説明

貨幣処理システムおよび貨幣処理方法

【課題】貨幣釣銭機に釣銭として収納される貨幣等やエアシュータにより貨幣釣銭機とは別の装置に搬送される貨幣等について、その在高を確実に管理することができる貨幣処理システムおよび貨幣処理方法を提供する。
【解決手段】エアシュータ14に接続された識別機40、90が貨幣釣銭機20、70とは別個に設けられており、識別機40、90は、その内部に投入された紙葉類や硬貨の識別を行う識別部46、96と、識別部46、96により識別された紙葉類や硬貨を、エアシュータ14により搬送されるべきエアシュータ用収納部材16に収納する収納機構48、98と、を有している。制御部60、100は、貨幣釣銭機20、70に収納された紙葉類や硬貨に係る情報および識別機40、90の識別部46、96による紙葉類の識別結果に係る情報を合算することにより紙葉類や硬貨の入金額を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣釣銭機、この貨幣釣銭機とは別個に設けられた識別機、およびエアシュータを備えた貨幣処理システム、ならびに貨幣処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば円筒状の収納部材に紙幣や有価証券等の紙葉類、または硬貨を収納し、これらの紙葉類や硬貨が収納された収納部材をエアチューブに入れて当該エアチューブ内で空気圧により収納部材を搬送するようなエアシュータが知られている。例えば、引用文献1には、スーパーマーケット等の店舗に設けられたキャッシュレジスターで処理された貨幣を、このキャッシュレジスターから離間した出納室へ搬送するためのエアシュータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開公報EP0 034 940A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなエアシュータを用いた際に、キャッシュレジスターで貨幣を入金する場合には、当該キャッシュレジスターで釣銭として使用される低額の紙幣等はこのキャッシュレジスター内に保管されるが、釣銭として使用されない高額の紙幣等はエアシュータによりキャッシュレジスターから出納室へ搬送され、この出納室へ搬送された高額の紙幣は出納室において回収されるようになっている。
【0005】
しかしながら、上述のような動作を行う際に、キャッシュレジスターに釣銭として収納される貨幣やエアシュータにより出納室に搬送される貨幣等について、その在高を確実に管理することが望まれている。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、貨幣釣銭機に釣銭として収納される貨幣等やエアシュータにより貨幣釣銭機とは別の装置に搬送される貨幣等について、その在高を確実に管理することができる貨幣処理システムおよび貨幣処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、筐体と、前記筐体の外部から内部に紙葉類を投入するための投入口と、前記筐体の内部に設けられ、前記投入口により前記筐体の内部に投入された紙葉類を搬送する搬送部と、前記搬送部に設けられ、前記投入口により前記筐体の内部に投入された紙葉類の識別を行う識別部と、前記筐体の内部に設けられ、前記識別部により識別された紙葉類のうち特定の金種の紙幣を釣銭として収納するとともに収納された紙幣を前記搬送部に繰り出す釣銭収納繰出部と、前記搬送部に接続され、前記筐体の内部から外部に紙葉類を投出するための投出口と、を有する貨幣釣銭機と、エアシュータ用収納部材の搬送を行うエアシュータと、前記貨幣釣銭機とは別個に設けられ、前記エアシュータに接続された識別機であって、当該識別機の内部に投入された紙葉類の識別を行う識別部と、前記識別部により識別された紙葉類を、前記エアシュータにより搬送されるべきエアシュータ用収納部材に収納する収納機構と、を有する識別機と、前記貨幣釣銭機の前記釣銭収納繰出部に収納された紙葉類に係る情報および前記識別機の前記識別部による紙葉類の識別結果に係る情報がそれぞれ送られるようになっており、両者の情報を合算することにより紙葉類の入金額を算出する制御部と、を備えたことを特徴とする貨幣処理システムである。
【0008】
このような貨幣処理システムによれば、貨幣釣銭機と、エアシュータに接続された識別機を用いて貨幣等の管理を行っており、貨幣釣銭機および識別機はそれぞれ制御部に通信接続されているので、貨幣釣銭機に収納される紙葉類(釣銭としての紙幣等)およびエアシュータにより貨幣釣銭機とは別の装置に搬送される紙葉類について、その合計金額である紙葉類の入金額(貨幣処理システム全体における紙葉類の入金額)を確実に管理することができる。
【0009】
上述のような貨幣処理システムにおいては、前記制御部に設けられ、操作者への報知を行うための報知部を更に備え、前記貨幣釣銭機において、受付できない紙葉類の券種および/または紙幣の金種が予め設定されており、当該券種または金種の紙葉類が前記識別部により識別されたときにはこの紙葉類は前記貨幣釣銭機の外部に投出されるようになっており、このときに、前記制御部は、前記貨幣釣銭機の外部に投出された紙葉類を前記識別機に投入することを報知するよう前記報知部を制御するようになっていてもよい。このことにより、貨幣釣銭機の外部に投出された紙葉類を操作者が識別機に投入することを忘れてしまうというトラブルを抑制することができる。
【0010】
上述のような貨幣処理システムにおいては、前記制御部により紙葉類の入金額が算出されるまでは、前記釣銭収納繰出部に収納された紙幣が前記貨幣釣銭機の外部に釣銭として投出されないようになっていてもよい。この場合には、紙葉類の入金額が制御部において確定しないと、貨幣釣銭機において釣銭を用意できないようになっている。
【0011】
本発明は、筐体と、前記筐体の外部から内部に紙葉類を投入するための投入口と、前記筐体の内部に設けられ、前記投入口により前記筐体の内部に投入された紙葉類を搬送する搬送部と、前記搬送部に設けられ、前記投入口により前記筐体の内部に投入された紙葉類の識別を行う識別部と、前記筐体の内部に設けられ、前記識別部により識別された紙葉類のうち特定の金種の紙幣を釣銭として収納するとともに収納された紙幣を前記搬送部に繰り出す釣銭収納繰出部と、前記搬送部に接続され、前記筐体の内部から外部に紙葉類を投出するための投出口と、を有する貨幣釣銭機と、エアシュータ用収納部材の搬送を行うエアシュータと、前記貨幣釣銭機とは別個に設けられ、前記エアシュータに接続された識別機であって、当該識別機の内部に投入された紙葉類の識別を行う識別部と、前記識別部により識別された紙葉類を、前記エアシュータにより搬送されるべきエアシュータ用収納部材に収納する収納機構と、を有する識別機と、前記貨幣釣銭機から投出された紙葉類に係る情報および前記識別機の前記識別部による紙葉類の識別結果に係る情報がそれぞれ送られるようになっており、両者の情報が一致するか否かを判断する制御部と、を備えたことを特徴とする貨幣処理システムである。
【0012】
このような貨幣処理システムによれば、制御部は、貨幣釣銭機から投出された紙葉類に係る情報および識別機の識別部による紙葉類の識別結果に係る情報がそれぞれ送られるようになっており、両者の情報が一致するか否かを判断するようになっている。このため、貨幣釣銭機から投出された紙葉類が識別機の収納機構によりエアシュータ用収納部材に適切に収納されたか否かを判断することができる。
【0013】
上述のような貨幣処理システムにおいては、前記制御部は前記エアシュータの制御も行うようになっており、当該制御部は、前記貨幣釣銭機から投出された紙葉類に係る情報および前記識別機の前記識別部による紙葉類の識別結果に係る情報が一致しない場合には、エアシュータ用収納部材の搬送を行わないよう前記エアシュータを制御するようになっていてもよい。このことにより、貨幣釣銭機から投出された紙葉類がエアシュータ用収納部材に適切に収納された場合のみ、エアシュータ用収納部材の搬送を行うことができるようになる。
【0014】
上述のような貨幣処理システムにおいては、前記制御部に設けられ、操作者への報知を行う報知部を更に備え、前記貨幣釣銭機において、当該貨幣釣銭機に投入された紙葉類のうち前記貨幣釣銭機において釣銭として使用される紙幣以外のものは、前記貨幣釣銭機において紙幣の入金額が確定された後に前記貨幣釣銭機の外部に投出されるようになっており、このときに、前記制御部は、前記貨幣釣銭機の外部に投出された紙葉類を前記識別機に投入することを報知するよう前記報知部を制御するようになっていてもよい。
【0015】
本発明の貨幣処理システムにおいては、前記制御部は前記貨幣釣銭機および前記識別機とは離間して設けられていてもよい。
【0016】
あるいは、前記制御部は前記貨幣釣銭機の前記筐体の内部に設けられていてもよい。
【0017】
本発明の貨幣処理システムにおいては、前記制御部には記憶部が設けられており、前記制御部は、前記識別機の前記識別部により識別された紙葉類の合計金額を前記記憶部に記憶させるようになっていてもよい。
【0018】
本発明の貨幣処理システムにおいては、エアシュータ用収納部材には記憶部が設けられており、前記識別機には、当該識別機の前記識別部による紙葉類の識別情報を前記記憶部に書き込む情報書き込み部が設けられていてもよい。このことにより、エアシュータ用収納部材がエアシュータによって貨幣釣銭機とは別の装置に送られたときに、エアシュータ用収納部材の記憶部に書き込まれた情報を読み取ることによりこのエアシュータ用収納部材に収納された紙葉類の情報を確認することができるようになる。
【0019】
本発明の貨幣処理システムにおいては、エアシュータ用収納部材は区分けされた複数の収納空間を有し、前記識別機の前記収納機構は、エアシュータ用収納部材の各収納空間にそれぞれ紙葉類を収納することができるようになっていてもよい。このことにより、エアシュータ用収納部材に紙葉類を例えば券種別や金種別に収納することができるようになる。
【0020】
本発明の貨幣処理システムにおいては、前記貨幣釣銭機とは別の装置から、前記貨幣釣銭機において釣銭として使用される貨幣が収納されたエアシュータ用収納部材が前記エアシュータにより前記識別機の近傍に搬送されるようになっていてもよい。
【0021】
本発明は、筐体と、前記筐体の外部から内部に硬貨を投入するための投入口と、前記筐体の内部に設けられ、前記投入口により前記筐体の内部に投入された硬貨を搬送する搬送部と、前記搬送部に設けられ、前記投入口により前記筐体の内部に投入された硬貨の識別を行う識別部と、前記筐体の内部に設けられ、前記識別部により識別された硬貨のうち特定の金種の硬貨を釣銭として収納する釣銭収納繰出部と、前記筐体の内部から外部に硬貨を投出するための投出口と、を有する貨幣釣銭機と、エアシュータ用収納部材の搬送を行うエアシュータと、前記貨幣釣銭機とは別個に設けられ、前記エアシュータに接続された識別機であって、当該識別機の内部に投入された硬貨の識別を行う識別部と、前記識別部により識別された硬貨を、前記エアシュータにより搬送されるべきエアシュータ用収納部材に収納する収納機構と、を有する識別機と、前記貨幣釣銭機の前記釣銭収納繰出部に収納された硬貨に係る情報および前記識別機の前記識別部による硬貨の識別結果に係る情報がそれぞれ送られるようになっており、両者の情報を合算することにより硬貨の入金額を算出する制御部と、を備えたことを特徴とする貨幣処理システムである。
