説明

豚インフルエンザ治療用伝統漢方薬組成物、その調製方法および使用

豚インフルエンザを予防および治療するための伝統漢方薬組成物、その調製方法ならびに使用。ジュウヤク(十薬)(Herba Houttuyniae)21.4重量%、ニンドウ(忍冬)(Caulis Lonicerae Japonicae)17.9重量%、バンランコン(板藍根)(Radix Isatidis)14.3重量%、シナモンシダ根茎(Rhizoma Osmundae)10.7重量%、サンズコン(山豆根)(Radix Sophorae Tonkinensis)7.1重量%、ビャクシ(白し)(Radix Heraclei Scabridi)7.1重量%、ジュウロウ(重楼)(Rhizoma Paridis)7.1重量%、ヨモギ(蒿)(Herba artemisiae)7.1重量%およびシャカン(Rhizoma Belamcandae)7.1重量%を使用することにより該伝統漢方薬組成物を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は豚インフルエンザ(SI)を治療するための伝統漢方薬組成物、その調製方法および使用に関する。具体的には、本発明は、豚インフルエンザを治療するための、薬草から作られる伝統漢方薬組成物、その調製方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
豚インフルエンザの病原体は、オルソミクソウイルス科のメンバーである、豚インフルエンザウイルス(SIV)である。このウイルスは、多形性であり、直径おおよそ100nmであり、およびエンベロープを有し、このエンベロープの表面には、スパイクと通常呼ばれる突起した糖たんぱく質がある。2つのタイプのスパイク、すなわちヘムアグルチニン(HA)およびノイラミニダーゼ(neuramidinase)(NA)、があり、これらの両方が、インフルエンザウイルスの亜型および株を特定するための主要な証拠である。HAは、好適条件下で一部の動物の赤血球を凝集させることができ、ならびに感染中のターゲット細胞の認識および該細胞への結合に関与する。NAは、付着ウイルスを赤血球から引き離すことができるばかりでなく、ウイルスを感染細胞から放出させることもできる。同ウイルスのヘムアグルチニン抗体は、ウイルスの細胞への付着を防止することができ、従って、ウイルス感染の予防に重要な役割を果たし、一方、ノイラミニダーゼ(neuramidinase)抗体は、細胞へのウイルスの感染を阻害できる。HAおよびNAに加えて、ウイルスタンパク質は、マトリックスタンパク質(M)、核タンパク質(NP)、ポリメラーゼ(PA、PB1、PB2)および非構造タンパク質(NS)を含む。
【0003】
豚インフルエンザは、ブタの急性感染性呼吸器疾患であり、突然の発症、咳、呼吸困難、発熱および迅速予後を特徴とする。豚インフルエンザは、A型インフルエンザウイルスであるウイルスによって引き起こされるブタの呼吸器疾患である。これは、通常、ブタにおいて発生し、高感染性であるが、死に至ることは滅多にない。豚インフルエンザは1年を通じて伝播され得るが、秋および冬の間に高い豚インフルエンザ発症率が現れる。豚インフルエンザウイルスは、通常、C型インフルエンザウイルス、またはA型インフルエンザ亜型の1つとして認識されており、これらはブタにおけるインフルエンザの発生の原因となり得る。ヒトは、正常条件下では豚インフルエンザウイルスに滅多に感染しない。
【0004】
H1N1、H1N2、H3N1、H3N2およびH2N3亜型を含めて、多くの型のA型インフルエンザウイルスがあり、これらのすべてが、A型インフルエンザ(H1N1)感染の原因となり得る。鳥インフルエンザとは異なり、A型インフルエンザ(H1N1)は、ヒトの間で流行することがある。ヒトがA型インフルエンザ(H1N1)に感染したことがかつてあったが、A型インフルエンザ(H1N1)がヒトの間で伝播されたことを示す事例はなかった。2009年の4月、メキシコは、A型インフルエンザ(H1N1)が人から人へと伝播される事例を報告し、この事例では患者がA型インフルエンザ(H1N1)ウイルスに感染した。遺伝子分析中に、その遺伝子が豚、ニワトリならびにアジア人種、ヨーロッパ人種およびアメリカ人種に由来する遺伝子を含むことが判明した。A型インフルエンザ(H1N1)に感染している患者は、39℃より高い体温を伴う高熱、重度の頭痛、筋肉痛、咳、鼻づまり、充血眼および他の症状を患うことが多い。
【0005】
豚インフルエンザウイルス(SIV)は、ブタの地方病性インフルエンザをもたらすことができる、オルソミクロウイルスの1つの型である。豚インフルエンザウイルス(SIV)と以前は呼ばれていた新規致死ウイルスが、2010年4月30日に世界保健機構によりA型インフルエンザ(H1N1)に改名された。
【0006】
A型インフルエンザ(H1N1)ウイルスは、A型インフルエンザウイルスに属し、H1N1亜型豚インフルエンザウイルス株である。このウイルスは、鳥インフルエンザウイルス、豚インフルエンザウイルスおよびヒトインフルエンザウイルスに由来するリボ核酸遺伝子フラグメントを含む。アジアおよびアフリカ豚インフルエンザウイルスの特性も有する。
【0007】
自然状態では、AIとヒトインフルエンザとの結合は、中間宿主、例えば、ブタ、ウマ、イルカおよびこれらに類するものを含む哺乳動物によって果たされる。しかし、抗原変異(抗原不連続変異および抗原連続変異)が豚インフルエンザウイルスでは絶えず発生し、その宿主範囲を広げる。現今では、豚インフルエンザウイルスは、ヒトを直接感染させることができる。豚インフルエンザウイルスは、種の境界を突破してヒトを直接感染させることができ、死亡させることさえあり、その結果、AIVに公衆衛生の新たな重要性がもたらされる。最近、人間の健康および世界的経済保証を脅かす、豚インフルエンザの世界的流行の発生が多くの国で起こった。
【0008】
しかし、昔から、ヒトにおいて見つけられるインフルエンザウイルスは、H1、H2およびH3亜型しか含まず、そのためインフルエンザの予防は、ウイルスのこれら3つの亜型をターゲットにしたものであり、市場で販売されている抗ウイルス薬は、これらの疾患の治療を目的としている。それ故、人体は、最新の豚インフルエンザウイルスに対して免疫性でなく、ヒトインフルエンザを予防および治療するための薬物を豚インフルエンザの予防に適用することはできない。高病原性豚インフルエンザウイルスが人体に侵入すると、インフルエンザによって引き起こされるものより重篤である、発熱、筋肉痛、悪寒および他の症状を引き起こすであろう。重篤な合併症を引き起こすことがあり、死亡させることさえある。
【0009】
現時点で、有力な抗インフルエンザ薬としては、主として、ノイラミニダーゼ阻害剤、例えばザナミビル、オセルタミビルなど;イオンチャネル遮断薬、例えばアマンタジンおよびリマンタジン(これらは、インフルエンザを治療および予防するための好ましい薬物と考えられる);およびヌクレオシド薬、例えばトリアゾールヌクレオシド、すなわちリバビリン(これはビラゾールとも呼ばれる)が挙げられる。
【0010】
しかし、上述の薬物は、次のような幾つかの限界を示した:
(1)ノイラミニダーゼ阻害剤は、AおよびB型インフルエンザウイルスを有効に阻害することができる。しかし、この種の薬は、比較的高価であり、従って、その普及は制限される。例えば、タミフル[この一般名は、オセルタミビルホスファート(CAS No.204255−11−8)、すなわち、オセルタミビル、(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸エチル(CAS No.196618−13−0)、のリン酸塩である]は、Roche Pharmaceutical Companyによって独占的に生産されている。この医薬品は、1回あたり75mgの投薬量で1日2回摂取すべきであり、これは、1日あたり60RMBかかることおよび5日の薬物治療コースにはおおよそ300RMBかかることを意味する。さらに、2017年までタミフル特許を有するRoche Pharmaceutical Companyは、複雑で時間のかかる生産技術、質の高い基準などの理由で、この特許の放棄を拒絶している。従って、タミフルの生産量は十分でなく、不足さえしている。
【0011】
さらに、意識混濁、幻覚、異常行動ならびに他の精神性および神経性症状をはじめとする有意な副作用がタミフルによって引き起こされる。一部の患者において薬物耐性も観察されている。
【0012】
(2)イオンチャネル遮断薬は、A型インフルエンザウイルスを有効に阻害することができる。しかし、これは神経系に対して毒性であり、および長期間摂取すると薬物耐性を誘導することがあり、それがインフルエンザの大流行をもたらすこともある。加えて、B型インフルエンザウイルスに対しては効果がない。
【0013】
(3)トリアゾールヌクレオシド(ビラゾール)は、RNAウイルスまたはDNAウイルスによって引き起こされる感染を有効に治療することができる。しかし、この化合物には多少の催奇形作用があり、このことが診療所でのその利用を制限する。
