説明

負荷感応型磁気クラッチ装置

【課題】負荷感応型磁気クラッチにおいて、クラッチ部に加わる負荷の変動によりクラッチの負荷トルク伝達経路が高負荷伝達経路から低負荷伝達経路に切換わるクラッチ戻りの発生を防止できる負荷感応型磁気クラッチ装置を提供する。
【解決手段】負荷感応型磁気クラッチ装置の磁極14aの側方にクラッチ突起16を備え、出力回転手段17を形成する磁極回転体14と、磁極回転体14と磁気吸引力によりトルクを伝達する歯形磁性体12aを備え、低トルク入力手段11を形成する継鉄回転体12と、出力回転手段17に設けられたクラッチ突起16と係合するクラッチ係合部3を有する高トルク入力手段2の、クラッチ突起16は磁性体からなり、クラッチ係合部3はクラッチ突起16が磁力によって吸着するクラッチ保持磁性体を有し、クラッチ保持磁性体は吸着したクラッチ突起16をクラッチ係合部の深部に誘導するクラッチ突起誘導部を有した構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの回転体間で磁気の吸引力によって回転トルクを伝達する負荷感応型磁
気クラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの回転体間で磁気の吸引力によって回転トルクを伝達する負荷感応型磁気クラッチ
装置において、磁気の吸引力によって伝達可能な回転トルクを上回る負荷トルクが作用したときに、回転体を回転軸方向に磁気の吸引力の作用で自動的にスライド移動し、この回転体のスライド移動作用を利用して、負荷トルクの大小によって回転トルクの伝達経路を低負荷伝達経路と高負荷伝達経路に切り換える磁気クラッチ装置が本出願人により提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2010-189080号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記磁気クラッチ装置は、
出力回転手段と低トルク回転手段間に予め設定した値を超える負荷トルクが作用した場合に、出力回転手段がスライドすることで、出力回転手段を高トルク回転手段に係合し、高負荷伝達経路にトルク伝達経路を切換えることができ、また、負荷トルクが磁極と側部磁性体間の磁気吸引力を下回ると、出力回転手段の磁極は低トルク回転手段の歯形磁性体と対向する位置に移動し、低負荷伝達経路にトルク伝達経路が切替わるので、負荷トルクの増減に伴い磁気クラッチの切換を自動的に行うことができるが、
例えば、手動チェーンブロックに応用した場合では、荷の巻上げ操作時に、出力回転手段の回転が停止すると高負荷の場合でも出力回転手段は低トルク回転手段に戻り、操作毎にクラッチの切換え動作が発生するという課題を有していた。
【0005】
本発明は、負荷感応型磁気クラッチにおいて、負荷トルクの伝達経路を低負荷伝達経路から高負荷伝達経路への切換え操作を迅速かつ確実に行うことができ、さらに、荷の巻上げ操作時等において、クラッチ部に加わる負荷の変動によりクラッチの負荷トルク伝達経路が高負荷伝達経路から低負荷伝達経路に切換わるクラッチ戻りの発生を防止できる負荷感応型磁気クラッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するもので、
円周上に列設された磁極と、前記磁極の側方にクラッチ突起を備え、出力回転手段を形成する磁極回転体と、
前記磁極回転体と同一回転軸心で回転し、前記磁極と歯先が対向するように列設される歯形形状部を有し、前記磁極回転体と磁気吸引力によりトルクを伝達する歯形磁性体を備え、低トルク入力手段を形成する継鉄回転体と、
前記磁極回転体と同一回転軸心で回転し、前記出力回転手段に設けられたクラッチ突起と係合するクラッチ係合部を有する高トルク入力手段を備えた負荷感応型磁気クラッチ装置であって、前記クラッチ突起は磁性体からなり、前記クラッチ係合部は前記クラッチ突起が磁力によって吸着するクラッチ保持磁性体を有し、前記クラッチ保持磁性体は吸着した前記クラッチ突起をクラッチ係合部の深部に誘導するクラッチ突起誘導部を有し、
前記磁極回転体と前記低トルク入力手段間で伝達可能なトルクを上まわる負荷トルクが作用したときに、前記クラッチ突起が前記クラッチ保持磁性体に吸着し、前記クラッチ突起誘導部によりクラッチ係合部の深部に誘導することを特徴とする。
【0007】
また、前記クラッチ保持磁性体は、台形形状をし、クラッチ突起をクラッチ係合部の深部に誘導するクラッチ突起誘導部と、台形形状頂部に形成され、前記クラッチ突起との吸着力が低減される磁気吸着力低減部を有することを特徴とする。
【0008】
