説明

貝殻等焼成粉末入りクリーム、及びその製造方法

【課題】 貝殻等焼成粉末の抗菌効果や水虫・汗疹等の治療効果を長期間にわたって確保できるようにした貝殻粉等末入りクリーム、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 貝殻又は真珠を焼成し、かつ粉砕して、この貝殻又は真珠の焼成粉末を化粧品材に添加混錬して貝殻等焼成粉末入りクリームを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水虫や汗疹などの皮膚の炎症等の抑え、また抗菌作用を発揮できる貝殻等焼成粉末入りクリーム、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、その種のクリームとしては、生椎茸その他の茸を塩化シリコン、塩化チタン、塩化ジルコニウムと混合し溶解した液や強酸で分解した液に、水やアルコールやグライコールを加えてこれを稀釈し、更に貝殻粉に添加して、浸透後乾燥させた貝殻粉を油脂クリームに混合することにより花粉症やアトピー性皮膚炎や水虫炎の患部に塗布して治療するようにしたクリームが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】 特開2004−26785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のクリームにあっては、貝殻粉の種類が記載されているのみでその製造方法については記載されていない。本発明者は、貝殻を粉砕しただけでは、貝殻粉を混入したクリームの上記治療効果が非常に弱く、またその効果も短時間しか得られないことを発見した。
そこで、本発明は、貝殻等の粉による抗菌効果や水虫・汗疹等の治療効果を強化でき、かつその効果を長期間にわたって確保できるようにした貝殻等焼成粉末入りクリーム、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の貝殻等焼成粉末入りクリームは、貝殻を焼成し、かつ粉砕して得た貝殻焼成粉末、又は真珠を焼成し、かつ粉砕して得た真珠焼成粉末の少なくとも一方を化粧品材に添加したクリームであることを特徴とする。なお、この貝殻や真珠(これら併せて「貝殻等」という)の焼成温度は、1000℃以上とすることが望ましい。
【0005】
本発明の貝殻等粉末入りクリームの製造方法は、貝殻を焼成・粉末化して貝殻焼成粉末、又は真珠を焼成・粉末化して真珠焼成粉末を得、貝殻焼成粉末又は真珠焼成粉末のうち少なくとも一方を化粧品材と共に混錬することを特徴とする。なお、この貝殻の焼成温度は、約1,000℃以上とすることが望ましい。
【0006】
また、好ましくは、上記焼成した貝殻粉末を水に混合して撹拌、静置し上澄みをろ紙でろ過し手得た混入水に、化粧品材に添加し、かつ上記焼成した貝殻粉末をさらに添加して、混錬機で混錬するようにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の貝殻等焼成粉末入りクリーム及び貝殻等焼成粉末入りクリームの製造方法では、化粧品材に混錬する貝殻又は真珠を焼成して焼成粉末を入れるので、貝殻焼成粉末又は真珠焼成粉末による抗菌効果や水虫・汗疹等の治療効果を強化でき、かつ長期間にわたって確保できることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0008】
まず、実施例1による貝殻粉末を利用した貝殻等焼成粉末入りクリーム及びその製造方法を説明する。
【0009】
貝殻焼成粉末を得るには、帆立、牡蠣、アコヤ貝、あわび、真珠貝等の貝殻を焼却炉で、1,100℃の高温で1時間焼成した後に粉砕し、貝殻焼成粉末を得る。なお、貝殻を粉末した後に、焼成するようにしてもよい。
【0010】
このようにして得た貝殻焼成粉末には、カルシウムが98%程度含まれるとともに、その他マグネシウム、カリウム、ナトリウム、リン、硫黄、亜鉛等のミネラルが含有されている。このように貝殻を高温で焼成することにより、水溶性のカルシウムが得られる。ここでは水に対する溶解量が最大0.18%となり、1リットルの水に2g(グラム)程度入れるだけで、PH(ペーハー)12の強アルカリ水が得られるようになる。
