説明

負荷制御回路及びバッテリ上がり防止方法

【課題】部品点数を少なくすることができることで製造時の時間及び手間を省くことができ、さらには、コストダウンを図ることができる負荷制御回路を提供する。
【解決手段】ヒューズ14、ルームランプ10及びトランジスタ12が直列接続されている電源供給ライン102と、ヒューズ17、カーテシランプ20及びスイッチ22が直列接続されている第1ライン103とを備える負荷制御回路は、マイコン13がスイッチ22の状態に応じてトランジスタ12を切り替える。マイコン13とカーテシランプ20及びスイッチ22との間を接続し、間を流れる電流の有無により、マイコン13がスイッチ22の状態を検知する。第1ライン103は、電源供給路102のヒューズ14よりルームランプ10側には非接続とし、ヒューズ14,17を同時に着脱可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に車両に搭載されるランプの点灯及び消灯制御を行う車両用の負荷制御回路及びバッテリ上がり防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両内に設置された照明装置には、フロントドア及びトランクルームのドアなどの開閉動作に連動して点灯及び消灯するものがある。図3は、照明装置を点灯及び消灯させる制御回路の概略図である。制御回路は、車両内に設置される照明装置の点灯及び消灯制御を行い、ヒューズ14,15,16と、ダイオード21,31,41と、スイッチ22,32,42と、トランジスタ12及びマイクロコンピュータ(以下、マイコンと言う)13を有するECU(Electronic Control Unit)11とを備えて構成される。照明装置は、例えば、室内の天井に設置されるルームランプ10、左右のフロントドアに設置されるカーテシランプ20,30、及びトランクルーム内に設置されるトランクランプ40などがある。
【0003】
カーテシランプ20の一方は、ダイオード21及びスイッチ22の順に直列接続され、スイッチ22の他方が接地されている。また、カーテシランプ20の他方は、ヒューズ14,15を介してバッテリ100に接続されている。スイッチ22は、カーテシランプ20が設置されたドアの開閉に連動してオン/オフされる。例えば、ドアが開いた場合、スイッチ22がオンとなる。スイッチ22がオンとなることで、バッテリ100からヒューズ14,15、カーテシランプ20、ダイオード21、及びスイッチ22の順に電流が流れ、カーテシランプ20が点灯する。また、ドアが閉じた場合、スイッチ22がオフとなり、バッテリ100から電力が供給されなくなりカーテシランプ20が消灯する。なお、カーテシランプ30及びトランクランプ40なども同様である。
【0004】
ルームランプ10は、一方がECU11、具体的にはECU11が有するトランジスタ12に接続され、他方が、ヒューズ14,15を介してバッテリ100に接続されている。トランジスタ12は、スイッチとして用いられ、ECU11が有するマイコン13により駆動制御される。即ち、トランジスタ12がマイコン13により駆動されることにより、バッテリ100から電力が供給され、ルームランプ10が点灯する。
【0005】
ECU11は、ヒューズ16を介してバッテリ100に接続されており、バッテリ100から駆動電力が供給される。また、ECU11は、ダイオード21,31,41及びスイッチ22,32,42の間を接続する検知ライン110,111,112が接続される検知端子を有しており、ECU11が有するマイコン13が各検知端子の電圧レベルを監視することでスイッチ22,32,42のオンオフを監視する。例えば、カーテシランプ20が設置されたドアが開いた場合、スイッチ22がオンとなる。このとき、ECU11からスイッチ22を介してから電流が流れる。その結果、ECU11の検知端子の電位が低下し、電圧レベルがLow状態となる。マイコン13は、Low状態を検知することで、スイッチ22がオン、即ち、ドアが開いたことを検出する。また、ドアが閉じた場合、スイッチ22がオフとなり、ECU11の検知ライン110から電流が流れることがなくなる。このため、電流がECU11から流れなくなり、電圧レベルがHigh状態となる。マイコン13は、High状態を検知することで、スイッチ22がオフ、即ち、ドアが閉じたことを検出する。
【0006】
また、マイコン13は、ドアが開いたことを検出した場合、即ち、検知端子がLow状態を検知した場合、トランジスタ12を駆動する。これにより、ルームランプ10にバッテリ100からの電流が供給され、ルームランプ10が点灯する。また、マイコン13は、ドアが閉じたことを検出した場合、即ち、検知端子がHigh状態を検知した場合、トランジスタ12を停止する。これにより、ルームランプ10にバッテリ100からの電流が供給されなくなり、ルームランプ10が消灯する。即ち、ルームランプ10は、フロントドア及びトランクのドアなどの開閉に連動して点灯及び消灯する。なお、ヒューズ14の下流にはルームランプ10以外に図示しない時計及びメータなどの機器にも接続されている。