また、前記磁気吸着力低減部は、磁気吸着力を低減する永久磁石を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記高トルク入力手段を遊星歯車機構の遊星キャリアに連結し、前記低トルク入力手段を前記遊星歯車機構の太陽歯車に連結し、前記遊星歯車機構に回転力を入力する回転トルク入力手段を前記遊星キャリアに連結したことを特徴とする。
【0010】
また、前記高トルク入力手段を、遊星歯車機構の遊星キャリアに前記遊星歯車機構に回転力を入力する回転トルク入力手段を介して連結し、前記低トルク入力手段を前記遊星歯車機構の太陽歯車に連結したことを特徴とする。
【0011】
また、手動チェーンブロックに前記の負荷感応型磁気クラッチ装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、円周上に列設された磁極を有し、端部に咬合クラッチのクラッチ突起を備える、出力回転手段を形成する磁極回転体と、前記磁極回転体と同一回転中心軸で回転し、前記磁極と歯先が対向するように列設される歯形形状部を有し、前記磁極回転体と磁気吸引力によるトルクを伝達する歯形磁性体を備え、低トルク入力手段を形成する継鉄回転体と、前記磁極回転体と同一回転軸心で回転し、前記出力回転手段に設けたクラッチ突起と係合する咬合クラッチのクラッチ係合部を有する高トルク入力手段を設けた構成としたので、予め設定した回転トルクを上回る負荷トルクが作用すると、出力回転手段が回転中心線方向に所定量スライドして、回転トルクの伝達を出力回転手段と低トルク回転手段の経路から、出力回転手段と高トルク回転手段の経路に簡単な構成で切り換えることが可能で、装置の小形化、クラッチ切換えの確実性、及びコストの低減を可能にでき、また、前記クラッチ係合部は前記クラッチ突起が磁力によって吸着するクラッチ保持磁性体を有し、前記クラッチ保持磁性体は吸着した前記クラッチ突起をクラッチ係合部の深部に誘導するクラッチ突起誘導部を有し、前記磁極回転体と前記低トルク入力手段間で伝達可能なトルクを上まわる負荷トルクが作用したときに、前記クラッチ突起が前記クラッチ保持磁性体に吸着し、前記クラッチ突起誘導部によりクラッチ係合部の深部に誘導する構成としたので、磁極回転体と低トルク入力手段間で伝達可能なトルクを上まわる負荷トルクが作用し、磁極回転体と継鉄回転体が相対回転を開始すると、両回転体の回転軸方向に働く磁力による吸着・保持力が、磁極と歯形形状部の歯先が対向吸着しているときに比べ大幅に低減し、その結果クラッチ突起とクラッチ係合部のクラッチ保持磁性体間に働く磁気吸引力が磁極回転体と継鉄回転体間に働く磁気吸引力を上まわり、クラッチ突起はクラッチ係合部のクラッチ保持磁性体に吸着し、クラッチ突起は該吸着力と負荷トルクによる両者の相対回転によってクラッチ突起誘導部の傾斜に沿ってクラッチ係合部の深部に誘導され、咬み合いクラッチが確実に係合し高負荷トルクを伝達することができる。また、負荷トルクが減少しても直ちにはクラッチ突起とクラッチ保持磁性体の係合は解除されず、吸着動作の逆をたどる動作によって咬み合いクラッチが解除されるので、手動チェーンブロックの無負荷高速変速装置として最適である。また、クラッチ突起がクラッチ保持磁性体に吸引されるため、咬合クラッチの係合動作を迅速かつ確実に行うことができる。
【0013】
また、クラッチ保持磁性体には、クラッチ突起との吸着力がクラッチ突起誘導部より低減された磁気吸着力低減部を設けたので、
負荷が作用しているときには確実に咬み合いクラッチが咬み合い状態を保持し、負荷が無くなり、クラッチ突起が磁気吸引力低減部に相対回転して移動したときに、磁極回転体と低トルク入力手段間に働く磁気吸着力がクラッチ突起とクラッチ保持磁性体間に働く磁気吸着力を上まわり、確実に咬み合いクラッチを解除することができる。
【0014】
また、永久磁石によって磁気吸着力低減部を形成し、吸着力を打ち消すようにすることで、吸着力を容易にコントロールできる。
【0015】
また、遊星歯車機構の遊星キャリアに高トルク入力手段を連結し、遊星歯車機構の太陽歯車に前記低トルク入力手段を連結する構成としたので、
一つの駆動源から高速回転を低トルク回転手段に、低速回転を高トルク回転手段にそれぞれ伝達することができ、自動変速駆動装置の構成をコンパクトに構成することができる。
【0016】
また、手動チェーンブロックに前記負荷感応型磁気クラッチ装置を備えた構成としたので、ハンドホイールを回転駆動させるだけで、無負荷では自動で高速に切り替わり巻上げ巻下げするチェーンブロックを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の負荷感応型磁気クラッチ装置の全体構成図。
