説明

豆乳ソフトクリームミックス及び豆乳ソフトクリーム

【課題】豆乳独特の匂いが抑制され、従来よりも幅広く普及させることが可能な豆乳ソフトクリームミックスを提供する。
【解決手段】豆乳を主成分として含有する豆乳ソフトクリームミックスであって、ココナッツをさらに含有することを特徴とする豆乳ソフトクリームミックス。甜菜糖を主たる甘み成分として含有してもよい。豆乳ホイップをさらに含有してもよい。0.8重量%以上の澱粉と、0.3重量%以上のブドウ糖と、0.01重量%以上の増粘多糖類とをさらに含有してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆乳ソフトクリームミックス及び豆乳ソフトクリームに関する。
【背景技術】
【0002】
豆乳ソフトクリームは、豆乳を主成分として含有するソフトクリームである(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
非特許文献1に記載された豆乳ソフトクリームは、健康食品の代表格として知られている豆乳を主成分として含有するため、近年の健康志向に合致したヘルシーなソフトクリームとなる。また、牛乳などの乳原料を含有していないため、乳アレルギーの人も安心して食することができるソフトクリームとなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】”ソフトクリームミックススタンダード 豆乳”、[online]、日世株式会社、[平成20年8月31日検索]、インターネット<http://www.nissei-com.co.jp/co_standard.jsp>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に記載の豆乳ソフトクリームにおいては、豆乳独特の匂いがあるため、せっかく上記のような特徴を有するソフトクリームでありながら、これを幅広く普及させることができないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、豆乳独特の匂いが抑制され、従来よりも幅広く普及させることが可能な豆乳ソフトクリームを提供することを目的とする。また、そのような豆乳ソフトクリームを製造するための豆乳ソフトクリームミックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意努力を重ねた結果、豆乳ソフトクリームミックスにココナッツを配合すれば、ココナッツの風味により豆乳独特の匂いが効果的に抑制されるようになることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
[1]本発明の豆乳ソフトクリームミックスは、豆乳を主成分として含有する豆乳ソフトクリームミックスであって、ココナッツをさらに含有することを特徴とする。
【0009】
本発明の豆乳ソフトクリームミックスにおいては、3重量%以上のココナッツを含有することが好ましい。
【0010】
[2]本発明の豆乳ソフトクリームミックスにおいては、甜菜糖を主たる甘み成分として含有することが好ましい。
【0011】
本発明の豆乳ソフトクリームミックスにおいては、10重量%以上の甜菜糖を含有することが好ましい。
【0012】
[3]本発明の豆乳ソフトクリームミックスにおいては、豆乳ホイップをさらに含有することが好ましい。
【0013】
本発明の豆乳ソフトクリームミックスにおいては、8重量%以上の豆乳ホイップを含有することが好ましい。
【0014】
[4]本発明の豆乳ソフトクリームミックスにおいては、0.8重量%以上の澱粉と、0.3重量%以上のブドウ糖と、0.01重量%以上の増粘多糖類とをさらに含有することが好ましい。
【0015】
[5]本発明の豆乳ソフトクリームミックスは、豆乳を主成分として含有する豆乳ソフトクリームであって、実質的に、60重量%以上の豆乳と、10重量%以上の甜菜糖と、8重量%以上の豆乳ホイップと、3重量%以上のココナッツと、0.8重量%以上の澱粉と、0.3重量%以上のブドウ糖と、0.01重量%以上の増粘多糖類とのみからなることを特徴とする。
【0016】
[6]本発明の豆乳ソフトクリームは、本発明の豆乳ソフトクリームミックスを用いて製造された豆乳ソフトクリームである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1に係る豆乳ソフトクリームミックスの製造方法を説明するために示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の豆乳ソフトクリームミックス及び豆乳ソフトクリームを実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0019】
[実施形態]
1.実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスの含有成分
実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスは、豆乳を主成分として含有する豆乳ソフトクリームミックスであって、60重量%以上の豆乳と、10重量%以上の甜菜糖と、8重量%以上の豆乳ホイップと、3重量%以上のココナッツと、0.8重量%以上の澱粉と、0.3重量%以上のブドウ糖と、0.01重量%以上の増粘多糖類とを含有する。
【0020】
実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスにおいては、豆乳としては、例えば、大豆固形分が11%以上の豆乳を用いる。豆乳の原料となる大豆としては、例えば、遺伝子組み換えでない大豆を用いる。
【0021】
