負圧ポンプ
【課題】消音室又は消音機能を備える真空ポンプであっても小型化が可能なポンプ構造を提供することを課題とする。
【解決手段】ボディ部30の上面に負圧を発生するポンプ部80が取付けられる。このポンプ部80は、カバー体50に設けられた収容室51に囲われる。カバー体50の壁52の一部は厚くなっており、そこにポンプ部80からの排気の排気音を減衰させる消音室53が形成される。
【効果】消音室を負圧ポンプに内蔵することができ、消音室又は消音機能を備える真空ポンプであっても小型化が可能なポンプ構造にすることができる。
【解決手段】ボディ部30の上面に負圧を発生するポンプ部80が取付けられる。このポンプ部80は、カバー体50に設けられた収容室51に囲われる。カバー体50の壁52の一部は厚くなっており、そこにポンプ部80からの排気の排気音を減衰させる消音室53が形成される。
【効果】消音室を負圧ポンプに内蔵することができ、消音室又は消音機能を備える真空ポンプであっても小型化が可能なポンプ構造にすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負圧ポンプ、例えば車両に備えられる負圧ブースタの負圧室内を負圧にする負圧ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
負圧ポンプの一種として、ベーン付きロータにより負圧を発生させる真空ポンプが提案されている(例えば、特許文献1(第1図)参照。)。
【0003】
この特許文献1の技術を図面に基づいて以下に説明する。
図19は従来の真空ポンプ200の断面図であり、ベーン201を回転させると、吸気口202から空気がハウジング203に吸入され、ベーン201で加圧された空気が吐出口204を介して消音室205に吐出される。消音室205は十分な大きさの空間を有し、この大きな空間へ吐出口204から圧縮空気が放出され膨張する。空気は急に膨張することで音響エネルギーを消耗する。消音された空気は消音パイプ206を介して排出される。
【0004】
消音室205が設けられる消音器207は、ガスケット208を介してハウジング203に接続され、ボルトで固定される。
消音室205は、ハウジング203と同等の幅とされ、十分に大型である。そのため、真空ポンプ200は大型になる。
近年、車載部品の小型、軽量化が求められる中、消音室又は消音機能を備える真空ポンプであっても小型化が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭59−13685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、消音室又は消音機能を備える真空ポンプであっても小型化が可能なポンプ構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、基盤としてのボディ部と、このボディ部の一方の側面に取付けられるポンプ部と、このポンプ部を囲う収容室を有し前記ボディ部の一方の側面に取付けられるカバー体とからなり、更に、前記ポンプ部はロータと、このロータを囲うケースと、このケースの開口を塞ぐ蓋体とからなる負圧ポンプにおいて、前記ボディ部と前記カバー体の少なくとも一方に、排気音を減衰させる消音室が、前記収容室とは別に形成され、前記ポンプ部からの排気は、前記収容室、この収容室と前記消音室とを結ぶ連通路、前記消音室の順で流され、排気管を介して外へ排出され、その間に前記消音室で排気音が減衰されることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明では、消音室は、ボディ部とカバー体の間に設けられ、連通路は、ボディ部に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、カバー体の内部に内壁を設け、内壁とカバー体の外壁との空間を消音室として形成し、連通路は、カバー体の内壁に貫通形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、蓋体に、ポンプ部内から収容室内へ排気を流入させる排気出口を設け、この排気出口からパイプ状の導出管を収容室内へ延ばし、この導出管から出た排気を収容室内で急膨張させるようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、排気管に、消音室へ延びる延長管部を設け、この延長管部に、微細孔を多数設け、これらの微細孔により排気を共鳴させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、ボディ部とカバー体の少なくとも一方に、排気音を減衰させる消音室が、収容室とは別に形成され、ポンプ部からの排気は、収容室、この収容室と消音室とを結ぶ連通路、消音室の順で流され、排気管を介して外へ排出される。
ボディ部とカバー体の少なくとも一方に消音室を形成したので、消音室を負圧ポンプに内蔵することができ、消音室又は消音機能を備える真空ポンプであっても小型化が可能なポンプ構造にすることができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、消音室は、ボディ部とカバー体の間に設けられ、連通路は、ボディ部に設けられている。
消音室は別に部品を用いることなくボディ部とカバー体の間に設け、連通路はボディ部を穴加工するだけで形成されるので、部品点数を増やすことなく消音効果を得られる消音室を設けることができ、部品コストの低減を図ることができる。
【0014】
請求項3に係る発明では、カバー体の内部に内壁を設け、内壁とカバー体の外壁との空間を消音室として形成し、連通路は、カバー体の内壁に貫通形成した。カバー体に消音室を形成し、カバー体の内壁だけに連通路を貫通形成するので、カバー体だけの加工で済み、よりコストの低減を図ることができる。
【0015】
請求項4に係る発明では、蓋体に、ポンプ部内から収容室内へ排気を流入させる排気出口を設け、この排気出口からパイプ状の導出管を収容室内へ延ばした。
蓋体にパイプ状の導出管を設けたので、この導出管から出た排気を収容室内で急膨張させることができ、収容室でも消音効果を得ることができる。
