説明

豚骨及び鶏がら風味増強剤

【課題】豚骨及び鶏がら風味増強剤を提供する。
【解決手段】(a)グルタミン酸ナトリウムを10重量%以上(好ましくは15%以上)、(b)イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムを、総量で1重量%以上(好ましくは1.5%以上)、並びに(c)酵母エキスを有効成分とする、また、(c')2,5-ジメチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、2-エチル3-メチルピラジン、2-フランメタノール、5-メチル2-フランメタノール、及び3-メチルブタナールを有効成分とする、豚骨スープ又は鶏がらスープの、風味増強剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豚骨風味、鶏がら風味の増強に関する。本発明は、食品又は飲料の製造の分野で有用である。
【背景技術】
【0002】
酵母エキスは、天然物由来の調味料として種々の食品に使用されている。酵母エキスは、旨味成分であるグルタミン酸を比較的多く含むので、主として旨味を補うために用いられている一方で(特許文献1〜3)、肉系の味・風味に対する効果を期待して用いることも検討されつつある。例えば、特許文献4は、遊離型プロリンを遊離型アミノ酸組成の8.0%以上含む、酵母エキスを、動物蛋白加水分解物独特の甘味付与のために適用できることを開示する。
【0003】
一方、肉系のこく味・風味に影響を与える成分が検討されてきており、例えば、特許文献5は、こく味を飲食品に付与できる調味料として、ピラジン化合物類、具体的には、2-メチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピラジン、2,3,5-トリメチルピラジン、テトラメチルピラジン、2,5-ジエチルピラジン、2,6-ジエチルピラジン、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、2-エチル-3,5-ジメチルピラジンから選択される1以上の化合物、を含有してなる調味料を提案する。
【0004】
さらに特許文献6は、より強く、より好ましいミート系フレーバー組成物として、(A)ピロール類、(B)ピリジン類、(C)ピラジン類、(D)オキサゾール類、(E)オキサゾリン類、(F)アミン類、(G)チアゾール類、(H)チアゾリン類、(I)チアゾリジン類、(J)チオール類、(K)スルフィド類、(L)チオエーテル類、(M)含硫カルボン酸類、(N)キノキサリン類、及び(O)フラノン類、からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の香料を含有することを特徴とするミート系フレーバー組成物を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-102549
【特許文献2】特開平10-327802
【特許文献3】WO99/16860
【特許文献4】WO2008/081519
【特許文献5】特開2005-15683
【特許文献6】特開平11-313635(特許第3929170号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、種々の特性を有する酵母エキスの様々な食品における利用について検討してきた。その中で、グルタミン酸を豊富に含有し、かつ核酸類も多く含む酵母エキスが、旨味を中心とする先味強化に有効であることを見出した。そしてそのような酵母エキスが、先味の塩味を補強するほか、酸味を抑制することなく呈味を強化することができ、予想外にも、豚骨風味を引き立たせることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下を提供する:
[1](a)グルタミン酸ナトリウムを10重量%以上(好ましくは15%以上)、
(b)イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムを、総量で1重量%以上(好ましくは1.5%以上)、並びに
(c)2-フランメタノール及び5-メチル-2-フランメタノール
を含む酵母エキスを有効成分とする、豚骨スープ又は鶏がらスープの、風味増強剤。
[2]ピラジン類が、2,5-ジメチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン及び2-エチル3-メチルピラジンを含む、[1]記載の剤。
[3](c')2,5-ジメチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、2-エチル3-メチルピラジン、2-フランメタノール、5-メチル2-フランメタノール、及び3-メチルブタナール
を含む酵母エキスを有効成分とする、豚骨スープ又は鶏がらスープの、風味増強剤。
[4](a)グルタミン酸ナトリウムを10重量%以上(好ましくは15%以上)、
(b)イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムを、総量で1重量%以上(好ましくは1.5%以上)、並びに
(c')2,5-ジメチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、2-エチル3-メチルピラジン、2-フランメタノール、5-メチル2-フランメタノール、及び3-メチルブタナール
を含む酵母エキスを、下記のいずれか1以上(好ましくはすべて)が満たされる量で添加された、豚骨又は鶏がらスープ:
(1)2,5-ジメチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン及び2-エチル3-メチルピラジンの総計が、0.002〜3000ppm;
(2)2-フランメタノールの5-メチル2-フランメタノール総計が、0.1〜700ppm;
(3)3-メチルブタナールが、0.4〜900ppm。
[5]酵母エキスが、0.005〜0.50重量%となるように添加された、[4]記載のスープ。
[6](a)グルタミン酸ナトリウムを10重量%以上(好ましくは15%以上)、
(b)イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムを、総量で1重量%以上(好ましくは1.5%以上)、並びに
(c)2-フランメタノール及び5-メチル-2-フランメタノール
を含む酵母エキスを添加する工程を含む、豚骨スープ又は鶏がらスープにおける、風味の増強方法。
[7](c')2,5-ジメチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、2-エチル3-メチルピラジン、2-フランメタノール、5-メチル2-フランメタノール、及び3-メチルブタナール
