説明

貝殻または真珠由来の水溶性タンパク質の抽出方法

【課題】貝殻または真珠由来の原料から簡素かつ低環境負荷な工程処理で加水分解されやすい水溶性タンパク質として抽出する方法を提供する。
【解決手段】貝殻または真珠由来の原料をX線回折法において得られるアラゴナイト結晶の所定のミラー指数における回折強度の粉砕前を基準とした減少率を所定値とするようにメカノケミカル粉砕する。水を用いて前記粉砕した貝殻または真珠由来の原料から水溶性タンパク質を抽出する。前記所定値は、前記回折強度の減少率と、所定質量の前記貝殻または真珠由来の原料から抽出される前記水溶性タンパク質量の割合との相関関係を表わす近似式に従って、所定割合の水溶性タンパク質を抽出する観点から定められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貝殻または真珠由来の水溶性タンパク質の抽出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アコヤガイ(真珠貝)の貝殻の真珠層及び真珠の真珠層は、斜方晶系のアラレ石(アラゴナイト結晶)と、当該アラレ石の層間を埋める間基質として存在するコンキオリンと総称されるタンパク質によって構成されている。
【0003】
当該タンパク質の成分を加水分解した加水分解物は、高保湿性、皮膚疲労の早期回復、皮膚の老化防止、色素漂白、つや出し、小皺防止などが多彩な機能が認められており、例えば化粧品やシャンプーに配合され、非常に付加価値の高いものとなっている。
【0004】
もっとも、当該タンパク質の成分の抽出は、アラレ石の層間に存在するタンパク質層が強固で非常に薄いため困難である。そのため、前記タンパク質の抽出には、塩酸などの鉱酸を用いて、真珠層の大部分を占めるアラレ石の成分である炭酸カルシウムを可溶化する脱灰処理と、さらにそれを除去する脱塩処理とを必要とする(例えば、特許文献1)。
【0005】
ところで、一般的にタンパク質は、水や酸に可溶性のものと不溶性のものに大別されるものであり、前記真珠層に含まれるタンパク質は、微量の水溶性タンパク質と、大部分を占める酸不溶性タンパク質で構成されており、化粧品の原料として使用するためには、いずれのタンパク質も前記加水分解処理を実行し、加水分解物にする必要がある。
【0006】
この点、水溶性タンパク質は酵素によって加水分解されやすいのに対し、酸不溶性タンパク質は酵素による加水分解がされにくいことが知られている。
【0007】
これに対して、酸不溶性タンパク質を加水分解処理する方法として、塩酸等の鉱酸によって加水分解する方法(例えば、特許文献1)、及び、酸不溶性タンパク質に対しEDTA処理、透析処理、プロテイナーゼK処理をすることにより酵素分解する方法が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭62−221612号公報
【特許文献2】特開平5−43444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、塩酸などの鉱酸を用いた脱灰処理は、炭酸カルシウムの分解による発泡を伴うため操作が煩雑で長時間を要するという問題と、高濃度の鉱酸を用いるため高環境負荷となる問題がある。
【0010】
一方、前記酸不溶性タンパク質を加水分解処理する方法についても、同様に鉱酸を用いるため高環境負荷になるという問題に加えて、特に塩酸を使用する場合発がん性物質が生成される懸念があり、これは最終生成物を化粧品の原料として使用する点から問題がある。
【0011】
また、前記酸不溶性タンパク質を酵素により加水分解する方法は、EDTA処理、透析処理、プロテイナーゼK処理という煩雑な複数の処理を必要とするという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、これらの不都合を解消して、貝殻及び真珠由来の原料に含まれるタンパク質を、簡素かつ低環境負荷な工程処理で加水分解されやすい水溶性タンパク質として抽出する、貝殻または真珠由来の水溶性タンパク質の抽出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するために、本発明の貝殻または真珠由来の水溶性タンパク質の抽出方法は、貝殻または真珠由来の原料をX線回折法において得られるアラゴナイト結晶の所定のミラー指数の回折強度の粉砕前を基準とした減少率を所定値とするように微粉砕する原料微粉砕工程と、水を用いて前記微粉砕した貝殻または真珠由来の原料に含有されているタンパク質のうちから少なくとも水溶性タンパク質として抽出する水溶性タンパク質抽出工程とを備え、前記所定値は、前記回折強度の減少率と、前記貝殻または真珠由来の原料における前記タンパク質の含有量に対する前記水溶性タンパク質として抽出された抽出量の割合との相関関係を表わす近似式に従って、所定割合の水溶性タンパク質を抽出する観点から定められることを特徴とする。