【0016】
請求項5に係る発明では、排気管に、消音室へ延びる延長管部を設け、この延長管部に、微細孔を多数設けた。
延長管部に微細孔を多数設けたので、これらの微細孔により排気を共鳴させることができ、より消音効果を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る負圧ポンプの配置例を示す図である。
【図2】負圧ポンプの斜視図である。
【図3】負圧ポンプの部分断面図である。
【図4】負圧ポンプの分解斜視図である。
【図5】ポンプ部の分解斜視図である。
【図6】負圧ポンプの正面図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】図7の8−8線断面図である。
【図9】図7の9−9線断面図である。
【図10】図8の10−10線断面図である。
【図11】図10の11−11線断面図である。
【図12】接続管からポンプ部までの吸気の流れを説明する図である。
【図13】ポンプ部から排気管までの排気の流れを説明する図である。
【図14】結露により発生した水の排出を説明する図である。
【図15】呼吸穴への空気の流れを説明する図である。
【図16】図10の別態様を説明する図である。
【図17】図7の別態様を説明する図である。
【図18】図11の別態様を説明する図である。
【図19】従来の負圧ポンプの原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0019】
先ず、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の負圧ポンプ10は、車両に備えられる負圧ブースタ11の負圧室12内を、負圧にする真空ポンプの一種である。
負圧ポンプ10を作動させると、負圧管13、負圧室12内及び変圧室14内が負圧になっている。この状態でブレーキペダル16を踏むと負圧室12と変圧室14とが遮断され、変圧室14に空気が導入され、負圧室12と変圧室14との差圧により、ダイヤフラム17がリターンばね18を圧縮させる側へ変形し、プッシュロッド19を押し出す。結果、小さな踏力で大きな制動力が得られる。
【0020】
負圧ポンプ10の内部構造は後述の図7で説明する。図2では負圧ポンプ10の外観を説明する。
図2に示すように、基盤としてのボディ部30と、このボディ部30の上面にカバー体50が取付けられ、ボディ部30の下面にモータ70取付けられる。ボディ部30の幅狭の面31に吸気用の接続管21がビス22により取付けられ、ボディ部30から複数(この例では3個)の腕部32が延ばされ、腕部32にブッシュ33が嵌められる。このブッシュ33は車両に取付ける際、ラバーマウントの役割を果たす。
【0021】
次に負圧ポンプ10の内部について説明する。
図3に示すように、ボディ部30の上面に負圧を発生するポンプ部80が取付けられる。このポンプ部80は、カバー体50に設けられた収容室51に囲われる。カバー体50の内部に内壁63を設け、内壁63とカバー体の外壁52との空間を消音室53として形成する。
【0022】
次に負圧ポンプ10の構造を詳しく述べる。
図4に示すように、負圧ポンプ10は、基盤としてのボディ部30と、ボディ部30の上面34(本発明における一方の側面34)に設けられている複数(この例では4個)の雌ねじ穴35に長いボルト81をねじ込むことで取付けられるポンプ部80と、吸入ポート(詳細後述)に接続される接続管21と、ポンプ部80を覆うと共に、ボディ部30の上面34(本発明における一方の側面34)に設けられている複数(この例では4個)の雌ねじ穴36にビス54をねじ込むことで取付けられるカバー体50と、このボディ部30の下面37(他方の側面37)に複数(この例では2本)のビス71で取付けられ、モータ軸72がインボリュートスプライン軸であるモータ70とからなる。
【0023】
モータ70の側部に、モータ70へ給電する中間コネクタ(図7、符号73)が設けられる。
ボディ部30は、モータ70をマウントするため及び車両に接続するための基盤であるため、厚くて剛性に富む、例えば鋳物などの金属製とすることが望まれる。ボディ部30の中心部にモータ軸72が挿入される軸穴38が設けられる。
【0024】
ボディ部30の一部は、カバー体50の消音室53と一体となる消音室53が形成される。ボディ部30のうちポンプ部80が取付けられる側面を、上面34とする。この上面34の外周及び消音室53の外周に沿ってシール材41が嵌められる。
【0025】
また、上面34に、軸穴38の上方から下方にかけて、軸穴38を中心とする半円形の吸気溝42が設けられており、この吸気溝42を囲うようにOリングなどのシール材43が上面34に嵌められる。
【0026】
カバー体50は、有底円筒の一部に傾斜部55が設けられた形状を呈し、ボディ部30の上面34に対向する底部56と、この底部56から上面34に向けて延びる筒部57と、この筒部57の端部に鍔状に形成されるフランジ部58とからなる。
【0027】
図5はポンプ部80の分解斜視図であり、ポンプ部80は、非円断面のロータ室82及び複数(この例では4個)のボルト穴83が設けられるケース84と、複数のベーン溝85が放射状に設けられ、中心にインボリュートスプライン穴86が設けられ、非円断面のロータ室82に回転自在に収納されるロータ87と、複数のベーン溝85に各々移動自在に収納されるベーン88と、複数(この例では4個)のボルト穴91及び上下2個の吸気孔92、93を有する吸気プレート94と、複数(この例では4個)のボルト穴96及び上下2個の排気出口97、98を有する蓋体101と、ボルト穴96、83、91に通される複数(この例では4本)の長いボルト81とからなる。
【0028】
図6は負圧ポンプ10の正面図であり、負圧ポンプ10は、ボディ部30の上面34に設けられ負圧を生成するポンプ部(図4、符号80)と、ボディ部30の上面34に設けられポンプ部80を囲うカバー体50と、ボディ部30の下面37に設けられポンプ部80を駆動するモータ70とからなる、縦型の負圧ポンプである。詳細は後述するが、接続管21から吸引された空気は、負圧ポンプ10内部を通り、ボディ部30から下方に延びる排気管111から排出される。