を含む酵母エキスを添加する工程を含む、豚骨スープ又は鶏がらスープにおける、風味の増強方法。
[8](a)グルタミン酸ナトリウムを10重量%以上(好ましくは15%以上)、
(b)イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムを、総量で1重量%以上(好ましくは1.5%以上)、並びに
(c)2-フランメタノール及び5-メチル-2-フランメタノール
を含む酵母エキスの呈味成分及び/又はにおい成分を有効成分とする、豚骨スープ又は鶏がらスープの、風味増強剤。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】GC/MSを用い、本発明品のにおい成分を分析した。代表的なチャートを図1に示した。
【図2】市販の酵母エキスのうち、畜肉臭が強く感じられる酵母エキスを選択し、におい成分を分析した結果を図2に並べて示した。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、酵母エキスの豚骨スープ又は鶏がらスープへの利用に関する。
【0010】
本発明で「食味(eating quality)」というときは、特に記載した場合を除き、食品のおいしさに関する特性のうち、味覚及び/又は嗅覚により感得される要素をいい、具体的には、味(taste)、風味(flavor)、におい(aroma)をいう。
【0011】
本発明で「剤」というときは、特に記載した場合を除き、スープを製造する際に、スープに添加するための物(substance)をいう。本発明の剤は、酵母エキスを含む。本発明の剤は、酵母エキスそのものであってもよく、酵母エキスと他の食品として許容される担体及び/又は添加剤を含んだ組成物であってもよい。
【0012】
本明細書で、剤、酵母エキス、スープ(液体、液体を調製するための粉末双方を含む。)等に関して、アミノ酸等の含量又は組成に関する値に言及するときは、特に記載した場合を除き、重量に基づく値を指す。
【0013】
[酵母エキス]
本発明で「酵母エキス」というときは、特に記載した場合を除き、酵母菌体から溶媒により抽出した抽出物を指す。抽出物の精製物、濃縮物及び乾燥物も「酵母エキス」に含まれる。酵母エキスは、液状、ペースト状であることがあり、粉末状であることもある。
【0014】
本発明に用いられる酵母エキスは、呈味成分及びにおい成分を含む。
【0015】
本発明で酵母エキスに関し「呈味成分」というときは、特に記載した場合を除き、稿吠エキスに含まれる成分のうち、味覚として感得できる(口(舌)から感じる)成分をいい、これには、後述する(a)グルタミン酸ナトリウム及び(b)イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムのほか、他のアミノ酸、ペプチド、並びに有機酸が含まれる。「他のアミノ酸」には、アスパラギン酸、アラニン、グリシンが含まれる。「ペプチド」には、100以上700未満のもの、700以上2000未満のもの、2000以上5000未満のもの、5000以上10000未満のもの、分子量が10000以上のものが含まれる、「有機酸」には、コハク酸、クエン酸、乳酸、ピログルタミン酸、リンゴ酸、酢酸が含まれる。
【0016】
本発明で「におい成分」というときは、後述する「(c)特徴あるにおい成分」の項に記載された成分以外の、揮発性であり、好ましくは水溶性の成分が含まれる。
【0017】
(a)グルタミン酸ナトリウム
本発明で酵母エキスに関連して、グルタミン酸ナトリウムの含量をいうときは、特に記載した場合を除き、酵母エキス中に含まれる遊離アミノ酸のうちのグルタミン酸を、グルタミン酸ナトリウム一水和物(C5H8NNaO4・H20 分子量187.13)相当量として表した値をいう。グルタミン酸ナトリウムは、グルタミン酸ソーダ、2-アミノペンタン二酸ナトリウムということもあり、またMSG(monosodium glutamate)と表されることもある。
【0018】
本発明に用いられる酵母エキスは、グルタミン酸ナトリウムを10重量%以上、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上含む。なお本発明で酵母エキス中の成分の含量を示す場合は、特に記載した場合を除き、その値は、乾燥重量当たりの含量である。また、本発明で酵母エキス又は酵母エキスを含む剤に含有されるアミノ酸について説明する場合は、特に記載した場合を除き、アミノ酸とは、ペプチド又はタンパク質の一部を構成しているアミノ酸残基は含まず、遊離型のアミノ酸である。アミノ酸は、特に記載した場合を除き、L体である。
【0019】
(b)イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウム
本発明で酵母エキスに関連してイノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムの含量をいうときは、特に記載した場合を除き、酵母エキス中に含まれるイノシン酸及びグアニル酸を、イノシン酸ナトリウム(C10H11N4O8P 2Na 分子量 392.2)の7水和物及びグアニル酸ナトリウム(C10H12N5O8P 2Na 分子量407.2)の7水和物相当量として表した値をいう。イノシン酸ナトリウムは、5'-イノシン酸二ナトリウムということもあり、IMP・2Naと表されることもある。グアニル酸ナトリウムは、5'-グアニル酸二ナトリウムということもあり、GMP・2Naと表されることもある。イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムをまとめて、IGと称することもある。
【0020】
本発明に用いられる酵母エキスは、上述のグルタミン酸ナトリウムに加えて、イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムを、総量で1重量%以上、好ましくは1.5%以上、より好ましくは1.8%以上含む。
【0021】
(c)特徴的なにおい成分
本発明者らの詳細な検討によると、上述のようなグルタミン酸ナトリウム含量が高く、かつイノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウム含量が高い酵母エキス(本明細書では、「本発明品」ということがある。)は、特徴的なにおい成分として、下記を有することが判明した。
(1)ピラジン類(ピラジン又はピラジン骨格に1以上の置換基を有するピラジン誘導体をいう。特に、2,5-ジメチル-ピラジン、2,3-ジメチル-ピラジン、2-エチル-3-メチル-ピラジン);
