説明

貨幣識別装置のプログラムインストールシステム及び、貨幣識別装置のプログラムインストール方法

【課題】紙幣識別装置間相互のプログラムの不正利用を確実に防止することで、プログラムに要する開発コストの回収を図る。
【解決手段】識別プログラムに基づき、紙幣を識別する紙幣識別装置2と、この紙幣識別装置2にプログラムを提供するプログラム提供装置3とを有し、プログラム提供装置3は、インストール対象の紙幣識別装置2の製造番号を指定すると、そのプログラムを作成するプログラム作成部54と、そのプログラムを製造番号に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報をSDカード6に格納するプログラム提供部56とを有し、各紙幣識別装置2は、SDカード6内のプログラム情報を検出し、当該プログラム情報内に自装置の製造番号がある場合、当該プログラム情報内の当該製造番号に対応したプログラムをインストールするインストール制御部33とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、識別プログラムに基づき、貨幣を識別する貨幣識別装置のプログラムインストールシステム及び、貨幣識別装置のプログラムインストール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の貨幣識別装置では、識別プログラムに基づき、貨幣を識別する貨幣識別部を備え、例えば、仕向国での貨幣改刷や貨幣偽造等が生じた場合、これら貨幣改刷に伴う金種識別や偽造紙幣の識別等の新たな識別内容に応じて、貨幣識別部の識別プログラムを変更する必要が生じる。
【0003】
そこで、従来の貨幣識別装置では、新たな識別内容に応じて、識別プログラムを更新する更新用プログラムを格納したSDカード等の記録媒体を挿入し、この記録媒体から更新用プログラムを読み出し、読み出した更新用プログラムに基づき、貨幣識別部の識別プログラムを更新する(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
その結果、従来の貨幣識別装置では、記録媒体から更新用プログラムを読み出し、読み出した更新用プログラムに基づき、貨幣識別部の識別プログラムを更新するようにしたので、新たな識別内容に十分適合できるものである。
【0005】
また、特許文献1では、識別プログラムの更新時にバージョン適合性の確認作業を全て自動化することで、人為的なミスで発生する識別プログラムのバージョン不整合による各種動作不良を確実に防止できる。
【0006】
また、このような更新用プログラムの開発にはコストがかかるため、更新用プログラムを格納した記録媒体を有料販売して、その記録媒体の販売売上で開発コストを回収する必要がある。しかしながら、正規購入した記録媒体を再利用することで、同一機種の他の貨幣識別装置の識別プログラムを更新できるため、貨幣識別装置の台数に比例した枚数分の記録媒体が売れず、その開発コストを回収できていないのが実情である。
【0007】
そこで、特許文献2では、更新用プログラムを格納した記録媒体を使用して貨幣識別部の識別プログラムを更新した後、記録媒体の所定エリアに更新用プログラムの利用不可を書き込んで記録媒体の更新用プログラムの再利用を不可とし、貨幣識別装置間相互の更新用プログラムの不正利用を防止することで、その開発コストの回収を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3805548号公報(請求項1及び図1参照)
【特許文献2】特開2007−199927号公報(要約書及び図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2では、更新用プログラムを格納した記録媒体の所定エリアに利用不可を書き込んだとしても、顧客側の所定操作に応じて利用不可を解除することができ、その記録媒体の更新用プログラムを再利用して何度でも他の貨幣識別装置の識別プログラムを更新できてしまうため、更新用プログラムの開発コストを回収できない。
【0010】
また、仮に記録媒体の更新用プログラムの再利用が全くできないようにセキュリティを強化した場合には、更新用プログラムの不正利用は防止できるものの、貨幣識別装置1台毎に記録媒体1個が必要となり、多くの貨幣識別装置を導入しているユーザや、多くの貨幣識別装置を一度に販売する販売代理店にとっては記録媒体の数が多くなり、使用済みと未使用とを区別して使用しなければならず、インストール作業が非常に煩わしいという問題があった。
【0011】
また、更新用プログラムを供給するメーカー側にとっても、記録媒体の数が多くなることは製造上も、輸送上も効率的でないという問題があった。
【0012】
また、当然ながら、更新用プログラムだけでなく、販売国が決まった時点で、その国用の識別プログラムをインストールするような最初のインストールの場合においても、販売代理店が、その記録媒体の識別プログラムを再利用して何度でも他の貨幣識別装置にインストールすることができるため、識別プログラムの開発コストを回収できない。
