説明

豚糞送出システム

【課題】糞収集場所に一時的に集められた豚の糞を、それを発酵させる発酵装置の発酵槽に自動的に送り出す手段が求められている。
【解決手段】豚糞送出システムは、豚の糞が一時的に集められる糞収集場所からその糞を発酵させる発酵装置7の発酵槽に糞を送り出す、第1配管から第5配管、第1ポンプから第5ポンプ、集合ピット3、第6配管4、第1枝管5aから第8枝管5h、及び第6ポンプ6により構成される糞送出装置を有し、第1配管1Aから第5配管1Eと第6配管4とを介し糞収集場所から発酵槽に糞が送り出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豚の糞を収集して発酵装置に送り出す豚糞送出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、農業や園芸等では植物の生育を促進するために有機物を発酵させた堆肥が使われている。有機物には養豚場から排出される豚の糞が含まれる。豚の糞を発酵させる場合、従来、豚が肥育される肥育小屋に設けられている糞収集場所に豚の糞が一時的に集められ、人間がその集められた豚の糞をショベルカーやポンプ等を用いて豚の糞を発酵させる発酵装置の発酵槽に格納している。発酵槽で豚の糞が発酵し、堆肥が生成される。
【0003】
【特許文献1】特開2004−244305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人間が豚に近づき人間の菌が豚に付着すると豚の健康状態が悪化するという問題が発生する可能性がある。また、糞は悪臭が甚だしいので、人間は糞を取り扱う際、マスクを装着したり、防臭及び防汚するための特殊な服を装着する必要がある。そのため、糞収集場所に一時的に集められた豚の糞を、人の手を介することなく自動的に発酵装置の発酵槽に収集する手段が求められている。
【0005】
本発明は、糞収集場所に一時的に集められた豚の糞を、人の手を介することなく自動的に発酵装置の発酵槽に収集する豚糞送出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明の豚糞送出システムは、豚の糞が一時的に集められる糞収集場所から該糞を発酵させる発酵装置の発酵槽に糞を送り出す糞送出装置を有し、該糞送出装置は糞送出配管を有し、該糞送出配管を介し、糞収集場所から発酵槽に糞が送り出されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、糞収集場所に一時的に集められた豚の糞は、人の手を介することなく自動的に発酵装置の発酵槽に収集される。そのため、人間の菌が豚に付着することはなく、人間の菌により豚の健康状態が悪化する可能性がなくなる。また、作業者は、豚の糞を収集する際、マスクを装着したり、防臭及び防汚するための特殊な服を装着する必要がなくなる。
【0008】
本発明の豚糞送出システムは、糞収集場所が、豚が肥育される肥育小屋に設けられ、糞送出装置が、複数の糞収集場所から複数の発酵装置の発酵槽に糞を送り出してもよい。
【0009】
この発明によれば、糞収集場所が豚が肥育される複数の肥育小屋に設けられている場合、その異なる糞収集場所から発酵装置の発酵槽に糞を効率よく収集することができるとともに、複数の発酵槽で豚の糞を発酵することにより、大量の糞を効率よく発酵させることができる。
【0010】
本発明の豚糞送出システムの糞送出装置は、糞収集場所から発酵装置の発酵槽に送り出す糞の量を調整することができる糞送出調整手段を有していてもよい。
【0011】
この発明によれば、糞収集場所から発酵装置の発酵槽に送り出す糞の量を調整することができるので、必要な分だけ糞を発酵させることができる。
【0012】
本発明の豚糞送出システムの糞送出調整手段は、複数の発酵装置の発酵槽のうちの特定の発酵槽に糞収集場所からの糞を送り出すように調整可能であってもよい。
【0013】