【0029】
負圧ポンプの内部構造を図7〜図8に基づいて、さらに詳細に説明する。
図7は、図4及び図5に基づいて組立てられた負圧ポンプ10の断面図である。
図7に示すように、軸穴38に転がり軸受102が設けられており、この軸受102にモータ軸72が支持される。モータ軸72の先端部は、ロータ87のインボリュートスプライン穴86に嵌り、先端が蓋体101の近傍まで達する。
【0030】
カバー体50のフランジ部58はシール材41の全周に接しており、このシール材41によってカバー体50内の気密性が確保される。
一方、シール材43の全周に吸気プレート94の表面が接しており、このシール材43と吸気プレート94で吸気溝42の開口が塞がれ、吸気通路103が形成される。結果、接続管21、吸入ポート24、吸気通路103及び2個の吸気孔(図5、符号92、93)からなる吸気経路が形成される。
【0031】
他方、ポンプ部80の排気出口97、98からの排気は、収容室51に放出される。収容室51とポンプ部80との間の空間は、排気経路104の一部を形成する。この排気経路104は図8にも現れる。
【0032】
図8に示すように、排気出口97、98からの排気を通す排気経路104は、収容室51のうちカバー体50とポンプ部80との間の空間と、収容室51と消音室53とを結ぶ連通路105と、消音室53と、消音室53の底59に設けられる凹部61と、この凹部61に接続される排気管62とからなる。連通路105はボディ部30に設けられる。
【0033】
次にボディ部30の一方の側面34について説明する。
図9に示すように、ボディ部30の一方の側面34には、排気経路104から離れた位置に、モータ軸72近傍からモータ(図7、符号70)へ空気を供給する呼吸穴121が設けられる。呼吸穴121は、モータ70へ空気を供給してモータ70内が真空になることを防止するために設けられる。
【0034】
また、一方の側面34に、排気経路104から呼吸穴121へ空気を導く連絡経路122が設けられる。連絡経路122は、底面部123と、この底面部123より一段高い障壁124と、この障壁124より一段高く吸気プレート(図7、符号94)に密着する上面部125とからなる。さらに、連絡経路122は、ポンプ部(図7、符号80)側から見て、蛇行した形状を呈する。
【0035】
次に排気経路104を連通路105の軸に沿って切った断面図に基づいて説明する。
図10に示すように、ボディ部30は、収容室51を形成する上面34に下方に窪む収容室側凹部126が設けられる。この収容室側凹部126の最も低い位置に連通路105が設けられる。連通路105は、収容室側凹部126と消音室53とを結び、図左から右へ下方に傾斜される。なお、連通路105は、ボディ部30の幅狭の面31に穴加工することで形成され、開口部は鋼球127で塞がれる。
【0036】
次に消音室53について説明する。
図11に示すように、消音室53に、連通路105が設けられる。消音室53は、カバー体50と、ボディ部30に設けられる消音室の底59とに囲まれる空間である。消音室の底59に、下方へ窪む凹部61が設けられ、この凹部61の排気管62が接続される。消音部の底59は連通路105の連通部から図右に向かって下方に傾斜される。即ち、消音部の底59の最も低い位置に凹部が61が設けられ、凹部61から下方に延びる排気管62が設けられる。
【0037】
次に、負圧ポンプ10の消音作用を説明する。
図12に示すように、モータ(図7、符号70)が作動すると、ポンプ部80の吸引作用により、外気が接続管21内に吸入される。この吸気は、吸入ポート24に吸入される(矢印(1))。
【0038】
吸入ポート24に入った吸気は、吸気孔92からポンプ部80に入り、加圧されて排気出口97から排出される(矢印(2))、又は、吸気通路103を通って吸気孔93からポンプ部80に入り、加圧されて排気出口98から排出される(矢印(3))。上下の排気出口97、98から排出された排気は、収容室51に流入する。
【0039】
図13に示すように、ポンプ部80で圧縮された空気は、収容室51に吐出される。この排気は、連通路105へ導かれ、連通路105を通って消音室53に放出され急激に膨張する(矢印(4)、(5)、(6))。空気は急に膨張することで音響エネルギーを消耗する。消音された排気は、排気管62から下方の大気中に放出される(矢印(7))。
【0040】
次に負圧ポンプ10の排水作用を説明する。
図14(a)に示すように、負圧ポンプ10内に結露により生じた水は、上面34に落ちる。上面34に落ちた水は、収容室側凹部126から連通路105を通って消音室53に流れる(矢印(8))。(b)に示すように、連通路105を通り抜けた水は、消音室の底59を流れ(矢印(9))、凹部61に集められ、排気管62から下方に排出される(矢印(10))。
【0041】
次に負圧ポンプ10の摩耗粉の除去作用を説明する。
図15に示すように、ポンプ部(図5、符号80)には回転体(ベーン88やロータ87)が内蔵され、この回転体が壁に摺接するため、僅かであるが摩耗粉が発生する。この摩耗粉が排気に混じって排気経路104に流れ、さらに連絡通路122に流入する。摩耗粉は、障壁124及び上面部125により、連絡通路122の奥に流れることが阻まれる(矢印(11))。連絡通路122の入口近傍の障壁124を乗り越えた摩耗粉は、連絡経路122が蛇行しているので、途中の障壁124及び上面部125により、奥に流入することが抑制される(矢印(12)、(13))。摩耗粉が除去された空気は、呼吸穴121からモータ軸72近傍に流れ(矢印(14))、モータ(図7、符号70)内に供給される。排気経路104からモータの呼吸穴121へ連通する間に、連絡経路122が設けられ、呼吸穴121が連絡経路122内で最も高い位置である。呼吸穴121が連絡経路122内で最も高い位置にあるので、モータ70内への水の浸入を防ぐことができる。
【0042】
次に図10の別態様について説明する。なお、図10と共通する部分については、符号を流用して説明を省略する。
