説明

負荷制御システム

【課題】配線数を増やすことなく、多様な負荷制御を可能とする負荷制御システムを提供する。
【解決手段】交流電圧に、LED55の発光制御内容に係る調光信号を重畳する電源側制御装置10と、電源側制御装置10で調光信号が重畳された交流電圧から、調光信号を分離して、調光信号に基づいてLED55の発光制御を行う負荷側制御装置10とを備える。電源側制御装置10は、交流電圧をオンオフするスイッチ手段121、LED55の調光制御内容を受け付ける操作部13、及び、操作部13が受け付けた調光制御内容に設定されたタイミングで、スイッチ手段を切替制御する切替制御部122を有する。負荷側制御装置10は、スイッチ手段121が切替制御された結果、電源側制御装置10から出力された交流電圧から、調光信号を分離し、分離した調光信号に基づいて、調光制御内容を判定する。そして、判定結果に基づいて、LED55の調光制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷制御、例えば発光ダイオードのような照明器具の調光制御を行う負荷制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いた照明器具の明るさを、交流電圧を位相制御して調光する調光器がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のLED点灯装置は、トライアックなどからなる交流電圧を位相制御する調光器を備えており、発光ダイオードの明るさが所望の明るさに保たれるように、発光ダイオードに流れる電流値を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−035403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置は、例えば、電源及び照明器具の間に直列接続され、発光ダイオードに対して照度制御を行う。このような場合、2線式の電力配線を用いて位相制御された交流電圧が発光ダイオードに印加される。しかしながら、発光ダイオードの照度制御以外の制御を行う場合、特許文献1では、2線式の電力配線以外に、別の制御用の信号を配線する必要がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、配線数を増やすことなく、多様な負荷制御を可能とする負荷制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る負荷制御システムは、交流電圧に、負荷の負荷制御内容に係る負荷制御信号を重畳する電源側制御装置と、該電源側制御装置で前記負荷制御信号が重畳された前記交流電圧から、前記負荷制御信号を分離して、前記負荷制御信号に基づいて前記負荷の負荷制御を行う負荷側制御装置と、を備え、前記電源側制御装置は、交流電圧をオンオフするスイッチ手段、前記負荷の負荷制御内容を受け付ける受付手段、及び、前記受付手段が受け付けた負荷制御内容に設定されたタイミングで、前記スイッチ手段を切替制御する切替制御手段、を有し、前記負荷側制御装置は、前記切替制御手段が前記スイッチ手段を切替制御した結果、前記電源側制御装置から出力された交流電圧から、前記負荷制御信号を分離する分離手段と、該分離手段により分離した前記負荷制御信号に基づいて、負荷制御内容を判定する判定手段と、該判定手段による判定結果に基づいて、前記負荷の負荷制御を行う負荷制御手段、を有する。
【0007】
この構成では、電源側制御装置が、負荷側制御装置に伝送する交流電圧に、負荷制御信号を重畳し、負荷側制御装置が、伝送された交流電圧から負荷制御信号を分離して、負荷の負荷制御を行っている。このため、電源側制御装置及び負荷側制御装置が離れた場所に配置されていても、電力配線以外の配線を必要とすることがない。
【0008】
本発明に係る負荷制御システムにおいて、前記スイッチ手段は位相制御用半導体素子で構成され、前記電源側制御装置の切替制御手段は、前記スイッチ手段をオンオフして前記交流電圧の位相導通タイミングを制御することで、前記交流電圧に負荷制御信号を重畳する。
【0009】
この構成では、交流電圧の位相制御を行うことで、負荷制御信号を交流電圧に重畳している。
【0010】
本発明に係る負荷制御システムにおいて、前記負荷側制御装置の分離手段は、所定時間、前記交流電圧から負荷制御信号を分離し、前記負荷側制御装置の判定手段は、前記分離手段が負荷制御信号を分離している間、負荷制御内容を繰り返し判定し、繰り返し判定した結果に基づいて、負荷制御内容を確定するようにしてある。
【0011】
