説明

豆乳又は豆乳含有飲食品の香味改善剤

【課題】消費者の嗜好に合った、豆乳本来の好ましい風味を付与することができる豆乳又は豆乳含有飲食品の香味改善剤、並びに当該香味改善剤をごく微量添加することを特徴とする豆乳又は豆乳含有飲食品の香味改善方法を提供することである。
【解決手段】2−アセチル−2−チアゾリンからなることを特徴とする豆乳の香味改善剤並びに該豆乳の香味改善剤を0.001ppt〜10ppb濃度添加したことを特徴とする豆乳又は豆乳含有飲食品の香味改善方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−アセチル−2−チアゾリンからなることを特徴とする豆乳又は豆乳含有飲食品の香味改善剤、並びに当該改善剤を用いる豆乳又は豆乳含有飲食品の香味改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康に対する需要が高まっており、コレステロールを含まない大豆加工食品は注目されている。
中でも豆乳あるいは豆乳を含有する飲食品(例えば、豆乳プリン、豆乳アイスクリーム、豆乳入りコーンスープ、豆乳入りパンやビスケットなど)は、手軽に摂取できる大豆加工食品のひとつであるが、青臭み、不快なエグ味を有するため、嗜好性の面で問題点を抱えており、このことが豆乳の消費拡大を妨げるひとつの要因となっている。そのため、市販されている豆乳や豆乳含有飲食品は、甘味料、増粘剤、果汁、香料などが添加され、なかでも香料は、バニラ、ココア、紅茶、抹茶、コーヒーなど、青臭み、エグ味のマスキングを目的の一つとして添加されるのが一般的である。
しかしながら、近年の自然への回帰指向から、青臭みとエグ味が抑制されつつ豆乳本来の好ましい風味に対する要望も強く、そのような消費者の嗜好に合った風味の改善された製品の開発が強く要求されている。
【0003】
豆乳の風味改善方法として、乳清蛋白質によるマスキング方法(特許文献1)、パラチノースを添加する方法(特許文献2)、3〜4糖類であるオリゴ糖を添加する方法(特許文献3)などが提案されている。
【0004】
香料によるマスキング方法としては、シソフレーバーを少量添加する方法(特許文献4)、ローズマリーやセージ抽出物を添加する方法(特許文献5)などが提案されているが、どうしても素材の風味が浮き立ってしまうため、豆乳本来の風味を再現するには困難さがあった。香料に対しては、より自然で大豆本来の香気香味の表現に優れた効果を有することが要求されている。そのため、マスキング機能に加えてそれらの要件を併せもった香料素材を開発することが、香料産業において極めて重要な課題となっている。
【0005】
豆乳の風味を阻害せずに、効果的に豆乳臭をマスキングする技術としては、シソ科植物を低温下、アルコールで長時間抽出した抽出物が提案されている(特許文献6)、しかしながら、豆乳本来の美味しさを表現するには不十分であり、豆乳の風味全体を引き立たせる素材が強く求められていた。
【0006】
【特許文献1】特開平08−173050号公報
【特許文献2】特開2003−230365号公報
【特許文献3】特開2006−280310号公報
【特許文献4】特開昭57−079854号公報
【特許文献5】特開昭57−206353号公報
【特許文献6】特開2005−253348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、消費者の嗜好に合った、豆乳本来の好ましい風味を付与することができる豆乳又は豆乳含有飲食品の香味改善剤、かかる香味改善剤を添加した豆乳又は豆乳含有飲食品、並びにかかる香味改善剤をごく微量添加することを特徴とする豆乳又は豆乳含有飲食品の香味改善方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは2−アセチル−2−チアゾリンの香気香味特性について詳細に検討したところ、意外にも当該化合物が煮豆の甘さ、香味のボリューム感、コクを付与する効果を有することを見出し、さらに本発明者らは2−アセチル−2−チアゾリンを豆乳にごく微量添加することにより、極めて自然で良質な豆乳様風味が付与でき、美味しい豆乳の提供が可能になるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1) 2−アセチル−2−チアゾリンからなることを特徴とする豆乳又は豆乳含有飲食品の香味改善剤。
