説明

負荷モニタリング用ネームプレートシステム

【課題】 モニタリングされた生体情報を個人のベースライン状態と比較して、その逸脱度合を元に、個人の業務負荷や健康状態を可視化し、コミュニケーションを円滑化するための負荷モニタリング用ネームプレートシステムを提供する。
【解決手段】 負荷モニタリング用ネームプレートシステムにおいて、利用者1によって着用される負荷モニタリング用ネームプレート11と、この負荷モニタリング用ネームプレート11に対して前記利用者の生体情報を提供する生体情報検出装置21とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネームプレート型センサーに生体情報のモニタリング機能を搭載し、個人の業務負荷や健康状態を可視化する負荷モニタリング用ネームプレートシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アクティグラフと呼ばれる、腕時計型小型高感度加速度センサー及びロガーが開発されている(下記非特許文献1参照)。
このアクティグラフは、2〜3Hzで0.01G/Rad/sec以上の動きを確実に検出できる。用途としては、職場環境・生活環境のストレス、高齢化による心肺機能の低下がおよぼす日中の眠気や睡眠の増加・夜間睡眠の質、及び量変化・シフトワーク・集中行動観察などに使用されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】サニタ商事株式会社,「アクティグラフとは」,(http://www.sanita.co.jp/actigraph/index.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したアクティグラフは、利用者の健康状態を把握するには便利であるが、対人との関係におけるコミュニケーションに利用することには及んでいない。
本発明は、上記状況に鑑みて、モニタリングされた生体情報を個人のベースライン状態と比較して、その逸脱度合を元に個人の業務負荷や健康状態を可視化し、コミュニケーションを円滑化するための負荷モニタリング用ネームプレートシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕負荷モニタリング用ネームプレートシステムにおいて、利用者によって着用される負荷モニタリング用ネームプレートと、この負荷モニタリング用ネームプレートに対して前記利用者の生体情報を提供する生体情報検出装置とを具備することを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載の負荷モニタリング用ネームプレートシステムにおいて、前記生体情報検出装置からの前記利用者の生体情報を前記負荷モニタリング用ネームプレートへ無線通信により伝送する無線送受信装置を具備することを特徴とする。
【0006】
〔3〕上記〔1〕記載の負荷モニタリング用ネームプレートシステムにおいて、前記生体情報検出装置からの前記利用者の生体情報を前記負荷モニタリング用ネームプレートへ有線により伝送する有線送受信装置を具備することを特徴とする。
〔4〕上記〔1〕記載の負荷モニタリング用ネームプレートシステムにおいて、前記負荷モニタリング用ネームプレートは、中央処理装置と、電源部と、利用者名の表示部と、利用者の生体情報のベースライン状態のモニタリング部と、データ処理部と、負荷モニタリング表示部とを具備することを特徴とする。
【0007】
〔5〕上記〔4〕記載の負荷モニタリング用ネームプレートシステムにおいて、前記負荷モニタリング表示部は、前記利用者のベースライン状態からの逸脱度合に応じて段階的に異なる色彩を表示することを特徴とする。
〔6〕上記〔4〕記載の負荷モニタリング用ネームプレートシステムにおいて、前記段階的に異なる色彩が黄色−橙色−ピンク色−赤色であることを特徴とする。
【0008】
〔7〕上記〔4〕記載の負荷モニタリング用ネームプレートシステムにおいて、前記負荷モニタリング表示部には、前記利用者の他者との会話に基づく負荷状態を表示することを特徴とする。
〔8〕上記〔4〕記載の負荷モニタリング用ネームプレートシステムにおいて、前記負荷モニタリング表示部には、前記利用者自身の健康状態を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、個人の負荷状態及び健康状態が第三者からも簡易に把握可能となり、円滑なコミュニケーションを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施例を示す負荷モニタリング用ネームプレートを着用した状態を示す図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す負荷モニタリング用ネームプレートシステムの構成図である。