【0014】
まず、発明者は、貝殻または真珠由来の原料に対して、十分なメカノケミカル効果が与えられるように微粉砕処理が実行されることにより、当該原料に含まれるタンパク質の大部分を占める酸不溶性タンパク質の物性が変化し、酵素分解されやすい水溶性タンパク質に変換されることを知見した。ここで「メカノケミカル効果」とは、粉砕過程で微粒子化した試料に機械的エネルギー(衝撃又は摩擦)を与えることにより、機械的エネルギーの一部が粒子内に蓄積され、結晶構造の歪み又は化学結合の切断等を引き起こす効果である。
【0015】
もっとも、どの程度のメカノケミカル効果を与えれば、どの程度の酸不溶性タンパク質が水溶性タンパク質に変換されるのか、その相関関係を把握しなければ、効率的な粉砕処理を実行することができない。
【0016】
これに対し、発明者は、メカノケミカル効果を与える程度と、X線回折法によって測定できる貝殻または真珠由来の原料に含まれるアラゴナイト結晶の所定のミラー指数、具体的には(111)、(021)、(002)、(012)、(200)、(112)、(221)、(113)における回折ピーク強度の減少の程度との間に相関関係があることを知見した。
【0017】
また、発明者は、前記所定のミラー指数における回折ピーク強度の減少率と、酸不溶性のタンパク質が水溶性タンパク質に変換され抽出される量の割合とに相関関係があることを知見した。そして、発明者は、前記2つの相関関係を関数として合成することにより、メカノケミカル効果を与える程度と、酸不溶性のタンパク質が水溶性タンパク質に変換され抽出される量の割合との当該相関関係を表す近似式を回折ピーク強度ごとにそれぞれ算出した。
【0018】
前記近似式により、希望する水溶性タンパク質の単位抽出量を達成するためには、前記所定のミラー指数における回折強度を、粉砕前と比較してどの程度減少させる必要があるかを計算することで特定の所定値を設定し、前記所定のミラー指数における回折強度の減少率が当該所定値となるように原料を微粉砕する処理を実行する。
【0019】
前記微粉砕処理を実行した後、水溶性タンパク質を水で抽出する処理が実行される。すなわち、貝殻または真珠由来の原料は、前記微粉砕処理によってメカノケミカル効果を与えることにより、水を用いて水溶性タンパク質として抽出されうる。
【0020】
したがって、本発明の貝殻または真珠由来の水溶性タンパク質の抽出方法によれば、鉱酸を用いた脱灰工程を経ることなく、水溶性タンパク質を抽出できるため、環境に高い負荷をかけることを回避できる。
【0021】
また、水溶性タンパク質は、酸不溶性タンパク質と異なり酵素によって加水分解されやすいので、加水分解に鉱酸を用いること及び複雑な処理を行うことを省略することができる。
【0022】
この結果、本発明の貝殻または真珠由来の水溶性タンパク質の抽出方法によれば、低環境負荷かつ簡素な工程処理で水溶性タンパク質を抽出できると共に、アラゴナイト結晶の所定のミラー指数における回折強度の減少率を測定することにより、抽出される水溶性タンパク質量を計算することができるため、効率的に水溶性タンパク質を抽出することができる。
【0023】
また、前記貝殻または真珠由来の原料から、前記抽出処理により水溶性タンパク質を抽出した残留物は、乾燥することで有機質をほとんど含まない高品質の炭酸カルシウム微粉末を得ることができる。
【0024】
従来の抽出方法では、脱灰により炭酸カルシウムが分解され、炭酸カルシウムを活用できなかったが、本発明の貝殻または真珠由来の水溶性タンパク質の抽出方法によれば、水溶性タンパク質を抽出すると共に、炭酸カルシウムも回収することができ、焼成カルシウムやプラスチック用フィラーとして有効活用することができる。
【0025】
なお、前記水溶性タンパク質の抽出率は、単位質量あたりの貝殻または真珠から抽出可能な水溶性タンパク質と酸不溶性タンパク質との最大値の合計が、抽出率100%として定義される。かかる水溶性タンパク質量は、水抽出後の上清液のタンパク質量から求めている。一方、酸不溶性タンパク質は、従来の脱灰工程を行なった残渣重量から求めている。
【0026】
また、本発明では、効率を考慮した上で水溶性タンパク質の収率を高くすることが理想的であるが、水溶性タンパク質の収率が比較的高い領域において当該収率を所定のミラー指数における回折強度に基づいて調節するためには、当該収率の変化に応じた回折強度の変化率が比較的高いことが望ましい。
【0027】
詳細は後述するが、本発明者の知見によれば、当該観点から、前記所定のミラー指数は、(111)、(021)、(221)のいずれかであることが好ましい。
【0028】