(2) 上記の香味改善剤を0.001ppt〜10ppb濃度添加したことを特徴とする豆乳又は豆乳含有飲食品。
(3) 上記の香味改善剤を食品用香料に0.001ppb〜10ppm濃度添加したことを特徴とする豆乳用香味料組成物。
(4) 上記の香味改善剤を豆乳又は豆乳含有飲食品に0.001ppt〜10ppb添加することを特徴とする豆乳又は豆乳含有飲食品の香味改善方法。
(5) 上記の豆乳用香味料組成物を0.01質量%〜1質量%添加することを特徴とする豆乳又は豆乳含有飲食品の香味改善方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の香味改善剤又は豆乳用香味料組成物を豆乳に使用した場合、青臭みとエグ味が抑制されると同時に良質な豆乳特有のなめらかさ、煮豆の甘さ、香味のボリューム感が顕著に強調され、より一層の天然感が感じられる飲食品を消費者に提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施の形態に即して詳細に説明する。
(1)豆乳の香味改善剤
本発明の有効成分である2−アセチル−2−チアゾリンは、従来の文献に記載されており、例えば、調理した牛肉の香気成分として見い出されている(Z. Lebensm. Unters. Forsch., 194, 322-325, 1992)。また、特表2001−526910号公報においては、ロースト風、ポップコーン風或いはパンの皮風の特徴を有し、パン製品などの用途に適しているとの提案もある。しかしながら、ごく微量の濃度で豆乳の風味付与効果があることは知られていなかった。
【0012】
本発明の香味改善剤の豆乳又は豆乳含有飲食品への添加量は、通常は0.001ppt〜10ppbで用いられ、好ましくは0.01ppt〜10ppbで用いられ、より好ましくは0.01ppt〜1ppbで用いられ、さらに好ましくは0.01ppt〜100pptで用いられ、最も好ましくは0.01ppt〜10pptで用いられる。添加量が0.001ppt未満の場合は風味付与効果が十分でない場合があり、添加量が10ppbを超えた場合は2−アセチル−2−チアゾリンの風味が浮き出る可能性がある。
【0013】
(2)豆乳用香味料組成物
本発明の2−アセチル−2−チアゾリンからなる香味改善剤は、単独で豆乳又は豆乳含有飲食品に用いることもできる他、任意成分として他の食品用香料を添加することもできる。
すなわち、2−アセチル−2−チアゾリンと他の1種又は2種以上の食品用香料とを適宜組合せて豆乳用香味料組成物とすることができる。
【0014】
その様な食品用香料としては、例えばアセト酢酸エチル、アセトフェノン、アニスアルデヒド、α − アミルシンナムアルデヒド、アントラニル酸メチル、イオノン、イソオイゲノール、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、イソチオシアン酸アリル、イソチオシアン酸3 − ブテニル、イソチオシアン酸4 − ペンテニル、イソチオシアン酸ベンジル、イソチオシアン酸3 − メチルチオプロピル、イソチオシアネート類、インドール及びその誘導体、γ − ウンデカラクトン、エステル類、エチルバニリン、エーテル類、
【0015】