【0014】
従って、豚インフルエンザを有効に予防および治療することができる、幅広い供給源のより安全で有効で安価な薬が、より急を要する、より重要なものであるように見受けられる。
【0015】
非常に大きな要求に応じるために、多くの科学および技術研究者が中国の伝統的な薬草に注目している。しかし、それらの伝統漢方薬組成物は、豚インフルエンザの治療に殆ど効果がなく、従って、豚インフルエンザの急速な発生を阻止する要求に応じることができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の1つの目的は、豚インフルエンザの予防および治療に効果がある伝統漢方薬組成物を提供することである。
【0017】
本発明のもう1つの目的は、本発明の伝統漢方薬組成物の調製方法を提供することである。
【0018】
本発明のさらにもう1つの目的は、豚インフルエンザを予防または治療するために使用される薬および/または健康製品の調製における本発明の伝統漢方薬組成物の使用を提供することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、本発明の伝統漢方薬組成物を使用することによる豚インフルエンザの予防または治療方法を提供することである。
【0020】
上述の目的に従って、本発明は下記のとおり実施形態を提供する。
【0021】
1つの態様において、本発明は、豚インフルエンザを予防および治療するための伝統漢方薬組成物を提供し、この組成物の有効成分は、次の原薬:ジュウヤク(十薬)(Herba Houttuyniae)、ニンドウ(忍冬)(Caulis Lonicerae Japonicae)、バンランコン(板藍根)(Radix Isatidis)およびサンズコン(山豆根)(Radix et Rhizoma Sophorae Tonkinensis)で実質的に構成され;好ましくは、上述の4つの原薬のみで構成される。
【0022】
好ましくは、前記伝統漢方薬組成物は、解熱および解毒のための他の薬草も含み、これらの薬草は、好ましくは、メンマコン(綿馬根)(Rhizoma Dryopteris Crassirhizomatis)、ビャクシ(白し)(Radix Angelicae Dahuricae)、センシンレン(穿芯蓮)(Herba Andrographis)、タンポポ(蒲公英)(Herba Taraxaci)、セイタイ(青黛)(Indigo Naturalis)、ダイケットウ(大血藤)(Caulis Sargentodoxae)、ジュウロウ(重楼)(Rhizoma Paridis)、セイコウ(青蒿)(Herba Artemisiae Annuae)、シャカン(射干)(Rhizoma Iridis Tectori)、アタンシ(鴉胆子)(Fructus Bruceae)、ハッカ(薄荷)(Herba Menthae)、キキョウコン(桔梗根)(Radix Platycodonis)およびカンゾウ(甘草)(Radix Rhizoma Glycyrrhizae)からなる群より選択され;ならびにさらに好ましくは、メンマコンおよびビャクシから選択される。
【0023】
前記4つの有効成分の前記原料の重量百分率は、好ましくは、ジュウヤク 4.2重量%〜70.0重量%、ニンドウ 4.2重量%〜46.7重量%、バンランコン 2.3重量%〜42.0重量%およびサンズコン 1.2重量%〜35.0重量%である。
【0024】
もう1つの態様において、本発明は、豚インフルエンザを予防または治療するための伝統漢方薬組成物を提供し、この組成物の有効成分は、次の原料:ジュウヤク、ニンドウ、バンランコン、サンズコン、メンマコンおよびビャクシで実質的に構成され;好ましくは、上述の6つの原料のみで構成される。
【0025】
好ましくは、前記伝統漢方薬組成物は、解熱および解毒のための他の薬草も含み、これらの薬草は、好ましくは、センシンレン、タンポポ、セイタイ、ダイケットウ、ジュウロウ、セイコウ、シャカン、アタンシ、ハッカ、キキョウコンおよびカンゾウからなる群より選択され;ならびにさらに好ましくは、ジュウロウ、セイコウおよびシャカンから選択される。
【0026】
前記4つの有効成分の前記原料の重量百分率は、好ましくは、ジュウヤク 4.7重量%〜58.4重量%、ニンドウ 4.7重量%〜46.7重量%、バンランコン 2.3重量%〜42.0重量%、サンズコン 1.2重量%〜35.0重量%、メンマコン 1.9重量%〜37.3重量%およびビャクシ 1.2重量%〜35.0重量%である。
【0027】
もう1つの態様において、本発明は、有効成分および/または薬学的に許容される担体を含む、豚インフルエンザを予防または治療するための伝統漢方薬組成物を提供し、この組成物の有効成分は、次の原料:ジュウヤク 9.3重量%〜46.7重量%、ニンドウ 9.3重量%〜37.3重量%、バンランコン 4.7重量%〜35.0重量%、メンマコン 2.3重量%〜28.0重量%、サンズコン 2.3重量%〜23.3重量%、ビャクシ 2.3重量%〜23.3重量%、ジュウロウ 2.3重量%〜23.3重量%、セイコウ 2.3重量%〜23.3重量%およびシャカン 2.3重量%〜23.3重量%で実質的に構成される。
【0028】
好ましくは、前記有効成分は、次の原料で実質的に構成される:ジュウヤク 14.0重量%〜35.0重量%、ニンドウ 11.7重量%〜23.3重量%、バンランコン 9.3重量%〜21.0重量%、メンマコン 7.0重量%〜18.7重量%、サンズコン 4.7重量%〜11.7重量%、ビャクシ(白し)(Rhizoma Radix Angelicae Dahuricae) 4.7重量%〜11.7重量%、ジュウロウ 4.7重量%〜11.7重量%、セイコウ 4.7重量%〜11.7重量%およびシャカン 4.7重量%〜11.7重量%。
【0029】
好ましくは、前記有効成分は、次の原料で実質的に構成される:ジュウヤク 21.4重量%、ニンドウ 17.9重量%、バンランコン 14.3重量%、メンマコン 10.7%、サンズコン 7.1重量%、ビャクシ 7.1重量%、ジュウロウ 7.1重量%、セイコウ 7.1重量%およびシャカン 7.1重量%。
【0030】
本発明の伝統漢方薬組成物は、薬学的に許容される剤形に、好ましくは顆粒形にすることができる。
【0031】
さらなる態様において、本発明は、前記伝統漢方薬組成物を調製する方法を提供し、前記方法は、下記の工程を含む:
(1)すべての原料を使用のために計量する;
(2)ジュウヤクを10〜40分間、水で煎出し、その後、濾過する。得られた濾液を濃縮して、1.05の相対密度を有する透明ペーストを得、その後、冷却する;
(3)工程(2)で得た透明ペーストにエタノールを、エタノールの含有量が50〜80%に達するまで添加する。その混合物を24時間放置し、その後、濾過する。エタノールの回収後、その濾液を濃縮して、1.25の相対密度を有する透明ペーストを得る;
(4)残りの原料を水に2回、1回につき2時間、煎出し、その後、濾過する。その濾液を、相対密度が1.20に達するまで濃縮し、その後、その濃縮された濾液を濾過し、再び濃縮して、1.10〜1.25の相対密度を有する透明ペーストを得る;
(5)工程(3)および工程(4)において得た透明ペーストを混合し、濃縮し続けて、1.26より大きい相対密度を有する濃稠ペーストを得、その後、製薬用アジュバントを添加する。
【0032】
さらなる態様において、本発明は、豚インフルエンザを予防または治療するために使用することができる薬および/または健康製品の調製における前記伝統漢方薬組成物の使用を提供する。
【0033】
前記豚インフルエンザは、次の亜型:H1N1、H1N2、H3N1、H3N2およびH2N3から選択されるA型インフルエンザウイルスによって好ましくは引き起こされる、A型インフルエンザ(H1N1)である。
【0034】
好ましくは、前記豚インフルエンザは、ヒト感染型豚インフルエンザまたは動物感染型豚インフルエンザである。
【0035】
いっそうさらなる態様において、本発明は、有効量の前記伝統漢方薬組成物を、必要としている患者に投与することを含む、豚インフルエンザの予防または治療方法を提供する。
【0036】
前記豚インフルエンザは、次の亜型:H1N1、H1N2、H3N1、H3N2およびH2N3から選択されるA型インフルエンザウイルスによって好ましくは引き起こされるA型インフルエンザ(H1N1)である。
【0037】
好ましくは、前記豚インフルエンザは、ヒト感染型豚インフルエンザまたは動物感染型豚インフルエンザである。
【0038】
本発明の目的は、下記の技術機構によって達成することができる:
1つの態様において、本発明は、有効成分および/または薬学的に許容される担体を含む、豚インフルエンザを予防および治療するための伝統漢方薬組成物を提供する。前記有効成分は、次の原料で実質的に構成される:ジュウヤク 4.2重量%〜70.0重量%、ニンドウ 4.2重量%〜46.7重量%、バンランコン 2.3重量%〜42.0重量%、サンズコン 1.2重量%〜35.0重量%、ならびに解熱および解毒のための他の薬草。