さらに、発明者は、アラゴナイト結晶に帰属する回折ピークのうち、ミラー指数(111)の方がミラー指数(021)、(221)よりも回折強度が強いことから、回折強度を測定し、近似式として表わすのに適していることを知見した。
【0029】
そして、詳細は後述するが、発明者の実験によれば、本発明の貝殻または真珠由来の水溶性タンパク質の抽出方法におけるアラゴナイト結晶のミラー指数(111)の回折強度の粉砕前を基準とした減少率は、前記所定値は総タンパク質量の80%以上を水溶性タンパク質として回収でき、かつ、抽出液の着色が抑えることができる40%〜55%の範囲に設定することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態における貝殻または真珠由来の水溶性タンパク質の抽出工程の説明図。
【図2】本実施形態における近似式の算出工程の説明図。
【図3】アコヤガイ貝殻真珠層を試料とする実施例2、4、5及び比較例1のX線回折測定で得られた回折パターンを示す図。
【図4】アコヤガイ貝殻真珠層を試料とする実施例1乃至実施例5及び比較例1のX線回折測定で得られたミラー指数(111)、(021)、(002)、(012)、(200)、(112)、(221)、(113)の回折強度の減少率と水溶性タンパク質の抽出率との関係をグラフにした説明図。
【図5】アコヤガイ貝殻真珠層を試料とする実施例1乃至実施例5及び比較例1のX線回折測定で得られたミラー指数(111)の回折強度の減少率と水溶性タンパク質の抽出率との関係を表にした説明図。
【図6】アコヤガイ貝殻真珠層を試料とする実施例1乃至実施例5及び比較例1のX線回折測定で得られたミラー指数(111)の回折強度の減少率と水溶性タンパク質の抽出率との関係をグラフにした説明図。
【図7】アコヤガイ貝殻真珠層を試料とする実施例1乃至実施例5及び比較例1の二次粉砕の実行時間と水溶性タンパク質の抽出率との関係をグラフにした説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(本実施形態の概略)
図1を用いて、本実施形態にかかる貝殻または真珠由来の水溶性タンパク質の抽出方法の概略を説明する。
【0032】
まず、あらかじめ洗浄して不純物を除去した未脱灰の貝殻または真珠由来の原料を、ハンマーで粗粉砕後、0.5mmスクリーンを装着したハンマーミル(例えば、株式会社東京アトマイザー製造機TASM−1)で微粉砕処理(一次粉砕)する(図1/STEP101)。
【0033】
次に、一次粉砕した貝殻由来の原料を、メカノケミカル効果を付与できる微粉砕手段によりさらに微粉砕処理(二次粉砕)を行う(図1/STEP102)。当該二次粉砕は、X線回折法によって得られたアラゴナイト結晶の所定のミラー指数における回折強度が粉砕前の回折強度と比較して所定の数値範囲内で減少するように所定時間Tの間二次粉砕する。
【0034】
上記所定の数値範囲は後述の近似式y=f(x)から求められる好適な数値範囲であり、所定時間Tは後述の近似式t=h(x)から求められる好適な数値である。
【0035】
前記二次粉砕に用いる微粉砕手段は、特に限定されないが、複数個の粉砕媒体ボールと粉体とを収納した処理容器の回転により、該粉体を微粒子化する高速粉体反応装置が好ましく用いられ、特に特許第3486682号又は特許第3533526号に開示されているコンバージミルの原理を利用した高速粉体反応装置を用いるのが好ましい。
【0036】
この高速粉体反応装置は、粉砕用容器や粉砕用ボールの衝突による磨耗分の混入を軽減でき、スケールアップも容易であるので、本実施形態の微粉砕手段として好ましい。
【0037】
次に、前記二次粉砕した貝殻または真珠由来の原料を水中に浸漬することで、水溶性タンパク質を抽出する水溶性タンパク質抽出処理を実行する(図1/STEP103)。
【0038】
この水溶性タンパク質を短時間で水に溶出させるためには、水温が30℃以上であることが好ましい。
【0039】
特に、水温を37〜60℃とした場合には、酵素が機能する温度域であることから、当該抽出工程と後述する酵素による加水分解工程とを同一工程で行なうことができるため、特に好ましい。
【0040】
(本実施形態による抽出後の処理工程)
化粧品の原料として使用するためには、前記抽出工程により抽出された水溶性タンパク質に対して加水分解処理を実行し、加水分解物にする必要がある。
【0041】
水溶性タンパク質を加水分解する処理は、前記水に溶出した水溶性タンパク質を、タンパク質分解酵素によって加水分解することにより行われる。
【0042】
本実施形態に用いられるタンパク質分解酵素は、特に制限されないが、前記水溶性タンパク質抽出液のpH9付近に最適pHを有するものが好ましい。例えば、天野エンザイム社製のプロレザーFG−F等を挙げることができる。
【0043】
なお、これらの酵素を変性させ活性を失わせることは、沸騰水浴下で10分間加熱処理することにより行なうことができる。