この発明によれば、特定の発酵槽に糞収集場所からの糞を送り出すことができるので、豚の糞が少ないときは少ない数の発酵槽のみを使用し、また豚の糞が多いときは複数の発酵槽を使用し発酵させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、糞収集場所に一時的に集められた豚の糞を、人の手を介することなく自動的に発酵装置の発酵槽に収集する豚糞送出システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
先ず、本実施の形態における豚糞送出システムの構成を説明する。
【0017】
本実施の形態における豚糞送出システムは、糞収集場所に一時的に集められた豚の糞を自動的に発酵装置の発酵槽に収集するシステムである。図1は本実施の形態における豚糞送出システムの上流部の概略図であり、図2は本実施の形態における豚糞送出システムの下流部の概略図である。図1及び図2に示すように、本実施の形態における豚糞送出システムは、第1配管1Aから第5配管1Eと、第1ポンプ2Aから第5ポンプ2Eと、集合ピット3と、第6配管4と、第1枝管5aから第8枝管5hと、第6ポンプ6と、第1発酵装置7aから第8発酵装置7hと、第1バタフライバルブ8aから第8バタフライバルブ8hと、第1電磁弁9aから第8電磁弁9hと、制御装置10と、コンプレッサ11とを有している。
【0018】
第1配管1Aから第5配管1Eそれぞれは、豚が肥育される場所である第1肥育小屋100Aから第5肥育小屋100Eそれぞれに設けられている第1糞収集場所101Aから第5糞収集場所101Eそれぞれと集合ピット3とを結ぶ管である。第1肥育小屋100Aから第5肥育小屋100Eそれぞれは豚が収容される小屋であって、第1糞収集場所101Aから第5糞収集場所101Eそれぞれは第1肥育小屋100Aから第5肥育小屋100Eそれぞれから排出される豚の糞が一時的に集められる場所である。第1肥育小屋100Aから第5肥育小屋100Eそれぞれから排出される豚の糞は、スクレーバーによって第1糞収集場所101Aから第5糞収集場所101Eそれぞれに集められる。なお、本実施形態ではスクレーバーで糞を集めることにしたが、これに限らず、作業者の労働によって第1糞収集場所101Aから第5糞収集場所101Eそれぞれに集められてもよいし、豚の糞の第1糞収集場所101Aから第5糞収集場所101Eそれぞれへの収集手段はどのようなものであってもよい。
【0019】
第1ポンプ2Aから第5ポンプ2Eそれぞれは、第1糞収集場所101Aから第5糞収集場所101Eそれぞれに設けられ、それらに集められた豚の糞を、第1配管1Aから第5配管1Eそれぞれを介して、集合ピット3へ送り出す装置である。集合ピット3は、第1糞収集場所101Aから第5糞収集場所101Eそれぞれからの豚の糞が格納される容器である。なお、集合ピット3は、本実施形態では容器としたが、豚の糞が集められるものであれば、容器に限定されない。
【0020】
第6配管4は、集合ピット3と第1発酵装置7aから第8発酵装置7hそれぞれとを結ぶための管である。第1枝管5aから第8枝管5hそれぞれは、第6配管4から分岐している管であって、第6配管4と第1発酵装置7aから第8発酵装置7hそれぞれとを結ぶ管である。第6配管4と第1枝管5aから第8枝管5hそれぞれとによって、集合ピット3と第1発酵装置7aから第8発酵装置7hそれぞれとが結ばれる。
【0021】
第6ポンプ6は、集合ピット3に設けられ、それに格納された豚の糞を第6配管4を介して第1発酵装置7aから第8発酵装置7hそれぞれへ送り出す装置である。
【0022】
ここで、第1ポンプ2Aから第5ポンプ2E及び第6ポンプ6は、スクイーズ(絞り出し)ポンプである。図3はスクイーズポンプの断面図である。スクイーズポンプは、円筒形のケーシング26と、ポンピングチューブ27と、ロータ28と、2個のローラ29と、図示しない油圧モータ及ぶ減速装置とで構成されている。ポンピングチューブ27は、復元性を有し、ケーシング26の内壁に配置されており、一端から糞の塊が入り込み他端に接続されている配管に送り出される。ロータ28はケーシング26の中央に回転可能に設けられている。2個のローラ29は表面にゴム層を有し、ケーシング26の外周の近傍に180度の位相差をもって、ロータ28に支持されるように設けられている。
