説明

貨幣処理システム、貨幣搬送カセットおよび貨幣処理装置

【課題】貨幣搬送カセットおよび貨幣処理装置の各接続部をそれらの接続回数に応じて適切に交換し、それにより貨幣搬送カセットと貨幣処理装置との間の電気的接続不良を未然に防止する。
【解決手段】本発明による貨幣処理システムは、貨幣を入金または出金する貨幣処理装置と、貨幣を搬送しその貨幣を貨幣処理装置に入金または貨幣処理装置から出金するために貨幣処理装置に着脱可能な貨幣搬送カセットとを備えた貨幣処理システムである。貨幣処理装置は、貨幣搬送カセットが貨幣処理装置に装着されるときに、貨幣搬送カセットに接続される第1の接続部と、第1の接続部に貨幣搬送カセットが接続された回数を示す第1の接続回数を記憶する第1の記憶部と、貨幣搬送カセットが第1の接続部に接続されたときに、第1の接続回数を増加させる制御部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理システム、貨幣収納カセットおよび貨幣処理装置に係わり、例えば、店舗内での精算において貨幣の受け渡しを行い、その貨幣を収納する貨幣処理システム、貨幣搬送カセットおよび貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から店舗のチェックアウトカウンターにおいて店員が客との貨幣の受け渡し業務を行うために貨幣精算装置およびPOS(Point Of Sale)レジスタが使用されている。貨幣精算装置は、投入された貨幣を識別・計数して金額を算出した上で、収納すると共に、収納されている貨幣を釣銭として払い出す機能を有している。
【0003】
一方、店舗のバックオフィスにおいては、その店舗内に設置された貨幣精算装置に釣銭準備金等の貨幣を装填し、あるいは、貨幣精算装置の売上金等を回収するために貨幣出納装置が使用されている。貨幣出納装置は、貨幣精算装置から回収された貨幣を収納し、貨幣精算装置へ装填する貨幣を投出する機能を有している。
【0004】
通常、営業開始時に店員は、釣銭準備金等を貨幣精算装置に装填する必要がある。また、営業終了後に店員は、貨幣精算装置に収納されている売上金等をバックオフィスの貨幣出納装置に収納する必要がある。
【0005】
このような釣銭の装填処理または回収処理において、セキュリティおよび管理者の管理負担を考慮して、貨幣搬送カセットの使用が考えられている。
【0006】
例えば、特許文献1に開示されているカセットは、カセット内に格納した紙幣を繰り出す駆動源を備え、紙幣処理装置は、そのカセットと接続するコネクタを備えている。カセットが紙幣処理装置のコネクタに電気的に接続されることにより、紙幣処理装置は、カセットの駆動源を駆動させる。これにより、カセットに格納された紙幣が、紙幣処理装置内に入金される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−198131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、店舗のチェックアウトカウンターの貨幣精算装置やPOSレジスタとバックオフィスの貨幣出納装置との間において、貨幣は、営業開始時の装填および営業終了後の回収だけでなく、キャッシャーの交代時、業務中の釣銭の補充時または釣銭の回収時にも搬送する必要がある。このような場合、貨幣搬送カセットは、多数回にわたって貨幣精算装置または貨幣出納装置(以下、両者をまとめて貨幣処理装置ともいう)に着脱される。
【0009】
貨幣搬送カセットと貨幣処理装置との間の着脱回数(接続回数)が増加すると、貨幣搬送カセットと貨幣処理装置との間の電気的接続を行うコネクタが消耗し、両者の接続不良を招致するおそれがある。
【0010】
一方、貨幣搬送カセットおよび貨幣処理装置の各コネクタの消耗を考慮して、定期的にこれらのコネクタを交換することが考えられる。しかし、各コネクタの接続回数はばらつくので、定期交換のサイクルは比較的短期間に設定される必要がある。この場合、実際には接続回数がさほど多くなく、消耗していないコネクタも交換することになる。このような運用は、非効率的であり、かつ、不経済でもある。
【0011】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、貨幣搬送カセットおよび貨幣処理装置の各コネクタをそれらの接続回数に応じて適切に交換し、それにより貨幣搬送カセットと貨幣処理装置との間の電気的接続不良を未然に防止することができる貨幣処理システム、貨幣搬送カセットおよび貨幣処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による実施形態に従った貨幣処理システムは、貨幣を入金または出金する貨幣処理装置と、貨幣を搬送しその貨幣を前記貨幣処理装置に入金または前記貨幣処理装置から出金するために前記貨幣処理装置に着脱可能な貨幣搬送カセットとを備え、
前記貨幣処理装置は、前記貨幣搬送カセットが前記貨幣処理装置に装着されるときに、前記貨幣搬送カセットに接続される第1の接続部と、前記第1の接続部に前記貨幣搬送カセットが接続された回数を示す第1の接続回数を記憶する第1の記憶部と、前記貨幣搬送カセットが前記第1の接続部に接続されたときに、前記第1の接続回数を増加させる制御部とを備えている。
【0013】
前記貨幣搬送カセットは、該貨幣搬送カセットが前記貨幣処理装置に装着されるときに、前記第1の接続部に結合することによって前記貨幣処理装置に接続される第2の接続部と、前記貨幣処理装置に前記第2の接続部が接続された回数を示す第2の接続回数を記憶する第2の記憶部とを備えていてもよい。
【0014】
前記貨幣処理装置は、前記貨幣搬送カセットが前記第1の接続部に接続されたときに、該貨幣搬送カセットの前記第2の接続回数を読み取るリード・ライト部をさらに備え、前記制御部は、前記リード・ライト部において読み取られた前記第2の接続回数を増加させ、前記リード・ライト部は、増加後の該第2の接続回数を第2の記憶部へ書き戻してもよい。
【0015】
前記貨幣搬送カセットの前記第2の記憶部は、前記第2の接続回数と該貨幣搬送カセットに割り当てられたカセット識別情報とを記憶し、前記貨幣搬送カセットが前記第1の接続部に接続されたときに、前記貨幣処理装置の前記リード・ライト部は、該貨幣搬送カセットの前記第2の接続回数および前記カセット識別情報を読み取り、前記第1の記憶部は、該貨幣搬送カセットに対応する前記第2の接続回数と前記カセット識別情報とを関連付けて記憶してもよい。
【0016】
当該貨幣処理システムは、前記貨幣処理装置に通信可能に接続されており、前記第1の接続回数および前記第2の接続回数を記憶する管理装置をさらに備えてもよい。
【0017】
前記貨幣処理装置は、前記第1または前記第2の接続回数が所定値に達した場合に、該第1または該第2の接続回数が所定値に達したことを報知する報知部をさらに備えてもよい。
【0018】
前記貨幣処理装置は、前記第1または前記第2の接続回数が所定値に達した場合に、該第1または該第2の接続回数が所定値に達したことを前記管理装置へ通知してもよい。
【0019】
前記貨幣搬送カセットが前記第1の接続部に接続されたときに前記第1または第2の接続回数が所定値に達している場合、前記貨幣処理装置は、該貨幣搬送カセットに対して入金および出金を行わないように構成してもよい。
【0020】
前記制御部は、前記第1または第2の接続回数の上限値を設定し、あるいは、前記貨幣処理システムは、前記第1または第2の接続回数の上限値を設定する接続回数設定装置をさらに備えていてもよい。
【0021】
本発明に係る実施形態に従った貨幣搬送カセットは、貨幣を搬送しその貨幣を貨幣処理装置に入金または前記貨幣処理装置から出金するために前記貨幣処理装置に着脱可能な貨幣搬送カセットであって、
前記貨幣搬送カセットが前記貨幣処理装置に装着されるときに、前記貨幣処理装置に接続される接続部と、前記貨幣処理装置に前記接続部が接続された接続回数を記憶する記憶部とを備えている。
【0022】
前記記憶部は、前記接続回数と前記貨幣搬送カセットに割り当てられたカセット識別情報とを記憶していてもよい。
【0023】
本発明に係る実施形態に従った貨幣処理装置は、貨幣を搬送する貨幣搬送カセットを貨幣の入金または出金のために着脱することができる貨幣処理装置であって、
前記貨幣搬送カセットが前記貨幣処理装置に装着されるときに、前記貨幣搬送カセットに接続される第1の接続部と、前記第1の接続部に前記貨幣搬送カセットが接続された回数を示す第1の接続回数を記憶する第1の記憶部と、前記貨幣搬送カセットが前記第1の接続部に接続されたときに、前記第1の接続回数を増加させる制御部とを備えている。
【0024】
前記貨幣処理装置は、前記貨幣搬送カセットが前記第1の接続部に接続されたときに、該貨幣搬送カセットに設けられた第2の記憶部から前記貨幣処理装置に接続された回数を示す第2の接続回数を読み取るリード・ライト部をさらに備え、
前記制御部は、前記リード・ライト部において読み取られた該第2の接続回数を増加させ、前記貨幣処理装置は、増加後の該第2の接続回数を前記第2の記憶部へ書き込んでもよい。
【0025】
