、本実施形態の住警器10の筐体はカバー12と本体14で構成されている。カバー12の中央には突出部を設け、突出部の周囲側面に複数の煙流入口を開口し、その内部には検煙部16が配置され、火災に伴う煙が検煙部16に流入して所定濃度に達したときに後述する警報制御部で火災を検知するようにしている。検煙部16としては例えば、公知の散乱光式検煙機構が適用できる。
【0062】
カバー12の左下側には複数の音響孔18が設けられ、この背後にブザーやスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。カバー12の下側には警報停止スイッチ20が設けられている。
【0063】
警報停止スイッチ20は、半透明部材で形成されたスイッチカバーを押圧操作すると、これに連携して内蔵のプッシュスイッチ(図示せず)が押圧されるようになっている。スイッチカバー内部のプッシュスイッチ近傍には、警報等の表示を行うLED22が配置されている。
【0064】
警報停止スイッチ20は外部から住警器10の機能の自己点検実施を指示する点検スイッチとしての機能を兼ねている。例えば、火災警報出力中に警報停止スイッチ20が操作されると火災警報を停止し、通常状態で警報停止スイッチ20が操作されると所定の機能について自己点検を実施し、LED22やスピーカ等により結果を報知する。ここで通常状態とは、少なくとも火災警報出力中または障害警報出力中でない状態を指す。
【0065】
また本体14の裏側上部にはその略中央部に挿通孔を有する取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁面等にビスなどをねじ込み、この取付フック15の挿通孔にビスを通して引っかけることで、壁面に住警器10を所謂壁掛け状に固定設置することができる。
【0066】
図3は本発明で用いる住警器の要部構成を示したブロック図である。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる。また各機能それぞれの任意の一部または全部は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであっても、ハードウェアによって実行されるものであっても良い。また図3では、住宅24−1に設置した住警器10−11について示しているが、本実施形態の場合は他の住警器10−12〜10−22についても同様の構成となる。
【0067】
図3において、住警器10−11にはワンチップCPUとして知られたプロセッサ28が設けられ、プロセッサ28に対しては所定の無線通信プロトコルで信号送受信を行う無線通信部30と、メモリ32、センサ部34、報知部36、操作部38が設けられ、電池電源40は必要各部に電源を供給している。
【0068】
無線通信部30にはアンテナ31を接続した送信回路42及び受信回路44が設けられている。無線通信部30は、他の住警器10−12との間で、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に準拠した無線通信プロトコルに従って火災、火災復旧、警報停止、障害などの各種連動信号を送受信する。また無線通信部30は火災、火災復旧、警報停止、障害などの各種連動信号をCATVアダプタ100−1に送信すると共に、CATVアダプタ100−1から送信される火災、火災復旧、警報停止、障害などの各種連携連動信号を受信する。
【0069】
無線通信部30の送信回路42における連動信号の送信は、所定時間T1、例えばT1=3秒に亘り連動信号を送信する動作を、所定時間T2、例えばT2=2秒の休止時間を空けて例えば4回繰り返している。このT1=3秒送信、T=2秒休止は特定小電力無線局の標準規格に準拠したものである。またT1=3秒の送信動作は、その内の最初から例えば2.8秒はダミー信号の送信であり、残り0.2秒の時間に連動信号の反復送信を行う。
【0070】
また、無線通信部30の受信回路44においては、住警器10−11と同じグループに属する他の住警器10−12からの連動信号を間欠受信する。間欠受信は、所定周期T3毎に、例えばT3=7秒毎に受信可能時間T4、例えばT4=100ミリ秒のあいだ受信動作を繰り返しており、受信可能時間T4の間に送信ダミー信号をキャリアセンスにより検知すると所定時間のあいだ連続受信に切替えてダミー信号に続く連動信号を受信する。CATVアダプタ100−1から送信される各種の連携連動信号の受信も同様となる。
【0071】
なお、受信した信号はプロセッサ28に設けた警報制御部46で解読される。以下、この解読までを含めて受信と呼ぶことがある。また特に、解読の結果有効な信号と判定されることを区別して表す場合には有効受信と呼ぶ。
【0072】
また本実施形態の無線通信では、住警器10−11自身が火災又は火災以外の事象を検知して連動信号を送信した場合、住警器10−11は自己と同じグループに属し、これを受信した他の住警器10−12から、当該連動信号を正常に受信したことを示す返信である確認応答信号(以下「ACK信号」と云う)が有効受信されるか否か監視している。
【0073】
他の住警器のうち、ACK信号が受信されないものを検知した場合、住警器10−11はACK信号が受信された他の住警器に対し中継要求を示す符号を含む中継要求連動信号を送信し、中継要求連動信号を受信した住警器からAKC信号未応答の住警器へ中継要求連動信号を中継送信させる。中継要求連動信号を受信したAKC信号未応答の住警器はこの中継要求連動信号に対しACK信号を返信し、このACK信号が他の住警器の中継(返信の中継)を経て連動元の住警器10−11で受信される。これによってもACK信号が受信されない住警器がある場合には、通信障害等と判定し、所定の報知処理や連動処理、後述する連携処理等を行う。