【0007】
ところで、車を輸送する際には、各機器の待機電力、又は、何らかの原因によりドアが開き、ルームランプ10及びカーテシランプ20などが点灯することでバッテリ100の電力を消費する場合がある。このため、バッテリ100の電力の無駄な消費をなくすため、図3の制御回路において、ヒューズ14を外した状態で車両を輸送することが一般的となっている。これにより、例えばスイッチ22がオンとなっても、カーテシランプ20には、バッテリ100から電力が供給されず、カーテシランプ20が点灯することがない。また、輸送が長期間にわたる場合であっても時計及びメータなどの機器に電力が供給されず、バッテリの消費を防ぐことができる。
【0008】
この場合において、ダイオード21,31,41は、以下の誤動作を防止するために、図3の制御回路では必須部品となっている。ECU11は、カーテシランプなどの照明装置の制御だけでなく、車両のドアロック及びセキュリティシステムなども制御するため、車両の輸送時であってもバッテリ100から電力が供給され、駆動可能な状態にされている。このため、例えば、ドアが開き、スイッチ22がオンとなった場合、カーテシランプ20は点灯しないが、ECU11にはバッテリ100から電力が供給され、検知ライン110はECU11内で抵抗200(図1参照)を介してバッテリ電位にプルアップされているため、ECU11からオンとなったスイッチ22を介して電流が流れる。このとき、ECU11の検知端子は、スイッチ22を介して接地電位に接続されるため、電位が低下し、電圧レベルがLow状態となる。
【0009】
上述のように、ECU11のマイコン13は、Low状態を検知することでトランジスタ12を駆動する。この場合、ヒューズ14が外されているため、ルームランプ10には電力が供給されないため、ルームランプ10は点灯しない。しかしながら、このとき、ダイオード21が無かったと想定した場合、ドアが閉まり、スイッチ22がオフとなっても、図中矢印のように、ECU11からカーテシランプ20及びルームランプ10を通り、トランジスタ12に電流が流れる。その結果、マイコン13は、スイッチ22がオフとなっても、ECU11の検知端子の電圧レベルがLow状態を検知し、トランジスタ12を駆動し続けるために、図中矢印のように電流が流れ続ける。車両の輸送時などでこのような状態が長期間続いた場合、バッテリ上がりが引き起こされるという問題が発生する。そこで、斯かる電流を防止するために、カーテシランプ20及びスイッチ22の間にダイオード21が設けてられている。他のダイオード31,41についても同様である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】トヨタカムリ配線図集 ACV#系 H0602(2006−1〜)3−118〜123
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図3に示す制御回路及びその他の電気回路は、ワイヤハーネスにより配線されている。ワイヤハーネスは、例えば、スプライス電線、非スプライスの単線、シールド電線、ツイストペア電線などの様々な種類の電線を組み合わせて形成されている。そして、例えばダイオード21,31,41などの電子部品は、ワイヤハーネスに接続されたコネクタに装着されている。図4は、ダイオードをワイヤハーネスに組み付ける状態を示す模式図である。一般的に、ダイオード21は、ワイヤハーネス幹線25から分岐したワイヤハーネス支線の電線23Bに接続されたコネクタ23Aに嵌合され、コネクタ23A又は電線23Bを粘着テープなどによりワイヤハーネスに止めることで固定されている。
【0012】
このため、ダイオードなどの電子部品を装着するためのコネクタを接続するために、製造工程において追加の工程が発生し、時間及び手間が掛かるため、斯かる問題を解消するために、制御回路において部品点数を少なくすることが望まれている。