【0044】
前記抽出処理によって得られた水溶性タンパク質は、公知の手段によって更に濃縮または精製することができる。例えば、濃縮には遠心濃縮や凍結乾燥など、精製には活性炭や合成吸着樹脂などを挙げることができる。また濃縮または精製を兼ねたアルコール沈殿を用いてもよい。なお、活性炭による精製の場合、補助剤(例えば、珪藻土(ダイアトマイト))とともに用いることが好ましい。
【0045】
そして、当該水溶性タンパク質を抽出した後の残渣は乾燥させることで、炭酸カルシウム微粉末として回収することができる。
【0046】
なお、本実施形態における貝殻または真珠由来の水溶性タンパク質の抽出方法で用いられる貝殻由来の原料の種類は、アラゴナイト型であれば特に限定されず、カルサイト−アラゴナイト両型であってもよく、例えばムールガイ、アワビ、アコヤガイ、アサリ、シジミ、ホッキ、ハマグリなどである。特に、有用な生理活性が認められる「アコヤガイ」の貝殻の真珠層が好ましい。
【0047】
(近似式の算出工程)
図2乃至図4を用いて、本実施形態に用いる近似式の算出工程を説明する。
【0048】
まず、前記STEP101と同様に、あらかじめ洗浄して不純物を除去した未脱灰の貝殻または真珠由来の原料を、ハンマーで粗粉砕後、0.5mmスクリーンを装着したハンマーミルで一次粉砕する(図2/STEP202)。
【0049】
次に、一次粉砕した貝殻または真珠由来の原料を、メカノケミカルを付与できる微粉砕手段により所定時間Tのあいだ微粉砕(二次粉砕)する(図2/STEP202)。
【0050】
次に、二次粉砕した貝殻または真珠由来の原料について、X線回折法により回折強度を測定するX線回折強度測定処理を実行する(図2/STEP203)。
【0051】
そして、前記二次粉砕した貝殻または真珠由来の原料を水中に浸漬することで、水溶性タンパク質を抽出すると共に、抽出した水溶性タンパク質量を測定する水溶性タンパク質測定処理を実行する(図2/STEP204)。
【0052】
前記STEP202及びSTEP203の処理工程は、いずれの処理工程を先に行ってもよく、また、二次粉砕後迅速に行うことが望ましいため、二次粉砕した前記原料の一部について、STEP202の処理工程を行うのと並行して、前記原料の残りの一部についてSTEP203の処理工程を行ってもよい。
【0053】
前記STEP201乃至STEP203の処理工程を、所定時間Tを変化させ、複数回に亘り実行することにより、図3に示すように、アコヤガイの貝殻の真珠層由来の原料に含まれるアラゴナイト結晶の回折強度を示すグラフを得ることができる。
【0054】
図3(a)は、粉砕処理として、ハンマーミルによる一次粉砕処理のみを実行した場合の回折強度のグラフである。図3(b)は、前記一次粉砕に加え、後述のコンバージミルによって所定時間Tを60分として二次粉砕処理を実行した場合の回折強度のグラフである。図3(c)は、同様にコンバージミルによって所定時間Tを240分として二次粉砕処理を実行した場合の回折強度のグラフである。図3(d)は、同様にコンバージミルによって所定時間Tを360分として二次粉砕処理を実行した場合の回折強度のグラフである。
【0055】
この図3(a)乃至図3(d)から、コンバージミルによる二次粉砕処理の実行時間が長くなり、原料に与えられるメカノケミカル効果が高くなるほど、アラゴナイト結晶のミラー指数(111)、(021)、(002)、(012)、(200)、(112)、(221)、(113)における回折強度が、粉砕前の回折強度と比較して弱くなるという相関関係が存在することが知見される。
【0056】
なお、図3(c)及び図3(d)から明らかなように、回折強度の減少率は、一定程度まで達すると、それ以上時間を掛けて二次粉砕処理を継続してもほとんど変化しないということがわかる。
【0057】
次に、STEP203で測定した前記回折強度の減少率yと、STEP204で測定した所定質量の前記貝殻由来の原料から抽出される水溶性タンパク質量xとの相関関係を表わす近似式y=f(x)を算出する(図2/STEP205)。
【0058】
当該近似式y=f(x)は、図4に示すように、ミラー指数(111)、(021)、(002)、(012)、(200)、(112)、(221)、(113)のそれぞれについて実線で表わされた近似曲線を示す近似式で定義されうるものである。
【0059】
但し、前記近似式は唯一のものではなく、後述する図6に記載された破線、点線、一点鎖線で表わされた近似曲線のように、近似する関数によってさまざまな近似式で定義されうるものである。
【0060】
この当該近似式y=f(x)により示される前記回折強度の減少率と前記抽出される水溶性タンパク質量との相関関係は、普遍的なものであり、前記高速粉体反応装置の規模、性能等により変化するものではない。