【0074】
上述した中継機能は、1つの連動グループ、例えば住宅24−1に3台以上の住警器が設置されている場合に役立つ。図1の例では住宅24−1には住警器10−11と住警器10−12の2台しか設置されていないので、住警器10−11は自己が送信した連動信号に対して住警器10−12からACK信号(返信)が受信されない場合には、通信障害等と判定し、所定の報知処理や後述する連携処理等を行うことになる。
【0075】
本実施形態の無線通信で送受信する信号は、連番、送信元識別符号、グループ符号及び事象符号を含んで構成されている。連番は住警器毎に独立して生成される符号であり、連動信号の生成順或いは送信順を示す連続番号である。これに基づいて例えば再中継の禁止等の管理を行うことができる。送信元識別符号は各住警器を特定する例えば住警器のシリアル番号等であり、グループ符号は図1のように住宅24−1,24−2のそれぞれに設置した住警器10−11,10−12または住警器10−21,10−22の各グループ内で相互に連動を行う連動グループを構成するための符号である。この連動グループにはCATVアダプタ100−1,100−2も含まれる。
【0076】
事象符号は、火災などの事象内容を表す符号であり、本実施形態にあっては4ビット符号を使用しており、例えば
0001=火災
0010=ACK
0011=警報停止
0100=復旧
0101=センサ障害
0110=ローバッテリー障害
としている。
【0077】
更に本実施形態にあっては住戸間の連携連動信号の送受信に対応した事象符号として、
0111=他住戸火災
1000=他住戸警報停止
1001=他住戸復旧
1010=他住戸センサ障害
1011=他住戸ローバッテリー障害
を追加している。なお、中継送信する連動信号には、送信元(連動元)の住警器を示す送信元識別符号と中継を行う住警器の送信元識別符号の両方を付加する。更に、送信先を指定する識別符号を付加しても良い。
【0078】
また、先述した「中継要求有り」を示す符号はここでは省略しているが、例えば「1111」に割り当てることで当然これも事象符号に追加することができる。また、その他例えば「0000」を定期的な通信確認用に割り当てても良い。もちろん、ビット数を増やすことで更に多くの事象符号を割り当てることができる。
【0079】
メモリ32には、連動信号の生成に使用する連番、自己の送信元識別符号、グループ符号等が格納されている。
【0080】
センサ部34には、図2で説明したように例えば散乱光式の煙検知原理によって煙を検出して、煙濃度に応じた検出信号を出力する検煙部16を設けている。
【0081】
報知部36には警報音等を出力する音響出力器であるスピーカ50と警報表示等を行うLED22が、図示しないそれぞれの駆動回路と共に設けられている。スピーカ50は、警報制御部46からの制御を受けて、住警器10−11がメモリ32等に保持している各種のデータ等に基づいて音声メッセージや警報音等を出力する。LED22は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異状その他事象を表示により報知する。
【0082】
操作部38には警報停止スイッチ20が設けられ、警報停止スイッチ20は前述したように点検スイッチとしての機能を兼ねている。
【0083】
電池電源40は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、必要各部へ電源を供給する。電池容量としては住警器10−1における回路部全体の低消費電力化により、例えば10年の寿命を保証している。
【0084】
プロセッサ28にはプログラムの実行により実現される機能として、警報制御部46の機能が設けられる。
【0085】
警報制御部46は、センサ部34に設けた検煙部16からの検出信号に基づく火災の有無、操作部38に設けた警報停止スイッチ20による警報停止指示入力の有無や点検指示入力の有無、センサ部34に設けた検煙部16からの検出信号が低下して火災検知状態が解消される火災復旧の有無、センサ障害や故障、ローバッテリー障害等の事象を検知する。また警報制御部46はアンテナ31及び受信回路50を介して他の住警器10−12からの連動信号の解読結果として得られた連動信号有効受信の有無およびその連動内容等の情報を検知する。
【0086】
また警報制御部46は、センサ部34に設けた検煙部16の煙検出信号に基づき火災(有り)を検知した場合に、報知部36に対しスピーカ50から連動元を示す警報動作として火災警報音例えば「ウーウー 火事です 火事です 確認して下さい」の音声メッセージを繰り返し出力させる制御を行うと共に、LED22を点灯させて連動元を示す火災警報表示を行わせる制御を行い、また更に、無線通信部30の送信回路42に対して火災連動信号を他の住警器10−12及びCATVアダプタ100−1へ送信させる制御を行う。
【0087】
また警報制御部46は、無線通信部30のアンテナ31及び受信回路44を介して、自己と同じ警報システムに属する他の住警器の何れか、この場合住警器10−12から火災連動信号を受信し、これを解読して有効受信したことを検知した場合に、連動先を示す警報動作として報知部36のスピーカ50から警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる音声メッセージを繰り返し出力させる制御を行うと共にLED22を例えば点滅させて連動先を示す警報表示を行わせる制御を行う。これと併せて、送信回路42に、連動元からの火災連動信号を受信したことに伴う応答信号(返信)としてACK信号を送信させる制御を行う。
【0088】
