説明

豆乳製造装置

【課題】装置全体をコンパクトにまとめて省スペース化を図る。
【解決手段】水に浸漬した浸漬大豆を貯留する大豆ホッパ11と、この大豆ホッパ11に供給される引き水を貯留する引き水ホッパ12と、大豆ホッパ11の下部に付設され浸漬大豆を引き水とともに定量ずつ供給する供給機20と、供給された浸漬大豆を摩砕して生呉を生成する摩砕機30と、この摩砕機30で生成された生呉を貯留する煮沸釜40と、この煮沸釜40を載置可能に設けられ貯留された生呉を加熱して煮呉を生成する電磁誘導加熱器50と、煮沸釜40で生成された煮呉を汲み上げて給送するポンプ60と、ポンプ60により給送された煮呉を圧搾して豆乳を生成する圧搾機70と、がフレーム10に一体的に組み付けて配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆乳製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
豆乳製造装置の一般的な構造は、水に浸漬した浸漬大豆を摩砕機により摩砕して生呉を生成し、この生呉を煮沸釜内で蒸気により加熱して煮沸することで煮呉を生成し、この煮呉を圧搾機で搾ることによりおからと分離して豆乳が得られるようになっている。なお、このような豆乳製造装置は、特許文献1に記載されている。
従来この種の豆乳製造装置は、豆乳製造工場さらには豆腐製造工場に設置されて使用されているが、近年では、新鮮な豆乳並びに豆乳加工製品をその場で提供できるように、個々の飲食店の厨房や、各種イベント会場のブース等に設置する機運が高まりつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−214815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の装置では、特に煮沸釜内で生呉を煮沸する手段として蒸気による加熱方式を採っているため、必然的にボイラの付設が必要となって装置全体が大型化する。そのため、上記した飲食店の厨房やブースといった言わば小規模な場所では、設置スペースやボイラの設置基準の関係から適用することが難しく、その対策が切望されていた。
なお、良質の豆乳を得るための一手段として、煮沸された煮呉を直ちに搾るのではなく、同煮呉を煮沸時の温度付近に保持して寝かせるすなわち熟成させることが一部で提案されている。蒸気加熱方式では、煮沸時と熟成時とで蒸気の噴出量を変更して温度制御を行っており、具体的には、煮沸用と熟成用の2種類の蒸気噴出管を備えて、両噴出管をバルブで切り替えるようにしているが、構造が嵩高となるのに加えて、蒸気噴出量の制御自体が難しく、温度制御に正確さを欠く嫌いがあり、これについてもその改善が切望されていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、装置全体をコンパクトにまとめて省スペース化を図るところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の豆乳製造装置は、水に浸漬した浸漬大豆を貯留する大豆ホッパと、この大豆ホッパに供給される引き水を貯留する引き水ホッパと、前記大豆ホッパの下部に付設され浸漬大豆を引き水とともに定量ずつ供給する供給機と、供給された浸漬大豆を摩砕して生呉を生成する摩砕機と、この摩砕機で生成された生呉を貯留する煮沸釜と、この煮沸釜を載置可能に設けられ貯留された生呉を加熱して煮呉を生成する電磁誘導加熱器と、前記煮沸釜で生成された煮呉を汲み上げて給送するポンプと、前記ポンプにより給送された煮呉を圧搾して豆乳を生成する圧搾機とを、フレームに一体的に組み付けて配設したところに特徴を有する。
【0006】
浸漬大豆が引き水とともに摩砕機に定量供給され、同摩砕機で摩砕されることで生呉が生成されて煮沸釜に貯留される。煮沸釜内において生呉が電磁誘導加熱器で加熱されて煮沸されることにより煮呉が生成され、この煮呉が圧搾機に給送されて同圧搾機で搾られることによりおからと分離して豆乳が得られる。