【図2】図1の拡大断面説明図。
【図3】実施の形態2の負荷感応型磁気クラッチ装置の全体構成図。
【図4】図3の拡大断面図。
【図5】出力回転手段と低トルク回転手段を示す側面図。
【図6】本発明の負荷感応型磁気クラッチ装置の動作説明図。
【図7】本発明の負荷感応型磁気クラッチ装置を備えた手動チェーンブロックの低負荷高速回転時の全体構成図。
【図8】本発明の負荷感応型磁気クラッチ装置を備えた手動チェーンブロックの高負荷低速回転時の全体構成図。
【0018】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態1の負荷感応型磁気クラッチ装置について、図1、2を参照して説明する。
【0019】
本実施の形態は、1つの回転トルク入力手段にプラネタリキャリア(遊星キャリア)を介して高トルク入力手段を連結し、回転トルク入力手段の回転に連動して高速回転する低トルク入力手段を設けた形態である。図1及び図2において、1は後記するプラネタリキャリア7aに連結された回転トルク入力手段を構成する入力部材、2はプラネタリキャリア7aを介して入力部材1に連結された高トルク入力手段、3は高トルク入力手段2に設けられ、咬合クラッチのトルク伝達用係合部を構成する係合凹部で、後記する咬合クラッチのクラッチ突起16と係合するクラッチ係合部である。4は前記係合凹部3の凹部底面に設けられたクラッチ保持磁性体で、なだらかな山型の台形形状をし、クラッチ突起16をクラッチ係合部の深部に誘導するクラッチ突起誘導部4aと台形形状の頂部を形成する磁気吸着力低減部4bを有する。磁気吸着力低減部4bには係合凹部3の中央部に設けられ、前記磁気吸着力低減部4bの裏面に接するように永久磁石4cが設けられている。永久磁石4cは後記するクラッチ突起16の永久磁石15よりは吸引力の小さい磁力で構成され、永久磁石15の吸引力を打ち消すように作用し、クラッチ突起16のクラッチ係合部3からの離脱を容易にする。クラッチ突起16は永久磁石15によって励磁される強磁性体からなり、後記するクラッチ切換動作でクラッチ突起16が高トルク入力手段2の係合凹部3側に移動すると、クラッチ保持磁性体4に吸着し、保持される。高トルク入力手段2はクラッチ保持磁性体4以外は、非磁性体で構成されている。
【0020】
7は増速機構として作用する遊星歯車機構、7aは前記入力部材1に連結されたプラネタリキャリア、7bはプラネタリキャリア7aに回転可能に軸支されたプラネタリギア、8はプラネタリギヤ7bが内接咬合するリングギヤ、9は太陽ギヤ軸10に設けられた太陽ギヤ、10は増速機構の出力軸である太陽ギヤ軸である。プイラネタリギヤ7bは太陽ギヤ9と外接噛合し、前記リングギヤ8と内接噛合し、プラネタリキャリア7aの回転を増速し、前記入力部材1の回転を遊星歯車機構7を介して増速し、太陽ギヤ軸10を増速回転する。
【0021】
11は太陽ギヤ軸に連結され、入力部材1の回転を遊星歯車機構7で増速され高速回転する低トルク入力手段である。
【0022】
12は継鉄回転体で、低トルク入力手段11の円周上に2列に列設された複数の歯先を有する歯形形状継鉄(歯形形状磁性体)12a、12aを備える。
【0023】
14は円周上に2列に列設された磁極14a、14aを有する磁極回転体である。磁極14aは歯形形状継鉄12aの歯先の列の外周に対向配置されている。15は前記1対の磁極14a、14a間に設けられた中空円板状の永久磁石で、一方の側面がN極、他方の側面がS極となっている。磁極14a、14aは中空円板状の永久磁石15の側面に固着され、各磁極14a、14aの内周には複数の歯形形状部14b、14bが列設され、永久磁石15によって歯形形状部14bの歯先にN極又はS極が励磁されている。前記磁極回転体14、永久磁石15は出力回転手段17に固設されている。
【0024】
16は強磁性体からなり係合凹部3と係脱することで咬合クラッチを構成するクラッチ突起で、永久磁石15によって励磁されている。クラッチ突起16は出力回転手段17の磁極回転体14の側面から係合凹部3に向かって突出して設けられ、高負荷時に前記高トルク入力手段2に設けた係合凹部3に吸着し、係合する。
【0025】
17は前記永久磁石15を有する前記磁極回転体14とクラッチ突起16を備えた出力回転手段、17aは出力回転手段17のボス部である。出力回転手段17のボス部17aの内周にはスプライン17bが設けられており、出力軸18に設けたスプライン18aとスプライン結合しており、出力軸18と同一回転中心軸18bで回転し、出力回転手段17から出力軸18に回転トルクを伝達するとともに、出力回転手段17を出力軸18の軸方向にスライド可能に支持する。出力回転手段17は、磁極回転体14、永久磁石15、クラッチ突起16以外の材質は、非磁性体にて構成されている。