オイゲノール、オクタノール、オクタナール、オクタン酸エチル、ギ酸イソアミル、ギ酸ゲラニル、ギ酸シトロネリル、ケイ皮酸、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸メチル、ケトン類、ゲラニオール、酢酸イソアミル、酢酸エチル、酢酸ゲラニル、酢酸シクロヘキシル、酢酸シトロネリル、酢酸シンナミル、酢酸テルピニル、酢酸フェネチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酢酸l − メンチル、酢酸リナリル、サリチル酸メチル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、1 , 8 − シネオール、脂肪酸類、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、脂肪族高級炭化水素類、シンナミルアルコール、シンナムアルデヒド、チオエーテル類、チオール類、デカナール、デカノール、デカン酸エチル、テルピネオール、リモネン、
【0016】
ピネン、ミルセン、タピノーレン、テルペン系炭化水素類、γ − ノナラクトン、バニリン、パラメチルアセトフェノン、ヒドロキシシトロネラール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、ピペロナール、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸エチル、フェノールエーテル類、フェノール類、フルフラール及びその誘導体、プロピオン酸、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ベンジル、ヘキサン酸、ヘキサン酸アリル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、l − ペリラアルデヒド、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、芳香族アルコール類、芳香族アルデヒド類、d − ボルネオール、マルトール、N − メチルアントラニル酸メチル、メチルβ −ナフチルケトン、d l − メントール、l − メントール、酪酸、酪酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸シクロヘキシル、酪酸ブチル、ラクトン類、リナロール等の合成或いは天然由来の香料の他、オレンジ、
【0017】
レモン、ライム、グレープフルーツなどシトラス系精油類、アップル、バナナ、グレープ、メロン、ピーチ、パイナップル、ストロベリーなどフルーツ系の精油或いは回収フレーバー、ミルク、クリーム、バター、チーズ、ヨーグルトなど乳系の抽出香料、緑茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒー、ココアなど嗜好品系の回収フレーバー、ペパーミント、スペアミントなどミント系の精油、アサノミ、アサフェチダ、アジョワン、アニス、アンゼリカ、ウイキョウ、ウコン、オレガノ、オールスパイス、オレンジノピール、カショウ、カッシア、カモミール、カラシナ、カルダモン、カレーリーフ、カンゾウ、キャラウェー、
【0018】
クチナシ、クミン、クレソン、クローブ、ケシノミ、ケーパー、コショウ、ゴマ、コリアンダー、サッサフラス、サフラン、サボリー、サルビア、サンショウ、シソ、シナモン、シャロット、ジュニパーベリー、ショウガ、スターアニス、スペアミント、セイヨウワサビ、セロリー、ソーレル、タイム、タマネギ、タマリンド、タラゴン、チャイブ、ディル、トウガラシ、ナツメグ、ニガヨモギ、ニジェラ、ニンジン、ニンニク、バジル、パセリ、ハッカ、バニラ、パプリカ、ヒソップ、フェネグリーク、ペパーミント、ホースミント、ホースラディッシュ、マジョラム、ミョウガ、ラベンダー、リンデン、レモングラス、レモンバーム、ローズ、ローズマリー、ローレル、ワサビなどから得られる香辛料抽出物、アイスランドモス、アカヤジオウ、アケビ、アサ、アサフェチダ、アジアンタム、アジョワン、アズキ、アスパラサスリネアリス、アップルミント、アーティチョーク、アニス、アボカド、アマチャ、アマチャズル、
【0019】