特に煮沸釜内で生呉を煮沸する手段として電磁誘導加熱器を適用し、この電磁誘導加熱器を含めた装置の構成要素をフレームに一体的に組み付けて設けたから、ボイラの付設が必須である蒸気加熱方式のものと比較すると、装置全体がコンパクトにまとまって設置スペースが削減でき、またボイラの使用制限を受けることも無くなるから、飲食店の厨房やブースといった小規模な場所にも有効に設置することが可能となる。
また、煮呉を生成する際の加熱温度の制御を、電磁誘導加熱器への例えば通電率の調整で実行することができるから、制御用に新たな部材を配する必要がなくて構造の複雑化を招くことがなく、また温度制御もより正確に行うことが可能となる。
【0007】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記摩砕機が、ケース内にクリアランスを持って配したメッシュ製の筒体内に、先端縁に凹凸を形成した回転羽根をその先端縁を前記筒体の内面に摺接させつつ回転可能に嵌装してなるおろし金式のものであって、前記摩砕機の下部側には前記回転羽根を駆動するモータが前記回転羽根と同軸上に連設されているとともに、前記圧搾機がスクリュープレス式のものであり、前記フレーム内の横幅方向の中央部には、前記ポンプと、前記電磁誘導加熱器と、前記煮沸釜とが積み上げ状に配設され、前記煮沸釜の横幅方向の一側には、前記摩砕機が上端側を内方に傾けた斜め姿勢で配設されるとともに、前記摩砕機の上方には前記大豆ホッパが配設され、前記摩砕機の導入口が前記供給機に、導出口が前記煮沸釜にそれぞれ接続され、かつ前記大豆ホッパの上方に前記引き水ホッパが配設されており、前記煮沸釜の横幅方向の他側には前記圧搾機が前後方向を向いて配設され、この圧搾機の下方には、分離された豆乳とおからとを個別に貯留する豆乳タンクとおからタンクとが、前後方向に並びかつ正面からの出し入れ可能に設置されている。
【0008】
大豆ホッパ内に引き水とともに貯留された浸漬大豆は、供給機からおろし金式の摩砕機に導入口から定量供給されつつ同摩砕機で摩砕され、生成された生呉が導出口から導出されて煮沸釜に貯留される。貯留された生呉は、電磁誘導加熱器で加熱されて煮沸されることにより煮呉が生成され、この煮呉がポンプでスクリュー式の圧搾機に給送され、同圧搾機で搾られることにより豆乳とおからとが分離して得られ、豆乳は豆乳タンクに、おからはおからタンクにそれぞれ溜められる。
特に、モータを同軸に設けたおろし金式の摩砕機を、煮沸釜の横幅方向の一側において上端側を内方に傾けた斜め姿勢で配したから、同摩砕機を起立姿勢で設けた場合と比較すると側方への張出量が抑えられ、また、軸方向に長いスクリュー式の圧搾機を、煮沸釜の他側において前後方向を向いた姿勢で配したから、反対側における側方への張出量も抑えられ、装置全体を横幅方向の寸法が抑えられたコンパクトなものにまとめることができる。
【0009】
(2)前記圧搾機に設けられた水の流出口と前記煮沸釜に設けられた水の流入口とが開閉弁を備えた還流管で接続され、かつ前記煮沸釜と前記ポンプの吸込口との間には開閉弁を備えた排水管が設けられるとともに、前記圧搾機における豆乳の排出口には開閉弁を設けた排出管が接続されて前記豆乳タンクに臨んで配管されている。
豆乳の製造時には、還流管の開閉弁と排水管の開閉弁とが閉じられる一方、圧搾機に設けられた豆乳の排出管の開閉弁が開かれており、圧搾機で生成された豆乳が排出管から豆乳タンクに排出されて溜められる。
煮沸釜、ポンプ並びに圧搾機の内部を洗浄する場合は以下のようにして行う。還流管の開閉弁は開き、排水管と排出管の開閉弁は閉じる。引き水ホッパに貯留した引き水を洗浄水とし、同洗浄水を大豆ホッパと摩砕機とを通して煮沸釜に貯留する。この状態でポンプを駆動すると、煮沸釜から洗浄水が汲み上げられて圧搾機に導入され、そののち還流管を通って煮沸釜に還流される、といったように洗浄水が循環流通され、この間に洗浄が行われる。所定の洗浄時間が終了すると、ポンプが停止されるとともに、排水管の開閉弁が開かれることで煮沸釜に残った洗浄水が排水され、また圧搾機に接続され排出管の開閉弁が開かれることで、圧搾機に残った洗浄水が豆乳タンク内に排水される。