また警報制御部46は、連動元を示す火災警報音の出力中に自己の警報停止スイッチ20の操作を検知した場合、報知部36を制御してスピーカ50からの警報音出力とLED22の警報表示出力による火災警報動作を停止させると共に、無線通信部30の送信回路42から警報停止連動信号を、自己と同じ警報システムに属する他の住警器、この場合10−12へ送信させる制御を行う。
【0089】
なお、警報制御部46で連動元を示す火災警報音の出力中に、自己と同じ警報システムに属する他の住警器の何れか、この場合住警器10−12からの警報停止連動信号の有効受信を検知した場合、警報制御部46は、火災警報音と火災警報表示のうち少なくとも一方を、少なくとも所定期間が経過するまで停止制御せずに維持し、連動元が識別できるようにする。
【0090】
また警報制御部46は、連動先を示す警報音の出力中に警報停止スイッチ20の操作又は、自己と同じ警報システムに属する他の住警器の何れか、この場合住警器10−12から警報停止連動信号の有効受信を検知した場合、報知部36を制御してスピーカ50からの音声メッセージによる警報音とLED22の警報表示による火災警報動作を停止させる。
【0091】
さらに、警報制御部46は、火災連動信号受信時と同様に、警報停止連動信号受信に伴うACK信号を、送信回路42を介して返信する制御を行う。なお、後述する各ケースでも同様であるので、住警器間の通信に伴うACK信号の返信については説明を省略する。なお、後述する住警器とCATVアダプタとの間の通信においても同様にACK信号の送受信処理を行うようにすることができるが、これも説明を省略する。また、通信のリトライやタイムアウト処理等についても適宜行うようにすることができるが、本明細書では説明を省略している。
【0092】
また警報制御部46には、図示しない電圧監視回路と協働して電池電源40から供給される電源電圧が所定レベル未満となるローバッテリー障害の監視機能が設けられ、このローバッテリー障害監視はビルトインテストとしてバックグラウンドで周期的に自動実行され、都度結果がメモリ32に更新記録されている。
【0093】
具体的には例えば、ローバッテリー障害監視は、所定の測定時間間隔(周期)、例えば4時間間隔で電池電源40から供給される電源電圧を、電圧監視回路を介して読み込んで所定の閾値電圧と比較するビルトインテストを実施し、この閾値電圧未満の場合にローバッテリー障害を予備判定してメモリ32にカウント記憶しておき、更にローバッテリー障害の予備判定が連続して所定回数続いた場合にローバッテリー障害と判定(確定)して検知し、ローバッテリー障害フラグをセットしてメモリ32に更新記憶する。
【0094】
また警報制御部46には、センサ部34の障害(部品劣化や故障等含む)を監視するセンサ障害監視機能が設けられ、同じくビルトインテストとしてバックグラウンドで周期的に自動実行されている。具体的には例えば、センサ障害監視は、所定の測定時間間隔(周期)、例えば1秒間隔でセンサ部34の検煙部16から出力される煙検出信号を読み込んでメモリ32に保持し、所定の時間間隔、例えば10分毎に、メモリ32に保持している直近10分間ぶんの検出データの平均値を求め、この平均値が所定の基準レベル(零点レベルという)を下回った場合に、出力停止状態である等としてセンサ部34の障害と判定して検知し、センサ障害フラグをセットしてメモリ32に更新記憶する。
【0095】
また警報制御部46は、通常状態で点検スイッチとして機能する警報停止スイッチ20の操作による点検指示操作(点検指示入力)を検知した場合、メモリ32にローバッテリー障害フラグ又はセンサ障害フラグがセット記憶されていることを判別した場合には、報知部36からローバッテリー障害警報又はセンサ障害警報を出力させ、更に、無線通信部30の送信回路42を介してローバッテリー障害連動信号又はセンサ障害連動信号を他の住警器10−12に送信して、これを有効受信した住警器の報知部36から障害連動先を示すローバッテリー障害警報又はセンサ障害警報を出力させる。
【0096】
もちろん、ローバッテリー障害やセンサ障害は、点検指示操作によらずビルトインテストでその障害を検知した時点で報知、連動信号送信するようにしても良い。
【0097】
ローバッテリー障害やセンサ障害以外にも、各種の回路故障や経年劣化等の障害を検知して同様の処理を行わせても良い。
【0098】
また警報制御部46は、CATVアダプタ100−1が他の住宅24−2のCATVアダプタ100−2からCATV伝送路経由で受信した火災連携連動信号を無線通信経路11bの無線通信プロトコルに変換し、これを住警器10−11,10−12へ向けて送信した火災連携連動信号を、無線通信部30のアンテナ31及び受信回路44を介して受信し、当該受信信号を解読して有効受信を検知した場合、連携連動により報知部36から他住戸火災警報を出力させる。
【0099】
なお、住警器10−11で有効受信された火災連携連動信号は必要に応じ同一警報システム内の他の住警器、この場合住警器10−12に対し火災連動信号として中継送信される。これは次に説明する火災復旧、警報停止、障害等についても同様であるが、説明を省略する。
【0100】
この住警器10−11,10−12による他住戸火災警報動作としては例えば「ウーウー 住戸Bの火災警報器が作動しました 確認してください」といった住戸24−2を特定した音声メッセージを繰り返し出力させると共に、LED22を点灯させて火災警報表示を行わせる。ここで、上述と同様に住戸Bの、どの住警器が火災を検知したかまで特定して報知することもできる。
【0101】