(2)フランメタノール類(2-フランメタノール、又は2-フランメタノール骨格に1以上の置換基を有する2-フランメタノール誘導体をいう。特に、2-フランメタノール、5-メチル-2-フランメタノール);及び
(3)3-メチル-ブタノール(イソバレルアルデヒド)。
【0022】
これらの成分の内、2-フランメタノール、及び5-メチル-2-フランメタノールは、これまで酵母エキスに含有されていることは知られていなかった。2-フランメタノール(分子量: 98.1)は、(2-フリル)メタノール、α-フリルカルビノール、2-フリルカルビノール、フラン-2-メタノール、2-フラニルメタノール、2-ヒドロキシメチルフラン、フルフリルアルコールということもある。5-メチル-2-フランメタノール(分子量: 112.13)は、5-メチルフルフリルアルコール、5-メチルフラン-2-メタノールということもある。
【0023】
本発明に用いることのできる酵母エキスは、2,5-ジメチル-ピラジン、2,3-ジメチル-ピラジン、及び2-エチル-3-メチル-ピラジンを総計で、0.050〜6.0ppm、好ましくは0.075〜4.5ppm、より好ましくは0.10〜3.0ppm含み、2-フランメタノー及び5-メチル-2-フランメタノールを総計で、0.75〜24ppm、好ましくは1.5〜18ppm、より好ましくは3.0〜12ppm含み、並びに3-メチル-ブタノールを9〜270ppm、好ましくは30〜180ppm、より好ましくは60〜120ppm含む。
【0024】
におい成分の同定及び定量は、当業者であれば、公知の適切な方法を用いて適宜行うことができる。例えば、GC/MSは同定及び定量のために有効な手段である。当業者は、具体的な条件として、本明細書の実施例の記載を参照することができる。
【0025】
本発明者らの検討によると、ピラジン類、フランメタノール類、イソバレルアルコールそれぞれの単品の添加では、スープの全体的な風味は増すが、豚骨スープ又は鶏がらスープに特有の風味は、特には強化されない。一方、ピラジン類及びフランメタノール類の組み合わせで、豚がら風味又は鶏がら風味を増すことができ、フランメタノール類及びイソバレルアルデヒドの組み合わせで豚骨風味又は鶏がら風味を増すことができ、ピラジン類及びイソバレルアルデヒドの組み合わせでは、豚がら風味又は鶏がら風味を増すことができる。そして、ピラジン類、フランメタノール類及びイソバレルアルデヒドでは、豚骨風味又は鶏がら風味を強化することができる。
【0026】
その他の成分
本発明に用いられる酵母エキスは、いずれの場合も、含有される遊離アミノ酸の含量が高いことが好ましい。好ましい態様においては、酵母エキスは、100g中、20g以上、好ましくは、25g以上、より好ましくは30g以上の遊離アミノ酸を含む。また、いずれの場合も、含有される遊離アミノ酸中、グルタミン酸の占める割合が高いことが好ましい。好ましい態様においては、遊離アミノ酸のうち、40%以上、好ましくは45%以上、より好ましくは50%以上をグルタミン酸が占める。
【0027】
本発明に用いられる酵母エキスは、いずれの場合も、有機酸の含量が高いことが好ましい。特に好ましい態様においては、コハク酸を、1%以上、好ましくは1.5%以上、より好ましくは、1.8%以上含む。
【0028】
酵母エキスの製造方法
本発明の酵母エキスは、既存の、MSG高生産性の株、又はIG高生産性の株の中から、必要に応じ育種・選抜し、MSG高生産性であり、かつIG高生産性でもある株をスクリーニングすることで得られる酵母を用いて製造することができる。
【0029】
親株としては、食用に適した種々の酵母を用いることができる。好ましくは、サッカロマイセス属に属する酵母(例えば、サッカロマイセス・セレビシエ、サッカロマイセス・ロゼイ、サッカロミセス・ウバルム、サッカロミセス・シバリエリに属する酵母)、又はキャンディダ属に属する酵母(例えば、キャンディダ・ウチリスに属する酵母)を用いることができる。
【0030】
親株及び変異株を培養するにあたっては、酵母に多用されるYPD培地、糖蜜培地などが使用できる。所望により、炭素源としては、ブドウ糖、ショ糖、糖蜜、糖化液等が利用可能であり、窒素源としては、硫安、塩化アンモニウム、硝酸塩、尿素、アンモニア等が利用可能である。燐酸、カリウム、マグネシウム、亜鉛、銅、マンガン、鉄等の無機塩類、ビタミン類、アミノ酸を添加することができる。
【0031】
培養物が得られれば、培養物から、遠心分離等の適当な手段を用いて酵母菌体を得て、必要に応じ、洗浄した後、熱水抽出法、酵素分解法及び/又は自己消化法により、エキス化する。自己消化法とは、酵母が本来有している酵素の働きにより、酵母を可溶化し、抽出する方法であり、遊離アミノ酸含有量の多い酵母エキスを得ることができる。一方、酵素分解法とは、分解酵素を添加して酵母を可溶化し、抽出する方法である。外部から適当な酵素を添加することにより、酵素反応を簡便に制御し得るため、遊離アミノ酸や核酸の含有量を調整することができる。
酵素分解法において用いられる酵素は、食品製造において生体成分を分解する際に用いられる酵素であれば、特に限定されるものではなく、例えば、酵母の細胞壁を分解し得る酵素、タンパク質分解酵素、核酸分解酵素、又はこれらの組み合わせを用いることができる。また、核酸分解酵素として、5’-ホスホジエステラーゼを用いることがより好ましい。イノシン酸、グアニル酸の酵母エキス中の含量を多くすることができるからである。
【0032】
培養及びエキス化のための条件は、当業者であれば、適宜決定することができる。
【0033】
[豚骨スープ又は鶏がらスープにおける利用]
本発明は、上述の酵母エキスを含む、豚骨スープ又は鶏がらスープ(チキン味の塩ラーメンスープを含む。)における風味強化剤を提供する。
【0034】
風味強化の有無及び程度は、訓練されたパネラーの1名又は複数名による官能評価により比較・検討することができる。例えば、評価の対象となる酵母エキスを含む豚骨スープ又は鶏がらスープと、酵母エキスを含まない点でのみ異なるスープ(Blank)を準備し、Blankに対して、パネラーに、3〜5段階程度で風味強化の程度を評価させることにより(段階が上がるにつれ、より風味が強化されている)、比較・検討することができる。より詳細な条件は、本願明細書の実施例の記載を参照することができる。
【0035】
豚骨スープ又は鶏がらスープに本発明品を有効量添加した場合、本発明品のその有効量に相当するMSGのみを添加したもの、相当するHVP(植物蛋白加水分解物)を添加したものと比較して、際立って優れた効果が奏されうる(実施例2参照)。
【0036】