【0022】
このような貨幣処理システムによれば、貨幣釣銭機と、エアシュータに接続された識別機を用いて硬貨の管理を行っており、貨幣釣銭機および識別機はそれぞれ制御部に通信接続されているので、貨幣釣銭機に収納される硬貨およびエアシュータにより貨幣釣銭機とは別の装置に搬送される硬貨について、その合計金額である硬貨の入金額(貨幣処理システム全体における硬貨の入金額)を確実に管理することができる。
【0023】
本発明は、筐体と、前記筐体の外部から内部に硬貨を投入するための投入口と、前記筐体の内部に設けられ、前記投入口により前記筐体の内部に投入された硬貨を搬送する搬送部と、前記搬送部に設けられ、前記投入口により前記筐体の内部に投入された硬貨の識別を行う識別部と、前記筐体の内部に設けられ、前記識別部により識別された硬貨のうち特定の金種の硬貨を釣銭として収納する釣銭収納繰出部と、前記筐体の内部から外部に硬貨を投出するための投出口と、を有する貨幣釣銭機と、エアシュータ用収納部材の搬送を行うエアシュータと、前記貨幣釣銭機とは別個に設けられ、前記エアシュータに接続された識別機であって、当該識別機の内部に投入された硬貨の識別を行う識別部と、前記識別部により識別された硬貨を、前記エアシュータにより搬送されるべきエアシュータ用収納部材に収納する収納機構と、を有する識別機と、前記貨幣釣銭機から投出された硬貨に係る情報および前記識別機の前記識別部による硬貨の識別結果に係る情報がそれぞれ送られるようになっており、両者の情報が一致するか否かを判断する制御部と、を備えたことを特徴とする貨幣処理システムである。
【0024】
このような貨幣処理システムによれば、制御部は、貨幣釣銭機から投出された硬貨に係る情報および識別機の識別部による硬貨の識別結果に係る情報がそれぞれ送られるようになっており、両者の情報が一致するか否かを判断するようになっている。このため、貨幣釣銭機から投出された硬貨が識別機の収納機構によりエアシュータ用収納部材に適切に収納されたか否かを判断することができる。
【0025】
本発明は、貨幣釣銭機において釣銭として使用されるべき紙幣を含む紙葉類を当該貨幣釣銭機の内部に投入する工程と、前記貨幣釣銭機の識別部により、当該貨幣釣銭機の内部に投入された紙葉類の識別を行う工程と、前記貨幣釣銭機において釣銭として使用されるべき紙幣以外の紙葉類を前記貨幣釣銭機とは別個に設けられた識別機の識別部により識別する工程と、前記識別機の前記識別部により識別された紙葉類をエアシュータ用収納部材に収納する工程と、紙葉類が収納されたエアシュータ用収納部材をエアシュータにより前記貨幣釣銭機とは別の装置に搬送する工程と、前記貨幣釣銭機の内部に収納された紙葉類に係る情報および前記識別機の前記識別部による紙葉類の識別結果に係る情報を合算することにより紙葉類の入金額を算出する工程と、を備えたことを特徴とする貨幣処理方法である。
【0026】
本発明は、貨幣釣銭機の内部に紙葉類を投入する工程と、前記貨幣釣銭機の識別部により、当該貨幣釣銭機の内部に投入された紙葉類の識別を行い、前記識別部による識別結果に基づいて、前記貨幣釣銭機において釣銭として使用されるべき紙幣を前記貨幣釣銭機の内部に収納するとともにそれ以外の紙葉類を前記貨幣釣銭機の外部に投出する工程と、前記貨幣釣銭機の外部に投出された紙葉類を前記貨幣釣銭機とは別個に設けられた識別機の識別部により識別する工程と、前記識別機の前記識別部により識別された紙葉類をエアシュータ用収納部材に収納する工程と、紙葉類が収納されたエアシュータ用収納部材をエアシュータにより前記貨幣釣銭機とは別の装置に搬送する工程と、前記貨幣釣銭機から投出された紙葉類に係る情報および前記識別機の前記識別部による紙葉類の識別結果に係る情報を比較し、両者の情報が一致するか否かを判断する工程と、を備えたことを特徴とする貨幣処理方法である。
【0027】
本発明は、貨幣釣銭機において釣銭として使用されるべき硬貨を当該貨幣釣銭機の内部に投入する工程と、前記貨幣釣銭機の識別部により、当該貨幣釣銭機の内部に投入された硬貨の識別を行う工程と、前記貨幣釣銭機において釣銭として使用されるべき硬貨以外の硬貨を前記貨幣釣銭機とは別個に設けられた識別機の識別部により識別する工程と、前記識別機の前記識別部により識別された硬貨をエアシュータ用収納部材に収納する工程と、硬貨が収納されたエアシュータ用収納部材をエアシュータにより前記貨幣釣銭機とは別の装置に搬送する工程と、前記貨幣釣銭機の内部に収納された硬貨に係る情報および前記識別機の前記識別部による硬貨の識別結果に係る情報を合算することにより硬貨の入金額を算出する工程と、を備えたことを特徴とする貨幣処理方法である。
【0028】
本発明は、貨幣釣銭機の内部に硬貨を投入する工程と、前記貨幣釣銭機の識別部により、当該貨幣釣銭機の内部に投入された硬貨の識別を行い、前記識別部による識別結果に基づいて、前記貨幣釣銭機において釣銭として使用されるべき硬貨を前記貨幣釣銭機の内部に収納するとともにそれ以外の硬貨を前記貨幣釣銭機の外部に投出する工程と、前記貨幣釣銭機の外部に投出された硬貨を前記貨幣釣銭機とは別個に設けられた識別機の識別部により識別する工程と、前記識別機の前記識別部により識別された硬貨をエアシュータ用収納部材に収納する工程と、硬貨が収納されたエアシュータ用収納部材をエアシュータにより前記貨幣釣銭機とは別の装置に搬送する工程と、前記貨幣釣銭機から投出された硬貨の情報および前記識別機の前記識別部による硬貨の識別結果に係る情報を比較し、両者の情報が一致するか否かを判断する工程と、を備えたことを特徴とする貨幣処理方法である。
【発明の効果】
【0029】
本発明の貨幣処理システムおよび貨幣処理方法によれば、貨幣釣銭機に釣銭として収納される貨幣等やエアシュータにより貨幣釣銭機とは別の装置に搬送される貨幣等について、その在高を確実に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一の実施の形態による貨幣処理システムの構成を概略的に示す概略構成図である。
【図2】図1に示す貨幣処理システムにおける貨幣釣銭機および識別機の構成を示す構成図である。
【図3】図1に示す貨幣処理システムにおけるエアシュータにより搬送される収納部材の構成を示す概略斜視図である。
【図4】(a)〜(c)は、図2に示す貨幣釣銭機における収納機構の構成を示す斜視図であって、収納機構により紙葉類が収納部材に収納される動作を順に示す図である。
【図5】(a)〜(d)は、図4に示す収納機構の上面図であって、収納機構により紙葉類が収納部材に収納される動作を順に示す図である。
【図6】図1に示す貨幣処理システムの制御ブロック図である。
【図7】図1に示す貨幣処理システムの他の制御ブロック図である。
【図8】図1に示す貨幣処理システムの更に他の制御ブロック図である。
【図9】図1に示す貨幣処理システムの動作を示すフローチャートである。
【図10】図9に示すフローチャートにおける貨幣釣銭機の動作をより詳細に示すフローチャートである。
【図11】変形例に係る収納部材の構成を示す概略斜視図である。
【図12】変形例に係る収納部材および収納機構の構成を示す構成図である。
【図13】図1に示す貨幣処理システムの他の動作を示すフローチャートである。
【図14】変形例に係る、釣銭として硬貨の出金を行う貨幣釣銭機を有する貨幣処理システムの構成を示す構成図である。
【図15】図14に示す貨幣処理システムの制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図10は、本実施の形態に係る貨幣処理システムを示す図である。
【0032】
まず、本実施の形態による貨幣処理システム10の構成について図1を用いて説明する。図1に示すように、出納室17には金庫12が設けられており、また、この出納室17とは別の場所に配置されたレジライン18には複数の貨幣釣銭機20が設けられている。レジライン18において、各貨幣釣銭機20にはそれぞれ対応する識別機40が設けられている。図1に示すように、各識別機40は、それぞれ対応する各貨幣釣銭機20とは別個に設けられている。そして、各識別機40と金庫12との間にはエアシュータ(気送管システム)14が設置されている。より具体的には、エアシュータ14は、各識別機40および金庫12にそれぞれ接続されたエアチューブを有しており、紙幣や有価証券等の紙葉類、または硬貨が収納された円筒状の収納部材(カプセル)16がエアチューブ内で空気圧により各識別機40と金庫12との間で搬送されるようになっている。
【0033】
更に詳しく説明すると、例えばレジライン18に設けられた貨幣釣銭機20から、出納室17に設けられた金庫12に紙幣や硬貨等を搬送してこの金庫12に搬送された紙幣や硬貨等を回収したい場合には、回収されるべき紙幣や硬貨等が、各貨幣釣銭機20に対応する識別機40において収納部材16に収納され、この収納部材16がエアシュータ14により各識別機40から金庫12に搬送され、出納室17において収納部材16から紙幣や硬貨等が取り出されてこの取り出された紙幣や硬貨等が回収される。一方、例えば金庫12に保管された紙幣や硬貨等を各貨幣釣銭機20に釣銭として補充したい場合には、補充されるべき紙幣や硬貨が金庫12において収納部材16に収納され、この収納部材16がエアシュータ14により金庫12から各貨幣釣銭機20に対応する識別機40の近傍に搬送され、レジライン18において収納部材16から紙幣や硬貨等が取り出されてこの取り出された紙幣や硬貨等が各貨幣釣銭機20に釣銭として収納される。
【0034】
エアシュータ14により搬送される収納部材16の構成について、図3を用いて詳細に説明する。図3(a)〜(c)は、収納部材16の様々な構成例を示す斜視図である。収納部材16としては、様々なタイプのものを用いることができるが、一例として、図3(a)に示すような収納部材16が用いられる。図3(a)に示す収納部材16は、中空の円筒形状のものからなり、側面には長手方向に延びる細長いスリット16aが設けられている。このスリット16aの長さは、収納部材16に収納されるべき紙葉類の長さよりも大きくなっており、当該スリット16aを介して収納部材16の内部に紙葉類が投入されるようになっている。
【0035】
また、収納部材16の他の構成例を図3(b)(c)に示す。図3(b)(c)に示すような収納部材16では、当該収納部材16の側面にスリット16aを設ける代わりに、収納部材16の側面に開口16cを設けるとともにこの開口16cを塞ぐような左右一対の扉16bを設けている。左右一対の扉16bは、図3(c)に示すようにそれぞれ収納部材16の内側に開くよう移動可能となっており、各扉16bが収納部材16の内側に移動することにより開口16cを介して紙葉類を収納部材16の内部に投入することができるようになる。これらの扉16bにはそれぞれバネが設けられており、各バネにより各扉16bに対して常に閉方向に働く力が付勢されるようになっている。このため、各扉16bを開く際には、これらの扉16bに設けられたバネの収縮力に逆らって各扉16bを収納部材16の内側に移動させることとなる。