この構成では、所定時間、例えば、交流電圧の所定周期に亘って、交流電圧から負荷制御信号を分離し、その負荷制御信号から負荷制御内容を繰り返し判定する。そして、繰り返し行った結果に基づいて、判定結果を確定する。これにより、ある周期のみノイズ等による影響があった場合であっても、判定を繰り返し行い、例えば平均や確率に基づいて負荷制御内容を確定することで、より精度の高い負荷制御内容の判定結果を得ることができる。
【0012】
本発明に係る負荷制御システムにおいて、前記負荷制御信号はパルス信号であって、前記電源側制御装置は、負荷制御内容毎に設定されたパルス幅及びパルス間隔を記憶する第1記憶手段を有し、前記電源側制御装置の切替制御手段は、前記受付手段が受け付けた負荷制御内容に対応する、前記第1記憶手段に記憶されたパルス幅及びパルス間隔に従って、前記スイッチ手段を切替制御し、前記負荷側制御装置は、前記第1記憶手段と同じ内容を記憶する第2記憶手段を有し、前記負荷側制御装置の判定手段は、前記分離手段により分離した前記負荷制御信号のパルス幅及びパルス間隔に対応する負荷制御内容を前記第2記憶手段から取得するようにしてある。
【0013】
この構成では、負荷側制御装置は、電源側制御装置が記憶する内容(パルス信号のパルス幅及びパルス間隔)と同じものを記憶している。このため、負荷側制御装置が、分離した負荷制御信号から誤った負荷制御内容を判定するおそれを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電源側制御装置及び負荷側制御装置が離れた場所に配置されていても、電力配線以外の配線を必要とすることがなく、コストが高騰し、また、配線作業が煩雑となるおそれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1に係る調光制御システムの構成を模式的に示すブロック図
【図2】(a)は交流電源からの出力電圧の波形、(b)は調光信号の波形、(c)は出力電圧に調光信号を重畳させた波形をそれぞれ示す図
【図3】分離回路の回路構成を示す図
【図4】制御回路の判定部で実行される処理手順を示すフローチャート
【図5】(a)は交流電源からの出力電圧の別の例の波形、(b)は調光信号の別の例の波形、(c)は出力電圧に調光信号を重畳させた波形をそれぞれ示す図
【図6】交流電圧の位相角度90度から180度及び270度から360度にデジタル符号列「1,0」の調光信号を重畳する場合を説明するための模式図
【図7】交流電圧の位相角度180度から360度にデジタル符号列「0,1」の調光信号を重畳する場合を説明するための模式図
【図8】交流電圧の位相角度90度から180度及び270度から360度にデジタル符号列「0,0,0,1」の調光信号を重畳する場合を説明するための模式図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る負荷制御システムの好適な実施形態について図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態では、負荷をLEDの照明手段とし、本発明に係る負荷制御システムを、LEDの調光を制御する調光制御システムとして説明する。
【0017】
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る調光制御システムの構成を模式的に示すブロック図である。本実施形態に係る調光制御システム1は、交流電源50からLED55へ電力供給すると共に、LED55の調光制御を行うシステムである。LED55の調光制御とは、例えば、ユーザの操作により、LED55の輝度を変更し、又は発光色を変更する制御等である。
【0018】
調光制御システム1は、電源側制御装置10及び負荷側制御装置20を備えている。電源側制御装置10及び負荷側制御装置20は、一つの筐体内に一体的に設置されてもよいし、別々の筐体で、離れた位置に設置されていてもよい。電源側制御装置10及び負荷側制御装置20は、電源ライン100により接続されている。
【0019】
電源側制御装置10は、電源回路11、制御回路12及び操作部13等を備えている。操作部13は、ユーザによりLED55の調光操作を受け付ける。操作部13が調光操作を受け付けると、電源側制御装置10は、負荷側制御装置20にLED55を調光制御させるための信号(以下、調光信号という)を送信する。
【0020】
なお、操作部13は、電源側制御装置10に設けられた操作ボタンなどであってもよいし、外部から赤外線等を介して操作信号を受け付けるものであってもよい。また、操作部13は、周囲の照度を検出する検出器として、照度に応じた輝度でLED55を発光させるよう操作信号を出力するものとしてもよい。