前記貨幣搬送カセットが前記第1の接続部に接続されたときに、前記リード・ライト部は、前記貨幣搬送カセットから該貨幣搬送カセットの前記第2の接続回数および該貨幣搬送カセットに割り当てられたカセット識別情報を読み取り、前記第1の記憶部は、該貨幣搬送カセットに対応する前記第2の接続回数と前記カセット識別情報とを関連付けて記憶してもよい。
【0026】
前記貨幣処理装置は、前記第1または前記第2の接続回数が所定値に達した場合に、前記第1または前記第2の接続回数が所定値に達したことを報知する報知部をさらに備えてもよい。
【0027】
前記貨幣搬送カセットが前記第1の接続部に接続されたときに前記第1または第2の接続回数が所定値に達している場合、前記貨幣処理装置は、該貨幣搬送カセットに対して入金および出金を行わないように構成してもよい。
【0028】
前記制御部は、前記第1または第2の接続回数の上限値を設定してもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明による貨幣処理システム、貨幣搬送カセットおよび貨幣処理装置は、貨幣搬送カセットおよび貨幣処理装置の各コネクタをそれらの接続回数に応じて適切に交換し、それにより貨幣搬送カセットと貨幣処理装置との間の電気的接続不良を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1の実施形態に従った貨幣管理システム1の構成例を示すブロック図。
【図2】貨幣精算装置11の一例を示す外観を示す図。
【図3】貨幣精算装置11の構成例を示すブロック図。
【図4】紙幣精算装置12の内部構成の一例を示す断面図。
【図5】硬貨精算装置13の内部構成の一例を示す断面図。
【図6】貨幣出納装置21の一例を示す外観を示す図。
【図7】貨幣出納装置21の構成例を示すブロック図。
【図8】紙幣出納装置22の内部構成の一例を示す断面図。
【図9】貨幣出納装置21のうち硬貨出納装置23の内部構成の一例を示す断面図。
【図10】紙幣を搬送するテープリール式の貨幣搬送カセット30の構成例を示す外観図。
【図11】硬貨を搬送する貨幣搬送カセット30の構成例を示す外観図。
【図12】コネクタ192(または292)およびコネクタ39の構成を示す図。
【図13】本実施形態による貨幣処理システム1の動作を示すフロー図。
【図14】本実施形態によるコネクタの交換動作を示すフロー図。
【図15】変形例2による貨幣処理システム1の動作を示すフロー図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明による実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0032】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る第1の実施形態に従った貨幣管理システム1の構成例を示すブロック図である。貨幣管理システム1は、店員が顧客から受け取った貨幣、および、店員が顧客へ支払う貨幣を処理および管理するシステムである。
【0033】
貨幣管理システム1は、店舗内のチェックアウトエリアに設けられており、店員が顧客との間でやりとりした貨幣を入出金するチェックアウトカウンター10と、チェックアウトカウンター10の貨幣および商品を管理するバックオフィス20と、チェックアウトカウンター10とバックオフィス20との間において貨幣を搬送する貨幣搬送カセット30とから構成されている。
【0034】
チェックアウトカウンター10には、貨幣を入金および出金することにより顧客との精算処理を行う単数または複数の貨幣精算装置11が設けられている。図1では、チェックアウトカウンター10には、3つの貨幣精算装置11が設けられている。貨幣精算装置11は、店員または顧客自らによって操作され、店員と顧客との間の精算処理に用いられる。例えば、貨幣精算装置11は、顧客が支払った代金を入金し、あるいは、顧客へ支払う釣銭を出金する。
【0035】
貨幣精算装置11は、例えば、店員によって操作されるPOSレジスタまたは顧客によって操作されるセルフチェックアウト用レジスタと通信可能に接続されている。貨幣精算装置11は、POSレジスタまたはセルフチェックアウト用レジスタと一体に構成されていてもよい。
【0036】
バックオフィス20には、貨幣出納装置21と、貨幣管理装置25と、POS管理装置26が設けられている。貨幣出納装置21は、貨幣精算装置11と通信可能に接続されており、例えば、貨幣精算装置11へ装填するための釣銭準備金を出金し、あるいは、貨幣精算装置11から回収した売上金を入金する。貨幣管理装置25は、LAN(Local Area Network)等を介して貨幣精算装置11および貨幣出納装置21と通信可能に接続されている。貨幣管理装置25は、貨幣精算装置11および貨幣出納装置21に収納されている貨幣を管理する。例えば、貨幣管理装置25は、貨幣精算装置11のそれぞれにおいて精算処理された貨幣、並びに、貨幣精算装置11と貨幣出納装置21との間で授受された貨幣を管理する。また、貨幣管理装置25は、貨幣精算装置11または貨幣出納装置21に貨幣搬送カセット30が装着されているか否かを監視してもよい。POS管理装置26は商品の流れを管理する。尚、商品の流れについては本発明と直接関連しないので、ここではPOS管理装置26に関する詳細な説明を省略する。
【0037】
貨幣搬送カセット30は、貨幣精算装置11および貨幣出納装置21に着脱可能に構成されており、貨幣精算装置11または貨幣出納装置21に装着されているときには貨幣精算装置11または貨幣出納装置21との間で貨幣を授受することができる。一方、貨幣搬送カセット30は、貨幣精算装置11および貨幣出納装置21から離脱しているときには内部の貨幣を取出せないように収納している。店員は、貨幣搬送カセット30を用いて貨幣精算装置11と貨幣出納装置21との間における貨幣の搬送を行う。例えば、釣銭準備金の装填時あるいは売上金の回収時には、店員は、貨幣搬送カセット30を用いて貨幣を貨幣精算装置11と貨幣出納装置21との間で搬送する。店員は、貨幣の搬送時に貨幣搬送カセット30内の貨幣に触れることができないので、セキュリティ上安全な状態で貨幣を搬送することができる。
【0038】
貨幣搬送カセット30は、紙幣および硬貨のいずれか一方を搬送するように構成されていてもよく、両方を搬送できるように構成されていてもよい。紙幣用の貨幣搬送カセット30は、紙幣を積み重ねて収納するスタック式カセットであってもよく、あるいは、紙幣を一枚ずつ複数のテープ間に挟み込んだ状態で該テープを紙幣とともに巻き取るテープリール式カセットであってもよい。硬貨用の貨幣搬送カセット30は、金種混合の状態で硬貨を収納するカセットでよい。
【0039】
[貨幣精算装置11の構成]
各貨幣精算装置11は、硬貨を入金および出金することにより精算処理を行う硬貨精算装置13と、紙幣を入金および出金することにより精算処理を行う紙幣精算装置12とを含む。
【0040】
以下、紙幣精算装置12の構成要素と硬貨精算装置13の構成要素とを区別するために、紙幣精算装置12の構成要素の参照番号に“a”を付し、硬貨精算装置13の構成要素の参照番号に“b”を付す。尚、硬貨精算装置13および紙幣精算装置12は、取り扱う対象が硬貨と紙幣とでそれぞれ異なるので具体的構成については相違するものの、図3に示す基本的なブロック構成については同様でよい。
【0041】
図2は、各貨幣精算装置11の一例を示す外観を示す図である。貨幣精算装置11は、紙幣精算装置12および硬貨精算装置13を備える。紙幣精算装置12は、筐体100aと、入金部110aと、出金部120aとを備えている。入金部110aは、顧客から受け取った紙幣を投入するために設けられている。出金部120aは、釣銭紙幣を投出するために設けられている。筐体100aの前カバー101aを開けると、貨幣搬送カセット30を装着するためのカセット装着部(図4の160a参照)が設けられている。
【0042】
硬貨精算装置13は、筐体100bと、入金部110bと、出金部120bとを備えている。入金部110bは、顧客から受け取った硬貨を投入するために設けられている。出金部120bは、釣銭硬貨を投出するために設けられている。筐体100bの前カバー101bを開けると、貨幣搬送カセット30を装着するためのカセット装着部(図5の160b参照)が設けられている。
【0043】
図3は、貨幣精算装置11の構成例を示すブロック図である。貨幣精算装置11は、入金部110および出金部120のほか、搬送部130と、識別部140と、収納部150と、リード・ライト部157と、カセット装着部160と、メモリ170と、通信部180と、制御部190と、コネクタ192と、操作表示部195とをさらに備えている。
【0044】
搬送部130は、入金部110に投入された貨幣を収納部150へ搬送し、あるいは、出金部120から投出する貨幣を収納部150から搬送する。また、搬送部130は、貨幣を収納部150へ装填するためにカセット装着部160に装着された貨幣搬送カセット30内の貨幣を収納部150へ搬送し、あるいは、貨幣を収納部150から回収するために収納部150に収納された貨幣を貨幣搬送カセット30へ搬送できるように構成されている。
【0045】
