説明

負の異常光視症を軽減するIOL周辺面設計

光軸(OA)に対して配置された前面(14)と後面(16)とを有し、後面が周辺領域(22)にまで広がる中心領域を含むIOLが開示される。IOLが患者の眼に埋め込まれると、前面と後面の中心領域とが協働して視野の像を網膜上に形成し、後面の周辺領域はその周辺領域に(例えば、前面による屈折を介して)入射した光線の少なくとも一部(24a、24b)を、その像から離れた少なくとも一つの網膜位置へ向けることで異常光視症を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に眼内レンズ(IOL)に関し、特に、周辺視野における視覚アーティファクトを知覚することのない視野像を患者に提供するIOLに関する。
【背景技術】
【0002】
眼の光学パワーは、角膜の光学パワーと、眼全体の光学パワーの約1/3を提供する水晶体の光学パワーにより決定される。老化のプロセスだけでなく、糖尿病のような特定の病気も、水晶体を曇らせる、一般に白内障として知られているコンディションを生じることがあり、それは患者の視力に悪影響を与える。
【0003】
眼内レンズは、そのような曇った水晶体を置き換えるのに通常採用される。そのようなIOLは患者の視力の質をほぼ回復させることができるものの、IOLを埋め込まれた患者によっては、彼らの視野内にハロー、グレアまたは暗領域といった異常な光学現象が起きることを訴えるものもいる。これらの異常は、しばしば「異常光視症(dysphotopsia)」と呼ばれる。特に、患者によっては、特に側頭部の周辺視野において影を知覚することを訴えるものもいる。この現象は、一般に「負の異常光視症(negative dysphotopsia)」と呼ばれる。
【0004】
そこで、向上されたIOL、特に、異常光視症全般、とりわけ、影の知覚すなわち負の異常光視症を軽減可能なIOLについてのニーズが存在する。
【発明の概要】
【0005】
一般に、本発明は、1以上の光学素子の周辺面が、眼内レンズ(IOL)を持つ患者が訴える影の知覚を軽減するよう、好ましくは解消されるよう設計されたIOLを提供する。
【0006】
一つには、本発明は、IOLを持つ患者により知覚される影は、光が非常に大きい視角で眼に入射するときの二重像効果により引き起こされ得るという発見に基づいている。特に、多くの市販IOLにおいて、眼に入射する光の大部分は角膜とIOLの両方によって網膜上に焦点を結ぶものの、周辺光の一部はIOLを透過せず、そのためその一部の光は角膜によってのみ焦点を結ばされるということが分かっている。これは周辺の第2の像の形成をもたらす。この像は周辺視野を広げるので有用ではあるが、IOLユーザによっては気を散らす影状現象の知覚をもたらし得る。
【0007】
白内障手術の潜在的な合併症を少なくするよう、近年のIOL設計者は、患者の固有の水晶体の除去の後、非常に容易にIOLを水晶体嚢へ挿入できるよう、光学要素(光学素子)をより小さく(好ましくは折り曲げ可能に)することを研究してきた。レンズの直径を小さくすること、及びレンズ素材を曲げ可能なものにすることは、必要とされる角膜の切開サイズを減らすので、近年のIOL手術の成功において重要なファクターである。同様に、このことは、しばしば縫合の必要性をなくすので、手術の切開からの角膜の収差の減少をもたらす。セルフシーリング切開の使用は、急速な回復をもたらし、生じた収差をさらに減らす。しかし、光学素子の直径選択の結果は、IOL光学素子が眼に入射する光の全てを受光するのに、常に十分大きいとは限らない(または、虹彩から離れ過ぎて配置される)ということになる。
【0008】
さらに、向上した高分子材料の使用及びIOL技術における他の進歩は、嚢混濁を大きく減らしてきた。嚢混濁は、眼にIOLを埋め込んだ後に、例えば細胞増殖のために経時的に生じるものであった。また、手術技術も、レンズ設計及びIOLの端部近傍での光に影響する生体材料とともに向上してきたが、IOLの周囲の領域ではそうではない。これらの向上は、IOLユーザに対して、より良好な中心視覚だけでなく、より良好な周辺視覚をもたらしてきた。周辺像は、中心(軸上)像ほどシャープには見えないが、周辺視覚は非常に有用である。例えば、周辺視覚は、IOLユーザに視野内の対象物の存在を気付かせ、それに応じてIOLユーザはその物体のよりシャープな像を得るよう向くことができる。この点で、網膜が大きくカーブした光学センサであり、そのため比較可能な平面状のフォトセンサよりも軸外検知能力に優れるということに注意することは興味深い。実際、そう広くはないが、約60度よりも大きい視角に対する周辺網膜センサは眼の前方部分に配置され、一般に眼の後方を向いている。しかし、IOLユーザによっては、強化された周辺視覚が、例えば、影の形成において、周辺視覚アーティファクトをもたらすか、悪化させる。
【0009】
異常光視症(または負の異常光視症)は、患者の視野の一部においてのみ、患者によって観察される。これは、鼻、頬及び眉が、側頭部から眼に入射する光線を除いて、非常に高角度の周辺光線を遮るためである。さらに、IOLは、代表的には触覚によって水晶体嚢の内面に取り付けられるよう設計されるので、固定の誤差または水晶体嚢自体の非対称性が、特に、配置のずれがIOL光学素子をバイパスする側頭部からの周辺光をより増やす場合、この問題を悪化させるおそれがある。