【0013】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、部品点数を少なくすることができることで製造時の時間及び手間を省くことができ、さらには、コストダウンを図ることができる負荷制御回路、及び負荷制御回路を備えた車両におけるバッテリ上がり防止方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る負荷制御回路は、バッテリの電力を導き、バッテリ側から順に、過電流を遮断する第1保護手段、第1負荷及び第1スイッチが直列接続されている第1経路と、バッテリの電力を導き、バッテリ側から順に第2負荷及び第2スイッチが直列接続されており、前記第2スイッチの状態に応じて前記第1スイッチを切り替える制御器の端子の一つと、前記第2負荷及び前記第2スイッチとの間を接続する検知ラインを有する第2経路とをそれぞれ少なくとも一つ備え、前記制御器は、前記検知ラインから電流を流し、前記第2スイッチのオン/オフの切り換え動作に従って変化する前記検知ラインの電圧レベルにより前記第2スイッチの状態を検知する構成としてある車両用の負荷制御回路において、前記第2経路の前記第2負荷よりバッテリ側に過電流を遮断する第2保護手段が接続されており、前記第2経路は、前記第1経路の前記第1保護手段より前記第1負荷側には非接続であり、前記第2保護手段よりバッテリ側が前記第1保護手段よりバッテリ側で前記第1経路に接続してあり、前記第1及び第2保護手段は、一体的に着脱可能な構成としてあることを特徴とする
【0015】
本発明においては、第1保護手段が第1経路を遮断していない状態で、第1スイッチを切り替えることにより、第1負荷にバッテリの電力が供給/遮断される。また、第2スイッチを切り替えることにより、第2負荷にバッテリの電力が供給/遮断される。第1スイッチは、第2スイッチの切り替え状態に応じて制御器により切り替えられる。即ち、第2負荷にバッテリの電力が供給される際に、第1負荷にもバッテリの電力が供給される。また、制御器は、第2スイッチの導通又は遮断状態を、検知ラインの電位の高低により検知する構成としてある車両負荷制御回路において、例えば、第2スイッチがオフの場合、検知ラインは、接地電位から切り離され、検知ラインを接続する制御器の端子の電圧レベルはHigh状態となっている。そして、第2スイッチがオンとなることで、検知ラインに接地電位に接続され、制御器の端子の電圧レベルはLow状態となる。制御器は、斯かる電位の変位により第2スイッチの状態を検知する。そして、第2負荷及び第2スイッチが設けられる第2経路は、第1経路の第1保護手段より第1負荷側では非接続となっている。
【0016】
このため、第1保護手段が第1経路を遮断した状態で、第2スイッチが一度オンとなり、その後オフとなった場合、検知ラインを流れる電流が第2負荷側から第1経路に流れることがない。その結果、検知ラインに電流が流れなくなるため、制御器は、第2スイッチの状態を正常に検知できる。
【0017】
また、第2経路の第2負荷よりバッテリ側を、第1保護手段よりバッテリ側で第1経路に接続する構成とすることにより、配線の複雑化を防ぐことができる。そして、第2負荷、及び第1経路との接続部の間に、過電流を遮断する第2保護手段が接続されているため、過電流が流れて第2負荷が破損するおそれを抑制することができる。さらに、着脱可能な第1及び第2保護手段を、輸送時等に外しておくことで、第1負荷及び第2負荷に電流が流れて、バッテリ消費を抑制できる。また、2つの保護手段を一体型とすることで、略同時に着脱できるため、第1及び第2保護手段の着脱時の工数を削減することができる。
【0018】
本発明に係る負荷制御回路は、前記第2スイッチは、車両に開閉可能に設けられた開閉部材の開閉動作に従って切り替えられる構成としてあることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、第2スイッチは、車両に開閉可能に設けられた開閉部材の開閉動作に従って切り替えられる。これにより、第2スイッチを、例えば、フロントドア又はトランクルームのドアなどの開閉動作に従って切り替えるようなスイッチとすることができる。
【0020】
本発明に係る負荷制御回路は、前記第1負荷は、ルームランプであり、前記第2負荷は、カーテシランプ及び/又はトランクランプであることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、第1負荷はルームランプであり、第2負荷はカーテシランプ及び/又はトランクランプである。これにより、車両の開閉部材の開閉動作に従って車室内のランプの点消灯を制御することができる。
【0022】
本発明に係る負荷制御回路は、前記第1保護手段は、所定の電流値を超える電流が流れたときに前記第1経路を流れる電流を遮断するヒューズであることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、第1経路の過電流を遮断する第1保護手段を、所定の電流値を超える電流が流れたときに電流を遮断するヒューズとすることにより、第1経路の過電流を簡単に遮断し、保護することができる。
【0024】
本発明に係る負荷制御回路は、前記第2保護手段は、所定の電流値を超える電流が流れたときに前記第2経路を流れる電流を遮断するヒューズであることを特徴とする。
