説明

豚足の加工食品

【課題】グロテスクで敬遠され勝ちな豚足を、見た目に奇麗でかつ美味で栄養バランスの良い高級加工食品を実現する。
【解決手段】豚足の脛の骨を除去し、代わりに複数種の野菜類及び/又は香味野菜を詰めて脛としての型を保持し、肉部と野菜の色彩で五目巻きの様な多色な色彩を作り出せるので、グロテスクな形状が食欲をそそる美しい形状に変身する。しかも、豚足のコラーゲンと野菜のビタミンやミネラルを同時に摂取できるので、栄養バランスの良い加工食品となる。容器内で前記豚足のそとに複数種の野菜類を配置し、前記豚足を煮出した汁及び/又はゼラチンを入れて冷却し固めたので、見た目に華やかな色彩となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見た目に美しく容器内で装飾配置可能で、容器ごとすぐに食卓に出せ、かつ栄養バランスに富んだ豚足加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
豚足は主に九州沖縄地方で食されている。良質の蛋白質を含むことから、美容と健康により効果があると言われているが、豚足をその原形のままで調理したものが多く、臭さと見た目のために、慣れない地域では敬遠する人が多い。
【0003】
沖縄地方でされている豚足の調理方法は、たっぷりの水に豚足を入れ、とろ火で煮出し、豚足を取り出した後、煮出し汁を冷却することで、上部に固まった脂質やアク等の不純物を取り除き、豚足と昆布や冬瓜を加えて改めて加熱する方法が主である。
【0004】
沖縄では、古来家庭料理として日常的に食されているが、料理に時間がかかることから、簡単に利用できるレトルト商品としても店頭に並ぶようになった。
【0005】
しかしながら、原形をとどめたグロテスクな形状と、従来の調理法による臭みの除去方法には問題があり、栄養価に優れている割りには高級商品とはいい難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006 −271317公報
【特許文献2】特開2007−174922公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、特許文献1記載のように、豚足の骨を取り除いた後に、引き裂いた皮を巻きつけて結束する方法や、特許文献2のような豚足特有の臭みを殆ど感じさせない豚足スープの製造方法が開示されている。
しかしながら、見た目に美しくしたり栄養バランスを配慮するなどの工夫に欠けている。
【0008】
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、グロテスクで敬遠され勝ちな豚足を、見た目に奇麗かつ美味で栄養バランスの良い高級加工食品として実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本願発明の豚足加工食品は、請求項1のように、輪切りにした豚足脛部において、骨を除去した空洞に野菜類及び/又は香味野菜を詰めることを特徴とする。
【0010】
さらに請求項2のように、前記豚足を煮出して成る煮出し汁を、油分とアク等の不純物を取り除いた後、前記豚足加工食品や野菜の入った容器に注入し、冷却して固める。
容器は、中身が見えるように透明とし、たとえば前記豚足を中心にあしらい、周りに緑黄色野菜等で盛り付け、煮出し汁で固めるのである。
【0011】
請求項3は、前記豚足加工食品の製造方法の発明であって、通常は精肉業者が豚の脛部を生の状態で適度のサイズ例えば3〜5cmに輪切りにした状態で入荷するように依頼するので、それを煮た後に骨を除去する。そして、骨を除去して成る空洞に野菜類及び/又は香味野菜を詰める。
なお、輪切りにする前の状態で煮て骨を抜いてから、好みのサイズに輪切りにして、野菜類及び/又は香味野菜を詰めることも可能である。
本発明における豚足とは、足の脛の部分を指す。くるぶしから下の部分は処理が困難である。