【0010】
本発明の教示によるIOLの多くの実施形態では、IOLの後面の周辺領域が、その領域へ入射する光線の少なくとも一部を、IOLを透過しない眼への入射光線により形成される第2の周辺像とIOLにより形成される像との間の減衰強度領域へ(前面による屈折及び水晶体本体の透過を介して)向けるよう構成される。このように、光の一部を影領域へ方向を変えることは状況を良好に改善し、好ましくは、IOLユーザが周辺の視覚アーティファクトを知覚することを防ぐ。
【0011】
一つの側面において、開示されるIOLは、光軸に対して配置される前面と後面とを有し、その後面は周辺領域にまで広がる中心領域を含む。IOLが患者の眼に埋め込まれると、前面と後面の中心領域は協働して網膜上に視野像を形成し、後面の周辺領域は、その領域に入射する光線の少なくとも一部を、(例えば前面による屈折を介して)その像から離れた少なくとも一つの網膜位置へ向ける。
【0012】
関連する側面において、周辺領域は、IOLの光軸に対して約50度〜80度の範囲内の角度で前面に入射する光線の少なくとも一部を受光するよう適合される。幾つかの実施形態では、前面は、光軸に対して約2mmから約4.5mmの範囲内の半径を示し、後面の中心領域は約1.5mmから約4mmの範囲内の個別の半径を示す。さらに、周辺領域は約0.5mmから約1mmの範囲内の幅を持ってもよい。この光学素子は、例えば、約1.4から約1.6の範囲内の適切な屈折率を持つ生体適合性材料により形成されることが好ましい。
【0013】
他の側面において、IOLの前面と後面の中心領域との組み合わせにより提供される集光パワーは、前面と後面の周辺領域との組み合わせにより提供される個別の集光パワーよりも大きい。例として、そのような集光パワー間の差は約25%から約70%の範囲内となり、好ましくは約25%から約50%の範囲内となる。
【0014】
他の側面では、上記のIOLにおいて、前面と後面の中心領域の少なくとも何れか一方は、非球面性、例えば、約-10から約100の範囲内の円錐定数により特徴付けられる非球面性を示す。
【0015】
他の側面では、前面と後面の境界間にわたるエッジ面があってもよい。多くの実施形態では、エッジ面はテクスチャ化されて(例えば、エッジ面は約0.5ミクロンから約2ミクロンの範囲内で物理的な面の振幅を持つ面の凹凸を含み)、異常光視症を悪化させる2次像の形成を防ぐため、エッジ面に入射する光を散乱させる。この実施形態においてエッジ面は略平面であるが、他の実施形態では、エッジ面に入射した光線の内部反射による正の異常光視症のリスクをさらに低下させるよう、エッジ面は強い凸であることが好ましい。
【0016】
さらに他の側面において、前面または後面の中心領域の一部に配置された回折構造が、多焦点、例えば、近焦点と遠焦点を持つIOLを提供する。
【0017】
他の側面において、開示されるIOLは、光軸に対して配置される前側光学面と後側光学面とを有し、これらの面は、協働して、IOLが埋め込まれた患者の眼の網膜上に視野像を形成する主集光パワーを提供する。環状周辺面が後側光学面を囲む。この環状周辺面は、異常光視症を軽減するために、前側光学面との組み合わせにおいて、主集光パワーよりも小さい2次集光パワーでもって前側光学面に入射した光線の一部を網膜へ向けるよう適合される。幾つかの場合、2次集光パワーは、約25%から約70%の範囲内、好ましくは約25%から約50%の範囲内だけ主集光パワーと異なる。
【0018】
幾つかの実施形態では後面と環状周辺面が連続する光学面を形成し、他の実施形態では後面と環状周辺面は、それらと接続される分離面を有する。さらに、幾つかの実施形態では前面と後面は凸形状を有し、他の実施形態では、それらの面は、凹または平面といった他の形状を有する。
【0019】
さらに他の側面において、開示されるIOLは、光軸に対して配置される前側光学面と後側光学面とを有する。さらにこのIOLは、後側光学面を少なくとも部分的に囲む環状集光面を含み、この環状集光面は、IOLが患者の眼に埋め込まれると異常光視症を抑制するよう適合される。
【0020】
関連する側面において、上記のIOLでは、環状集光面は屈折及び/または回折集光パワーを提供する。例えば、環状集光面は、異常光視症を軽減し、好ましくは防ぐために、光を患者の網膜へ向ける回折構造を有する。
【0021】
他の側面において、本発明は前面と後面とを有するIOLを提供する。このIOLは、1以上の集光素子をさらに有し、その集光素子は後面を少なくとも部分的に囲み、異常光視症を抑制するため、IOLへ入射した光の一部を網膜へ向ける。例として、集光素子は複数の小型レンズを有する。
【0022】
他の側面において、患者の眼へ埋め込むための眼内レズ(IOL)を提供することを含む、視野矯正方法が開示される。このIOLは光軸に対して配置される前側光学面と後側光学面とを有し、その後側光学面は、異常光視症を抑制するよう適合された環状集光領域を含む。IOLは患者の眼に埋め込まれ、例えば、曇ってしまった固有の水晶体を置換する。