【0021】
電源回路11は、交流電源50からの出力電圧を入力とし、ダイオード等からなる一般的な整流器により交流電圧を整流した後、直流電圧を制御回路12へ出力する。制御回路12は、この直流電圧により駆動する。
【0022】
制御回路12は、スイッチ手段121、切替制御部122および記憶部123等を備えている。スイッチ手段121は、交流電源50を1周期内の所定の位相タイミングでオンオフするものであるが、典型的にはFET(Field effect transistor)等の位相制御用半導体素子で構成される。なお、スイッチ手段121は、トライアック又はトランジスタ等の半導体素子で構成することも可能である。スイッチ手段121は、切替制御部122により切替制御される。
【0023】
切替制御部122は、操作部13が受け付けた調光操作に対応する調光信号が、交流電源50からの出力電圧に重畳されるように、スイッチ手段121を制御して、交流電圧を位相制御する。調光信号は、受け付けた調光操作毎に設定されたパルス幅及びパルス間隔を有するPWM(Pulse Width Modulation)信号である。記憶部123には、調光制御内容毎に設定された調光信号のパルス幅及びパルス間隔が記憶されており、切替制御部122は、記憶部123から操作部13が受け付けた調光操作に対応するパルス幅及びパルス間隔を取得し、スイッチ手段121の切替位相タイミングを設定し、その制御信号をスイッチ手段121のゲート端子に出力する。
【0024】
以下に、スイッチ手段121による位相制御について説明する。
【0025】
図2(a)は交流電源50からの出力電圧の波形、図2(b)は調光信号の波形、図2(c)は出力電圧に調光信号を重畳させた波形、すなわち位相制御された交流電圧波形をそれぞれ示す図である。また、図2では、調光信号は、パルス幅t1、パルス間隔t2のパルス信号として説明する。
【0026】
なお、本実施形態では、パルス信号の周期(t1+t2)は、交流電源50からの出力電圧の半周期となるよう設定されている。そして、交流電圧の位相角度0度から90度及び180度から270度を負荷側制御装置20の電源電圧、位相角度90度から180度及び270度から360度を調光信号としている。
【0027】
切替制御部122は、交流波形の正の半サイクルが立ち上がるゼロクロスタイミングから時間t2経過した位相タイミングでスイッチ手段121をオンにし、その後、時間t1経過した位相タイミングでスイッチ手段121をオフにする。図2(a)の波形において、斜線部分がスイッチ手段121をオフにした期間である。切替制御部122は、この切り替えを繰り返すことで、図2(a)の波形に図2(b)の波形を重畳した図2(c)に示す波形を得ることができる。この図2(c)に示す電圧が、電源ライン100を介して、電源側制御装置10から負荷側制御装置20へ伝送される。
【0028】
負荷側制御装置20は、分離回路21、電源回路22、制御回路23及びドライブ回路24を備えている。分離回路21は、電源側制御装置10からの電圧(図2(c)参照)を入力とし、入力された電圧から、LED55の調光信号(図2(b)参照)を分離する。また、分離回路21は、上記電圧を整流して、電源回路22に電圧を印加する。
【0029】
電源回路22は、印加された電圧を直流電圧に変換して制御回路23へ出力する。制御回路23は、この直流電圧が印加されることで駆動する。また、電源回路22は、分離回路21に直流電流を入力する。
【0030】
制御回路23は、判定部231及び記憶部232を備えている。記憶部232には、記憶部123と同様に、調光制御毎に設定されたパルス信号のパルス幅及びパルス間隔(本実施形態では、t1+t2は固定時間であるため、t2又はt1のみ記憶していてもよい)が記憶されている。制御回路23は、分離回路21で取り出された(分離された)調光信号が入力される。判定部231は、調光信号のパルス幅及びパルス間隔を取得し、対応する調光制御内容を記憶部232から取得する。この取得した調光制御内容が、操作部13が受け付けた調光操作とされる。
【0031】
なお、判定部231は、所定周期分の調光信号のパルス幅及びパルス間隔を取得し、それぞれについて調光制御内容を判定する。そして、例えば、パルス幅及びパルス間隔を取得した回数の半数以上同じ結果となった調光制御内容を、操作部13が受け付けた調光操作として確定する。
【0032】
これにより、調光信号にノイズが含まれており、パルスに影響を与えている場合であっても、所定周期分の調光信号を見ることで、より精度の高い判定を行うことができる。また、記憶部232には記憶部123と同じ内容を記憶しているため、判定部231は、電源側制御装置10と同じ内容に基づいて、調光制御内容を判定しているため、誤った判定を行うおそれを軽減できる。