識別部140は、搬送部130によって搬送されている貨幣の金種、真偽、正損、新旧、数量等を検知するように構成されている。例えば、識別部140は、イメージセンサまたは磁気センサ等のセンサを備えている。
【0046】
収納部150は、識別部140において識別された貨幣を金種ごとに収納することができるように構成されている。収納部150は、紙幣を収納する場合、各紙幣を金種ごとに積み重ねて収納するスタック式収納部でもよく、あるいは、各紙幣を金種ごとに複数のテープ間に挟み込んだ状態で該テープを紙幣とともに巻き取る複数のテープリール式収納部であってもよい。
【0047】
カセット装着部160は、貨幣搬送カセット30を着脱可能に構成されている。カセット装着部160は、貨幣搬送カセット30から貨幣を入金し、あるいは、貨幣搬送カセット30へ貨幣を出金することができるように構成されている。
【0048】
リード・ライト部157は、後述する貨幣搬送カセット30に設けられた記憶部35に格納された情報を読み取り、あるいは、記憶部35へ情報を書き込むことができるように構成されている。
【0049】
コネクタ192は、貨幣搬送カセット30が貨幣精算装置11に装着されるときに、貨幣搬送カセット30に接続されるように構成されている。
【0050】
メモリ170は、貨幣精算装置11を制御する各種プログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)またはHDD(Hard Disk Drive)、および、プログラムのロード領域やプログラム実行時における作業領域となるRAM(Random Access Memory)等を含む。メモリ170は、収納部150および貨幣搬送カセット30に収納されている貨幣の情報(金種、数量等)も記憶している。また、メモリ170は、貨幣搬送カセット30がコネクタ192に接続された回数を示す接続回数を記憶する。さらに、メモリ170は、識別部140で識別された貨幣の数量を金種ごとに記憶してもよい。
【0051】
通信部180は、貨幣処理システム1を構成する他の装置(貨幣出納装置21、貨幣管理装置25、POS管理装置26)と通信可能に接続されている。
【0052】
制御部190は、メモリ170内のプログラムを実行して貨幣精算装置11の全体を制御するように構成された演算処理装置である。制御部190は、貨幣搬送カセット30がコネクタ192に接続されたときに、メモリ170に記憶された接続回数を増加させ、その後、その接続回数をメモリ170に書き戻すように構成されている。さらに、制御部190は、リード・ライト部157によって読み出された貨幣搬送カセット30の記憶部35に記憶されている接続回数も増加させ、その後、リード・ライト部157を介してその接続回数を記憶部35に書き戻すように構成されている。
【0053】
これにより、コネクタ192および貨幣搬送カセット30のコネクタ39(図10(A)、図11参照)の消耗の程度を検知することができ、コネクタ192、39を適切な時期に交換することができる。
【0054】
尚、操作表示部195は、保守員が貨幣処理装置11を保守点検した際に、貨幣処理装置11のID、貨幣搬送カセット30のID、コネクタ192、39の接続回数、日時等の情報を表示することができる。これらの情報は、貨幣管理装置25の表示部に表示させてもよい。貨幣管理システム1は、操作表示部195が表示した内容を印字するプリンタをさらに備えてもよい。
【0055】
図4は、貨幣精算装置11のうち紙幣精算装置12の内部構成の一例を示す断面図である。紙幣精算装置12は入金部カバー111aを備えており、店員は入金時に入金部カバー111aを開けて紙幣を入金部110aへ投入する。入金部110aは投入された紙幣を一枚ずつ搬送部130aへ繰り出すように構成されている。搬送部130aは、繰り出された紙幣を識別部140aに通過させた後、収納部150a、貨幣搬送カセット30または出金部120aへ搬送するように構成されている。識別部140aは、搬送されている紙幣の金種、真偽、正損、新旧、数量等を識別する。搬送部130aは、識別部140aによる識別結果に基づいて紙幣を金種ごとに収納部150aに収納する。
【0056】
尚、搬送部130aは、収納部150aがフルの場合等、必要に応じて、貨幣搬送カセット30に紙幣を搬送してよい。また、搬送部130aは、識別部140aにおいて紙幣が識別することができなかったり、偽紙幣が識別された場合、それを出金部120aへ投出するようになっている。
【0057】
一方、紙幣を出金するために、収納部150aは、紙幣を一枚ずつ搬送部130aへ繰り出すように構成されている。搬送部130aは、繰り出された紙幣を出金部120aへ搬送する。紙幣精算装置12は、出金部シャッタ121aを備えており、出金時に出金部シャッタ121aを開け、紙幣を投出する。
【0058】
このように、紙幣精算装置12は、入金部110aに投入された紙幣を収納部150aへ収納し、逆に、収納部150aに収納された紙幣を出金部120aへ投出することができる。即ち、紙幣精算装置12は、入金された紙幣を出金に再利用することができるように構成されている。
【0059】
貨幣搬送カセット30がカセット装着部160aに装着されている場合、紙幣精算装置12は、貨幣搬送カセット30から収納部150aへ紙幣を装填し、あるいは、収納部150aから貨幣搬送カセット30aへ紙幣を回収することができる。紙幣を装填する場合、貨幣搬送カセット30が紙幣を一枚ずつ搬送部130aへ繰り出す。搬送部130aは繰り出された紙幣を収納部150aへ装填する。紙幣を回収する場合、収納部150aが紙幣を一枚ずつ搬送部130aへ繰り出す。搬送部130aは繰り出された紙幣を貨幣搬送カセット30へ回収する。
【0060】
このように、紙幣精算装置12は、貨幣搬送カセット30を用いて紙幣の装填および回収を行うことができるように構成されている。
【0061】
図5(A)および図5(B)は、貨幣精算装置11のうち硬貨精算装置13の内部構成の一例を示す断面図である。図5(A)は硬貨精算装置13を側方から見た断面図であり、図5(B)は硬貨精算装置13を正面から見た断面図である。尚、図5(B)では、貨幣搬送カセット30および繰出部137bの図示を省略しており、収納部150bを図示している。
【0062】
硬貨精算装置13は、図5(B)に示すように入金部110bを備えており、店員は入金時に硬貨を入金部110bへ投入する。このとき、複数の金種の硬貨は、混合された状態で投入されてよい。円盤型の繰出部133bは、入金部110bに投入された硬貨を一枚ずつ搬送部130bへ繰り出すように構成されている。搬送部130bは、繰り出された硬貨を識別部140bに通過させた後、収納部150b、貨幣搬送カセット30または出金部120bへ搬送する。識別部140bは、搬送されている硬貨の金種、真偽、正損、新旧、数量等を識別する。搬送部130bは、識別部140bによる識別結果に基づいて硬貨を金種ごとに選別し、硬貨を対応する金種の収納部150bに収納する。
【0063】
尚、搬送部130bは、収納部150bがフルの場合等、必要に応じて、硬貨を貨幣搬送カセット30または回収ボックス135bに搬送してよい。また、搬送部130bは、識別部140bにおいて硬貨がリジェクト硬貨であると識別された場合、そのリジェクト硬貨を出金部120bへ投出する。
【0064】
一方、硬貨を出金するために、収納部150bは、硬貨を一枚ずつ搬送部131bへ繰り出すように構成されている。複数の収納部150bは、各金種ごとに貨幣を収納しており、それぞれ円盤型の繰出部153bを備えている。繰出部153bは、硬貨を一枚ずつ搬送部130bへ繰り出すように構成されている。搬送部130bは、繰り出された硬貨を出金部120bへ搬送する。これにより、硬貨精算装置13は、硬貨を出金部120bへ投出する。
【0065】
このように、硬貨精算装置13は、入金部110bに投入された硬貨を収納部150bへ収納し、逆に、収納部150bに収納された硬貨を出金部120bへ投出することができる。即ち、硬貨精算装置13は、入金された硬貨を出金に再利用することができるように構成されている。
【0066】
貨幣搬送カセット30がカセット装着部160bに装着されている場合、硬貨精算装置13は、貨幣搬送カセット30から収納部150bへ硬貨を装填し、あるいは、収納部150bから貨幣搬送カセット30bへ硬貨を回収することができる。硬貨を装填する場合、貨幣搬送カセット30は、図5(A)に示す繰出部137bに硬貨を投出する。このとき、貨幣搬送カセット30は、金種の混合された状態で硬貨を繰出部137bに投出してよい。繰出部137bは硬貨を搬送部131bに繰り出す。搬送部131bは繰り出された硬貨を繰出部133bへ搬送し、繰出部133bは、硬貨を一枚ずつ搬送部130bへ繰り出す。搬送部130bは、繰り出された硬貨を識別部140bに通過させた後、収納部150bまたは出金部120bへ搬送するように構成されている。識別部140bは、搬送されている硬貨の金種を識別する。搬送部130bは、識別部140bによる識別結果に基づいて硬貨を金種ごとに収納部150bに収納する。
【0067】