実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスにおいては、甜菜糖としては、例えば、北海道産の甜菜(ピート)のみを原材料として北海道で製造された高純度の甜菜糖を用いる。
【0022】
実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスにおいては、ココナッツを、例えば、ココナッツ88.5重量%に甜菜糖11.5重量%を含有する冷凍ココナッツピューレの形で配合する。
【0023】
実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスにおいては、豆乳ホイップとしては、例えば、豆乳と、とうもろこしサラダ油から製造される生クリームとから製造される豆乳ホイップを用いる。
【0024】
実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスにおいては、増粘多糖類としては、例えば、グアー豆由来のグアーガム、海藻由来のカラギナン及び糖類(ブドウ等及びデキストリン)を含有する増粘多糖類を用いる。
【0025】
2.実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスの製造方法
図1は、実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスの製造方法を説明するために示すフローチャートである。実施形態1に係る豆乳ソフトクリームミックスは、図1に示すように、(A)製造機殺菌洗浄工程S11、(B)原材料混合工程S12、(C)原材料溶解混合工程S13、(D)均質化工程S14、(E)殺菌工程S15、(F)冷却工程S16、(G)充填工程S17及び(H)冷凍倉庫保管工程S18を順次実施することによって製造することができる。以下、実施形態1に係る豆乳ソフトクリームミックスの製造方法を工程毎に説明する。
【0026】
(A)製造機殺菌洗浄工程S11
まず、原材料混合工程S12、原材料溶解混合工程S13及び均質化工程S14を行う際に用いる混合容器などの製造機を次亜塩素酸などを用いて殺菌洗浄する。この工程を行うことにより、乳成分を系内から除去することが可能となり、乳成分を含有する一般のソフトクリームミックスと、乳成分を含有しない豆乳ソフトクリームミックスとを同一の製造機を用いて作り分けることができる。
【0027】
(B)原材料混合工程
次に、混合容器に、豆乳、甜菜糖、豆乳ホイップ、冷凍ココナッツピューレ、澱粉、ブドウ糖及び増粘多糖類を入れ、これらを混合する。
【0028】
(C)原材料溶解混合工程
次に、甜菜糖、豆乳ホイップ、冷凍ココナッツピューレ、澱粉、ブドウ糖及び増粘多糖類の各成分を60℃で豆乳に溶解混合させる。
【0029】
(D)均質化工程
次に、上記原材料溶解混合工程で得られた溶解混合液をホモゲナイザー中60kgの比較的低圧力を加えて均質化する。
【0030】
(E)殺菌工程
次に、上記均質化工程で得られた均質化溶液(ソフトクリームミックス)を75℃、20分の条件で殺菌する。
【0031】
(F)冷却工程
次に、殺菌工程を終えた溶液(ソフトクリームミックス)を4℃に冷却する。
【0032】
(G)充填工程
次に、冷却された溶液(ソフトクリームミックス)を充填用容器に入れ、蓋をする。
【0033】
(H)冷凍倉庫保管工程
最後に、充填用容器に入れられた溶液(ソフトクリームミックス)をそのまま冷凍倉庫に入れ必要な期間保管する。出荷の際には、充填用容器に入れられた溶液(ソフトクリームミックス)を充填用容器に入れたまま冷凍した状態で出荷する。
【0034】
以上の工程を経て、実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスを製造することができる。
【0035】
3.実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスの効果
実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスによれば、ココナッツを含有するため、ココナッツの風味により豆乳独特の匂いが効果的に抑制されるようになる。その結果、本発明の豆乳ソフトクリームは、豆乳独特の匂いが抑制され、従来よりも幅広く普及させることが可能な豆乳ソフトクリームとなる。
【0036】
また、実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスは、主たる甘み成分として寒冷地で採れる甜菜糖を含有するため、実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスを用いて製造された豆乳ソフトクリームを食する場合、主たる甘み成分として温暖地で採れる砂糖きび由来の砂糖を含有する豆乳ソフトクリームミックスを用いて製造された豆乳ソフトクリームを食した場合とは異なり、マクロビオティック的な「身体を急激に冷やさない作用」を有する。このため、実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスは、従来の豆乳ソフトクリームよりもさらに健康志向に合致した豆乳ソフトクリームミックスとなる。
【0037】
また、実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスによれば、豆乳ホイップを含有するため、乳原料を用いなくても、ソフトクリームミックスに必要なコク・ねっとり感を醸し出すことが可能となる。
【0038】
また、実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスによれば、0.8重量%以上の澱粉を含有するため、豆乳ソフトクリームミックスに適度な粘りを補うことが可能となる。