【0061】
もっとも、前記高速粉体反応装置の規模、性能により、前記所定の回折強度の減少率になるのに必要な二次粉砕処理の実行時間は異なる。そこで、工業的に効率よく水溶性タンパク質を抽出するために、前記高速粉体反応装置、粉砕する貝殻由来の原料の質量等の二次粉砕のときの条件を一定とした場合における当該装置の運転時間tと前記回折強度の減少率yとの相関関係を表わす近似式t=g(y)を算出する。
【0062】
そして、当該関数y=f(x)及びt=g(y)を合成させることにより、二次粉砕のときの条件を一定とした場合における、当該装置の運転時間tと前記貝殻由来の原料から抽出される水溶性タンパク質量xとの相関関係を表わす近似式t=g(f(x))=h(x)を算出する(図2/STEP206)。
【0063】
当該近似式t=h(x)は、例えば、ミラー指数(111)を例にすると、後述する図7に記載された破線、点線で表わされた近似曲線で示されるように、さまざまな近似式で定義されうるものである。
【0064】
(最適な近似式の選択)
図4を用いて、本実施形態における近似式のうちいずれが最適であるかを説明する。
【0065】
本実施形態は、水溶性タンパク質の抽出を図るものであるため、その収率は高いほうが好ましい。但し、水溶性タンパク質の収率が高い領域において、さらに収率を向上させることは困難であり、当該向上を図るために長時間二次粉砕処理を実行することは、工業的効率上好ましくない。したがって、本実施形態では、水溶性タンパク質の収率の高い領域において、工業的効率を大幅に損なわない範囲で、前記回折強度の減少率を調整する必要がある。
【0066】
このように前記回折強度に基づく調節をするためには、水溶性タンパク質の収率が比較的高い領域において、当該収率の変化に応じた回折強度の変化率が比較的高いほうが、水溶性タンパク質の収率の増減が回折強度の変化率に大きく影響を与え、調整すべき範囲を把握しやすいので望ましい。
【0067】
すなわち、例えば水溶性タンパク質の収率をX軸、回折強度の変化率をY軸とおいた場合に、前記収率が高い領域で、近似曲線の傾きが増加していく近似式の方が好ましい。
【0068】
その知見に鑑みると、図4(c)〜図4(f)及び図4(h)に示すように、アラゴナイト結晶のミラー指数(002)、(012)、(200)、(112)、(113)の回折強度に基づいたそれぞれの近似式は、水溶性タンパク質の収率が高い領域において近似曲線の傾きが緩やかになっているため、回収しようとする水溶性タンパク質の収率を実現するための前記回折強度の減少率を把握し調整することが困難である。
【0069】
これに対して、図4(a)、(b)または(g)に示すように、アラゴナイト結晶のミラー指数(111)、(021)、(221)の回折強度に基づいたそれぞれの近似式は、水溶性タンパク質の収率が高い領域において傾きが大きいため、必要とされる回折強度の減少率を把握し調整することが容易である。
【0070】
さらに、図3に示すように、アラゴナイト結晶に帰属する回折ピークのうちミラー指数(111)の方が、ミラー指数(021)、(221)よりも回折強度が強いことから、必要とされる回折強度の減少率を把握し調整することがより容易なので、近似式を表わすのに適していることを知見した。
【0071】
以上説明したとおり、より効率的に水溶性タンパク質を抽出するためには、所定のミラー指数の前記回折ピーク強度の近似式のうちミラー指数(111)における回折強度の近似式を用いて相関関係を把握することが特に好ましい。
【0072】
(本実施形態の効果)
以上説明したとおり、本実施形態の貝殻由来の水溶性タンパク質の抽出方法によれば、X線回折法によって貝殻由来の原料に含まれるアラゴナイト結晶の所定のミラー指数における回折強度を測定し、二次粉砕前の回折強度を基準とした回折強度の減少率を数値化することにより、メカノケミカル効果の発生の程度を認識することができる。
【0073】
そして、メカノケミカル効果の発生の程度により、水溶性タンパク質の収率が変化することから、工業上効率的に水溶性タンパク質の収率が達成できる程度のメカノケミカル効果が発生させるために、必要最小限の前記二次粉砕処理をすべき程度を認識することができる。
【0074】
また、メカノケミカル効果が与えられるように二次粉砕処理された貝殻または真珠由来の原料は、30℃〜95℃の温度の水を用いて水溶性タンパク質として抽出することができる。したがって、従来水溶性タンパク質を抽出するための脱灰工程を省略することができることから、鉱酸を用いる必要がないので、環境に高い負荷をかけることを回避できる。
【0075】
さらに、本実施形態の貝殻または真珠由来の水溶性タンパク質の抽出方法によれば、従来の抽出方法では、脱灰により炭酸カルシウムが活用できなかった問題点を解消し、水溶性タンパク質を抽出しつつ、炭酸カルシウムを回収し、焼成カルシウムやプラスチック用フィラーとして有効活用することができる。