なお、牛、馬、山羊等の豚以外の四足動物の足を利用することも可能である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1のように豚足の脛の骨を除去し、代わりに複数種の野菜類及び/又は香味野菜を詰めて脛としての型を保持し、肉部と野菜の色彩で五目巻きの様な多色な色彩を作り出せるので、グロテスクな形状が、食欲をそそる美しい形状に変身する。しかも、豚足のコラーゲンと野菜のビタミンやミネラルを同時に摂取できるので、栄養バランスの良い加工食品となる。
【0013】
請求項2のように、容器内で前記豚足のそとに複数種の野菜類を配置し、油分とアク等の不純物を取り除いた後の前記豚足を煮出した汁及び/又は湯で溶いたゼラチンを入れて冷却し固めると、見た目に華やかな色彩となる。
しかも、鍋類等の調理器具が不要となり、そのまま冷食としたり、容器をそのまま温め、温食として食卓に出せるので、美しさを保ったまま手間と時間が節約できる。
【0014】
請求項3のように豚の脛部を輪切りにすると共に煮た後に骨を除去して成る空洞に複数種の野菜類及び/又は香味野菜を詰める方法によると、グロテスクな豚足から、コラーゲンと野菜のビタミンやミネラルを含んで栄養バランスに富みかつ美しい加工食品を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】加工工程の製造工程を順に示すフローチャートである。
【図2】豚足のゆで方を示す斜視図である。
【図3】野菜類を詰め込んだ豚足を示す斜視図である。
【図4】容器内で装飾配置した豚足及び野菜の斜視図である。
【図5】中身が見える透明容器に収納した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明による豚足加工食品が実際上どのように具体化されるか実施形態を詳述する。
図1は、本発明による豚足加工食品の加工方法を示すフローチャートである。
ステップ1の前処理として、豚足の表面を炙って毛を焼きとる作業を2〜3回繰り返えして、毛を完全に除去し、かつ3cmから5cmに輪切りにする。以上の前処理は精肉業者が行うことが多い。
ステップS1で40cm×20cm程度の鍋に豚足約10kgを入れ、ひたひたに水を入れひと煮たちする。次にゆで汁をこぼして捨て、ステップS2のように豚足を洗う。そして、ステップS3のように豚足を強酸性水に約20分つけ込み滅菌消毒し臭みをとる。次いで、豚足を丁寧に洗い流した後、鍋に入れひたひたの水と調味料を加えて加熱し、沸騰したら火を弱める。ステップS4はトロ火でおよそ6時間程度煮込みながら丁寧にアクを掬い取る。
【0017】
こうして、豚足をやわらかくし、ステップS5で豚足の骨を除去し、代わりに複数の茹でた野菜を詰め込む。この状態で商品にすることも可能だが、ステップS6で容器に豚足を入れ、周りに各種の茹でて味付けした野菜を配置して装飾し、豚足の煮出し汁又は温湯で溶かしたゼラチンを入れる。
ステップS7で、容器に蓋をし、容器ごと熱湯又は蒸気で滅菌消毒をする。
最後にステップS8で、容器ごと冷却し、ゼリー状に固めて完成する。
【0018】
図2のように骨4の付いた豚足3を鍋1に入れ、ひたひたまで水2を入れて火にかける。ひと煮たちしたら、ゆで汁をこぼして丁寧に骨4の付いた豚足3を洗う。
この時の豚足とは、足の脛の部分をさすが、牛、馬、山羊など豚以外の四足動物の足を利用することも可能である。
その後、骨4の付いた豚足3は強酸性水に約20〜30分程つけ込んで滅菌消毒し臭みをとる。そして鍋に水、調味料を加えて再度加熱し、沸騰したら火を弱めてとろ火で、丁寧にアクを掬い取りながら、およそ6時間程度煮込む。その後、火を止めて、静止の状態で熱をさます。こうして、長時間煮こむことによってこくと風味が増し柔らかくなった豚足3から、骨4を抜き取る。
【0019】
図3は、骨4を抜き取った豚足3’において、骨4を除去した空洞に、茹でた野菜6〜11等を詰め込んだ状態である。すなわち、カットした野菜たとえば、ベビーコーン6、オクラ7、ニンジン8、インゲン9、アスパラガス10、ほうれん草11 のような色彩豊かな数種の野菜を骨4を抜いた豚足3’の形状を保持できるほどに詰め込む。このときの、野菜は棒状が好ましいが、棒状にカットしたものでも良くまた、葉野菜でもよい。これらの野菜を予め硬めに茹でておき、色彩を鮮やかにするためミネラル分の多い塩で下味をつけまた、レモン汁やシークワァーサーの汁を添加して鮮度や色彩を保つ。