また警報制御部46は、無線通信部30のアンテナ31及び受信回路44を介してCATVアダプタ100−1から送信された他の住宅24−2のCATVアダプタ100−2からの火災復旧連携連動信号をCATV伝送路経由で受信し、当該受信信号を解読して有効受信を検知した場合、これを無線通信経路11bの通信プロトコルに変換した火災復旧連携連動信号を無線通信部30の送信回路42及びアンテナ31から住警器10−11,10−12に送信して、これを有効受信した住警器から出力されている他住戸火災警報を停止させる。
【0102】
また同様に、警報制御部46は、他の住宅24−2に設けたCATVアダプタ100−2、CATVアダプタ100−1を経由して、無線通信部30のアンテナ31及び受信回路44を介して警報停止連携連動信号を受信し、当該受信信号を解読して有効受信を検知した場合、連携連動により報知部36から出力している他住戸火災警報を停止させる。
【0103】
また同様に、警報制御部46は、他の住宅24−2に設けたCATVアダプタ100−2、CATVアダプタ100−1を経由して、無線通信部30のアンテナ31及び受信回路44を介して障害連携連動信号を受信し、当該受信信号を解読して有効受信を検知した場合、連携連動により報知部36から出力している他住戸障害警報を出力させる。
【0104】
図4は本発明で用いる上り下り変換装置の実施形態を示したブロック図である。図4において、上り下り変換装置300は、CATVアダプタ100から送信された上り周波数f1の上り連携連動信号を分離するセパレータ302と、セパレータ302により分離した周波数f1の上り連携連動信号を所定の発振周波数を用いて周波数変換する1次周波数変換器304と、1次周波数変換器304の周波数変換で生成された信号のうち所定の周波数の信号を通過させる帯域通過フィルタ310と、帯域通過フィルタ310を通過した信号を所定の発振周波数を用いて更に周波数変換する2次周波数変換器312と、2次周波数変換器312の周波数変換により生成された信号のうち低域の周波数帯域f2の信号を通過させる低域通過フィルタ318と、低域通過フィルタ318を通過した信号を下り連携連動信号としてヘッドエンドからの下り信号に混合する混合器320を備えている。
【0105】
1次周波数変換器304は混合器306と発振器308で構成され、また2次周波数変換器312は混合器314と発振器316で構成される。
【0106】
次に上り下り変換装置300の動作を説明する。セパレータ302は上り信号を周波数分離し、CATVアダプタ100から送信された周波数f1の上り連携連動信号を抽出する。1次周波数変換器304は、セパレータ302によって分離抽出した周波数帯域の信号、すなわちCATアダプタ100から送信された上り連携連動信号(周波数f1=45.75MHz)を例えば発振器308の発振周波数F1(=840MHz)により周波数変換する。この周波数変換により周波数がf11=F1 −f1 (=794.25MHz)とf12=F1+f1(=885.75MHz )となる2つの信号が出力される。
【0107】
ここで1次周波数変換器304にて用いる発振周波数F1は、テレビ共聴信号のために割り当てられている下り周波数帯域の範囲に入らないようにする。ちなみにテレビ共聴信号の下り周波数帯域としては、VHFについて90〜222MHz、UHFについて470 〜770MHzの帯域が割り当てられている。
【0108】
帯域通過フィルタ310は、1次周波数変換器304から出力された2つの信号のうち周波数f12の信号のみを通過させ、周波数f11の信号を遮断する。このため帯域通過フィルタ310に通過させることによって、周波数f12の信号が2次周波数変換器312に入力される。
【0109】
2次周波数変換器312は、帯域通過フィルタ310を通過した周波数f12の信号を発振器316による例えば発振周波数F2(=1270MHz )により周波数変換する。これにより周波数がf21=F2−f12(=384.25MHz )とf22=F2+f12(=2155.75MHz)となる2つの信号が出力される。ここで、2次周波数変換器312で用いられる発振周波数F2 もテレビ共聴信号の下り周波数帯域の範囲に入らないようにしてある。
【0110】
低域通過フィルタ318は、2次周波数変換器312から出力された2つの信号のうち周波数f21の信号のみを通過させ、周波数f22の信号を遮断する。ここでf21=f2とすると、2次周波数変換器312の出力を低域通過フィルタ318に通過させることによって周波数f2の信号が混合器320へ出力される。混合器320は、低域通過フィルタ318を通過した周波数f2の信号を、下り連携連動信号としてヘッドエンドからの下り信号に混合する。
【0111】
混合器320で混合する周波数f2(=384.25MHz )は、UHFの空きチャンネルとなる13チャンネルの映像周波数と一致しており、周波数f2の下り連携連動信号はCATVアダプタ100で受信復調され、連携連動信号として住警器に送信される。
【0112】
また混合器320により混合される下り連携連動信号の周波数f2は、CATVアダプタ100から送信する上り連携連動信号の周波数f1、1次周波数変換器304の発振周波数F1 及び2次周波数変換器312の発振周波数F2 を変えることで、任意に設定することができる。
【0113】
ここでCATVアダプタ100から送信された上り連携連動信号を1次周波数変換器304と帯域フィルタ310によって直接空きチャンネルの周波数に変換することも考えられるが、1次周波数変換器304の発振周波数がテレビに割り当てられている周波数帯域(90〜770MHz)になってしまいテレビ共聴信号に影響を与える場合がある。したがって、本実施形態においては、テレビに割り当てられている周波数帯域(90〜770MHz)よりも高い発振周波数を用いて周波数変換し、続いてテレビに割り当てられている周波数帯域(90〜770MHz)よりも高い別の発振周波数を用いて再度周波数変換することによって、他のテレビ共聴信号に対して影響を与えることなく、空きチャンネルに対応する周波数への割り当てを実現している。