【0026】
次に、本実施の形態の磁気クラッチ機構の切換動作について説明する。
【0027】
図1に示すクラッチが低負荷を伝達する状態では、低トルク入力手段11の歯形形状継鉄12aの歯型形状部の歯先と出力回転手段17に設けた磁極14aの歯型形状部14bの歯先が対向した状態にあり、永久磁石15で励磁された磁極14aの歯形形状部14bと低トルク入力手段11に設けた歯形形状継鉄12aに磁気回路を形成し、両回転手段間に強力な磁気吸引力が発生する。
【0028】
この状態においては、磁極14aと歯形形状継鉄12a間の磁力による回転中心軸方向の吸引力は、クラッチ突起16と高トルク入力手段2のクラッチ保持磁性体4の磁力による回転中心軸方向の吸引力と釣合い状態にあり、歯形形状継鉄12aと磁極14aは、磁力によって図1に示す状態を維持し、歯形形状継鉄12aから磁極14aにトルクを伝達し、歯形形状継鉄12aは磁極14aを低トルク入力手段11と同速で回転する。この動作によって、出力回転手段17は回転トルク入力手段6に比して高速で回転する。
【0029】
次に、負荷トルクが増大し、負荷トルクが歯形形状継鉄12aと磁極14aの磁気吸引力を越えると、図6(a)に示すように、低トルク入力手段11と出力回転手段17は相対回転し、磁極14aと歯形形状継鉄12a間の磁力による吸引力の回転中心線方向の分力はFrmaxからFrminに減少し、一方、クラッチ突起16と高トルク入力手段2のクラッチ保持磁性体4の磁力による吸引力の回転中心線方向の分力が磁極14aと歯形形状継鉄12a間の磁力による吸引力の回転中心軸方向の分力より相対的に増大することにより、磁極14aは回転中心軸方向にスライドし、クラッチ突起16とクラッチ保持磁性体4は吸着し、磁極14aと歯形形状継鉄12aの相対位置が変位して、図6(b)に示すように、クラッチ突起16は回転トルク入力手段6と同じ速度で回転する高トルク入力手段2の係合凹部3に係合し、クラッチ突起誘導部4aの傾斜に沿ってクラッチ係合凹部3の深部に誘導され、高負荷低速回転に切換えられる。
【0030】
この動作によって、クラッチ突起16を介して、出力回転部材17を高トルク入力手段2と同速で回転する。
【0031】
この高負荷回転時においても、磁極14aと歯形形状継鉄12aは連続して相対的に回転し、磁極14aの歯形形状部14bと歯形形状継鉄12aの歯型形状部が対向した状態時に、磁極14aと歯形形状継鉄12aの歯型形状部間に最大のスラスト力が発生し、磁極14aの山(歯先)と歯形形状継鉄12aの谷(歯底)が対向した時にスラスト力は最小となる。
【0032】
次に、負荷が解消(所定トルク以下に減少)すると、磁極14aと歯形形状継鉄12aの歯形形状部の歯先同士が磁力で引き合い円周方向で歯先の位置が一致し向き合い、磁極14aと歯形形状継鉄12aの磁力による吸引力の回転中心軸方向の分力が増加する。高トルク入力手段2と出力回転手段17間に働く負荷トルクが解消されていると、この増加した磁気吸引力(スラスト力)によって、クラッチ突起16とクラッチ保持磁性体4は吸着しながらクラッチ突起16はクラッチ保持磁性体の頂部に設けられた磁気吸着力低減部4bに相対移動する。その結果、更に磁極14aと歯形形状継鉄12aの歯形形状部12bに働く磁力が増大し、クラッチ突起16はクラッチ保持磁性体4間に働く磁気吸着力は低減するので、クラッチ突起16はクラッチ保持磁性体4から釈放されて咬み合いクラッチの係合が解除され、低負荷伝達モードに切り換わる。
【0033】
以上の通り、高負荷時にはクラッチ突起16とクラッチ保持磁性体4の吸着力が高く確実に高トルク伝達モードを維持し、負荷が減少すると、クラッチ突起16が磁気吸着低減部4bに移動し、低トルク伝達モードに自動的に確実に切り替わることができる。
【0034】
本実施の形態によると、磁極回転体14と低トルク入力手段11間で伝達可能なトルクを上まわる負荷トルクが作用し、磁極回転体14と継鉄回転体12が相対回転を開始すると、両回転体の回転軸方向に働く磁力による吸着・保持力が、磁極14aと歯形形状継鉄12aの歯先が対向吸着しているときに比べ大幅に低減し、その結果、クラッチ突起16と高トルク入力手段のクラッチ係合凹部のクラッチ保持磁性体4間に働く磁気吸引力が磁極回転体14と継鉄回転体12間に働く磁気吸引力を上まわり、クラッチ突起はクラッチ係合凹部のクラッチ保持磁性体4に吸着し、クラッチ突起16は該吸着力と負荷トルクによる両者の相対回転によってクラッチ突起誘導部4aの傾斜に沿ってクラッチ係合部の深部に誘導され、咬み合いクラッチが確実に係合し高負荷トルクを伝達することができる。また、負荷トルクが減少しても直ちにはクラッチ突起16とクラッチ保持磁性体4の係合は解除されず、吸着動作の逆をたどる動作によって咬み合いクラッチが解除される。