【0039】
また、実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスによれば、0.3重量%以上のブドウ糖を含有するため、ココナッツ及び甜菜糖を含有するだけでは若干不足気味となる甘さを補うことが可能となる。
【0040】
また、実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスによれば、0.01重量%以上の増粘多糖類を含有するため、澱粉を含有するだけでは若干不足気味となる粘りを適度に補うことが可能となる。
【0041】
また、実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスによれば、ココナッツに甜菜糖を含有する冷凍ココナッツピューレの形でココナッツが配合されているため、甜菜糖以外の甘み成分(例えば、水飴、砂糖、ブドウ糖などの糖分又はステビアなどの人工甘味料。)の配合量を極力少なくしたり完全に零にしたりすることが可能となる。
【0042】
また、実施形態に係る豆乳ソフトクリームミックスは、豆乳を主成分として含有する豆乳ソフトクリームであって、実質的に、60重量%以上の豆乳と、10重量%以上の甜菜糖と、8重量%以上の豆乳ホイップと、3重量%以上のココナッツと、0.8重量%以上の澱粉と、0.3重量%以上のブドウ糖と、0.01重量%以上の増粘多糖類という天然由来の原料のみからなり、発色剤としてのリン酸塩(発がん性が疑われている)や人工甘味量としてのステビア(発がん性が疑われている、おなかをこわす作用が疑われている)などを含有しないものであるため、近年の健康志向にさらに合致した豆乳ソフトクリームミックスとなる。
【0043】
[実施例]
以下の原材料を用いて豆乳ソフトクリームミックスを製造した。
【0044】
[表1]
原材料 含有率
豆乳(遺伝子組み換えでない大豆使用) 68.85重量%
甜菜糖 14.25重量%
豆乳ホイップ 10.15重量%
冷凍ココナッツピューレ 5.00重量%
澱粉 1.15重量%
ブドウ糖 0.55重量%
増粘多糖類(グアーガム、カラギナン) 0.05重量%
【0045】
この豆乳ソフトクリームミックスを用いて豆乳ソフトクリームを製造し、製造された豆乳ソフトクリームを食したところ、豆乳独特の匂いが抑制され、美味しく食することができた。
【0046】
以上説明したように、本発明の豆乳ソフトクリームミックスは、豆乳独特の匂いが抑制され、従来よりも幅広く普及させることが可能な豆乳ソフトクリームミックスとなる。また、本発明の豆乳ソフトクリームは、そのような豆乳ソフトクリームミックスを用いて製造された豆乳ソフトクリームであるため、豆乳独特の匂いが抑制され、従来よりも幅広く普及させることが可能な豆乳ソフトクリームとなる。
【0047】
以上、本発明の豆乳ソフトクリームミックス及び豆乳ソフトクリームを上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0048】
上記実施例に係る豆乳ソフトクリームミックスは、上記7つの原材料を上記の含有率で含有するものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。上記7つの原材料を上記の含有率と異なる含有率で含有するものであってもよい。また、主たる甘み成分として甜菜糖以外の甘み成分(例えば、米飴、水飴、砂糖、黒糖、蜂蜜。)を含有するものであってもよい。また、主たる油脂成分として豆乳ホイップ以外の油脂成分(例えば、植物油脂。)を含有するものであってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
豆乳を主成分として含有する豆乳ソフトクリームミックスであって、
ココナッツをさらに含有することを特徴とする豆乳ソフトクリームミックス。
【請求項2】
請求項1に記載の豆乳ソフトクリームミックスにおいて、
甜菜糖を主たる甘み成分として含有することを特徴とする豆乳ソフトクリームミックス。
【請求項3】
請求項2に記載の豆乳ソフトクリームミックスにおいて、
豆乳ホイップをさらに含有することを特徴とする豆乳ソフトクリームミックス。
【請求項4】
請求項3に記載の豆乳ソフトクリームミックスにおいて、
0.8重量%以上の澱粉と、0.3重量%以上のブドウ糖と、0.01重量%以上の増粘多糖類とをさらに含有することを特徴とする豆乳ソフトクリームミックス。
【請求項5】
豆乳を主成分として含有する豆乳ソフトクリームミックスであって、
実質的に、60重量%以上の豆乳と、10重量%以上の甜菜糖と、8重量%以上の豆乳ホイップと、3重量%以上のココナッツと、0.8重量%以上の澱粉と、0.3重量%以上のブドウ糖と、0.01重量%以上の増粘多糖類とのみからなることを特徴とする豆乳ソフトクリームミックス。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の豆乳ソフトクリームミックスを用いて製造された豆乳ソフトクリーム。

【図1】
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【公開番号】特開2011−92156(P2011−92156A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252078(P2009−252078)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(398050777)株式会社アルソア本社 (10)
【Fターム(参考)】