【0023】
図4はスクイーズポンプの動作原理を説明するための図である。油圧モータの動作により減速装置を介してロータ28が矢印X(図3を参照)の方向に回転し、それによりローラ29が矢印Y(図3をも参照)の方向にポンピングチューブ27を押圧しながら回転する。それにより、ポンピングチューブ27内の糞を押圧し、スクイーズポンプは糞を配管へ送り出す。
【0024】
第1発酵装置7aから第8発酵装置7hそれぞれは、図5に示すように、ハウジング71と、ハウジング71の内部に設けられている発酵槽72とを有する。ハウジング71は、発酵槽72を囲う壁部71aと、発酵槽72の上方を覆う天井部71bとで構成されている。壁部71aは、コンクリートブロックやALCパネル等のコンクリート系材料で構築されており、ハウジング71の内外を断熱している。発酵槽72は、コンクリートパネル材を組み合わせて円筒状に形成された容器である。発酵槽72の内部には攪拌機(図示略)が設けられており、攪拌機は発酵槽72に格納される豚の糞を攪拌する。発酵装置7は、外気を内部に取り入れるとともに、内部で発生したアンモニア等のガスを外部に排出する装置を有する。外気が発酵装置7の内部に取り入れられるとともに、発酵槽72の内部の攪拌機が豚の糞を攪拌するので、発酵槽72に格納された豚の糞は発酵し、堆肥が生成される。
【0025】
第1バタフライバルブ8aから第8バタフライバルブ8hそれぞれ(図2参照)は、第1枝管5aから第8枝管5hそれぞれに設けられており、第1枝管5aから第8枝管5hそれぞれを流れる糞の量を調整するための手段である。第1電磁弁9aから第8電磁弁9hそれぞれ(図2参照)は、第1バタフライバルブ8aから第8バタフライバルブ8hそれぞれを開閉する手段である。
【0026】
制御装置10は、第1電磁弁9aから第8電磁弁9hそれぞれの動作を制御する装置である。コンプレッサ11は、第1電磁弁9aから第8電磁弁9hそれぞれを動作させるものである。制御装置10は、コンプレッサ11を利用して第1電磁弁9aから第8電磁弁9hそれぞれの動作を制御する。
【0027】
なお、第1配管1Aから第5配管1E、第1ポンプ2Aから第5ポンプ2E、集合ピット3、第6配管4、第1枝管5aから第8枝管5h、及び第6ポンプ6は、本発明の豚糞送出システムの糞送出装置の一例である。また、第1配管1Aから第5配管1E、第6配管4、及び第1枝管5aから第8枝管5hは、本発明の豚糞送出システムの糞送出装置が有する糞送出配管の一例である。また、第1バタフライバルブ8aから第8バタフライバルブ8h、第1電磁弁9aから第8電磁弁9h、制御装置10、及びコンプレッサ11は、本発明の豚糞送出システムの糞送出装置が有する糞送出調整手段の一例である。
【0028】
次に、本実施の形態における豚糞送出システムの動作を説明する。
【0029】
先ず、スクレーバー又は作業員の動力等によって、第1肥育小屋100Aから第5肥育小屋100Eそれぞれから排出される豚の糞は、第1肥育小屋100Aから第5肥育小屋100Eそれぞれに設けられている第1糞収集場所101Aから第5糞収集場所101Eそれぞれに集められる。
【0030】
そして、作業員によって上流ポンプ駆動ボタン(図示略)が押されることにより、第1糞収集場所101Aから第5糞収集場所101Eそれぞれに設けられている第1ポンプ2Aから第5ポンプ2Eそれぞれが駆動し、第1糞収集場所101Aから第5糞収集場所101Eそれぞれに集められた豚の糞を、第1配管1Aから第5配管1Eそれぞれを介して集合ピット3へ送り出す。これにより、第1糞収集場所101Aから第5糞収集場所101Eそれぞれに集められた豚の糞は、人手を介することなく自動的に集合ピット3に格納される。なお、本実施形態では、上流ポンプ駆動ボタンが押されることにより第1ポンプ2Aから第5ポンプ2Eすべてが駆動することとしたが、これに限らず、第1ポンプ2Aから第5ポンプ2Eそれぞれに対応して上流ポンプ駆動ボタンを設けてもよい。このようにすることにより、不必要なポンプの駆動を防止することができ、省エネを図ることができる。