【0033】
ドライブ回路24は、制御回路23が判定した調光制御内容に従って、LED55の点灯制御を行う。
【0034】
以下に、分離回路21の具体的な構成について詳述する。図3は、分離回路21の回路構成を示す図である。
【0035】
分離回路21は、電源ライン100に接続され、電圧が入力される整流回路211を備えている。整流回路211は、四つのダイオードが組み合わされて構成されたブリッジ回路であり、単相交流を全波整流する。整流回路211には、電源回路22が接続されており、電源回路22に整流後の電圧が印加される。
【0036】
整流回路211の正極側出力端子は、整合用抵抗R1及びノイズなど低レベル信号を除去するためのツェナーダイオードZDが直列に接続されている。ツェナーダイオードZDは、トランジスタTrのベースに接続すると共に、整合用抵抗R2を介して整流回路211の負極側出力端子に接続されている。また、トランジスタTrの出力は、制御回路23に接続している。
【0037】
このように構成された分離回路21において、整流回路211には、図2(c)に示す位相制御された電圧が入力される。整流回路211は、この電圧を全波整流し、直流化する。直流化した電圧は、ツェナーダイオードZDの作用により一定電圧以上である場合にトランジスタTrをオンする。したがって、概ね時間t2の間(図2参照)、トランジスタTrがオンとなる。これにより、トランジスタTrの出力波形は、図2(b)のようになる。
【0038】
この動作により、分離回路21において、図2(c)に示す電圧から、図2(b)に示す調光信号を分離することができ、制御回路23には、その分離した調光信号が入力されるようになる。
【0039】
制御回路23の判定部231は、分離回路21により分離された調光信号のパルス幅及びパルス間隔を検出し、記憶部232に記憶されているデータを参照して、調光信号の制御内容を判定する。
【0040】
図4は、制御回路23の判定部231で実行される処理手順を示すフローチャートである。判定部231は、例えば、マイクロコンピュータを有し、そのマイクロコンピュータが図4に示す処理を実行する。
【0041】
制御回路23は、電源回路22から電圧が印加されることで駆動する。そして、判定部231は、分離回路21から調光信号が入力されたか否かを判定する(S1)。入力されていない場合(S1:NO)、判定部231は本処理を終了する。入力された場合(S1:YES)、判定部231は調光信号のパルス幅及びパルス間隔を検出する(S2)。
【0042】
次に、判定部231は、記憶部232のデータを参照して、S2で検出したパルス幅及びパルス間隔に対応する調光内容を判定する(S3)。判定部231は、S3の判定を所定周期実行したか否かを判定する(S4)。所定周期実行していない場合(S4:NO)、判定部231はS2の処理を実行する。
【0043】
所定周期実行した場合(S4:YES)、判定部231は、判定結果を確定する(S5)。例えば、5周期の調光信号に対して調光制御内容を判定した結果、3回以上同じ結果を判定したものを、調光制御内容として確定してもよい。このように、調光信号のパルス幅及びパルス間隔から調光内容を判定する処理を所定周期繰り返し行うことで、調光信号にノイズ等が重畳して、判定結果に影響が及び、誤った調光制御を行うことを抑制することができる。
【0044】
そして、判定部231は、確定した判定結果に基づいて、ドライブ回路24へ制御信号を出力することで、ドライブ回路24にLED55の調光制御を実行させる(S6)。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る調光制御システム1では、調光信号を、交流電源50からの出力電圧に重畳して電源側制御装置10から負荷側制御装置20へ送信するため、調光信号を送信するための専用の配線を必要とせず、電源側制御装置10及び負荷側制御装置20間の接続配線数を少なくすることができる。
【0046】
なお、図2において、t2が短いと負荷に供給する電力が小さくなる。そこで、負荷に対してなるべく多くの電力供給をしたい場合には、t1の変化幅をゼロ〜半周期未満とし、t2は半周期以上確保できるようにする。
【0047】
例えば、交流電源50からの出力電圧に調光信号を重畳した結果得られる電圧は、図2に限定されない。図5は、別の例の調光信号について説明するための模式図である。図5(a)は交流電源50からの出力電圧の波形、(b)は調光信号の波形、(c)は出力電圧に調光信号を重畳させた波形をそれぞれ示す図である。