【0025】
本発明においては、第2経路の過電流を遮断する第2保護手段を、所定の電流値を超える電流が流れたときに電流を遮断するヒューズとすることにより、第2経路の過電流を簡単に遮断し、保護することができる。
【0026】
本発明に係る負荷制御回路は、前記第1経路、前記検知ライン及び前記第2経路は、ワイヤハーネスにより形成されていることを特徴とする。
【0027】
本発明においては、第1経路、検知ライン及び第2経路をワイヤハーネスにより形成することにより、配索し易くできる。
【0028】
本発明に係るバッテリ上がり防止方法は、本発明の負荷制御回路を備えた車両におけるバッテリ上がり防止方法であって、駐車時に前記負荷制御回路の前記第1経路の第1保護手段により該経路を電気的に遮断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、第1保護手段により第1経路が遮断された状態で、第2スイッチが一度オンとなり、その後オフとなった場合、検知ラインを流れる電流が第2負荷側から第1経路に流れることがない。即ち、検知ラインを流れる電流が第2負荷側から第1経路に流れることを防止するために、ダイオードなどの整流子を設ける必要がなくなり、部品点数を少なくすることができる。その結果、負荷制御回路の製造時の時間及び手間を省くことができ、さらには、コストダウンを図ることができる。また、ヒューズを取り外す/装着することで、第1経路に過電流が流れても、簡単に遮断することができる。さらに、第1及び第2保護手段を一体的に着脱可能とすることで、車両に搭載した場合に、長時間の駐車時又は輸送時に制御器へ流れる電流を遮断でき、バッテリ上がりを防止できると共に、着脱時の工数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施の形態に係る負荷制御回路を示す概略図である。
【図2】2つのヒューズを一体に構成した構造を示す図である。
【図3】照明装置を点灯及び消灯させる制御回路の概略図である。
【図4】ダイオードをワイヤハーネスに組み付ける状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。本発明の実施の形態に係る負荷制御回路は、例えば、車両内の天井に設置されるルームランプ、ドア(例えばフロントドア)に設けられるカーテシランプ、トランクルーム内に設置されるトランクランプなどの複数のランプにバッテリからの電力を供給/遮断することにより、各ランプを点灯/消灯させるものである。
【0032】
図1は、本実施の形態に係る負荷制御回路を示す概略図である。なお、図3で説明したものと同じ部材については、同じ符号を付して説明する。
【0033】
負荷制御回路は、ECU11、各種ランプ(例えば、ルームランプ10及びカーテシランプ20など)、ヒューズ14,15,16,17、スイッチ22,32,42及び各素子を接続するワイヤハーネスなどを備え構成されている。
【0034】
ECU11は、トランジスタ12及びマイコン13などで構成される電子制御ユニットであり、負荷制御回路を制御する。例えば、ECU11は、ルームランプ10及びカーテシランプ20などの各種ランプの他に、車両のセキュリティの監視制御及び車両のドアロック制御、ウィンドウの開閉制御などを行う。
【0035】
ECU11には、バッテリ100の電力を供給する電源ライン101が接続されている。電源ライン101には、過電流を遮断し、回路を保護するヒューズ16が設けられている。なお、ECU11には、イグニッションスイッチ(図示せず)をオフした後も、内蔵するマイコン13に設けられているバックアップメモリを待機動作させるための暗電流が供給されている。
【0036】
また、ECU11の入力側には、バッテリ100の電力を供給する電源供給ライン102が接続されている。電源供給ライン102は、一端が電源ライン101のヒューズ16より上流側(バッテリ側)に接続されており、他端がECU11、具体的には、ECU11が備えるトランジスタ12のコレクタに接続されている。そして、電源供給ライン102には、上流側からヒューズ14,15及びルームランプ10が設けられている。なお、ヒューズ14,15,16,17などは、ユーザにより着脱可能な位置、例えば車内のヒューズボックス内に設けられる。
【0037】
トランジスタ12は、エミッタ接地されており、ベースはマイコン13に接続されている。そして、トランジスタ12は、マイコン13により駆動制御され、スイッチとして機能する。例えば、トランジスタ12がオンされた場合、バッテリ100から、電源ライン101、及び電源供給ライン102のヒューズ14,15を介してルームランプ10に電力が供給される。これにより、ルームランプ10は点灯する。また、トランジスタ12がオフされた場合、バッテリ100からの電力が遮断され、ルームランプ10は消灯する。なお、後述するが、マイコン13は、ドアの開閉状態に応じたスイッチ22,32,42のオン/オフに対応してトランジスタ12を駆動制御する。