また豚骨スープ又は鶏がらスープに本発明品を添加した場合、イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムの含有量が高いが、グルタミン酸ナトリウムの含量が10%以上ではない酵母エキス(高IG酵母エキスと評することができる。)を用いた以上の効果をより少ない添加量で得ることができる(実施例2参照)。
【0037】
本発明でいう豚骨スープは、当業者によく知られた常法で製造されたものをいうが、典型的には、下記の材料及び手順で製造されたものである:
材料:
豚骨(すねの部分)1kg、鶏がら2羽分(使う場合と使わない場合とがある。)、豚背脂200g、水又は鶏スープ6L、ショウガ、ネギ、各20g
手順:
(1)豚骨を2つ割りにし、中の骨髄を露出させ、熱湯の中に鶏がらとともに入れる。豚骨及び鶏がらの表面の汚れをとり、きれいに水洗いする。
(2)ズンドーに水を入れ、(1)の豚骨、鶏がらを加えて強火にかける。沸とう直前に中火に変え、表面に浮いてくるアクを取り除き、豚背脂、包丁で軽くたたいたショウガとネギとを加える。
(3)再び強火にして沸き立たせながら、3〜5時間煮出す。この時、水の量が少なくなり過ぎたら、水または鶏スープを加える。
【0038】
豚骨スープは、豚骨スープを調製するための組成物(液体、ペースト、粉末)を湯に溶解することにより得ることもできる。
【0039】
本発明でいう鶏がらスープは、当業者によく知られた常法で製造されたものをいうが、典型的には、下記の材料及び手順で製造されたものである:
材料:
鶏がら5羽分(使う場合と使わない場合とがある。)、水8L、ショウガ、ネギ、各20g
手順:,
(1)鶏がらは、内側についている骨以外の汚れを洗い流してから、熱湯中に入れ、表面の色が白く変わったらすぐに取り出し、ザルにあげて水洗いをすることにより、表面面の汚れとアクを取り除く。
(2)ズンドーに水を入れて火にかけ、沸騰してから(1)の鶏がらを加える。中火〜強火の火加減にし、沸とう直前に火を弱めて、表面の1〜2ヶ所が沸いている状態で、煮出す。
(3)煮出している途中、浮いてくるアクはきれいにすくい取る。ネギの青い部分とショウガとを庖丁で軽くたたいて加え、この後1時間ほど煮出す。静かに布漉しして仕上げる。
【0040】
鶏がらスープは、豚骨スープを調製するための組成物(液体、ペースト、粉末)を湯に溶解することにより得ることもできる。
【0041】
本発明品の有効な添加量は、0.005重量%以上であり、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上であり、いずれの場合においても、0.50%以下であり、0.25%以下であることが好ましく、0.10%以下であることがより好ましい。上限は、味(旨味が強すぎる、酵母エキス特有の味が認識される)、及びにおい・風味(酵母エキス特有の匂いが気になる。)を考慮することができる。
【0042】
におい成分の観点からは、下記のいずれか1以上(好ましくはすべて)が満たされる量で添加することが好ましい:
(1)2,5-ジメチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン及び2-エチル3-メチルピラジンの総計が、0.002〜3000ppm;
(2)2-フランメタノールの5-メチル2-フランメタノール総計が、0.1〜700ppm;
(3)3-メチルブタナールが、0.4〜900ppm。
【0043】
豚骨スープ又は鶏がらスープの製造において、酵母エキスを添加する段階は、適宜設定できるか、100℃、2時間以上の加熱を受ける場合は、その加熱の後に添加するとよい。加熱によるメーラード反応による変化を防止することができる。それ以下の加熱条件の場合は、スープ製造抽出時に酵母エキスを添加することが好ましい。スープと酵母エキスの味風味が馴染んで好ましい風味となるからである。
【0044】
酵母エキスが粉末である場合は特に、他の粉末原料に混合するか、又は油脂類に分散させて、添加することもできる。
【0045】
本発明の剤は、豚骨スープ又は鶏がらスープへ添加するための調味料組成物とすることができる。調味料組成物へは、酵母エキスのほか、食品として許容される種々の添加物を添加することができる。このような添加物の例として、例えば、デキストリン、乳糖、香料が挙げられる。調味料組成物の豚骨スープ又は鶏がらスープへは、喫食時の酵母エキスの濃度が、上述した好ましい含量範囲に包含されるように、設計することができる。例えば、調味料組成物あたり、酵母エキスが4〜40%となるように、好ましくは5〜30%、より好ましくは6〜20%となるようにすることができる。
【0046】
本発明の剤は、他の酵母エキス(例えば、高IG酵母エキス)、野菜エキス、カツオエキス、カツオ節エキス、昆布エキス、ポークミートエキス、ビーフミートエキス、チキンミートエキス、魚醤油、醤油、味噌等とともに用いることができる。
【0047】
本発明の剤は、豚骨スープ又は鶏がらスープの他、畜肉風味を強調したいコンソメ、ブイヨン、ラーメンスープ(粉末、液体)、がらスープの素に添加することもできる。その他、総菜(ハンバーグ、ミートボール、コロッケ、餃子、シュウマイ、春巻き、ふりかけ、お茶漬け、佃煮、ハム、ソーセージ、ベーコン、水産練り製品(かまぼこ、ちくわ、はんぺん、魚肉ソーセージ、魚卵加工品)、液体(ドレッシング、カレー、シチュー、ラーメンスープ、スパゲッティソース、スープ(うどん用、そば用、コンソメスープ、ポタージュスープ、コーンスープ、トマトスープ、シーフードスープ)、醤油、ソース、加工酢、みりん、みりん風調味料、たれ(焼き肉用、すき焼き用、しゃぶしゃぶ用、焼き鳥用、豆腐用)、麺つゆ)、スナック菓子類、油脂加工品(マーガリン)、調味料(顆粒、フリーズドライみそ汁、フリーズドライ固形スープ、乾燥調味料、味噌)、治療食(濃厚流動食、嚥下障害用食品、その他の治療食)にも添加することができる。
【実施例1】
【0048】
[酵母エキスの製造]
(酵母の培養)
テーブルマーク株式会社保有の製パン用酵母、サッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)のライブラリーの中から、得られる酵母エキスのMSG濃度とIG濃度を指標として選抜した種酵母を用いて、撹拌培養を行い、菌体分離後、洗浄して酵母菌体を得た。
【0049】
(酵母エキス)
この菌体を、酵素処理によりエキス分を抽出し、加熱により酵素を失活させた後に遠心分離によりエキス分を回収した。さらに70℃20分の加熱殺菌、100meshでろ過後、直ちにスプレードライヤーにてにて乾燥し、酵母エキス(以下、本発明品)を得た。得られた酵母エキスについて確認したところ、MSG及びIG含量が、通常の酵母エキスに比較して高いことが分かった。
[酵母エキスの呈味成分の分析]
【0050】
【表1】