【0036】
また、図3(a)〜(c)に示すように、収納部材16には例えばICタグ等からなる記憶部16mが設けられている。この記憶部16mには、対応する貨幣釣銭機20のシリアル番号や、収納部材16に収納された紙葉類の情報、具体的には紙葉類の券種(紙幣、有価証券(例えば小切手や商品券)、ID媒体(例えばレシート)等)や金種(紙葉類が紙幣である場合)、券種毎や金種毎の収納枚数、正損情報、記番号等が記憶されるようになっている。
【0037】
次に、貨幣釣銭機20および識別機40の具体的な構成について図2、図4および図5を用いて説明する。なお、図2、図4および図5においては、貨幣釣銭機20として紙幣釣銭機を用い、識別機40として紙幣を含む紙葉類の識別を行うものを用いた場合について説明している。貨幣釣銭機20や識別機40として硬貨釣銭機や硬貨識別機を用いた場合の態様については後に説明する。
【0038】
図2に示すように、貨幣釣銭機20は、略直方体形状の筐体20aと、筐体20aの外部から内部に紙幣や有価証券等の紙葉類を投入するための投入口22と、筐体20aの内部に設けられ、投入口22により筐体20aの内部に投入された紙葉類を1枚ずつ搬送する搬送部24と、搬送部24に接続され、筐体20aの内部から外部に紙葉類を投出するための投出口28と、を備えている。また、図2に示すように、搬送部24にはリジェクト口29が接続されており、搬送部24からリジェクト口29に送られたリジェクト紙葉類(後述)は筐体20aの外部から操作者が取り出すことができるようになっている。
【0039】
投入口22には、当該投入口22に投入された紙葉類を筐体20aの内部に1枚ずつ繰り出す繰出機構22aが設けられている。また、搬送部24には識別部26が設けられており、この識別部26により、筐体20aの内部に投入された紙葉類の識別が行われるようになっている。また、筐体20aの内部には4つの釣銭収納繰出部30が設けられており、各釣銭収納繰出部30はそれぞれ搬送部24に接続されている。そして、識別部26により識別された紙葉類のうち特定の金種の紙幣が釣銭として各釣銭収納繰出部30に金種別に収納されるようになっている。また、各釣銭収納繰出部30は、当該釣銭収納繰出部30に収納された紙幣を搬送部24に繰り出すことができるようになっている。
【0040】
また、筐体20aの内部には一時保留部32が設けられており、この一時保留部32は搬送部24に接続されている。そして、投入口22により筐体20aの内部に投入され識別部26により識別された紙葉類は一時保留部32に一時的に保留されるようになっている。また、一時保留部32は、当該一時保留部32に保留された紙葉類を搬送部24に繰り出すことができるようになっている。
【0041】
各釣銭収納繰出部30および一時保留部32は、それぞれドラム式の収納繰出機構を有している。より詳細には、各釣銭収納繰出部30および一時保留部32には、それぞれ正逆両方向に回転可能なドラムが設けられており、各ドラムに一対のテープが巻き取られるようになっている。そして、搬送部24から各釣銭収納繰出部30および一時保留部32の各々に送られた紙葉類は、この一対のテープの間に挟まれた状態で1枚ずつ順次ドラムにより巻き取られて収納されるようになっている。一方、紙葉類の繰り出しを行う際には、各ドラムが収納の際の回転方向とは反対方向に回転することにより、各ドラムに巻き取られた一対のテープがこのドラムから解放され、一対のテープの間に挟まれた紙葉類は1枚ずつ搬送部24に繰り出されることとなる。
【0042】
なお、各釣銭収納繰出部30および一時保留部32は、上述のような、ドラムおよび一対のテープからなり紙葉類が一対のテープの間に挟まれた状態でこの一対のテープごとドラムにより巻き取られるような構成のものに限定されることはなく、他の構成とすることもできる。例えば、各釣銭収納繰出部30および一時保留部32をスタッカ式(積層式)のものとしてもよい。
【0043】
また、図2に示すように、識別機40は、略直方体形状の筐体40aと、筐体40aの外部から内部に紙幣や有価証券等の紙葉類を投入するための投入口42と、筐体40aの内部に設けられ、投入口42により筐体40aの内部に投入された紙葉類を1枚ずつ搬送する搬送部44と、を備えている。図2に示すように、エアシュータ14の端部は、識別機40の筐体40aの外側面の近傍に設けられている。あるいは、エアシュータ14の端部は、識別機40の筐体40aの外側面に取り付けられていてもよい。また、図2に示すように、識別機40の筐体40aの内部において搬送部44の下流側端部の近傍には収納機構48が設けられている。この収納機構48は、搬送部44により搬送され識別部46により識別が行われた、図2において参照符号Sが付された紙葉類を、識別機40の近傍におけるエアシュータ14の端部に待機しており当該エアシュータ14により搬送されるべき収納部材16に、収納するようになっている。識別機40に設けられた収納機構48の構成の詳細について、図4および図5を用いて以下に説明する。
【0044】
図4(a)〜(c)は、識別機40に設けられた収納機構48の構成を示す斜視図であって、当該収納機構48により紙葉類Sが収納部材16に収納される動作を順に示す図である。また、図5(a)〜(d)は、図4に示す収納機構48の上面図であって、当該収納機構48により紙葉類Sが収納部材16に収納される動作を順に示す図である。なお、図4および図5に示すような例では、収納部材16として、図3(a)に示すようなスリット16aが側面に設けられたものを使用している。図4および図5に示すように、収納機構48は、搬送部44の下流側端部に搬送された1枚の紙葉類Sを、エアシュータ14の端部に待機している収納部材16側に押し出す押し出し部材48aを有している。
【0045】
収納機構48により紙葉類Sを収納部材16に収納する動作について以下に説明する。図4(a)および図5(a)に示すように、識別機40において搬送部44により搬送され識別部46により識別が行われた紙葉類Sは、立位状態で搬送部44の下流側端部の近傍の位置に保留される。その後、押し出し部材48aは、保留されている1枚の紙葉類Sに向かって移動し、この紙葉類Sを収納部材16側に押し出す。具体的には、図4(b)および図5(b)に示すように、紙葉類Sが押し出し部材48aにより押し出されると、この紙葉類Sは縦に2つ折りとなり、2つ折りとなった紙葉類Sは押し出し部材48aにより収納部材16のスリット16a内に押し込まれる(図4(c)および図5(c)参照)。そして、押し出し部材48aが2つ折りになった紙葉類Sを更に収納部材16内に押し込むと、図5(d)に示すように、この紙葉類Sは収納部材16内に完全に収納されることとなる。押し出し部材48aは、図2の参照符号Sに示されるような位置に紙葉類が送られる度に、この紙葉類を収納部材16の内部に収納するようになっている。
【0046】
図4および図5を用いて収納機構48の一の構成例について説明したが、搬送部44から送られた紙葉類を、識別機40の近傍におけるエアシュータ14の端部で待機している収納部材16に収納することができるものであれば、収納機構48として、図4および図5に示す構成以外のものを用いてもよい。
【0047】
図6に示すように、貨幣釣銭機20および識別機40はそれぞれ制御装置60に通信接続されている。制御装置60は、貨幣釣銭機20および識別機40とは離間して設けられている。
【0048】
また、貨幣釣銭機20には制御部34が設けられている。この制御部34は筐体20aの内部に配置されており、繰出機構22a、搬送部24、識別部26、釣銭収納繰出部30、一時保留部32等の各々に接続されている。そして、識別部26による紙葉類の識別情報に係る信号が制御部34に送られるとともに、制御部34は繰出機構22a、搬送部24、釣銭収納繰出部30、一時保留部32等の各構成要素に指令信号を送りこれらの構成要素の制御を行うようになっている。制御部34による具体的な制御内容については後述する。
【0049】
また、図6に示すように、制御部34にはインターフェース36が接続されており、このインターフェース36を介して制御部34は制御装置60と信号の送受信を行うことができるようになっている。また、図6に示すように、識別機40の搬送部44、識別部46および収納機構48等はそれぞれ制御装置60に直接接続されており、識別部46による紙葉類の識別情報に係る信号が制御装置60に送られるとともに、制御装置60は搬送部44や収納機構48に指令信号を送りこれらの搬送部44や収納機構48の制御を行うようになっている。制御装置60による具体的な制御内容については後述する。また、制御装置60は上位装置等に通信接続されており、この制御装置60は、上位装置等と信号の送受信を行うことができるようになっている。上位装置としては、レジライン18に設けられたPOSレジスタや、出納室17に設けられた在高管理ソフトウェア、無線端末等が挙げられる。とりわけ、制御装置60は出納室17に設けられた在高管理ソフトウェアと信号の送受信を行うことができるようになっているので、エアシュータ14により識別機40から金庫12に送られた収納部材16に収納された紙葉類の在高の情報をレジライン18から出納室17に送信することが可能となり、出納室17において実際に収納部材16から取り出された紙葉類の在高と制御装置60から送信された情報における紙葉類の在高とを照合することができるようになる。
【0050】
また、図6に示すように、制御装置60には報知部62が設けられている。この報知部62は、音声または表示、あるいは音声および表示の両方の方法により、操作者に対して様々な報知を行うことができるようになっている。また、制御装置60には記憶部64が設けられている。制御装置60は、識別機40の識別部46により識別された紙葉類の合計金額を記憶部64に記憶させるようになっている。
【0051】
また、図6に示すように、識別機40の収納機構48には、収納部材16の記憶部16mに情報を書き込むための情報書き込み部48wが設けられている。情報書き込み部48wは、収納部材16の記憶部16mに対して、貨幣釣銭機20のシリアル番号や、収納部材16に収納された紙葉類の情報、具体的には紙葉類の券種(紙幣、有価証券(例えば小切手や商品券)、ID媒体(例えばレシート)等)や金種(紙葉類が紙幣である場合)、券種毎や金種毎の収納枚数、正損情報、記番号等を書き込むようになっている。
【0052】
なお、制御装置60にエアシュータ14も接続され、この制御装置60によりエアシュータ14の制御が行われるようになっていてもよい。この場合、制御装置60は、貨幣釣銭機20や識別機40における動作が完了した後に、エアシュータ14を制御して収納部材16を識別機40から金庫12に搬送させることとなる。
【0053】
次に、このような構成からなる貨幣処理システム10の動作について、図9および図10に示すフローチャートを用いて説明する。
【0054】
