説明

警報音生成回路、および火災警報器

【課題】 警報音を発生させることなく容易に圧電ブザーAとリード線30との間の接合状態を検出することができる警報音生成回路10、およびこの警報音生成回路10を用いた火災警報器1を提供する。
【解決手段】 圧電ブザーAの電極表面にはんだ付け等を用いて駆動回路5からのリード線30を接合させた接合部11を備えることにより、駆動回路5からの変動電圧に応じて圧電ブザーAを鳴動させて警報音を発生させる警報音生成回路10において、圧電ブザーAの電極間に電気抵抗体R1を前記接合部11と異なる部位で接合させて、圧電ブザーAと電気抵抗体R1を駆動回路5に対して並列に接続したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、圧電ブザーを用いて警報音を生成する警報音生成回路、およびその警報音生成回路を用いた火災警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、駆動回路と圧電ブザーとを電気接続させることにより、圧電ブザーを鳴動させて警報音を発生させる警報音生成回路、およびその警報音生成回路を備えた火災警報器は知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
そして、このような警報音生成回路およびこの警報音生成回路を備えた火災警報器では、駆動回路からのリード線を圧電ブザーの電極表面にはんだ付け等を行って接合することにより駆動回路からの変動電圧を圧電ブザーの電極間に負荷しているものであった。
【特許文献1】実開平05−008696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の警報音生成回路およびこの警報音生成回路を備えた火災警報器では、圧電ブザーの電極間のインピーダンスが高いため、リード線と圧電ブザーとの間の接合状態を知るために駆動回路で変動電圧を負荷して、圧電ブザーから警報音を発生させて確認する必要があった。そして、火災警報器等の一部の装置においては、取り付けた後でも警報音生成回路が正常に動作可能かを点検する必要があり、その度に警報音を発生させるのでは、傍にいる人の迷惑となり、かつ火災警報器の場合であると近隣住民の誤解を招くという不具合があった。
【0005】
そこで、本願発明は、警報音を発生させることなく容易に圧電ブザーとリード線との間の接合状態を検出することができる警報音生成回路、およびこの警報音生成回路を用いた火災警報器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明の警報音生成回路は、圧電ブザーの電極表面にはんだ付け等を用いて駆動回路からのリード線を接合させた接合部を備えることにより、駆動回路からの変動電圧に応じて圧電ブザーを鳴動させて警報音を発生させる警報音生成回路において、圧電ブザーの電極間に電気抵抗体を前記接合部と異なる部位で接合させて、圧電ブザーと電気抵抗体を駆動回路に対して並列に接続したものである。
【0007】
また、本願発明の火災警報器は、圧電ブザーの電極表面にはんだ付け等を用いて駆動回路からのリード線を接合させた接合部を備えることにより、駆動回路からの変動電圧に応じて圧電ブザーを鳴動させて警報音を発生させる警報音生成回路を備えた火災警報器において、警報音生成回路は、圧電ブザーの電極間に電気抵抗体を前記接合部と異なる部位で接合させて、圧電ブザーと電気抵抗体を駆動回路に対して並列に接続したものである。
【発明の効果】
【0008】
本願発明の警報音生成回路および火災警報器においては、圧電ブザーの電極間に電気抵抗体を前記接合部と異なる部位で接合させて、圧電ブザーと電気抵抗体を駆動回路に対して並列に接続させているので、リード線間のインピーダンスを測定することにより、警報音を発生させることなく容易に圧電ブザーとリード線との間の接合状態を検出することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本願発明の請求項1乃至3に対応した実施形態の火災警報器1のシステム構成図を、図2は図1の警報音生成回路10の回路図を、図3は図2の圧電ブザーAの断面図を示している。この実施形態で用いる火災警報器1に用いられている警報音生成回路10は、圧電ブザーAの電極表面にはんだ付け等を用いて駆動回路5からのリード線30を接合させた接合部11を備えることにより、駆動回路5からの変動電圧に応じて圧電ブザーAを鳴動させて警報音を発生させる警報音生成回路10において、圧電ブザーAの電極間に電気抵抗体R1を前記接合部11と異なる部位で接合させて、圧電ブザーAと電気抵抗体R1を駆動回路5に対して並列に接続したものである。