図16に示すように、カバー体50の内部に内壁63を設け、内壁63とカバー体50の外壁52との空間を消音室53として形成する。連通路131は、カバー体50の内壁63に貫通形成される。カバー体50に連通路131を設けることで、ボディ部30の加工を少なくし、ボディ部30の加工費の低減を図ることができる。
【0043】
次に図7の別態様について説明する。なお、図7と共通する部分については、符号を流用して説明を省略する。
図17に示すように、蓋体101にポンプ部80内から収容室51へ排気を流入させる排気出口97、98が設けられる。これらの排気出口97、98からパイプ状の導出管132、133が収容室51内へ延ばされる。ポンプ部80で圧縮された空気は、導出管132、133から排出され、収容室51で急膨張されることで音響エネルギーを消耗する。結果、収容室51でも消音効果の向上を図ることができる。
【0044】
次に図11の別態様について説明する。なお、図11と共通する部位については、符号を流用して説明を省略する。
図18に示すように、ボディ部30にて、排気管62に消音室53に延びる延長管部134が設けられる。この延長管部134に複数の微細孔135が設けられる。微細孔135により排気を共鳴させ、消音効果を向上させることができる。
【0045】
以上のように作用する負圧ポンプによれば、次に述べる効果が得られる。
図13に示すように、ボディ部30とカバー体50の少なくとも一方に、排気音を減衰させる消音室53が、収容室51とは別に形成され、ポンプ部80からの排気は、収容室51、この収容室51と消音室53とを結ぶ連通路105、消音室53の順で流され、排気管62を介して外へ排出される。
この構成によれば、ボディ部30とカバー体50の少なくとも一方に消音室53を形成したので、消音室53を負圧ポンプ10に内蔵することができ、消音室53又は消音機能を備える真空ポンプ10であっても小型化が可能なポンプ構造にすることができる。
【0046】
図10に示すように消音室は、ボディ部30とカバー体50の間に設けられ、連通路105は、ボディ部30に設けられている。
この構成によれば、消音室53は別に部品を用いることなくボディ部30とカバー体50の間に設け、連通路105はボディ部50を穴加工するだけで形成されるので、部品点数を増やすことなく消音効果を得られる消音室53を設けることができ、部品コストの低減を図ることができる。
【0047】
図16に示すように、カバー体50の内部に内壁63を設け、内壁63とカバー体50の外壁52との空間を消音室53として形成し、連通路131は、カバー体の内壁63に貫通形成した。カバー体50に消音室53を形成し、カバー体50の内壁63だけに連通路131を貫通形成するので、カバー体50だけの加工で済み、よりコストの低減を図ることができる。
【0048】
図17に示すように、蓋体101に、ポンプ部80内から収容室51内へ排気を流入させる排気出口97、98を設け、この排気出口97、98からパイプ状の導出管132、133を収容室51内へ延ばした。
この構成により、蓋体101にパイプ状の導出管132、133を設けたので、この導出管132、133から出た排気を収容室51内で急膨張させることができ、収容室51でも消音効果を得ることができる。
【0049】
図18に示すように、排気管62に、消音室53へ延びる延長管部134を設け、この延長管部134に、微細孔135を多数設けた。
この構成により、延長管部134に微細孔135を多数設けたので、これらの微細孔135により排気を共鳴させることができ、より消音効果を高くすることができる。
【0050】
尚、実施の形態では負圧ポンプとしてベーンポンプを説明したが、負圧ポンプはベーンポンプに限られるものではない。
さらには、本発明の負圧ポンプは、車両に備えられる負圧ブースタの負圧室内を、負圧にするための車両用の負圧ポンプに好適であるが、用途を格別に限定するものではなく、一般機械用、汎用機械用、一般設備用に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の負圧ポンプは、車両に備えられる負圧ブースタの負圧室内を、負圧にするための車両用の負圧ポンプに好適である。
【符号の説明】
【0052】
10…負圧ポンプ、30…ボディ部、34…一方の側面(上面)、50…カバー体、51…収容室、52…外壁、53…消音室、62…排気管、63…内壁、80…ポンプ部、84…ケース、87…ロータ、97、98…排気出口、101…蓋体、105、131…連通路、132、133…導出管、134…延長管部、135…微細孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、負圧ポンプ、例えば車両に備えられる負圧ブースタの負圧室内を負圧にする負圧ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
負圧ポンプの一種として、ベーン付きロータにより負圧を発生させる真空ポンプが提案されている(例えば、特許文献1(第1図)参照。)。
【0003】
この特許文献1の技術を図面に基づいて以下に説明する。
図19は従来の真空ポンプ200の断面図であり、ベーン201を回転させると、吸気口202から空気がハウジング203に吸入され、ベーン201で加圧された空気が吐出口204を介して消音室205に吐出される。消音室205は十分な大きさの空間を有し、この大きな空間へ吐出口204から圧縮空気が放出され膨張する。空気は急に膨張することで音響エネルギーを消耗する。消音された空気は消音パイプ206を介して排出される。
【0004】
消音室205が設けられる消音器207は、ガスケット208を介してハウジング203に接続され、ボルトで固定される。
消音室205は、ハウジング203と同等の幅とされ、十分に大型である。そのため、真空ポンプ200は大型になる。