【0023】
以下の詳細な説明を、以下に簡単に述べられる関連する図面とともに参照することで、本発明をよりよく理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】本発明の一つの実施形態によるIOLの概略側面図である。
【図1B】図1AのIOLの概略斜視図である。
【図2】図1A及び1BのIOLの前面に入射した所定の光線がその面によって屈折されてIOLの後面の周辺領域に達することを概略的に示す図である。
【図3】前面の半径、後面の中心領域の半径及び後面の環状周辺領域の幅をラベル付けした図1A及び1BのIOLの他の概略側面図である。
【図4】本発明の一つの実施形態による、テクスチャ化されたエッジを含むIOLの概略側面図である。
【図5】異常光視症の軽減、好ましくは防止における、本発明によるIOLの後面の周辺領域の集光機能の概略を示す図である。
【図6A】仮想的な従来のIOLに対応する点像分布関数(PSF)の計算結果である。
【図6B】本発明の一つの実施形態による仮想的なIOLに対応する点像分布関数(PSF)の計算結果である。
【図7】従来のIOLと本発明の二つの実施形態による二つのIOLについての視角の関数として網膜上の放射照度を示す理論曲線である。
【図8】図1AのIOLの後面の断面スライスを概略的に示す図である。
【図9】本発明の一つの実施形態によるIOLのテクスチャ化されたエッジ面に入射した光の散乱を概略的に示す図である。
【図10A】本発明の他の実施形態による、前面と後面と、後面を囲む環状回折周辺領域を持つIOLの概略断面図である。
【図10B】図10AのIOLの後面及び環状回折領域の概略平面図である。
【図10C】本発明の他の実施形態による、後面の周辺領域にフレネルレンズを持つIOLの概略側面図である。
【図11A】本発明の他の実施形態によるIOLの概略側面図である。
【図11B】図11AのIOLが異常光視症を抑制することを図示する、患者の眼に埋め込まれた図11AのIOLの概略図である。
【図12】本発明の他の実施形態による多焦点IOLの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本願は、2007年4月30日に出願された、米国特許出願第11/741,841号に対して、米国特許法第119条の優先権を主張し、その内容全体がここに参照として組み込まれる。
【0026】
本発明は、一般に眼内レンズを提供する。この眼内レンズは、IOLにより形成される主像から離れた1以上の網膜の位置へ入射光の少なくとも一部を向けて、IOLユーザの視野内における周辺視覚アーティファクトを抑制する(軽減及び好ましくは防止する)周辺光方向面及び/または光学素子を有する。「眼内レンズ」という用語及びその略語「IOL」は、ここでは、固有の水晶体が除去されるか否かにかかわらず、患者の固有の水晶体を置換するか他の視力向上の何れかのために目の内部に埋め込まれるレンズを記述するために、同じ意味で用いられる。例えば、有水晶体レンズは、固有の水晶体の除去を伴わないで眼に埋め込まれるレンズの例である。
【0027】
例として、図1A及び図1Bを参照すると、本発明の一つの実施形態による眼内レンズ(IOL)10は、光軸OAについて配置された光学素子12を有し、その光学素子12は前面14と、後面16と、前面と後面間にわたるエッジ面18とから形成される。後面16は、環状周辺領域22にまで広がる中心領域20を含む。
【0028】
前面14及び後面16の中心領域20は、略凸形状を持ち(他の実施形態では、他の形状とすることも可能である)、協働して所望の集光パワー、例えば、約-20Dから約40Dの範囲内の集光パワー、好ましくは約-15Dから約10Dの範囲内の集光パワーを提供する。以下に述べるように、IOLが患者の眼に埋め込まれると、前面と後面の中心領域の組み合わせにより提供される光学パワーは、患者の網膜に視野の像を形成することを容易にする。
【0029】
しかし、この実施形態では、後面16の周辺領域22は、略凹形状を持ち、光軸OAに対して大きい角度で前面に入射した周辺光線、例えば、光軸OAに対して約50度よりも大きい角度(例えば、約50度から約80度の範囲内)で前面に入射した光線を受光するよう適合される。特に、図2に概略的に示されるように、そのような光線(例えば、光線24a及び24b)は、前面14により屈折され、レンズ本体を透過して周辺領域に入射する。以下に述べるように、周辺集光領域22は、これらの光線を、前面と後面の中心領域とによって形成される像から離れた網膜上の1以上の位置へ向けて、患者による周辺視覚アーティファクト(例えば、暗い影)の知覚を抑制する。そのために、多くの実施形態では、前面と後面の周辺領域との組み合わせにより提供される屈折パワー(ここでは、IOLの2次パワーとも呼ぶ)が、IOLの主屈折パワー(すなわち、前面と後面の中心領域とにより提供される屈折パワー)よりも小さい。例として、IOLの2次パワーは、その主パワーに対して約25%から約75%の範囲、好ましくは約25%から約50%の範囲だけ異なる。この実施形態では、IOLの2次パワーはその主パワーの約半分である。