【0031】
次に、作業員によって下流ポンプ駆動ボタン(図示略)が押されることにより、第6ポンプ6は、集合ピット3に格納された豚の糞を第6配管4と第1枝管5aから第8枝管5hそれぞれとを介して、第1発酵装置7aから第8発酵装置7hそれぞれへ送り出す。なお、本実施形態では、下流ポンプ駆動ボタンを設ける態様について説明したが、これに限らず、上流ポンプ駆動ボタンを押下することにより、第6ポンプ6も駆動するようにしてもよい。
【0032】
その際、制御装置10によって、第1電磁弁9aから第8電磁弁9hそれぞれを利用して、第1バタフライバルブ8aから第8バタフライバルブ8hそれぞれを開閉し、第1発酵装置7aから第8発酵装置7hそれぞれに順番に所定の量の糞が満たされるように、第1枝管5aから第8枝管5hそれぞれを流れる糞の量を制御する。
【0033】
図6を参照して、制御装置10が行なう動作を説明する。なお、以下の本実施形態では、上流ポンプ駆動ボタンが押されることにより第1ポンプ2Aから第5ポンプ2Eおよび第6ポンプ6すべてが駆動される態様について説明する。
【0034】
まず、S1により、スタートボタン(スタートスイッチ)が「ON」になったかが判断される。ここで、スタートボタンが「ON」になったかは、作業員によって「上流ポンプ駆動ボタン」が押下されたかにより判断される。そして、S1により、スタートボタンが押下されたと判断された場合、すなわち、糞を自動で送り出す自動運転が行なわれる場合は、S2に進む。
【0035】
そして、S2により、制御装置10は、コンプレッサ11を用いて第1電磁弁9aから第8電磁弁9hそれぞれの動作を制御し、第1バタフライバルブ8aのみを開放し、第2バタフライバルブ8bから第8バタフライバルブ8hを閉鎖する。その後、S3により、制御装置10は第6ポンプ6を運転させる。第1バタフライバルブ8aから第8バタフライバルブ8hのいずれをも開放せずに第6ポンプ6を運転させると、第6配管4及び第1枝管5aから第8枝管5hの内部の圧力が上昇し、それらが破損する可能性がある。そのため、制御装置10は、まず第1バタフライバルブ8aのみを開放し、その後第6ポンプ6を運転させる。
【0036】
このように、第1バタフライバルブ8aのみが開放され、第6ポンプ6が駆動すると、集合ピット3に格納された豚の糞は第1発酵装置7aの発酵槽のみへ送り出される。
【0037】
ところで、第1発酵装置7aから第8発酵装置7hそれぞれの内部の発酵槽には、所定の量の糞が格納されるとそれを検出する棒状のレベルセンサが設けられている。このレベルセンサは、「LOWレベル」のところまで豚の糞が挿入されると挿入完了の検出信号を出力し、また豚の糞が発酵され「HIGHレベル」のところまで体積が増大されると発酵完了の検出信号を出力する。そして、S4により、制御装置10は、第1発酵装置7aの発酵槽に設けられているレベルセンサからの検出信号(LOWレベルの検出信号)を待ち、制御装置10が検出信号を受け取った場合、第1発酵装置7aの発酵槽への豚の糞の挿入が完了し、S5により、第1発酵装置7aの発酵槽において、攪拌機が糞を攪拌し、それにより発酵槽に挿入された豚の糞は発酵し、堆肥が生成される。ここで、上述したように、発酵が完了したかはレベルセンサにより検出(HIGHレベルの検出)される。そして、堆肥が生成されると、作業員の作業によって、生成された堆肥は発酵槽の外部に持ち出され、発酵槽の内部は空になる。
【0038】