【0013】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、貨幣識別装置間相互のプログラムの不正利用を確実に防止することで、プログラムに要する開発コストの回収を図ることができると共に、多くの貨幣識別装置のプログラムを同時にインストールする場合にも効率的な貨幣識別装置のプログラムインストールシステム及び、貨幣識別装置のプログラムインストール方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムは、識別プログラムに基づき、貨幣を識別する貨幣識別装置にプログラムをインストールする貨幣識別装置のプログラムインストールシステムであって、インストール対象の貨幣識別装置を識別する装置情報を指定する指定部と、この指定部にて指定した装置情報の貨幣識別装置に関わるプログラムを作成するプログラム作成部と、このプログラム作成部で作成したプログラムを装置情報に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報を前記貨幣識別装置に提供するプログラム提供部とを有し、前記貨幣識別装置は、当該プログラム情報内に自装置に該当する装置情報がある場合、当該プログラム情報内の当該装置情報に対応したプログラムをインストールするプログラムインストール部を有するものである。
【0015】
本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムは、上記発明の構成において、前記プログラム作成部で作成したプログラムを複数個の装置情報に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報を前記貨幣識別装置に提供するものである。
【0016】
本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムは、上記発明の構成において、前記プログラム情報を格納した記録媒体を通じて前記貨幣識別装置に提供するものである。
【0017】
また、本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムは、上記発明の構成において、複数個のプログラム情報を格納した記録媒体を通じて前記貨幣識別装置に提供するものである。
【0018】
また、本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムは、上記発明の構成において、前記貨幣識別装置と通信接続し、前記プログラム情報を前記貨幣識別装置に提供するものである。
【0019】
また、本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムは、上記発明の構成において、前記指定部は、前記装置情報を指定する装置情報指定部及び、プログラムを識別するプログラム名を指定するプログラム指定部を含む指定画面を提供する指定画面提供部を有し、この指定画面上の装置情報指定部及びプログラム指定部を通じて装置情報及びプログラム名を指定するものである。
【0020】
また、本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムは、上記発明の構成において、前記装置情報単位でプログラムの履歴情報を管理する履歴管理部を有し、前記指定画面上の前記装置情報指定部を通じて装置情報を指定すると、当該装置情報に対応した履歴情報を履歴管理部から読み出し、この履歴情報に基づき、当該装置情報の更新履歴を指定画面上に画面表示するものである。
【0021】
また、本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムは、上記発明の構成において、前記指定部は、全貨幣識別装置共通の共通コードを前記装置情報として指定するものである。
【0022】
また、本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムは、上記発明の構成において、前記貨幣識別装置にプログラムを提供するプログラム提供装置を有し、このプログラム提供装置内に、前記指定部、前記プログラム作成部及び前記プログラム提供部を有するものである。
【0023】
また、上記目的を達成するために本発明の貨幣識別装置のプログラムインストール方法は、識別プログラムに基づき、貨幣を識別する貨幣識別装置にプログラムをインストールする貨幣識別装置のプログラムインストール方法であって、インストール対象の貨幣識別装置を識別する装置情報を指定する指定ステップと、指定した装置情報の貨幣識別装置に関わるプログラムを作成するプログラム作成ステップと、作成したプログラムを装置情報に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報を前記貨幣識別装置に提供するプログラム提供ステップと、当該プログラム情報内に自装置に該当する装置情報がある場合、当該プログラム情報内の当該装置情報に対応したプログラムをインストールする前記貨幣識別装置側のプログラムインストールステップとを含むものである。
【発明の効果】
【0024】
上記のように構成された本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムは、インストール対象の貨幣識別装置の装置情報に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報を貨幣識別装置に提供すると共に、貨幣識別装置側でプログラム情報内に自装置に該当する装置情報がある場合、当該プログラム情報内の当該装置情報に対応したプログラムをインストールする。その結果、製造者は、指定した貨幣識別装置に対してのみ有効なプログラム情報を作成し、貨幣識別装置間相互のプログラムの不正利用を確実に防止することで、プログラムに要する開発コストの回収を図るという効果を奏する。