近年、車載部品の小型、軽量化が求められる中、消音室又は消音機能を備える真空ポンプであっても小型化が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭59−13685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、消音室又は消音機能を備える真空ポンプであっても小型化が可能なポンプ構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、基盤としてのボディ部と、このボディ部の一方の側面に取付けられるポンプ部と、このポンプ部を囲う収容室を有し前記ボディ部の一方の側面に取付けられるカバー体とからなり、更に、前記ポンプ部はロータと、このロータを囲うケースと、このケースの開口を塞ぐ蓋体とからなる負圧ポンプにおいて、前記ボディ部と前記カバー体の少なくとも一方に、排気音を減衰させる消音室が、前記収容室とは別に形成され、前記ポンプ部からの排気は、前記収容室、この収容室と前記消音室とを結ぶ連通路、前記消音室の順で流され、排気管を介して外へ排出され、その間に前記消音室で排気音が減衰されることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明では、消音室は、ボディ部とカバー体の間に設けられ、連通路は、ボディ部に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、カバー体の内部に内壁を設け、内壁とカバー体の外壁との空間を消音室として形成し、連通路は、カバー体の内壁に貫通形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、蓋体に、ポンプ部内から収容室内へ排気を流入させる排気出口を設け、この排気出口からパイプ状の導出管を収容室内へ延ばし、この導出管から出た排気を収容室内で急膨張させるようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、排気管に、消音室へ延びる延長管部を設け、この延長管部に、微細孔を多数設け、これらの微細孔により排気を共鳴させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、ボディ部とカバー体の少なくとも一方に、排気音を減衰させる消音室が、収容室とは別に形成され、ポンプ部からの排気は、収容室、この収容室と消音室とを結ぶ連通路、消音室の順で流され、排気管を介して外へ排出される。
ボディ部とカバー体の少なくとも一方に消音室を形成したので、消音室を負圧ポンプに内蔵することができ、消音室又は消音機能を備える真空ポンプであっても小型化が可能なポンプ構造にすることができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、消音室は、ボディ部とカバー体の間に設けられ、連通路は、ボディ部に設けられている。
消音室は別に部品を用いることなくボディ部とカバー体の間に設け、連通路はボディ部を穴加工するだけで形成されるので、部品点数を増やすことなく消音効果を得られる消音室を設けることができ、部品コストの低減を図ることができる。
【0014】
請求項3に係る発明では、カバー体の内部に内壁を設け、内壁とカバー体の外壁との空間を消音室として形成し、連通路は、カバー体の内壁に貫通形成した。カバー体に消音室を形成し、カバー体の内壁だけに連通路を貫通形成するので、カバー体だけの加工で済み、よりコストの低減を図ることができる。
【0015】
請求項4に係る発明では、蓋体に、ポンプ部内から収容室内へ排気を流入させる排気出口を設け、この排気出口からパイプ状の導出管を収容室内へ延ばした。
蓋体にパイプ状の導出管を設けたので、この導出管から出た排気を収容室内で急膨張させることができ、収容室でも消音効果を得ることができる。
【0016】
請求項5に係る発明では、排気管に、消音室へ延びる延長管部を設け、この延長管部に、微細孔を多数設けた。
延長管部に微細孔を多数設けたので、これらの微細孔により排気を共鳴させることができ、より消音効果を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る負圧ポンプの配置例を示す図である。
【図2】負圧ポンプの斜視図である。
【図3】負圧ポンプの部分断面図である。
【図4】負圧ポンプの分解斜視図である。
【図5】ポンプ部の分解斜視図である。
【図6】負圧ポンプの正面図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】図7の8−8線断面図である。
【図9】図7の9−9線断面図である。
【図10】図8の10−10線断面図である。
【図11】図10の11−11線断面図である。
【図12】接続管からポンプ部までの吸気の流れを説明する図である。
【図13】ポンプ部から排気管までの排気の流れを説明する図である。
【図14】結露により発生した水の排出を説明する図である。
【図15】呼吸穴への空気の流れを説明する図である。
【図16】図10の別態様を説明する図である。
【図17】図7の別態様を説明する図である。
【図18】図11の別態様を説明する図である。
【図19】従来の負圧ポンプの原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0019】
先ず、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の負圧ポンプ10は、車両に備えられる負圧ブースタ11の負圧室12内を、負圧にする真空ポンプの一種である。
負圧ポンプ10を作動させると、負圧管13、負圧室12内及び変圧室14内が負圧になっている。この状態でブレーキペダル16を踏むと負圧室12と変圧室14とが遮断され、変圧室14に空気が導入され、負圧室12と変圧室14との差圧により、ダイヤフラム17がリターンばね18を圧縮させる側へ変形し、プッシュロッド19を押し出す。結果、小さな踏力で大きな制動力が得られる。
【0020】
負圧ポンプ10の内部構造は後述の図7で説明する。図2では負圧ポンプ10の外観を説明する。
図2に示すように、基盤としてのボディ部30と、このボディ部30の上面にカバー体50が取付けられ、ボディ部30の下面にモータ70取付けられる。ボディ部30の幅狭の面31に吸気用の接続管21がビス22により取付けられ、ボディ部30から複数(この例では3個)の腕部32が延ばされ、腕部32にブッシュ33が嵌められる。このブッシュ33は車両に取付ける際、ラバーマウントの役割を果たす。