【0011】
ここでは、アコヤ貝にて貝殻焼成粉末を得た場合につき説明する。
【0012】
まず、上記のようにして得たアコヤ貝の焼成粉末10gを1,000ccの純水に混合して撹拌し、静置する。そして、所定時間経ったら、この撹拌水の上澄みの水をろ紙にてろ過し、微細な焼成粉末のみ混入した強アルカリ水を得る。
【0013】
この強アルカリ水150ccを、白色ワセリンが21g、ステアリルアルコールが17g、プロピレングリコールが10g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が3.4g、モノステアリン酸グリセリンが0.8g、パラオキシ安息香酸メチル0.008g、パラオキシ安息香酸プロピルが0.08gを精製水に含ませて得た水中油型基材1,000gに添加し、さらに10ミクロン級のみを選り分けて得たアコヤ貝の焼成粉末を、全重量の0.5%である5.75g添加し、これらを混錬機で混錬して、アコヤ貝焼成粉末が0.62g入った貝殻粉末入りクリームを得る。なお、上記水中油型基材は、本発明の化粧品材に相当する。
【0014】
このようにして製造した貝殻粉末入りクリームを試用してみると、従来のように焼成しない貝殻粉末を用いる場合と比較して、以下のような効果があることが認められた。すなわち、従来の非焼成の貝殻粉末の場合には、ほとんど中性を示し、水虫や汗疹の治療効果や抗菌効果が非常に弱いのに対し、本実施例のように1,100℃で焼成した貝殻焼成粉末を混入したクリームの場合では、強アルカリ性を示すようになり、水虫や汗疹の治療効果や抗菌効果を大きく強化することができるようになった。この場合、単に貝殻を焼成するだけでなく、約1,000℃以上で焼成することが重要であって、それより低い温度、たとえば600℃程度でしか焼成しない貝殻焼成粉末を用いるようにしても、その効果が小さいだけでなくその持続効果も極めて短期間(数日)で低下してしまうのに対し、本実施例のものでは強い効果が数年以上持続することが分かった。
【0015】
なお、焼成粉末を得るための貝殻としては、アコヤ貝に限らず、帆立、牡蠣、あわび、真珠貝等を用いても同様の効果が得られる。また、焼成温度は、約1,000℃以上であればよい。
【実施例2】
【0016】
実施例1では、アコヤ貝の貝殻を焼成してこれを混入したクリームを得たが、実施例2では、真珠を用いる。
【0017】
まず、真珠焼成粉末を得るには、アコヤ貝や真珠貝等から取り出した真珠を、1,100℃の高温で1時間焼成した後に粉砕製粉し、真珠焼成粉末を得る。
【0018】
このようにして得た真珠焼成粉末は、カルシウムが98%程度含まれるとともに、その他マグネシウム、カリウム、ナトリウム、リン、硫黄、亜鉛等のミネラルが含有されている。このように真珠を高温で焼成することにより、水溶性のカルシウムが得られる。ここでは水に対する溶解量が最大0.18%となり、1リットルの水に2g(グラム)程度入れるだけで、PH(ペーハー)12の強アルカリ水が得られるようになる。
【0019】
次いで、真珠焼成粉末20gを1,000ccの塩素が混入していないミネラル水に混合して撹拌し、静置する。そして所定時間経ったら、この撹拌水の上澄みの水をろ紙にてろ過し、微細な真珠焼成粉末のみが混入した強アルカリ水を得る。
【0020】
この強アルカリ水200gに、ヒアルロン酸ナトリウム1%液を50g、および真珠焼成粉末を6.5g、及び10ミクロンの焼成していない真珠粉末を1.5g添加し、さらにグリセリンを10g、エタノールを7g入れて混錬する。
【0021】
このようにして得たミネラルクリームの基材を、ワセリン、ステアリルアルコール、PEG−60水添ヒマシ油、ステアリル酸グリセリル、プロピレングリコール、メチルパラベン、プロピルパラベンと共に、均一に混じるように、2時間程度混錬機で混錬する。なお、これらは、本発明の化粧品材に相当する。
【0022】