操作者は、まず、処理すべき対象となる紙葉類の中から、貨幣釣銭機20に釣銭として収納されるべき紙幣を手動で選別する。より具体的には、貨幣釣銭機20では、釣銭として貨幣釣銭機20内に収納されるべき紙幣の金種が設定されており、操作者は、この設定されている金種の紙幣を、処理すべき対象となる紙葉類から選別する。なお、残りの紙葉類については、後述するように収納部材16に収納してエアシュータ14により出納室17に搬送することとなる。そして、図9のSTEP1に示すように、貨幣釣銭機20に釣銭として収納されるべき紙幣として選別された紙幣を、貨幣釣銭機20に入金する。
【0055】
貨幣釣銭機20への紙幣の入金処理について、図10に示すフローチャートを用いてより詳細に説明する。
【0056】
貨幣釣銭機20において入金処理を行うにあたり、まず、操作者は、貨幣釣銭機20に釣銭として収納されるべき紙幣として選別された紙幣を貨幣釣銭機20の投入口22に投入する。この際に、操作者による選別において誤りが生じ、貨幣釣銭機20に釣銭として収納されるべき紙幣以外の紙葉類が投入口22に投入される場合もある。また、制御部34において、釣銭として貨幣釣銭機20内に収納されるべき紙幣の金種毎の枚数や合計金額等が設定される。
【0057】
投入口22に紙葉類が投入された後、操作者が操作部により処理開始の指令を制御部34に与えると、投入口22に投入された紙葉類は1枚ずつ繰出機構22aにより筐体20aの内部に繰り出され、搬送部24により1枚ずつ搬送される(図10のSTEP11)。そして、筐体20aの内部に繰り出され、搬送部24により搬送される紙葉類は識別部26によりその券種(紙幣、有価証券(例えば小切手や商品券)、ID媒体(例えばレシート)等)、金種(紙葉類が紙幣である場合)、真偽、正損、記番号等が識別される(図10のSTEP12)。ここで、識別部26により識別することができなかった紙葉類や、紙幣、有価証券、ID媒体等ではないと識別された紙葉類、または偽券等であると識別された紙幣は(図10のSTEP13の「YES」)、リジェクト紙葉類としてリジェクト口29に搬送され(図10のSTEP14)、操作者によりリジェクト口29から取り出されることとなる。
【0058】
また、識別部26により識別された紙葉類がリジェクト紙葉類ではない場合には(図10のSTEP13の「NO」)、この紙葉類は一時保留部32に搬送され、この一時保留部32で一時的に保留される(図10のSTEP15)。そして、投入口22から全ての紙葉類が筐体20aの内部に投入され、一時保留部32に一時的に保留されると(図10のSTEP16の「YES」)、一時保留部32から紙葉類が搬送部24に1枚ずつ繰り出される(図10のSTEP17)。
【0059】
一時保留部32から繰り出された紙葉類が、制御部34において釣銭として設定された所定の金種の紙幣であり、かつ、この繰り出された紙葉類(紙幣)の金種に対応する釣銭が未だ釣銭収納繰出部30に十分に収納されていない場合には、一時保留部32から繰り出された紙葉類は釣銭として金種毎に釣銭収納繰出部30に収納される(図10のSTEP18の「YES」、STEP19)。より具体的には、例えば制御部34において貨幣釣銭機20内に釣銭として千円札を100枚収納させることが設定されていた場合において、一時保留部32から繰り出された紙葉類が千円札であり、かつ今回の入金処理において釣銭として貨幣釣銭機20内に収納された千円札が100枚未満であるときには、一時保留部32から繰り出された千円札は、千円札に対応する釣銭収納繰出部30に収納されることとなる。
【0060】
一方、一時保留部32から繰り出された紙葉類が、制御部34において釣銭として設定された所定の金種の紙幣であっても、この繰り出された紙葉類(紙幣)の金種に対応する釣銭が既に釣銭収納繰出部30に十分に収納されている場合には、一時保留部32から繰り出された紙葉類はオーバーフロー紙幣として投出口28に搬送される(図10のSTEP18の「NO」、STEP20)。より具体的には、例えば制御部34において貨幣釣銭機20内に釣銭として千円札を100枚収納させることが設定されていた場合において、一時保留部32から繰り出された紙葉類が千円札であり、かつ今回の入金処理において釣銭として貨幣釣銭機20内に収納された千円札が既に100枚に達しているときには、一時保留部32から繰り出された千円札はオーバーフロー紙幣として投出口28に搬送されることとなる。
【0061】
また、一時保留部32から繰り出された紙葉類(紙幣)の金種に対応する釣銭が未だ釣銭収納繰出部30に十分に収納されていない場合でも、この紙幣の金種に対応する釣銭収納繰出部30がフル状態またはニアフル状態である場合には、一時保留部32から繰り出された紙葉類は釣銭収納繰出部30ではなく投出口28に搬送されることとなる。また、制御部34において、投入された紙葉類のうち釣銭として貨幣釣銭機20内に収納されるべき紙幣の合計金額が設定されている場合には、一時保留部32から繰り出された紙幣のうち、釣銭として貨幣釣銭機20内に収納されるべき紙幣の合計金額を超える分については、釣銭収納繰出部30ではなく投出口28に搬送される。
【0062】
また、一時保留部32から繰り出された紙葉類が、制御部34において釣銭として設定された所定の金種の紙幣ではない場合には、この紙葉類は投出口28に搬送される(図10のSTEP18の「NO」、STEP20)。具体的には、例えば制御部34において貨幣釣銭機20内に釣銭として千円札を収納させることが設定されていた場合において、千円札以外の金種の紙幣や、有価証券、ID媒体等は投出口28に搬送される。
【0063】
なお、投出口28に紙葉類が1枚でも搬送された場合には、報知部62は、投出口28に搬送された紙葉類を識別機40に投入することを操作者に報知するようになっている。すなわち、投出口28に搬送された紙葉類は、貨幣釣銭機20において釣銭として受付できない紙葉類の券種として設定されたものであり、このような紙葉類は収納部材16に収納してエアシュータ14により出納室17に搬送することとなるが、貨幣釣銭機20の投出口28に搬送された紙葉類は、操作者により取り出すことが忘れがちになるので、報知部62により操作者に対して報知することが望ましい。
【0064】
上述のような図10のSTEP17〜STEP20に示される動作は、一時保留部32から全ての紙葉類が繰り出されるまで行われる(図10のSTEP21の「NO」)。一時保留部32から全ての紙葉類が繰り出され、釣銭収納繰出部30または投出口28に搬送されると(図10のSTEP21の「YES」)、貨幣釣銭機20における一連の入金処理が終了する。その後、貨幣釣銭機20の制御部34は、釣銭収納繰出部30に釣銭として収納された紙幣の金種毎の枚数および合計金額に係る情報を、制御装置60に送信する。
【0065】
なお、貨幣釣銭機20の制御部34は、この貨幣釣銭機20の投入口22に投入された紙葉類を、釣銭としての紙幣以外の紙葉類も含めて、全て筐体20a内に収納するような受付許可モードで紙葉類の処理を行うこともできるようになっている。すなわち、例えばエアシュータ14が故障した場合等において、収納部材16に紙葉類を収納させないような状況が生じた場合には、処理対象となる紙葉類をすべて貨幣釣銭機20内に収納させるようになっている。
【0066】
また、上述のような入金処理において、貨幣釣銭機20に、釣銭としての紙幣以外の紙葉類が収納されるようになっていてもよい。例えば、貨幣釣銭機20の筐体20a内に、混合収納繰出部(図示せず)が設けられており、投入口22に投入された紙葉類のうち、釣銭としての紙幣以外の紙葉類は、投出口28に搬送される代わりにこの混合収納繰出部に収納されるようになっていてもよい。この場合、貨幣釣銭機20の制御部34は、混合収納繰出部に収納された紙葉類の情報を含めた、貨幣釣銭機20に収納された全ての紙葉類に係る情報を、制御装置60に送信することとなる。なお、この場合、制御部34に記憶部(図示せず)が設けられており、貨幣釣銭機20に収納された全ての紙葉類に係る情報を制御部34の記憶部に記憶させるようになっていてもよい。
【0067】
次に、図9のSTEP2に示すように、操作者は、貨幣釣銭機20に釣銭として収納された紙幣以外の紙葉類を識別機40内に1枚ずつ投入し、投入された紙葉類を識別機40の識別部46により識別し、識別された紙葉類を収納部材16に収納する。
【0068】
より具体的には、操作者は、貨幣釣銭機20に釣銭として収納された紙幣以外の紙葉類を1枚ずつ識別機40の投入口42により当該識別機40の筐体40a内に投入する。この際に、貨幣釣銭機20内に一度は投入されたが貨幣釣銭機20の投出口28に搬送された紙葉類も、識別機40の投入口42により1枚ずつ当該識別機40の筐体40a内に投入する。筐体40a内に投入された紙葉類は1枚ずつ搬送部44により搬送され、識別部46によりその券種(紙幣、有価証券(例えば小切手や商品券)、ID媒体(例えばレシート)等)、金種(紙葉類が紙幣である場合)、真偽、正損等が識別される。識別部により識別された紙葉類の識別情報は制御装置60に送られる。制御装置60は、識別機40の識別部46により識別された紙葉類の合計金額を記憶部64に記憶させるようになっている。
【0069】
識別部46により識別された紙葉類は、収納機構48により、識別機40の近傍におけるエアシュータ14の端部に待機している収納部材16に1枚ずつ収納される。全ての紙葉類が収納部材16に収納されると、識別機40における動作が終了する。
【0070】
その後、図9のSTEP3に示すように、制御装置60は、貨幣釣銭機20の制御部34から送られた、貨幣釣銭機20の内部に収納された紙葉類に係る情報、および識別機40の識別部46による紙葉類の識別結果に係る情報を合算する。このことにより、制御装置60は、紙葉類の入金額(貨幣処理システム10全体における紙葉類の入金額)を算出する。なお、貨幣釣銭機20や識別機40により識別することができない紙葉類については、この紙葉類の明細等のデータを制御装置60に手入力し、当該紙葉類を収納部材16に投入してもよい。
【0071】
次に、エアシュータ14の動作について説明する。識別機40の近傍におけるエアシュータ14の端部に待機している収納部材16に紙葉類が収納された後、エアシュータ14は、紙葉類が収納された収納部材16を空気圧により識別機40から金庫12に搬送する。その後、出納室17において当該金庫12に搬送された収納部材16から紙葉類が取り出され、この取り出された紙葉類は金庫12に収納される。また、制御装置60と通信接続された在高管理ソフトウェアが出納室17に設けられている場合には、この在高管理ソフトウェアを用いて、制御装置60から送信された、収納部材16に収納された紙葉類の在高と、出納室17において実際に収納部材16から取り出された紙葉類の在高との照合が行われる。
【0072】