【0010】
(3)前記摩砕機は、上端側を内方に傾けた斜め姿勢と垂直な起立姿勢との間で傾動可能に支持されており、前記摩砕機の前記導入口が前記供給機に対して分離可能な継手によって接続されている。
摩砕機は、継手から分離して垂直な起立姿勢に傾動させることができ、これにより摩砕機の上面側が上方に開放された状態にできるから、内部の洗浄やメンテナンスのときに便利となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装置全体をコンパクトにまとめて省スペース化を図ることができ、設置可能場所を大幅に拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る一部切欠正面図
【図2】その一部切欠部分側面図
【図3】その概略システム構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図3によって説明する。
この実施形態では、構成部材として、水に浸漬した浸漬大豆を貯留する大豆ホッパ11と、この大豆ホッパ11に供給される引き水を貯留する引き水ホッパ12と、大豆ホッパ11の下部に付設され浸漬大豆を引き水とともに定量ずつ供給する供給機20と、供給された浸漬大豆を摩砕して生呉を生成する摩砕機30と、この摩砕機30で生成された生呉を貯留する煮沸釜40と、この煮沸釜40を載置可能に設けられ貯留された生呉を加熱して煮呉を生成する電磁誘導加熱器50と、煮沸釜40で生成された煮呉を汲み上げて給送するポンプ60と、ポンプ60により給送された煮呉を圧搾して豆乳を生成する圧搾機70とが備えられ、フレーム10に一体的に組み付けて配設されている。
【0014】
フレーム10は、アングル材やチャンネル材を組み付けることで、全体としてやや縦長の直方体状に形成されている。なお、図1と図2では、フレーム10の一部が省略して図示されている。
大豆ホッパ11と引き水ホッパ12とは、共に下端部に縮径された出口11A,12Aが設けられた円筒形状に形成されており、大豆ホッパ11の内容積が4L強、引き水ホッパ12の内容積が5L強となっている。
引き水ホッパ12は大豆ホッパ11よりも高位置に配設されており、引き水ホッパ12の出口12Aから引き出された給水管13が大豆ホッパ11の上面に臨んで配管され、この給水管13には、引き水用の第1電磁開閉弁14と、流量表示計15と、流量調整弁16とが上流側から順次に介設されている。
【0015】
大豆ホッパ11の出口11Aの下側には供給機20が接続されている。供給機20は、短寸の円筒形をなすケース21内に、複数枚の羽根を放射状に設けてなる回転羽根22が、第1モータ23の駆動力で定速回転駆動可能に嵌装された構造であって、上面には導入口25が下面には導出口26が開口されていて、回転羽根22が回転駆動されることに伴い、浸漬大豆を引き水とともに定量ずつ供給するようになっている。
【0016】
摩砕機30はおろし金式のものであって、環形のケース31内にクリアランスを持ってメッシュ製の筒体32が配設されるとともに、同筒体32内に、図示2枚の羽根34を180度間隔で設けた回転羽根33が、各羽根34の先端縁34Aを筒体32の内面に摺接させつつ回転可能に嵌装され、かつ各羽根34の先端縁34Aに凹凸が形成された構造である。この摩砕機30がブラケット35の上部側に取り付けられる。
一方、摩砕機30の下部側には、上記の回転羽根33を駆動する第2モータ36が回転羽根33と同軸上に配されて接続され、同第2モータ36はブラケット35の下部側に取り付けられている。
【0017】
摩砕機30の機能は、上面の導入口37から筒体32の内側に浸漬大豆が引き水とともに供給されると、同浸漬大豆が回転する羽根34の先端縁34Aで筒体32の内面に押し付けられつつ摩砕され、摩砕された浸漬大豆が筒体32の外側のクリアランスに生呉として押し出される。そしてクリアランスに押し出された生呉は、ケース31の外周の一部においてクリアランスと連通して設けられた生呉の導出口38から排出されるようになっている。
【0018】
