説明

警報連携システム、警報連携方法、電力スマートメータ及び警報器

【課題】火災等の異状を検知して警報する警報システムと、需要者の電力使用量の自動検針や制御等を行う電力スマートグリッドシステムを、それぞれの機能を損なうことなく連携して相互に機能を拡張可能とする。
【解決手段】警報システムは、住警器10−1〜10−5により火災等の異状を検知した場合に警報する。電力スマートグリッドシステムは、通信機能を備えた電力メータである電力スマートメータ100で測定した需要者の使用電力量をインターネット300上の電力会社サーバ400に送信して処理させる。住警器10−1で火災を検知した場合に電力スマートメータ100及びインターネット300を経由して電力会社サーバ400に火災連携信号を送信して処理させ、当該処理結果を利用者端末となる携帯電話700に送信して火災警報を出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭等に設置された複数の無線連動型警報器による警報システムと電力スマートメータにより需要者の電力使用量を自動検針する電力スマートグリッドシステムとを連携させる警報連携システム、警報連携方法、電力スマートメータ及び警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における火災やガス漏れなどの異状を検知して警報する警報器が普及している。このうち、住宅用火災警報器を住警器と言う。
【0003】
例えばこのような住警器にあっては、住警器内にセンサ部と警報部を一体に備え、センサ部の検出信号から火災を検知すると警報部から所定パターンの火災警報を出力するようにしており、専用の受信設備等を必要とせず住警器単体で火災監視と警報ができることから、設置が簡単でコスト的にも安価であり、一般住宅での設置義務化に伴い広く普及している。
【0004】
また、複数の住警器間で通信を行うことによって、任意の住警器で火災警報が出力されると、他の住警器でも連動して火災警報を出力させる連動型の警報システムも提案されている。
【0005】
このような連動型の警報システムでは、住警器で火災を検知した場合、当該火災を検知した連動元の住警器は、警報音とメッセージを含む所定パターンの火災警報音、例えば「ウーウー火災警報器が作動しました 確認してください」を出力し、一方、連動先の警報器では例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった火災警報音を出力するようにしている。
【0006】
一方、近年にあっては、通信機能を備えた電力メータとして知られた電力スマートメータにより、電力会社のサーバにより電力スマートメータで測定した需要者の使用電力を収集する自動検針を行い、また家電機器と近距離無線ネットワーク等により繋がって電力使用量を管理したり制御したりすることを可能とした電力スマートグリッドシステムの構築が広く検討されている。
【0007】
また、家庭における電力エネルギー消費の抑制を課題として、冷蔵庫、エアコン、テレビといった家電機器をネットワークで結ぶことによって電力エネルギーの消費を節減する管理システムとしてHEMS(Home Enaergy Management System)の開発も推し進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−020663号公報
【特許文献2】特開2009−259125号公報
【特許文献3】特開2010−128810号公報
【特許文献4】特開2011−015521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、このような従来の連動型住警器を無線回線で結んだ警報システムと自動検針や省エネルギーを課題とした電力スマートグリッドシステムは、背景と目的が異なることから、それぞれ別々のシステムとして開発が推し進められてきた。特に、火災を検知して警報する警報システムにあっては、法的な設置の義務化に伴い様々なシステムが開発され普及が始まっている。
【0010】
このため、近い将来、家庭という同じ環境の中に、無線ネットワークを利用した警報システムと電力スマートメータを利用した電力スマートグリッドシステムが別々に存在して機能することになる。このため警報システムと電力スマートグリッドシステムについて例えば無線による家庭内での近距離ネットワークを共通にするといったような統合化が考えられる。しかし、両者の背景および目的が大きく相違し、また製品規格もそれぞれ固有のものがあり、統合化するためには工夫を要する。
【0011】
本発明は、火災等の異状を検知して警報する警報システムと、需要者の電力使用量の自動検針や制御等を行う電力スマートグリッドシステムを、それぞれの機能を損なうことなく連携して相互に機能を拡張可能とする警報連携システム、警報連携方法、電力スマートメータ及び警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(警報連携システム)
本発明は、警報連携システムに於いて、
異状を検知した場合に警報する警報器を設けた警報システムと、
通信機能を備えた電力メータである電力スマートメータで検知した機器の使用電力をネットワーク上のサーバに送信して処理させる電力スマートグリッドシステムと、
を設け、
警報器で異状を検知した場合に電力スマートグリッドシステムのネットワークを経由してサーバに異状検知信号を送信して処理させることを特徴とする。
【0013】
ここで、サーバは、異状検知信号の受信に基づく処理結果を、利用者端末に送信して異状警報を出力させる。警報システムの一部または全部は、複数の警報器を連動動作させる。
【0014】
警報器は、異状を検知した場合に、連動元を示す異状警報を出力すると共に所定の第1通信プロトコルに従って異状連動信号を他の警報器及び電力スマートメータへ送信し、一方、他の警報器からの第1通信プロトコルに従った異状連動信号受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を出力し、
電力スマートメータは、サーバからの検針要求信号の受信を検知した場合に、測定した電力使用量を第1通信プロトコルとは異なる所定の第2通信プロトコルに従ってネットワーク上のサーバに送信し、警報器から第1通信プロトコルに従った異状信号受信を検知した場合に、第2通信プロトコルに従った異状連携信号に変換してサーバへ送信し、
サーバは、電力スマートメータからの第2通信プロトコルに従った異状連携信号受信を検知した場合に、当該異状連携信号を処理して処理結果を利用者端末に伝送して異状警報を出力させる。
【0015】
電力スマートメータは、
警報器との間で第1通信プロトコルに従った信号を送受信する第1通信部と、
サーバとの間で第2通信プロトコルに従った信号を送受信する第2通信部と、
サーバからの第2通信プロトコルに従った検針要求信号の受信を検知した場合に、機器の使用電力を示す検針応答信号をサーバへ送信するメータ制御部と、
警報器から第1通信プロトコルに従った異状連動信号の受信を検知した場合に、当該異状連動信号を第2通信プロトコルに従った異状連携信号に変換してサーバへ送信して処理させ、当該処理結果を利用者端末へ伝送して異状警報を出力させる連携制御部と、
を備える。
【0016】
電力スマートメータの連携制御部は、警報器の異状復旧、警報停止又は障害を示す第1通信プロトコルに従った連動信号の受信を検知した場合、当該連動信号を第2通信プロトコルに従った異状復旧、警報停止又は障害を示す連携信号に変換してサーバへ送信して処理させ、当該処理結果を利用者端末へ伝送して異状警報に反映させる。
【0017】
電力スマートメータの連携制御部は、警報器から火災、ガス漏れ又は盗難を示す連動信号の受信を検知した場合に、当該連動信号を第2通信プロトコルに従った火災、ガス漏れ又は盗難を示す連携信号に変換してサーバへ送信する。
【0018】
警報器は、
第1通信プロトコルに従った信号を送受信する第1通信部と、
異状を検知した場合に、連動元を示す異状警報を出力すると共に第1通信プロトコルに従って異状連動信号を他の警報器及び電力スマートメータへ送信し、一方、他の警報器からの異状連動信号受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を出力する警報制御部と、
を備える。
【0019】
警報器の警報制御部は、警報器自身の異状復旧又は警報停止を検知した場合、連動元を示す異状警報を停止すると共に、第1通信プロトコルに従った異状復旧連動信号または警報停止連動信号を他の警報器及び電力スマートメータへ送信し、他の警報器からの第1通信プロトコルに従った異状復旧連動信号または警報停止連動信号の受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を停止する。
【0020】
警報器は、異状として火災、ガス漏れ又は盗難を検知して警報する。
【0021】
(警報連携方法)
本発明は、異状を検知した場合に警報する警報器を設けた警報システムを、通信機能を備えた電力メータである電力スマートメータにより検知した機器の使用電力をネットワーク上のサーバに送信して処理させる電力スマートグリッドシステムに連携して警報する警報連携方法に於いて、
警報器で異状を検知した場合に、電力スマートグリッドシステムのネットワークを経由して前記サーバに異状検知信号を送信して処理させることを特徴とする。
【0022】
本発明による警報連携方法の他の特徴は、前述した警報連携システムの場合と基本的に同じになる。
【0023】
(電力スマートメータ)
本発明は、異状を検知した場合に警報する警報器と連携し、機器の使用電力を検知してネットワーク上のサーバに送信して処理させる通信機能を備えた電力スマートメータに於いて、
警報器との間で所定の第1通信プロトコルに従った信号を送受信する第1通信部と、
サーバとの間で第1通信プロトコルとは異なる所定の第2通信プロトコルに従った信号を送受信する第2通信部と、
サーバからの第2通信プロトコルに従った検針要求信号の受信を検知した場合に、機器の使用電力を示す検針応答信号を前記サーバへ送信するメータ制御部と、