【0010】
又、この実施形態の火災警報器1に用いられる警報音生成回路10は、前記リード線30に駆動回路5または導通検出回路15のいずれかと圧電ブザーAとを電気接続させる切り替え回路SWを備えているものである。
【0011】
以下、この実施形態の警報音生成回路10および火災警報器1を、より具体的に説明する。本願発明に係る火災警報器1は、図1に示すように、電源としての4本の乾電池Eと、多少の乾電池電圧の変化があっても定電圧を出力するための定電圧回路25と、火災を感知するための火災感知回路20(煙感知方式や炎感知方式等各種ある)と、定電圧回路25からの出力電圧を倍電圧とするための昇圧回路6と火災感知回路20からの信号に基づき一定周期のパルス信号を発生させる信号発生回路7とパルス信号を倍電圧に増幅するためのトランジスタTr2・電気抵抗体R2とを備えて変動電圧を発生可能に設けられた駆動回路5と、駆動回路5からの変動電圧をリード線30を通じて負荷されて鳴動する圧電ブザーAおよび圧電ブザーAに並列に接続された電気抵抗体R1を備えた警報音生成回路10と、駆動回路5からの前記リード線30間の電気抵抗等を測定してリード線30と圧電ブザーAの電極との接合状態を検出する導通検出回路15と、警報音生成回路10を導通回路または駆動回路5のいずれかに電気接続させる切り替え回路SWと、火災感知回路20が火災を感知したことで駆動回路5を作動させるためのスイッチング素子としてのトランジスタTr1と、から構成されている。
【0012】
接続関係を説明すると、乾電池Eの出力(略6V)は定電圧回路25に接続され、定電圧回路25の出力(略5V)は火災感知回路20に接続されると共にトランジスタTr1を介して駆動回路5の昇圧回路6に接続され、トランジスタTr1のベースは火災感知回路20の火災発報端子と接続されている。また、図2に示すように、トランジスタTr1のコレクタは駆動回路5の昇圧回路6と信号発生回路7に接続されて、駆動回路5の出力(略10V)は警報音生成回路10と接続可能な切り替え回路SWと接続されている。(図2参照)また、この切り替え回路SWは導通検出回路15とも接続されており、警報音生成回路10を駆動回路5または導通検出回路15のいずれか一方に接続可能となっており、通常は駆動回路5に警報音生成回路10は接続した状態となっているものである。また、圧電ブザーAの電極間には、図3に示すように電気抵抗体R1(1〜20kΩ)が、駆動回路5と電気接続している切り替え回路SWからのリード線30が半田付け等で接合している接合部11と異なる部位(接合部12)で半田付け等により接合されているものである。
【0013】
次に動作を説明すると、火災発生の無い通常時は、火災警報器1の火災感知回路20は定電圧回路25の出力(略5V)で火災感知動作をしており、火災感知回路20の火災発報端子はLowと成っている。従って、トランジスタTr1はOFFしており、駆動回路5は作動していない。
【0014】
しかし、火災が発生して火災警報器1つまり火災感知回路20が火災を感知したときは、火災感知回路20の火災発報端子はHighと成り、火災発報端子はトランジスタTr1のベースをHighとするのでトランジスタTr1はONし駆動回路5の昇圧回路6および信号発生回路7が作動する。そして、駆動回路5は入力電圧(略5V)を略倍にした略10Vの最大電圧値を備えた一定周期の変動電圧(パルス電圧)を警報音生成回路10に供給し、警報音生成回路10に組み込まれた高電圧は必要ではあるが大音量の鳴動をすると共に小型かつ低消費電力である圧電ブザーAで警報音を発生する。このようにして、火災警報器1が火災を感知し周囲に居る人々にそれを報知する必要があるがときのみ大音量の警報音を発生し、火災発生の無い通常時は、駆動回路5は作動せず低消費電力である火災感知回路20のみが火災感知動作をしているのである。
【0015】