【0051】
* グルタミン酸ナトリウム一水和物
本発明品を代表する酵母エキスとして、ハイマックスGL(富士食品工業株式会社)を用いた。比較例として、市販の、酵母エキスA(A社製)、酵母エキスB(B社製)、酵母エキスC(B社製)、酵母エキスD(バーテックスIG 20、富士食品工業株式会社)を用いた。以下の実施例において、特に記載した場合を除き、「本発明品」というときは、ハイマックスGLを指し、酵母エキスA〜Dというときは、上記のものを指す。なお、表中、MSGはグルタミン酸ナトリウム一水和物を指し、以下の実施例において「MSG」というときも、特に記載した場合を除き、同様である。
【0052】
[酵母エキスのにおい成分の分析]
GC/MS(機器名:GC:VARIAN CP-3800 GC/MS:VARIAN 300-MS)を用い、本発明品のにおい成分を分析した。本実施例では、特に示した場合を除き、下記の条件で分析を行った。
【0053】
【化1】

【0054】
代表的なチャートを、図1に示した。なお、製造ロット間で差はほとんど認められなかった。
【0055】
また、市販の酵母エキスのうち、畜肉臭が強く感じられる酵母エキスを選択し、同様の分析を行った。その結果を図2に並べて示した。図2中、酵母エキスGはイーストエキス21-TF(富士食品工業株式会社)、酵母エキスHはイーストエキスSF-1(富士食品工業株式会社)、酵母エキスIはイーストエキス21-A(富士食品工業株式会社)についての分析結果である。また、酵母エキスG〜Hはペースト状であり、他は粉末状のものであった。
【0056】
GC/MSの結果から、本発明品に特徴的なにおい成分として、下記が特定できた。
(1)ピラジン類(特に、2,5-dimethyl-pyrazine、2,3-dimethyl-pyrazine、2-ethyl-3-methyl-pyrazine);
(2)フランメタノール類(特に、2-furanmethanol、5-methyl-2-furanmethanol);及び
(3) 3-methyl-butanal(イソバレルアルデヒド)
これらの成分の内、2-furanmethanol、5-methyl-2-furanmethanolは、これまで酵母エキスに含有されていることは知られていなかった。
【0057】
これらの特徴ある成分について、市販の標準品1000ppmのGC/MSチャートのピークの面積との比較から、実施例1の酵母における含有濃度(4ロットについて測定した平均値)を算出した。その結果を下表に示した。
【0058】
【表2】