【0021】
次に負圧ポンプ10の内部について説明する。
図3に示すように、ボディ部30の上面に負圧を発生するポンプ部80が取付けられる。このポンプ部80は、カバー体50に設けられた収容室51に囲われる。カバー体50の内部に内壁63を設け、内壁63とカバー体の外壁52との空間を消音室53として形成する。
【0022】
次に負圧ポンプ10の構造を詳しく述べる。
図4に示すように、負圧ポンプ10は、基盤としてのボディ部30と、ボディ部30の上面34(本発明における一方の側面34)に設けられている複数(この例では4個)の雌ねじ穴35に長いボルト81をねじ込むことで取付けられるポンプ部80と、吸入ポート(詳細後述)に接続される接続管21と、ポンプ部80を覆うと共に、ボディ部30の上面34(本発明における一方の側面34)に設けられている複数(この例では4個)の雌ねじ穴36にビス54をねじ込むことで取付けられるカバー体50と、このボディ部30の下面37(他方の側面37)に複数(この例では2本)のビス71で取付けられ、モータ軸72がインボリュートスプライン軸であるモータ70とからなる。
【0023】
モータ70の側部に、モータ70へ給電する中間コネクタ(図7、符号73)が設けられる。
ボディ部30は、モータ70をマウントするため及び車両に接続するための基盤であるため、厚くて剛性に富む、例えば鋳物などの金属製とすることが望まれる。ボディ部30の中心部にモータ軸72が挿入される軸穴38が設けられる。
【0024】
ボディ部30の一部は、カバー体50の消音室53と一体となる消音室53が形成される。ボディ部30のうちポンプ部80が取付けられる側面を、上面34とする。この上面34の外周及び消音室53の外周に沿ってシール材41が嵌められる。
【0025】
また、上面34に、軸穴38の上方から下方にかけて、軸穴38を中心とする半円形の吸気溝42が設けられており、この吸気溝42を囲うようにOリングなどのシール材43が上面34に嵌められる。
【0026】
カバー体50は、有底円筒の一部に傾斜部55が設けられた形状を呈し、ボディ部30の上面34に対向する底部56と、この底部56から上面34に向けて延びる筒部57と、この筒部57の端部に鍔状に形成されるフランジ部58とからなる。
【0027】
図5はポンプ部80の分解斜視図であり、ポンプ部80は、非円断面のロータ室82及び複数(この例では4個)のボルト穴83が設けられるケース84と、複数のベーン溝85が放射状に設けられ、中心にインボリュートスプライン穴86が設けられ、非円断面のロータ室82に回転自在に収納されるロータ87と、複数のベーン溝85に各々移動自在に収納されるベーン88と、複数(この例では4個)のボルト穴91及び上下2個の吸気孔92、93を有する吸気プレート94と、複数(この例では4個)のボルト穴96及び上下2個の排気出口97、98を有する蓋体101と、ボルト穴96、83、91に通される複数(この例では4本)の長いボルト81とからなる。
【0028】
図6は負圧ポンプ10の正面図であり、負圧ポンプ10は、ボディ部30の上面34に設けられ負圧を生成するポンプ部(図4、符号80)と、ボディ部30の上面34に設けられポンプ部80を囲うカバー体50と、ボディ部30の下面37に設けられポンプ部80を駆動するモータ70とからなる、縦型の負圧ポンプである。詳細は後述するが、接続管21から吸引された空気は、負圧ポンプ10内部を通り、ボディ部30から下方に延びる排気管111から排出される。
【0029】
負圧ポンプの内部構造を図7〜図8に基づいて、さらに詳細に説明する。
図7は、図4及び図5に基づいて組立てられた負圧ポンプ10の断面図である。
図7に示すように、軸穴38に転がり軸受102が設けられており、この軸受102にモータ軸72が支持される。モータ軸72の先端部は、ロータ87のインボリュートスプライン穴86に嵌り、先端が蓋体101の近傍まで達する。
【0030】
カバー体50のフランジ部58はシール材41の全周に接しており、このシール材41によってカバー体50内の気密性が確保される。
一方、シール材43の全周に吸気プレート94の表面が接しており、このシール材43と吸気プレート94で吸気溝42の開口が塞がれ、吸気通路103が形成される。結果、接続管21、吸入ポート24、吸気通路103及び2個の吸気孔(図5、符号92、93)からなる吸気経路が形成される。
【0031】
他方、ポンプ部80の排気出口97、98からの排気は、収容室51に放出される。収容室51とポンプ部80との間の空間は、排気経路104の一部を形成する。この排気経路104は図8にも現れる。
【0032】
図8に示すように、排気出口97、98からの排気を通す排気経路104は、収容室51のうちカバー体50とポンプ部80との間の空間と、収容室51と消音室53とを結ぶ連通路105と、消音室53と、消音室53の底59に設けられる凹部61と、この凹部61に接続される排気管62とからなる。連通路105はボディ部30に設けられる。
【0033】
次にボディ部30の一方の側面34について説明する。
図9に示すように、ボディ部30の一方の側面34には、排気経路104から離れた位置に、モータ軸72近傍からモータ(図7、符号70)へ空気を供給する呼吸穴121が設けられる。呼吸穴121は、モータ70へ空気を供給してモータ70内が真空になることを防止するために設けられる。
【0034】
また、一方の側面34に、排気経路104から呼吸穴121へ空気を導く連絡経路122が設けられる。連絡経路122は、底面部123と、この底面部123より一段高い障壁124と、この障壁124より一段高く吸気プレート(図7、符号94)に密着する上面部125とからなる。さらに、連絡経路122は、ポンプ部(図7、符号80)側から見て、蛇行した形状を呈する。
【0035】
次に排気経路104を連通路105の軸に沿って切った断面図に基づいて説明する。