アミガサユリ、アミリス、アーモンド、アリタソウ、アルカンナ、アルテミシア、アルニカ、アルファルファ、アロエ、アンゴスツラ、アンゴラウィード、アンズ、アンズタケ、アンゼリカ、アンバー、アンバーグリス、アンブレット、イカ、イカリソウ、イグサ、イースト、イタドリ、イチゴ、イチジク、イチョウ、イノコヅチ、イランイラン、イワオウギ、インペラトリア、インモルテル、ウィンターグリーン、ウォータークレス、ウコギ、ウコン、ウスバサイシン、ウッドラフ、ウニ、ウメ、ウーロンチャ、エゴマ、エノキダケ、エビ、エビスグサ、エリゲロン、エルダー、エレウテロコック、エレカンペン、エレミ、エンゴサク、エンジュ、エンダイブ、欧州アザミ、オウレン、オオバコ、
【0020】
オカゼリ、オキアミ、オーク、オークモス、オケラ、オスマンサス、オポポナックス、オミナエシ、オモダカ、オランダセンニチ、オリガナム、オリス、オリバナム、オリーブ、オールスパイス、オレンジ、オレンジフラワー、カイ、カイニンソウ、カカオ、カキ、カサイ、カシューナッツ、カスカラ、カスカリラ、カストリウム、カタクリ、カツオブシ、カッシー、カッシャフィスチュラ、カテキュ、カニ、カーネーション、カノコソウ、カモミル、カヤプテ、カラシ、カラスウリ、カラスビシャク、ガラナ、カラムス、ガランガ、カーラント、カリッサ、カリン、カルダモン、ガルバナム、カレー、カワミドリ、カンゾウ、ガンビア、カンラン、キウィーフルーツ、キカイガラタケ、キキョウ、キク、キクラゲ、キササゲ、ギシギシ、キダチアロエ、キナ、キハダ、キバナオウギ、ギボウシ、ギムネマシルベスタ、キャットニップ、キャラウェイ、キャロップ、
【0021】
キュウリ、キラヤ、キンミズヒキ、グァバ、グァヤク、クコ、クサスギカズラ、クサボケ、クズ、クスノキ、クスノハガシワ、グーズベリー、クチナシ、クベバ、クマコケモモ、グミ、クミン、グラウンドアイビー、クララ、クラリセージ、クランベリー、クリ、クルミ、クリーム、グレインオブパラダイス、クレタディタニー、グレープフルーツ、クローバー、クローブ、クロモジ、クワ、クワッシャ、ケイパー、ゲットウ、ケード、ケブラコ、ゲルマンダー、ケンチュール、ケンポナシ、ゲンノショウコ、コウジ、コウダケ、コウチャ、コウホネ、コカ、コガネバナ、コクトウ、コクルイ、ココナッツ、ゴシュユ、コショウ、コスタス、コストマリー、コパイパ、コーヒー、コブシ、ゴボウ、ゴマ、コーラ、コリアンダー、コルツフート、ゴールデンロッド、
【0022】
コロンボ、コンサイ、コンズランゴ、コンフリー、サイプレス、魚、サクラ、サクランボ、ザクロ、サケカス、ササ、ササクサ、サーチ、サッサフラス、サフラン、サポジラ、サボテン、サラシナショウマ、サルサパリラ、サルシファイ、サルノコシカケ、サンザシ、サンシュユ、サンショウ、サンタハーブ、サンダラック、サンダルウッド、サンダルレッド、シイタケ、ジェネ、シソ、シダー、シトラス、シトロネラ、シヌス、シベット、シマルーバ、シメジ、シャクヤク、ジャスミン、ジャノヒゲ、ジャボランジ、シャロット、シュクシャ、ジュニパーベリー、ショウガ、ショウユ、ショウユカス、ジョウリュウシュ、ショウロ、シロタモギタケ、ジンセン、シンナモン、酢、スイカ、スイセン、
【0023】
スギ、スターアニス、スターフルーツ、スチラックス、スッポン、スッポンタケ、ズドラベッツ、スネークルート、スパイクナード、スプルース、スペアミント、スベリヒユ、スローベリー、セイボリー、セキショウ、セージ、ゼドアリー、セネガ、ゼラニウム、セロリー、センキュウ、センタウリア、センゲン、セントジョーンズウォルト、センナ、ソース、ダイオウ、ダイズ、タイム、タケノコ、タコ、タデ、ダバナ、タマゴ、タマゴタケ、タマネギ、タマリンド、ダミアナ、タモギタケ、タラゴン、タラノキ、タンジー、タンジェリン、タンポポ、チェリモラ、チェリーローレル、チェリーワイルド、チガヤ、チコリ、チーズ、チチタケ、チャイブ、チャービル、チャンパカ、チュベローズ、チョウセンゴミシ、チラータ、ツクシ、ツケモノ、ツタ、ツバキ、ツユクサ、ツリガネニンジン、ツルドクダミ、ディアタング、ティスル、ディタニー、ディル、デーツ、テンダイウヤク、テンマ、トウガラシ、トウキ、ドウショクブツタンパクシツ、ドウショクブツユ、トウミツ、トウモロコシ、ドクダミ、トチュウ、ドッググラス、トマト、ドラゴンブラッド、ドリアン、トリュフ、トルーバルサム、トンカ、ナギナタコウジュ、ナシ、ナスターシャム、