【0059】
なお、5-methyl-2-furanmethanol,については、標準品として2-furanmethanolを用いて算出した値(2-furanmethanol 1000ppmのGC/MSチャートのピークの面積との比較から求めた濃度を、112.13/98.1倍した値)を示した。なお、本実施例においては、5-methy-2-furanmethanolについては、特に記載した場合を除き、同様にして求めた値を示している。
【0060】
他方、酵母エキスA及び酵母エキスBを使用し、同様ににおい成分を分析した。上記の特徴ある成分の内、検出された成分及びその濃度を下表に示した。
【0061】
【表3】

【0062】
他の成分、詳細には、酵母エキスAにおいては2-furanmethanol及び5-methyl-2-furanmethanolが検出されず、また酵母エキスBにおいては2-furanmethanol、5-methyl-2- furanmethanol、及び3-methyl-butanalは検出されなかった。なお、検出限界値は、一般に機器の検出限界値とされるS/N=3を基準とした。
【実施例2】
【0063】
[製品への添加]
1.豚骨ラーメンスープ
下表の配合で豚骨ラーメンスープを製造し、本発明品の添加効果を検証した。
【0064】
【表4】

【0065】
豚骨ラーメンスープの希釈溶液(10g/お湯300cc)をBlankとして、MSG、HVP(プロエキスG2:播州調味料社製)、本発明品(ハイマックスGL、富士食品工業社製)、酵母エキスD(バーテックスIG20、富士食品工業社製)、酵母エキスB、酵母エキスAをMSG 0.3%添加と呈味が同じになる程度の添加量で添加して官能評価を行った。
【0066】
結果を下表に示した。
【0067】
【表5】

【0068】
表中、「+」は、豚骨風味に関して、酵母エキスを配合しなかった豚骨ラーメンスープと比較して、特に違いがなかったことを、「++」は強く増強されていたことを、「+++」は非常に強く増強されていたことを、それぞれ表している。
【0069】
本発明品の添加により、他の酵母エキスを添加した場合に比較して、際立って優れた効果が得られた。
【0070】
2.チキン白湯ラーメンスープ
下表の配合でチキン白湯スープを製造し、本発明品の添加効果を検証した。
【0071】
【表6】

【0072】
評価は、上述の豚骨ラーメンスープと同様に行った。結果を下表に示した。
【0073】
【表7】

【0074】
表中、「+」は、鶏がら風味に関して、酵母エキスを配合しなかったチキン白湯ラーメンスープと比較して、特に違いがなかったことを、「++」は強く増強されていたことを、「+++」は非常に強く増強されていたことを、それぞれ表している。
【0075】
本発明品により、IG含量が高い酵母エキス(酵母エキスD)では得られない効果が、本発明品の添加で見られた。
【0076】
3.塩ラーメンスープ(チキン味)
下表の配合で塩ラーメンスープを製造し、本発明品の添加効果を検証した。
【0077】
【表8】