図10に示すように、ボディ部30は、収容室51を形成する上面34に下方に窪む収容室側凹部126が設けられる。この収容室側凹部126の最も低い位置に連通路105が設けられる。連通路105は、収容室側凹部126と消音室53とを結び、図左から右へ下方に傾斜される。なお、連通路105は、ボディ部30の幅狭の面31に穴加工することで形成され、開口部は鋼球127で塞がれる。
【0036】
次に消音室53について説明する。
図11に示すように、消音室53に、連通路105が設けられる。消音室53は、カバー体50と、ボディ部30に設けられる消音室の底59とに囲まれる空間である。消音室の底59に、下方へ窪む凹部61が設けられ、この凹部61の排気管62が接続される。消音部の底59は連通路105の連通部から図右に向かって下方に傾斜される。即ち、消音部の底59の最も低い位置に凹部が61が設けられ、凹部61から下方に延びる排気管62が設けられる。
【0037】
次に、負圧ポンプ10の消音作用を説明する。
図12に示すように、モータ(図7、符号70)が作動すると、ポンプ部80の吸引作用により、外気が接続管21内に吸入される。この吸気は、吸入ポート24に吸入される(矢印(1))。
【0038】
吸入ポート24に入った吸気は、吸気孔92からポンプ部80に入り、加圧されて排気出口97から排出される(矢印(2))、又は、吸気通路103を通って吸気孔93からポンプ部80に入り、加圧されて排気出口98から排出される(矢印(3))。上下の排気出口97、98から排出された排気は、収容室51に流入する。
【0039】
図13に示すように、ポンプ部80で圧縮された空気は、収容室51に吐出される。この排気は、連通路105へ導かれ、連通路105を通って消音室53に放出され急激に膨張する(矢印(4)、(5)、(6))。空気は急に膨張することで音響エネルギーを消耗する。消音された排気は、排気管62から下方の大気中に放出される(矢印(7))。
【0040】
次に負圧ポンプ10の排水作用を説明する。
図14(a)に示すように、負圧ポンプ10内に結露により生じた水は、上面34に落ちる。上面34に落ちた水は、収容室側凹部126から連通路105を通って消音室53に流れる(矢印(8))。(b)に示すように、連通路105を通り抜けた水は、消音室の底59を流れ(矢印(9))、凹部61に集められ、排気管62から下方に排出される(矢印(10))。
【0041】
次に負圧ポンプ10の摩耗粉の除去作用を説明する。
図15に示すように、ポンプ部(図5、符号80)には回転体(ベーン88やロータ87)が内蔵され、この回転体が壁に摺接するため、僅かであるが摩耗粉が発生する。この摩耗粉が排気に混じって排気経路104に流れ、さらに連絡通路122に流入する。摩耗粉は、障壁124及び上面部125により、連絡通路122の奥に流れることが阻まれる(矢印(11))。連絡通路122の入口近傍の障壁124を乗り越えた摩耗粉は、連絡経路122が蛇行しているので、途中の障壁124及び上面部125により、奥に流入することが抑制される(矢印(12)、(13))。摩耗粉が除去された空気は、呼吸穴121からモータ軸72近傍に流れ(矢印(14))、モータ(図7、符号70)内に供給される。排気経路104からモータの呼吸穴121へ連通する間に、連絡経路122が設けられ、呼吸穴121が連絡経路122内で最も高い位置である。呼吸穴121が連絡経路122内で最も高い位置にあるので、モータ70内への水の浸入を防ぐことができる。
【0042】
次に図10の別態様について説明する。なお、図10と共通する部分については、符号を流用して説明を省略する。
図16に示すように、カバー体50の内部に内壁63を設け、内壁63とカバー体50の外壁52との空間を消音室53として形成する。連通路131は、カバー体50の内壁63に貫通形成される。カバー体50に連通路131を設けることで、ボディ部30の加工を少なくし、ボディ部30の加工費の低減を図ることができる。
【0043】
次に図7の別態様について説明する。なお、図7と共通する部分については、符号を流用して説明を省略する。
図17に示すように、蓋体101にポンプ部80内から収容室51へ排気を流入させる排気出口97、98が設けられる。これらの排気出口97、98からパイプ状の導出管132、133が収容室51内へ延ばされる。ポンプ部80で圧縮された空気は、導出管132、133から排出され、収容室51で急膨張されることで音響エネルギーを消耗する。結果、収容室51でも消音効果の向上を図ることができる。
【0044】
次に図11の別態様について説明する。なお、図11と共通する部位については、符号を流用して説明を省略する。
図18に示すように、ボディ部30にて、排気管62に消音室53に延びる延長管部134が設けられる。この延長管部134に複数の微細孔135が設けられる。微細孔135により排気を共鳴させ、消音効果を向上させることができる。
【0045】
以上のように作用する負圧ポンプによれば、次に述べる効果が得られる。
図13に示すように、ボディ部30とカバー体50の少なくとも一方に、排気音を減衰させる消音室53が、収容室51とは別に形成され、ポンプ部80からの排気は、収容室51、この収容室51と消音室53とを結ぶ連通路105、消音室53の順で流され、排気管62を介して外へ排出される。
この構成によれば、ボディ部30とカバー体50の少なくとも一方に消音室53を形成したので、消音室53を負圧ポンプ10に内蔵することができ、消音室53又は消音機能を備える真空ポンプ10であっても小型化が可能なポンプ構造にすることができる。
【0046】
図10に示すように消音室は、ボディ部30とカバー体50の間に設けられ、連通路105は、ボディ部30に設けられている。
この構成によれば、消音室53は別に部品を用いることなくボディ部30とカバー体50の間に設け、連通路105はボディ部50を穴加工するだけで形成されるので、部品点数を増やすことなく消音効果を得られる消音室53を設けることができ、部品コストの低減を図ることができる。
【0047】
図16に示すように、カバー体50の内部に内壁63を設け、内壁63とカバー体50の外壁52との空間を消音室53として形成し、連通路131は、カバー体の内壁63に貫通形成した。カバー体50に消音室53を形成し、カバー体50の内壁63だけに連通路131を貫通形成するので、カバー体50だけの加工で済み、よりコストの低減を図ることができる。