警報器からの第1通信プロトコルに従った異状連動信号の受信を検知した場合に、当該異状連動信号を第2通信プロトコルに従った異状連携信号に変換してサーバへ送信して処理させ、当該処理結果を利用者端末へ伝送して異状警報を出力させる連携制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0024】
本発明による電力スマートメータの他の特徴は、前述した警報連携システムにおける電力スマートメータの場合と基本的に同じになる。
【0025】
(警報器)
本発明は、通信機能を備えた電力メータである電力スマートメータで検知した機器の使用電力をネットワーク上のサーバに送信して処理させる電力スマートグリッドシステムに設けた警報器に於いて、
所定の第1通信プロトコルに従った信号を送受信する第1通信部と、
異状を検知した場合に、連動元を示す異状警報を出力すると共に他の警報器に第1通信プロトコルに従って異状連動信号を他の警報器及び電力スマートメータへ送信し、一方、他の警報器からの異状連動信号受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を出力する警報制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0026】
本発明による警報器の他の特徴は、前述した警報連携システムにおける警報器の場合と基本的に同じになる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、住宅等の警報システムに設けた住警器等の警報器が火災等所定の異状を検知すると、警報器自身で火災警報を出力すると共に第1通信プロトコルに従って他の警報器に火災連動信号を送信して火災警報を出力させ、更に、需要者における電気機器の使用電力を自動検針する電力スマートグリッドシステムに設けた電力スマートメータで、警報器からの火災連動信号を第2通信プロトコルに従った火災連携信号に変換してネットワーク上のサーバに送信して処理し、サーバから利用者端末である例えば携帯電話に火災情報を伝送して警報表示するようにしたため、電力スマートメータを備えた電力スマートグリッドシステムを活用して警報システムの機能拡張が実現され、例えば利用者が外出中であっても、外出先で警報器の作動を知って適切に対応することができる。
【0028】
一方、家電機器の使用電力の自動検針等を行っている電力スマートグリッドシステムにあっては、警報システムとの連携により火災を検知して警報するという新たな機能を追加することができ、このような機能拡張により電力スマートグリッドシステムとして提供できるサービスが充実し、サービス利用者の利便性を向上すると共に、サービス利用者の加入拡大効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】住宅に設置された警報システムと電力スマートグリッドを連携させた本発明による警報連携システムの概略構成を示した説明図
【図2】本発明で用いる住警器の外観を示した説明図
【図3】図1の携帯電話に表示される火災警報画面を示した説明図
【図4】本発明で用いる住警器の実施形態を示したブロック図
【図5】本発明で用いる電力スマートメータの実施形態を示したブロック図
【図6】図4の住警器による処理の概略を例示したフローチャート
【図7】図5の電力スマートメータによる処理の概略を例示したフローチャート
【図8】図1の電力会社サーバによる処理の概略を例示したフローチャート
【図9】電力スマートグリッドシステムの広域通信網として携帯電話網と公衆無線LAN網を用いた本発明による警報連携システムの概略構成を示した説明図
【図10】図9のシステムで用いる電力スマートメータの実施形態を示したブロック図
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は住宅等に設置された警報システムと電気機器の電力使用量の検針等を行う電力スマートグリッドシステムを連携させた本発明による警報連携システムの概略構成を示した説明図である。
【0031】
図1の例にあっては、住宅24に設けられている台所、居間、子供部屋、主寝室、階段室等、(それぞれの警戒エリア(監視領域)に、火災を検知して連動警報する無線連動型の住警器(住宅用火災警報器)10−1〜10−5を設置し、これら無線連動型の住警器10−1〜10−5が警報システムを構築している。
【0032】
以下、住警器10−1〜10−5をそれぞれ区別せず総称する場合は住警器10という。
【0033】
また、警報システム内で警報器同士が連動する場合を「連動」といい、また異なるシステム同士の機器が連動する場合を「連携」という。
【0034】
また、警報システム内で警報器同士が送受信する信号を「連動信号」といい、異なるシステムの機器同士で送受信する信号を「連携信号」という。前者の連動信号には、火災連動信号、火災復旧連動信号、警報停止連動信号、障害連動信号等があり、後者の連携信号には火災連携信号、火災復旧連携信号、警報停止連携信号、障害連携信号等がある。
【0035】
住警器10は、連動信号を無線により相互に送受信する機能を備え、住宅各所の、それぞれ対応する監視領域について火災発生の有無を監視している。いま住宅24の台所で万一、火災が発生したとすると、住警器10−1が火災を検知して警報を開始する。この火災を検知して警報を開始することを、住警器における「発報」という。
【0036】
住警器10−1が発報するとき、住警器10−1は連動元として機能し、連動先となる他の住警器10−2〜10−5に対し、火災連動信号を無線送信する。他の住警器10−2〜10−5は、連動元の住警器10−1からの火災連動信号を有効受信した場合に、警報音と警報表示により連動先としての警報動作を行う。
【0037】
ここで、住警器10は、受信した連動信号に含まれるグループ符号がメモリに登録しているグループ符号に一致し、且つ信号内容を正常認識したときに、この連動信号を有効受信したことを検知するようにしている。さらに、連動信号を有効受信した住警器10は必要に応じて連動信号の中継送信を行う。
【0038】
連動元となった住警器10−1の警報動作としては、例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる火災警報音を出力する。一方、連動先の住警器10−2〜10−5にあっては、「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる火災警報音を出力する。
【0039】
また連動元となった住警器10−1の火災警報に伴う警報表示としては、例えばLEDを点灯する。一方、連動先の住警器10−2〜10−5にあっては、LEDを点滅する。これによって、連動元警報と連動先警報におけるLEDによる警報表示を区別できるようにしている。
【0040】
住警器10は、火災を検知した場合、所定の第1通信プロトコルに従って火災連動信号を他の住警器に送信する。また住警器10は、他の住警器から第1通信プロトコルに従って送信された火災連動信号を受信する。
【0041】
本実施形態の住警器10における第1通信プロトコルによる送受信(第1通信部による送受信)は、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠する。もちろん日本国内以外で使用する場合は、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。特定小電力無線局に準拠した住警器10の送信電力は、STD−30の場合は10mW以下であり、STD−T67の場合は10mW以下または1mW以下であり、見通し通信距離は概ね100メートル以上となる。
【0042】
図2は本発明で使用する無線連動型の煙式住警器の外観を示した説明図であり、図2(A)に正面図を、図2(B)に側面図を示している。なお、取付フック15を設けているほうを上側とする。
【0043】
図2において、本実施形態の住警器10の筐体はカバー12と本体14で構成されている。カバー12の中央には突出部を設け、突出部の周囲に複数の煙流入口を開口し、その内部には検煙部16が配置され、火災に伴う煙が検煙部16に流入して所定濃度に達したときに後述する警報制御部で火災を検知するようにしている。検煙部16としては、散乱光式の煙検知器等の検煙機構が適用できる。
【0044】
カバー12の左下側には複数の音響孔18が設けられ、この背後にブザーやスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。カバー12の下側には警報停止スイッチ20が設けられている。
【0045】
警報停止スイッチ20は、半透明部材で形成されたスイッチカバーを押圧操作すると、内蔵のプッシュスイッチ(図示せず)が押圧されるようになっている。スイッチカバー内部のプッシュスイッチ近傍には、警報等の表示を行うLED22が配置されている。
【0046】
警報停止スイッチ20は外部から住警器10の機能の自己点検実施を指示する点検スイッチとしての機能を兼ねている。例えば、火災警報出力中に警報停止スイッチ20が操作されると火災警報を停止し、通常状態で警報停止スイッチ20が操作されると所定の機能について自己点検を実施し、LED22やスピーカ等により結果を報知する。ここで通常状態とは、少なくとも火災警報出力中または障害警報出力中でない状態を指す。
【0047】
また本体14の裏側上部にはその略中央部に挿通孔を有する取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁にビスなどをねじ込み、この取付フック15の挿通孔にビスを通して引っかけることで、壁面に住警器10を所謂壁掛け状に固定設置することができる。
【0048】