なお、摩砕機30と第2モータ36とを同軸上に取り付けたブラケット35は、その下端がフレーム10上の所定位置において軸39を中心として傾動可能に支持され、図1に示すように、摩砕機30の上端側が右側に所定角度傾倒した傾倒位置と、垂直に起立した起立位置との間で傾動可能となっており、上記した導出口38は、所定の傾倒姿勢を採った場合に、真っ直ぐ下を向いた姿勢を採るような形態で形成されている。
【0019】
摩砕機30で生成された生呉は煮沸釜40にて貯留され、電磁誘導加熱器50で煮沸されるようになっている。電磁誘導加熱器50は、煮沸釜40を載置するプレート51の下面に加熱コイル52を配した構造であって、加熱コイル52に高周波電流を流すことにより発生した高周波磁界により、煮沸釜40を誘導加熱するように機能する。
【0020】
煮沸釜40は平面円形のビーカー状をなし、その底部側において、1回の工程で生成される生呉を貯留するのに十分な容積(本実施形態では、12.4L程度)を備えている。上記した電磁誘導加熱器50への通電により高周波磁界が形成されるように、少なくとも底部側は、ステンレス鋼等の磁性金属によって形成されている。
煮沸釜40内の底部には、攪拌羽根42が、同煮沸釜40の蓋板41の上面に設けられた第3モータ43により縦軸回りの回転可能に設けられている。攪拌羽根42の突出端が煮沸釜40の底部の内周面に摺接する構造であると、同内周面上での焦げ付きを削ぐことにも有効となる。
【0021】
ポンプ60は、第4モータ61により駆動されるものであって、その吸込口63が煮沸釜40の底部に設けられた導出口45と接続管46で接続され、同接続管46には、第2電磁開閉弁47が介設されている。ポンプ60の吐出口63は、圧搾機70と接続されている。
【0022】
圧搾機70はスクリュープレス式のものであって、図2に示すように、細長い円筒形のジャケット71内に、円筒形をなす圧搾スクリーン72が、受け板73で受けられつつクリアランスを持って嵌装され、この圧搾スクリーン72内に、軸75上に圧搾羽根76を螺旋状に設けてなるスクリュー74が、緊密にかつ第5モータ77による軸線回りの回転可能に嵌装されている。スクリュー74の圧搾羽根76のピッチが出口側に向かうほど狭くなっている。
【0023】
圧搾スクリーン72の出口には、蓋体78が装備されてコイルばね79の弾力で閉止付勢されており、コイルばね79の弾縮力を調整することで圧搾圧が調整できるようになっている。圧搾スクリーン72の入口側には導入筒80が形成され、この導入筒80に煮呉の供給口81が設けられて、上記したポンプ60の吐出口63と流通管65により接続されている。また、ジャケット71の下面側には豆乳の排出口82が形成され、この排出口82から第1手動開閉弁84が介設された排出管83が引き出されている。
また、圧搾スクリーン72の出口の下面側には、シュート85が先下がりの斜め姿勢で設けられている。
【0024】
圧搾機70の機能としては、供給口81から導入された煮呉は、スクリュー74によって出口側に向けて移送される間に圧搾され、その液部分である豆乳が圧搾スクリーン72の微少孔から流出してジャケット71内で受けられ、排出口82から排出され、また、残った固形部分であるおからは、ばね弾力に抗して蓋体78を押し開けつつシュート85へと排出されるようになっている。
【0025】
続いて、上記した各構成部材のフレーム10に対しての配設構造についてさらに説明する。
フレーム10内の底部位置における横幅方向の中央部には、煮呉の給送用のポンプ60が設置され、その左側に、同ポンプ60の駆動用の第4モータ61が横向きに設置されている。
上記のポンプ60の上方位置には電磁誘導加熱器50が取り付けられ、同電磁誘導加熱器50のプレート51の上面に煮沸釜40が載置されて固定される。煮沸釜40の底部の導出口45とポンプ60の吸込口62とが接続管46で接続されている。
【0026】
煮沸釜40の左側には、摩砕機30と第2モータ36とを取り付けたブラケット35が軸39を中心として傾動可能に取り付けられ、摩砕機30が、煮沸釜40の左斜め上方位置において、上面側を右側に傾けた斜め姿勢を採って固定され、それに伴い、摩砕機30の導出口38が、煮沸釜40の蓋板41に設けられた供給口48と接続されている。