【0114】
図5は本発明で用いるCATVアダプタ100−1の実施形態を示したブロック図である。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる。また各機能の任意の一部または全部は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであっても、ハードウェアによって実行されるものであっても良い。また、図4はCATVアダプタ100−1について示しているが、CATVアダプタ100−2も同様の構成を有する。
【0115】
CATVアダプタ100−1にはプロセッサ102が設けられ、プロセッサ102に対しては、住警器と通信する無線通信部104、CATV通信部106及び電源回路部108を設けている。電源回路部108は商用交流電源から所定の直流電源を生成して必要各部へ供給し、また、商用電源停電時には予備電源装置(図示省略)に切り替えて電源供給を維持する。もちろん、他の電源構成を用いても良い。なお、無線通信部104は請求項の警報器通信部に対応する。
【0116】
無線通信部110にはアンテナ114を接続した送信回路110と受信回路112が設けられ、住警器10の無線通信部30と同様、特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30またはSTD−T67に準拠した無線通信プロトコルに従って住警器との間で信号を送受信する。
【0117】
CATV通信部106はテレビ端子を介してCATV伝送路に接続され、CATV送信回路116、CATV受信回路118及び混合器120を設けている。CATV送信回路116はプロセッサ102から入力した連携連動信号を例えば周波数f1(=45.75MHz)の上り連携連動信号に変換(変調)し、混合器120を介してCATV伝送路に送信する。
【0118】
CATV受信回路118は図4の上り下り装置300で周波数変換して送信された周波数f2(=475.75MHz)の下り連携連動信号を受信復調してデジタルデータとしての連携連動信号をプロセッサ102に出力する。
【0119】
プロセッサ102にはプロトコル変換部122の機能が設けられ、無線通信部104のアンテナ114及び受信回路112を介して受信した住警器からの連携連動信号として受信した連動信号を解読して有効受信を検知した場合、受信した連動信号に基づき連携連動信号を生成して(プロトコル変換して)、CATV通信部106のCATV送信回路116に上り連携連動信号としての送信を指示する。
【0120】
プロトコル変換部122による連携連動信号の生成は、住警器における連動信号のフォーマットにおける事象符号
0001=火災
0011=警報停止
0100=復旧
0101=センサ障害
0110=ローバッテリー障害

0111=他住戸火災
1000=他住戸警報停止
1001=他住戸復旧
1010=他住戸センサ障害
1011=他住戸ローバッテリー障害
に変換しても良いし、事象符号はそのままで、グループ符号等を識別することで他住戸の事象であることが認識しても良い。
【0121】
また宛先アドレスとして、警報連携している他の住戸に設けたCATVアダプタのアドレスを指定する。このCATVアダプタのアドレスは、複数指定することが可能であり、このため2住戸のみならず、3住戸以上での警報連携を行うこともできる。
【0122】
また、プロトコル変換部122は、CATV通信部106のCATV受信回路118により受信した下り連携連動信号を解読して有効受信を検知した場合、宛先として自己を含まない連携連動信号を生成し、当該信号を、無線通信部104の送信回路110に指示して住警器へ送信させる。
【0123】
図6及び図7は図3の住警器10−11の処理の概略を例示したフローチャートである。なお、このフローチャートでは先に説明したACK信号の送受信とそれに伴う処理は省略している。
【0124】
図6において、住警器10−11の電池電源40による電源供給が開始されると、ステップS1で初期化、自己診断、各種設定の読み込み等を実行し、異常がなければステップS2に進み、火災検知の有無を判別している。ステップS1で初期化異常があった場合には再度ステップS1の処理を行い、所定回数繰り返して初期化異常となった場合には報知部36でその旨を報知して、動作を途中停止するようにしているが、図示を省略している。
【0125】
ステップS2において、センサ部34に設けた検煙部16から出力された煙検出信号が所定の火災レベルを超えると火災が検知されてステップS3に進み、連動元火災警報処理として、火災連動信号を生成して自己と同じグループに属する他の住警器(ここでは住警器10−12。以下同じ。)及びCATVアダプタ(ここではCATVアダプタ100−1。以下同じ。)へ送信すると共に報知部36のスピーカ50から音声メッセージ等による警報音とLED22の例えば点灯による警報表示とにより連動元を示す火災警報を出力する警報動作を行う。
【0126】
続いて、ステップS4で検煙部16からの煙検出信号が低下して火災検知状態が解消する火災復旧の有無を検知しており、火災復旧を検知するとステップS5に進み、火災復旧処理として、火災復旧連動信号を他の住警器10−12及びCATVアダプタ100−1へ送信すると共にステップS3で行った火災警報動作を停止する。ここで、LED22による警報表示は警報音の停止から所定時間経過後に消灯しても良い。
【0127】