【0076】
なお、上記説明の通り、前記所定のミラー指数は、(111)、(021)、(221)のいずれかであることが好ましく、特に、(111)が好ましい。
【実施例】
【0077】
<実施例1>
(試料の調製)
洗浄済みのアコヤガイの貝殻の外側(稜柱層)をグラインダー等で削り、内側の真珠層のみにした。当該真珠層をハンマーで粗粉砕したうえで、0.5mmスクリーンを装着したハンマーミル((株)東京アトマイザー製造製 TASM−1)により回転数2800rpmで一次粉砕処理を行った。
【0078】
一次粉砕した貝殻真珠層の平均粒子径は3.3μmであった。また、X線回折法によるアラゴナイト結晶のミラー指数(111)に帰属する回折強度は、基準とするために乳鉢で粉砕処理をした貝殻真珠層の回折強度(以下、基準回折強度という)と比較して0.4%減少した。
【0079】
(貝殻の二次粉砕)
前記一次粉砕貝殻真珠層を、特許第3486682号及び特許第3533526号に記載されたコンバージミルの原理を利用した高速粉体反応装置(株式会社真壁技研社製)を用いて二次粉砕した。具体的には、上記高速粉体反応装置のジルコニア製粉砕容器(1000ml)に、原料粉として一次粉砕貝殻真珠層40gと、媒体ボールとして直径10mmのジルコニアボール326g(ボール充填率10vol%)とを投入し、空気雰囲気下、回転数700rpmにて30分の粉砕処理を行った。
【0080】
これにより、得られた二次粉砕貝殻の平均粒子径は4.6μmであった。また、X線回折法によるアラゴナイト結晶のミラー指数(111)に帰属する回折強度は、基準回折強度と比較して20.0%減少した。
【0081】
(水溶性タンパク質の抽出)
上記の二次粉砕をした貝殻真珠層を0.5g秤量し、これに蒸留水10mlを加え、当該液体を60℃に保ち、60分間振とう下で水溶性タンパク質を抽出した。
【0082】
(固液分離)
抽出後の懸濁液を12000×g、30分の条件で遠心分離を行ない、水溶性タンパク質を含む上清液を回収した。
【0083】
(水溶性タンパク質の定量)
当該上清液のタンパク質濃度はウシ血清アルブミンを標準タンパク質とするLowry法(非特許文献:Lowryら (1951) J. Biol. Chem. 192巻, p263−275)に従って求めた。これにより得られた濃度に、総上清液量を乗じて総タンパク質量を求め、貝殻真珠層1gあたりの水溶性タンパク質量を算出した。
【0084】
(酸不溶性タンパク質の抽出及び定量)
前記二次粉砕した貝殻真珠層を酢酸によって脱灰し、不溶性残渣として得られる酸不溶性タンパク質を回収し、乾燥後の総重量を求めた。
【0085】
具体的には、まず、前記二次粉砕した貝殻真珠層を5g秤量し、これに50%酢酸25mlを加え、当該液体を室温下において振とう下で24時間処理した。次に、5%酢酸2500mlを外液として、1日1回全量を交換しつつ2日間透析(透析膜:分画分子量3500)した。そして、外液を2500mlの蒸留水を外液に切り替えて、1日3回全量を交換しつつ1日脱塩処理した。
【0086】
脱塩後の懸濁液を12000×g、30分の条件で遠心分離を行ない、溶液を除き残渣回収した。そして、当該残渣を凍結乾燥し、その重量から貝殻真珠層1gあたりの酸不溶性タンパク質量を算出した。
【0087】
(X線回折強度の測定)
X線回折強度の測定には日本電子株式会社製のJDX−3530を用い、X線源:Cu/Kα線、管電圧:30kV、管電流:30mA、測定範囲:2θ=70°まで、X線のスキャンスピード:0.04°×0.5secの条件で測定した。
【0088】
(水溶性タンパク質の収率)
アラゴナイト結晶のミラー指数(111)における基準回折強度からの回折強度の減少率と、単位質量あたりの貝殻真珠層から回収できる水溶性タンパク質量、酸不溶性タンパク質量及び総タンパク質量と、水溶性タンパク質の収率との結果は、図5に示された表1の実施例1の欄に示した。なお、実施例1における水溶性タンパク質の収率は、48.3%であった。
【0089】
なお、前記水溶性タンパク質の収率は、単位質量あたりの貝殻から回収可能な総タンパク質量(水溶性タンパク質量と酸不溶性タンパク質量の総量)を、収率100%として定義される。
【0090】
<実施例2>
二次粉砕の時間を60分に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0091】
アラゴナイト結晶のミラー指数(111)における基準回折強度からの回折強度の減少率と、単位質量あたりの貝殻真珠層から回収できる水溶性タンパク質量、酸不溶性タンパク質量及び総タンパク質量と、水溶性タンパク質の収率との結果は、図5に示された表1の実施例2の欄に示した。なお、実施例2における水溶性タンパク質の収率は、73.7%であった。