【0039】
好ましくは、解熱および解毒のために前記薬草は、メンマコン、ビャクシ、センシンレン、タンポポ、セイタイ、ダイケットウおよびカンゾウから選択される。
【0040】
好ましくは、前記有効成分は、次の4つの原料で構成される:ジュウヤク 4.2重量%〜70.0重量%、ニンドウ 4.2重量%〜46.7重量%、バンランコン 2.3重量%〜42.0重量%およびサンズコン 1.2重量%〜35.0重量%。
【0041】
もう1つの態様において、本発明は、有効成分および/または薬学的に許容される担体を含む、豚インフルエンザを予防または治療するための伝統漢方薬組成物を提供する。前記有効成分は、次の原料で実質的に構成される:ジュウヤク 4.7重量%〜58.4重量%、ニンドウ 4.7重量%〜46.7重量%、バンランコン 2.3重量%〜42.0重量%、サンズコン 1.2重量%〜35.0重量%、メンマコン 1.9重量%〜37.3重量%、ビャクシ 1.2重量%〜35.0重量%、ならびに解熱および解毒のための他の薬草。好ましくは、解熱および解毒のための前記薬草は、ジュウロウ、セイコウ、アタンシ、センシンレン、タンポポ、ハッカ、キキョウコンおよびカンゾウから選択される。
【0042】
好ましくは、前記有効成分は、次の6つの原料で構成される:ジュウヤク 4.7重量%〜58.4重量%、ニンドウ 4.7重量%〜46.7重量%、バンランコン 2.3重量%〜42.0重量%、サンズコン 1.2重量%〜35.0重量%、メンマコン 1.9重量%〜37.3重量%およびビャクシ 1.2重量%〜35.0重量%。
【0043】
さらにもう1つの態様において、本発明は、有効成分および/または薬学的に許容される担体を含む、豚インフルエンザを予防または治療する(treatming)ための伝統漢方薬組成物を提供する。前記有効成分は、次の原料で構成される:ジュウヤク 9.3重量%〜46.7重量%、ニンドウ 9.3重量%〜37.3重量%、バンランコン 4.7重量%〜35.0重量%、メンマコン 2.3重量%〜28.0重量%、サンズコン 2.3重量%〜23.3重量%、ビャクシ 2.3重量%〜23.3重量%、ジュウロウ 2.3重量%〜23.3重量%、セイコウ 2.3重量%〜23.3重量%およびシャカン 2.3重量%〜23.3重量%。
【0044】
好ましくは、前記有効成分は、次の原料で構成される:ジュウヤク 14.0重量%〜35.0重量%、ニンドウ 11.7重量%〜23.3重量%、バンランコン 9.3重量%〜21.0重量%、メンマコン 7.0重量%〜18.7重量%、サンズコン 4.7重量%〜11.7重量%、ビャクシ 4.7重量%〜11.7重量%、ジュウロウ 4.7重量%〜11.7重量%、セイコウ 4.7重量%〜11.7重量%およびシャカン 4.7重量%〜11.7重量%。
【0045】
好ましくは、前記有効成分は、次の原料で構成される:ジュウヤク 21.4重量%、ニンドウ 17.9重量%、バンランコン 14.3重量%、メンマコン 10.7%、サンズコン 7.1重量%、ビャクシ 7.1重量%、ジュウロウ 7.1重量%、セイコウ 7.1重量%およびシャカン 7.1重量%。
【0046】
さらに好ましくは、本発明の伝統漢方薬組成物は、任意の薬学的に許容される剤形に、好ましくは顆粒形にすることができる。
【0047】
さらなる態様において、本発明は、上述の伝統漢方薬組成物を調製する方法を提供し、この方法は、下記の工程を含む:
(1)すべての原料を使用のために計量する;
(2)ジュウヤクを10〜40分間、水で煎出し、その後、濾過する。その濾液を濃縮して、1.05の相対密度を有する透明ペーストを得、その後、冷却する;
(3)工程(2)で得た透明ペーストにエタノールを、エタノールの含有量が50〜80%に達するまで添加する。その混合物を24時間放置し、その後、濾過する。エタノールの回収後、その濾液を濃縮して、1.25の相対密度を有する透明ペーストを得る;
(4)他の原料を水に2回、1回につき2時間、煎出し、その後、濾過する。その濾液を、相対密度が1.20に達するまで濃縮し、その後、その濃縮された濾液を濾過し、再び濃縮して、1.10〜1.25の相対密度を有する透明ペーストを得る;
(5)工程(3)および工程(4)において得た透明ペーストを混合し、濃縮し続けて、1.26より大きい相対密度を有する濃稠ペーストを得、その後、製薬用アジュバントを添加する。
【0048】
本発明は、豚インフルエンザを予防または治療するための薬物の調製における前記伝統漢方薬組成物の使用も提供する。
【0049】
本発明は豚インフルエンザを予防または治療するための健康製品の調製における前記伝統漢方薬組成物の使用も提供する。
前記豚インフルエンザは、A型インフルエンザ(H1N1)である。好ましくは、前記豚インフルエンザは、ヒト感染型豚インフルエンザである。および好ましくは、前記豚インフルエンザは、動物感染型豚インフルエンザである。
【0050】
本発明の1つの態様において、豚インフルエンザを予防および治療するための伝統漢方薬組成物は、有効成分および/または薬学的に許容される担体を含み、該有効成分は、次の原料で構成される:ジュウヤク 4.7重量%〜70.0重量%、ニンドウ 4.7重量%〜46.7重量%、バンランコン 2.3重量%〜42.0重量%およびサンズコン 1.2重量%〜35.0重量%。
さらに有効であるために、上述の伝統漢方薬組成物の前記有効成分は、次の原料で構成される:ジュウヤク 14.0重量%〜46.7重量%、ニンドウ 11.7重量%〜46.7重量%、バンランコン 9.3重量%〜28.0重量%およびサンズコン 4.7重量%〜21.0重量%。
【0051】
さらに、上述の伝統漢方薬組成物が、解熱および解毒のための他の薬草、例えば、センシンレン、タンポポ、セイタイ、ダイケットウ、ハッカ、カンゾウおよびこれらに類するものと併用することができることは、診療所において確認される。
【0052】
本発明のもう1つの実施形態において、豚インフルエンザを予防および治療するための伝統漢方薬組成物は、有効成分および/もしくは薬学的に許容される担体を含み、該有効成分は、次の原料で構成される:ジュウヤク 4.7重量%〜58.4重量%、ニンドウ 4.7重量%〜46.7重量%、バンランコン 2.3重量%〜42.0重量%、サンズコン 1.2重量%〜35.0重量%、メンマコン 1.9重量%〜37.3重量%、およびビャクシ 1.2重量%〜35.0重量%。
【0053】
さらに有効であるために、上述の伝統漢方薬組成物の前記有効成分は、次の原料で構成される;ジュウヤク 14.0重量%〜35.0重量%、ニンドウ 11.7重量%〜23.3重量%、バンランコン 9.3重量%〜21.0重量%、メンマコン 7.0重量%〜18.7重量%、サンズコン 4.7重量%〜11.7重量%、ビャクシ 4.7重量%〜11.7重量%。
【0054】
さらに、上述の伝統漢方薬組成物が、解熱および解毒のための他の薬草、例えばアタンシ、センシンレン、タンポポ、ハッカ、キキョウコンおよびこれらに類するもの、と併用できることは、診療所において確認される。
【0055】
本発明のさらにもう1つの実施形態において、豚インフルエンザを予防および治療するための伝統漢方薬組成物は、有効成分および/または薬学的に許容される担体を含み、該有効成分は、次の原料で構成される:ジュウヤク 9.3重量%〜46.7重量%、ニンドウ 9.3重量%〜37.3重量%、バンランコン 4.7重量%〜35.0重量%、メンマコン 2.3重量%〜28.0重量%、サンズコン 2.3重量%〜23.3重量%、ビャクシ 2.3重量%〜23.3重量%、ジュウロウ 2.3重量%〜23.3重量%、セイコウ 2.3重量%〜23.3重量%、シャカン(Rhizo ma Iridis Tectori) 2.3重量%〜23.3重量%。
【0056】
好ましくは、前記有効成分は、次の原料で構成される:ジュウヤク 14.0重量%〜35.0重量%、ニンドウ 11.7重量%〜23.3重量%、バンランコン 9.3重量%〜21.0重量%、メンマコン 7.0重量%〜18.7重量%、サンズコン 4.7重量%〜11.7重量%、ビャクシ 4.7重量%〜11.7重量%、ジュウロウ 4.7重量%〜11.7重量%、セイコウ 4.7重量%〜11.7重量%およびシャカン 4.7重量%〜11.7重量%。
【0057】
さらに好ましくは、前記有効成分は、次の原料で構成される:ジュウヤク 21.4重量%、ニンドウ 17.9重量%、バンランコン 14.3重量%、メンマコン 10.7%、サンズコン 7.1重量%、ビャクシ 7.1重量%、ジュウロウ 7.1重量%、セイコウ 7.1重量%およびシャカン 7.1重量%。
【0058】
本発明の伝統漢方薬組成物は、従来の漢方薬調製法によって作られる任意の剤形にすることができる。例えば、本発明の原料を粉末に粉砕し、混合し、水と共に摂取することができる。前記原料を水で煎出し、その後、その煎出物を濃縮する。すべての原料の効果を最大にするために、好ましくは、ジュウヤクを特別な抽出、例えばエタノールでの抽出、に付してもよい。しかし、これらを用いて、本発明の保護範囲を制限することはできない。