【0024】
ナッツ、ナットウ、ナツメ、ナツメグ、ナデシコ、ナメコ、ナラタケ、ニアウリ、ニュウサンキンバイヨウエキ、ニンジン、ニンニク、ネズミモチ、ネットル、ネムノキ、ノットグラス、バイオレット、パイナップル、ハイビスカス、麦芽、ハコベ、バジル、ハス、ハスカップ、パースカップ、パセリ、バター、バターオイル、バターミルク、バーチ、ハチミツ、パチュリー、ハッカ、バックビーン、ハッコウシュ、ハッコウニュウ、ハッコウミエキ、パッションフルーツ、ハツタケ、バッファローベリー、ハトムギ、ハナスゲ、バナナ、バニラ、ハネーサックル、パパイヤ、バーベリー、ハマゴウ、ハマスゲ、ハマナス、ハマボウフウ、ハマメリス、バラ、パルマローザ、バンレイシ、ヒキオコシ、ヒシ、ピスタチオ、ヒソップ、ヒッコリー、ピーナッツ、ヒノキ、ヒバ、
【0025】
ピプシシワ、ヒメハギ、ヒヤシンス、ヒラタケ、ビワ、ビンロウ、フェイジョア、フェネグリーク、フェンネル、フジバカマ、フジモドキ、フスマ、フーゼルユ、プチグレイン、ブチュ、ブドウ、ブドウサケカス、フトモモ、ブナ、ブナハリタケ、ブラックキャラウェイ、ブラックベリー、プラム、ブリオニア、プリックリーアッシュ、プリムローズ、プルネラ、ブルーベリー、ブレッドフルーツ、ヘイ、ベイ、ヘーゼルナッツ、ベチバー、ベーテル、ベニバナ、ペニーロイヤル、ペパーミント、ヘビ、ペピーノ、ペプトン、ベルガモット、ベルガモットミント、ペルーバルサム、ベルベナ、ベロニカ、ベンゾイン、ボアドローズ、ホアハウンド、ホウ、ホウキタケ、ホウショウ、ボウフウ、ホエイ、
【0026】
ホオノキ、ホースミント、ホースラディッシュ、ボタン、ホップ、ポピー、ポプラ、ポポー、ホホバ、ホヤ、ボルドー、ボロニア、マイタケ、マグウォルト、マシュマロー、マジョラム、マスティック、マソイ、マタタビ、マチコ、マツ、マツオウジ、マッシュルーム、マツタケ、マツブサ、マツホド、マテチャ、マメ、マリーゴールド、マルバダイオウ、マルメロ、マレイン、マロー、マンゴー、マンゴスチン、ミカン、ミシマサイコ、ミソ、ミツマタ、ミツロウ、ミート、ミモザ、ミョウガ、ミルク、ミルテ、ミルフォイル、ミルラ、ミロバラン、ムギチャ、ムスク、ムラサキ、メスキート、メドウスィート、メハジキ、メープル、メリッサ、メリロット、メロン、モウセンゴケ、モニリアバイヨウエキ、モミノキ、モモ、モロヘイヤ、ヤクチ、ヤマモモ、ユーカリ、ユキノシタ、ユズ、ユッカ、ユリ、ヨウサイ、ヨロイグサ、ライオンズフート、
【0027】
ライチ、ライフエバーラスティングフラワー、ライム、ライラック、ラカンカ、ラカンショウ、ラズベリー、ラタニア、ラディッシュ、ラブダナム、ラベンダー、ラングウォルト、ラングモス、ランブータン、リキュール、リーク、リツェア、リナロエ、リュウガン、リョウフンソウ、リョクチャ、リンゴ、リンデン、リンドウ、ルー、ルリジサ、レセダ、レモン、レモングラス、レンギョウ、レンゲ、レンブ、ローズマリー、ロベージ、ローレル、ロンゴザ、ワサビ、ワタフジウツギ、ワームウッド、ワームシード、ワラビ、ワレモコウなどから得られる天然香料などが例示され、適宜選択して使用される。
【0028】
2−アセチル−2−チアゾリンからなる香味改善剤を上記食品用香料と組合せて、豆乳用の香味料組成物を調製する場合における香味改善剤の添加量は、その目的あるいは香味料組成物の種類によって異なるものの、一般的には、香味料組成物全体量の0.001ppb〜10ppmで用いられ、好ましくは0.01ppb〜10ppmで用いられ、より好ましくは0.01ppb〜1ppmで用いられ、さらに好ましくは0.01ppb〜100ppbで用いられ、最も好ましくは0.01ppb〜10ppbで用いられる。添加量が0.001ppb未満の場合は添加効果が十分でない場合があり、添加量が10ppmを超えた場合は2−アセチル−2−チアゾリン自体の香味が強く出てしまう可能性がある。
【0029】