硬貨を回収する場合、硬貨精算装置13は、収納部150bから硬貨を一枚ずつ搬送部131bへ繰り出す。搬送部131bは繰り出された硬貨を貨幣搬送カセット30へ回収する。
【0068】
このように、硬貨精算装置13は、貨幣搬送カセット30を用いて硬貨の装填および回収を行うことができるように構成されている。
【0069】
[貨幣出納装置21の構成]
貨幣出納装置21は、硬貨精算装置13へ装填する硬貨を出金し、硬貨精算装置13から回収した硬貨を入金する硬貨出納装置23と、紙幣精算装置12へ装填する紙幣を出金し、紙幣精算装置12から回収した紙幣を入金する紙幣出納装置22とを含む。紙幣出納装置22および硬貨出納装置23は、一組の貨幣出納装置21として構成される。
【0070】
以下、紙幣出納装置22の構成要素と硬貨出納装置23の構成要素とを区別するために、紙幣出納装置22の構成要素の参照番号に“a”を付し、硬貨出納装置23の構成要素の参照番号に“b”を付す。紙幣出納装置22および硬貨出納装置23は、取り扱う対象が硬貨と紙幣とでそれぞれ異なるため具体的な構成については相違するものの、図7に示す基本的なブロック構成については同様でよい。操作表示部295は、ただし、紙幣出納装置22または硬貨出納装置23のいずれか一方に設けられ、それらの両方の情報を表示するために共通に用いられる。
【0071】
図6は、貨幣出納装置21の一例を示す外観を示す図である。貨幣出納装置21は、紙幣出納装置22および硬貨出納装置23を備える。紙幣出納装置22は、筐体200aと、入金部210aと、出金部220aと、操作表示部295aとを備えている。入金部210aは、紙幣を投入するために設けられている。出金部220aは、紙幣を投出するために設けられている。入金部210aは、バラ紙幣を繰り出すバラ貨幣繰出部211aまたは貨幣搬送カセット30を選択的に装着できるように構成されている。従って、入金部210aは、貨幣搬送カセット30を用いることなくバラ紙幣を入金することができ、貨幣搬送カセット30から紙幣を入金することもできる。出金部220aは、貨幣搬送カセット30を用いることなくバラ紙幣を出金することができる。前カバー201aを開くと、図8に示す回収部255aおよび収納部250aが設けられている。
【0072】
操作表示部295は、貨幣出納装置21、貨幣精算装置11および貨幣搬送カセット30の状態等を表示し、かつ、店員がデータを入力することができるように構成されている。操作表示部295は、例えば、タッチパネル式ディスプレイ等でよい。
【0073】
硬貨出納装置23は、筐体200bと、入金部210bと、出金部220bとして機能するドロワ装着部260とを備えている。入金部210bは、硬貨を投入するために設けられている。ドロワ装填部260は、硬貨を投出するために設けられている。入金部210bは、バラ硬貨をそのまま投入するか、または貨幣搬送カセット30を装着できるように構成されている。従って、入金部210bは、貨幣搬送カセット30を用いることなくバラ硬貨を入金することができ、貨幣搬送カセット30から硬貨を入金することもできる。ドロワ装着部260は、硬貨を金種ごとに収納する収納ドロワ258bまたは貨幣搬送カセット30を選択的に装着できるように構成されている。従って、ドロワ装着部260は、貨幣搬送カセット30を用いることなく硬貨を出金することができ、貨幣搬送カセット30へ硬貨を出金することもできる。前カバー201bを開くと、図9に示す収納部250bが設けられている。
【0074】
図7は、貨幣出納装置21の構成例を示すブロック図である。貨幣出納装置21は、入金部210、出金部220および操作表示部295のほか、搬送部230と、識別部240と、収納部250と、回収部255と、リード・ライト部257と、機外リジェクト部222と、機内リジェクト部224と、メモリ270と、通信部280と、コネクタ292と、制御部290とをさらに備えている。
【0075】
貨幣出納装置21の入金部210は、バラ貨幣繰出部201または貨幣搬送カセット30を選択的に装着することができるように構成されている。例えば、店員が貨幣出納装置21へバラ貨幣を入金する場合には、バラ貨幣繰出部201が入金部210に装着される。店員が貨幣出納装置21へ貨幣搬送カセット30を用いて貨幣を入金する場合には、バラ貨幣繰出部201に代えて、貨幣搬送カセット30が入金部210に装着される。即ち、貨幣出納装置21は、バラ貨幣繰出部201に代えて、入金部210に貨幣搬送カセット30を着脱することができるように構成されている。
【0076】
搬送部230は、入金部210に投入された貨幣を収納部250へ搬送し、あるいは、出金部220から投出する貨幣を収納部250から搬送する。また、搬送部230は、収納部250から貨幣搬送カセット30へ貨幣を搬送し、あるいは、貨幣搬送カセット30から収納部250へ貨幣を搬送できるように構成されている。
【0077】
識別部240は、搬送部230によって搬送されている貨幣の金種、真偽、正損、新旧、数量等を検知するように構成されている。例えば、識別部240は、磁気センサ、蛍光センサ、金属スレッドセンサ、厚みセンサ、イメージセンサ等のセンサを備えている。また、識別部240は、貨幣の数量を金種別にカウントする。
【0078】
収納部250は、識別部240において識別された貨幣を金種ごとに収納することができるように構成されている。収納部250は、紙幣を収納する場合、スタック式収納部でもよく、あるいは、テープリール式収納部であってもよい。
【0079】
リード・ライト部257は、後述する貨幣搬送カセット30に設けられた記憶部35に格納された情報を読み取り、あるいは、記憶部35へ情報を書き込むことができるように構成されている。
【0080】
コネクタ292は、貨幣搬送カセット30が貨幣精算装置11に装着されるときに、貨幣搬送カセット30に接続されるように構成されている。
【0081】
メモリ270は、貨幣出納装置21を制御する各種プログラムおよびデータを格納するROMまたはHDD、および、プログラムのロード領域やプログラム実行時における作業領域となるRAM等を含む。メモリ270は、収納部250および貨幣搬送カセット30に収納されている貨幣の情報(金種、数量等)も記憶している。また、メモリ270は、コネクタ292に貨幣搬送カセット30が接続された回数を示す接続回数を記憶する。さらに、メモリ270は、識別部240で識別された貨幣の数量を金種ごとに記憶してもよい。
【0082】
通信部280は、貨幣処理システム1を構成する他の装置(貨幣精算装置11、貨幣管理装置25、POS管理装置26)と通信可能に接続されている。
【0083】
制御部290は、メモリ270内のプログラムを実行して貨幣出納装置21の全体を制御するように構成された演算処理装置である。制御部290は、貨幣搬送カセット30がコネクタ292に接続されたときに、メモリ270に記憶された接続回数を増加させ、その後、その接続回数をメモリ270に書き戻すように構成されている。さらに、制御部290は、リード・ライト部257によって読み出された貨幣搬送カセット30の記憶部35に記憶されている接続回数も増加させ、その後、リード・ライト部257を介してその接続回数を記憶部35に書き戻すように構成されている。
【0084】
これにより、コネクタ292および貨幣搬送カセット30のコネクタ39(図10(A)、図11参照)の消耗の程度を検知することができ、コネクタ192、39を適切な時期に交換することができる。
【0085】
図8(A)および図8(B)は、貨幣出納装置21のうち紙幣出納装置22の内部構成の一例を示す断面図である。図8(A)は、入金部210aにバラ紙幣繰出部211aを装着した状態を示し、図8(B)は、入金部210aに貨幣搬送カセット30を装着した状態を示す。尚、操作表示部295については、図8においてその図示を省略している。
【0086】
店員がバラ紙幣を入金する場合、図8(A)に示すように、店員は、入金部210aにバラ紙幣繰出部211aを装着する。店員が紙幣をバラ紙幣繰出部211aへ投入すると、バラ紙幣繰出部211aは投入された紙幣を一枚ずつ搬送部230aへ繰り出す。搬送部230aは、繰り出された紙幣を識別部240aに通過させた後、収納部250a、回収集積部254aまたは機外リジェクト部222aへ搬送するように構成されている。識別部240aは、搬送されている紙幣の金種、真偽、正損、新旧、数量等を識別する。搬送部230aは、識別部240aによる識別結果に基づいて紙幣を金種ごとに収納部250aに収納する。
【0087】
搬送部230aは、収納部250aがフルの場合等、必要に応じて、回収集積部254aに紙幣を搬送してよい。回収集積部254aに集積された紙幣が所定数を超えた場合には、紙幣は回収部255aへ収納される。また、搬送部230aは、識別部240aにおいて紙幣を識別することができなかったり、偽紙幣が識別された場合、それを機外リジェクト部222aへ投出する。
【0088】
一方、紙幣を出金する場合には、収納部250aは、紙幣を一枚ずつ搬送部230aへ繰り出すように構成されている。搬送部230aは、繰り出された紙幣を出金部220aへ搬送し、その紙幣を投出する。紙幣の搬送の途中でセンサ242aが重送、連鎖、斜行等の搬送異常を検出した場合、搬送部230aは、その紙幣を機内リジェクト部224aへ搬送する。