【図3】本発明の第2実施例を示す負荷モニタリング用ネームプレートを着用した状態を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例を示す負荷モニタリング用ネームプレートシステムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
負荷モニタリング用ネームプレートシステムは、利用者によって着用される負荷モニタリング用ネームプレートと、この負荷モニタリング用ネームプレートに対して前記利用者の生体情報を提供する生体情報検出装置とを具備する。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施例を示す負荷モニタリング用ネームプレートを着用した状態を示す図、図2はその負荷モニタリング用ネームプレートシステムの構成図である。
図1に示すように、この第1実施例による負荷モニタリング用ネームプレートシステムは、利用者1が前面に装着する負荷モニタリング用ネームプレート11と、この負荷モニタリング用ネームプレート11に接続される利用者1の生体情報検出装置21からなる。
【0013】
負荷モニタリング用ネームプレート11は、ピンや紐などの保持具2によって利用者1の胸などに装着される。また、この負荷モニタリング用ネームプレート11は、中央処理装置(CPU)12、電源部13、利用者名の表示部14、利用者の生体情報のベースライン状態の記憶部15、データ処理部16、負荷モニタリング表示部17、無線受信装置18、無線受信用アンテナ18Aを備えている。
【0014】
また、生体情報検出装置21は、例えば、利用者1の手首に装着されるような形態であって、心拍数などのセンシング部22、無線送信装置23、無線送信用アンテナ23Aを備え、センシング部22で感知した利用者1の生体情報を無線で負荷モニタリング用ネームプレート11に送信するようにしている。
なお、生体情報検出装置21のセンシング部22としては、従来例として示したアクティグラフなどを利用することもできる。
【0015】
また、胸などに装着する負荷モニタリング用ネームプレート11と手首などに装着する生体情報検出装置21間のデータの通信は無線送受信により行うようにしたので、それぞれが独立して装着が容易であるとともに、装着による拘束性が緩和される利点がある。
そこで、例えば、職場において、利用者1と上司が対面するコンタクトが行われるような場面で、利用者1が上司から仕事に関する指令を与えられた場合、利用者1は、その指令内容が自分の得意とする内容であれば快く受け入れるので、脈流や心拍数は平常であり、すなわち利用者1の生体情報は、ベースライン状態の記憶部15に記録されたベースライン状態と比較して逸脱が見受けられず、負荷モニタリング表示部17には格別の表示の変化は見い出されない。一方、上司からの指令内容が利用者1の苦手とする内容のものである場合には、脈流や心拍数が高くなり、利用者1の生体情報はベースライン状態からの逸脱が見られるため、負荷モニタリング表示部17には明らかな負荷の上昇が表示される。
【0016】
なお、利用者1の生体情報のベースライン状態からの逸脱度合を、例えば、異なる色で表示するように構成し、ベースライン状態からの逸脱が見られない平常状態は黄色、逸脱度合が大きくなるにしたがって橙色、ピンク色、赤色で表示するように設定することができる。
図3は本発明の第2実施例を示す負荷モニタリング用ネームブレートを着用した状態を示す図、図4はその負荷モニタリング用ネームプレートシステムの構成図である。
【0017】
負荷モニタリング用ネームプレート41は、ピンや紐などの保持具32によって利用者31の胸などに装着される。また、この負荷モニタリング用ネームプレート41は、中央処理装置(CPU)42、電源部43、利用者名の表示部44、利用者の生体情報のベースライン状態の記憶部45、データ処理部46、負荷モニタリング表示部47、利用者31の生体情報検出装置51に接続されるインターフェース部48からなる。
【0018】
また、生体情報検出装置51は、例えば、利用者31の手首に装着されるような形態であって、心拍数などのセンシング部52を備えており、そのセンシング部52で感知された情報は有線61を介してインターフェース部48から負荷モニタリング用ネームプレート41へ取り込まれる。
この第2実施例では、負荷モニタリング用ネームプレート41と生体情報検出装置51間のデータの伝送に有線61を用いるようにしたので、第1実施例のような無線送受信による場合に比べてコストの低減を図ることができるとともに、データを確実に伝送することができる。
【0019】
この第2実施例においても、利用者31の生体情報のベースライン状態からの逸脱をモニタリングし、その逸脱度合の大きさを色などによって負荷モニタリング表示部47に表示する構成は第1実施例と同様である。
したがって、上記第1及び第2実施例によれば、上司からの指令内容に対する利用者1,31の反応を、負荷モニタリング用ネームプレート11,41を観察することによって判断することができ、上司と利用者1,31とのコミュニケーションの一助とすることができる。