また、駆動回路5からのリード線30と圧電ブザーAの電極との接合部11の接合状態を検出する際には、切り替え回路SWを操作して導通検出回路15と警報音生成回路10を接続して、抵抗値の測定を行う。そして、導通検出回路15によりインピーダンスの高い圧電ブザーAに並列に接続されている電気抵抗体R1の抵抗値に近いと判断できる測定値が検出された場合には接合状態が良好と判断する。また、導通検出回路15により検出された測定値が電気抵抗体R1の抵抗値に近いと判断できない場合には、接合状態が異常と判断し、火災警報器1に備えられているLED等を点滅させたりして不具合を報知するものである。
【0016】
以上の構成を備えることにより、この実施形態で用いる警報音生成回路10は、圧電ブザーAの電極表面にはんだ付け等を用いて駆動回路5からのリード線30を接合させた接合部11を備えることにより、駆動回路5からの変動電圧に応じて圧電ブザーAを鳴動させて警報音を発生させる警報音生成回路10において、圧電ブザーAの電極間に電気抵抗体R1を前記接合部11と異なる部位で接合させて、圧電ブザーAと電気抵抗体R1を駆動回路5に対して並列に接続いるので、リード線30間のインピーダンスを測定することにより、警報音を発生させることなく容易に圧電ブザーAとリード線30との間の接合状態を検出することができるものである。
【0017】
又、この実施形態で用いる警報音生成回路10は、前記リード線30に駆動回路5または導通検出回路15のいずれかと圧電ブザーAとを電気接続させる切り替え回路SWを備えているので、導通検出回路15が容易となるものである。
【0018】
又、この実施形態で用いる警報音生成回路10は、圧電ブザーAの電極表面にはんだ付け等を用いて駆動回路5からのリード線30を接合させた接合部11を備えることにより、駆動回路5からの変動電圧に応じて圧電ブザーAを鳴動させて警報音を発生させる警報音生成回路10を備えた火災警報器1において、警報音生成回路10は、圧電ブザーAの電極間に電気抵抗体R1を前記接合部11と異なる部位で接合させて、圧電ブザーAと電気抵抗体R1を駆動回路5に対して並列に接続しているので、取り付けた後において警報音生成回路10が正常に動作可能かを点検する際に、その度に警報音を発生させる必要がなく、近隣住民の誤解を招く恐れがないものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本願発明の実施形態に係る火災警報器のシステム構成図。
【図2】同上の警報音生成回路の回路図。
【図3】同上の圧電ブザーの断面図。
【符号の説明】
【0020】
1 火災警報器
5 駆動回路
6 昇圧回路
7 信号発生回路
10 警報音生成回路
11 接合部
12 接合部
15 導通検出回路
20 火災感知回路
25 定電圧回路
30 リード線
A 圧電ブザー
R1 電気抵抗体
SW 切り替え回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電ブザーの電極表面にはんだ付け等を用いて駆動回路からのリード線を接合させた接合部を備えることにより、駆動回路からの変動電圧に応じて圧電ブザーを鳴動させて警報音を発生させる警報音生成回路において、圧電ブザーの電極間に電気抵抗体を前記接合部と異なる部位で接合させて、圧電ブザーと電気抵抗体を駆動回路に対して並列に接続したことを特徴とする警報音生成回路。
【請求項2】
前記リード線に駆動回路または導通検出回路のいずれかと圧電ブザーとを電気接続させる切り替え回路を備えていることを特徴とする請求項1の警報音生成回路。
【請求項3】
圧電ブザーの電極表面にはんだ付け等を用いて駆動回路からのリード線を接合させた接合部を備えることにより、駆動回路からの変動電圧に応じて圧電ブザーを鳴動させて警報音を発生させる警報音生成回路を備えた火災警報器において、警報音生成回路は、圧電ブザーの電極間に電気抵抗体を前記接合部と異なる部位で接合させて、圧電ブザーと電気抵抗体を駆動回路に対して並列に接続したことを特徴とする火災警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−235853(P2006−235853A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47581(P2005−47581)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】