【0038】
電源ライン101のヒューズ16より上流側には、ランプ用第1ライン(以下、第1ラインと言う)103が接続されている。第1ライン103には、上流側から順に、回路保護のためのヒューズ17、カーテシランプ20及びスイッチ22が設けられている。なお、第1ライン103の下流側は接地されている。スイッチ22は、カーテシランプ20が設置されたドアの開閉に従ってオン/オフされる。例えば、ドアが開いた場合、スイッチ22がオンとなり、バッテリ100から、電源ライン101、及び第1ライン103のヒューズ17を介してカーテシランプ20に電力が供給される。これにより、カーテシランプ20は点灯する。また、ドアが閉じた場合、スイッチ22がオフとなり、バッテリ100からの電力が遮断され、カーテシランプ20は消灯する。このように、カーテシランプ20は、ドアの開閉に従って点灯及び消灯する。
【0039】
なお、電源供給ライン102及び第1ライン103は、電源ライン101のヒューズ16より上流側に接続しているが、電源ライン101における接点以外では、互いに非接続である。
【0040】
第1ライン103のヒューズ17とカーテシランプ20との間には、ランプ用第2ライン(以下、第2ラインと言う)104及びランプ用第3ライン(以下、第3ラインと言う)105が接続されている。第2ライン104には、上流側から順にカーテシランプ30及びスイッチ32、第3ライン105にはトランクランプ40及びスイッチ42がそれぞれ設けられている。即ち、直列接続されたカーテシランプ20及びスイッチ22と、カーテシランプ30及びスイッチ32と、トランクランプ40及びスイッチ42とは、並列接続されている。
【0041】
なお、第2ライン104及び第3ライン105の下流側はそれぞれ接地されている。そして、スイッチ32,42は、それぞれカーテシランプ30が設置されたドア及びトランクのドアの開閉に従ってオン/オフされ、カーテシランプ20と同様にドアの開閉に従って点灯及び消灯する。
【0042】
各ライン101,102,103,104,105は、ワイヤハーネスにより形成され、車両内に配索し易くなっている。また、本実施の形態では、ランプをカーテシランプ20,30及びトランクランプ40としているが、その他のランプを追加し、又は減らすことも可能である。
【0043】
ECU11とランプ20,30,40及びスイッチ22,32,42との間には、第1検知ライン110、第2検知ライン111、及び第3検知ライン112が接続されている。第1検知ライン110は、ECU11とカーテシランプ20及びスイッチ22との間に接続されている。また、第2検知ライン111は、ECU11とカーテシランプ30及びスイッチ32との間に接続されている。さらに、第3検知ライン112は、ECU11とトランクランプ40及びスイッチ42との間に接続されている。
【0044】
各検知ライン110,111,112は、ECU11において、ECU11が有する電圧源11a(12V電源)にそれぞれ抵抗200,201,202を介して接続されている。なお、ランプの他にさらに負荷を接続する場合には、抵抗203を介して電圧源11aに接続される。そして、マイコン13は、検知ライン110,111,112が接続されるECU11の端子の電圧変位を検知することで、スイッチ22,32,42の開閉状態を検知する。
【0045】
例えば、スイッチ22がオンされることにより、電圧源11aから第1検知ライン110及びスイッチ22を介して電流が流れる。その結果、ECU11の第1検知ライン110が接続された端子の電圧レベルはLow状態となる。また、スイッチ22がオフされることにより、第1検知ライン110には電流が流れなくなり、ECU11の端子の電圧レベルはHigh状態となる。即ち、マイコン13は、電圧レベルがHigh状態かLow状態かを検知することにより、各スイッチ22,32,42のオン/オフ状態を検知することができる。そして、マイコン13は、検知結果に対応するドアの開閉状態に応じて、上述したトランジスタ12の駆動制御を行う。具体的には、マイコン13は、各スイッチ22,32,42の何れかがオンである場合、トランジスタ12を駆動し、全てがオフである場合、トランジスタ12の駆動を停止する。従って、ルームランプ10は、カーテシランプ20,30及びトランクランプ40の何れかが点灯すれば点灯し、カーテシランプ20,30及びトランクランプ40全てが消灯すれば消灯する。
【0046】
上述したヒューズ14,17は、同時に着脱できる構造となっている。図2は、2つのヒューズ14,17を一体に構成した構造を示す図である。
【0047】