続いてステップS6で警報停止スイッチ20の警報停止指示検知の有無を判別しており、スイッチ操作が警報停止指示入力として検知されるとステップS7に進み、警報停止処理として、警報停止連動信号を住警器10−12及びCATVアダプタ100−1へ送信すると共に、自己のスピーカ50からの連動元を示す警報音出力を停止し、LED22の点灯による警報表示を消灯する。この場合、LED22による警報表示は警報音の停止から所定時間経過後に消灯しても良い。
【0128】
続いてステップS8に進み、住警器10−12から送信または中継送信された火災連動信号の有効受信検知の有無を判別している。住警器の何れか(ここでは住警器10−12。以下同じ。)からの火災連動信号有効受信を検知すると、ステップS9に進み、連動先火災警報処理として、自己の報知部40のスピーカ50から音声メッセージ等による警報音を出力と、例えばLED22の点滅による警報表示とで連動先警報動作を行う。このとき、必要に応じて他の住警器への中継送信或いは再中継送信を行うが、説明を省略する。後述のステップS11、S13についても同様に省略する。
【0129】
次にステップS10で住警器10−12から送信または中継送信された火災復旧連動信号の有効受信検知の有無を判別しており、火災復旧連動信号の有効受信を検知すると、ステップS11に進み、連動火災復旧処理として、ステップS9で行った連動先警報動作を停止する。
【0130】
次に図7のステップS12に進み、住警器10−12から送信または中継送信された警報停止連動信号の有効受信検知の有無を判別しており、警報停止連動信号の有効受信を検知すると、ステップS13に進み、連動警報停止処理として、ステップS9で行った連動先警報動作を停止する。
【0131】
続いてステップS14に進み、CATVアダプタ100−1から送信された他の住宅の何れか(ここでは住宅24−2。以下同じ。)の警報器の何れか、(ここでは例えば警報器10−21。以下同じ。)の火災検知に基づく、他の住宅に設けたCATVアダプタの何れか(ここではCATVアダプタ100−2となる。以下同じ。)を経由した火災連携連動信号の有効受信検知の有無を判別しており、火災連携連動信号の有効受信を検知すると、ステップS15に進み、住戸間連携連動の火災警報処理(他住戸(他システム)警報動作)として、自己の報知部36のスピーカ50から音声メッセージ等による他住戸火災警報音を出力すると共に、例えばLED22の点滅による警報表示を行うと共に、必要に応じ住警器10−12に対して、CATVアダプタ100−1から受信した火災連携連動信号を中継送信するか、又は火災連動信号を生成して送信する。これとあわせてCATVアダプタ100−1に対し火災連携連動信号受信に伴うACK信号を返信するが、詳細な説明を省略する。
【0132】
続いてステップS16に進み、ステップS14で説明した火災連携連動信号の場合と同様にしてCATVアダプタ100−1から送信された住宅24−2の警報器の何れか(ここでは例えば住警器10−21。以下同じ。)の火災復旧検知に基づく火災復旧連携連動信号の有効受信検知の有無を判別しており、火災復旧連携連動信号の有効受信を検知するとステップS17に進み、住戸間連携連動の火災復旧処理として、ステップS15で行った他住戸警報動作を停止する。
【0133】
続いてステップS18に進み、ステップS14で説明した火災連携連動信号の場合と同様にしてCATVアダプタ100−2から送信された住宅24−2の警報器10−21の警報停止操作検知に基づく警報停止連携連動信号の有効受信検知の有無を判別しており、警報停止連携連動信号の有効受信を検知するとステップS19に進み、連携連動の警報停止処理として他住戸火災警報音を停止すると共に、例えばLED22の点滅による警報表示を停止する。あわせて、ステップS15同様に住宅24−1内の住警器10−12に対し当該住戸内での警報停止連動信号を送信して(或いは警報停止連携連動信号を中継送信して)、住警器10−12にも警報動作の停止処理を行わせる。
【0134】
続いてステップS20に進み、住警器10−11自身でローバッテリー障害またはセンサ障害を検知した場合、又は、他の住警器10−12からローバッテリー障害またはセンサ障害を示す障害連動信号の有効受信を検知した場合、ステップS21に進み、障害警報処理(障害警報動作)として、連動元又は連動先を示すローバッテリー障害警報またはセンサ障害警報を警報音と警報表示で行う。
【0135】
また、図示を省略しているが、ステップS14で説明した火災連携連動信号の場合と同様にしてCATVアダプタ100−1から送信された住宅24−2の警報器10−21の障害検知に基づく障害連携連動信号の有効受信検知の有無を判別した場合は、連携先障害警報動作として自己の報知部40のスピーカ50から音声メッセージ等による警報音を出力すると共に、例えばLED22の点滅による警報表示を行う。
【0136】
障害警報動作、連携先障害連携連動動作の復旧や停止については、火災復旧、警報停止の各処理と同様にして行うことができるが、図示及び説明を省略する。
【0137】
なお、上記の実施形態は2住宅に設置した警報システムの警報連携を例にとるものであったが、必要に応じて3住宅、4住宅というように適宜の数の住宅警報システムを連携させることができる。各住宅に配置する警報システムは、住宅毎に、1台の警報器からなるものであっても、3台以上の警報器を連動可能としたものであっても良い。警報システムの警報器が1台である場合には、当該警報器は他の警報器との連動機能を設けなくても良い。CATVアダプタについても、住宅(警報システム)毎に少なくとも1台設ければ良く、台数について他の限定は受けない。
【0138】