【0020】
上記した例では、対人との関係において、会話による相手の反応を見る場合を例に挙げたが、会話によるものでない利用者1,31自身の健康状態を予め負荷モニタリング表示部17,47に表示しておくことも可能である。これにより、用事を頼もうとするする側は、その利用者1,31に依頼する前に利用者1,31の健康状態(ベースライン状態からの逸脱度合)を観察することにより、用事を頼むか否かを判断することができる。例えば、負荷モニタリング表示部17,47に表示されたベースライン状態からの逸脱度合から利用者1,31の健康状態が疲労状態にあると見受けられる場合には、過酷な労働は頼まないように対応することができる。
【0021】
このように、生体情報のベースライン状態のモニタリング部を利用して個人の健康状態をも表示することができるので、その表示内容を確認することにより第三者による個人とのコミュニケーションの一助とすることができる。
したがって、本発明によれば、個人の負荷状態及び健康状態が第三者からも簡易に把握可能となり、円滑なコミュニケーションを支援することができる。
【0022】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の負荷モニタリング用ネームプレートシステムは、個人の業務負荷や健康状態を可視化し、コミュニケーションを円滑化するための負荷モニタリング用ネームプレートシステムとして利用可能である。
【符号の説明】
【0024】
1,31 利用者
2,32 保持具
11,41 負荷モニタリング用ネームプレート
12,42 中央処理装置(CPU)
13,43 電源部
14,44 利用者名の表示部
15,45 利用者の生体情報のベースライン状態の記憶部
16,46 データ処理部
17,47 負荷モニタリング表示部
18 無線受信装置
18A 無線受信用アンテナ
21,51 生体情報検出装置
22,52 心拍数などのセンシング部
23 無線送信装置
23A 無線送信用アンテナ
48 インターフェース部
61 有線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者によって着用される負荷モニタリング用ネームプレートと、該負荷モニタリング用ネームプレートに対して前記利用者の生体情報を提供する生体情報検出装置とを具備することを特徴とする負荷モニタリング用ネームプレートシステム。
【請求項2】
請求項1記載の負荷モニタリング用ネームプレートシステムにおいて、前記生体情報検出装置からの前記利用者の生体情報を前記負荷モニタリング用ネームプレートへ無線通信により伝送する無線送受信装置を具備することを特徴とする負荷モニタリング用ネームプレートシステム。
【請求項3】
請求項1記載の負荷モニタリング用ネームプレートシステムにおいて、前記生体情報検出装置からの前記利用者の生体情報を前記負荷モニタリング用ネームプレートへ有線により伝送する有線送受信装置を具備することを特徴とする負荷モニタリング用ネームプレートシステム。
【請求項4】
請求項1記載の負荷モニタリング用ネームプレートシステムにおいて、前記負荷モニタリング用ネームプレートは、中央処理装置と、電源部と、利用者名の表示部と、利用者の生体情報のベースライン状態のモニタリング部と、データ処理部と、負荷モニタリング表示部とを具備することを特徴とする負荷モニタリング用ネームプレートシステム。
【請求項5】
請求項4記載の負荷モニタリング用ネームプレートシステムにおいて、前記負荷モニタリング表示部は、前記利用者のベースライン状態からの逸脱度合に応じて段階的に異なる色彩を表示することを特徴とする負荷モニタリング用ネームプレートシステム。
【請求項6】
請求項4記載の負荷モニタリング用ネームプレートシステムにおいて、前記段階的に異なる色彩が黄色−橙色−ピンク色−赤色であることを特徴とする負荷モニタリング用ネームプレートシステム。
【請求項7】
請求項4記載の負荷モニタリング用ネームプレートシステムにおいて、前記負荷モニタリング表示部には、前記利用者の他者との会話に基づく負荷状態を表示することを特徴とする負荷モニタリング用ネームプレートシステム。
【請求項8】
請求項4記載の負荷モニタリング用ネームプレートシステムにおいて、前記負荷モニタリング表示部には、前記利用者自身の健康状態を表示することを特徴とする負荷モニタリング用ネームプレートシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−192078(P2012−192078A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59182(P2011−59182)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000173784)公益財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】