2つのヒューズ14,17は、一体型ヒューズ50を構成している。一体型ヒューズ50は、内部にヒューズを収容する2つの収容体51,52と、2つの収容体51,52を支持する板状の支持部53とを備えている。収容体51には、平板上の2つの雄端子51aが下方に突出して設けられている。雄端子51aは、導電性であって、収容体51に収容されるヒューズの一端が電気的に接続されている。また、収容体52は、収容体51と同様に、2つの雄端子52aが下方に突出して設けられている。支持部53は、2つの収容体51,52を平行に支持している。
【0048】
負荷制御回路の基板上には、一体型ヒューズ50を装着するソケット54が設けられている。ソケット54は、上部が開放された直方体形状で、2つの空間54a,54bが形成されるよう、略中央で区切られている。2つの空間54a,54bには、一体型ヒューズ50の2つの収容体51,52それぞれが、雄端子51a,52a側から差し込まれる。また、空間54a,54b内には、差し込まれた雄端子51a,52a側と電気的に接触する図示しない2つの雌端子が設けられている。各雌端子は、ヒューズの接続先にそれぞれ接続されている。
【0049】
ヒューズ14,17を同時に着脱することで、ヒューズの着脱時の工数を削減することができる。なお、ヒューズ14,17以外のヒューズを一体にしてもよいし、3つ以上のヒューズを一体に構成してもよい。
【0050】
次に、以上のように構成された負荷制御回路において、カーテシランプ20を点灯及び消灯させる場合の動作について説明する。カーテシランプ30及びトランクランプ40を点灯及び消灯させる場合については同様であるため説明は省略する。
【0051】
カーテシランプ20が設置されたフロントドアが開けられた場合、スイッチ22がオンとなる。これにより、バッテリ100からカーテシランプ20に電力が供給され、カーテシランプ20が点灯する。また、スイッチ22がオンとなることにより、ECU11の電圧源11aから第1検知ライン110及びスイッチ22を介して電流が流れる。これにより、ECU11の第1検知ライン110が接続された端子の電圧レベルはLow状態となり、マイコン13は、スイッチ22がオンとなったことを検知する。そして、マイコン13は、トランジスタ12を駆動する。その結果、バッテリ100からヒューズ14,15を介してルームランプ10に電力が供給され、ルームランプ10が点灯する。
【0052】
また、カーテシランプ20が設置されたフロントドアが閉じられた場合、スイッチ22がオフとなる。これにより、バッテリ100からの電力が遮断され、カーテシランプ20が消灯する。また、スイッチ22がオフとなることにより、ECU11の電圧源11aから第1検知ライン110に電流が流れなくなる。これにより、ECU11の第1検知ライン110が接続された端子の電圧レベルはHigh状態となり、マイコン13は、スイッチ22がオフとなったことを検知する。そして、マイコン13は、トランジスタ12の駆動を停止する。その結果、バッテリ100からの電力が遮断され、ルームランプ10が消灯する。
【0053】
以上のように構成され、動作する負荷制御回路において、負荷制御回路が搭載された車両の輸送時には、ヒューズ14,17の両方が取り外される。
【0054】
この状態において、例えば、フロントドアが開き、スイッチ22がオンとなった場合、カーテシランプ20は点灯しないが、ECU11から第1検知ライン110及びスイッチ22を介して電流が流れる。このとき、ECU11の端子の電位が低下し、電圧レベルがLow状態となり、その結果、トランジスタ12が駆動される。このとき、ヒューズ14,17の両方が取り外されているため、ルームランプ10にバッテリ100からの電力が供給されることがないため、ルームランプ10は点灯しない。
【0055】
フロントドアが閉まり、スイッチ22がオフとなった場合、第1検知ライン110からスイッチ22を介して電流は流れない。また、ヒューズ14,17の両方が取り外され、電源供給ライン102(又はライン102,103)が切断されているため、図3で説明したように、第1検知ライン110からカーテシランプ20及びルームランプ10を介してECU11に流れる電流は発生しない。このため、ECU11の端子の電圧レベルがHigh状態となり、トランジスタ12の駆動が停止される。
【0056】