この混錬により得られたクリームは、クリーム100g中に、ワセリンが19.57g、ステアリルアルコールが15.66g、プロピレングリコールが9.33g、ヒアルロン酸ナトリウムが3.92g、PEG−60水添ヒマシ油が3.13g、グリセリンが0.78g、ステアリル酸グリセリンが0.78g、真珠焼成粉末が0.62g、エタノールが0.55g、真珠粉末が0.11g、メチルパラピレンが0.07g、プロピルパラベンが0.07g、そして水が適量にある状態となる。
【0023】
真珠焼成粉末入りクリームを試用してみると、従来のように焼成しない貝殻粉末を用いる場合と比較して、以下のような効果があることが認められた。すなわち、従来の非焼成の貝殻粉末の場合には、ほとんど中性を示し、水虫や汗疹の治療効果や抗菌効果が非常に弱いのに対し、本実施例のように1,100℃で焼成した真珠焼成粉末を混入したクリームの場合では、強アルカリ性を示すようになり、水虫や汗疹の治療効果や抗菌効果を大きく強化することができるようになった。この場合、単に真珠を焼成するだけでなく、約1,000℃以上で焼成することが重要であって、それより低い温度、たとえば600℃程度でしか焼成しない場合には、その効果が小さいだけでなくその持続効果も極めて短期間(数日)で低下してしまうのに対し、本実施例のものでは強い効果が長期間(数年以上)持続することが分かった。
【0024】
なお、アコヤ貝や真珠貝等の貝殻の内面に形成された真珠層を貝殻から分離して、この真珠層を実施例1、2の貝殻同様に焼成し、クリームに混入させるようにしてもよい。このようにしても実施例1、2と同様の効果を得ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の貝殻又は真珠の焼成粉末入りクリーム及びその製造方法は、帆立、牡蠣、アコヤ貝、あわび、真珠貝、真珠等を用いて水虫や汗疹等の治療用や抗菌用のクリーム等を得るのに利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貝殻を焼成し、かつ粉砕して得た貝殻焼成粉末、又は真珠を焼成し、かつ粉砕して得た真珠焼成粉末の少なくとも一方を化粧品材に添加した貝殻等焼成粉末入りクリーム。
【請求項2】
前記貝殻又は前記真珠の焼成は、約1,000℃以上で行うことを特徴とする請求項1に記載の貝殻等焼成粉末入りクリーム。
【請求項3】
前記化粧品材には、前記貝殻焼成粉末を脱塩素の水に混合撹拌し所定時間静置した上澄み水をろ過したものとさらなる前記貝殻焼成粉末とを添加してこれらを混錬したことを特徴とする請求項1又は2に記載の貝殻等焼成粉末入りクリーム。
【請求項4】
前記化粧品材には、前記真珠焼成粉末を脱塩素の水に混合撹拌し所定時間静置した上澄み水をろ過したものと、さらなる前記真珠焼成粉末と、焼成していない真珠粉末とを添加してこれらを混錬したことを特徴とする請求項1又は2に記載の貝殻等焼成粉末入りクリーム。
【請求項5】
貝殻を焼成・粉末化して貝殻焼成粉末、又は真珠を焼成・粉末化して真珠焼成粉末を得、前記貝殻焼成粉末又は前記真珠焼成粉末のうち少なくとも一方を化粧品材と共に混錬する貝殻等焼成粉末入りクリームの製造方法。
【請求項6】
前記貝殻又は前記真珠の焼成は、約1,000℃以上で行うことを特徴とする請求項5に記載の貝殻等焼成粉末入りクリームの製造方法。
【請求項7】
前記化粧品材には、前記貝殻焼成粉末を脱塩素の水に混合撹拌し所定時間静置した上澄み水をろ過したものとさらなる前記貝殻焼成粉末とを添加してこれらを混錬したことを特徴とする請求項5又は6に記載の貝殻等焼成粉末入りクリームの製造方法。
【請求項8】
前記化粧品材には、前記真珠焼成粉末を脱塩素の水に混合撹拌し所定時間静置した上澄み水をろ過したものと、さらなる前記真珠焼成粉末と、焼成していない真珠粉末とを添加してこれらを混錬したことを特徴とする請求項5又は6に記載の貝殻等焼成粉末入りクリームの製造方法。

【公開番号】特開2008−105947(P2008−105947A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−291659(P2005−291659)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(597081123)株式会社朝田商会 (3)
【Fターム(参考)】