【0078】
評価は、上述の豚骨ラーメンスープと同様に行った。結果を下表に示した。
【0079】
【表9】

【0080】
表中、「+」は、鶏がら風味に関して、酵母エキスを配合しなかった塩ラーメンスープ(チキン味)と比較して、特に違いがなかったことを、「++」は強く増強されていたことを、「+++」は非常に強く増強されていたことを、それぞれ表している。
【0081】
本発明品の添加により、他の酵母エキスを添加した場合に比較して、際立って優れた効果が得られた。
【0082】
なお、本実施例で用いたポークエキスパウダーF-A(井村屋製菓社製)、チキンエキスパウダーA-5433(日研フード社製)、チキンエキスパウダーNA(富士食品工業社製)及びmzチキンオイルS(丸善食品工業社製)それぞれには、MSG、IG、酵母エキスは添加されていない。
【実施例3】
【0083】
[におい成分の評価]
1. におい成分の豚骨風味への添加評価
実施例2で用いたのと同じ豚骨ラーメンスープの希釈溶液に、本発明品と酵母エキスに含まれるにおい成分の量を、以下示す試薬物質、2,5-dimethyl-pyrazine(東京化成工業社製)、2,3-dimethyl-pyrazine(東京化成工業社製)、2-ethyl-3-methyl-pyrazine(東京化成工業社製)、2-franmethanol(和光純薬社製)、3-methyl-Butanal(Aldrich Chemical Company Inc.社製)を単独又は、組み合わせて添加して、官能試験を行なった。
【0084】
【表10】

【0085】
結果を下表に示した。
【0086】
【表11】

【0087】
表中、「-」は、豚骨風味に関して、におい成分を配合しなかった豚骨ラーメンスープと比較して、特に違いがなかったことを、「+」は増強されていたことを、「++」は強く増強されていたことを、「+++」は非常に強く増強されていたことを、「++++」は明らかに非常に強く増強されたことを、それぞれ表している。
【0088】
ピラジン類、フランメタノール類、イソバレルアルコール単品では、全体的な風味が上がっているが、豚骨風味の特徴はでていないように感じた。ピラジン類及びフランメタノール類との組み合わせで、豚がらっぽい風味、フランメタノール類及びイソバレルアルデヒドとの組み合わせで、豚骨風味、ピラジン類及びイソバレルアルデヒドの組み合わせでは、豚がら風味がアップした。そして、ピラジン類、フランメタノール類及びイソバレルアルデヒドでは、豚骨風味が強くアップしていた。
【0089】
におい成分6種すべての添加により、豚骨風味が非常に強く増強されたが、本発明品の添加により、それを超える効果が得られた。
【0090】
2.上限値、下限値に関する評価
実施例2で用いたのと同じ豚骨ラーメンスープの希釈溶液に、本発明品と酵母エキスに含まれるにおい成分の上限値量と下限値量で、以下示す試薬物質、2,5-dimethyl-pyrazine(東京化成工業社製)、2,3-dimethyl-pyrazine(東京化成工業社製)、2-ethyl-3-methyl-pyrazine(東京化成工業社製)、2-franmethanol(和光純薬社製)、3-methyl-Butanal(Aldrich Chemical Company Inc.社製)を単独又は、組み合わせて添加して、官能試験を行なった。
【0091】
各におい成分の本発明品中の下限値及び上限値、並びに0.2%添加した時のスープ中の濃度を下表に示した。
【0092】
【表12】

【0093】
下表に示した量で、スープに添加した。
【0094】
【表13】

【0095】
高濃度で添加したときの官能評価結果を下表に示した。
【0096】
【表14】

【0097】
表中、-〜++++の意義は、上述のとおりである。
【0098】
検討の結果、ピラジン類は、下限と上限の範囲が非常に広く、濃度によって効果が変ってくることが分かった。ピラジン類は低濃度ではロースト風味、非常に高濃度に添加すると豚がら風味が強調された。ピラジン類の有効な範囲は、0.002〜3000ppmであるといえる。
【0099】
フランメタノール類は、高濃度では熟成した様な香りが醸し出された。有効な範囲は0.1〜700ppmであるといえる。
【0100】
イソバレルアルデヒドの有効な範囲は、0.4〜900ppmであると考えられた。
【実施例4】
【0101】
[塩ラーメンスープ(チキン味)への本発明品の添加評価]
実施例2で用いたのと同じ塩ラーメンスープ(チキン味)に、喫食添加率0.0005〜1.0%で本発明品を添加し、有効範囲を確認評価した。
【0102】
【表15】