再び図1を参照するに、住宅24には電気機器の使用電力を測定して自動検針する電力スマートグリッドシステムを構築するための端末機器として、電力スマートメータ100を設置している。電力スマートメータ100は通信機能を備えた電力メータであり、本実施形態にあっては、広域通信機能(第2通信部の機能)としてゲートウェイ機能が設けられ、インターネット300を経由して電力会社サーバ400との間で信号を送受信する。電力スマートメータ100のゲートウェイ機能は、電力会社サーバ400との間で、本実施形態の第2通信プロトコルとなるTCP/IPとして知られたインターネット通信プロトコルに従って信号を送受信する(第2通信部による送受信)。
【0049】
即ち電力会社サーバ400はインターネット通信プロトコルに従ったIP信号(インターネットプロトコル信号)を送信し、これを電力スマートメータ100で受信してTCP信号(転送プロトコル信号)に変換して処理する。また電力スマートメータ100はTCP信号をインターネット通信プロトコルに従ったIP信号に変換して電力会社サーバ400に送信する。
【0050】
このような電力スマートメータ100のゲートウェイ機能によるインターネット300との接続は、周知のようにインターネットサービスプロバイダ(ISP)の保有するサーバによる接続サービスを利用する。
【0051】
電力スマートメータ100は住宅24に設けた分電盤200に対する商用交流引込線の1次側に配置され、分電盤200から、電力需要者である家庭(住宅24)に設置している冷蔵202、テレビ204及びエアコン206といった電気機器に供給する電力使用量を測定し、電力会社サーバ400から検針要求信号を受けた場合、測定している使用電力量を示す検針応答信号を送信する。
【0052】
また本実施形態の電力スマートメータ100には住宅24に設けた警報システムを構築する住警器10との間で前述した400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格となる第1通信プロトコルに従って信号を送受信する近距離無線通信機能(第1通信部の機能)が設けられている。
【0053】
電力会社サーバ400にはアプリケーションとして検針管理部402の機能を設けており、電力スマートメータ100に対し定期的に検針要求信号を送信し、これに対し送られてきた検針応答信号から住宅24の単位時間当りの電力使用量や期間を指定した総電力使用量等を求め、図示しない電力会社の集計センタに送信して課金処理を行うようにしている。
【0054】
また検針管理部402は集計した電力使用量を例えば携帯電話700等の利用者端末に対し携帯電話網500及び携帯電話基地極600を介して送信し、当該利用者端末を介して住宅24の電力使用量を利用者が閲覧管理できるような電力管理サービスを提供することもできる。
【0055】
このような自動検針や電力管理サービスを提供するため、電力会社サーバ400にはデータベース406が設けられ、データベース406には例えば住宅を特定する住宅IDをインデックスとして、電力スマートメータ100のIPアドレス、利用者の保有する携帯電話28の電話番号、利用者情報、使用電力情報等の必要情報を格納している。住宅IDとしては例えば電力スマートメータ100に割当てられた電力メータ番号や顧客番号等を利用する。
【0056】
更に電力会社サーバ400には、住宅24に設けた警報システムの住警器10と連携するため異状監視部404の機能を設けている。例えば住警器10−1自身で火災を検知して連動元を示す火災警報を出力した場合、第1通信プロトコルに従った火災連動信号を電力スマートメータ100へ送信し、電力スマートメータ100はゲートウェイ機能により、当該火災連動信号を第2通信プロトコルとなるインターネット通信プロトコルに従って火災連携信号に変換して電力会社サーバ400に送信する。
【0057】
電力会社サーバ400は警報監視部404の機能により火災連携信号を処理し、処理結果を携帯電話網500及び携帯電話基地局600を経由して利用者の携帯電話700に伝送する。そして、これを受け携帯端末700は火災警報を出力する。携帯電話700における火災警報の出力は、表示画面出力やスピーカからの発音出力等、適宜の形態で行うことができる。
【0058】
また住警器10−1で火災を検知した後に、警報停止スイッチ20による火災復旧または警報停止操作を検知した場合は、第1通信プロトコルに従った火災復旧連動信号または警報停止連動信号を電力スマートメータ100送信し、第2通信プロトコルとしてのインターネット通信プロトコルに従った火災復旧連携信号または警報停止連携信号に変換して電力会社サーバ400に送り、警報監視部404で処理後、処理結果を携帯電話網500及び携帯電話基地局600を経由して携帯電話700へ送信し、携帯電話700の警報画面702(後述)に警報停止や火災復旧を表示させて火災警報を解除させる。
【0059】
携帯電話700での火災警報解除動作は、火災警報出力同様に解除の旨を出力するか、或いは単に火災警報出力を停止する等、適宜の動作とすることができる。なお、住警器10−1は火災、火災復旧、警報停止操作を検知した場合に送信した第1通信プロトコルに従った火災連動信号、火災復旧連動信号または警報停止連動信号は他の住警器10−2〜10−5でも受信され、連動先を示す火災警報動作、火災復旧動作、または警報停止動作が行われる。
【0060】
なお、住警器10−1は他の住警器から第1通信プロトコルにより送信される火災や火災復旧、警報停止操作を示す連動信号有効受信を検知した場合には、必要に応じ、第1通信プロトコルにより別の住警器に対して対応連動信号を中継送信する。
【0061】
また、第1通信プロトコルによる住警器10相互間の連動信号や中継連動信号、住警器10−1から電力スマートメータ100への連動信号、電力スマートメータ100から電力会社サーバ400、携帯電話基地局600、携帯電話700への信号は、説明の簡単のため通信プロトコル以外には特に区別していないが、一連の連動に伴う信号の内容(例えばひとつの火災検知に伴う火災発生の旨)につき、各通信区間で必要となる情報(例えばその火災発生の旨等)が各通信規格やプロトコルに適合する形式で含まれていれば必ずしも同一の内容である必要は無く、それぞれに適宜異なる内容のものであっても良いことはもちろんである。これは、後述のように伝送方向が逆向きとなる場合、即ち携帯電話700側から警報システム側への伝送を行う場合にも同様である。
【0062】
ここで、図1における各プロトコルによる通信経路を整理すると、例えば台所に設置した住警器10−1を中心に見ると、住警器10−1と他の住警器10−2〜10−5の間は第1通信プロトコルに従った通信経路11aとなり、住警器10−1と電力スマートメータ10との間も第1通信プロトコルに従った通信経路11aとなり、電力スマートメータ100とインターネット300を経由した電力会社サーバ400との間はインターネット通信プロトコルに従った通信経路11bとなる。なお図示を省略しているが、住警器10−1〜10−5の間には直接または間接(中継)による第1通信プロトコルに従った通信経路11aが形成される。
【0063】
図3は図1の携帯電話に表示される火災警報画面の一例を示した説明図である。図3において、携帯電話700は、電力スマートメータ100からの火災連携信号の受信に基づいて電力会社サーバ400で生成送信された火災警報信号の受信を検知した場合に、警報画面702を表示させると共に火災警報音を出力させる。警報画面702には例えば「台所の火災警報器が作動しました 確認してください」といった警報メッセージが設置場所と共に表示される。
【0064】
また警報メッセージの下には操作部位として確認釦704、119自動ダイヤル釦706、110自動ダイヤル釦708及び警報停止釦720が表示され、画面上には透明なタッチパネルが配置されていることから、各釦表示に対応して必要な操作を行なうことができる。
【0065】
例えば確認釦704を操作(タッチ操作)すると確認信号が携帯電話基地局600及び携帯電話網500を経由して電力会社サーバ400に送信され、利用者に火災警報が通知されたことを認識可能とする。また119自動ダイヤル釦706、110自動ダイヤル釦708を操作することで、必要に応じて消防機関や警察機関との通話接続を可能とする。これ以外に例えば予め割当登録された自宅や近隣の知人等の電話番号への自動ダイヤルを選択操作可能とする自動ダイヤル釦等を設けても良い。
【0066】
更に、状況確認後に住宅24での火災警報を停止させる場合には警報停止釦710を操作する。警報停止釦710を操作すると、携帯電話700から携帯電話基地局600及び携帯電話網500を経由して警報停止連携制御信号が電力会社サーバ400に送信され、更にインターネット300から電力スマートメータ100を経由して火災を検知していた住警器10−1へ送信され、連動元警報を停止させる。また住警器10−1は電力スマートメータ100からの警報停止連携制御信号を受信すると、他の住警器10−2〜10−5に対して、警報停止連携制御信号を送信し、連動先警報を停止させることができる。
【0067】
このように携帯電話700による火災警報出力は、主には図1の電力会社サーバ400に示した警報監視部404の機能により制御される。警報監視部404は加入者のサービス申し込みに基づいて有効に機能し、電力管理部402が使用するデータベース406に警報監視に必要な情報として、住宅24に設置している住警器10−1〜10−5の識別符号に対応して設置場所を示す情報を予め登録している。
【0068】
このため電力スマートメータ100を経由して住警器10からの火災連動信号を電力会社サーバ400で受信した場合、住警器識別符号によりデータベース406を参照して住警器10の設置場所の情報を取得し、例えば図3に示したように、住警器の設置場所を示す警報表示を可能とする。
【0069】
もちろん、このように電力会社サーバ400に設けたデータベース406や警報監視部404が持つ機能構成の任意の一部または全部を携帯電話700側に設けても良い。また、データベース406を電力会社サーバ400側に設ける場合には、上記住警器識別符号等の登録を、携帯電話700や別のパーソナルコンピュータ等からインターネット300経由で電力会社サーバ400のユーザ用ホームページ等へアクセスして行うようにしても良い。
【0070】