【0092】
<実施例3>
二次粉砕の時間を120分に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0093】
アラゴナイト結晶のミラー指数(111)における基準回折強度からの回折強度の減少率と、単位質量あたりの貝殻真珠層から回収できる水溶性タンパク質量、酸不溶性タンパク質量及び総タンパク質量と、水溶性タンパク質の収率との結果は、図5に示された表1の実施例3の欄に示した。なお、実施例3における水溶性タンパク質の収率は、91.4%であった。
【0094】
<実施例4>
二次粉砕の時間を240分に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0095】
アラゴナイト結晶のミラー指数(111)における基準回折強度からの回折強度の減少率と、単位質量あたりの貝殻真珠層から回収できる水溶性タンパク質量、酸不溶性タンパク質量及び総タンパク質量と、水溶性タンパク質の収率との結果は、図5に示された表1の実施例4の欄に示した。なお、実施例4における水溶性タンパク質の収率は、100%であった。
【0096】
<実施例5>
二次粉砕の時間を360分に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0097】
アラゴナイト結晶のミラー指数(111)における基準回折強度からの回折強度の減少率と、単位質量あたりの貝殻真珠層から回収できる水溶性タンパク質量、酸不溶性タンパク質量及び総タンパク質量と、水溶性タンパク質の収率との結果は、図5に示された表1の実施例5の欄に示した。なお、実施例5における水溶性タンパク質の収率は、100%であった。
【0098】
<比較例1>
二次粉砕を行わなかった以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0099】
アラゴナイト結晶のミラー指数(111)における基準回折強度からの回折強度の減少率と、単位質量あたりの貝殻真珠層から回収できる水溶性タンパク質量、酸不溶性タンパク質量及び総タンパク質量と、水溶性タンパク質の収率との結果は、図5に示された表1の比較例の欄に示した。なお、比較例における水溶性タンパク質の収率は、4.8%であった。
【0100】
<考察>
アコヤガイの貝殻真珠層を試料に用いた実施例1乃至5及び比較例1のアラゴナイト結晶のミラー指数(111)における回折強度の減少率yと水溶性タンパク質の収率xの関係を図6に示した。なお、回折強度の減少率yは、乳鉢で粉砕処理をした貝殻の回折強度を基準として(基準回折強度)、各実験例の回折強度の減少の割合を算出することによって求めた。
【0101】
図6によれば、アコヤガイの貝殻真珠層を原料とした実験より求めた、前記回折強度の減少率yと水溶性タンパク質の収率xとの近似曲線として、近似式y=f(x)が算出される。当該近似式y=f(x)は、例えば以下のような数式で表わすことができる。
y=6E-05x3−0.0055x2+0.5697x−2.1891・・・(1)
y=0.0049x2+0.1409x−0.0382・・・(2)
y=0.0297x1.6625・・・(3)
x=水溶性タンパク質の収率
y=ミラー指数(111)における回折強度の減少率
【0102】
上述のとおり、本来、工業上の要請として貝殻または真珠の真珠層からのタンパク質(コンキオリン)の収率は70%以上得られれば十分と考えられている。そのため、例えば当該近似式(1)に基づいて計算すると、水溶性タンパク質の収率が70%を超えるためには、前記回折強度の減少率を32%以上にすればよいことがわかる。
【0103】
そして、同様に、当該近似式(1)に基づいて計算すると、前記回折強度の減少率が49%以上であれば、水溶性タンパク質の収率は90%を超えることがわかる。
【0104】
しかしながら、前記回折強度の減少率が60%以上となった場合には、水溶性タンパク質の抽出液の着色が目立ってくることが実験により判明した。水溶性タンパク質は、抽出後、例えば化粧品やシャンプーなどに用いられることが想定されるため、当該着色は回避することが好ましい。
【0105】
そのため、当該式(1)に基づいて計算すると、前記回折強度の減少率が55%以下であれば、水溶性タンパク質の収率を95%程度に調整すると共に、水溶性タンパク質の着色を防止することができるので、工業上の作業効率の観点から好ましくない余分な微粉砕処理を回避しうることがわかる。
【0106】
さらに、アコヤガイの貝殻真珠層を試料に用いた実施例1乃至5及び比較例1のコンバージミルを用いた二次粉砕の実行時間tと水溶性タンパク質の収率xの関係を図7に示した。
【0107】