【0089】
このように、紙幣出納装置22は、入金部210aに投入された紙幣を収納部250aへ収納し、逆に、収納部250aに収納された紙幣を出金部220aへ投出することができる。即ち、紙幣出納装置22は、入金された紙幣を出金に再利用することができるように構成されている。
【0090】
図8(B)に示すように、バラ紙幣繰出部211aが上方へ回動されて退避され、貨幣搬送カセット30がバラ紙幣繰出部201aの代わりに入金部210aに装着されていた場合、紙幣出納装置22は、貨幣搬送カセット30から収納部250aへ紙幣を入金し、あるいは、収納部250aから貨幣搬送カセット30aへ紙幣を出金することができる。紙幣を貨幣精算装置11へ装填する場合、紙幣を貨幣搬送カセット30へ搬送するために、収納部250aが紙幣を一枚ずつ搬送部230aへ繰り出す。搬送部230aは、繰り出された紙幣を貨幣搬送カセット30へ出金する。これにより、紙幣出納装置22は、貨幣精算装置11へ装填する紙幣を貨幣搬送カセット30へ出金することができる。
【0091】
貨幣精算装置11から紙幣を回収する場合、貨幣搬送カセット30内には貨幣精算装置11から回収された紙幣がすでに入っている。従って、貨幣搬送カセット30がその中にある紙幣を一枚ずつ搬送部230aへ繰り出し、搬送部230aは、繰り出された紙幣を収納部250aへ収納する。紙幣の搬送の途中でセンサ242aが重送、連鎖、斜行等の搬送異常を検出した場合、搬送部230aは、その紙幣を機内リジェクト部224aへ収納する。
【0092】
このように、紙幣出納装置22は、貨幣精算装置11へ装填される紙幣を貨幣搬送カセット30へ出金することができ、また、貨幣精算装置11から回収された紙幣を貨幣搬送カセット30から入金することができるように構成されている。
【0093】
図9(A)および図9(B)は、貨幣出納装置21のうち硬貨出納装置23の内部構成の一例を示す断面図である。図9(A)は硬貨出納装置23を側方から見た断面図であり、図9(B)は硬貨出納装置23を正面から見た断面図である。
【0094】
硬貨出納装置23は、入金部210bを備えており、貨幣精算装置11から回収した硬貨を貨幣搬送カセット30から入金することができるように構成されている。また、硬貨出納装置23は、回収部255bおよび貨幣搬送カセット30を装着可能なドロア装着部260を備えている。ドロア装着部260に貨幣搬送カセット30を装着することによって、貨幣精算装置11へ装填する硬貨を貨幣搬送カセット30へ金種別に区分けして出金することができる。
【0095】
バラ硬貨を入金する場合、店員は入金時に硬貨を入金部210bへ投入する。このとき、複数の金種の硬貨は、混合された状態で投入されてよい。円盤型の繰出部233bは、入金部210bに投入された硬貨を一枚ずつ搬送部230bへ繰り出すように構成されている。搬送部230bは、繰り出された硬貨を識別部240bに通過させた後、一時保留部235bへ搬送するように構成されている。一時保留部235bは、金種ごとに設けられており、硬貨を一時的に保留するように構成されている。
【0096】
識別部240bは、搬送されている硬貨の金種、真偽、正損、新旧、数量等を識別する。搬送部230bは、識別部240bによる識別結果に基づいて硬貨を金種ごとに選別し、硬貨を対応する金種の一時保留部235bに入れる。
【0097】
各一時保留部235bは、対応する金種の収納部250bにシュート236bを介して連通しており、投入された硬貨が全て一時保留部235bに保留された後、硬貨を対応する金種の収納部250bへ収納する。
【0098】
搬送部230bは、収納部250bがフルの場合等、必要に応じて、オーバーフローボックス259bに硬貨を搬送してよい。搬送部230bは、一時保留部235bがフルの場合には、オーバーフローボックス259bに硬貨を搬送してよい。また、搬送部230bは、識別部240bにおいて硬貨がリジェクト硬貨であると識別された場合にも、そのリジェクト硬貨をリジェクト部234bへ搬送してよい。
【0099】
一方、バラ硬貨を出金する場合、収納部250bは、硬貨を一枚ずつ搬送部231bへ繰り出すように構成されている。複数の収納部250bは、各金種ごとに硬貨を収納しており、それぞれ円盤型の繰出部253bを備えている。繰出部253bは、硬貨を一枚ずつ繰り出し、シュート256bを介してドロア258bへ搬送する。硬貨出金部としてのドロア258bは、金種ごとに貨幣を収容するように構成されており、シュート256bも、金種ごとに貨幣を投出するように構成されている。これにより、硬貨出納装置23は、硬貨を金種ごとにドロア258bへ出金することができる。尚、回収部255bへ回収される硬貨は、金種が混合された状態でよい。
【0100】
このように、硬貨出納装置23は、入金部210bに投入された硬貨を収納部250bへ収納し、逆に、収納部250bに収納された硬貨をドロア258bへ投出することができる。即ち、硬貨出納装置23は、入金された硬貨を出金に再利用することができるように構成されている。
【0101】
尚、POSレジスタは、精算処理時に授受される貨幣を手作業により収納するドロワを備えている場合がある。このような場合、収納ドロア258bは、チェックアウトカウンター10のPOSレジスタのドロアに硬貨を装填するときに用いられる。店員は、硬貨出納装置21の収納ドロア258bに出金された硬貨をPOSレジスタのドロアへ装填する。POSレジスタのドロアから硬貨を回収する場合には、店員は、入金部210bへ硬貨を投入すればよい。POSレジスタのドロアは、硬貨出納装置21の収納ドロア258bと同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
【0102】
POSレジスタのドロアが硬貨出納装置21の収納ドロア258bと同じものである場合、収納ドロア258bは、装填処理時に硬貨出納装置21に装着され、精算処理時にPOSレジスタへ装着される。この場合、店員は、硬貨を硬貨出納装置21の収納ドロア258bからPOSレジスタのドロアへ移し替える必要がない。また、硬貨出納装置21は、硬貨を金種別に区分けして収納ドロア258bへ出金するので、店員は、硬貨出納装置21に収納ドロア258bを装着後、直ちに精算処理を実行することができる。
【0103】
POSレジスタのドロアが硬貨出納装置21の収納ドロア258bと異なるものである場合、収納ドロア258bは、装填処理時に硬貨出納装置21に装着される。店員は、収納ドロア258bに出金された貨幣を精算処理時にPOSレジスタへ移し替える。この場合、硬貨出納装置21の収納ドロア258bの構成は、POSレジスタのドロアの構成と異なってよい。
【0104】
貨幣搬送カセット30が入金部210bに装着されている場合、硬貨出納装置23は、貨幣精算装置11から回収した硬貨を貨幣搬送カセット30から入金することができる。店員が貨幣搬送カセット30を入金部210bに装着すると、貨幣搬送カセット30は、繰出部233bへ硬貨を投入する。このとき、貨幣は、金種混合の状態で投入されてよい。その後の動作は、バラ硬貨が投入されたときと同様である。これにより、硬貨は、金種ごとに収納部250bへ収納される。
【0105】
貨幣搬送カセット30が回収部255bに代わって装着されている場合、硬貨出納装置23は、貨幣精算装置11へ装填する硬貨を貨幣搬送カセット30へ出金することができる。この場合、バラ硬貨を出金する場合と同様に、硬貨は、収納部250bからシュート256bを介して貨幣搬送カセット30へ投出される。このとき、貨幣搬送カセット30へ投出された硬貨は、金種混合の状態であってもよい。
【0106】
このように、硬貨出納装置23は、貨幣搬送カセット30からの硬貨を収納部250bへ収納し、逆に、収納部250bに収納された硬貨を貨幣搬送カセット30へ投出することができる。
【0107】
図10(A)および図10(B)は、紙幣を搬送するテープリール式の貨幣搬送カセット30の構成例を示す外観図である。貨幣搬送カセット30は、テープを繰り出す2つのテープリールRtと、2つのテープ間に紙幣を挟み込んだ状態で該テープを巻き取る巻取りリールRrと、巻取りリールRrを回転させるモータMとを備えている。モータMが巻取りリールRrを回転させると、巻取りリールRrに追従して2つのテープリールRtも回転するように構成されている。
【0108】
貨幣搬送カセット30内に紙幣を収納するときには、モータMが巻取りリールRrを回転させ、入出金口36から入金される紙幣を一枚ずつ2つのテープ間に挟み込み、巻取りリールRrにその紙幣をテープとともに巻き取る。貨幣搬送カセット30から紙幣を繰り出すときには、モータMは巻取りリールRrを逆に回転させ、2つのテープ間に挟み込まれた紙幣を入出金口36から繰り出し、テープはテープリールRtに巻き取られる。このように、貨幣搬送カセット30は、紙幣を収納し、あるいは、紙幣を繰り出すことができる。
【0109】
モータMは、貨幣搬送カセット30が貨幣精算装置11または貨幣出納装置21に装着されたときに貨幣精算装置11または貨幣出納装置21から電力供給を受けることによって駆動される。
【0110】