図4は本発明で用いる住警器の要部構成を示したブロック図である。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる。また各機能のそれぞれの一部または全部は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであっても、ハードウェアによって実行されるものであっても良い。また図4では、台所に設置した住警器10−1について示しているが、他の住警器10−2〜10−5についても同様の構成となる。
【0071】
図4において、住警器10−1はワンチップCPUとして知られたプロセッサ28を備え、プロセッサ28に対しては第1通信プロトコルの送受信を行う第1通信部30、センサ部34、報知部36、操作部38、メモリ40及び電池電源42を設けている。
【0072】
第1通信部30にはアンテナ32を接続した第1送信回路44と第1受信回路46が設けられている。第1通信部30はこのアンテナ32を介して他の住警器10−2〜10−5及び電力スマートメータ100との間で、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に準拠した第1通信プロトコルに従って火災、火災復旧、警報停止、障害などの各種の連動信号を送受信する。
【0073】
第1通信プロトコルによる連動信号の送信は、所定時間T1、例えばT1=3秒に亘り連動信号を送信する動作を、所定時間T2、例えばT2=2秒の休止時間を空けて例えば4回繰り返している。このT1=3秒送信、T=2秒休止は特定小電力無線局の標準規格に準拠したものである。またT1=3秒の送信動作は、その内の最初から例えば2.8秒はダミー信号の送信であり、残り0.2秒の時間に連動信号の反復送信を行う。
【0074】
また、第1通信プロトコルによる受信は、他の住警器10−2〜10−5からの連動信号を間欠受信して解読する。間欠受信は、所定周期T3毎に、例えばT3=7秒毎に受信可能時間T4、例えばT4=100ミリ秒のあいだ受信動作を繰り返しており、受信可能時間T4の間に送信ダミー信号をキャリアセンスにより検知すると所定時間のあいだ連続受信に切替えてダミー信号に続く連動信号を受信して解読する。
【0075】
なお、受信した信号はプロセッサ28に設けた警報制御部48で解読される。以下、この解読までを含めて受信と呼ぶことがある。また特に、解読の結果有効な信号と判定されることを区別して表す場合には有効受信と呼ぶ。更に、後の説明で明らかにする電力スマートメータ100の場合はプロセッサ106で解読する。
【0076】
また第1通信プロトコルでは、火災又は火災以外の事象を検知して連動信号を送信した場合、他の住警器10−2〜10−5及び電力スマートメータ100から連動信号を正常に受信したことを示す確認応答信号(以下「ACK信号」と云う)が有効受信されるか否か監視している。
【0077】
他の住警器10−2〜10−5及び電力スマートメータ100のうち、ACK信号が受信されないものを検知した場合、住警器10−1はACK信号が受信された他の住警器または電力スマートメータに対し中継要求有り連動信号を送信し、中継要求有りの連動信号を受信した住警器または電力スマートメータからAKC信号未応答の住警器へ中継要求有りの連動信号を中継送信させる。中継要求有りの連動信号を中継受信したAKC信号未応答の住警器または電力スマートメータは中継要求有りの連動信号に対しACK信号を返信し、このACK信号が他の住警器の中継(返信の中継)を経て連動元の住警器10−1で受信される。これによってもACK信号が受信されない住警器または電力スマートメータがある場合には、通信障害等と判定し、所定の報知処理や連動処理、後述する連携処理等を行う。
【0078】
第1通信プロトコルで送受信する信号は、連番、送信元識別符号、グループ符号及び事象符号を含むフォーマットで構成されている。連番は住警器毎に独立して生成される符号であり、連動信号の生成順或いは送信順を示す連続番号である。これに基づいて例えば再中継の禁止等の管理を行うことができる。識別符号は各住警器を特定する例えば住警器のシリアル番号等であり、グループ符号は図1のように住宅24に設置した住警器10−1〜10−5で相互に連動を行う連動グループを構成するための符号である。
【0079】
事象符号は、火災などの事象内容を表す符号であり、本実施形態にあっては4ビット符号を使用しており、例えば
0001=火災
0010=ACK
0011=警報停止
0100=復旧
0101=センサ障害
0110=ローバッテリー障害
としている。なお、先述した「中継要求有り」を示す符号はここでは省略しているが、ビット数を増やすことで、当然これも事象符号に追加することができる。また中継送信する連動信号には、送信元(連動元)の住警器を示す識別符号と中継を行う住警器の識別符号の両方を付加する。更に、送信先を指定する識別符号を付加しても良い。
【0080】
センサ部34には、例えば散乱光式の煙検知原理によって煙を検出して煙濃度に応じた検出信号を出力する検煙部16を設けている。
【0081】
報知部36には警報音等を出力する音響出力器であるスピーカ50と警報表示等を行うLED22が、図示しないそれぞれの駆動回路と共に設けられている。スピーカ50は、警報制御部48からの制御を受けて、住警器10−1がメモリ40等に保持している各種のデータ等に基づいて音声メッセージや警報音等を出力する。LED22は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異状その他事象を表示により報知する。
【0082】
操作部38には警報停止スイッチ20が設けられ、警報停止スイッチ20は前述したように点検スイッチとしての機能を兼ねている。
【0083】
メモリ40には、連動信号の生成に使用する連番、識別符号、グループ符号等が格納されている。
【0084】
電池電源42は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、必要各部へ電源を供給する。電池容量としては住警器10−1における回路部全体の低消費電力化により、例えば10年の寿命を保証している。
【0085】
プロセッサ28にはプログラムの実行により実現される機能として、警報制御部48の機能が設けられる。
【0086】
警報制御部48は、センサ部34に設けた検煙部16からの検出信号に基づく火災の有無、操作部38による警報停止指示入力の有無や点検指示入力の有無、センサ部34に設けた検煙部16からの検出信号が低下して火災検知状態が解消される火災復旧の有無、センサ障害や故障、ローバッテリー障害有無等の事象を検知する。また警報制御部48は第1受信回路44を介して他の住警器10−2〜10−5からの連動信号の解読結果として得られた連動信号有効受信の有無およびその連動内容などの情報を検知する。
【0087】
また警報制御部48は、センサ部34に設けた検煙部16の煙検出信号に基づき火災(有り)を検知した場合に、報知部36に対しスピーカ50から連動元を示す火災警報動作として例えば「ウーウー 火事です 火事です 確認して下さい」の音声メッセージを繰り返し出力させる制御を行うと共に、LED22を点灯させて連動元を示す火災警報表示を行わせる制御を行い、また、第1通信部30の第1送信回路44に対して第1通信プロトコルに従った火災連動信号をアンテナ32から他の住警器10−2〜10−5及び電力スマートメータ100へ送信させる制御を行う。
【0088】
また警報制御部48は、第1通信部30の第1受信回路46を介して他の住警器10−2〜10−5の何れかから第1通信プロトコルに従った火災連動信号を有効受信したことを検知した場合に、連動先を示す警報動作として、報知部36のスピーカ50から連動先を示す警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる音声メッセージを繰り返し出力させる制御を行うと共にLED22を例えば点滅させて連動先を示す警報表示を行わせる制御を行う。また更に、第1送信回路44に、連動元からの火災連動信号を受信したことに伴う応答信号(返信)としてACK信号を送信させる制御を行う。
【0089】
また警報制御部48は、連動元を示す火災警報音の出力中(一連の出力処理期間中を示す。例えば間欠出力の休止時間帯も含む。)に警報停止スイッチ20の操作を検知した場合、報知部36を制御してスピーカ50からの警報音出力とLED22の警報表示出力による火災警報動作を停止させると共に、第1通信部30の第1送信回路44に対して第1通信プロトコルに従った警報停止連動信号をアンテナ32から他の住警器10−2〜10−5及び電力スマートメータ100へ送信させる制御を行う。
【0090】
なお、住警器10−1は、連動元を示す火災警報音の出力中に他の住警器10−2〜10−5の何れかからの警報停止連動信号の有効受信を警報制御部48で検知した場合、警報制御部48は火災警報音と火災警報表示のうち少なくとも一方は、少なくとも所定期間が経過するまで停止制御せずに、連動元が識別できるようにする。
【0091】
また警報制御部48は、連動先を示す警報音の出力中に警報停止スイッチ20の操作又は他の住警器10−2〜10−5の何れかからの警報停止連動信号の有効受信を警報制御部48で検知した場合、警報制御部48は報知部36を制御してスピーカ50からの音声メッセージによる警報音とLED22の警報表示による火災警報の出力を動作停止させる。
【0092】
また、警報制御部48は、火災連動信号受信時と同様に、警報停止連動信号受信に伴うACK信号を返信する。なお、後述する各ケースでも同様であるので、住警器間の通信に伴うACK信号の返信については説明を省略する。なお、住警器とゲートウェイ装置間の通信においても同様にACK信号の送受信処理を行うようにすることができるが、これも説明を省略する。また、通信のリトライ等についても適宜行うようにすることができるが、本明細書では説明を省略している。
【0093】
また警報制御部48には、図示しない電圧監視回路と協働して電池電源42から供給される電源電圧が所定レベル未満となるローバッテリー障害の監視機能が設けられ、このローバッテリー障害監視はビルトインテストとしてバックグラウンドで周期的に自動実行され、都度結果がメモリ40に更新記録されている。