以上のように本実施の形態の貨幣処理システム10によれば、貨幣釣銭機20とは別個に、エアシュータ14に接続された識別機40が設けられており、この識別機40は、当該識別機40の内部に投入された紙葉類の識別を行う識別部46と、識別部46により識別された紙葉類を、エアシュータ14により搬送されるべき収納部材16に収納する収納機構48と、を有している。また、制御装置60は、貨幣釣銭機20に収納された紙葉類に係る情報および識別機40の識別部46による紙葉類の識別結果に係る情報がそれぞれ送られるようになっており、両者の情報を合算することにより紙葉類の入金額を算出するようになっている。このように、貨幣釣銭機20と、エアシュータ14に接続された識別機40を用いて貨幣等の管理を行っており、貨幣釣銭機20および識別機40はそれぞれ制御装置60に通信接続されているので、貨幣釣銭機20に収納される紙葉類(釣銭としての紙幣等)およびエアシュータ14により貨幣釣銭機20とは別の装置(例えば、金庫12等)に搬送される紙葉類について、その合計金額である紙葉類の入金額(貨幣処理システム10全体における紙葉類の入金額)を確実に管理することができる。
【0073】
また、本実施の形態の貨幣処理システム10においては、制御装置60に設けられ、操作者への報知を行うための報知部62を更に備え、貨幣釣銭機20において、受付できない紙葉類の券種および/または紙幣の金種が予め設定されており、当該券種または金種の紙葉類が識別部26により識別されたときにはこの紙葉類は貨幣釣銭機20の外部に投出されるようになっており、このときに、制御装置60は、貨幣釣銭機20の外部に投出された紙葉類を識別機40に投入することを報知するよう報知部62を制御するようになっている。このような報知部62が設けられていることにより、貨幣釣銭機20の外部に投出された紙葉類を操作者が識別機40に投入することを忘れてしまうというトラブルを抑制することができる。
【0074】
なお、制御装置60において紙葉類の入金額が算出される(図9のSTEP3参照)までは、貨幣釣銭機20の釣銭収納繰出部30に収納された紙幣が貨幣釣銭機20の外部に釣銭として投出されないようになっていてもよい。すなわち、この場合には、紙葉類の入金額が制御装置60において確定しないと、貨幣釣銭機20において釣銭を用意できないようになっている。
【0075】
また、本実施の形態の貨幣処理システム10においては、制御装置60は貨幣釣銭機20および識別機40とは離間して設けられている。また、制御装置60には記憶部64が設けられており、制御装置60は、識別機40の識別部46により識別された紙葉類の合計金額を記憶部64に記憶させるようになっている。
【0076】
また、本実施の形態の貨幣処理システム10においては、収納部材16には記憶部16mが設けられており、識別機40の収納機構48には、当該収納機構48により収納部材16に収納された紙葉類の情報を記憶部16mに書き込む情報書き込み部48wが設けられている。より具体的には、情報書き込み部48wは、対応する貨幣釣銭機20のシリアル番号や、収納部材16に収納された紙葉類の情報、具体的には紙葉類の券種(紙幣、有価証券(例えば小切手や商品券)、ID媒体(例えばレシート)等)や金種(紙葉類が紙幣である場合)、券種毎や金種毎の収納枚数、正損情報、記番号等を書き込むようになっている。このことにより、収納部材16がエアシュータ14によって出納室17に送られたときに、出納室17において記憶部16mに書き込まれた情報を読み取ることによりこの収納部材16に収納された紙葉類の情報を確認することができるようになる。また、記憶部16mに書き込まれた情報と、制御装置60から送信された情報とを比較することにより、収納部材16に収納された紙葉類の在高の照合を行うことができる。
【0077】
また、本実施の形態の貨幣処理システム10においては、貨幣釣銭機20とは別の装置、具体的には例えば金庫12から、貨幣釣銭機20において釣銭として使用される紙幣が収納された収納部材16がエアシュータ14により識別機40の近傍に搬送されるようになっていてもよい。この場合には、金庫12から識別機40の近傍に搬送された収納部材16から紙幣を取り出し、この取り出された紙幣を貨幣釣銭機20内に釣銭として収納させることができるようになる。
【0078】
また、本実施の形態の貨幣処理方法は、貨幣釣銭機20において釣銭として使用されるべき紙幣を含む紙葉類を当該貨幣釣銭機20の内部に投入し、貨幣釣銭機20の識別部26により、当該貨幣釣銭機20の内部に投入された紙葉類の識別を行う工程と、貨幣釣銭機20において釣銭として使用されるべき紙幣以外の紙葉類を識別機40の識別部46により識別し、識別された紙葉類を収納部材16に収納する工程と、紙葉類が収納された収納部材16をエアシュータ14により貨幣釣銭機20とは別の装置に搬送する工程と、貨幣釣銭機20の内部に収納された紙葉類に係る情報および識別機40の識別部46による紙葉類の識別結果に係る情報を合算することにより紙葉類の入金額を算出する工程と、を備えている。
【0079】
なお、本実施の形態による貨幣処理システム10および貨幣処理方法は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
【0080】
例えば、貨幣釣銭機20において入金処理が行われる際に、識別部26により識別された紙葉類が一旦一時保留部32に保留され、一時保留部32から繰り出された紙葉類が釣銭収納繰出部30または投出口28に搬送される代わりに、識別部26により識別された紙葉類は一時保留部32に搬送されずに直接的に釣銭収納繰出部30または投出口28に搬送されるようになっていてもよい。
【0081】
また、図3(a)〜(c)に示すような収納部材16において、スリット16aや開口16cを塞ぐ扉が設けられているとともに、この扉がスリット16aや開口16cを塞いだときに扉を閉止状態でロックするロック部が設けられていてもよい。このような例について図11を用いて説明する。図11に示すような収納部材16において、開口16cおよび扉16bは、図3(c)に示すものと同様の構成のものとなっている。ここで、図11に示すような収納部材16では、各扉16bが開口16cを塞いだときに当該扉16bを閉止状態でロックするロック部16dが設けられている。そして、ロック部16dによる扉16bのロックは、所定の条件でしか解除することができないようになっている。具体的には、金庫12および貨幣釣銭機20にそれぞれ設けられたロック解除部(図示せず)のみにより、ロック部16dによる扉16bのロックが解除されるようになっている。このようなロック部16dが収納部材16に設けられていることにより、収納部材16から紙葉類が第三者等により故意に取り出されてしまうことを防止することができ、セキュリティ性を向上させることができる。
【0082】
また、収納部材16として、図12に示すような、区分けされた複数の収納空間16e、16f、16gを有するものを用いてもよい。この場合、図12に示すように、収納機構48は、収納部材16の各収納空間16e、16f、16gにそれぞれ紙葉類Sを収納することができるような構成となっている。このことにより、収納部材16に紙葉類Sを例えば券種別や金種別に収納することができるようになる。
【0083】
また、貨幣処理システム10の制御ブロック図としては、図6に示すものに限定されることはない。例えば、図6に示す制御装置60が貨幣釣銭機20内に配置されていてもよい。また、図7に示すように、識別機40に制御部50およびこの制御部50に接続されたインターフェース52が設けられており、識別機40の搬送部44、識別部46および収納機構48はそれぞれ制御部50に接続されるようになっていてもよい。この場合、インターフェース52を介して制御部50は制御装置60と信号の送受信を行うようになる。
【0084】
また、図8に示すように、制御装置60が貨幣釣銭機20や識別機40とは別個に設けられておらず、貨幣釣銭機20の制御部34が制御装置60の機能を果たすようになっていてもよい。この場合、制御部34のインターフェース36には識別機40の搬送部44、識別部46および収納機構48がそれぞれ接続されており、識別部46による紙葉類の識別情報がインターフェース36を介して制御部34に送られるとともに、制御部34はインターフェース36を介して識別機40の搬送部44や収納機構48の制御を行うようになる。また、インターフェース36には貨幣釣銭機20の外部にある上位装置等が接続され、制御部34は、インターフェース36を介して上位装置等と信号の送受信を行うことができるようになる。さらに、制御部34には、報知部62および記憶部64が設けられている。図8に示す制御ブロック図においては、これらの報知部62および記憶部64も貨幣釣銭機20の筐体20aの内部に設けられている。報知部62は、音声または表示、あるいは音声および表示の両方の方法により、操作者に対して様々な報知を行うことができるようになっている。また、制御部34は、識別機40の識別部46により識別された紙葉類の合計金額等を含む様々な情報を記憶部64に記憶させるようになっている。
【0085】
また、貨幣処理システム10の動作としては、図9および図10におけるフローチャートに示すようなものに限定されることはない。代わりに、貨幣処理システム10において、図13に示すような動作が行われるようになっていてもよい。図13のフローチャートに示す動作について、図6に示す制御ブロック図のような構成を有する貨幣処理システム10が用いられた場合を一例として、以下に説明する。
【0086】
操作者は、まず、図13のSTEP31に示すように、処理すべき対象となる紙葉類を全て貨幣釣銭機20の投入口22に投入する。そして、貨幣釣銭機20において、投入口22に投入された紙葉類は、図10のフローチャートに示すような処理が行われる。このことにより、貨幣釣銭機20に釣銭として収納されるべき紙幣は釣銭収納繰出部30に収納されるとともに、それ以外の紙葉類は貨幣釣銭機20の投出口28に搬送される。なお、この際に、貨幣釣銭機20において、当該貨幣釣銭機20に投入された紙葉類のうち貨幣釣銭機20において釣銭として使用される紙幣以外のものは、筐体20a内に設けられた混合収納繰出部(図示せず)等に一旦収納され、貨幣釣銭機20において紙幣の入金額が確定された後に、混合収納繰出部に一旦収納された紙葉類がこの混合収納繰出部から1枚ずつ繰り出されて貨幣釣銭機20の外部に投出されるようになっていてもよい。貨幣釣銭機20の投出口28に紙葉類が全て搬送されると、制御装置60は、貨幣釣銭機20の外部に投出された紙葉類を識別機40に投入することを報知するよう報知部62を制御するようになっている。
【0087】
貨幣釣銭機20における、釣銭としての紙幣の入金処理が終了すると、貨幣釣銭機20の投出口28に搬送された紙葉類の情報、具体的には券種、金種、ならびに券種や金種毎の枚数等の情報が制御部34から制御装置60に送られる。
【0088】
次に、操作者は、図13のSTEP32に示すように、貨幣釣銭機20の投出口28から紙葉類を取り出し、この取り出された紙葉類を識別機40内に1枚ずつ投入し、投入された紙葉類を識別機40の識別部46により識別し、識別された紙葉類を収納部材16に収納する。
【0089】
より具体的には、操作者は、貨幣釣銭機20の投出口28から取り出された紙葉類を1枚ずつ識別機40の投入口42により当該識別機40の筐体40a内に投入する。筐体40a内に投入された紙葉類は1枚ずつ搬送部44により搬送され、識別部46によりその券種(紙幣、有価証券(例えば小切手や商品券)、ID媒体(例えばレシート)等)、金種(紙葉類が紙幣である場合)、真偽、正損等が識別される。識別部46により識別された紙葉類の識別情報は制御装置60に送られる。制御装置60は、識別機40の識別部46により識別された紙葉類の合計金額を記憶部64に記憶させる。