【0059】
好ましくは、ジュウヤク、ニンドウ、バンランコンおよびサンズコンを含む本発明の伝統漢方薬組成物は、下記の工程に従うことにより調製することができる:
上述の4つの原料の処方量を使用のために計量する。先ず第一に、ジュウヤクを10〜40分間、水で煎出し、その後、濾過する。その濾液を濃縮して、1.05〜1.20の相対密度を有する透明ペーストを得、その後、冷却する。エタノールをその透明ペーストに、エタノールの含有量が50〜80%に達するまで添加し、その後、24〜48時間放置し、その後、濾過する。エタノールの回収後、その濾液を濃縮して、1.05〜1.25の相対密度を有する透明ペーストを得る。ニンドウ、バンランコンおよびサンズコンを含む他の3つの原料を水で2回、1回につき2時間、煎出し、その後、濾過する。その濾液を、相対密度が1.40に達するまで濃縮する。その後、その濃縮した濾液を濾過し、再び濃縮して、1.45の相対密度を有する透明ペーストを得る。その後、得られたジュウヤク透明ペーストを添加し、混合する。その混合物を濃縮し続けて、1.10より大きい相対密度を有する濃稠ペーストを得る。最後に、その濃稠ペーストと蔗糖微粉末を1:3〜8の比率で混合し、その後、顆粒にし、内包装する。
【0060】
上で述べた調製方法における原料をメンマコンおよびビャクシと併用することもでき、またはさらにセンシンレン、タンポポ、セイタイ、ダイケットウもしくはカンゾウと併用することができる。詳細な調製工程は、下記のとおりである:
処方量のジュウヤク、ニンドウ、バンランコン、サンズコン、メンマコンおよびビャクシを得る。ジュウヤクを10〜40分間、水で煎出し、その後、濾過する。その濾液を濃縮して、1.20の相対密度を有する透明ペーストを得、その後、冷却する。エタノールをその透明ペーストに、エタノールの含有量が50〜80%に達するまで添加し、その後、24〜48時間放置し、その後、濾過する。エタノールの回収後、その濾液を濃縮して、1.25の相対密度を有する透明ペーストを得る。他の5つの原料、例えばニンドウなど、を水で2回、1回につき2時間、煎出し、その後、濾過する。その濾液を、相対密度が1.08に達するまで濃縮する。濃縮した濾液を濾過し、再び濃縮して、1.10の相対密度を有する透明ペーストを得る。その後、ジュウヤク透明ペーストを添加し、混合する。その混合物を濃縮し続けて、1.26より大きい相対密度を有する濃稠ペーストを得る。最後に、その濃稠ペーストと蔗糖微粉末を1:3〜8の比率で混合し、顆粒にし、内包装する(subpackaged)。
【0061】
ジュウヤク、ニンドウ、バンランコン、サンズコン、メンマコン、ビャクシ、ジュウロウ、セイコウおよびシャカンを含む本発明の伝統漢方薬組成物は、下記の工程で調製することができる:
上述の9つすべての原料の処方量を使用のために計量する。ジュウヤクを10〜40分間、水で煎出し、その後、濾過する。その濾液を濃縮して、1.05の相対密度を有する透明ペーストを得、その後、冷却する。エタノールをその透明ペーストに、エタノールの含有量が50〜80%に達するまで添加し、その後、24時間放置し、その後、濾過(filteration)する。エタノールの回収後、その濾液を濃縮して、1.25の相対密度を有する透明ペーストを得る。他の8つの原料、例えばニンドウなど、を水で2回、1回につき2時間、煎出し、その後、濾過する。その濾液を、相対密度が1.20に達するまで濃縮する。その後、その濃縮された濾液を濾過し、再び濃縮して、1.10〜1.25の相対密度を有する透明ペーストを得る。その後、ジュウヤク透明ペーストを添加し、混合する。その混合物を濃縮し続けて、1.26より大きい相対密度を有する濃稠ペーストを得る。最後に、その濃稠ペーストと蔗糖微粉末を1:3〜8の比率で混合し、顆粒にし、内包装する。
【0062】
1つ以上の薬学的に許容される担体、例えば、希釈剤、賦形剤、充填剤、接着剤、保湿剤、崩壊剤、吸収促進剤、界面活性剤、吸収担体、滑沢剤およびこれらに類するものをはじめとする種々の剤形の調製に使用される従来の製薬用アジュバント、を本発明の伝統漢方薬組成物に添加することができる。
【0063】
本発明の伝統漢方薬組成物は、経口投与、注射投与または粘膜投与をはじめとする種々の経路によって投与することができる。前記の医薬組成物を錠剤、カプセル、粉末、顆粒、香錠、坐剤、経口液、滅菌非経口懸濁液または他の薬形にすることができ;小もしくは大用量注射剤、凍結乾燥粉末注射剤、滅菌粉末注射剤または他の注射剤形にすることもできる。上述の剤形のすべてを、当該技術分野における従来の方法を用いることにより調製することができる。
【0064】
本発明の伝統漢方薬組成物を、家畜および家禽類の餌に添加剤として添加して、豚インフルエンザに対するそれらの免疫を強化することができる。
【0065】
本発明の伝統漢方薬組成物または添加剤の有効用量は、1日あたり20〜80mg/kg体重である。好ましい有効用量は、1日あたり30〜65mg/kg体重である。
【0066】
原料として天然植物を使う本発明の伝統漢方薬組成物は、豚インフルエンザウイルスの阻害に有意な効果がある。薬または添加剤にしたとき、本組成物は、低い毒性、強い効力、安全性などの点で有利であり、これは豚インフルエンザの予防および治療への新たなアプローチをもたらす。従って、本発明の伝統漢方薬組成物には、有意な社会的および経済的価値があり、幅広い利用が見込まれる。
【0067】
図面を参照することにより、本発明の実施例を以下に詳細に説明する:
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、実施例22における豚インフルエンザウイルスに対する本発明の伝統漢方薬組成物に関するインビトロ研究中の3日間連続観察の第2日における細胞の病的変化の写真を示すものであり、写真Aは、10mgの伝統漢方薬組成物(SC 10mg)で処理した感染細胞を指し;写真Bは、5mgの伝統漢方薬組成物(SC 5mg)で処理した感染細胞を指し;写真Cは、陰性対照群、すなわち感染していないMDCK細胞を示し;写真Dは、10μmol/mLのタミフルで処理した対照群を示す。
【図2】図2は、実施例22における豚インフルエンザウイルスに対する本発明の伝統漢方薬組成物に関するインビトロ研究中の3日間連続観察の第3日における細胞の病的変化の写真を示すものである。写真Aは、10mgの伝統漢方薬組成物(SC 10mg)で処理した感染細胞を示し;写真Bは、5mgの伝統漢方薬組成物(SC 5mg)で処理した感染細胞を示し;写真Cは、陰性対照群、すなわち感染していないMDCK細胞を示し;写真Dは、10μmol/mLのタミフルで処理した対照群感染細胞を示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下の実施例を併用することによって本発明をさらに説明する。しかし、これらの実施例は、単に例証を目的として記載するものであり、本発明の範囲を制限することを意図したものではない。実験条件を明確に記載していない実施例に関しては、通常、実験を従来の条件下でまたは製造業者によって推奨される条件下で行うべきである。
【0070】
本発明の伝統漢方薬組成物の調製方法を下記の実施例1〜19において例証する。
【0071】
特に指示がない限り、下記の実施例において使用した原料、化学薬品および器具は、当業者に公知の製造業者から購入した。例えば、ジュウヤクおよびメンマコンは、中国、広東省(Gangdong)、広州(Guangzhou)の龍洞(Longdong)にあるSouth China Botanical Gardenから購入し;ニンドウおよびバンランコンは、中国、安徽省(Anhui)、太和(Taihe)にあるMedical Material Purchasing and Supply Stationから購入し;サンズコン、ビャクシ、ジュウロウ、セイコウおよびシャカンは、中国、安徽省、毫州(Haozhou)にあるMedical Material Trading Centerから購入した。
【実施例】
【0072】
実施例1
大用量注射剤の調製
2000gのジュウヤク、400gのニンドウ、1500gのバンランコン、284gのメンマコン、100gのサンズコン、100gのビャクシ、100gのジュウロウ、100gのセイコウおよび100gのシャカンを計量し、8倍量の水に3時間浸漬し、その後、2回、1回につき1時間、煎出して抽出した。抽出物をプールし、濾過し、65℃での相対密度が1.25に達するまで減圧下で濃縮した。その後、それを冷却し、エタノールの含有量が70%に達するまでエタノールと混合した。放置した後、上清を回収した。エタノールを回収して除去した。得られた溶液を、65℃での相対密度が1.15に達するまで濃縮し、その後、2倍量の酢酸エチルで向流抽出した。抽出物をプールし、その後、酢酸エチルを回収して除去した。注射用蒸留水の全量の半分を添加した。その溶液を沸騰させ、冷却し、濾過し、その後、適量の注射用蒸留水を補足した。0.08%Tween−80を添加し、混合した。そしてその後、40%NaOHでpH値を8.0に調整した。NaClを添加し、攪拌によって溶解した。注射用蒸留水の全量を添加して、等張溶液を得た。最後に、その溶液を0.22μm微多孔性濾過膜によって濾過し、その後、カプセルに詰め、滅菌し、ランプ検査(lamp inspectation)し、包装した。