【0025】
また、本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムでは、上記発明の効果に加えて、プログラムを複数個の装置情報に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報を貨幣識別装置に提供する。その結果、製造者は、複数台の貨幣識別装置に単一のプログラムをインストールする場合でも、指定した貨幣識別装置毎にプログラム情報を作成するのではなく、指定した複数台の貨幣識別装置にのみ有効な1個のプログラム情報を作成するだけで済むため、その生産効率を大幅向上が図れるという効果を奏する。
【0026】
また、本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムでは、上記発明の効果に加えて、プログラム情報を格納した記録媒体を通じて、プログラム情報を貨幣識別装置に提供する。その結果、製造者は、記録媒体を使用してプログラム情報を貨幣識別装置に提供できるという効果を奏する。
【0027】
また、本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムでは、上記発明の効果に加えて、複数個のプログラム情報を格納した記録媒体を通じて、これら複数個のプログラム情報を貨幣識別装置に提供する。その結果、製造者は、記録媒体を使用して複数個のプログラム情報を貨幣識別装置に提供できるという効果を奏する。
【0028】
また、本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムでは、上記発明の効果に加えて、貨幣識別装置と通信接続し、プログラム情報を貨幣識別装置に提供する。その結果、製造者は、貨幣識別装置と通信接続し、そのオンライン上でプログラム情報を貨幣識別装置に提供できるという効果を奏する。
【0029】
また、本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムでは、上記発明の効果に加えて、指定画面上で装置情報及びプログラムを指定する。その結果、製造者又は顧客は、インストール対象の貨幣識別装置及びプログラムを指定画面上で指定できるという効果を奏する。
【0030】
また、本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムでは、上記発明の効果に加えて、指定画面上で装置情報を指定すると、当該装置情報に対応した履歴情報を履歴管理部から読み出し、この履歴情報に基づき、当該装置情報の更新履歴を指定画面上に画面表示する。その結果、製造者又は顧客は、インストール対象の貨幣識別装置の更新履歴に基づき、インストールすべきプログラムを認識できるという効果を奏する。
【0031】
また、本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムでは、上記発明の効果に加えて、全貨幣識別装置共通の共通コードを装置情報として指定する。その結果、製造者は、共通コードを装置情報として指定することで、全貨幣識別装置に対して有効なプログラムを一括で指定できるため、例えば、全貨幣識別装置をインストール対象とする製品バグ等にも十分対応できるという効果を奏する。
【0032】
また、本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステムでは、上記発明の効果に加えて、前記貨幣識別装置にプログラムを提供するプログラム提供装置を備え、このプログラム提供装置内に、前記指定部、前記プログラム作成部及び前記プログラム提供部を有する。その結果、プログラム提供装置は、インストール対象の貨幣識別装置の装置情報に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報を貨幣識別装置に提供できる。
【0033】
また、上記のように構成された本発明の貨幣識別装置のプログラムインストール方法では、インストール対象の貨幣識別装置の装置情報に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報を貨幣識別装置に提供すると共に、貨幣識別装置側でプログラム情報内に自装置に該当する装置情報がある場合、当該プログラム情報内の当該装置情報に対応したプログラムをインストールする。その結果、製造者は、指定した貨幣識別装置に対してのみ有効なプログラム情報を作成し、貨幣識別装置間相互のプログラムの不正利用を確実に防止することで、プログラムに要する開発コストの回収を図るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、実施例1のプログラムインストールシステム内部の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施例1の紙幣識別装置内部の概略構成を示す説明図である。
【図3】図3は、通信端末装置に提供する指定画面の一例を端的に示す説明図である。