本発明の豆乳用香味料組成物の豆乳への添加量は、通常は0.01質量%〜1.0質量%で用いられ、好ましくは0.01質量%〜0.5質量%で用いられ、より好ましくは0.05質量%〜0.5質量%で用いられ、さらに好ましくは0.05質量%〜0.3質量%で用いられ、最も好ましくは0.05質量%〜0.1質量%で用いられる。添加量が0.01質量%未満の場合は風味付与効果が十分でない場合があり、添加量が1.0質量%を超えた場合は2−アセチル−2−チアゾリンの風味が浮き出る可能性がある。
【0030】
(3)豆乳、豆乳含有飲食品
本発明の香味改善の対象とされる豆乳は、豆腐用の無調整の豆乳(大豆を水に浸漬後擂りつぶし加熱、濾過して得られる乳状飲料)の他、調製豆乳(工場で甘味料・香料・植物油などを加えて飲みやすい味に加工)、豆乳飲料(豆乳や調製豆乳に果実や野菜の搾汁等を加えたもの)であるが、本発明の香味改善剤を無調整の豆乳に用いた場合に改善効果が高い。
また、豆乳含有飲食品は、豆乳クッキー、豆乳ビスケット、豆乳パン、牛乳を豆乳で代用したデザートのヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、豆乳チーズケーキ、豆乳プリン、豆乳入りコーンスープなどである。
【実施例】
【0031】
次に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
2−アセチル−2−チアゾリン(シグマ−アルドリッチ社製)の0.01ppbエタノール溶液を調製し、市販の無調整豆乳(マルサンアイ株式会社製)に0.1質量%添加し、本発明の豆乳飲料を調製した。
【0032】
[比較例1]
シソの葉から抽出したシソフレーバーをエタノールで10倍に希釈し、市販の無調整豆乳(マルサンアイ株式会社製)に0.005質量%添加し、比較品の豆乳飲料を調製した。
【0033】
[比較例2]
シソの葉の95%エタノール抽出物(−20℃、96時間抽出)の10%エタノール溶液を調製し、市販の無調整豆乳(マルサンアイ株式会社製)に0.2質量%添加し、比較品の豆乳飲料を調製した。
【0034】
[試験例1]
本発明品の効果を評価した。評価は、実施例1、比較例1及び比較例2の豆乳飲料を容器充填後殺菌処理し(90℃×10min)、冷却後、熟練したパネル10名により、無添加品をコントロールとして官能評価により行った。評価の基準は、呈味改善効果(風味に優れる:7 〜 コントロール:4 〜 異味異臭がある:1 の7段階)とした。評価点と風味のコメント(自由記述)を表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
[実施例2]
下記表2の処方に従って、各成分を常法により混合して豆乳風味の本発明の香味料組成物1を調製した。
【0037】
【表2】

【0038】
[比較例3]
実施例1の2−アセチル−2−チアゾリンの代わりに同量のエチルアルコールを配合して豆乳風味の比較品の香味料組成物2を得た。
【0039】
[試験例2]
市販の無調整豆乳(マルサンアイ株式会社製)100質量部に実施例2及び比較例3で調製した香料組成物1又は2を0.1質量部添加し、本発明の豆乳飲料1及び比較品の豆乳飲料2を調製した。専門パネラー7名による官能評価試験を行ったところ、豆乳飲料1の方が煮豆の甘さ、香味のボリューム感が顕著に強かった。
【0040】
[試験例3]
市販の無調整豆乳50質量部、水40質量部、砂糖10質量部、乳化剤1.5質量部を加熱撹拌し、分散させた。80℃、15分間殺菌後、10000rpm、5分間乳化を行った後、実施例1及び2で調製した香料組成物1又は2を0.1質量部添加し、容器に充填、冷却し、本発明の豆乳プリン1及び2比較品の豆乳プリン2を調製した。専門パネラー5名による官能評価試験を行ったところ、豆乳プリン1の方が煮豆の甘さ、香味のボリューム感が顕著に強かった。
【0041】
[試験例4]
市販の無調整豆乳50質量部、水40質量部、砂糖10質量部、卵黄3質量部を加熱撹拌し、分散させた。80℃、15分間殺菌後、ホモゲナイザーにて均質化を行い、5℃の冷蔵庫で一晩エージングを行った生地に実施例2及び比較例3で調製した香味料組成物1又は2を0.1質量部添加、フリージングを行い、本発明の豆乳アイスクリーム1及び比較品の豆乳アイスクリーム2を調製した。専門パネラー5名による官能評価試験を行ったところ、豆乳アイスクリーム1の方が煮豆の甘さ、香味のボリューム感が顕著に強かった。