【0073】
実施例2
小用量注射剤の調製
400gのジュウヤク、1600gのニンドウ、200gのバンランコン、100gのメンマコン、1000gのサンズコン、200gのビャクシ、200gのジュウロウ、384gのセイコウおよび200gのシャカンを計量し、水で煎出し、その後、濾過した。1mLあたり9gの原薬に達するまで、濾液を減圧下で濃縮した。その後、その濃縮物を水で希釈し、冷蔵し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた濃縮物をマクロポーラス樹脂で分離し、それを水、NaOH溶液および35重量%エタノールで順次洗浄し、その後、75重量%エタノールで溶出した。溶出物を回収し、水で希釈した。L−アルギニンを添加してpHを7.5に調整し、その後、活性炭を添加した。その後、その溶液を加熱し、濾過して活性炭を除去した。その濾液を同量の水で希釈し、その後、L−アルギニンの濃度が4重量%に達するまでL−アルギニンを添加して、該小用量注射剤を得た。
【0074】
実施例3
20mL凍結乾燥粉末注射剤の調製
584gのジュウヤク、500gのニンドウ、400gのバンランコン、300gのメンマコン、500gのサンズコン、500gのビャクシ、500gのジュウロウ、500gのセイコウおよび500gのシャカンを計量し、3200mLの注射用蒸留水に1時間浸漬した。6400mLの注射用蒸留水を添加し、2回、1回につき1.5時間、煎出した。濾過した後、濾液をプールして、抽出物を得た。10gの抽出物を適量の注射用蒸留水に溶解した。2.25gのNaClを添加した後、体積が250mLに達するまで注射用蒸留水を添加した。適量の活性炭を添加し、その後、20分間沸騰させ、その後、冷却し、濾過し、滅菌した。この最終溶液を低ホウケイ酸ガラスアンプルに1アンプルにつき1mLで注入し、その後、冷却により乾燥させて、凍結乾燥粉末注射剤を得た。
【0075】
実施例4
小用量注射剤の調製
200gのジュウヤク、200gのニンドウ、100gのバンランコン、1279gのメンマコン、1500gのサンズコン、1500gのビャクシを計量し、水で煎出し、その後、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。その後、エタノールを添加し、その後、放置した。その溶液を濾過し、その後、1mLあたり11gの原薬に達するまで、その濾液を減圧下で濃縮した。濃縮物を水で希釈し、冷蔵し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた濃縮物をマクロポーラス樹脂で分離し、それを水、NaOH溶液および55重量%のエタノールで順次洗浄し、その後、65重量%のエタノールで溶出した。溶出物を回収し、水で希釈した。その後、L−アルギニンを添加してpHを7.0に調整し、その後、活性炭を添加した。その後、その溶液を加熱し、濾過して活性炭を除去した。濾液を同量の水で希釈して、該小用量注射剤を得た。
【0076】
実施例5
顆粒の調製
2500gのジュウヤク、1000gのニンドウ、400gのバンランコン、784gのメンマコン、50gのサンズコンおよび50gのビャクシを計量し、多機能抽出器において70重量%のエタノールと混合し、その後、一晩浸漬した。還流抽出を2回、1回につき1.5時間、行った。濾過後、かすIおよび溶液Iを得た。溶液Iを減圧ポットに移し、エタノールがにおわなくなるまで減圧下で回収し、その後、濃縮して濃稠エキスを得た。
【0077】
デンプンを乾燥させ、篩にかけた。マンニトールも使用のために篩にかけた。500gの得られた濃稠エキスを500gのマンニトールおよび150gのデンプンと混合した。その後、その混合物を造粒機で顆粒にし、沸騰床で乾燥させ、12メッシュの篩で顆粒にした。顆粒の内容および含水量を検査した。その後、顆粒を包装し(1袋あたり7g)、密封し、その後、涼しい乾燥した場所で保管した。
【0078】
実施例6
錠剤の調製技術
先ず第一に、3000gのジュウヤク、1134gのニンドウ、100gのバンランコンおよび50gのサンズコンを計量し、3200mLの注射用蒸留水に1時間、浸漬した。3200mLの注射用蒸留水を添加し、その後、2回、1回につき1時間、煎出した。濾過した後、かすを廃棄し、一方、得られた濾液は、密度が1.08(70℃)に達するまで三重効用濃縮装置で濃縮し、その後、室温に冷却した。エタノールの濃度を50%に到達させるように計算した量の95重量%エタノールを添加し、その後、一晩放置した。沈殿物を廃棄し、上清を回収し、濃縮した。その後、その濃縮物を200gの充填剤と混合した。得られた混合物を造粒機に入れ、60mLの30重量%エタノールを添加して造粒し、乾燥させた。
【0079】
第二に、50gのビタミンを120gの充填剤と混合した。得られた混合物を造粒機に入れ、35mLの6重量%接着剤を添加して造粒し、乾燥させた。
【0080】
第三に、上で得た2種類の顆粒を処方比率で混合した。内容を検査した後、その混合物を33打錠型回転式打錠機によって打錠し、その後、内包装した。
【0081】
実施例7
顆粒の調製技術
918gのジュウヤク、765gのニンドウ、612gのバンランコン、459gのメンマコン、306gのサンズコン、306gのビャクシ、306gのジュウロウ、306gのセイコウおよび306gのシャカンを使用のために計量した。先ず第一に、ジュウヤクを水で40分間煎出し、その後、濾過した。その濾液を濃縮して、1.05の相対密度を有する透明ペーストを得、その後、冷却した。エタノールの量が80%に達するまでエタノールをそのペーストに添加し、その後、48時間放置し、その後、濾過した。エタノールの回収後、その濾液を濃縮して、1.25の相対密度を有する透明ペーストを得た。他の8つの原料を水で2回、1回につき2時間、煎出し、その後、濾過した。濾液を、相対密度が1.08に達するまで濃縮し、その後、濾過し、再び濃縮して、1.10の相対密度を有する透明ペーストを得た。その後、上で得たジュウヤク透明ペーストを添加し、混合した。その混合物を濃縮し続けて、1.26より大きい相対密度を有する濃稠ペーストを得た。その濃稠ペーストと蔗糖微粉末を1:5の比率で混合し、その後、顆粒にし、内包装した。
【0082】
実施例8
カプセルの調製技術
200gのジュウヤク、500gのニンドウ、384gのバンランコン、800gのメンマコン、200gのサンズコン、200gのビャクシ、1000gのジュウロウ、1000gのセイコウおよび200gのシャカンを計量し、3200mLの注射用蒸留水に1時間浸漬した。7200mLの注射用蒸留水を添加し、2回、1回につき1時間、煎出した。濾過した後、プールした濾液を、エタノールが臭わなくなるまで減圧下で回収し、その後、濃縮して、1.0の相対密度(60℃)を有する濃稠エキスを得た。その後、そのエキスを真空乾燥オーブンの中で、70℃、減圧下で36時間乾燥させ、破砕し、60〜80メッシュの篩で篩い分けた。
【0083】
得られた粉末をアジュバントと混合し、篩にかけ、顆粒にした。それらの顆粒を加熱により乾燥させ、20メッシュの篩にかけ、その後、ステアリン酸マグネシウムと混合した。得られた混合物をカプセルに充填した。
【0084】
実施例9
カプセルの調製技術
600gのジュウヤク、2000gのニンドウ、1200gのバンランコンおよび484gのサンズコンを計量し、3200mLの注射用蒸留水に1時間浸漬した。3200mLの注射用蒸留水を添加し、2回、1回につき2.5時間、煎出した。濾過した後、プールした濾液を、エタノールが臭わなくなるまで減圧下で回収し、その後、濃縮して、1.30の相対密度を有する濃稠エキスを得た。その後、そのエキスを真空乾燥オーブンの中で減圧下、80℃で48〜96時間乾燥させ、破砕し、60〜80メッシュの篩にかけた。
【0085】
その後、その得られた粉末をアジュバントと混合し、60メッシュの篩にかけ、顆粒にした。それらの顆粒を加熱により乾燥させ、篩にかけ、その後、ステアリン酸マグネシウムと混合した。最後に、その混合物をカプセルに充填した。
【0086】
実施例10
ヘルスケア食品(乳製品)の調製
200gのジュウヤク、2000gのニンドウ、584gのバンランコンおよび1500gのサンズコンを3200mLの注射用蒸留水に1時間浸漬した。3200mLの注射用蒸留水を添加し、その後、2回、1回につき2.5時間、煎出した。濾過した後、プールした濾液を、エタノールが臭わなくなるまで減圧下で回収し、その後、相対密度が1.08に達するまで濃縮した。
【0087】