【0027】
煮沸釜40の蓋板41上に設けられた第3モータ43と、摩砕機30との間における少し上方位置には、下側に供給機20を設けた大豆ホッパ11が配設されている。供給機20の導出口26と、摩砕機30の導入口37とが、分離可能な継手27によって接続されている。
大豆ホッパ11の左上方位置には引き水ホッパ12が取り付けられ、その出口12Aから引き出された給水管13が大豆ホッパ11の上面に臨んで配管されている。
【0028】
煮沸釜40の右側には、圧搾機70が出口側を手前に向けた前後方向に沿った向きで設置されており、この圧搾機70の供給口81とポンプ60の吐出口63とが流通管65で接続されている。
煮沸釜40の下方の収容空間90には、豆乳タンク91とおからタンク92とが前後に並び、かつ手前側からの出し入れ可能に収容されている。
豆乳タンク91には、圧搾機70の排出口82から垂下された排出管83が臨んでいるとともに、おからタンク92の上方には、圧搾機70の出口側に設けられたシュート85が臨んでいる。
【0029】
圧搾機70の上方には、操作盤96を備えた制御ボックス95が搭載されており、同制御ボックス95内には、マイクロコンピュータやタイマ等を備えて、上記各構成部材の駆動やシステム全体の運転を制御する制御部が格納されている。なお、煮沸釜40には、同煮沸釜40内の煮呉の温度を検知する温度センサ49が設けられ、制御部の入力ポートに接続されている。
【0030】
また、経路内の洗浄用として、図3に示すように、圧搾機70のジャケット71の上面に設けられた水の流出口100と、煮沸釜40における上部の周面に設けられた水の流入口101とが還流管102で接続され、同還流管102には第2手動開閉弁103が介設されている。また、煮沸釜40とポンプ60の吸込口62とを接続した接続管46における第2電磁開閉弁47の下流側に、第3手動開閉弁106を介設した排水管105が分岐接続されている。
【0031】
次に、本実施形態の装置を用いた製造工程の一例を図3によって説明する。本例では、生大豆量1Kgから、濃度10%の豆乳を得る場合を例示する。
運転に先立ち、装置側では、圧搾機70における豆乳の排出管83の第1手動開閉弁84は開放する一方、圧搾機70と煮沸釜40との間の還流管102の第2手動開閉弁103と、ポンプ60の入口側で分岐配管された排水管105の第3手動開閉弁106とを閉じておく。
【0032】
生大豆(1Kg)を水に浸漬して生成された浸漬大豆(2.2Kg)が大豆ホッパ11に貯留される一方、引き水(4.9L)が引き水ホッパ12に貯留される。この状態で操作盤96に設けられたスタートスイッチを入れると、引き水用の第1電磁開閉弁14が開き、引き水が流量調整弁16で設定された1L/minの流量で大豆ホッパ11内に導入される。
それとともに供給機20と摩砕機30とが駆動され、浸漬大豆が引き水とともに供給機20から摩砕機30に向けて定量供給される。この定量供給は、5分30秒を掛けて行われる。
摩砕機30に供給された浸漬大豆は同摩砕機30で摩砕されることで順次に生呉が生成され、生成された生呉は、導出口38から煮沸釜40内に滴下されて貯留される。
【0033】
一方、電磁誘導加熱器50に対して高通電率(85%)で通電されるとともに、攪拌羽根42が比較的高速で回転駆動される。これにより、煮沸釜40内に次第に貯留された生呉が攪拌されつつ加熱され、煮沸されることで煮呉が生成される。この間、温度センサ49によって煮呉の温度が検知され、煮呉の温度が94℃に達したところで(通電開始から約10分後)、煮沸工程が完了して熟成工程に切り替わる。
【0034】
熟成工程では、電磁誘導加熱器50に対して低通電率(30%)で通電されるとともに、攪拌羽根42が比較的低速で回転駆動される。熟成工程は5分間実行され、この間、煮呉は、煮沸時の温度付近(98℃程度)に保持されて寝かされた状態となり、すなわち熟成される。
熟成時間が経過すると、電磁誘導加熱器50への通電が停止されるとともに、攪拌羽根42の駆動が停止され、それに代わって第2電磁開閉弁47が開くとともに、ポンプ60と圧搾機70とが駆動される。