図11(A)および図11(B)は、硬貨を搬送する貨幣搬送カセット30の構成例を示す外観図である。硬貨を搬送する貨幣搬送カセット30は、上部開口部31と、下部開口部32とを備えている。
【0111】
例えば、図5(A)に示す硬貨精算装置13から硬貨を回収する場合、貨幣搬送カセット30がカセット装着部160bに装着されたときに、硬貨精算装置13に設けられたアクチュエータ(図示せず)が、貨幣搬送カセット30の上部開口部31を開ける。このとき、下部開口部32は閉じた状態を維持している。これにより、硬貨精算装置13は、回収される硬貨を、上部開口部31を介して貨幣搬送カセット30へ投入することができる。
【0112】
硬貨精算装置13へ硬貨を装填する場合、貨幣搬送カセット30がカセット装着部160bに装着されたときに、硬貨精算装置13に設けられたアクチュエータは、貨幣搬送カセット30の下部開口部32を開ける。これにより、貨幣搬送カセット30内の硬貨は、下部開口部32から繰出部137bへ投出される。
【0113】
また、図9(A)に示す硬貨出納装置23から装填用の硬貨を貨幣搬送カセット30へ投入する場合、貨幣搬送カセット30がドロワ258bの代わりに装着される。このとき、硬貨出納装置23に設けられたアクチュエータが、貨幣搬送カセット30の上部開口部31を開ける。下部開口部32は閉じた状態を維持している。これにより、硬貨出納装置23は、硬貨を上部開口部31から投入することができる。
【0114】
硬貨出納装置13から貨幣搬送カセット30を用いて回収された硬貨を硬貨出納装置23へ回収する場合、貨幣搬送カセット30が入金部210bに装着される。このとき、硬貨出納装置23に設けられたアクチュエータは、貨幣搬送カセット30の下部開口部32を開ける。上部開口部31は閉じた状態を維持している。これにより、貨幣搬送カセット30内の硬貨は、下部開口部32から繰出部233bへ投出される。
【0115】
図10(A)〜図11(B)に示す貨幣搬送カセット30は、記憶部35と、コネクタ39とをさらに備えている。記憶部35は、貨幣搬送カセット30を特定するために各貨幣搬送カセット30に割り当てられたカセットID情報(カセット識別情報)と、貨幣精算装置11または貨幣出納装置21(以下、貨幣精算装置11、貨幣出納装置21をまとめて貨幣処理装置11,21ともいう)がコネクタ39に接続された回数を示す接続回数とを少なくとも記憶する。コネクタ39は、貨幣搬送カセット30が貨幣処理装置11,21に装着されるときに、貨幣処理装置11,21のコネクタ192(または292)に結合することによって貨幣搬送カセット30と貨幣処理装置11,21との間を電気的に接続する。
【0116】
貨幣処理システム1内に複数の貨幣搬送カセット30がある場合、各貨幣搬送カセット30は、互いに異なるカセットID情報を有する。これにより、貨幣精算装置11および貨幣出納装置21が、複数の貨幣搬送カセット30およびそれらの接続回数をそれぞれ特定することができる。カセットID情報は、例えば、複数の貨幣搬送カセット30のそれぞれに対して設定された固有の番号でよい。また、記憶部35は、必要に応じて貨幣搬送カセット30に収容されている貨幣の金種や数量等の情報を格納してもよい。
【0117】
貨幣精算装置11は、貨幣出納装置21および貨幣管理装置25と通信接続されていない場合も考えられる。このような場合、貨幣搬送カセット30の記憶部35は、自己のカセットID情報および接続回数だけでなく、装填または回収する貨幣の金種情報および数量情報、並びに、貨幣の装填対象または回収対象である貨幣精算装置11のID情報を格納してもよい。これにより、貨幣精算装置11は、自身が装填処理の対象であることを知ることができ、かつ、装填される貨幣の金種および数量を知ることができる。また、貨幣出納装置21は、貨幣搬送カセット30内の貨幣がいずれの貨幣精算装置11から回収された貨幣かを知ることができ、かつ、回収された貨幣の金種および数量を知ることができる。従って、貨幣精算装置11が貨幣出納装置21および貨幣管理装置25と通信接続されていなくとも、貨幣搬送カセット30の記憶部35が、装填または回収する貨幣の金種情報および数量情報、並びに、貨幣の装填対象または回収対象である貨幣精算装置11のID情報を格納していれば、貨幣の装填処理および回収処理を実行することができる。
【0118】
記憶部35に記憶された接続回数は、貨幣精算装置11または貨幣出納装置21に接続される度に、リード・ライト部157または257によって読み出され、制御部190,290において増加された後に、記憶部35に書き戻される。これにより、貨幣搬送カセット30のコネクタ39の消耗の程度を管理することができ、コネクタ39を適切な時期に交換することができる。
【0119】
図12は、第1のコネクタとしてのコネクタ192(または292)および第2のコネクタとしてのコネクタ39の構成を示す図である。
【0120】
コネクタ192(または292)およびコネクタ39は、雌雄結合するように構成された一対のコネクタでよい。コネクタ192(または292)およびコネクタ39が結合することによって、貨幣搬送カセット30は貨幣処理装置11、21に電気的に接続される。これにより、貨幣処理装置11、21は、貨幣搬送カセット30のモータMを駆動させたり、記憶部35から情報を読み取ることができる。
【0121】
コネクタ192(または292)およびコネクタ39の形状は雌雄結合に限定されず、電気的な接続をもたらすものであれば、任意の形状でよい。
【0122】
(貨幣処理システム1の動作)
次に、本実施形態による貨幣処理システム1の具体的な動作を説明する。各貨幣精算装置11の貨幣在高、貨幣出納装置21の貨幣在高、各貨幣精算装置11において入金または出金された貨幣の金額、貨幣出納装置21と各貨幣精算装置11との間で装填または回収された貨幣の金額は、すべて貨幣管理装置25において管理されている。また、複数の貨幣精算装置11は、互いに区別することができるようにそれぞれ固有のID情報を有し、複数の貨幣精算装置11の各メモリ170がそのID情報を格納している。また、貨幣管理装置25も各貨幣精算装置11のID情報を把握している。以下の各処理において、貨幣精算装置11と貨幣出納装置21との間の通信は貨幣管理装置25を介して行われる。しかし、貨幣精算装置11と貨幣出納装置21とは互いに直接通信してもよいことは言うまでもない。
【0123】
また、貨幣処理システム1は、紙幣および硬貨のいずれにも適用できる。例えば、紙幣を処理する場合、貨幣精算装置11のうち紙幣精算装置12を使用し、貨幣出納装置21のうち紙幣出納装置22を使用すればよい。また、貨幣搬送カセット30は、紙幣用の貨幣搬送カセット(スタック式またはテープリール式のいずれでもよい)を使用すればよい。
【0124】
一方、硬貨を処理する場合、貨幣精算装置11のうち硬貨精算装置13を使用し、貨幣出納装置21のうち硬貨出納装置23を使用すればよい。また、貨幣搬送カセット30は、図11(A)および図11(B)に示す硬貨用の貨幣搬送カセットを使用すればよい。以下、便宜的に紙幣と硬貨とをまとめて「貨幣」と表現するが、「貨幣」は、「紙幣」または「硬貨」のいずれに置き換えてもよい。
【0125】
図13は、本実施形態による貨幣処理システム1の動作を示すフロー図である。尚、貨幣搬送カセット30は、貨幣精算装置11または貨幣出納装置21のいずれかに装着される。従って、以下の記載において「貨幣処理装置11、21」は、貨幣精算装置11および貨幣出納装置21のうち貨幣搬送カセット30が装着された装置を意味する。
【0126】
貨幣処理装置11、21へ貨幣を装填し、あるいは、貨幣処理装置11、21内の貨幣を回収する場合、操作者は、貨幣搬送カセット30を貨幣処理装置11、21に装着する(S10)。
【0127】
貨幣処理装置11、21が貨幣搬送カセット30の装着を検知すると、即ち、貨幣搬送カセット30のコネクタ39が貨幣処理装置11、21のコネクタ192、292に電気的に接続されると、貨幣処理装置11、21のリード・ライト部157、257は、貨幣搬送カセット30の記憶部35に記憶されたカセットID情報および接続回数を読み取る(S20)。貨幣処理装置11、21の記憶部170、270は、読み取ったカセットID情報および接続回数を互いに関連付けて記憶する(S30)。
【0128】
次に、制御部190、290は、貨幣処理装置11、21のメモリ170、270に記憶された貨幣処理装置11、21側の接続回数(以下、第1の接続回数ともいう)をカウントアップするとともに、貨幣搬送カセット30側の接続回数(以下、第2の接続回数ともいう)をもカウントアップする(S40)。
【0129】
次に、制御部190または290は、第1および第2の接続回数を所定値Xと比較する(S50)。所定値Xは、例えば、コネクタ39、192、292の電気的な接続を保証することができる接続回数の上限値(保証回数)、あるいは、保証回数よりも一定値だけ低い値である。所定値Xは、貨幣処理装置11、21の記憶部170または270に予め格納しておく。あるいは、貨幣管理装置25、出納機100、精算装置、POSレジスタ等が所定値Xを予め格納してもよい。所定値Xは、制御部190または290あるいは貨幣管理装置25、出納機100、精算装置、POSレジスタ等に第1または第2の接続回数の上限値として設定される。貨幣管理装置25、出納機100、精算装置、POSレジスタ等が所定値Xを設定する場合、貨幣管理装置25、出納機100、精算装置、POSレジスタ等は接続回数設定装置として機能する。