牛乳を点検し、濾過によって精製し、規格に従って加工した(スキムミルクの場合はこれを省く)。0.5〜6mgの上で得た濃縮物を、加工乳(適量の着香剤を含む)各100gに添加した。その後、その溶液を濾過し、予熱し(≦115℃)、滅菌し、均質化し(スキムミルクの場合はこれを省く)、冷却し、その後、発酵株を接種した(セット製品を調製する場合には発酵株を予め充填しておく)。発酵後、得られた発酵乳を破壊し(セット製品を調製する場合にはこれを省く)、冷却し、充填し(セット製品を調製する場合にはこれを省く)、検査して、最終製品を得た。
【0088】
実施例11
食品(飲料)の調製
(1)600gのジュウヤク、1000gのニンドウ、1800gのバンランコン、80gのメンマコン、404gのサンズコン、200gのビャクシ、100gのタンポポおよび100gのセンシンレンを計量し、入念に洗浄し、すり潰し、その後、(原料の重量に基づき)2%〜3%のNaOHと0.3%のヘキサメタリン酸ナトリウムとを含有するアルカリ溶液に添加した。それらの原料をその溶液中で5分間、85℃で加熱し、その後、取り出し、その後、流水で、表面が中性に変わるまですすいだ。
【0089】
(2)それらの原料を切断して小さなフレークにし、その後、電気マッシャーでさらにすり潰してスラリーにした。得られたスラリーをステンレス鋼容器に移し、(そのスラリーの重量に基づき)2%の可食リン酸を添加し、その後、75℃に保った水浴で70分間、常に攪拌しながら加熱した。
【0090】
(3)水により冷却しながらおよび常に攪拌しながら、その得られたスラリーを可食重炭酸ナトリウムで中和した。その後、スラリーを濾過し、圧搾により乾燥させた。
【0091】
(4)その濾液に(液体重量の)6%の活性炭粉末を添加し、それを88℃の水浴内で120分間保持し、その後、濾過して薄黄色または褐色透明濾液を得た。その後、その濾液を調整し、包装し、その後、滅菌した。得られた薬液とリン酸とクエン酸とを100:3:4の重量比で混合することにより供給液を調製した。得られた液に水を、その供給液の水に対する重量比を1:50に到達させるように、添加した。最後に、その得られた混合物を混合し、びんに詰め、密封し、その後、低温殺菌した。
【0092】
実施例12
獣医薬の調製
400gのジュウヤク、400gのニンドウ、200gのバンランコン、100gのメンマコン、1000gのサンズコン、1000gのビャクシ、1000gのジュウロウ、1000gのセイコウおよび1000gのシャカンを計量し、粉砕し、80メッシュの篩にかけ、入念に混合して粉末を得た。内包装した後、最終的に該獣医薬を得た。
【0093】
実施例13
ワクチンの調製
1500gのジュウヤク、400gのニンドウ、584gのバンランコン、800gのメンマコン、500gのサンズコンおよび500gのビャクシを水で煎出し、その後、濾過した。その濾液を減圧下で濃縮し、その後、エタノールを添加し、その後、放置した。濃縮された濾液を濾過し、1mLあたり11gの原薬に達するまで減圧下で濃縮した。その後、その濃縮物を水で希釈し、冷蔵し、濾過し、減圧下で濃縮した。その溶液をマクロポーラス樹脂で分離し、それを水、NaOH溶液および55重量%のエタノールで順次洗浄し、その後、65重量%のエタノールで溶出した。溶出物を回収し、水で希釈し、その後、L−アルギニンを添加することによってpH7.0に調整した。活性炭を添加し、加熱し、濾過によって除去した。濾液を同量の生理食塩水で希釈して、該ワクチンを得た。
【0094】
実施例14
カプセルの調製技術
2000gのジュウヤク、200gのニンドウ、400gのバンランコン、900gのサンズコンおよび784gのキンギンカ(金銀花)(Flos Lonicerae Japonicae)を計量し、3200mLの注射用蒸留水に1時間浸漬した。3200mLの注射用蒸留水を添加し、2回、1回につき2.5時間、煎出した。濾過した後、プールした濾液を、エタノールが臭わなくなるまで減圧下で回収し、その後、濃縮して、1.30の相対密度を有する濃稠ペーストを得た。その後、そのペーストを真空乾燥オーブンの中で減圧下、80℃で48〜96時間乾燥させ、粉砕し、60〜80メッシュの篩にかけた。その後、その得られた粉末をアジュバントと混合し、60メッシュの篩にかけ、顆粒にした。それらの顆粒を加熱により乾燥させ、篩にかけ、その後、ステアリン酸マグネシウムと混合した。最後に、その混合物をカプセルに充填した。
【0095】
実施例15
予防薬の注射剤の調製
484gのジュウヤク、500gのニンドウ、1800gのバンランコンおよび1500gのサンズコンを水で煎出し、その後、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。その後、エタノールを添加し、放置した。その溶液を濾過し、1mLあたり11gの原薬に達するまで、濾液を減圧下で濃縮した。濃縮物を水で希釈し、冷却し、濾過し、減圧下で濃縮し、その後、マクロポーラス樹脂で分離し、それを水、NaOH溶液および55重量%エタノールで順次洗浄し、その後、65重量%エタノールで溶出した。溶出物を回収し、水で希釈し、その後、L−アルギニンを添加することによってpH7.0に調整した。活性炭を添加し、加熱し、その後、濾過によって除去した。濾液を同量の生理食塩水で希釈して、該予防薬の注射剤を得た。
【0096】
実施例16
カプセルの調製技術
1600gのジュウヤク、800gのニンドウ、800gのバンランコン、600gのサンズコンおよび484gのセンシンレンを計量し、3200mLの注射用蒸留水に1時間浸漬した。3200mLの注射用蒸留水を添加し、2回、1回につき2.5時間、煎出した。濾過した後、プールした濾液を、エタノールが臭わなくなるまで減圧下で回収し、その後、濃縮して、1.30の相対密度を有する濃稠エキスを得た。そのエキスを真空乾燥オーブンの中で減圧下、80℃で48〜96時間乾燥させ、すり潰し、60〜80メッシュの篩にかけた。その後、その得られた粉末をアジュバントと混合し、60メッシュの篩にかけ、顆粒にした。それらの顆粒を加熱により乾燥させ、篩にかけ、ステアリン酸マグネシウムと混合した。最後に、その混合物をカプセルに充填した。
【0097】
実施例17
カプセルの調製技術
1700gのジュウヤク、1000gのニンドウ、400gのバンランコン、500gのサンズコンおよび684gのアタンシを計量し、3200mLの注射用蒸留水に1時間浸漬した。3200mLの注射用蒸留水を添加し、2回、1回につき2.5時間、煎出した。濾過した後、プールした濾液を、エタノールが臭わなくなるまで減圧下で回収し、その後、濃縮して、1.20の相対密度を有する濃稠エキスを得た。そのエキスを真空乾燥オーブンの中で減圧下、80℃で48〜96時間乾燥させ、すり潰し、60〜80メッシュの篩にかけた。その後、その得られた粉末をアジュバントと混合し、60メッシュの篩にかけ、顆粒にした。それらの顆粒を加熱により乾燥させ、篩にかけ、ステアリン酸マグネシウムと混合した。最後に、その混合物をカプセルに充填した。
【0098】
実施例18
カプセルの調製技術
1500gのジュウヤク、1000gのニンドウ、100gのバンランコン、800gのメンマコン、500gのサンズコンおよび384gのビャクシを計量し、3200mLの注射用蒸留水に1時間浸漬した。7200mLの注射用蒸留水を添加し、2回、1回につき1時間、煎出した。濾過の後、プールした濾液を、エタノールが臭わなくなるまで減圧下で回収し、その後、濃縮して、1.0の相対密度(60℃)を有する濃稠エキスを得た。その後、そのエキスを真空乾燥オーブンの中で、70℃、減圧下で36時間乾燥させ、すり潰し、60〜80メッシュの篩にかけた。
【0099】
その後、その得られた粉末をアジュバントと混合し、篩にかけ、顆粒にした。それらの顆粒を加熱により乾燥させ、20メッシュの篩にかけ、その後、ステアリン酸マグネシウムと混合した。最後に、その混合物をカプセルに充填した。
【0100】
実施例19
シロップの調製技術
200gのジュウヤク、200gのニンドウ、1800gのバンランコンおよび1500gのサンズコンを計量し、水蒸気蒸留によって抽出して、使用のための揮発油を得た。その後、6から8倍量の水を添加し、3回、1回につき1時間、煎出した。濾過の後、プールした濾液を減圧下(40℃)で濃縮して、適量の溶液を得、その後、低温で24時間、沈降させた。上清を回収し、揮発油、単シロップおよび保存薬(安息香酸ナトリウム)と混合し、その後、蒸留水を添加して、1000mLの最終量を得た。その溶液を入念に混合し、内包装し、30分間、蒸気を流すことによって滅菌した。
【0101】
以下の実施例20〜23は、本発明の伝統漢方薬組成物についての細胞学的および動物学的試験結果を評価することにより既存の抗豚インフルエンザ薬と比較して本発明の伝統漢方薬組成物が有利であることをさらに例証するものである。
【0102】
実施例20
豚インフルエンザウイルスに感染したニワトリに対する、実施例5において調製した伝統漢方薬組成物の防護効果