【0048】
図2の場合、交流電圧の位相角度0度から90度及び180度から270度を負荷側制御装置20の電源電圧、位相角度90度から180度及び270度から360度を調光信号としている。これに対し、図5では、交流電圧の位相角度0度から180度を負荷側制御装置20の電源電圧、位相角度180度から360度を調光信号としている。図5では、周期(t1+t2)が交流電源50からの出力電圧の周期と同じに設定されていてもよい。このように、出力電圧に対して行う位相制御に係る位相角は適宜変更可能である。
【0049】
(実施形態2)
本実施形態では、デジタル符号列の調光信号を複数に分割し、交流電源50からの出力電圧に重畳させる点で実施形態1と相違する。以下、その相違点についてのみ説明する。
【0050】
以下では、スイッチ手段121による位相制御により生成される調光信号について説明する。電源側制御装置10及び負荷側制御装置20の構成は実施形態1と同様であるため説明は省略する。
【0051】
図6は、交流電圧の位相角度90度から180度及び270度から360度にデジタル符号列「1,0」の調光信号を重畳する場合を説明するための模式図である。図6(a)は交流電源50からの出力電圧の波形、図6(b)は調光信号の波形、図6(c)は出力電圧に調光信号を重畳させた波形、すなわち位相制御された交流電圧波形をそれぞれ示す図である。
【0052】
負荷側制御装置20の電源電圧とする、交流電圧の位相角度が0度から90度及び180度から270度となる場合にスイッチ手段121をオンにする。また、調光信号とする交流電圧の位相角度が90度から180度及び270度から360度となる場合において、位相角度が90度から180度となる場合(図6(a)中斜線部)にスイッチ手段121をオフにし、位相角度が270度から360度となる場合にスイッチ手段121をオンにする。これにより、デジタル符号列「1,0」の調光信号を送信することができる。
【0053】
なお、図6では、デジタル符号列「1,0」の調光信号の他に、デジタル符号列「1,1」の調光信号を送信する場合の例を示している。
【0054】
また、交流電圧の位相角度180度から360度にデジタル符号列の調光信号を重畳するようにしてもよい。図7は、交流電圧の位相角度180度から360度にデジタル符号列「0,1」の調光信号を重畳する場合を説明するための模式図である。図7(a)は交流電源50からの出力電圧の波形、(b)は調光信号の波形、(c)は出力電圧に調光信号を重畳させた波形をそれぞれ示す図である。
【0055】
負荷側制御装置20の電源電圧とする、交流電圧の位相角度が0度から180度となる場合にスイッチ手段121をオンにする。また、調光信号とする交流電圧の位相角度が180度から360度となる場合において、位相角度が180度から270度となる場合(図7(a)中斜線部)にスイッチ手段121をオンにし、位相角度が270度から360度となる場合にスイッチ手段121をオフにする。これにより、デジタル符号列「0,1」の調光信号を送信することができる。
【0056】
なお、図7では、デジタル符号列「0,1」の調光信号の他に、デジタル符号列「1,0」の調光信号を送信する場合の例を示している。
【0057】
また、交流電圧の位相角度180度から360度に調光信号を重畳する場合、位相角度が180度から360度となるときに、スイッチ手段121をオン又はオフすることで、デジタル符号「1」又は「0」の調光信号を送信することができる。
【0058】
また、より長いデジタル符号列の調光信号を送信するようにしてもよい。図8は、交流電圧の位相角度90度から180度及び270度から360度にデジタル符号列「0,0,0,1」の調光信号を重畳する場合を説明するための模式図である。図8(a)は交流電源50からの出力電圧の波形、図8(b)は調光信号の波形、図8(c)は出力電圧に調光信号を重畳させた波形、すなわち位相制御された交流電圧波形をそれぞれ示す図である。
【0059】
負荷側制御装置20の電源電圧とする、交流電圧の位相角度が0度から90度及び180度から270度にスイッチ手段121をオンにする。また、調光信号とする交流電圧の位相角度が90度から180度及び270度から360度において、位相角度が90度から180度となる場合にスイッチ手段121をオンにし、位相角度が270度から360度となる場合(図8(a)中斜線部)にスイッチ手段121をオフにする。これにより、デジタル符号列「0,0,0,1」の調光信号を送信することができる。
【0060】
なお、図8では、デジタル符号「0,0,0,1」の調光信号の他に、デジタル符号「1,0,1,1」の調光信号を送信する場合の例を示している。