また上記の実施形態における警報システムは異状として火災を検知して警報する住警器で構成した警報システムを例にとるものであったが、住警器以外の火災警報器、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器、地震警報器(緊急地震放送受信機等)、その他任意の警報器を配置した警報システムやそれら各種の警報器を混在させて配置した警報システムについても同様に適用できる。更に、これらの警報器に加え中継装置や受信装置を含むシステムにも適用できる。
【0139】
また図3の住警器10−11にあっては、検煙部16を備え、火災に伴い発生する煙を観測して監視領域の火災を検知する煙式火災警報器を例に取っているが、これ以外に火災に伴う熱を検出するサーミスタ等の温度検知素子を備えた熱式火災警報器火災に伴うその他の環境変化を検知する火災警報器、火災以外にガス漏れを検知する警報器、侵入者や地震その他の異状を検知する各種の警報器、これらを組み合わせて成る警報器についても、本発明の対象に含まれる。
【0140】
また、上記実施形態で無線通信を例に取って説明した警報器の連動や各部の連携に係る通信は、必ずしも無線によるものでなくても良く、有線通信によっても、また有線と無線を適宜混在させるものであっても良い。このとき、各通信プロトコルはそれらに適合したものに代えれば良い。CATV伝送路の一部又は全部は、光ファイバ等を用いた光通信によるものでも良い。この場合は適宜のポイントに光電変換装置を設けることになる。もちろん、警報器までを含む全ての伝送路を光通信とすることも可能である。
【0141】
また、連携に係る通信は、一方の警報システムから他方の警報システム、或いは1の警報システムから他の警報システムへの一方向伝送としても良い。つまり、本発明は、少なくとも所定の警報システムで異状が検知された場合に、他の警報システムへ連携連動信号が送信されて、これに基づき当該他の警報システムで「他システム警報動作」が行われるようにすればよく、この逆方向の伝送による連携関係を必須としない。
【0142】
また上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定処理やその他の処理を挿入したりする等できる。
【0143】
また、上記実施の形態で示した各プロセッサは、その機能の一部又は全部を、例えばワイヤードロジック等による他の手段に代えることができる。プロセッサを含め他の電気的、機能的構成は適宜に統廃合することもできる。
【0144】
また、上記の実施形態は住宅(住戸)用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報システムと機器管理システムの連携にも適用できる。
【0145】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【0146】
また本発明は、警報システムが、それを構成する警報器が中継機能を持たず、所定の親器が子機を管理する所謂親器子器方式の場合にも適用できる。この場合は例えば、親器と通信可能にCATVアダプタを設ければ良い。
【符号の説明】
【0147】
10−11〜10−22:住警器
24−1,24−2:住宅
28,102:プロセッサ
30,104:無線通信部
32,114:アンテナ
34:センサ部
36:報知部
38:操作部
32:メモリ
40:電池電源
42,110:送信回路
44,112:受信回路
46:警報制御部
100−1,100−2:CATVアダプタ
102:制御部
104:警報器通信部
106:CATV通信部
116:CATV送信回路
118:CATV受信回路
120,320:混合器
122:プロトコル変換部
300:上り下り変換装置
302:セパレータ
304:1次周波数変換器
312:2次周波数変換器
306,314:乗算器
308,316:発振器
310:帯域通過フィルタ
318:低域通過フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異状を検知した場合に警報する警報器からなる複数の警報システムを、CATVアダプタを介してCATV伝送路に接続することにより前記複数の警報システム間で所定の通信を可能とし、連携させたことを特徴とする警報連携システム。
【請求項2】
請求項1記載の警報連携システムに於いて、前記複数の警報システム間での連携は、前記複数の警報システムのうち、任意の警報システムで異状が検知された場合に、当該警報システム以外の他の警報システムで警報することを特徴とする警報連携システム。
【請求項3】
請求項1記載の警報連携システムに於いて、前記CATV伝送路の所定位置に、警報システムからの上り信号を受けて変換処理し、下り信号として送出する上り下り変換装置を設けたことを特徴とする警報連携システム。
【請求項4】
請求項1記載の警報連携システムに於いて、前記警報システムの一部または全部は、複数の警報器を連動動作させることを特徴とする警報連携システム。
【請求項5】
請求項1記載の警報連携システムに於いて、前記警報器は同一の警報システム内に設けられた他の警報器と連動することを特徴とする警報連携システム。
【請求項6】
複数の警報システムに設けた異状を検知した場合に警報する警報器を、上り信号を下り信号に変換する上り下り変換装置を備えたCATV伝送路にCATVアダプタを介して接続することにより前記複数の警報システム間で所定の通信を可能とし、連携させたことを特徴とする警報連携方法。
【請求項7】
請求項6記載の警報連携方法に於いて、前記複数の警報システム間での連携は、前記複数の警報システムのうち、任意の警報システムで異状が検知された場合に、当該警報システム以外の他の警報システムで警報することを特徴とする警報連携方法。
【請求項8】