【0090】
識別部46により識別された紙葉類は、収納機構48により、識別機40の近傍におけるエアシュータ14の端部に待機している収納部材16に1枚ずつ収納される。全ての紙葉類が収納部材16に収納されると、識別機40における動作が終了する。
【0091】
その後、図13のSTEP33に示すように、制御装置60は、貨幣釣銭機20から投出された紙葉類に係る情報および識別機40の識別部46による紙葉類の識別結果に係る情報が一致するか否かを判断する。ここで、両者の情報が一致する場合には(図13のSTEP34の「YES」参照)、貨幣釣銭機20から投出された紙葉類が全て、識別機40の収納機構48により収納部材16に適切に収納されたと判断され、エアシュータ14により、紙葉類が収納された収納部材16が識別機40から金庫12に搬送される(図13のSTEP35)。
【0092】
以上のように図13のフローチャートに示すような動作を行う貨幣処理システム10によれば、制御装置60は、貨幣釣銭機20から投出された紙葉類に係る情報および識別機40の識別部46による紙葉類の識別結果に係る情報がそれぞれ送られるようになっており、両者の情報が一致するか否かを判断するようになっている。このため、貨幣釣銭機20から投出された紙葉類が識別機40の収納機構48により収納部材16に適切に収納されたか否かを判断することができる。
【0093】
また、図13のフローチャートに示すような動作を行う貨幣処理システム10においては、制御装置60は、貨幣釣銭機20から投出された紙葉類に係る情報および識別機40の識別部46による紙葉類の識別結果に係る情報が一致しない場合には、収納部材16の搬送を行わないようエアシュータ14を制御するようになっている(図13のSTEP34の「NO」参照)。このため、貨幣釣銭機20から投出された紙葉類が収納部材16に適切に収納された場合のみ、収納部材16の搬送を行うことができるようになる。
【0094】
また、図13のフローチャートに示すような動作を行う貨幣処理システム10においては、前述のように、貨幣釣銭機20において、当該貨幣釣銭機20に投入された紙葉類のうち貨幣釣銭機20において釣銭として使用される紙幣以外のものは、貨幣釣銭機20において紙幣の入金額が確定された後に貨幣釣銭機20の外部に投出されるようになっていてもよい。このときに、制御装置60は、貨幣釣銭機20の外部に投出された紙葉類を識別機40に投入することを報知するよう報知部62を制御するようになっている。
【0095】
また、本発明の貨幣処理システムは、紙幣や有価証券等を含む紙葉類を処理するものに限定されることはない。本発明の貨幣処理システムとして、紙葉類ではなく硬貨の処理を行うものを用いてもよい。以下、釣銭として紙幣ではなく硬貨を出金するような貨幣処理機を備えた貨幣処理システムについて図14および図15を用いて説明する。
【0096】
図14および図15に示すように、変形例に係る貨幣処理システムは、釣銭として貨幣を出金するような貨幣釣銭機70と、この貨幣釣銭機70とは別個に設けられた識別機90と、貨幣釣銭機70および識別機90にそれぞれ接続された制御装置100とを備えている。
【0097】
図14に示すように、貨幣釣銭機70は、略直方体形状の筐体70aと、筐体70aの外部から内部に硬貨を投入するための投入口72と、筐体70aの内部に設けられ、投入口72から投入された硬貨が収納されるとともに収納された硬貨を1枚ずつ繰り出す繰出部73と、筐体70aの内部に設けられ、繰出部73により繰り出された硬貨を1枚ずつ搬送する搬送部74と、を備えている。
【0098】
また、搬送部74には識別部76が設けられており、この識別部76により、繰出部73から繰り出された硬貨の識別が行われるようになっている。また、筐体70aの内部には例えば6つの釣銭収納繰出部80が設けられており、各釣銭収納繰出部80には搬送部74から硬貨が金種別に送られるようになっている。各釣銭収納繰出部80の下方には搬送ベルト75が設けられており、釣銭の出金処理を行う際には、各釣銭収納繰出部80に収納された硬貨が搬送ベルト75に送られるようになっている。搬送ベルト75の端部には投出口78が設けられており、各釣銭収納繰出部80から搬送ベルト75に送られた硬貨は搬送ベルト75により投出口78に搬送されるようになっている。操作者は、投出口78に送られた硬貨を筐体70aの外部から取り出すことができるようになっている。
【0099】
また、搬送部74において識別部76の下流側にはリジェクト硬貨シュート74aが設けられており、識別部76により識別することができなかった硬貨や、識別部76により識別されたがリジェクトすべきであると判断されたリジェクト硬貨は、搬送部74からリジェクト硬貨シュート74aに送られ、このリジェクト硬貨シュート74aにより搬送ベルト75に直接送られるようになっている。すなわち、リジェクト硬貨は各釣銭収納繰出部80に収納されることなく、投出口78に送られるようになっている。
【0100】
次に、識別機90の構成について図14を用いて説明する。図14に示すように、識別機90は、略直方体形状の筐体90aと、筐体90aの外部から内部に硬貨を投入するための投入口92と、筐体90aの内部に設けられ、投入口92から投入された硬貨が収納されるとともに収納された硬貨を1枚ずつ繰り出す繰出部94と、筐体90aの内部に設けられ、繰出部94により繰り出された硬貨を1枚ずつ搬送する搬送部95と、を備えている。また、図14に示すように、エアシュータ14の端部は、識別機90の筐体90aの外側面の近傍に設けられている。あるいは、エアシュータ14の端部は、識別機90の筐体90aの外側面に取り付けられていてもよい。
【0101】
また、搬送部95には識別部96が設けられており、この識別部96により、繰出部94から繰り出された硬貨の識別が行われるようになっている。また、識別機90の筐体90aの内部において搬送部95の下流側端部の近傍には収納機構98が設けられている。この収納機構98は、搬送部95により搬送され識別部96により識別が行われた硬貨を、識別機90の近傍におけるエアシュータ14の端部に待機しており当該エアシュータ14により搬送されるべき収納部材16に、収納するようになっている。
【0102】
図15に示すように、貨幣釣銭機70および識別機90はそれぞれ制御装置100に通信接続されている。制御装置100は、貨幣釣銭機70および識別機90とは離間して設けられている。
【0103】
また、貨幣釣銭機70には制御部82が設けられている。この制御部82は筐体70aの内部に配置されており、繰出部73、搬送部74、識別部76、釣銭収納繰出部80、搬送ベルト75等の各々に接続されている。そして、識別部76による硬貨の識別情報に係る信号が制御部82に送られるとともに、制御部82は繰出部73、搬送部74、釣銭収納繰出部80、搬送ベルト75等の各構成要素に指令信号を送りこれらの構成要素の制御を行うようになっている。
【0104】
また、図15に示すように、制御部82にはインターフェース84が接続されており、このインターフェース84を介して制御部82は制御装置100と信号の送受信を行うことができるようになっている。また、図15に示すように、識別機90の繰出部94、搬送部95、識別部96および収納機構98等はそれぞれ制御装置100に直接接続されており、識別部96による硬貨の識別情報に係る信号が制御装置100に送られるとともに、制御装置100は繰出部94、搬送部95および収納機構98に指令信号を送りこれらの繰出部94、搬送部95および収納機構98の制御をそれぞれ行うようになっている。また、制御装置100は上位装置等に通信接続されており、この制御装置100は、上位装置等と信号の送受信を行うことができるようになっている。
【0105】
また、図15に示すように、制御装置100には報知部102が設けられている。この報知部102は、音声または表示、あるいは音声および表示の両方の方法により、操作者に対して様々な報知を行うことができるようになっている。また、制御装置100には記憶部104が設けられている。制御装置100は、識別機90の識別部96により識別された硬貨の合計金額を記憶部104に記憶させるようになっている。
【0106】
また、図15に示すように、識別機90の収納機構98には、収納部材16の記憶部16mに情報を書き込むための情報書き込み部98wが設けられている。情報書き込み部98wは、収納部材16の記憶部16mに対して、貨幣釣銭機70のシリアル番号や、収納部材16に収納された硬貨の情報、具体的には硬貨の金種や金種毎や金種毎の収納枚数を書き込むようになっている。
【0107】
なお、図14に示すような貨幣処理システムにおける制御ブロック図は図15に示すものに限定されることはない。例えば、図15に示す制御装置100が貨幣釣銭機70内に配置されていてもよい。また、図7に示す制御ブロック図と同様に、識別機90に制御部およびインターフェースが設けられており、識別機90の制御部がインターフェースを介して制御装置100と信号の送受信を行うようになっていてもよい。また、図8に示す制御ブロック図と同様に、制御装置100が貨幣釣銭機70や識別機90とは別個に設けられておらず、貨幣釣銭機70の制御部82が制御装置100の機能を果たすようになっていてもよい。
【0108】
次に、図14および図15に示すような貨幣処理システムの動作を説明する。以下に示す貨幣処理システムの動作では、図9のフローチャートに示される動作に類似する動作が行われる。
【0109】
操作者は、まず、処理すべき対象となる硬貨の中から、貨幣釣銭機70に釣銭として収納されるべき硬貨を手動で選別する。より具体的には、貨幣釣銭機70では、釣銭として貨幣釣銭機70内に収納されるべき硬貨の金種が設定されており、操作者は、この設定されている金種の硬貨を、処理すべき対象となる硬貨から選別する。なお、残りの硬貨については、後述するように収納部材16に収納してエアシュータ14により出納室17に搬送することとなる。そして、貨幣釣銭機70に釣銭として収納されるべき硬貨として選別された硬貨を、貨幣釣銭機70に入金する。
【0110】
貨幣釣銭機70への硬貨の入金処理について以下に詳細に説明する。
【0111】
貨幣釣銭機70において入金処理を行うにあたり、まず、操作者は、貨幣釣銭機70に釣銭として収納されるべき硬貨として選別された硬貨を貨幣釣銭機70の投入口72に一括して投入する。この際に、操作者による選別において誤りが生じ、貨幣釣銭機70に釣銭として収納されるべき硬貨以外の硬貨が投入口72に投入される場合もある。また、制御部82において、釣銭として貨幣釣銭機70内に収納されるべき硬貨の金種毎の枚数や合計金額等が設定される。
【0112】