【0042】
[試験例5]
市販の無調整豆乳10質量部、水80質量部、コーンペースト10質量部、砂糖2質量部、食塩0.5質量部を加熱撹拌し、10000rpm、5分間乳化を行った後、実施例2及び比較例3で調製した香味料組成物1又は2を0.1質量部添加し、本発明の豆乳入りコーンスープ1及び比較品の豆乳入りコーンスープ2を調製した。専門パネラー5名による官能評価試験を行ったところ、豆乳入りコーンスープ1の方が煮豆の甘さ、香味のボリューム感が顕著に強かった。
【0043】
[試験例6]
パーム油50質量部に薄力粉50質量部を加え、弱火でゆっくり炒めた。市販の無調整豆乳500質量部、水600質量部、チキンコンソメパウダー3質量部、食塩6質量部を加えてよく混合し、粘度が出るまで弱火でゆっくり加熱した後、実施例2及び比較例3で調製した香味組成物1又は2を0.1質量部添加し、本発明の豆乳入りホワイトソース1及び比較品の豆乳入りホワイトソース2を調製した。専門パネラー5名による官能評価試験を行ったところ、豆乳入りホワイトソース1の方が煮豆の甘さ、香味のボリューム感が顕著に強かった。
【0044】
[試験例7]
強力粉1400質量部に水に溶解させた生イースト40質量部を加えてよく撹拌し、28℃、4時間発酵させた。得られた生地に強力粉600質量部、砂糖100質量部、市販の無調整豆乳100質量部、食塩40質量部、実施例2及び比較例3で調製した香味料組成物1又は2を0.1質量部添加し、生地をよくこねた後、容器に詰め、38℃、40分間発酵後、220℃、40分間焼成し、本発明の豆乳入り食パン1及び比較品の豆乳入り食パン2を調製した。専門パネラー7名による官能評価試験を行ったところ、豆乳入り食パン1の方が煮豆の甘さ、香味のボリューム感が顕著に強かった。
【0045】
[試験例8]
ショートニング15質量部、砂糖30質量部、全卵3質量部、食塩1質量部、実施例2及び比較例3で調製した香味料組成物1又は2を0.1質量部添加し、30分間撹拌後、30分間エージングを行った。得られた生地を型に流し入れ、220℃、5分焼成し、本発明の豆乳入りハードビスケット1及び比較品の豆乳入りハードビスケット2を調製した。専門パネラー7名による官能評価試験を行ったところ、豆乳入りハードビスケット1の方が煮豆の甘さ、香味のボリューム感が顕著に強かった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の添加剤及び香味料組成物を豆乳に使用した場合、煮豆の甘さ、香味のボリューム感が顕著に強調され、より一層の天然感が感じられる飲食品を消費者に提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−アセチル−2−チアゾリンからなることを特徴とする豆乳又は豆乳含有飲食品の香味改善剤。
【請求項2】
請求項1記載の香味改善剤を0.001ppt〜10ppb濃度添加したことを特徴とする豆乳又は豆乳含有飲食品。
【請求項3】
請求項1記載の香味改善剤を食品用香料に0.001ppb〜10ppm濃度添加したことを特徴とする豆乳用香味料組成物。
【請求項4】
請求項1記載の香味改善剤を豆乳又は豆乳含有飲食品に0.001ppt〜10ppb添加することを特徴とする豆乳又は豆乳含有飲食品の香味改善方法。
【請求項5】
請求項3記載の豆乳用香味料組成物を0.01質量%〜1質量%添加することを特徴とする豆乳又は豆乳含有飲食品の香味改善方法。

【公開番号】特開2012−75351(P2012−75351A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221432(P2010−221432)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(591011410)小川香料株式会社 (173)
【Fターム(参考)】