【0035】
また、クラッチ保持磁性体4には、クラッチ突起16との吸着力がクラッチ突起誘導部4aより低減された磁気吸着力低減部を設けたので、負荷が作用しているときには確実に咬み合いクラッチが咬み合い状態を保持し、負荷が無くなり、クラッチ突起が磁気吸引力低減部に相対回転して移動したときに、磁極回転体19と低トルク入力手段11間に働く磁気吸着力がクラッチ突起16とクラッチ保持磁性体4間に働く磁気吸着力を上まわり、確実に咬み合いクラッチを解除することができる。
【0036】
また、永久磁石4cによって磁気吸着力低減部4bを形成し、吸着力を打ち消すようにすることで、吸着力を容易にコントロールできる。
【0037】
また、遊星歯車機構7の遊星キャリア7aに高トルク入力手段2を連結し、遊星歯車機構7の太陽プラネタリギヤ7bに低トルク入力手段11を連結する構成としたので、
一つの駆動源から高速回転を低トルク回転手段に、低速回転を高トルク回転手段にそれぞれ伝達することができ、自動変速駆動装置の構成をコンパクトに構成することができる。
〔実施の形態2〕
以下、本発明の実施の形態2の負荷感応型磁気クラッチ装置について、図3、4を参照して説明する。
【0038】
本実施の形態は、回転トルク入力手段に高トルク入力手段を連結し、回転トルク入力手段に遊星歯車機構を連結し、高速、低速回転の切換を行う形態である。図3及び図4において、1は後記する回転トルク入力手段を構成する非磁性の中空軸状の入力部材、2は入力部材1に連結された高トルク入力手段、3は高トルク入力手段2に設けられた咬合クラッチのトルク伝達用係合部を構成する係合凹部である。4は前記係合凹部3の凹部底面に設けられたクラッチ保持磁性体で、台形形状をし、クラッチ突起16をクラッチ係合部の深部に誘導するクラッチ突起誘導部4aと台形形状の頂部を形成する磁気吸着力低減部4bを有する。磁気吸着力低減部4bは係合凹部3の中央部に設けられ、前記台形形状部の頂部裏面に接するように永久磁石4cが設けられている。永久磁石4cは後記するクラッチ突起16の永久磁石15よりは吸引力の小さい磁石で構成され、永久磁石15の吸引力を打ち消すように作用する。クラッチ突起16は永久磁石15によって励磁される強磁性体からなり、高トルク入力手段2の係合凹部3のクラッチ保持磁性体4に吸着し、保持される。高トルク入力手段2はクラッチ保持磁性体4以外は、非磁性体で構成されている。
【0039】
6は入力部材1の外周に設けられたハンドホイール、ベルト車等の回転操作部材で、入力部材1を介して後記するプラネタリキャリア7aに連結されている。
【0040】
7は増速機構として作用する遊星歯車機構、7aは入力部材1に連結されたプラネタリキャリア、7bはプラネタリキャリア7aに回転可能に軸支されたプラネタリギア、8はプラネタリギヤ7bが内接咬合するリングギヤ、9は太陽ギヤ軸10に設けられた太陽ギヤ、10は増速機構の出力軸である太陽ギヤ軸である。プラネタリギヤ7bは太陽ギヤ9と外接噛合し、前記リングギヤ8と内接噛合し、プラネタリキャリア7aの回転を増速し、太陽ギヤ軸10を増速回転する。
【0041】
11は太陽ギヤ軸に連結され、回転トルク入力手段6の回転に対し遊星歯車機構の増速比で高速回転する低トルク入力手段、11aは低トルク入力手段のボス部である。
【0042】
低トルク入力手段11は軸受け19aを介して出力回転手段17の前記ボス部17a外周にボス部17aに対して相対的に回転及び軸方向にスライド可能に軸受されている。
【0043】
12は継鉄回転体で、低トルク入力手段11のボス部11aの外周の円周上に2列に列設された複数の歯先を有する歯形形状継鉄(歯形形状磁性体)12a、12aを備える。前記継鉄回転体12は軟磁性体が好ましい。
【0044】
14は円周上に2列に列設された磁極14a、14aを有する磁極回転体である。磁極14aは歯形形状継鉄12aの歯先の列の外周に対向配置されている。15は前記1対の磁極14a、14a間に設けられた中空円板状の永久磁石で、一方の側面がN極、他方の側面がS極となっている。磁極14a、14aは中空円板状の永久磁石15の側面に固着され、各磁極14a、14aの内周には複数の歯形形状部14b、14bが列設され、永久磁石15によって歯形形状部14bの歯先にN極又はS極が励磁されている。前記磁極回転体14、永久磁石15は出力回転手段17に固設されている。
【0045】