投入口72に硬貨が一括して投入された後、操作者が操作部により処理開始の指令を制御部82に与えると、投入口72に投入されて繰出部73に収納されている硬貨は1枚ずつ搬送部74に繰り出され、搬送部74により1枚ずつ搬送され、識別部76によりその金種、真偽、正損等が識別される。ここで、識別部76により識別することができなかった硬貨や、識別部76により識別されたが釣銭として釣銭収納繰出部80に収納されるべき硬貨ではないと判断された硬貨は、リジェクト硬貨シュート74aに送られ、このリジェクト硬貨シュート74aを落下して搬送ベルト75上に送られる。また、識別部76により識別された硬貨が、釣銭収納繰出部80に収納されるべき硬貨である場合には、金種別に各釣銭収納繰出部80に送られ、これらの釣銭収納繰出部80に収納される。
【0113】
その後、リジェクト硬貨シュート74aから搬送ベルト75上に送られた硬貨は、この搬送ベルト75により投出口78に搬送される。
【0114】
なお、投出口78に硬貨が1枚でも搬送された場合には、報知部102は、投出口78に搬送された硬貨を識別機90に投入することを操作者に報知するようになっている。すなわち、投出口78に搬送された硬貨は、貨幣釣銭機70において釣銭として受付できない硬貨の金種として設定されたものであり、このような硬貨は収納部材16に収納してエアシュータ14により出納室17に搬送することとなるが、貨幣釣銭機70の投出口78に搬送された硬貨は、操作者により取り出すことが忘れがちになるので、報知部102により操作者に対して報知することが望ましい。
【0115】
そして、繰出部73から全ての硬貨が繰り出され、釣銭収納繰出部80または投出口78に搬送されると、貨幣釣銭機70における一連の入金処理が終了する。その後、貨幣釣銭機70の制御部82は、釣銭収納繰出部80に釣銭として収納された硬貨の金種毎の枚数および合計金額に係る情報を、制御装置100に送信する。
【0116】
次に、操作者は、貨幣釣銭機70に釣銭として収納された硬貨以外の硬貨を識別機90内に一括して投入し、投入された硬貨を識別機90の識別部96により識別し、識別された硬貨を収納部材16に収納する。なお、操作者は、貨幣釣銭機70に釣銭として収納された硬貨以外の硬貨を識別機90内に1枚ずつ投入してもよい。
【0117】
より具体的には、操作者は、貨幣釣銭機70に釣銭として収納された硬貨以外の硬貨を識別機90の投入口92により当該識別機90の筐体90a内に一括してまたは1枚ずつ投入する。この際に、貨幣釣銭機70内に一度は投入されたが貨幣釣銭機70の投出口78に搬送された硬貨も、識別機90の投入口92により当該識別機90の筐体90a内に投入する。投入口92に硬貨が投入された後、操作者が操作部により処理開始の指令を制御装置100に与えると、投入口92に投入されて繰出部94に収納されている硬貨は1枚ずつ搬送部95に繰り出され、搬送部95により1枚ずつ搬送され、識別部96によりその金種、真偽、正損等が識別される。識別部96により識別された硬貨の識別情報は制御装置100に送られる。制御装置100は、識別機90の識別部96により識別された硬貨の合計金額を記憶部104に記憶させるようになっている。
【0118】
識別部96により識別された硬貨は、収納機構98により、識別機90の近傍におけるエアシュータ14の端部に待機している収納部材16に1枚ずつ収納される。全ての硬貨が収納部材16に収納されると、識別機90における動作が終了する。
【0119】
その後、制御装置100は、貨幣釣銭機70の制御部82から送られた、貨幣釣銭機70の釣銭収納繰出部80に釣銭として収納された硬貨に係る情報、および識別機90の識別部96による硬貨の識別結果に係る情報を合算する。このことにより、制御装置100は、硬貨の入金額(貨幣処理システム全体における硬貨の入金額)を算出する。
【0120】
以上のように図14および図15に示すような貨幣処理システムによれば、貨幣釣銭機70とは別個に、エアシュータ14に接続された識別機90が設けられており、この識別機90は、当該識別機90の内部に投入された硬貨の識別を行う識別部96と、識別部96により識別された硬貨を、エアシュータ14により搬送されるべき収納部材16に収納する収納機構98と、を有している。また、制御装置100は、貨幣釣銭機70の釣銭収納繰出部80に収納された硬貨に係る情報および識別機90の識別部96による硬貨の識別結果に係る情報がそれぞれ送られるようになっており、両者の情報を合算することにより硬貨の入金額を算出するようになっている。このように、貨幣釣銭機70と、エアシュータ14に接続された識別機90を用いて硬貨の管理を行っており、貨幣釣銭機70および識別機90はそれぞれ制御装置100に通信接続されているので、貨幣釣銭機70に収納される硬貨およびエアシュータ14により貨幣釣銭機70とは別の装置(例えば、金庫12等)に搬送される硬貨について、その合計金額である硬貨の入金額を確実に管理することができる。
【0121】
なお、図14および図15に示すような貨幣処理システムの動作は、上述のようなものに限定されることはない。代わりに、図14および図15に示すような貨幣処理システムの動作が以下のようなものとなっていてもよい。以下に示す貨幣処理システムの動作では、図13のフローチャートに示される動作に類似する動作が行われる。
【0122】
操作者は、まず、処理すべき対象となる硬貨を全て貨幣釣銭機70の投入口72に投入する。そして、貨幣釣銭機70において、投入口72に投入された硬貨は上述のような処理と同様の処理が行われる。このことにより、貨幣釣銭機70に釣銭として収納されるべき硬貨は釣銭収納繰出部80に収納されるとともに、それ以外の硬貨は貨幣釣銭機70の投出口78に搬送される。なお、この際に、貨幣釣銭機70において、当該貨幣釣銭機70に投入された硬貨のうち貨幣釣銭機70において釣銭として使用される硬貨以外のものは、例えば搬送ベルト75上に一時的に保留され、貨幣釣銭機70において硬貨の入金額が確定された後に、搬送ベルト75上に一時的に保留された硬貨がこの搬送ベルト75により投出口78に搬送されて貨幣釣銭機70の外部に投出されるようになっていてもよい。貨幣釣銭機70の投出口78に硬貨が搬送されると、制御装置100は、貨幣釣銭機70の外部に投出された硬貨を識別機90に投入することを報知するよう報知部102を制御するようになっている。
【0123】
貨幣釣銭機70における、釣銭としての硬貨の入金処理が終了すると、貨幣釣銭機70の投出口78に搬送された硬貨の情報、具体的には金種や金種毎の枚数等の情報が制御部82から制御装置100に送られる。
【0124】
次に、操作者は、貨幣釣銭機70の投出口78から硬貨を取り出し、この取り出された硬貨を識別機90内に投入し、投入された硬貨を識別機90の識別部96により識別し、識別された硬貨を収納部材16に収納する。
【0125】
より具体的には、操作者は、貨幣釣銭機70の投出口78から取り出された硬貨を硬貨識別機90の投入口92により当該識別機90の筐体90a内に投入する。筐体90a内に投入され、繰出部94から繰り出された硬貨は1枚ずつ搬送部95により搬送され、識別部96によりその金種、真偽、正損等が識別される。識別部96により識別された硬貨の識別情報は制御装置100に送られる。制御装置100は、識別機90の識別部96により識別された硬貨の合計金額を記憶部104に記憶させる。
【0126】
識別部96により識別された硬貨は、収納機構98により、識別機90の近傍におけるエアシュータ14の端部に待機している収納部材16に1枚ずつ収納される。全ての硬貨が収納部材16に収納されると、識別機90における動作が終了する。
【0127】
その後、制御装置100は、貨幣釣銭機70から投出された硬貨に係る情報および識別機90の識別部96による硬貨の識別結果が一致するか否かを判断する。ここで、両者の情報が一致する場合には、貨幣釣銭機70から投出された硬貨が全て、識別機90の収納機構98により収納部材16に適切に収納されたと判断され、エアシュータ14により、硬貨が収納された収納部材16が識別機90から金庫12に搬送される。
【0128】
以上のように上述のような貨幣処理システムによれば、制御装置100は、貨幣釣銭機70から投出された硬貨に係る情報および識別機90の識別部96による硬貨の識別結果に係る情報がそれぞれ送られるようになっており、両者の情報が一致するか否かを判断するようになっている。このため、貨幣釣銭機70から投出された硬貨が識別機90の収納機構98により収納部材16に適切に収納されたか否かを判断することができる。
【符号の説明】
【0129】
10 貨幣処理システム
12 金庫
14 エアシュータ
16 収納部材
16a スリット
16b 扉
16c 開口
16d ロック部
16e、16f、16g 収納空間
16m 記憶部
17 出納室
18 レジライン
20 貨幣釣銭機
20a 筐体
22 投入口
22a 繰出機構
24 搬送部
26 識別部
28 投出口
29 リジェクト口
30 釣銭収納繰出部
32 一時保留部
34 制御部
36 インターフェース
40 識別機
40a 筐体
42 投入口
44 搬送部
46 識別部
48 収納機構
48a 押し出し部材
48w 情報書き込み部
50 制御部
52 インターフェース
60 制御装置
62 報知部
64 記憶部
70 貨幣釣銭機
70a 筐体
72 投入口
73 繰出部
74 搬送部
74a リジェクト硬貨シュート
75 搬送ベルト
76 識別部
78 投出口
80 釣銭収納繰出部
82 制御部
84 インターフェース
90 識別機
90a 筐体
92 投入口
94 繰出部
95 搬送部
96 識別部
98 収納機構
98w 情報書き込み部
100 制御装置
102 報知部
104 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体の外部から内部に紙葉類を投入するための投入口と、前記筐体の内部に設けられ、前記投入口により前記筐体の内部に投入された紙葉類を搬送する搬送部と、前記搬送部に設けられ、前記投入口により前記筐体の内部に投入された紙葉類の識別を行う識別部と、前記筐体の内部に設けられ、前記識別部により識別された紙葉類のうち特定の金種の紙幣を釣銭として収納するとともに収納された紙幣を前記搬送部に繰り出す釣銭収納繰出部と、前記搬送部に接続され、前記筐体の内部から外部に紙葉類を投出するための投出口と、を有する貨幣釣銭機と、
エアシュータ用収納部材の搬送を行うエアシュータと、
前記貨幣釣銭機とは別個に設けられ、前記エアシュータに接続された識別機であって、当該識別機の内部に投入された紙葉類の識別を行う識別部と、前記識別部により識別された紙葉類を、前記エアシュータにより搬送されるべきエアシュータ用収納部材に収納する収納機構と、を有する識別機と、
前記貨幣釣銭機の前記釣銭収納繰出部に収納された紙葉類に係る情報および前記識別機の前記識別部による紙葉類の識別結果に係る情報がそれぞれ送られるようになっており、両者の情報を合算することにより紙葉類の入金額を算出する制御部と、
を備えたことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項2】
前記制御部に設けられ、操作者への報知を行うための報知部を更に備え、