【0030】
図3において概略的に示されるように、多くの実施形態では、前面14は光軸OAに対して約2mmから約4.5mmの範囲内の半径Rを持ち、後面16の中心領域20は約1.5mmから約4mmの範囲内の個別の半径R'を持つ。同様に、後面16の環状領域20は、約0.5mmから約1mmの範囲内の幅wを持つ。さらに、IOLを形成する材質の屈折率は、約1.4から約1.6の範囲内とすることができる。
【0031】
図4を参照すると、幾つかの実施形態では、前面14と後面16の境界間にわたるエッジ面18は、エッジ面18に入射した光を散乱させるようテクスチャ化される。例えば、エッジ面18は、可視光波長のオーダーの物理的な面振幅(例えば、その面の凹凸の振幅は約0.5ミクロンから約2ミクロンの範囲とすることができる)を持つ複数の面の凹凸26を含んでもよい。
【0032】
光学素子12は、軟性アクリル、シリコン、ヒドロゲル、または特定用途に対して必要な屈折率を持つ、他の生体適合性高分子材料といった生体適合性材料により形成されることが好ましい。例えば、幾つかの実施形態では、光学素子はアクリソフ(Acrysof)として知られる、2-フェニルエチルアクリレート(2-phenylethyl acrylate)と2-フェニルエチルメタクリレート(2-phenylethyl methacrylate)の架橋されたコポリマーで形成される。
【0033】
再度図1Aを参照すると、IOL10は複数の固定部材(触覚)28を含み、その固定部材は眼におけるIOLの配置を容易にする。光学素子10と同様に、触覚28も、ポリメチルメタクリレートといった適切な生体適合性材料で形成される。幾つかの実施形態では、触覚は光学素子と一体的に形成され、他の実施形態(マルチピースIOL)では、触覚は光学素子と分離して形成され、公知の方法により光学素子に取り付けられる。後者の場合、触角を形成する材料は光学素子を形成する材料と同じでも、異なっていてもよい。レンズの安定及び中心位置合わせを維持する、例えば、Cループ、Jループ及び面形状触覚設計を含む、様々な触覚の設計が公知であることは明らかであろう。本発明において、これらの触覚設計の何れかを採用することは容易である。
【0034】
さらに、この実施形態では、光学素子10は折り曲げ可能であり、光学素子10を患者の眼に挿入すること、例えば、曇ってしまった固有の水晶体を置換することを容易にする。
【0035】
使用の際、白内障手術中に、IOLを患者の眼に埋め込んで、曇ってしまった固有の水晶体を置換することができる。白内障手術中、例えば、ダイヤモンドブレードを用いて、角膜が切開されて眼に他の器具を挿入することを可能とする。続いて、前側水晶体嚢がその切開を介してアクセスされ、円形に切断されて眼から除去される。そしてプローブが角膜の切開を通じて挿入され、超音波を用いて水晶体を粉砕し、そのレンズの破片を吸引する。折り曲げられた状態でいる間、オリジナルの水晶体嚢にIOLを配置するためにインジェクタが用いられる。挿入後、IOLは展開され、その触覚が水晶体嚢内にIOLをしっかりと固定する。
【0036】
幾つかの場合、IOLは鉗子挿入を用いるよりもインジェクタシステムを利用することにより眼に埋め込まれる。例えば、小さな切開を通じて眼内に挿入するのに適したノズルを持つインジェクションハンドピースを用いることができる。IOLは、折り曲げられ、捻られ、あるいは他の圧縮された状態でノズルボアを通じて押し出され、水晶体嚢へ配送される。そのようなインジェクションシステムの使用は、小さな切開を通じてIOLを眼内に埋め込むことを可能とし、さらに専門医によるIOLのハンドリングを最小化という利点を有する。例として、米国特許第7,156,854号、「レンズ配送システム」がIOLインジェクタシステムを開示している。この特許文献は、参照としてここに組み込まれる。IOL10といった、本発明の様々な実施形態によるIOLは、その形状及びサイズがインジェクタシステムを用いて小さな切開を通じてIOLを眼に挿入することを可能にしつつ、異常光視症を抑制するよう設計されることが好ましい。
【0037】
一旦眼に埋め込まれると、IOL10は視野像を形成できる。例として、図5を参照すると、例示されている光線30のような、視野から発する複数の光線がIOLの前面の光学パワーとIOLの後面の中心領域の光学パワーとの組み合わせによりフォーカスされて、像I1(以下では主像と呼ぶ)を網膜上に形成する。例示のIOL10では、後面16の中心領域20は、前面よりも小さい半径の広がりを持ち、IOL内に周辺領域22を組み込むことに対応している。しかし、後面の中心領域のサイズが小さいことは、軸上光学像の品質を、幾らか低下させたとしても、実質的に低下させることはない。特に、角膜は光がIOLの前面に達する前に光を幾らか集光し、前面は光がIOLの後面に達する前に光をさらに集光する。結果として、所定の直径(例えば、6mm)を持つ角膜に入射した略軸上の光束の直径は後面において減少する。周辺領域自体はそのような光線が焦点を結ぶことに干渉しないので、良好な光学品質を持つ視野像を得ることができる。