【0094】
具体的には、ローバッテリー障害監視は、所定の測定時間間隔(周期)、例えば4時間間隔で電池電源42から供給される電源電圧を、電圧監視回路を介して読み込んで所定の閾値電圧と比較するビルトインテストを実施し、この閾値電圧未満の時にローバッテリー障害を予備判定してメモリ44にカウント記憶しておき、更にローバッテリー障害の予備判定が連続して所定回数続いた場合、ローバッテリー障害と判定(確定)して検知し、ローバッテリー障害フラグをセットしてメモリ40に更新記憶する。
【0095】
また警報制御部48には、センサ部34の障害(部品劣化や故障等を含む)を監視するセンサ障害監視機能が設けられ、同じくビルトインテストとしてバックグラウンドで周期的に自動実行されている。具体的には、センサ障害監視は、所定の測定時間間隔(周期)、例えば1秒間隔でセンサ部34の検煙部16から出力される煙検出信号を読み込んでメモリ40に一時保持し、所定の時間間隔、例えば10分毎に、メモリ44に保持している直近10分間ぶんの検出データの平均値を求め、この平均値が所定の基準レベル(零点レベルという)を下回った場合に、出力停止状態である等としてセンサ部34の障害と判定して検知し、センサ障害フラグをセットしてメモリ40に更新記憶する。
【0096】
また警報制御部48は、通常状態で点検スイッチとして機能する警報停止スイッチ20の操作による点検指示操作(点検指示入力)を検知した場合、メモリ40にローバッテリー障害フラグ又はセンサ障害フラグがセット記憶されていることを判別した場合には、報知部36からローバッテリー障害警報又はセンサ障害警報を出力させ、更に、第1通信部30の第1送信回路44を介して第1通信プロトコルに従ってローバッテリー障害連動信号又はセンサ障害連動信号を他の住警器10−2〜10−5及び電力スマートメータ100に送信し、他の住警器10−2〜10−5において障害連動先を示すローバッテリー障害警報又はセンサ障害警報を出力させ、また電力スマートメータ100から電力会社電力会社サーバ400を経由して携帯電話700に送信してローバッテリー障害警報又はセンサ障害警報を出力させる。
【0097】
もちろん、ローバッテリー障害やセンサ障害は、点検指示操作によらずビルトインテストでその障害を検知した時点で報知、連動信号送信するようにしても良い。またローバッテリー障害やセンサ障害以外にも、各種の回路故障や経年劣化等の障害を検知して同様の処理を行わせても良い。
【0098】
さらに警報制御部48は、第1通信部30の第1受信回路46により電力スマートメータ100から携帯電話700の警報停止釦710の操作に基づいて送信された警報停止連携制御信号の有効受信を検知した場合、報知部36を制御して火災警報の出力制御を停止させ、更に、第1通信部30の第1送信回路44に指示して他の住警器10−2〜10−5へ第1通信プロトコルに従った警報停止連携制御信号を送信させて火災警報を停止させる。携帯電話700の操作に基づく他の制御についても同様に、制御内容に対応する処理を行う。
【0099】
図5は本発明で用いる電力スマートメータの実施形態を示したブロック図である。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる。また各機能の任意の一部または全部は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであっても、ハードウェアによって実行されるものであっても良い。
【0100】
図5において、電力スマートメータ100には商用交流電源を入力するインレット102と、インレット102から入力した商用交流電源を分電盤に出力するアウトレット104が設けている。インレット102からアウトレット104に至る電源線には電力測定部105を設け、アウトレット104から家庭内負荷(電気機器)へ供給される交流電力の消費状況を測定している。
【0101】
また電力スマートメータ100にはプロセッサ106、第1通信部108及び第2通信部112を設けている。第1通信部108にはアンテナ110を接続した第1送信回路128と第1受信回路130を設け、図4に示した住警器10−1の第1通信部30と同様、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に準拠した第1通信プロトコルに従って火災、火災復旧、警報停止、障害などの各種の連動信号を住警器との間で送受信する。
【0102】
第2通信部112にはコネクタ114を介してADSLや光電話などの通信回線(伝送路)116を接続した第2送信回路132と第2受信回路134を設け、回線116を介してインターネットサービスプロバイダ(ISP)の保有するサーバを経由して図1に示した電力会社サーバ400との間で本実施形態の第2通信プロトコルであるインターネット通信プロトコルに従って信号を送受信する。
【0103】
電力測定部105は例えば電流センサで検出された電流検出信号を所定のサンプリング周期でAD変換して読込み、所定の交流定格電圧を用いた所定演算により使用電力量を算出すると共に積算使用電力量を算出し、プロセッサ106に使用電力情報として出力してメモリ122に記憶させている。なお、電力測定部105として電流センサのみを設け、電流検出信号をAD変換して読込んで使用電力及び使用電力量を積算する機能はプロセッサ106によるプログラムの実行による機能として実現しても良い。
【0104】
プロセッサ106にはプログラムの実行により実現する機能として、メータ制御部136と連携制御部138を設けている。メータ制御部136は第2通信部112の第2受信回路134により図1の電力会社サーバ400からの検針要求信号(検針要求電文)を受信し、これを解読して検針要求信号の有効受信を検知した場合、そのときメモリ122に記憶している電力測定部105で測定した使用電力量及び積算使用電力量を含む使用電力情報を読み出し、当該使用電力情報を含む第2通信プロトコルに従った検針応答信号(検針応答電文)を生成し、第2通信部112の第2送信回路134に指示して第2通信プロトコルに従った検針応答信号に変換させ、通信回線116からインターネットを経由して電力会社サーバ400へ送信させる。
【0105】
なお、電力測定部126における消費電力や消費電力量の演算はその一部又は全部を電力会社サーバ400側で行うようにしても良く、この場合例えば第2送信回路134から電力会社サーバ400へ送信する信号は演算完了前のデータを示す検針応答信号となる。
【0106】
連携制御部138は、アンテナ110及び第1通信部108の第1受信回路130により住警器10から送信した第1通信プロトコルに従った火災連動信号を受信し、当該受信信号を解読することで有効受信を検知した場合、当該火災連動信号を第2通信プロトコルに従った火災状連携信号に変換し、第2通信部112の第2送信回路134に指示して第2通信プロトコルに従って通信回線116からインターネットを経由して電力会社サーバ400に送信させる。
【0107】
また、連携制御部138は、第1通信部108の第1受信回路130により住警器10の火災復旧、警報停止又は障害を示す第1通信プロトコルに従った連動信号の受信し、当該受信信号を入力して解読することで有効受信を検知した場合、当該連動信号を第2通信プロトコルに従った異状復旧、警報停止又は障害を示す連携信号に変換し、第2通信部112の第2送信回路134に指示して第2通信プロトコルに従って通信回線116からインターネットを経由して電力会社サーバ400に送信させる。
【0108】
また、連携制御部138は、図3に示した携帯電話700の火災警報画面に設けた警報停止釦710の操作に伴い電力会社サーバ400を経由して送られてくる警報停止連携制御信号を通信回線116から第2通信部112の第2受信回路134で受信し、これを解読して有効受信を検知した場合、当該警報停止連携制御信号を第1通信プロトコルに従った警報停止連携制御信号に変換し、第1通信部108の第1送信回路128に指示して住警器10へ送信させる。
【0109】
またプロセッサ106に対しては表示部118、操作部120、メモリ122、電源回路部124及び予備電源部126を設けている。表示部118は電力測定部105で測定された電力使用量や積算使用電力量を例えばデジタル表示する。電源回路部124はインレット102を介して供給される商用交流電源から所定の直流電源を生成してプロセッサ106、第1通信部108、第2通信部112含む必要各部へ供給する。予備電源顕部126は電源回路部124により充電されるバッテリーなどの2次電池を備え、交流電源の停電時に電源供給をバックアップし、少なくとも連携制御部138による連携警報機能を可能な限り維持する。
【0110】
図6は本発明の警報連携システムに使用する図4の住警器10−1の処理の概略を例示したフローチャートである。なお、このフローチャートでは先に説明したACK信号の送受信とそれに伴う処理は省略している。
【0111】
図6において、住警器10−1の電池電源42による電源供給が開始されると、ステップS1で初期化、自己診断、各種設定の読み込み等を実行し、異常がなければステップS2に進み、火災の有無を検知している。ステップS1で初期化異常があった場合には報知部36でその旨を報知して、動作を途中停止するか或いは再度ステップS1の処理を行うようにしているが、図示を省略している。
【0112】
ステップS2において、センサ部34に設けた検煙部16から出力された煙検出信号が所定の火災レベルを超えると火災有りが検知されてステップS3に進み、第1通信プロトコルに従った火災連動信号を生成して他の住警器10−2〜10−5及び電力スマートメータ100へ無線送信すると共に、報知部36のスピーカ50からの音声メッセージ等による警報音とLED22の例えば点灯による警報表示とにより連動元を示す火災警報を出力する。
【0113】
続いて、ステップS4で検煙部16からの煙検出信号が低下して火災検知状態が解消する火災復旧の有無を検知しており、火災復旧有りを検知するとステップS5に進み、第1通信プロトコルに従った火災復旧連動信号を他の住警器10−2〜10−5及び電力スマートメータ100へ送信すると共に、スピーカ50からの音声メッセージ等による警報音とLED22の点灯による連動元を示す火災警報を停止する。ここで、LED22による警報表示は警報音の停止から所定時間経過後に消灯しても良い。