【0048】
図17に示すように、蓋体101に、ポンプ部80内から収容室51内へ排気を流入させる排気出口97、98を設け、この排気出口97、98からパイプ状の導出管132、133を収容室51内へ延ばした。
この構成により、蓋体101にパイプ状の導出管132、133を設けたので、この導出管132、133から出た排気を収容室51内で急膨張させることができ、収容室51でも消音効果を得ることができる。
【0049】
図18に示すように、排気管62に、消音室53へ延びる延長管部134を設け、この延長管部134に、微細孔135を多数設けた。
この構成により、延長管部134に微細孔135を多数設けたので、これらの微細孔135により排気を共鳴させることができ、より消音効果を高くすることができる。
【0050】
尚、実施の形態では負圧ポンプとしてベーンポンプを説明したが、負圧ポンプはベーンポンプに限られるものではない。
さらには、本発明の負圧ポンプは、車両に備えられる負圧ブースタの負圧室内を、負圧にするための車両用の負圧ポンプに好適であるが、用途を格別に限定するものではなく、一般機械用、汎用機械用、一般設備用に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の負圧ポンプは、車両に備えられる負圧ブースタの負圧室内を、負圧にするための車両用の負圧ポンプに好適である。
【符号の説明】
【0052】
10…負圧ポンプ、30…ボディ部、34…一方の側面(上面)、50…カバー体、51…収容室、52…外壁、53…消音室、62…排気管、63…内壁、80…ポンプ部、84…ケース、87…ロータ、97、98…排気出口、101…蓋体、105、131…連通路、132、133…導出管、134…延長管部、135…微細孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基盤としてのボディ部と、このボディ部の一方の側面に取付けられるポンプ部と、このポンプ部を囲う収容室を有し前記ボディ部の一方の側面に取付けられるカバー体とからなり、更に、前記ポンプ部はロータと、このロータを囲うケースと、このケースの開口を塞ぐ蓋体とからなる負圧ポンプにおいて、
前記ボディ部と前記カバー体の少なくとも一方に、排気音を減衰させる消音室が、前記収容室とは別に形成され、
前記ポンプ部からの排気は、前記収容室、この収容室と前記消音室とを結ぶ連通路、前記消音室の順で流され、排気管を介して外へ排出され、その間に前記消音室で排気音が減衰されることを特徴とする負圧ポンプ。
【請求項2】
請求項1記載の負圧ポンプにおいて、
前記消音室は、前記ボディ部と前記カバー体の間に設けられ、前記連通路は、前記ボディ部に設けられていることを特徴とする負圧ポンプ。
【請求項3】
請求項1記載の負圧ポンプにおいて、
前記カバー体の内部に内壁を設け、前記内壁と前記カバー体の外壁との空間を前記消音室として形成し、前記連通路は、前記カバー体の内壁に貫通形成したことを特徴とする負圧ポンプ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1記載の負圧ポンプにおいて、
前記蓋体に、前記ポンプ部内から前記収容室内へ排気を流入させる排気出口を設け、この排気出口からパイプ状の導出管を前記収容室内へ延ばし、この導出管から出た前記排気を前記収容室内で急膨張させるようにしたことを特徴とする負圧ポンプ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1記載の負圧ポンプにおいて、
前記排気管に、前記消音室へ延びる延長管部を設け、この延長管部に、微細孔を多数設け、これらの微細孔により排気を共鳴させるようにしたことを特徴とする負圧ポンプ。
【請求項1】
基盤としてのボディ部と、このボディ部の一方の側面に取付けられるポンプ部と、このポンプ部を囲う収容室を有し前記ボディ部の一方の側面に取付けられるカバー体とからなり、更に、前記ポンプ部はロータと、このロータを囲うケースと、このケースの開口を塞ぐ蓋体とからなる負圧ポンプにおいて、
前記ボディ部と前記カバー体の少なくとも一方に、排気音を減衰させる消音室が、前記収容室とは別に形成され、
前記ポンプ部からの排気は、前記収容室、この収容室と前記消音室とを結ぶ連通路、前記消音室の順で流され、排気管を介して外へ排出され、その間に前記消音室で排気音が減衰されることを特徴とする負圧ポンプ。
【請求項2】
請求項1記載の負圧ポンプにおいて、
前記消音室は、前記ボディ部と前記カバー体の間に設けられ、前記連通路は、前記ボディ部に設けられていることを特徴とする負圧ポンプ。
【請求項3】
請求項1記載の負圧ポンプにおいて、
前記カバー体の内部に内壁を設け、前記内壁と前記カバー体の外壁との空間を前記消音室として形成し、前記連通路は、前記カバー体の内壁に貫通形成したことを特徴とする負圧ポンプ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1記載の負圧ポンプにおいて、
前記蓋体に、前記ポンプ部内から前記収容室内へ排気を流入させる排気出口を設け、この排気出口からパイプ状の導出管を前記収容室内へ延ばし、この導出管から出た前記排気を前記収容室内で急膨張させるようにしたことを特徴とする負圧ポンプ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1記載の負圧ポンプにおいて、
前記排気管に、前記消音室へ延びる延長管部を設け、この延長管部に、微細孔を多数設け、これらの微細孔により排気を共鳴させるようにしたことを特徴とする負圧ポンプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−113232(P2013−113232A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261072(P2011−261072)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]