【0038】
引き続き図1Aとともに図5を参照すると、今度は、IOLの後面の周辺領域22はIOLの光軸OAに対して相対的に大きい角度でIOLの前面に入射した光(例示の光線24など)を受光し、それらの光線を網膜上の像I1から離れた位置(網膜位置I2など)へ向け、異常光視症を抑制する。異常光視症を軽減する、好ましくは異常光視症を防止する周辺領域の集光機能は、光線38など、大きい視角(例えば、眼の視軸に対して約50度よりも大きい角度、例えば、約50度から約80度の範囲内の角度)で眼に入射する幾つかの周辺光線がIOLを透過しないことを考慮することでより良く理解されよう。これらの光線自体は角膜によってのみ屈折されるので、網膜の周辺部分に入射して2次像(概略的に図示される像I3など)を形成する。この2重像の効果は患者によっては影状の現象の知覚となって現れる。この効果を軽減するために、後面の周辺領域は、二つの像間の影領域へIOLに入射した光線の一部を向ける。特に、上記のように、IOLの前面の周辺に入射した光線の一部は前面によって屈折され、レンズ本体を透過して周辺領域に達し、周辺領域は同様にそれらの光線を屈折して網膜上の強度の小さい(影)領域へそれらの光線を向ける。
【0039】
更なる説明として、図6Aは、従来のIOLが埋め込まれた偽水晶体眼の周辺網膜上の点像分布関数(PSF)の計算結果を示す。このPSFは、大きな視角での離れた点光源からの光により形成される像に対応する。例示のPSFは二つの成分を含む。一つは角膜とIOLとの組み合わせによる集光パワー(例えば、約60Dのトータルパワー)により焦点を結ぶ光に対応する中心成分Aであり、もう一つはIOLを透過せず、角膜の集光パワー(例えば、約44Dのパワー)によってのみ焦点を結ぶ光に対応する周辺成分Bである。この例では、側頭側から眼に入射した光に対応する周辺成分のみが示されているが、これは一般に、鼻、眉、頬が他の方向から来る光による影の形成を防ぐためである。これらの二つの成分の存在は中間の影領域を生じ、それが大きな物体を周辺視において観察するときに影として知覚されることがある。その影は周辺にあり、例えばこの場合約70度の視角にあり、代表的には網膜が入射光に対して垂直となる眼球赤道の領域において知覚される。影は、一般的に点光源よりもむしろ大きな物体(例えば、代表的には明るい条件下における小さな瞳で)について知覚される。言い換えれば、影は物体の異なる点に対応するPSFの加算により生じる。さらに、長く、薄い三日月形状のPSFは、IOLユーザによっては三日月影と述べる、縦の影の視認性を強調する傾向にある。
【0040】
これに対して、図6Bは、上記のIOL10といった本発明の実施形態によるIOLが埋め込まれた偽水晶体眼の網膜上のPSFの計算結果を示す。従来のIOLについて図6Aに示されたPSFと同様に、このPSFも中心成分Aと周辺成分Bを含む。しかし、このPSFは、さらに中間成分Cを含む。中間成分Cは、中心成分と周辺成分間のギャップに位置する。この中間PSF成分は、IOLの前面とIOLの後面の周辺領域との組み合わせによる集光機能によって生成される。この中間PSF成分は軸上結像に対して実質的に何の効果も持たない反面、影の知覚を軽減し、好ましくは影の知覚を解消する。
【0041】
暗い影の知覚を軽減する、本発明のIOLの周辺領域の集光機能の更なる説明として、図7は、仮想の従来のIOLと本発明の二つの実施形態による二つの例示的な仮想のIOL間の視角に対する網膜の放射強度の理論比較を提供する。従来のIOLに対応する曲線(実線の三角形により示される)は、約75度の視角で窪みを示し、これが影の知覚をもたらし得る。これに対して、本発明のIOLに対応する曲線(ベタの球により示された曲線は略球面の周辺環状領域を持つIOLに対応し、中抜きの四角により示された曲線はトーリック周辺環状領域を持つIOLに対応する)は、影の深さ(すなわち、約75度の視角での窪みの深さ)を約50%減少させていることを示している。この減少は、患者による影の知覚を軽減させることができ、多くの場合、影の知覚を解消できる。実際、暗い影を生じる条件においても、影の知覚を解消させる少量の減少が推測される。
【0042】
IOL10の環状周辺領域は様々に異なる面プロファイルを持つことができる。例えば、図8は、光軸OAを含む面におけるIOLの後面の断面スライスAを概略的に示す。幾つかの実施形態では、周辺領域の断面プロファイルを特徴付ける曲線Bは円弧を形成している。あるいは、幾つかの実施形態では、曲線Bは、光軸OAからの距離が増加するにつれて円形から偏差が増加することを示してもよい。他の実施形態では、曲線Aは略放物線であってもよく、あるいは他の適切な形状をとってもよい。
【0043】