【0103】
表中、「-」は、鶏がらとは異なる、「+」は鶏がら感あり、「++」は鶏がら感を強く増強、「+++」は、鶏がら感を非常に強く増強、を表す。
本発明品は、0.005%添加でもBlankより鶏がら風味と、鶏がらの味が増強されることが確認できた。添加率が0.5%を超えると、酵母エキス特有の味・風味が感じられ、鶏がらとは異なる食味となった。本発明品の喫食有効添加濃度は、0.005〜0.50%であった。
【実施例5】
【0104】
[スープの製造例]
1.豚骨スープ
本発明品以外の原材料及び配合の例を下表に示す。
【0105】
【表16】

【0106】
製造手順
(1)豚骨(割る)
(2)豚背脂(カット)
(3)豚骨、豚足を水からボイルし、水洗い
(4)水に豚骨、豚足を入れ沸騰直前に弱火にし、アクをとる。
(5)豚背脂、長葱、生姜を入れ、沸かしながら白く濁らせるように煮込む。
(6)さし水をしながら、6時間煮込み1/2量まで煮詰めシノワでこす。
(7)煮込み工程の後半、又は煮込み工程終了後に、本発明品を、0.005〜0.50重量%となるように添加することができる。
【0107】
2.鶏湯(鶏がらスープ)
本発明品以外の原材料及び配合の例を下表に示す。
【0108】
【表17】

【0109】
(1)鶏がらは、水からボイルし(3分)、水洗いする。
(2)熱湯に鶏がらを入れ、沸騰直前に弱火にし、アクと脂をとる。
(3)長葱、生姜を入れ、アクを取りながら約2時間煮込む。
(4)さらしでこす。
(5)煮込み工程の前、途中又は煮込み工程終了後に、本発明品を、0.005〜0.50重量%となるように添加することができる。
【0110】
3.塩ラーメンスープ(チキン味)
本発明品以外の原材料及び配合の例を下表に示す。
【0111】
【表18】

【0112】
塩、薄口醤油を鶏がらスープ割る。本発明品を加えていない鶏がらスープを用いた場合は、本発明品を、0.005〜0.50重量%となるように添加することができる。好みで砂糖、MSGを加えてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)グルタミン酸ナトリウムを10重量%以上(好ましくは15%以上)、
(b)イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムを、総量で1重量%以上(好ましくは1.5%以上)、並びに
(c)2-フランメタノール及び5-メチル-2-フランメタノール
を含む酵母エキスを有効成分とする、豚骨スープ又は鶏がらスープの、風味増強剤。
【請求項2】
ピラジン類が、2,5-ジメチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン及び2-エチル3-メチルピラジンを含む、請求項1記載の剤。
【請求項3】
(c')2,5-ジメチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、2-エチル3-メチルピラジン、2-フランメタノール、5-メチル2-フランメタノール、及び3-メチルブタナール
を含む酵母エキスを有効成分とする、豚骨スープ又は鶏がらスープの、風味増強剤。
【請求項4】
(a)グルタミン酸ナトリウムを10重量%以上(好ましくは15%以上)、
(b)イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムを、総量で1重量%以上(好ましくは1.5%以上)、並びに
(c')2,5-ジメチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、2-エチル3-メチルピラジン、2-フランメタノール、5-メチル2-フランメタノール、及び3-メチルブタナール
を含む酵母エキスを、下記のいずれか1以上(好ましくはすべて)が満たされる量で添加された、豚骨又は鶏がらスープ:
(1)2,5-ジメチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン及び2-エチル3-メチルピラジンの総計が、0.002〜3000ppm;
(2)2-フランメタノールの5-メチル2-フランメタノール総計が、0.1〜700ppm;
(3)3-メチルブタナールが、0.4〜900ppm。
【請求項5】
酵母エキスが、0.005〜0.50重量%となるように添加された、請求項4記載のスープ。
【請求項6】
(a)グルタミン酸ナトリウムを10重量%以上(好ましくは15%以上)、
(b)イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムを、総量で1重量%以上(好ましくは1.5%以上)、並びに
(c)2-フランメタノール及び5-メチル-2-フランメタノール
を含む酵母エキスを添加する工程を含む、豚骨スープ又は鶏がらスープにおける、風味の増強方法。
【請求項7】
(c')2,5-ジメチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、2-エチル3-メチルピラジン、2-フランメタノール、5-メチル2-フランメタノール、及び3-メチルブタナール
を含む酵母エキスを添加する工程を含む、豚骨スープ又は鶏がらスープにおける、風味の増強方法。
【請求項8】
(a)グルタミン酸ナトリウムを10重量%以上(好ましくは15%以上)、
(b)イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムを、総量で1重量%以上(好ましくは1.5%以上)、並びに
(c)2-フランメタノール及び5-メチル-2-フランメタノール
を含む酵母エキスの呈味成分及び/又はにおい成分を有効成分とする、豚骨スープ又は鶏がらスープの、風味増強剤。

【図1】
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【図2】
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