【0114】
続いてステップS6で警報停止スイッチ20の警報停止指示操作の有無を検知し、警報停止指示有りが検知されるとステップS7に進み、第1通信プロトコルに従った警報停止連動信号を他の住警器10−2〜10−5及び電力スマートメータ100へ送信し、スピーカ50からの連動元を示す警報音出力を停止し、LED22の点灯による警報表示を消灯する。この場合、LED22による警報表示は警報音の停止から所定時間経過後に消灯させても良い。
【0115】
続いてステップS8に進み、他の住警器10−2〜10−5から送信または中継送信された第1通信プロトコルに従った火災連動信号有効受信の有無を検知している。他の住警器10−2〜10−5からの火災連動信号の有効受信有りを検知すると、ステップS9に進んで連動先を示す火災警報として自己の報知部36のスピーカ50から音声メッセージ等による警報音を出力すると共に、例えばLED22の点滅による警報表示を行う。
【0116】
続いてステップS10に進み、他の住警器10−2〜10−5から送信または中継送信された第1通信プロトコルに従った火災復旧連動信号の有効受信の有無を検知しており、火災復旧連動信号の有効受信有りを検知すると、ステップS11に進んで連動先の警報として行っているスピーカ50からの警報音出力とLED22の点滅による警報表示を停止する。
【0117】
続いてステップS12で他の住警器10−2〜10−5(の何れか。以下同じ。)から送信または中継送信された第1通信プロトコルに従った警報停止連動信号の有効受信の有無を検知しており、警報停止連動信号の有効受有りが検知されると、ステップS13に進んで連動先としての警報音出力を停止し、警報表示も停止する。
【0118】
続いてステップS14で障害検知処理を実行する。障害検知処理は住警器10−1自身でローバッテリー障害またはセンサ障害を検知した場合、第1通信プロトコルに従ったローバッテリー障害連動信号またはセンサ障害連動信号を他の住警器10−2〜10−5及び電力スマートメータ100へ送信すると共に、連動元を示すローバッテリー障害警報またはセンサ障害警報を所定の警報音と警報表示で行う。また他の住警器10−2〜10−5から第1通信プロトコルに従ったローバッテリー障害連動信号またはセンサ障害連動信号の有効受信を検知した場合は、連動先を示すローバッテリー障害警報またはセンサ障害警報を所定の警報音と警報表示で行う。
【0119】
続いてステップS15で利用者の携帯電話700から電力会社サーバ400及び電力スマートメータ100を経由して送られてくる連携制御信号の受信処理、例えば第1通信プロトコルに従った警報停止連携制御信号の有効受信を検知した場合に火災警報を停止させ、更に、更に警報システムとの連携処理として第1通信プロトコルに従った警報停止連携制御信号を他の住警器10−2〜10−5に送信して警報停止させる。
【0120】
図7は本発明の警報連携システムに使用する図5の電力スマートメータの処理の概略を例示したフローチャートである。
【0121】
図7において、電力スマートメータ100の電源回路部124による電源供給が開始されると、ステップS21で初期化、自己診断、各種設定の読み込み等を実行し、異常がなければステップS22に進み、電力測定処理を実行する。ステップS21で初期化異常があった場合には表示部118でその旨を報知して、動作を途中停止するか或いは再度ステップS1の処理を行うようにしているが、図示を省略している。
【0122】
ステップS22の電力測定処理にあっては、電力測定部105により家庭で使用している使用電力量と積算電力量を求めてメモリ122に保存している。
【0123】
続いてステップS23で電力会社サーバ400からの第2通信プロトコルに従った検針要求信号の有効受信の有無を検知しており、検針要求信号の有効受信有りを検知するとステップS24に進み、メモリ122から使用電力量と積算電力量を使用電力情報として読み出し、当該使用電力情報を含む第2通信プロトコルに従った検針応答信号を生成し、インターネット300を経由して電力会社サーバ400へ送信する。
【0124】
続いてステップS25で第1通信プロトコルに従った火災、火災復旧、警報停止、または障害を示す連動信号の有効受信の有無を検知しており、いずれかの連動信号の有効受信有りを検知するとステップS26に進み、第2通信プロトコルに従った火災、火災復旧、警報停止または障害を示す連携信号に変換し、インターネット300を経由して電力会社サーバ400へ送信する。
【0125】
図8は図1に示した電力会社サーバ400の処理の概略を例示したフローチャートである。図8において、電力会社サーバ400が電源投入により起動すると、ステップS31で初期化、自己診断、各種設定の読み込み等を実行し、異状がなければステップS32に進み、検針先を設定する。この検針先の設定は、データベース406に格納している電力需要者が設置している電力スマートメータのIPアドレスを順番に選択して設定する。
【0126】
続いてステップS32に進み、データベース406から取得した電力スマートメータ100のIPアドレスを検針先とする検診要求信号を生成し、第2通信プロトコルに従って電力スマートメータ100へ送信する。この検針要求信号の送信は、電力需要者毎に例えば1週間に1回となる頻度で送信される。
【0127】
続いてステップS34で電力スマートメータ100からの検針応答信号の有効受信の有無を検知しており、検針応答信号の有効受信有りを検知するとステップS35に進み、有効受信した検針応答信号を解読して使用電力量及び積算使用電力量を取得し、データベース400に使用電力情報として格納する。データベース400に格納された使用電力情報は、所定のタイミングで例えば電力会社のデータセンタの処理装置に転送され、課金と決済処理が行われる。
【0128】
続いてステップS36で住警器10(の何れか。以下同じ。)の火災検知に基づく電力スマートメータ100からの火災連携信号の有効受信の有無を検知しており、火災連携信号の有効受信有りを検知するとステップS37に進み、火災連携処理として、携帯端末700に図3に示したような火災警報画面702を表示させると共に警報音を出力させる。
【0129】
続いてステップS38で住警器10での火災復旧検知に基づく電力スマートメータ100からの火災復旧連携信号の有効受信の有無を検知しており、火災復旧連携信号の有効受信有りを検知するとステップS39に進み、携帯端末700による火災警報を停止させる。
【0130】
続いてステップS40で住警器10の警報停止検知に基づく電力スマートメータ100からの警報停止連携信号の有効受信の有無を検知しており、警報停止連携信号の有効受信有りを検知するとステップS41に進み、携帯端末700による火災警報を停止させる。
【0131】
続いてステップS42で住警器10のローバッテリー障害などの障害検知に基づく電力スマートメータ100からの障害連携信号の有効受信有りを検知した場合、ステップS43に進み、携帯電話700から住警器10の障害情報を報知させる。
【0132】
図9は本発明による警報連携システムの他の実施形態における概略構成を示した説明図であり、本実施形態にあっては、電力スマートメータ100に設けた第2通信プロトコルによる広域通信機能(第2通信部の機能)として、携帯電話網と公衆無線LAN網を使用するようにしたことを特徴とする。
【0133】
図9において、住宅24には警報システムを構築する住警器10−1〜10−5と、電力スマートグリッドシステムの電力スマートメータ100を設置しており、住警器10−1〜10−5は図1の実施形態と同じになる。また電力スマートグリッドシステムで使用する電力会社サーバ400はインターネット300に接続しており、電力会社サーバ400も図1の実施形態と同じである。
【0134】
住宅24に設けた本実施形態の電力スマートメータ100は、第2通信部として携帯電話通信機能を備えており、携帯電話基地局600、携帯電話網500及びインターネット300を経由して電力会社サーバ400との間で信号を送受信することができる。
【0135】
電力スマートメータ100の第2通信部による携帯電話通信機能は、例えば3G通信として知られた第3世代移動通信となる国際電気通信連合(ITU)が定めるIMT−2000(International Mobile Telecommunication 2000)規格に準拠した携帯態電話通信機能とする。
【0136】
また、電力スマートメータ100は、第2通信部として無線LAN通信機能も備えており、公衆無線LAN通信網800に設けたアクセスポイント900を経由してインターネット300上の電力会社サーバ400との間で信号を送受信することもできる。
【0137】
電力スマートメータ100の携帯電話通信機能と公衆無線LAN通信機能は自動又は手動により切替使用でき、携帯電話網500のサービス圏では携帯電話通信機能を選択し、公衆無線LAN網800のサービス圏では公衆無線LAN通信機能を選択する。
【0138】
このように電力スマートメータ100は外部の電力会社サーバ400と携帯電話網500または公衆無線LAN網800といった広域無線通信網を使用して接続できることで、電話回線による接続を不要とし、電力スマートメータ100の設置が簡単且つ低コストで実現できる。電力スマートメータ100の広域無線通信機能以外の点は図1の実施形態と同じになる。
【0139】
ここで、図9における各プロトコルによる通信経路を整理すると、例えば台所に設置した住警器10−1を中心に見ると、住警器10−1と他の住警器10−2〜10−5の間は第1通信プロトコルに従った通信経路11aとなり、住警器10−1と電力スマートメータ10との間も第1通信プロトコルに従った通信経路11aとなり、電力スマートメータ100と携帯電話網500及びインターネット300を経由した電力会社サーバ400との間は携帯電話通信プロトコルによる通信経路11cとなり、また電力スマートメータ100と公衆無線LAN網800及びインターネット300を経由した電力会社サーバ400との間は公衆無線LANプロトコルによる通信経路11dとなる。なお図示を省略しているが、住警器10−1〜10−5の間には直接または間接(中継)による第1通信プロトコルに従った通信経路11aが形成される。