この実験で試験したニワトリは、Sun Yat−Sen UniversityのExperimental Chicken Farmから購入した、健常な日齢50日のひよこ(yellow chickens)であった。この実施例で試験した薬は、実施例5に記載の本発明の伝統漢方薬組成物であった。対照薬の1つは、Zhejiang Yukang Pharmaceuticals CO.,Ltd.から購入したリマンタジンであった。他の対照薬は、中国特許第200510011432.3号に従って調製した。ウイルス株は、豚インフルエンザウイルス(SIV)のH1N1血清亜型(1.0×10−6)であった。
【0103】
実験法:
190羽の健常なひよこを無作為に5群に分けた:正常対照群にニワトリ30羽、そしてその他の各群にニワトリ40羽。豚インフルエンザウイルスを含有するニワトリ胚の尿膜腔液を0.5×10−5の濃度に希釈した。0.2mLのその希釈物を腹腔内注射によりそれぞれのニワトリに接種した。ニワトリをAIVに感染させた同じ日に、薬を各群のニワトリにそれぞれ投与し、一方、正常対照群および感染対照群には生理食塩水を供給した。薬または生理食塩水を1日1回、継続的に11日間投与した。群Aは、正常対照群であった。群Bは、この実施例の伝統漢方薬組成物(10mg/日)で処置した。群Cは、対照薬の1つであるリマンタジン(10mg/日)で処置した。群Dは、他の対照薬である、中国特許第200510011432.3号に従って調製した薬(10mg/日)で処置した。群Eは、感染対照群であった。実験結果を表1に示す。
【0104】
【表1】

【0105】
表1は、本発明の伝統漢方薬組成物が、豚インフルエンザウイルスに感染したニワトリの防護に関して、中国特許第200510011432.3号に従って調製した薬の効果および従来の治療薬リマンタジンの効果より良好な、優れた効果を有することを示している。
【0106】
実施例21
豚インフルエンザウイルスに感染したニワトリに対する実施例2において調製した伝統漢方薬組成物の防護効果
この実験で使用したニワトリは、Sun Yat−Sen UniversityのExperimental Chicken Farmから購入した、健常な日齢50日のひよこ(yellow chickens)であった。この実施例で試験した薬は、実施例2に記載の本発明の伝統漢方薬組成物であった。対照薬の1つは、Zhejiang Yukang Pharmaceuticals CO.,Ltd.から購入したリマンタジンであった。他の対照薬は、中国特許第200510011432.3号に従って調製した。ウイルス株は、H1N1亜型血清豚インフルエンザウイルス(1.0×10−6)であった。
【0107】
実験法:
150羽の健常なひよこ(yellow chicken)を5群に無作為に分けた:各群につきニワトリ30羽。豚インフルエンザウイルスを含有するニワトリ胚の尿膜腔液を0.5×10−5の濃度に希釈した。0.2mLのその希釈物を腹腔内注射によりそれぞれのニワトリに接種した。ニワトリをAIVに感染させた同じ日に、薬を各群のニワトリにそれぞれ投与し、一方、正常対照群および感染対照群には生理食塩水を供給した。薬または生理食塩水を1日1回、連続7日間、継続的に注射した。群Fは、正常対照群であった。群Gは、この実施例の伝統漢方薬組成物(10mg/日)で処置した。群Hは、対照薬の1つであるリマンタジン(10mg/日)で処置した。群Iは、中国特許第200510011432.3号に従って調製した薬(10mg/日)で処置した。群Jは、感染対照群であった。結果を表2に示す。
【0108】
【表2】

【0109】
表2は、本発明の伝統漢方薬組成物が、豚インフルエンザウイルスに感染したニワトリの防護に関して、中国特許第200510011432.3号によって調製した薬の効果および従来の治療薬リマンタジンの効果より良好な、優れた効果を有することを示している。
【0110】
実施例22
H1N1 A型インフルエンザウイルスによって引き起こされるウイルス性肺炎の治療のアッセイ
この実験で使用したマウスは、Harbin Medical UniversityにおけるLaboratory of Experimental Animalによって提供されたKunmingマウスであった。マウスにHウイルスを注射してマウスモデルを作った。伝統漢方薬組成物の処方量の注射剤をこの実験において使用した。
【0111】
実験法:
各実験群および対照群に17匹のマウスが居た。対照群1には生理食塩水(15mL/kg)を腹腔内注射し;対照群2には、抗ウイルス薬として用いられることが多いガッシュウコン(ガッシュ鬱金)(Zedoray Turmeric)油注射剤(15mL/kg)を腹腔内注射し;対照群3には、肺炎を治療するために用いられることが多いShuanghuanglian注射剤(15mL/kg)を腹腔内注射した。実験群1には、ジュウヤク、ニンドウ、バンランコンおよびメンマコンから作った注射溶液(15mL/kg)を腹腔内注射し;実験群2には、ジュウヤク、ニンドウ、バンランコン、メンマコンおよびカンゾウから作った注射溶液(15mL/kg)を腹腔内注射し;実験群3には、ジュウヤク、ニンドウ、バンランコン、メンマコン、サンズコンおよびビャクシから作った注射液(15mL/kg)を腹腔内注射した。すべての薬を10日間、継続的に投与した。すべての群のマウスを11日の投与後に犠牲にし、試験用のサンプルを回収した。結果を表3に示す。
【0112】
【表3】

【0113】
表3は、対照群1、2および3と比較して、実験群1、2、3で使用した伝統漢方薬組成物が、H1N1 A型インフルエンザウイルスに対して有意な治療効果(肺循環の改善、血小板凝集の解決、肺炎症の消去および肺損傷の修復を含む)を有したことを示している。その中で、実験群3において試験した医薬組成物は、実験群1および2において試験したものより良好な効果を有した。
【0114】
実施例23
豚インフルエンザウイルスに対する実施例7において調製した伝統漢方薬組成物のインビトロ細胞学的実験
I.材料
1.試験薬
この実験で試験した薬(KBD−SC)は、実施例7に記載の本発明の伝統漢方薬組成物(エキス1mLあたり4.7gの原薬)であった。対照薬は、Roche Pharmaceutical Companyから購入した、タミフルの原料、すなわちオセルタミビルホスファートであった。
【0115】
2.細胞:
この実験で使用した細胞は、The University of Hong KongのMedical SchoolのMicrobiology Departmentから提供されたMDCK細胞(メイディン−ダービーイヌ腎細胞(Madin−Darby Canine Kidney Cells)であった。
【0116】
3.ウイルス:
この実験で使用したウイルスは、The University of Hong KongのMedical SchoolのMicrobiology Departmentによって提供されたA/カリフォルニア/4/2009およびA/香港/xx/2008であった。
【0117】
II.方法:
1.細胞毒性アッセイ:細胞の50%が病的変化を被る薬濃度(CC50)を標準的なモスマン(Mosmann)法に従って決定した。
【0118】
a.薬物医用サンプルの調製:伝統漢方薬組成物のエキスを1×MEM培養基で200g/mLの最終濃度に希釈した。入念に混合した後、その混合物を2000rpmで5分間、遠心分離し、上清を試験薬として回収した。
【0119】
b.MDCK細胞培養の24ウエルプレートの調製:24ウエルプレートにおいて70〜80%細胞飽和度のMDCK細胞を37℃/5%COでインキュベートした。
【0120】
c.200g/mLの試験薬溶液を100mg/mL、50mg/mL、25mg/mL、12.5mg/mLおよび6.25mg/mLの濃度に希釈した。
【0121】
d.各濃度の試験薬溶液をMDCKプレートに1ウエルにつき500μLでそれぞれ添加し、その後、そのMDCKプレートをインキュベーターの中で37℃/5%COでインキュベートした。
【0122】
e.MDCK細胞の成長状態を2日間にわたって継続的に観察して、試験薬の初期濃度を決定した。
【0123】
f.これらの実験では試験薬の2つの濃度、すなわち10mg/mLおよび5mg/mL、を選択した。
【0124】
2.抗ウイルスアッセイ:
a.100 TCID5のウイルス培養物をTCID50ウイルス力価に従って調製した。
【0125】
b.2つの異なる濃度、10mg/mLおよび5mg/mL、の5mLの試験薬溶液をそれぞれ希釈し;一方、タミフルの濃度は、100μmol/mLおよび10μmol/mLであった。
【0126】
c.1mLのウイルス培養物を異なる濃度の1mLの試験薬溶液および対照薬とそれぞれ混合し、その後、室温で30分間インキュベートした。
【0127】
d.ウイルスと薬の混合物を24ウエルMDCK細胞培養プレートに120μL/ウエルで、二重反復でそれぞれ添加し、その後、それらのプレートをインキュベーターの中で37℃/5%COで1時間インキュベートした。
【0128】