S6により、停止ボタン(停止スイッチ)が「ON」されたかが判断される。ここで、停止ボタンが「ON」になったかは、作業員によってポンプ停止ボタンが押下されたかより判断される。ところで、制御装置10は、内部にカウンタを有しており、第1バタフライバルブ8aのみが開放されているとき、カウンタの値は「1」に設定される。S6により、ポンプ停止ボタンが押下されていない場合、S7により、制御装置10は、コンプレッサ11を利用して第(N+1)電磁弁9の動作を制御し、第(N+1)バタフライバルブ8を開放する。カウンタの値が「1」である場合、S7により、制御装置10は、第2電磁弁9bの動作を制御し、第2バタフライバルブ8bを開放する。
【0039】
S8により、制御装置10は、コンプレッサ11を利用して第N電磁弁9の動作を制御し、第Nバタフライバルブ8を閉鎖する。カウンタの値が「1」である場合、S8により、制御装置10は、第1電磁弁9aの動作を制御し、第1バタフライバルブ8aを閉鎖する。この場合、第2バタフライバルブ8bのみが開放されている状態となる。
【0040】
S9により、制御装置10は、自身が有するカウンタの値を「N」から「N+1」に変更する(Nが8である場合、N=0)。変更前の「N」の値が「1」である場合、S9により、制御装置10は、自身が有するカウンタの値を「1」から「2」に変更し、ステップS4に戻る。そして、第2発酵装置7bの発酵槽について、上述したS4およびS5と同様の処理を行う。このように、S6により停止ボタンが「ON」になるまで、第2発酵装置7bの発酵槽→第3発酵装置7cの発酵槽→第4発酵装置7dの発酵槽→第5発酵装置7eの発酵槽→第6発酵装置7fの発酵槽→第7発酵装置7gの発酵槽→第8発酵装置7hの発酵槽→第1発酵装置7aの発酵槽→第2発酵装置7bの発酵槽に順次豚の糞が挿入され発酵される(S7→S8→S9→S4→S5→S6→S7)。以上のように、自動で豚の糞を第1発酵装置7aから第8発酵装置7hそれぞれ順次挿入し発酵させることができる。
【0041】
S6により、停止ボタンが「ON」になったと判断された場合、すなわち、ポンプ停止ボタンが押下されたと判断された場合、S10により、第6ポンプ6の動作を停止させる。そして、S11により、制御装置10は、コンプレッサ11を利用して現在開放しているバタフライバルブ8(第Nバタフライバルブ)に対応する電磁弁9の動作を制御し、開放状態のバタフライバルブ8を閉鎖する。
【0042】
次に、S1により、スタートボタンが「ON」になっていないと判断された場合、すなわち、手動運転が行なわれる場合は、S12に進む。この場合、作業員は、S12により、第1バタフライバルブ8aから第8バタフライバルブ8hのいずれかを手動で開放し、S13により、第6ポンプ6を手動で運転させる。これにより、集合ピット3に格納された豚の糞は、第1発酵装置7aから第8発酵装置7hのうちの手動により開放されたバタフライバルブ8に対応する発酵装置7の発酵槽へ送り出される。
【0043】
糞が特定の発酵装置7の発酵槽へ格納されると、S14により、特定の発酵装置7の発酵槽において、攪拌機が糞を攪拌し、それによりその発酵槽に挿入された豚の糞は発酵し、堆肥が生成される。堆肥が生成されると、作業員は、S15により、手動で第6ポンプ6の動作を停止させ、S16により、手動で開放状態のバタフライバルブ8を閉鎖する。これにより、手動で糞を第1発酵装置7aから第8発酵装置7hのいずれかへ送り出し発酵させる動作は終了する。
【0044】
上述したように、本実施の形態における豚糞送出システムは、第1配管1Aから第5配管1Eと、第1ポンプ2Aから第5ポンプ2Eと、集合ピット3と、第6配管4と、第1枝管5aから第8枝管5hと、第6ポンプ6と、第1発酵装置7aから第8発酵装置7hとを有するので、第1糞収集場所101Aから第5糞収集場所101Eそれぞれに一時的に集められた豚の糞を、人の手を介することなく自動的に発酵装置7の発酵槽に収集することができる。また、人間が豚に近づかないので、人間の菌が豚に付着することはなく、人間の菌により豚の健康状態が悪化する可能性がなくなる。また、作業員は、豚の糞を収集する際、マスクを装着したり、防臭及び防汚するための特殊な服を装着する必要がなくなる。