図7によれば、アコヤガイの貝殻真珠層を原料とした実験より求めた、コンバージミルを用いた二次粉砕の実行時間tと水溶性タンパク質の収率xとの近似曲線として、近似式t=h(x)が算出される。当該近似式t=h(x)は、例えば以下のような数式で表わすことができる。
t=0.0018x2.5309・・・(4)
t=0.1592e0.0774x・・・(5)
x=水溶性タンパク質の収率
t=コンバージミルを用いた二次粉砕の実行時間
【0108】
そして、上述のとおり、本来、工業上の要請として貝殻または真珠の真珠層からのタンパク質(コンキオリン)の収率は70%以上得られれば十分と考えられている。そのため、例えば当該近似式(4)に基づいて計算すると、前記二次粉砕の実行時間は36分以上であれば、水溶性タンパク質の収率は70%を超えることがわかる。
【0109】
また、水溶性タンパク質の収率を95%以内に調整するためには、当該近似式(4)に基づいて計算すると、前記二次粉砕の実行時間は248分以下であればよいことがわかる。
【0110】
<結果>
図5及び図6によれば、一次粉砕後のアコヤガイの貝殻真珠層を、メカノケミカル効果を付与できる粉砕機により二次粉砕すると、貝殻真珠層の粉砕処理時間の経過とともにアラゴナイト結晶のミラー指数(111)における回折強度の減少率が増加することがわかる。
【0111】
また、図5及び図6によれば、回折強度の減少率は、水溶性タンパク質の収率が100%付近まで達すると、それ以上時間を掛けて二次粉砕処理を継続しても、回折強度の減少率はほとんど変化しないということがわかる。
【0112】
この結果、前記回折強度の減少率が32%〜55%の範囲に収まるように二次粉砕処理を実行する貝殻由来の水溶性タンパク質の抽出方法によれば、必要十分な処理時間で、水溶性タンパク質を効率よく回収することができることが明らかとなった。
【0113】
さらに、図7に示すように、前記高速粉体反応装置の規模、性能を考慮に入れた近似式を予め実験により求めておくことで、前記回折強度の減少率が32%〜55%の範囲に収めるためには、コンバージミルを用いた二次粉砕処理を実行すべき時間を求めることができるので、必要十分な処理時間で水溶性タンパク質を効率よく回収することができる。
【0114】
なお、本実験例では、アラゴナイト結晶のミラー指数(111)における回折強度の減少率に基づいて近似式を算出したものを説明したが、他のミラー指数(021)、(221)でも近似式を算出することができ、同様の結果を得ることができた。計算過程等はミラー指数(111)と同様であったため省略する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貝殻または真珠由来の原料をX線回折法において得られるアラゴナイト結晶の所定のミラー指数における回折強度の粉砕前を基準とした減少率を所定値とするように微粉砕する原料微粉砕工程と、水を用いて前記微粉砕した貝殻または真珠由来の原料に含有されているタンパク質のうちから少なくとも水溶性タンパク質として抽出する水溶性タンパク質抽出工程とを備え、
前記所定値は、前記回折強度の減少率と、前記貝殻または真珠由来の原料における前記タンパク質の含有量に対する前記水溶性タンパク質として抽出された抽出量の割合との相関関係を表わす近似式に従って、所定割合の水溶性タンパク質を抽出する観点から定められることを特徴とする貝殻または真珠由来の水溶性タンパク質の抽出方法。
【請求項2】
前記所定のミラー指数は、(111)、(021)または(221)のミラー指数であることを特徴とする請求項1記載の貝殻または真珠由来の水溶性タンパク質の抽出方法。
【請求項3】
貝殻または真珠由来の原料をX線回折法において得られるアラゴナイト結晶のミラー指数(111)における回折強度の粉砕前を基準とした減少率を32%〜55%とするように微粉砕する原料微粉砕工程と、水を用いて前記微粉砕した貝殻または真珠由来の原料に含有されているタンパク質のうちから少なくとも水溶性タンパク質として抽出する水溶性タンパク質抽出工程とを備えることを特徴とする貝殻または真珠由来の水溶性タンパク質の抽出方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の貝殻または真珠由来の水溶性タンパク質の抽出方法であって、
前記水溶性タンパク質を抽出した残留物を乾燥することで、炭酸カルシウムを精製することを特徴とする貝殻または真珠由来の水溶性タンパク質の抽出方法。


【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−36116(P2012−36116A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176506(P2010−176506)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【Fターム(参考)】