【0035】
これにより、煮沸釜40内で熟成された煮呉が、ポンプ60によりスクリュー式の圧搾機70に順次に給送され、同圧搾機70で搾られることにより豆乳とおからとが分離して得られ、豆乳は豆乳タンク91に、おからはおからタンク92にそれぞれ溜められる。圧搾時間は4分間が採られ、同時間が経過するとポンプ60並びに圧搾機70が停止して全製造工程が完了する。それに伴い、駆動状態にあった他の構成部材等は、運転開始前の状態に戻される。
【0036】
経路の洗浄は以下のようにして行う。洗浄運転に先立ち、圧搾機70における豆乳の排出管83の第1手動開閉弁84と、ポンプ60の入口側で分岐配管された排水管105の第3手動開閉弁106とは閉じた状態とし、圧搾機70と煮沸釜40との間の還流管102の第2手動開閉弁103は開く。それとともに、引き水ホッパ12に洗浄水を溜める。
この状態で洗浄運転のスタートスイッチを入れると、引き水用(洗浄水用)の第1電磁開閉弁14が開いて、洗浄水が大豆ホッパ11内に導入される。それとともに供給機20と摩砕機30とが駆動されて、洗浄水は供給機20と摩砕機30を通って煮沸釜40内に貯留される。
【0037】
煮沸釜40にある程度の洗浄水が溜まった状態になると、第2電磁開閉弁47が開くとともに、ポンプ60が比較的高速駆動され、圧搾機70も駆動される。これにより煮沸釜40から洗浄水が汲み上げられて圧搾機70に導入され、そののち還流管102を通って煮沸釜40に還流される、といったように洗浄水が循環流通され、この間に、煮沸釜40、ポンプ60並びに圧搾機70に亘る洗浄が行われる。
【0038】
洗浄運転開始から20分が経過すると洗浄工程が終了し、ポンプ60が停止されるとともに、駆動状態にあった他の構成部材等は、洗浄運転開始前の状態に戻される。
洗浄運転が終了したら、ポンプ60の入口側に分岐配管された排水管105の第3手動開閉弁106を開くことで、煮沸釜40に残った洗浄水が排水され、また圧搾機70に接続された排出管83の第1手動開閉弁84が開かれることで、圧搾機70に残った洗浄水が豆乳タンク91内に排水される。
【0039】
以上のように本実施形態の豆乳製造装置は、特に煮沸釜40内で生呉を煮沸する手段として電磁誘導加熱器50を適用し、この電磁誘導加熱器50を含めた装置の構成要素をフレーム10に一体的に組み付けて設けたから、ボイラの付設が必須である蒸気加熱方式のものと比較すると、装置全体がコンパクトにまとまって設置スペースが削減でき、またボイラの使用制限を受けることも無くなるから、飲食店の厨房やブースといった小規模な場所にも有効に設置することが可能となる。
生呉を煮沸し、煮沸された煮呉を熟成する際の加熱温度の制御を、電磁誘導加熱器50への通電率の調整で実行することができるから、制御用に新たな部材を配する必要がなくて構造の複雑化を招くことがなく、また温度制御もより正確に行うことができる。
【0040】
また、第2モータ36を同軸に設けたおろし金式の摩砕機30を、煮沸釜40の左側において上端側を内方に傾けた斜め姿勢で配したから、同摩砕機30を起立姿勢で設けた場合と比較すると左側方への張出量が抑えられ、また、軸方向に長いスクリュー式の圧搾機70を、煮沸釜40の右側において前後方向を向いた姿勢で配したから、右側方への張出量も抑えられ、装置全体を横幅方向の寸法が抑えられたコンパクトなものにまとめることができる。
さらに、摩砕機30は、上端側を内方に傾けた斜め姿勢と垂直な起立姿勢との間で傾動可能に支持され、摩砕機30の導入口37を供給機20に対して分離可能な継手27によって接続した構造としたから、摩砕機30は、継手27から分離して垂直な起立姿勢に傾動させることができる。これにより摩砕機30の上面側が上方に開放された状態にでき、内部の洗浄やメンテナンスのときに便利となる。
【0041】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)製造される豆乳の濃度を変更する場合は、引き水の加水量を変更することで対応できる。