請求項6記載の警報連携方法に於いて、前記CATV伝送路は、ヘッドエンド側となる前記ツリー構造の頂点又はその上流に、前記上り下り変換装置を設けたことを特徴とする警報連携方法。
【請求項9】
請求項6記載の警報連携方法に於いて、前記複数の警報システムの少なくとも1つは、他の警報システムとは異なる所在地に設けられることを特徴とする警報連携方法。
【請求項10】
請求項6記載の警報連携方法に於いて、前記複数の警報システムの少なくとも1つは、他の警報システムとは異なる住戸に設けられることを特徴とする警報連携方法。
【請求項11】
異状を検知した場合に警報する警報器を備えた複数の警報システムを、CATVアダプタを介して接続したツリー構造をとるCATV伝送路を経由して連携させる警報連携システムに於いて、
前記CATV伝送路は、前記ツリー構造の頂点又はその上流側に、前記CATVアダプタから送信された上り信号を下り信号に変換して送信する上り下り変換装置を設け、
前記警報器は、
異状を検知した場合に、連動元を示す異状警報を出力すると共に同じ警報システム内の他の警報器及び前記CATVアダプタに異状連動信号を送信し、一方、同じ警報システム内の他の警報器から異状連動信号の受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を出力させ、更に、前記CATVアダプタから送信された異状連携連動信号の受信を検知した場合に、連携先警報システムの異状を示す異状警報を出力する警報制御部を備え、
前記CATVアダプタは、
前記警報器から送信された異状連動信号の受信を検知した場合に、当該異状連動信号を上り異状連携連動信号に変換して前記CATV伝送路に送信し、一方、他の警報システムのCATVアダプタから送信されて前記上り下り変換装置で変換された下り異状連携連動信号の受信を検知した場合、当該下り異状連携連動信号を異状連携連動信号に変換して同じ警報システム内の前記警報器に送信するプロトコル変換部を備えたことを特徴とする警報連携システム。
【請求項12】
異状を検知した場合に警報する警報器を備えた複数の警報システムを、CATVアダプタを介して接続したツリー構造をとるCATV伝送路を経由して連携させる警報連携方法に於いて、
前記CATV伝送路におけるツリー構造の頂点又はその上流側に上り下り変換装置を設けて、前記CATVアダプタから送信された上り信号を下り信号に変換して送信し、
前記警報器は、
警報制御部により、異状を検知した場合に、連動元を示す異状警報を出力すると共に同じ警報システム内の他の警報器及び前記CATVアダプタに異状連動信号を送信し、一方、同じ警報システム内の他の警報器から異状連動信号の受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を出力させ、更に、前記CATVアダプタから送信された異状連携連動信号の受信を検知した場合に、連携先警報システムの異状を示す異状警報を出力し、
前記CATVアダプタは、プロトコル変換部により、前記警報器から送信された異状連動信号の受信を検知した場合に、当該異状連動信号を上り異状連携連動信号に変換して前記CATV伝送路に送信し、一方、他の警報システムのCATVアダプタから送信されて前記上り下り変換装置で変換された下り異状連携連動信号の受信を検知した場合、当該下り異状連携連動信号を異状連携連動信号に変換して同じ警報システム内の前記警報器に送信する、
ことを特徴とする警報連携方法。
【請求項13】
CATVアダプタを介してCATV伝送路に接続され、前記CATVアダプタから送信された上り信号を前記ツリー構造の頂点またはその上流に配置した上り下り変換装置により下り信号に変換して他のCATVアダプタに送信し、前記CATV伝送路を経由して連携する複数の警報システムに設けた警報器に於いて、
異状を検知した場合に、連動元を示す異状警報を出力すると共に同じ警報システム内の他の警報器及び前記CATVアダプタに異状連動信号を送信し、一方、同じ警報システム内の他の警報器から異状連動信号の受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を出力させ、更に、前記CATVアダプタから送信された異状連携連動信号の受信を検知した場合に、連携先警報システムの異状を示す異状警報を出力する警報制御部を備えことを特徴とする警報器。
【請求項14】
ツリー構造の伝送路の所定位置に配置した上り下り変換装置により上り信号を下り信号に変換して送信するCATV伝送路に接続され、前記CATV伝送路を経由して複数の警報システムに設けた警報器を連携させるCATVアダプタに於いて、
警報器との間で信号を送受信する警報器通信部と、
前記CATV伝送路との間で信号を送受信するCATV通信部と、
前記警報器通信部による警報器から送信された連携連動信号の受信を検知した場合に、当該連携連動信号を上り連携連動信号に変換して前記CATV通信部から前記CATV伝送路へ送信し、一方、前記CATV通信部による前記他の警報システムのCATVアダプタから送信されて前記上り下り変換装置で変換された下り連携連動信号の受信を検知した場合、当該下り連携連動信号を連携連動信号に変換して前記警報器通信部から同じ警報システム内の前記警報器へ送信するプロトコル変換部と、
を備えたことを特徴とするCATVアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−92968(P2013−92968A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235862(P2011−235862)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】