【0140】
図10は図9の警報連携システムに設けた電力スマートメータ100の実施形態を示した概略構成のブロック図である。図10において、電力スマートメータ100は、インレット102、アウトレット104、電力測定部105、プロセッサ106、第1通信部108、第2通信部112、表示部118、操作部120、メモリ122、電源回路部124及び予備電源部126を備え、第2通信部112以外は図5の実施形態と同じである。
【0141】
第2通信部112には、アンテナ142を接続した携帯電話通信部140と、アンテナ146を接続した無線LAN通信部142を設け、携帯電話網500のサービス圏であれば携帯電話通信部140を選択して動作状態とし、電力会社サーバ400からの検針要求信号の受信と、電力会社サーバ400への火災、火災復旧、警報停止または障害を示す連携信号の送信を第2通信プロトコルとなる携帯電話通信プロトコルに従って行う。
【0142】
一方、公衆無線LAN網800のサービス圏であれば無線LAN通信部144を選択して動作状態とし、電力会社サーバ400からの検針要求信号の受信と、電力会社サーバ400への火災、火災復旧、警報停止または障害を示す連携信号の送信を第2通信プロトコルとなる公衆無線LAN通信プロトコルに従って行う。それ以外の点は図5の電力スマートメータ100の実施形態と同じになる。
【0143】
なお、上記の実施形態における電力スマートメータは、外部の電力会社サーバと間で第2通信プロトコルに従って信号を送受信する第2通信部を備えているが、この第2通信部を分離して独立した通信アダプタとして構成し、通信アダプタに電力スマートメータを所定のインタフェースを使用して信号線接続するようにしても良い。
【0144】
また、電力スマートメータとして近距離無線通信網(センサネットワークを含む)との通信機能を備えた宅内用電力スマートメータと、外部の広域無線通信網との通信機能を備えた広域用電力スマートメータの2種類を準備し、1台の広域用電力スマートメータと複数台の宅内用電力スマートメータをグループ化し、複数台の宅内用電力スマートメータの多段中継により広域用電力スマートメータを経由して外部の広域無線通信網との間の通信を行うようにしても良い。この場合、広域用電力スマートメータを、電力メータの機能を持たない広域用通信アダプタとしても良い。
【0145】
また、上記の実施形態は、電力会社サーバに警報連携のための警報監視部を設けているが、警報監視専用のサーバを別に設けるようにしても良い。
【0146】
また、上記の実施形態は、連携警報を行う利用者端末として携帯電話を例にとっているが、インターネットに接続可能なコンピュータ装置などの適宜の端末を含む。
【0147】
また、上記の実施形態における警報システムは火災を検知して警報する住警器の連動システムを例にとるものであったが、住警器以外の火災警報器、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器、地震警報器(緊急地震速報受信機、津波警報受信機等)、その他任意の警報器を配置した警報システムやそれら各種の警報器を混在させて配置した警報システムについても同様に適用できる。更に、これらの警報器に加え中継装置や受信装置を含むシステムにも適用できる。
【0148】
また、上記の実施形態の住警器にあっては、検煙部を備え、火災に伴い発生する煙を観測して監視領域の火災を検知する煙式火災警報器を例に取っているが、これ以外に火災に伴う熱を検出するサーミスタ等の温度検知素子を備えた熱式火災警報器火災に伴うその他の環境変化を検知する火災警報器、火災以外にガス漏れを検知する警報器、侵入者や地震その他の異状を検知する各種の警報器、これらを組み合わせて成る警報器についても、本発明の対象に含まれる。
【0149】
また、警報器の連動や各部の連携に係る通信は無線によるものでなくても良く、有線通信によっても、また有線と無線を適宜混在させるものであっても良い。この場合、各通信プロトコルはそれらに適合したものに代えれば良い。また、インターネットについても、本発明の機能を実現できる他のネットワークに代えることができる。
【0150】
また、本発明の機器連携システムは、警報システムを構成する警報器が1台であることを妨げない。この場合、警報器は他の警報器との通信機能を省略したものとしても良い。
【0151】
また上記の実施形態における電力スマートグリッドシステムは、需要者の使用電力を測定して自動検針する場合を例にとるものであったが、センサネットワークにより各種の環境変化を検知してエアコン等の家電機器を最適制御するといった適宜のHEMSと連携することもできる。もちろん、電力管理制御とこのような環境管理制御とを複合的に行う連携システムとしても良い。
【0152】
また上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定処理やその他の処理を挿入する等ができる。
【0153】
また、上記実施の形態で示したプロセッサは、その機能の一部又は全部を、例えばワイヤードロジック等による他の手段に代えることができる。プロセッサを含め他の電気的、機能的構成は適宜に統廃合することもできる。
【0154】
また、上記の実施形態は住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報システムと電力スマートグリッドシステムの連携にも適用できる。
【0155】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0156】
10−1〜10−5:住警器
24:住宅
28,106:プロセッサ
30,108:第1通信部
32,110,142,146:アンテナ
34:センサ部
36:報知部
38,122:操作部
40,122:メモリ
42:電池電源
44,128:第1送信回路
46,130:第1受信回路
48:警報制御部
100:電力スマートメータ
102:インレット
104:アウトレット
105:電力測定部
112:第2通信部
124:電源回路部
126:予備電源部
132:第2送信回路
134:第2受信回路
136:メータ制御部
138:連携制御部
140:携帯電話通信部
144:無線LAN通信部
200:分電盤
300:インターネット
400:電力会社サーバ
402:検針管理部
404:警報監視部
406:データベース
500:携帯電話網
600:携帯電話基地局
700:携帯電話
702:警報画面
800:公衆無線LAN網
900:アクセスポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異状を検知した場合に警報する警報器を設けた警報システムと、
通信機能を備えた電力メータである電力スマートメータで検知した機器の使用電力をネットワーク上のサーバに送信して処理させる電力スマートグリッドシステムと、
を設け、
前記警報器で異状を検知した場合に前記電力スマートグリッドシステムのネットワークを経由して前記サーバに異状検知信号を送信して処理させることを特徴とする警報連携システム。
【請求項2】
請求項1記載の警報連携システムに於いて、前記サーバは、前記異状検知信号の受信に基づく処理結果を、利用者端末に送信して異状警報を出力させることを特徴とする警報連携システム。
【請求項3】
請求項1記載の警報連携システムに於いて、前記警報システムの一部または全部は、複数の警報器を連動動作させることを特徴とする警報連携システム。
【請求項4】
請求項1記載の警報連携システムに於いて、
前記警報器は、異状を検知した場合に、連動元を示す異状警報を出力すると共に所定の第1通信プロトコルに従って異状連動信号を他の警報器及び前記電力スマートメータへ送信し、一方、他の警報器からの前記第1通信プロトコルに従った異状連動信号受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を出力し、
前記電力スマートメータは、前記サーバからの検針要求信号の受信を検知した場合に、測定した電力使用量を前記第1通信プロトコルとは異なる所定の第2通信プロトコルに従ってネットワーク上のサーバに送信し、前記警報器から第1通信プロトコルに従った異状検知信号受信を検知した場合に、前記第2通信プロトコルに従った異状連携信号に変換して前記サーバへ送信し、
前記サーバは、前記電力スマートメータから第2通信プロトコルに従った異状連携信号受信を検知した場合に、当該異状連携信号を処理して処理結果を利用者端末に伝送して異状警報を出力させることを特徴とする警報連携システム。
【請求項5】
請求項4記載の警報連携システムに於いて、
前記電力スマートメータは、
前記警報器との間で前記第1通信プロトコルに従った信号を送受信する第1通信部と、
前記サーバとの間で前記第2通信プロトコルに従った信号を送受信する第2通信部と、
前記サーバから前記第2通信プロトコルに従った検針要求信号の受信を検知した場合に、前記機器の使用電力を示す検針応答信号を前記サーバへ送信するメータ制御部と、
前記警報器から前記第1通信プロトコルに従った異状連動信号の受信を検知した場合に、当該異状連動信号を前記第2通信プロトコルに従った異状連携信号に変換して前記サーバへ送信して処理させ、当該処理結果を利用者端末へ伝送して異状警報を出力させる連携制御部と、
を備えたことを特徴とする警報連携システム。
【請求項6】
請求項5記載の警報連携システムに於いて、前記電力スマートメータの前記連携制御部は、前記警報器の異状復旧、警報停止又は障害を示す前記第1通信プロトコルに従った連動信号の受信を検知した場合、当該連動信号を前記第2通信プロトコルに従った異状復旧、警報停止又は障害を示す連携信号に変換して前記サーバへ送信して処理させ当該処理結果を利用者端末へ伝送して前記異状警報に反映させることを特徴とする警報連携システム。
【請求項7】