(2)装置の構成部材をフレームに組み付ける配設構造は、上記実施形態に例示したものに限らず、左右逆に変える等、適宜に変更できるものである。
(3)上記実施形態に例示した電磁誘導加熱器の加熱温度や、各構成部材の駆動時間等はあくまでも一例であって、大豆の種類や量等の条件に応じて、任意に設定し得るものである。
【符号の説明】
【0042】
10…フレーム 11…大豆ホッパ 12…引き水ホッパ 20…供給機 30…摩砕機 31…ケース 32…筒体 33…回転羽根 34…羽根 34A…(羽根34の)先端縁 36…第2モータ(モータ) 37…導入口 38…導出口 40…煮沸釜 50…電磁誘導加熱器 60…ポンプ 62…吸込口 70…圧搾機 82…排出口 83…排出管 84…第1手動開閉弁(開閉弁) 90…収容空間 91…豆乳タンク 92…おからタンク 100…流出口 101…流入口 102…還流管 103…第2手動開閉弁(開閉弁) 105…排水管 106…第3手動開閉弁(開閉弁)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に浸漬した浸漬大豆を貯留する大豆ホッパと、この大豆ホッパに供給される引き水を貯留する引き水ホッパと、前記大豆ホッパの下部に付設され浸漬大豆を引き水とともに定量ずつ供給する供給機と、供給された浸漬大豆を摩砕して生呉を生成する摩砕機と、この摩砕機で生成された生呉を貯留する煮沸釜と、この煮沸釜を載置可能に設けられ貯留された生呉を加熱して煮呉を生成する電磁誘導加熱器と、前記煮沸釜で生成された煮呉を汲み上げて給送するポンプと、前記ポンプにより給送された煮呉を圧搾して豆乳を生成する圧搾機と、をフレームに一体的に組み付けて配設したことを特徴とする豆乳製造装置。
【請求項2】
前記摩砕機が、ケース内にクリアランスを持って配したメッシュ製の筒体内に、先端縁に凹凸を形成した回転羽根をその先端縁を前記筒体の内面に摺接させつつ回転可能に嵌装してなるおろし金式のものであって、前記摩砕機の下部側には前記回転羽根を駆動するモータが前記回転羽根と同軸上に連設されているとともに、
前記圧搾機がスクリュープレス式のものであり、
前記フレーム内の横幅方向の中央部には、前記ポンプと、前記電磁誘導加熱器と、前記煮沸釜とが積み上げ状に配設され、
前記煮沸釜の横幅方向の一側には、前記摩砕機が上端側を内方に傾けた斜め姿勢で配設されるとともに、前記摩砕機の上方には前記大豆ホッパが配設され、前記摩砕機の導入口が前記供給機に、導出口が前記煮沸釜にそれぞれ接続され、かつ前記大豆ホッパの上方に前記引き水ホッパが配設されており、
前記煮沸釜の横幅方向の他側には前記圧搾機が前後方向を向いて配設され、この圧搾機の下方には、分離された豆乳とおからとを個別に貯留する豆乳タンクとおからタンクとが、前後方向に並びかつ正面からの出し入れ可能に設置されていることを特徴とする請求項1記載の豆乳製造装置。
【請求項3】
前記圧搾機に設けられた水の流出口と前記煮沸釜に設けられた水の流入口とが開閉弁を備えた還流管で接続され、かつ前記煮沸釜と前記ポンプの吸込口との間には開閉弁を備えた排水管が設けられるとともに、前記圧搾機における豆乳の排出口には開閉弁を設けた排出管が接続されて前記豆乳タンクに臨んで配管されていることを特徴とする請求項2記載の豆乳製造装置。
【請求項4】
前記摩砕機は、上端側を内方に傾けた斜め姿勢と垂直な起立姿勢との間で傾動可能に支持されており、前記摩砕機の前記導入口が前記供給機に対して分離可能な継手によって接続されていることを特徴とする請求項2または請求項3記載の豆乳製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−105604(P2012−105604A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258111(P2010−258111)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000140971)株式会社間瀬 (5)
【Fターム(参考)】