これにより、ECU11が無駄な駆動をせず、バッテリ100の消費電力を抑制することができる。また、検知ライン110,111,112からライン103,104,105の上流側に電流が流れるのを防止するための整流素子(例えばダイオード)を設ける必要がなくなる。この結果、従来の回路(図3)との対比において、部品点数を少なくできる。また、各ライン103,104,105は、ワイヤハーネスにより形成されているため、部品点数を少なくできることで、図4で説明したような、時間及び手間の掛かる素子の取り付け作業を省くことができるため、製造効率の向上及びコストダウンを図ることができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、本発明の負荷制御回路をランプの点灯/消灯させる制御回路として説明したが、ランプ以外の他の負荷についても適用可能である。また、本実施の形態では、本発明の第1経路は、ルームランプ10を備えた負荷制御回路の一つとしているが、複数の回路、ランプ以外の負荷、両者が混在している場合にも同様に適用可能である。
【0058】
さらに、本実施の形態では、本発明における回路遮断/接続を主にヒューズ14,17の脱着によって行うことを想定しているが、ヒューズと直列接続したヒューズホルダを設けヒューズ型のショート片を脱着すること、同様に直列にスイッチ回路を設けること、あるいは、直列回路を形成するハーネスのコネクタの脱着により行う、前記スイッチ回路のオン/オフ制御をECUにおいてプログラムにより行うことも同様の効果を持つ実施例として挙げられる。
【0059】
以上、本発明の好適な一実施の形態について、具体的に説明したが、各構成及び処理動作などは適宜変更可能であって、上述の実施の形態に限定されることはない。
【符号の説明】
【0060】
10 ルームランプ
11 ECU
12 トランジスタ
13 マイコン
14 ヒューズ
20 カーテシランプ
100 バッテリ
102 電源供給ライン
103 第1ライン
110,111,112 検知ライン
200,201,202,203 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの電力を導き、バッテリ側から順に、過電流を遮断する第1保護手段、第1負荷及び第1スイッチが直列接続されている第1経路と、
バッテリの電力を導き、バッテリ側から順に第2負荷及び第2スイッチが直列接続されており、前記第2スイッチの状態に応じて前記第1スイッチを切り替える制御器の端子の一つと、前記第2負荷及び前記第2スイッチとの間を接続する検知ラインを有する第2経路と
をそれぞれ少なくとも一つ備え、
前記制御器は、
前記検知ラインから電流を流し、前記第2スイッチのオン/オフの切り換え動作に従って変化する前記検知ラインの電圧レベルにより前記第2スイッチの状態を検知する構成としてある車両用の負荷制御回路において、
前記第2経路の前記第2負荷よりバッテリ側に過電流を遮断する第2保護手段が接続されており、
前記第2経路は、
前記第1経路の前記第1保護手段より前記第1負荷側には非接続であり、
前記第2保護手段よりバッテリ側が前記第1保護手段よりバッテリ側で前記第1経路に接続してあり、
前記第1及び第2保護手段は、
一体的に着脱可能な構成としてある
ことを特徴とする負荷制御回路。
【請求項2】
前記第2スイッチは、
車両に開閉可能に設けられた開閉部材の開閉動作に従って切り替えられる構成としてあることを特徴とする請求項1に記載の負荷制御回路。
【請求項3】
前記第1負荷は、ルームランプであり、
前記第2負荷は、カーテシランプ及び/又はトランクランプである
ことを特徴とする請求項2に記載の負荷制御回路。
【請求項4】
前記第1保護手段は、
所定の電流値を超える電流が流れたときに前記第1経路を流れる電流を遮断するヒューズである
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一つに記載の負荷制御回路。
【請求項5】
前記第2保護手段は、
所定の電流値を超える電流が流れたときに前記第2経路を流れる電流を遮断するヒューズである
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一つに記載の負荷制御回路。
【請求項6】
前記第1経路、前記検知ライン及び前記第2経路は、ワイヤハーネスにより形成されていることを特徴とする請求項1から5の何れか一つに記載の負荷制御回路。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一つに記載の負荷制御回路を備えた車両におけるバッテリ上がり防止方法であって、駐車時に前記負荷制御回路の前記第1経路の第1保護手段により該経路を電気的に遮断することを特徴とするバッテリ上がり防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−195058(P2010−195058A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38669(P2009−38669)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】