図4及び図9を参照すると、上記のように、幾つかの実施形態ではエッジ面18はテクスチャ化される。例えば、エッジ面18は複数の面の凹凸26を含む。テクスチャ化された面は、前面14により屈折され、その面に入射した光線(光線11など)を散乱させる。テクスチャ化された面によるそのような光の散乱は、エッジ面に入射する光の一部が内部全反射をして後面16により実質的に屈折されて網膜上に2次像を形成する可能性を減少させ、好ましくはその可能性をなくす。そのような2次像は患者による暗い影の知覚を生じさせる。この現象は代表的には正の異常光視症と呼ばれる。したがって、エッジ面のテクスチャ化はそのような正の異常光視症を防ぐので好ましい。さらに、幾つかの実施態様では、エッジ面は強い凸である。
【0044】
本発明の幾つかの実施形態は、異常光視症を軽減し、好ましくは異常光視症を解消するために、IOLに入射した光線の一部を影領域へ送る回折後側周辺領域を含むIOLを提供する。例として、図10A及び図10Bは、前面56と後面58とを含むそのようなIOL54の概略を示す。前面56と後面58は、協働して所望の光学パワー、例えば、約-15Dから約40Dの範囲内の光学パワーを提供する。ここでは、この光学パワーをIOL主パワーと呼ぶ。回折構造60は後面58を囲む環状周辺領域を形成する。さらに、エッジ面61(好ましくはテクスチャ化される)は前面を周辺領域の外側境界と接続する。図示されていないが、IOL54は、眼にIOLを配置することを容易にする複数の固定部材(触覚)を含んでもよい。
【0045】
この実施形態において、回折構造60は複数の回折ゾーン62から形成されており、各回折ゾーンはステップにより隣接するゾーンと分離されている。この実施形態では、ステップの高さは均一であり(他の実施形態において、ステップ高さを不均一とすることも可能である)、次式により表される。
【数1】

λは設計波長(例えば、550nm)を示し、
aは様々な次数に関する回折効率を制御するために調節可能なパラメータを示し、例えば、aは1となるように選択される。
n2は光学素子の屈折率を示す。
n1はレンズが置かれた媒体の屈折率を示す。
【0046】
この実施形態では、回折周辺領域は略平面のベースプロファイルを持っているが、他の実施形態ではベースプロファイルは曲線であってもよい。使用の際、回折構造60は、前面に入射した周辺光線の一部、例えば、光軸OAに対して約50度から約80度の範囲内の角度で前面に入射した光線を受光する。回折構造は、異常光視症を軽減するため、その光線の少なくとも一部をIOLの主パワーによって形成された像から離れた網膜の領域へ(例えば、IOLを透過せずに眼に入射する周辺光により形成される2次像とIOLによって形成される像間の影領域へ)向ける。そのために、幾つかの場合、回折構造は、前面とともにIOLの主パワーよりも約25%から約75%の範囲、好ましくは約25%から約50%の範囲だけ小さい光学パワーを提供する。
【0047】
図10Cを参照すると、他の実施形態によるIOL11は、前面13と、中心部17から周辺部19まで広がる後面15とを含む。フレネルレンズ21が後面の周辺部分に配置される。このフレネルレンズは、フレネルレンズに入射した光を、前面と後面の中心部により形成される像と、IOLを透過しない眼に入射した周辺光線により形成される2次周辺像との間の網膜の影領域へ向けるよう適合される。いくつかの実施例では、前面とフレネルレンズの組み合わせにより提供される光学パワーは、前面と後面の中心部とにより提供される光学パワーより小さく、例えば、約25%から約75%の範囲だけ小さい。
【0048】
幾つかの場合、主像(IOLの前面と後面の中心領域により形成される像)の品質は、影の知覚に影響する。そのため、幾つかの実施形態では、前面及び/または後面の中心部は、非球面度及び/またはトーリック度を示す。IOLにおける非球面及び/またはトーリック面の使用に関する追加的な教示は、ここに述べられる様々な実施形態のように、2005年12月1日に出願された米国特許出願第11/000,728号及びその公開公報第2006/0116763号、「コントラスト向上非球面眼内レンズ」において見ることができる。この特許文献は、その全体が参照としてここに組み込まれる。
【0049】
幾つかの実施形態では、IOLの後面の周辺領域は、複数の小型レンズ(例えば、互いに隣接して配置された集光面が形成される)を含み、各小型レンズはそこに入射した光を影領域部分へ向ける。例として、図11Aは、そのような実施形態によるIOL63を示し、IOL63は前側光学面67と後側光学面69とを有する光学素子65を含む。後面を囲む環状領域71は、曲面で形成された複数の小型レンズ73を含む。前面の半径方向の大きさと、後面の半径方向の大きさ及び環状領域との幅は、先の実施形態に関連して上記に提供されたものと同様とすることができる。図11Bに概略的に示されているように、眼に埋め込まれると、前面と後面の組み合わせは、視野から発した複数の光線(例示の光線75など)に焦点を結ばせることにより眼の網膜上に像I1を形成する。周辺光線の一部(例示の光線77など)はIOLを透過せず、2次像I2を形成する。しかし、小型レンズ73は、そこに入射した光線(例示の光線79など)の向きを、前面による屈折を介して像I1と像I2との間の網膜位置へ変え、患者の周辺視野内の物体による影の知覚を抑制する。そのために、IOLの前面と各小型レンズを組み合わせた光学パワーは、前面と後面とを組み合わせた光学パワーよりも小さいことが好ましく、例えば、約25%から約75%の範囲だけ小さい。