【0045】
なお、上述した実施の形態では、糞収集場所101から集合ピット3までの配管1の数は「5」であるが、その数は「5」に限定されない。また、配管1の数は糞収集場所101の数に応じて決定される。同様に、ポンプ2の数も糞収集場所101の数に応じて決定される。また、発酵装置7の数は「8」に限定されない。枝管5の数は発酵装置7の数に応じて決定される。
【0046】
また、ポンプ2及びポンプ6はスクイーズ式のポンプに限定されない。ポンプ2及びポンプ6は、ピストンポンプであってもよい。図7はピストンポンプの概略図である。図7に示すように、ピストンポンプは、油圧シリンダ81と、コンクリートシリンダ82と、バルブブロック83と、Sパイプ84とで構成されている。油圧シリンダ81とコンクリートシリンダ82とはバルブブロック83を介して接続されており、油圧シリンダ81が前後に摺動することにより、バルブブロック83に接続されているSパイプ84の一端に接続されている糞が、Sパイプ84の他の端に接続されている配管へ送り出される。なお、ポンプ2及びポンプ6は、スクイーズ式のポンプやピストンポンプ以外の糞を送り出す装置に置き換えられてもよい。
【0047】
また、上述した実施の形態では、糞を自動的に第1発酵装置7aから第8発酵装置7hへ送り出す場合、第1発酵装置7aから第8発酵装置7hへ順番に豚の糞が送り出される状況を説明した。しかしながら、糞は順番に送り出されなくてもよい。例えば、糞は、特定の一つの発酵装置7または複数の発酵装置7に同時に送り出すようにしてもよいし、また複数の発酵装置7単位で順次に送り出すようにしてもよい。

【0048】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施の形態における豚糞送出システムの上流部の概略図である。
【図2】本実施の形態における豚糞送出システムの下流部の概略図である。
【図3】スクイーズポンプの断面図である。
【図4】スクイーズポンプの動作原理を説明するための図である。
【図5】発酵装置の構成図である。
【図6】本実施の形態における集合ピットから各発酵槽への糞の分配の方法を示すフローチャートである。
【図7】ピストンポンプの概略図である。
【符号の説明】
【0050】
1 配管
2 ポンプ
3 集合ピット
4 配管
5 枝管
6 ポンプ
7 発酵装置
8 バタフライバルブ
9 電磁弁
10 制御装置
11 コンプレッサ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
豚の糞が一時的に集められる糞収集場所から該糞を発酵させる発酵装置の発酵槽に糞を送り出す糞送出装置を有し、
該糞送出装置は糞送出配管を有し、該糞送出配管を介し前記糞収集場所から前記発酵槽に糞が送り出されることを特徴とする豚糞送出システム。
【請求項2】
前記糞収集場所は、豚が肥育される肥育小屋に設けられ、
前記糞送出装置は、複数の前記糞収集場所から複数の前記発酵装置の発酵槽に糞を送り出すことを特徴とする請求項1記載の豚糞送出システム。
【請求項3】
前記糞送出装置は、前記糞収集場所から前記発酵装置の発酵槽に送り出す糞の量を調整することができる糞送出調整手段を設けたことを特徴とする請求項2記載の豚糞送出システム。
【請求項4】
前記糞送出調整手段は、複数の前記発酵装置の発酵槽のうちの特定の発酵槽に前記糞収集場所からの糞を送り出すように調整可能であることを特徴とする請求項3記載の豚糞送出システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−64060(P2010−64060A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235767(P2008−235767)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(506343704)株式会社トーメック (12)
【Fターム(参考)】