【0130】
第1または第2の接続回数のいずれかが所定値Xに達している場合(S50のYES)、貨幣処理装置11、21は、第1または第2の接続回数が所定値Xに達したことを操作者に報知する(S60)。例えば、貨幣処理装置11、21は、報知部としての表示操作部195、295に第1または第2の接続回数が所定値Xに達したことを表示する。あるいは、貨幣処理装置11、21は、第1または第2の接続回数が所定値Xに達したこと報知する専用の報知ブザーまたは報知ランプを備えていてもよい。あるいは、貨幣管理装置25が第1または第2の接続回数が所定値Xに達したこと報知してもよい。
【0131】
第1の接続回数が保証回数に達し、あるいは、第1の接続回数が保証回数に近づくと、貨幣搬送カセット30のコネクタ39が消耗していると考えられる。従って、第1の接続回数が所定値Xに達したこと報知することによって、操作者は、コネクタ39の適切な交換時期を知ることができる。また、第2の接続回数が保証回数に達し、あるいは、第2の接続回数が保証回数に近づくと、コネクタ192または292が消耗していると考えられる。従って、第1の接続回数が所定値Xに達したこと報知することによって、操作者は、コネクタ192または292の適切な交換時期を知ることができる。
【0132】
制御部190または290は、カウントアップ後の第1および第2の接続回数をメモリ170または270へ格納する(S70)。これにより、コネクタ192または292の接続回数が更新される。さらに、リード・ライト部157または257は、第2の接続回数を記憶部35へ書き戻す(S80)。これにより、コネクタ39の接続回数が更新される。
【0133】
第1および第2の接続回数のいずれも所定値Xに達していない場合(S50のNO)、制御部190または290は、カウントアップ後の貨幣処理装置11、21側の接続回数および貨幣搬送カセット30側の接続回数をメモリ170または270へ格納する(S70)。これにより、コネクタ192または292の接続回数が更新される。さらに、リード・ライト部157または257は、メモリ170または270に格納された第2の接続回数を記憶部35へ書き戻す(S80)。これにより、コネクタ39の接続回数が更新される。このとき、貨幣処理装置11、21は、第1または第2の接続回数について何も報知する必要はない。
【0134】
尚、図13に示す接続回数のカウントフローは、貨幣の装填処理または回収処理と同時に実行されてもよく、それらの処理の前または後に実行されてもよい。
【0135】
図14は、本実施形態によるコネクタの交換動作を示すフロー図である。本実施形態では、第1または第2の接続回数のいずれかが所定値Xに達している場合(S50のYES)であっても、貨幣の装填処理または回収処理は、そのまま継続して実行される。貨幣の装填処理または回収処理の完了後、操作者は、貨幣搬送カセット30を貨幣処理装置11、21から脱離させる(S62)。次に、操作者は、接続回数が所定値Xに達したコネクタ39、192または292を交換する(S64)。その後、貨幣搬送カセット30が貨幣処理装置11、21に装着されたときに(S65)、操作者は、貨幣処理装置11、21の操作表示部195、295または貨幣管理装置25を操作して、交換されたコネクタ39、192または292の接続回数を1にリセットする(S66)。その後、図13に示すフローを繰り返し実行することにより、貨幣処理装置11、21は、交換された新しいコネクタ39、192または292の接続回数を1からカウントすることができる。
【0136】
尚、ステップS65において、貨幣搬送カセット30は、複数の貨幣処理装置11、21のうちいずれの貨幣処理装置に装着されてもよい。貨幣搬送カセット30自体が記憶部35に自己の接続回数を記憶しており、かつ、複数の貨幣処理装置11、21のそれぞれが所定値Xをメモリ170、270に記憶しているので、いずれの貨幣処理装置11、21も、貨幣搬送カセット30の第2の接続回数が所定値Xに達していることを検知できるからである。
【0137】
本実施形態による貨幣処理システムは、貨幣処理装置11、21のコネクタ192、292の接続回数および貨幣搬送カセット30のコネクタ39の接続回数を管理する。そして、それらの接続回数のうちいずれかが保証回数に達した場合、あるいは、それらの接続回数のうちいずれかが保証回数に近づいた場合に、貨幣処理装置11、21または貨幣管理装置25は、その接続回数が所定値Xに達したことを操作者に報知することができる。これにより、操作者は、コネクタ39、192または292の適切な交換時期を知ることができる。操作者がこの報知に従ってコネクタを交換すれば、貨幣搬送カセット30と貨幣処理装置11、21との間の接続不良を予防できる。
【0138】
尚且つ、複数の貨幣処理装置11、21および複数の貨幣搬送カセット30は、それぞれ自己の接続回数を記憶している。従って、本実施形態による貨幣処理システム1は、各コネクタの接続回数がばらついたとしても、各コネクタの接続回数に応じてそのコネクタの交換を可能にする。つまり、本実施形態による貨幣処理システム1では、定期的な交換が不要であり、交換のサイクルを短期間に設定する必要もない。そして、本実施形態による貨幣処理システム1では、接続回数が少なく消耗していないコネクタは交換せず、接続回数が多く消耗しているコネクタを交換することが可能である。その結果、本実施形態による貨幣処理システム1は、効率的かつ経済的な運用を可能にする。
【0139】
(変形例1)
第1または第2の接続回数のいずれかが所定値Xに達している場合(S50のYES)、貨幣処理装置11または21は、第1または第2の接続回数が所定値Xに達したことを報知するだけでなく、貨幣搬送カセット30を使用不可にしてもよい。この場合、貨幣処理装置11または21は、貨幣の装填処理または回収処理を行わない。つまり、変形例1では、貨幣処理装置11、21は、図13に示す接続回数のカウント動作を実行するが、貨幣搬送カセット30に対して入金および出金を行わない。
【0140】
例えば、貨幣処理装置11または21は、図10(B)に示す貨幣搬送カセット30のモータMに対して電力を供給せず、巻取りリールRrおよびテープリールRtを駆動しない。あるいは、貨幣処理装置11または21は、図11(A)、図11(B)に示す貨幣搬送カセット30の上部開口部31および下部開口部32を開けない。
【0141】
第1または第2の接続回数が所定値Xに達している場合、貨幣搬送カセット30のコネクタ39または貨幣処理装置11、21のコネクタ192、292が摩耗して、貨幣搬送カセット30と貨幣処理装置11、21との間において接続不良が生じるおそれがある。このような場合、正確な装填処理または回収処理を実行できないおそれがある。
【0142】
そこで、変形例1では、貨幣搬送カセット30と貨幣処理装置11、21との間において接触不良が生じる可能性がある場合に、貨幣搬送カセット30と貨幣処理装置11、21との間の貨幣のやりとりを予め禁止する。これによって、貨幣搬送カセット30および貨幣処理装置11、21における誤動作を予め防止することができる。
【0143】
貨幣の装填処理または回収処理を行わなくとも、コネクタ39と192または292とは接続されているため、貨幣処理装置11、21は、図13に示す接続回数のカウント動作を実行する。そして、図14のコネクタ交換フローを実行する。ただし、貨幣の装填処理または回収処理が中断されているので、ステップS65において、貨幣搬送カセット30は、ステップS10において装着された貨幣処理装置11、21へ再度装着される必要がある。これにより、貨幣処理装置11、21は、貨幣の装填処理または回収処理を再開することができる。
【0144】
(変形例2)
本実施形態において、貨幣管理装置25が第1および第2の接続回数を記憶し、かつ、管理してもよい。この場合、図13のステップS50において、第1または第2の接続回数が所定値Xに達した場合に(S50のYES)、貨幣処理装置11、21は、第1または第2の接続回数が所定値Xに達したことを操作者に報知する(S60)とともに、第1または第2の接続回数が所定値に達したことを貨幣管理装置25へ通知する。そして、貨幣管理装置25も第1または第2の接続回数が所定値Xに達したことを操作者に報知してもよい。
【0145】
さらに、貨幣管理装置25は、全ての第1の接続回数および全ての第2の接続回数を管理しているので、図13に示すフローのうちステップS40〜S60を実行してもよい。この場合、図15に示すように、貨幣処理装置11、21は、ステップS30の後、自己の第1の接続回数、並びに、ステップS20で読み取った貨幣搬送カセット30のカセットID情報および第2の接続回数を貨幣管理装置25へ送信する(S32)。
【0146】