16は強磁性体からなり前記係合凹部3と係脱することで咬合クラッチを構成するクラッチ突起で、永久磁石15によって励磁されている。クラッチ突起16は磁極回転体14の側面から係合凹部3に向かって出力回転手段17から突出して設けられ、高負荷時に前記高トルク入力手段2に設けた係合凹部3に吸着し、係合する。
【0046】
17は前記永久磁石15を有する前記磁極回転体14及びクラッチ突起16を備えた出力回転手段、17aは出力回転手段17のボス部である。出力回転手段17のボス部17aの内周にはスプライン17bが設けられており、後記する駆動部材30のボス部30a外周に設けたスプライン30cとスプライン結合しており、出力回転手段17から駆動部材30を介して出力軸18に回転トルクを伝達するとともに、出力回転手段17を駆動部材30に対して軸方向にスライド可能に支持する。出力回転手段17は、磁極回転体14、永久磁石15、クラッチ突起16以外の材質は、非磁性体にて構成されている。
【0047】
次に、本実施の形態の磁気クラッチ機構の切換動作について説明する。
【0048】
図3に示すクラッチが低負荷を伝達する状態では、低トルク入力手段11の歯形形状継鉄12aの歯型形状部の歯先と出力回転手段17に設けた磁極14aの歯型形状部14bの歯先が対向した状態にあり、永久磁石15で励磁された磁極14aの歯形形状部14bと低トルク入力手段11に設けた歯形形状継鉄12aに磁気回路を形成し、両回転手段間に強力な磁気吸引力が発生する。
【0049】
この状態においては、磁極14aと歯形形状継鉄12a間の磁力による回転中心軸方向の吸引力は、クラッチ突起16と高トルク入力手段2のクラッチ保持磁性体4の磁力による回転中心軸方向の吸引力と釣合い(安定)状態にあり、歯形形状継鉄12aと磁極14aは、磁力によって図3に示す状態を維持し、歯形形状継鉄12aから磁極14aにトルクを伝達し、歯形形状継鉄12aは磁極14aを低トルク入力手段11と同速で回転する。この動作によって、出力回転手段17は回転トルク入力手段6に比して高速で回転する。
【0050】
次に、負荷トルクが増大し、負荷トルクが歯形形状継鉄12aと磁極14aの磁気吸引力を越えると、低トルク入力手段11と出力回転手段17は相対回転するため、磁極14aと歯形形状継鉄12a間の磁力による吸引力の回転中心線方向の分力はFrmaxからFrminに減少する。クラッチ突起16と高トルク入力手段2のクラッチ保持磁性体4の磁力による吸引力の回転中心線方向の分力により、磁極14aは回転中心線方向にスライドし、クラッチ突起16とクラッチ保持磁性体4は吸着し、磁極14aと歯形形状継鉄12aの相対位置が変位して、クラッチ突起16は回転トルク入力手段6と同じ速度で回転する高トルク入力手段2の係合凹部3に係合し、クラッチ突起誘導部4aの傾斜に沿ってクラッチ係合部3の深部に誘導され、高負荷低速回転に切換えられる。
【0051】
この高負荷回転時においても、磁極14aと歯形形状継鉄12aは連続して相対的に回転し、磁極14aの歯形形状部14bと歯形形状継鉄12aの歯型形状部が対向した状態時に、磁極14aと歯形形状継鉄12aの歯型形状部間に最大のスラスト力が発生し、磁極14aの山(歯先)と歯形形状継鉄12aの谷(歯底)が対向した時にスラスト力は最小となる。
【0052】
次に、負荷が解消(所定トルク以下に減少)すると、磁極14aと歯形形状継鉄12aの両者の歯形形状部の歯先同士が磁力で引き合い円周方向で歯先の位置が一致し向き合い、磁気回路が歯形形状継鉄12aの歯型形状部の歯先を流れる磁気回路が強固になるので、磁極14aと歯形形状継鉄12aの磁力による吸引力の回転中心線方向の分力が増加する。高トルク入力手段2と出力回転手段17間に働く負荷トルクが解消されていると、この増加した磁気吸引力(スラスト力)によって、クラッチ突起16とクラッチ保持磁性体4は吸着しながらクラッチ突起16はクラッチ保持磁性体の頂部に設けられた磁気吸着力低減部4bに相対移動する。その結果、更に磁極14aと歯形形状継鉄12aの歯形形状部12bに働く磁力が増大し、クラッチ突起16はクラッチ保持磁性体4間に働く磁気吸着力は低減するので、クラッチ突起16はクラッチ保持磁性体4から釈放されて咬み合いクラッチの係合が解除され、低負荷伝達モードに切り換わる。
【0053】
以上の通り、高負荷時には、クラッチ突起16とクラッチ保持磁性体4の吸着力が高く確実に高トルク伝達モードを維持し、負荷が減少すると、クラッチ突起16が磁気吸着低減部4bに移動し、低トルク伝達モードに自動的に確実に切り替わることができる。
【0054】