e.ウイルスと薬の混合物を除去し、異なる濃度の試験薬をそのプレートにそれぞれ1mL/ウエルで二重反復で添加した。MDCK細胞培養プレートをインキュベーターの中で37℃/5%COでインキュベートした。
【0129】
f.細胞の病的変化を3日間、継続的に観察した。第2日および第3日に写真を撮り、その間に上清を実時間PCRによって検査した。結果を表4に示す。
【0130】
【表4】

【0131】
結論:実施例7に従って調製した本発明の伝統漢方薬組成物のKBD−SCエキスは、第2日にウイルスの複製を実質的に阻害し、第3日に依然として有効であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
豚インフルエンザを予防および治療するための伝統漢方薬組成物であって、該伝統漢方薬組成物の有効成分が、次の原料:ジュウヤク(十薬)(Herba Houttuyniae)、ニンドウ(忍冬)(Caulis Lonicerae Japonicae)、バンランコン(板藍根)(Radix Isatidis)およびサンズコン(山豆根)(Radix et Rhizoma Sophorae Tonkinensis)で実質的に構成され、好ましくは、該伝統漢方薬組成物の有効成分が、上述の4原料のみで構成されるものである伝統漢方薬組成物。
【請求項2】
解熱および解毒のための他の薬草をさらに含み、好ましくは、該解熱および解毒のための薬草が、メンマコン(綿馬根)(Rhizoma Dryopteris Crassirhizomatis)、ビャクシ(白し)(Radix Angelicae Dahuricae)、センシンレン(穿芯蓮)(Herba Andrographis)、タンポポ(蒲公英)(Herba Taraxaci)、セイタイ(青黛)(Indigo Naturalis)、ダイケットウ(大血藤)(Caulis Sargentodoxae)、ジュウロウ(重楼)(Rhizoma Paridis)、セイコウ(青蒿)(Herba Artemisiae Annuae)、シャカン(射干)(Rhizoma Iridis Tectori)、アタンシ(鴉胆子)(Fructus Bruceae)、ハッカ(薄荷)(Herba Menthae)、キキョウコン(桔梗根)(Radix Platycodonis)およびカンゾウ(甘草)(Radix Rhizoma Glycyrrhizae)から選択され;より好ましくは、メンマコンおよびビャクシから選択される、請求項1に記載の伝統漢方薬組成物。
【請求項3】
前記4つの有効成分の原料の重量百分率が、ジュウヤク 4.2重量%〜70.0重量%、ニンドウ 4.2重量%〜46.7重量%、バンランコン 2.3重量%〜42.0重量%およびサンズコン 1.2重量%〜35.0重量%である、請求項1に記載の伝統漢方薬組成物。
【請求項4】
豚インフルエンザを予防または治療するための伝統漢方薬組成物であって、該伝統漢方薬組成物の有効成分が、次の原料:ジュウヤク、ニンドウ、バンランコン、サンズコン、メンマコンおよびビャクシで実質的に構成されるものである、好ましくは、該伝統漢方薬組成物の有効成分が、上述の6原料のみで構成されるものである伝統漢方薬組成物。
【請求項5】
解熱および解毒のための他の薬草も含み、好ましくは、該解熱および解毒のための薬草が、センシンレン、タンポポ、セイタイ、ダイケットウ、ジュウロウ、セイコウ、シャカン、アタンシ、ハッカ、キキョウコンおよびカンゾウから選択され;さらに好ましくは、ジュウロウ、セイコウおよびシャカンから選択される、請求項4に記載の伝統漢方薬組成物。
【請求項6】
前記6つの有効成分の原料の重量百分率が、ジュウヤク 4.7重量%〜58.4重量%、ニンドウ 4.7重量%〜46.7重量%、バンランコン 2.3重量%〜42.0重量%、サンズコン 1.2重量%〜35.0重量%、メンマコン 1.9重量%〜37.3重量%およびビャクシ 1.2重量%〜35.0重量%である、請求項4または5に記載の伝統漢方薬組成物。
【請求項7】
有効成分および/または薬学的に許容される担体を含む豚インフルエンザの予防または治療用の伝統漢方薬組成物であって、該有効成分が、次の原料:ジュウヤク 9.3重量%〜46.7重量%、ニンドウ 9.3重量%〜37.3重量%、バンランコン 4.7重量%〜35.0重量%、メンマコン 2.3重量%〜28.0重量%、サンズコン 2.3重量%〜23.3重量%、ビャクシ 2.3重量%〜23.3重量%、ジュウロウ 2.3重量%〜23.3重量%、セイコウ 2.3重量%〜23.3重量%およびシャカン 2.3重量%〜23.3重量%で実質的に構成されるものである伝統漢方薬組成物。
【請求項8】
前記有効成分が、次の原料:ジュウヤク 14.0重量%〜35.0重量%、ニンドウ 11.7重量%〜23.3重量%、バンランコン 9.3重量%〜21.0重量%、メンマコン 7.0重量%〜18.7重量%、サンズコン 4.7重量%〜11.7重量%、ビャクシ 4.7重量%〜11.7重量%、ジュウロウ 4.7重量%〜11.7重量%、セイコウ 4.7重量%〜11.7重量%およびシャカン 4.7重量%〜11.7重量%で実質的に構成される、請求項7に記載の伝統漢方薬組成物。
【請求項9】
前記有効成分が、次の原料:ジュウヤク 21.4重量%、ニンドウ 17.9重量%、バンランコン 14.3重量%、メンマコン 10.7%、サンズコン 7.1重量%、ビャクシ 7.1重量%、ジュウロウ 7.1重量%、セイコウ 7.1重量%およびシャカン 7.1重量%で実質的に構成される、請求項8に記載の伝統漢方薬組成物。
【請求項10】
任意の薬学的に許容される剤形にすることができる、請求項1から9のいずれかに記載の伝統漢方薬組成物。
【請求項11】
顆粒剤形にすることができる、請求項10に記載の伝統漢方薬組成物。
【請求項12】
下記の工程を含む、請求項1から11のいずれかに記載の伝統漢方薬組成物の調製方法:
(1)すべての原料を使用のために計量する;
(2)ジュウヤクを10〜40分間、水で煎出し、その後、濾過する;その濾液を濃縮して、1.05の相対密度を有する透明ペーストを得、その後、冷却する;
(3)工程(2)で得た透明ペーストにエタノールを、エタノールの含有量が50〜80%に達するまで添加し、その後、24時間放置し、その後、濾過する;エタノールの回収後、その濾液を濃縮して、1.25の相対密度を有する透明ペーストを得る;
(4)他の原料を水に2回、1回につき2時間、煎出し、その後、濾過する;その濾液を、相対密度が1.20に達するまで濃縮する。その濃縮物を濾過し、再び濃縮して、1.10〜1.25の相対密度を有する透明ペーストを得る;
(5)工程(3)および工程(4)において得た透明ペーストを混合し、濃縮し続けて、1.26より大きい相対密度を有する濃稠ペーストを得る;最後にアジュバントを添加して、該伝統漢方薬組成物を得る。
【請求項13】
豚インフルエンザを予防または治療するための薬および/またはヘルスケア製品の調製における、請求項1から11のいずれかに記載の伝統漢方薬組成物の使用。
【請求項14】
前記豚インフルエンザが、A型インフルエンザ(H1N1)であり;好ましくは、該A型インフルエンザ(H1N1)が、次の亜型:H1N1、H1N2、H3N1、H3N2およびH2N3から選択されるA型インフルエンザウイルスによって引き起こされる、請求項13に記載の伝統漢方薬組成物の使用。
【請求項15】
前記豚インフルエンザが、ヒト感染型豚インフルエンザまたは動物感染型インフルエンザである、請求項13に記載の伝統漢方薬組成物の使用。
【請求項16】
請求項1から11のいずれかに記載の有効量の伝統漢方薬組成物を、必要としている患者に投与することを含む、豚インフルエンザの予防または治療方法。
【請求項17】
前記豚インフルエンザが、A型インフルエンザ(H1N1)であり;好ましくは、該A型インフルエンザ(H1N1)が、次の亜型:H1N1、H1N2、H3N1、H3N2およびH2N3から選択されるA型インフルエンザウイルスによって引き起こされる、請求項16に記載の豚インフルエンザの予防または治療方法。
【請求項18】
前記豚インフルエンザが、ヒト感染型豚インフルエンザまたは動物感染型豚インフルエンザである、請求項16または17に記載の豚インフルエンザの予防または治療方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−530083(P2012−530083A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515321(P2012−515321)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際出願番号】PCT/CN2010/000884
【国際公開番号】WO2010/145205
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511306114)麗珠医薬集団股▲分▼有限公司 (1)
【出願人】(511306125)
【Fターム(参考)】