また、少量の香味野菜、例えばにんにく、しょうが、赤とうがらし等をみじん切りにし、振りまいて混入させると、味が引き立つ。
豚足3’において外側の豚足皮面をぐるっと、ツルムラサキ等の葉野菜で巻きつけたり、月桃の葉や笹の葉で包んで上部のみをのぞかせたりしてもよい。
【0020】
図3のように野菜類を詰めて製品とすることも可能だが、図4のように、容器内に数種の野菜及び/又は香味野菜を輪切り、半月切り、ひょうしぎり,みじん切り等、適宜に切り分けちりばめるとより美しくなる。
すなわち、容器18に配置された野菜等によって装飾され、一連のデザインと成すのである。
【0021】
このときの容器18にちりばめた野菜は予め硬めに茹で塩味をつけ、レモン汁やシークワァーサーの絞り汁を加えて新鮮な緑色にしたブロッコリ12、ゴーヤー13やシメジ14、パブリカ15、ツルムラサキ16、クコの実17等を例記したが、その他の緑黄色野菜や淡色野菜等の多色の組み合わせによって容器内での幅広いデザインが可能となる。ツルムラサキ16等の葉野菜は、豚足3’に巻きつけてもよい。
また、地域の特産物の野菜や果物たとえば、マンゴー、パインアップル、パパイヤ、パッションフルーツ、ドラゴンフルーツ、島菜,苦菜、島カボチャ、島ニンジン、等を使用する事も好ましい。
なお、生の野菜を希望する客が居る場合は、生の野菜スティックなどを前記豚足3’に刺し立てて提供したりもできる。初めからスティック状をしているベビーコーンやオクラ、アスパラガスなどを用いてもよい。この時のスティク状の野菜は豚足3’の上部に飛び出しても上部と同サイズに切りそろえても良い。
【0022】
図5は、容器18に野菜や豚足3’を盛り付け、煮出し汁19を流し込んで蓋20を閉め、容器18ごと熱湯又は蒸気で滅菌消毒してある。煮出し汁19の代わりに、湯に溶かしたゼラチンを流し込んでもよい。その後冷却して固めた豚足加工品とする。
容器18は、円形、多角形等の形およびサイズを問わないが、食器として普通に用いられる程度で足りる。
【0023】
容器18は透明で中身が鮮明に確認できるのが好ましく、ガラス、プラスチック等が考えられ、品質の良い容器を使用するが、使い捨て用の簡易なプラスチック製品でもよい。この際これらの容器は、マイクロウエーブ対応とする。
【0024】
蓋20は、プラスチック製の透明な材質を使用するが、耐熱ガラス製でも容器18にフィットするものであれば良い。
不透明な容器例えばデザインと色彩をより引き立たせる為に陶器を使用した方がよい場合は、蓋18を透明にして中身が見えるようにするのであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上のように、本発明の豚足加工食品によると、グロテスクかつ庶民的な豚足料理が、骨を抜いた空洞に野菜等を詰めてデコレートすることにより美しい高級料理に変身するし、栄養バランスも良いので、沖縄産の郷土料理を高級化できるし、長寿県のイメージアップにもなる。
【符号の説明】
【0026】
1 鍋
2 水
3・3’豚足
4 骨
5 豚足肉部
6〜17野菜
18容器
19煮出し汁
20蓋



【特許請求の範囲】
【請求項1】
四つ足動物の脛部が輪切りされており、かつ加熱後に骨を除去して成る空洞に複数種の野菜類及び/又は香味野菜を詰めて成ることを特徴とする加工食品。
【請求項2】
容器内において、前記加工食品の外に野菜類を配置し、かつ前記脛部を煮出した汁及び/又はゼラチンを入れて冷却し固めて成ることを特徴とする請求項1に記載の加工食品。
【請求項3】
四つ足動物の脛部を生の状態で又は煮てから輪切りにして、かつ煮た後に骨を除去すると共に骨を除去して成る空洞に野菜類及び/又は香味野菜を詰めることを特徴とする加工食品の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−85546(P2012−85546A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233166(P2010−233166)
【出願日】平成22年10月16日(2010.10.16)
【出願人】(510265232)
【Fターム(参考)】