本実施の形態によると、回転トルク入力手段6に高トルク入力手段2を連結し、回転トルク入力手段6に遊星歯車機構7を連結し、出力回転手段17を介して高速、低速の回転切換えを行う形態であるため、手動チェーンブロックのハンドホイールを回転トルク入力手段に設けることで、容易に手動チェーンブロックに適用することが可能で、手動チェーンブロックに本実施の形態の前記負荷感応型磁気クラッチ装置を備えることで、ハンドホイール6を回転駆動させるだけで、無負荷では自動で高速に切り替わり巻上げ巻下げするチェーンブロックを提供できる。
【0055】
以上の通り、本発明によると、出力回転手段17の磁極14aに付加される負荷により、出力回転手段17に設けた磁極14aと低トルク入力手段11に設けた歯形形状継鉄12aとが相対回転した時に、永久磁石15の磁力によって発生するスラスト力を利用して、磁極14aを回転軸方向にスライドすることで出力回転手段17を高トルク入力手段2に、クラッチ突起16と係合凹部3からなる咬合クラッチによって連結する構成としているので、従来公知の装置において必要としていた別体としてのスラスト変換機構を設ける必要がないため、部品点数が少なく、構造が簡単で、小型・軽量化が可能となり、製品コストを大幅に削減することができ、また、高負荷時には、磁極14aと歯形形状継鉄12aの相対回転により、磁極14aに設けたクラッチ突起16を高トルク入力手段2に係合する構成としているので、高負荷時においても、動力伝達を確実に行うがことができ、かつクラッチの切換えをハイレスポンスに行うことができる。
【0056】
さらに、高トルク入力手段2のトルク伝達用係合凹部3にクラッチ突起誘導部4aを有するクラッチ保持磁性体4を設けたので、出力回転手段17が低トルク入力手段11から高トルク入力手段2に切換える動作時、クラッチ突起16がクラッチ保持磁性体4に吸引され、クラッチ突起誘導部4aの傾斜に沿ってクラッチ係合凹部3の深部に誘導されるため、クラッチ突起16による切換え動作を確実に行うことができ、また、高負荷伝達モードにおける操作時、クラッチ突起16は常時クラッチ保持磁性体4の深部に吸着されているため、クラッチに作用する負荷の変動によりクラッチ戻りの発生を防止することができる。また、クラッチ保持磁性体4にクラッチ突起16との離脱用の磁気吸引力低減部4bを設けたので、出力回転手段17と高トルク入力手段2間のトルクが減少し、出力回転手段17を高トルク入力手段2から、低トルク入力手段11への伝達に伝達経路を切換える操作を、高トルク入力手段2をそれまでの回転方向とは逆方向に回転させることで、クラッチ突起16を磁気吸引力低減部4bから離反する方向に移動させ、クラッチ突起16とクラッチ保持磁性体4との吸着力は低減し、出力回転手段17を高トルク入力手段2から低トルク入力手段11への伝達位置に切換え、円滑に低負荷伝達(高速)モードに切換えることができる。
〔実施の形態3〕
図7〜図8を用いて、本発明の実施の形態2の負荷感応型磁気クラッチ装置を内蔵したチェーンブロックの実施の形態について説明する。
【0057】
図7は、本発明の負荷感応型磁気クラッチ装置を備えた手動チェーンブロックの低負荷高速回転時の全体構成図を示し、図8は、本発明の負荷感応型磁気クラッチ装置を備えた手動チェーンブロックの高負荷低速回転時の全体構成図を示す。
【0058】
図において、21は巻上機の上フック、22はロードシーブ23及び減速ギア用軸受を備えた本体フレーム、23は本体フレーム22に回転可能に軸支され、図示しないロードチェーンを巻き上げ巻き下げするロードシーブ、24aはロードシーブ23のボス部にスプライン結合されたロードギヤ、24bは駆動軸18のピニオン18aと噛合し、ロードギヤ24aと噛合する図示しない減速歯車(小)と同軸に軸着された減速ギヤ(大)で、駆動軸18の回転を減速してロードシーブ23に伝達している。18はロードシーブ23の挿通孔に回転自在に貫装され、一方の端部にはピニオン18a、他方には雄ねじ18bが設けられている。駆動軸18はピニオン18a側の先端がカバーフレーム27aに軸受け26aで軸支され、雄ねじ18b側の先端が回転操作部材であるハンドホイール6のカバーフレーム27bに軸受け26bで軸支されている。
【0059】
25は駆動軸18に回転不能に軸着されたブレーキ受圧部材で、そのボス部25aには一対の摩擦板29、29と、摩擦板29、29に挟装され、図示しない爪に係合する逆転防止用爪車28が回転可能に外装されている。
【0060】
30はメカニカルブレーキの駆動部材で、ボス部30aの内周部に雌ネジ30bを、外周部にスプライン30cを有し、前記雌ネジ30bは駆動軸18の雄ネジ18bに螺合し、正転(巻き上げ操作)することで、摩擦板29、29及び逆転防止用爪車28をブレーキ受圧部材25に向かってその制動面で押圧し、駆動部材30の回転を駆動軸18に伝達するように構成され、逆転(巻き下げ操作)することで、前記押圧方向とは逆方向にスライドして逆転防止用爪車28との摩擦係合を解放し逆転(巻き下げ)を可能にするようにされており、駆動部材30はメカニカルブレーキの回動駆動操作される入力部を構成している。