そして、貨幣管理装置25は、ステップS40〜S60を実行後、カウントアップ後の第1および第2の接続回数を貨幣処理装置11、21へ送り返す(S69)。尚、ステップS60の報知は、ステップS69の後に貨幣処理装置11、21においても実行されてよい。その後、ステップS70、S80を実行する。これにより、コネクタ39およびコネクタ192または292の接続回数が更新される。
【0147】
変形例2によれば、貨幣管理装置25が第1および第2の接続回数を記憶し、かつ、管理している。従って、貨幣処理装置11、21の制御部190、290における処理負担が少ない。さらに、変形例1、2は、それぞれ第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0148】
上記実施形態では、貨幣搬送カセット30と貨幣処理装置11または21との間の接続検知は、コネクタ39とコネクタ192または292との間の電気的な接続を検知することによって実行されている。しかし、貨幣搬送カセット30および貨幣処理装置11、21は、例えば、光学センサ、磁気センサ等のセンサ(図示せず)をさらに備え、これらのセンサによって互いの接続検知を実行してもよい。
【符号の説明】
【0149】
1・・・現金管理システム、10・・・チェックアウトカウンター、20・・・バックオフィス、11・・・現金精算装置、21・・・現金出納装置、25・・・現金管理装置、26・・・POS管理装置、30・・・現金搬送カセット、35・・・記憶部、39・・・コネクタ、110・・・入金部 120・・・出金部、130・・・搬送部、140・・・識別部、150・・・収納部、157・・・リード・ライト部、160・・・カセット装着部、170・・・メモリ、180・・・通信部、190・・・制御部、192・・・コネクタ、195・・・操作表示部、210・・・入金部、220・・・出金部、292・・・コネクタ、295・・・操作表示部、230・・・搬送部、240・・・識別部、250・・・収納部、255・・・回収部、257・・・リード・ライト部、222・・・機外リジェクト部、224・・・機内リジェクト部、270・・・メモリ、280・・・通信部、290・・・制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣を入金または出金する貨幣処理装置と、貨幣を搬送しその貨幣を前記貨幣処理装置に入金または前記貨幣処理装置から出金するために前記貨幣処理装置に着脱可能な貨幣搬送カセットとを備えた貨幣処理システムであって、
前記貨幣処理装置は、
前記貨幣搬送カセットが前記貨幣処理装置に装着されるときに、前記貨幣搬送カセットに接続される第1の接続部と、
前記第1の接続部に前記貨幣搬送カセットが接続された回数を示す第1の接続回数を記憶する第1の記憶部と、
前記貨幣搬送カセットが前記第1の接続部に接続されたときに、前記第1の接続回数を増加させる制御部とを備えていることを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項2】
前記貨幣搬送カセットは、
該貨幣搬送カセットが前記貨幣処理装置に装着されるときに、前記第1の接続部に結合することによって前記貨幣処理装置に接続される第2の接続部と、
前記貨幣処理装置に前記第2の接続部が接続された回数を示す第2の接続回数を記憶する第2の記憶部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記貨幣処理装置は、前記貨幣搬送カセットが前記第1の接続部に接続されたときに、該貨幣搬送カセットの前記第2の接続回数を読み取るリード・ライト部をさらに備え、
前記制御部は、前記リード・ライト部において読み取られた前記第2の接続回数を増加させ、
前記リード・ライト部は、増加後の該第2の接続回数を第2の記憶部へ書き戻すことを特徴とする請求項2に記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
前記貨幣搬送カセットの前記第2の記憶部は、前記第2の接続回数と該貨幣搬送カセットに割り当てられたカセット識別情報とを記憶し、
前記貨幣搬送カセットが前記第1の接続部に接続されたときに、前記貨幣処理装置の前記リード・ライト部は、該貨幣搬送カセットの前記第2の接続回数および前記カセット識別情報を読み取り、
前記第1の記憶部は、該貨幣搬送カセットに対応する前記第2の接続回数と前記カセット識別情報とを関連付けて記憶することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
前記貨幣処理装置に通信可能に接続されており、前記第1の接続回数および前記第2の接続回数を記憶する管理装置をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の貨幣処理システム。
【請求項6】
前記貨幣処理装置は、
前記第1または前記第2の接続回数が所定値に達した場合に、該第1または該第2の接続回数が所定値に達したことを報知する報知部をさらに備えたことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の貨幣処理システム。
【請求項7】
前記貨幣処理装置は、
前記第1または前記第2の接続回数が所定値に達した場合に、該第1または該第2の接続回数が所定値に達したことを前記管理装置へ通知することを特徴とする請求項5に記載の貨幣処理システム。
【請求項8】
前記貨幣搬送カセットが前記第1の接続部に接続されたときに前記第1または第2の接続回数が所定値に達している場合、前記貨幣処理装置は、該貨幣搬送カセットに対して入金および出金を行わないことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の貨幣処理システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1または第2の接続回数の上限値を設定し、あるいは、前記貨幣処理システムは、前記第1または第2の接続回数の上限値を設定する接続回数設定装置をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の貨幣処理システム。
【請求項10】
貨幣を搬送しその貨幣を貨幣処理装置に入金または前記貨幣処理装置から出金するために前記貨幣処理装置に着脱可能な貨幣搬送カセットであって、
前記貨幣搬送カセットが前記貨幣処理装置に装着されるときに、前記貨幣処理装置に接続される接続部と、
前記貨幣処理装置に前記接続部が接続された接続回数を記憶する記憶部とを備えていることを特徴とする貨幣搬送カセット。
【請求項11】
前記記憶部は、前記接続回数と前記貨幣搬送カセットに割り当てられたカセット識別情報とを記憶していることを特徴とする請求項10に記載の貨幣搬送カセット。
【請求項12】
貨幣を搬送する貨幣搬送カセットを貨幣の入金または出金のために着脱することができる貨幣処理装置であって、
前記貨幣搬送カセットが前記貨幣処理装置に装着されるときに、前記貨幣搬送カセットに接続される第1の接続部と、
前記第1の接続部に前記貨幣搬送カセットが接続された回数を示す第1の接続回数を記憶する第1の記憶部と、
前記貨幣搬送カセットが前記第1の接続部に接続されたときに、前記第1の接続回数を増加させる制御部とを備えていることを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項13】
前記貨幣処理装置は、前記貨幣搬送カセットが前記第1の接続部に接続されたときに、該貨幣搬送カセットに設けられた第2の記憶部から前記貨幣処理装置に接続された回数を示す第2の接続回数を読み取るリード・ライト部をさらに備え、
前記制御部は、前記リード・ライト部において読み取られた該第2の接続回数を増加させ、
前記貨幣処理装置は、増加後の該第2の接続回数を前記第2の記憶部へ書き込むことを特徴とする請求項12に記載の貨幣処理装置。
【請求項14】
前記貨幣搬送カセットが前記第1の接続部に接続されたときに、前記リード・ライト部は、前記貨幣搬送カセットから該貨幣搬送カセットの前記第2の接続回数および該貨幣搬送カセットに割り当てられたカセット識別情報を読み取り、
前記第1の記憶部は、該貨幣搬送カセットに対応する前記第2の接続回数と前記カセット識別情報とを関連付けて記憶することを特徴とする請求項13に記載の貨幣処理装置。
【請求項15】
前記貨幣処理装置は、
前記第1または前記第2の接続回数が所定値に達した場合に、前記第1または前記第2の接続回数が所定値に達したことを報知する報知部をさらに備えたことを特徴とする請求項13または請求項14に記載の貨幣処理装置。
【請求項16】
前記貨幣搬送カセットが前記第1の接続部に接続されたときに前記第1または第2の接続回数が所定値に達している場合、前記貨幣処理装置は、該貨幣搬送カセットに対して入金および出金を行わないことを特徴とする請求項13に記載の貨幣処理装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記第1または第2の接続回数の上限値を設定することを特徴とする請求項13に記載の貨幣処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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