請求項5記載の警報連携システムに於いて、前記電力スマートメータの前記連携制御部は、前記警報器から火災、ガス漏れ又は盗難を示す連動信号の受信を検知した場合に、当該連動信号を前記第2通信プロトコルに従った火災、ガス漏れ又は盗難を示す連携信号に変換して前記サーバへ送信することを特徴とする警報連携システム。
【請求項8】
請求項4記載の警報連携システムに於いて、
前記警報器は、
前記第1通信プロトコルに従った信号を送受信する第1通信部と、
異状を検知した場合に、連動元を示す異状警報を出力すると共に他の警報器に前記第1通信プロトコルに従って異状連動信号を他の警報器及び前記電力スマートメータへ送信し、一方、他の警報器からの異状連動信号受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を出力する警報制御部と、
を備えたことを特徴とする警報連携システム。
【請求項9】
請求項8記載の警報連携システムに於いて、前記警報器の前記警報制御部は、警報器自身の異状復旧又は警報停止を検知した場合、前記連動元を示す異状警報を停止すると共に、前記第1通信プロトコルに従った異状復旧連動信号または警報停止連動信号を他の警報器及び前記電力スマートメータへ送信し、他の警報器からの前記第1通信プロトコルに従った異状復旧連動信号または警報停止連動信号の受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を停止することを特徴とする警報連携システム。
【請求項10】
請求項1記載の警報連携システムに於いて、前記警報器は、前記異状として火災、ガス漏れ又は盗難を検知して警報させることを特徴とする警報連携システム。
【請求項11】
異状を検知した場合に警報する警報器を設けた警報システムを、通信機能を備えた電力メータである電力スマートメータにより検知した機器の使用電力をネットワーク上のサーバに送信して処理させる電力スマートグリッドシステムに連携して警報する警報連携方法に於いて、
前記警報器で異状を検知した場合に、前記電力スマートグリッドシステムのネットワークを経由して前記サーバに異状検知信号を送信して処理させることを特徴とする警報連携方法。
【請求項12】
請求項11記載の警報連携方法に於いて、前記サーバは、前記異状検知信号の受信に基づく処理結果を、利用者端末に送信して異状警報を出力させることを特徴とする警報連携方法。
【請求項13】
請求項11記載の警報連携方法に於いて、前記警報システムの一部または全部は、複数の警報器を連動動作させることを特徴とする警報連携方法。
【請求項14】
請求項11記載の警報連携方法に於いて、
前記警報器は、異状を検知した場合に、連動元を示す異状警報を出力すると共に所定の第1通信プロトコルに従って異状連動信号を他の警報器及び前記電力スマートメータへ送信し、一方、他の警報器からの前記第1通信プロトコルに従った異状連動信号受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を出力し、
前記電力スマートメータは、前記サーバからの検針要求信号の受信を検知した場合に、測定した電力使用量を前記第1通信プロトコルとは異なる所定の第2通信プロトコルに従ってネットワーク上のサーバに送信し、前記警報器から第1通信プロトコルに従った異状検知信号受信を検知した場合に、前記第2通信プロトコルに従った異状連携信号に変換して前記サーバへ送信し、
前記サーバは、前記電力スマートメータから第2通信プロトコルに従った異状連携信号受信を検知した場合に、当該異状連携信号を処理して処理結果を利用者端末に伝送して異状警報を出力させることを特徴とする警報連携方法。
【請求項15】
請求項14記載の警報連携方法に於いて、
前記電力スマートメータは、
前記警報器との間で前記第1通信プロトコルに従った信号を送受信する第1通信部と、
前記サーバとの間で前記第2通信プロトコルに従った信号を送受信する第2通信部と、
前記サーバから前記第2通信プロトコルに従った検針要求信号の受信を検知した場合に、前記機器の使用電力を示す検針応答信号を前記サーバへ送信するメータ制御部と、
前記警報器から第1通信プロトコルに従った異状連動信号の受信を検知した場合に、当該異状連動信号を前記第2通信プロトコルに従った異状連携信号に変換して前記サーバへ送信して処理させ、当該処理結果を利用者端末へ伝送して異状警報を出力させる連携制御部と、
を備えたことを特徴とする警報連携方法。
【請求項16】
請求項15記載の警報連携方法に於いて、前記電力スマートメータの前記連携制御部は、前記警報器の異状復旧、警報停止又は障害を示す前記第1通信プロトコルに従った連動信号の受信を検知した場合、当該連動信号を前記第2通信プロトコルに従った異状復旧、警報停止又は障害を示す連携信号に変換して前記サーバへ送信して処理させ当該処理結果を利用者端末へ伝送して前記異状警報に反映させることを特徴とする警報連携方法。
【請求項17】
請求項15記載の警報連携方法に於いて、前記電力スマートメータの前記連携制御部は、前記警報器から火災、ガス漏れ又は盗難を示す連動信号の受信を検知した場合に、当該連動信号を前記第2通信プロトコルに従った火災、ガス漏れ又は盗難を示す連携信号に変換して前記サーバへ送信することを特徴とする警報連携方法。
【請求項18】
請求項14記載の警報連携方法に於いて、
前記警報器は、
前記第1通信プロトコルに従った信号を送受信する第1通信部と、
異状を検知した場合に、連動元を示す異状警報を出力すると共に他の警報器に前記第1通信プロトコルに従って異状連動信号を他の警報器及び前記電力スマートメータへ送信し、一方、他の警報器からの異状連動信号受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を出力する警報制御部と、
を備えたことを特徴とする警報連携方法。
【請求項19】
請求項18記載の警報連携方法に於いて、前記警報器の前記警報制御部は、警報器自身の異状復旧又は警報停止を検知した場合、前記連動元を示す異状警報を停止すると共に、前記第1通信プロトコルに従った異状復旧連動信号または警報停止連動信号を他の警報器及び前記電力スマートメータへ送信し、他の警報器からの前記第1通信プロトコルに従った異状復旧連動信号または警報停止連動信号の受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を停止することを特徴とする警報連携方法。
【請求項20】
請求項11記載の警報連携方法に於いて、前記警報器は、前記異状として火災、ガス漏れ又は盗難を検知して警報させることを特徴とする警報連携方法。
【請求項21】
異状を検知した場合に警報する警報器と連携し、機器の使用電力を検知してネットワーク上のサーバに送信して処理させる通信機能を備えた電力スマートメータに於いて、
前記警報器との間で所定の第1通信プロトコルに従った信号を送受信する第1通信部と、
前記サーバとの間で前記第1通信プロトコルとは異なる所定の第2通信プロトコルに従った信号を送受信する第2通信部と、
前記サーバから前記第2通信プロトコルに従った検針要求信号の受信を検知した場合に、前記機器の使用電力を示す検針応答信号を前記サーバへ送信するメータ制御部と、
前記警報器から第1通信プロトコルに従った異状連動信号の受信を検知した場合に、当該異状連動信号を前記第2通信プロトコルに従った異状連携信号に変換して前記サーバへ送信して処理させ、当該処理結果を利用者端末へ伝送して異状警報を出力させる連携制御部と、
を備えたことを特徴とする電力スマートメータ。
【請求項22】
請求項21記載の電力スマートメータに於いて、前記連携制御部は、前記警報器の異状復旧、警報停止又は障害を示す前記第1通信プロトコルに従った連動信号の受信を検知した場合、当該連動信号を前記第2通信プロトコルに従った異状復旧、警報停止又は障害を示す連携信号に変換して前記サーバへ送信して処理させ当該処理結果を利用者端末へ伝送して前記異状警報に反映させることを特徴とする電力スマートメータ。
【請求項23】
請求項21記載の電力スマートメータに於いて、前記連携制御部は、前記警報器から火災、ガス漏れ又は盗難を示す連動信号の受信を検知した場合に、当該連動信号を前記第2通信プロトコルに従った火災、ガス漏れ又は盗難を示す連携信号に変換して前記サーバへ送信することを特徴とする電力スマートメータ。
【請求項24】
通信機能を備えた電力メータである電力スマートメータで検知した機器の使用電力をネットワーク上のサーバに送信して処理させる電力スマートグリッドシステムに設けた警報器に於いて、
所定の第1通信プロトコルに従った信号を送受信する第1通信部と、
異状を検知した場合に、連動元を示す異状警報を出力すると共に他の警報器に前記第1通信プロトコルに従って異状連動信号を他の警報器及び前記電力スマートメータへ送信し、一方、他の警報器からの異状連動信号受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を出力する警報制御部と、
を備えたことを特徴とする警報器。
【請求項25】
請求項24記載の警報器に於いて、前記警報制御部は、警報器自身の異状復旧又は警報停止を検知した場合、前記連動元を示す異状警報を停止すると共に、前記第1通信プロトコルに従った異状復旧連動信号または警報停止連動信号を他の警報器及び前記電力スマートメータへ送信し、他の警報器からの前記第1通信プロトコルに従った異状復旧連動信号または警報停止連動信号の受信を検知した場合に、連動先を示す異状警報を停止することを特徴とする警報器。
【請求項26】
請求項24記載の警報器に於いて、前記異状として火災、ガス漏れ又は盗難を検知して警報させることを特徴とする警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−33322(P2013−33322A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168082(P2011−168082)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】