【0061】
ボス部30aは、駆動部材30から、摩擦板29を押圧する制動面とは反対方向で後記するハンドホイール6のカバーフレーム27bの側面方向に延長され、ボス部30aの外周に設けられたスプライン30cに、後記する出力回転部材17のボス部17aが軸方向にスライド可能にボス部17aの内周に設けられたスプラインで嵌装され、駆動部材30と出力回転部材17はトルク伝達可能に連結されている。更にこのボス部17aの外周に低トルク入力手段11が軸受け19aによって回転可能、かつ回転軸方向へスライド可能に相対移動可能に軸承されている。以下磁気クラッチの構成は実施の形態2と同一である。
【符号の説明】
【0062】
1 入力部材
2 高トルク入力手段
3 係合凹部
4 クラッチ保持磁性体
4a クラッチ突起誘導部
4b 磁気吸着力低減部
4c 永久磁石
6 回転操作部材
7 遊星歯車機構
7a プラネタリキャリア
7b プラネタリギヤ
8 リングギヤ
9 太陽ギヤ
10 太陽ギヤ軸
11 低トルク入力手段
12 継鉄回転体
12a 歯形形状継鉄
14 磁極回転体
14a 磁極
14b 歯形形状部
15 永久磁石
16 クラッチ突起
17 出力回転手段
17a ボス部
18 出力軸(駆動軸)
18a スプライン
23 ロードシーブ
24a ロードギヤ
24b 減速ギヤ
25 受圧部材
26a、26b 軸受け
30 駆動部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周上に列設された磁極と、前記磁極の側方にクラッチ突起を備え、出力回転手段を形成する磁極回転体と、
前記磁極回転体と同一回転軸心で回転し、前記磁極と歯先が対向するように列設される歯形形状部を有し、前記磁極回転体と磁気吸引力によりトルクを伝達する歯形磁性体を備え、低トルク入力手段を形成する継鉄回転体と、
前記磁極回転体と同一回転軸心で回転し、前記出力回転手段に設けられたクラッチ突起と係合するクラッチ係合部を有する高トルク入力手段を備えた負荷感応型磁気クラッチ装置であって、前記クラッチ突起は磁性体からなり、前記クラッチ係合部は前記クラッチ突起が磁力によって吸着するクラッチ保持磁性体を有し、前記クラッチ保持磁性体は吸着した前記クラッチ突起をクラッチ係合部の深部に誘導するクラッチ突起誘導部を有し、
前記磁極回転体と前記低トルク入力手段間で伝達可能なトルクを上まわる負荷トルクが作用したときに、前記クラッチ突起が前記クラッチ保持磁性体に吸着し、前記クラッチ突起誘導部によりクラッチ係合部の深部に誘導することを特徴とする負荷感応型磁気クラッチ装置。
【請求項2】
前記クラッチ保持磁性体は、台形形状をし、クラッチ突起をクラッチ係合部の深部に誘導するクラッチ突起誘導部と、台形形状頂部に形成され、前記クラッチ突起との吸着力が低減される磁気吸着力低減部を有することを特徴とする請求項1記載の負荷感応型磁気クラッチ装置。
【請求項3】
前記磁気吸着力低減部は、磁気吸着力を低減する永久磁石を有することを特徴とする請求項2記載の負荷感応型磁気クラッチ装置。
【請求項4】
前記高トルク入力手段を、遊星歯車機構の遊星キャリアに連結し、前記低トルク入力手段を、前記遊星歯車機構の太陽歯車に連結し、前記遊星歯車機構に回転力を入力する回転トルク入力手段を前記遊星キャリアに連結したことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の負荷感応型磁気クラッチ装置。
【請求項5】
前記高トルク入力手段を、遊星歯車機構の遊星キャリアに前記遊星歯車機構に回転力を入力する回転トルク入力手段を介して連結し、前記低トルク入力手段を、前記遊星歯車機構の太陽歯車に連結したことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の負荷感応型磁気クラッチ装置。
【請求項6】
請求項5に記載の負荷感応型磁気クラッチ装置を備えた手動チェーンブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−207736(P2012−207736A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74554(P2011−74554)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000129367)株式会社キトー (101)
【Fターム(参考)】