【0050】
幾つかの実施形態では、回折構造がIOLの前面またはIOLの後面の中心領域に配置され、多焦点IOL、例えば、遠焦点光学パワーだけでなく近焦点光学パワーも持つIOLを提供する。例えば、図12は、そのような実施形態によるIOL42の概略を示す。IOL42は、前面46と、中心領域48aと周辺領域48bとにより特徴付けられる後面48とを持つ光学素子44を含む。周辺領域は、上記の手法により、異常光視症を軽減し、好ましくは異常光視症を防ぐよう適合される。回折構造50は前面44に配置される。回折構造50は、光軸OAから増加する距離の関数として高さが減少することを示す複数のステップ(他の実施形態ではステップの高さを均一としてもよい)により互いに分離された複数の回折ゾーン52を含む。言い換えれば、この実施形態では、回折ゾーンの境界におけるステップ高さは「アポタイズ」されて、絞りサイズの関数として近焦点及び遠焦点に回折される光エネルギーの割合を変える(例えば、絞りサイズが大きくなるにつれて、光エネルギーのより多くが遠焦点へ回折される)。例として、各ゾーンの境界におけるステップ高さは、次式に従って定義される。
【数2】

λは設計波長(例えば、550nm)を示し、
aは様々な次数に関する回折効率を制御するために調節可能なパラメータを示し、例えば、aは1.9となるように選択される。
n2は光学素子の屈折率を示す。
n1はレンズが置かれた媒体の屈折率を示す。
fapodizeは、レンズの前面と光軸の交点からの半径方向に増加する距離の関数として減少する値を持つスケーリング関数を表す。例として、スケーリング関数fapodizeは次式により定義される。
【数3】

riはi番目のゾーンの半径方向の距離を示し、
routは最後の二重焦点回折ゾーンの外側半径を示す。また、他のアポダイゼーションスケーリング関数を採用することも可能であり、そのような関数は、同時係属中の特許出願第11/000770号、“アポダイズ非球面回折レンズ”、2004年12月1日出願、に開示されている。その文献は、ここに参照として組み込まれる。
【0051】
この例示の実施形態では、回折ゾーンは環状領域で形成され、ゾーン境界の半径方向位置(ri)は次式に従って定義される。
【数4】

iはゾーン番号を示し(i=0は中心ゾーンを示す)、
riはi番目のゾーンの半径方向の位置を示し、
λは設計波長を示し、
fは追加パワーを示す。
【0052】
多くの実施形態では、IOL42は、約-15Dから約40Dの範囲内の遠焦点光学パワーと約1Dから約4Dの範囲内、好ましくは約2Dから約3Dの範囲内の近焦点光学パワーとを備える。アポタイズド回折レンズに関する更なる教示は、米国特許第5,688,142号、「回折多焦点眼科レンズ」に見つけることができる。この文献は参照としてここに組み込まれる。
【0053】
本発明の範囲から外れることなく、上記の実施形態に様々な修正を行うことができることが理解できるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内レンズ(IOL)であって、
光軸に対して配置された前側光学面と後側光学面とを有し、該後側光学面は周辺領域にまで広がる中心領域を有し、
前記前側光学面と前記中心領域は協働して視野像を網膜上に形成するよう適合され、前記周辺領域は前記前側光学面に入射した光線の一部を前記視野像から離れた少なくとも一つの網膜の位置へ向けるよう適合されて、周辺視野における視覚アーティファクトの知覚を抑制する、
ことを特徴とするIOL。
【請求項2】
前記周辺領域は、前記光軸に対して約50度から約80度の範囲内の角度で前記前側光学面に入射した光線の少なくとも一部を受光するよう適合される請求項1に記載のIOL。
【請求項3】
前記前側光学面と前記後側光学面の前記中心領域との組み合わせにより提供される集光パワーは、前記前側光学面と前記後側光学面の前記周辺領域との組み合わせにより提供される別個の集光パワーよりも大きい、請求項1に記載のIOL。
【請求項4】
前記集光パワー間の差は、約25%から約75%の範囲内である、請求項3に記載のIOL。
【請求項5】
前記前側光学面は、前記光軸に対して約2mmから約4.5mmの範囲内の半径を示す、請求項1に記載のIOL。
【請求項6】
前記後側光学面の前記中心領域は、前記光軸に対して約1.5mmから約4mmの範囲内の半径を示す、請求項5に記載のIOL。
【請求項7】
前記周辺領域は、約0.5mmから約1mmの範囲内の幅を持つ、請求項6に記載のIOL。
【請求項8】
前記前側光学面または前記後側光学面の前記中心領域のうちの少なくとも一方は、約-10から約-100の範囲内の円錐定数により特徴付けられる非球面性を示す、請求項6に記載のIOL。
【請求項9】
前記前側光学面と前記後側光学面の境界間にわたるエッジ面をさらに有する、請求項1に記載のIOL。
【請求項10】