前記貨幣釣銭機において、受付できない紙葉類の券種および/または紙幣の金種が予め設定されており、当該券種または金種の紙葉類が前記識別部により識別されたときにはこの紙葉類は前記貨幣釣銭機の外部に投出されるようになっており、このときに、前記制御部は、前記貨幣釣銭機の外部に投出された紙葉類を前記識別機に投入することを報知するよう前記報知部を制御することを特徴とする請求項1記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記制御部により紙葉類の入金額が算出されるまでは、前記釣銭収納繰出部に収納された紙幣が前記貨幣釣銭機の外部に釣銭として投出されないようになっていることを特徴とする請求項1または2記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
筐体と、前記筐体の外部から内部に紙葉類を投入するための投入口と、前記筐体の内部に設けられ、前記投入口により前記筐体の内部に投入された紙葉類を搬送する搬送部と、前記搬送部に設けられ、前記投入口により前記筐体の内部に投入された紙葉類の識別を行う識別部と、前記筐体の内部に設けられ、前記識別部により識別された紙葉類のうち特定の金種の紙幣を釣銭として収納するとともに収納された紙幣を前記搬送部に繰り出す釣銭収納繰出部と、前記搬送部に接続され、前記筐体の内部から外部に紙葉類を投出するための投出口と、を有する貨幣釣銭機と、
エアシュータ用収納部材の搬送を行うエアシュータと、
前記貨幣釣銭機とは別個に設けられ、前記エアシュータに接続された識別機であって、当該識別機の内部に投入された紙葉類の識別を行う識別部と、前記識別部により識別された紙葉類を、前記エアシュータにより搬送されるべきエアシュータ用収納部材に収納する収納機構と、を有する識別機と、
前記貨幣釣銭機から投出された紙葉類に係る情報および前記識別機の前記識別部による紙葉類の識別結果に係る情報がそれぞれ送られるようになっており、両者の情報が一致するか否かを判断する制御部と、
を備えたことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項5】
前記制御部は前記エアシュータの制御も行うようになっており、当該制御部は、前記貨幣釣銭機から投出された紙葉類に係る情報および前記識別機の前記識別部による紙葉類の識別結果に係る情報が一致しない場合には、エアシュータ用収納部材の搬送を行わないよう前記エアシュータを制御することを特徴とする請求項4記載の貨幣処理システム。
【請求項6】
前記制御部に設けられ、操作者への報知を行う報知部を更に備え、
前記貨幣釣銭機において、当該貨幣釣銭機に投入された紙葉類のうち前記貨幣釣銭機において釣銭として使用される紙幣以外のものは、前記貨幣釣銭機において紙幣の入金額が確定された後に前記貨幣釣銭機の外部に投出されるようになっており、このときに、前記制御部は、前記貨幣釣銭機の外部に投出された紙葉類を前記識別機に投入することを報知するよう前記報知部を制御することを特徴とする請求項4または5記載の貨幣処理システム。
【請求項7】
前記制御部は前記貨幣釣銭機および前記識別機とは離間して設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の貨幣処理システム。
【請求項8】
前記制御部は前記貨幣釣銭機の前記筐体の内部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の貨幣処理システム。
【請求項9】
前記制御部には記憶部が設けられており、当該制御部は、前記識別機の前記識別部により識別された紙葉類の合計金額を前記記憶部に記憶させるようになっていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の貨幣処理システム。
【請求項10】
エアシュータ用収納部材には記憶部が設けられており、
前記識別機には、当該識別機の前記識別部による紙葉類の識別情報を前記記憶部に書き込む情報書き込み部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の貨幣処理システム。
【請求項11】
エアシュータ用収納部材は区分けされた複数の収納空間を有し、
前記識別機の前記収納機構は、エアシュータ用収納部材の各収納空間にそれぞれ紙葉類を収納することができるようになっていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の貨幣処理システム。
【請求項12】
前記貨幣釣銭機とは別の装置から、前記貨幣釣銭機において釣銭として使用される貨幣が収納されたエアシュータ用収納部材が前記エアシュータにより前記識別機の近傍に搬送されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の貨幣処理システム。
【請求項13】
筐体と、前記筐体の外部から内部に硬貨を投入するための投入口と、前記筐体の内部に設けられ、前記投入口により前記筐体の内部に投入された硬貨を搬送する搬送部と、前記搬送部に設けられ、前記投入口により前記筐体の内部に投入された硬貨の識別を行う識別部と、前記筐体の内部に設けられ、前記識別部により識別された硬貨のうち特定の金種の硬貨を釣銭として収納する釣銭収納繰出部と、前記筐体の内部から外部に硬貨を投出するための投出口と、を有する貨幣釣銭機と、
エアシュータ用収納部材の搬送を行うエアシュータと、
前記貨幣釣銭機とは別個に設けられ、前記エアシュータに接続された識別機であって、当該識別機の内部に投入された硬貨の識別を行う識別部と、前記識別部により識別された硬貨を、前記エアシュータにより搬送されるべきエアシュータ用収納部材に収納する収納機構と、を有する識別機と、
前記貨幣釣銭機の前記釣銭収納繰出部に収納された硬貨に係る情報および前記識別機の前記識別部による硬貨の識別結果に係る情報がそれぞれ送られるようになっており、両者の情報を合算することにより硬貨の入金額を算出する制御部と、
を備えたことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項14】
筐体と、前記筐体の外部から内部に硬貨を投入するための投入口と、前記筐体の内部に設けられ、前記投入口により前記筐体の内部に投入された硬貨を搬送する搬送部と、前記搬送部に設けられ、前記投入口により前記筐体の内部に投入された硬貨の識別を行う識別部と、前記筐体の内部に設けられ、前記識別部により識別された硬貨のうち特定の金種の硬貨を釣銭として収納する釣銭収納繰出部と、前記筐体の内部から外部に硬貨を投出するための投出口と、を有する貨幣釣銭機と、
エアシュータ用収納部材の搬送を行うエアシュータと、
前記貨幣釣銭機とは別個に設けられ、前記エアシュータに接続された識別機であって、当該識別機の内部に投入された硬貨の識別を行う識別部と、前記識別部により識別された硬貨を、前記エアシュータにより搬送されるべきエアシュータ用収納部材に収納する収納機構と、を有する識別機と、
前記貨幣釣銭機から投出された硬貨に係る情報および前記識別機の前記識別部による硬貨の識別結果に係る情報がそれぞれ送られるようになっており、両者の情報が一致するか否かを判断する制御部と、
を備えたことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項15】
貨幣釣銭機において釣銭として使用されるべき紙幣を含む紙葉類を当該貨幣釣銭機の内部に投入する工程と、
前記貨幣釣銭機の識別部により、当該貨幣釣銭機の内部に投入された紙葉類の識別を行う工程と、
前記貨幣釣銭機において釣銭として使用されるべき紙幣以外の紙葉類を前記貨幣釣銭機とは別個に設けられた識別機の識別部により識別する工程と、
前記識別機の前記識別部により識別された紙葉類をエアシュータ用収納部材に収納する工程と、
紙葉類が収納されたエアシュータ用収納部材をエアシュータにより前記貨幣釣銭機とは別の装置に搬送する工程と、
前記貨幣釣銭機の内部に収納された紙葉類に係る情報および前記識別機の前記識別部による紙葉類の識別結果に係る情報を合算することにより紙葉類の入金額を算出する工程と、
を備えたことを特徴とする貨幣処理方法。
【請求項16】
貨幣釣銭機の内部に紙葉類を投入する工程と、
前記貨幣釣銭機の識別部により、当該貨幣釣銭機の内部に投入された紙葉類の識別を行い、前記識別部による識別結果に基づいて、前記貨幣釣銭機において釣銭として使用されるべき紙幣を前記貨幣釣銭機の内部に収納するとともにそれ以外の紙葉類を前記貨幣釣銭機の外部に投出する工程と、
前記貨幣釣銭機の外部に投出された紙葉類を前記貨幣釣銭機とは別個に設けられた識別機の識別部により識別する工程と、
前記識別機の前記識別部により識別された紙葉類をエアシュータ用収納部材に収納する工程と、
紙葉類が収納されたエアシュータ用収納部材をエアシュータにより前記貨幣釣銭機とは別の装置に搬送する工程と、
前記貨幣釣銭機から投出された紙葉類に係る情報および前記識別機の前記識別部による紙葉類の識別結果に係る情報を比較し、両者の情報が一致するか否かを判断する工程と、
を備えたことを特徴とする貨幣処理方法。
【請求項17】
貨幣釣銭機において釣銭として使用されるべき硬貨を当該貨幣釣銭機の内部に投入する工程と、
前記貨幣釣銭機の識別部により、当該貨幣釣銭機の内部に投入された硬貨の識別を行う工程と、
前記貨幣釣銭機において釣銭として使用されるべき硬貨以外の硬貨を前記貨幣釣銭機とは別個に設けられた識別機の識別部により識別する工程と、
前記識別機の前記識別部により識別された硬貨をエアシュータ用収納部材に収納する工程と、
硬貨が収納されたエアシュータ用収納部材をエアシュータにより前記貨幣釣銭機とは別の装置に搬送する工程と、
前記貨幣釣銭機の内部に収納された硬貨に係る情報および前記識別機の前記識別部による硬貨の識別結果に係る情報を合算することにより硬貨の入金額を算出する工程と、
を備えたことを特徴とする貨幣処理方法。
【請求項18】
貨幣釣銭機の内部に硬貨を投入する工程と、
前記貨幣釣銭機の識別部により、当該貨幣釣銭機の内部に投入された硬貨の識別を行い、前記識別部による識別結果に基づいて、前記貨幣釣銭機において釣銭として使用されるべき硬貨を前記貨幣釣銭機の内部に収納するとともにそれ以外の硬貨を前記貨幣釣銭機の外部に投出する工程と、
前記貨幣釣銭機の外部に投出された硬貨を前記貨幣釣銭機とは別個に設けられた識別機の識別部により識別する工程と、
前記識別機の前記識別部により識別された硬貨をエアシュータ用収納部材に収納する工程と、
硬貨が収納されたエアシュータ用収納部材をエアシュータにより前記貨幣釣銭機とは別の装置に搬送する工程と、
前記貨幣釣銭機から投出された硬貨に係る情報および前記識別機の前記識別部による硬貨の識別結果に係る情報を比較し、両者の情報が一致するか否かを判断する工程と、
を備えたことを特徴とする貨幣処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−159019(P2011−159019A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18756(P2010−18756)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】