【0061】
以上説明したように、本実施形態では、複数に分割した調光信号を、交流電源50からの出力電圧に重畳して電源側制御装置10から負荷側制御装置20へ送信するため、実施形態1の効果に加え、調光信号をより詳細な制御内容とすることができる。
【0062】
以上説明した調光制御システム1の具体的構成などは、適宜設計変更可能であり、上述の実施形態に記載された作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、上述の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0063】
実施形態では、負荷をLED55としたが、この発明は、その他、様々な交流負荷に適用可能である。例えば、負荷を、交流電圧を印加して充電する被充電機器(例えば、携帯電話機)としてもよい。この場合、例えば、充電中の携帯電話機の表示態様を変更させる制御を行う場合に、携帯電話機に対する制御信号を印加する出力電圧に重畳させ、携帯電話機が制御信号を分離して、それに応じた制御(表示態様の変更等)を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1−調光制御システム
10−電源側制御装置
11−電源回路
12−制御回路
13−操作部(受付手段)
20−負荷側制御装置
21−分離回路(分離手段)
22−電源回路
23−制御回路
24−ドライブ回路(負荷制御手段)
55−LED(負荷)
121−スイッチ手段
122−切替制御部(切替制御手段)
123−記憶部(第1記憶手段)
231−判定部(判定手段)
232−記憶部(第2記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧に、負荷の負荷制御内容に係る負荷制御信号を重畳する電源側制御装置と、
該電源側制御装置で前記負荷制御信号が重畳された前記交流電圧から、前記負荷制御信号を分離して、前記負荷制御信号に基づいて前記負荷の負荷制御を行う負荷側制御装置と、
を備え、
前記電源側制御装置は、
交流電圧をオンオフするスイッチ手段、
前記負荷の負荷制御内容を受け付ける受付手段、及び、
前記受付手段が受け付けた負荷制御内容に設定されたタイミングで、前記スイッチ手段を切替制御する切替制御手段、
を有し、
前記負荷側制御装置は、
前記切替制御手段が前記スイッチ手段を切替制御した結果、前記電源側制御装置から出力された交流電圧から、前記負荷制御信号を分離する分離手段と、
該分離手段により分離した前記負荷制御信号に基づいて、負荷制御内容を判定する判定手段と、
該判定手段による判定結果に基づいて、前記負荷の負荷制御を行う負荷制御手段、
を有する負荷制御システム。
【請求項2】
前記スイッチ手段は位相制御用半導体素子で構成され、
前記電源側制御装置の切替制御手段は、
前記スイッチ手段をオンオフして前記交流電圧の位相導通タイミングを制御することで、前記交流電圧に負荷制御信号を重畳する、
請求項1に記載の負荷制御システム。
【請求項3】
前記負荷側制御装置の分離手段は、
所定時間、前記交流電圧から負荷制御信号を分離し、
前記負荷側制御装置の判定手段は、
前記分離手段が負荷制御信号を分離している間、負荷制御内容を繰り返し判定し、繰り返し判定した結果に基づいて、負荷制御内容を確定するようにしてある、
請求項1又は2に記載の負荷制御システム。
【請求項4】
前記負荷制御信号はパルス信号であって、
前記電源側制御装置は、
負荷制御内容毎に設定されたパルス幅及びパルス間隔を記憶する第1記憶手段を有し、
前記電源側制御装置の切替制御手段は、
前記受付手段が受け付けた負荷制御内容に対応する、前記第1記憶手段に記憶されたパルス幅及びパルス間隔に従って、前記スイッチ手段を切替制御し、
前記負荷側制御装置は、
前記第1記憶手段と同じ内容を記憶する第2記憶手段を有し、
前記負荷側制御装置の判定手段は、
前記分離手段により分離した前記負荷制御信号のパルス幅及びパルス間隔に対応する負荷制御内容を前記第2記憶手段から取得するようにしてある、
請求項1から3の何れか一つに記載の負荷制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−226839(P2012−226839A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90553(P2011−90553)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000001074)クロイ電機株式会社 (49)
【Fターム(参考)】