前記エッジ面は、当該エッジ面に入射した光を拡散させるようテクスチャ化される、請求項1に記載のIOL。
【請求項11】
前記テクスチャ化されたエッジ面は、約0.5ミクロンから約2ミクロンの範囲内の物理的面振幅を持つ複数の面の凹凸を有する、請求項10に記載のIOL。
【請求項12】
前記後側光学面の前記周辺領域に配置されたフレネルレンズをさらに有する、請求項1に記載のIOL。
【請求項13】
前記後側光学面の前記周辺領域に配置された回折構造をさらに有する、請求項1に記載のIOL。
【請求項14】
眼内レンズ(IOL)であって、
前面と後面とを有し、該後面は周辺領域にまで広がる中心領域を有し、
前記前面と前記後面の前記中心領域は協働して複数の集光パワーを提供し、前記後面の前記周辺領域は、当該周辺領域に入射した光線の少なくとも一部を、前記前面と前記後面の前記中心領域により形成された像と前記IOLを透過せずに前記IOLへ入射した光線により形成される2次周辺像との間の網膜の位置へ向けるよう適合されて、周辺視覚アーティファクトの知覚を抑制する、
ことを特徴とするIOL。
【請求項15】
眼内レンズ(IOL)であって、
a)光軸に対して配置された前側光学面及び後側光学面と、
b)前記後側光学面を少なくとも部分的に囲む環状周辺面とを有し、
前記前側光学面と前記後側光学面は協働して該IOLが埋め込まれた患者の眼の網膜上に視野像を生成する主集光パワーを提供し、
前記環状周辺面は、前記前側光学面との組み合わせにおいて、前記前側光学面に入射した光線の一部を、前記主集光パワーよりも小さい2次集光パワーを用いて網膜へ向けるよう適合されて、周辺視野における視覚アーティファクトの知覚を抑制する、
ことを特徴とするIOL。
【請求項16】
前記環状周辺面は、前記光軸に対して約50度から約80度の範囲内の角度で前記前側光学面に入射した光線の少なくとも一部を受光するよう適合される、請求項15に記載のIOL。
【請求項17】
前記前側光学面と前記後側光学面は略凸形状を有する、請求項15に記載のIOL。
【請求項18】
前記環状周辺面は略凹形状を有する、請求項17に記載のIOL。
【請求項19】
前記2次集光パワーは、前記主集光パワーと約25%から約75%の範囲内だけ異なる、請求項15に記載のIOL。
【請求項20】
前記2次集光パワーは回折集光パワーを有する、請求項15に記載のIOL。
【請求項21】
前記環状周辺面と前記後側光学面は連続した光学面を形成する、請求項15に記載のIOL。
【請求項22】
眼内レンズ(IOL)であって、
a)光軸に対して配置された前側光学面及び後側光学面と、
b)前記後側光学面を囲む環状集光面とを有し、
前記環状集光面が、前記IOLが患者の眼に埋め込まれたときに周辺視覚アーティファクトの知覚を抑制するよう適合されることを特徴とするIOL。
【請求項23】
前記環状集光面は、当該環状集光面に入射した光を、前記前側光学面と前記後側光学面が協働することによって形成される視野の像から離れた1以上の網膜上の位置へ向ける、請求項22に記載のIOL。
【請求項24】
前記環状集光面は屈折集光パワーを提供する、請求項22に記載のIOL。
【請求項25】
前記環状集光面は回折集光パワーを提供する、請求項22に記載のIOL。
【請求項26】
前記環状集光面は前記回折集光パワーを提供する回折構造を有する、請求項25に記載のIOL。
【請求項27】
前記環状集光面はフレネルレンズを有する、請求項22に記載のIOL。
【請求項28】
眼内レンズ(IOL)であって、
a)内面と後面とを有する光学素子と、
b)前記後面を少なくとも部分的に囲み、網膜へ光を向けて周辺視野における視覚アーティファクトの知覚を抑制する1以上の集光素子と、
を有することを特徴とするIOL。
【請求項29】
前記集光素子は小型レンズを有する、請求項28に記載のIOL。
【請求項30】
視野矯正方法であって、
a)患者の眼に埋め込む眼内レンズ(IOL)を提供し、該IOLは光軸に対して配置された前側光学面と後側光学面とを有し、前記後側光学面は異常光視症を抑制するよう適合された環状周辺集光領域を有するステップと、
b)前記IOLを患者の眼に埋め込むステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
前記IOLは、前記光学面のうちの少なくとも一つに配置された回折構造を有する、請求項30に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−525885(P2010−525885A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506578(P2010−506578)
【出願日】平成20年4月29日(2008.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/061903
【国際公開番号】WO2008/137423
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(501449322)アルコン,インコーポレイティド (140)
【Fターム(参考)】