【図4】図4は、SDカード内部のデータ構成を端的に示す説明図である。
【図5】図5は、管理テーブルのテーブル内容を端的に示す説明図である。
【図6】図6は、プログラム要求処理に関わるプログラム提供装置内の提供制御部内部の処理動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、第1プログラムインストール処理に関わる紙幣識別装置内の本体制御部内部の処理動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は、実施例2のプログラムインストールシステム内部の概略構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、第2プログラムインストール処理に関わるプログラム提供装置内の提供制御部内部の処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面に基づき本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステム及び貨幣識別装置のプログラムインストール方法に関わる実施例を示すプログラムインストールシステムについて詳細に説明する。
【0036】
まず、最初に本実施例の概要を説明するとすれば、その概要は、識別プログラムに基づき、貨幣を識別する貨幣識別装置と、この貨幣識別装置にプログラムを提供するプログラム提供装置とを有している。ここで、プログラムとは、貨幣識別用の識別プログラム、貨幣種別毎に判定基準を定めた識別テーブル、及び貨幣識別装置の制御用プログラムの何れか、又は、これらの組合せを指す。
【0037】
更に、プログラム提供装置は、インストール対象の貨幣識別装置の製造番号を指定する指定部と、この指定部にて指定した製造番号の貨幣識別装置に関わるプログラムを作成するプログラム作成部とを有している。
【0038】
更に、プログラム提供装置は、このプログラム作成部で作成したプログラムを製造番号に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報を貨幣識別装置に提供するプログラム提供部を有している。
【0039】
また、貨幣識別装置は、当該貨幣識別装置自体を識別する製造番号を管理した管理部と、プログラム情報を検出すると、当該プログラム情報内に、管理部に管理された製造番号に該当する製造番号がある場合、当該プログラム情報内の当該製造番号に対応したプログラムをインストールするプログラムインストール部とを有している。
【0040】
本実施例では、インストール対象の貨幣識別装置の製造番号に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報を貨幣識別装置に提供すると共に、貨幣識別装置側でプログラム情報を検出すると、当該プログラム情報内に当該貨幣識別装置に該当する製造番号がある場合、このプログラム情報内の当該製造番号に対応したプログラムをインストールする。
【0041】
その結果、製造者は、指定した貨幣識別装置に対してのみ有効なプログラム情報を作成し、貨幣識別装置間相互のプログラムの不正利用を確実に防止することで、プログラムに要する開発コストの回収を図るというものである。
【実施例1】
【0042】
図1は、実施例1のプログラムインストールシステム内部の概略構成を示すブロック図、図2は、実施例1の紙幣識別装置内部の概略構成を示す説明図である。
【0043】
図1に示すプログラムインストールシステム1は、紙幣を識別しながら、その紙幣を集積する紙幣識別装置2と、紙幣識別装置2のプログラムを提供するプログラム提供装置3と、通信網4経由でプログラム提供装置3と通信接続する、例えば、パソコン端末等の通信端末装置5とを有している。尚、説明の便宜上、紙幣識別装置2は、例えば、顧客側に配置、プログラム提供装置3は、例えば、製造元に配置、通信端末装置5は、例えば、紙幣識別装置2を販売した製造元の販売代理店等に配置するものとする。
【0044】
図1及び図2に示す紙幣識別装置2は、各種情報を画面表示し、この画面表示上で各種コマンドを入力する操作表示部11と、取引紙幣を装置内に投入するホッパ部12と、このホッパ部12に投入した紙幣を1枚単位で繰り出す繰出部13とを有している。
【0045】
更に、紙幣識別装置2は、この繰出部13にて繰り出した紙幣を搬送する搬送ベルト等の紙幣搬送部14と、この紙幣搬送部14で搬送した紙幣の金種、真偽や方向等の種別を識別する紙幣識別部15とを有している。
【0046】
更に、紙幣識別装置2は、紙幣識別部15にて搬送紙幣の種別を識別し、この識別結果に基づき、搬送紙幣を順次集積する集積部16と、識別不能の紙幣や、設定により対象外となった紙幣をリジェクトするリジェクト部17とを有している。
【0047】
また、紙幣識別装置2内の紙幣搬送路14上の分岐箇所には、紙幣搬送路上を搬送する搬送紙幣を集積部16又はリジェクト部17に振り分ける分岐部18を配置している。尚、分岐部18は、検知センサ19Aを通じて搬送紙幣の先端の進入を検知すると、図示せぬソレノイドが駆動することで搬送紙幣を振り分けるものである。
【0048】
また、集積部16は、搬送紙幣を1枚単位で紙幣集積空間内の所定位置に集積する羽根車16Aと、紙幣集積空間内に集積した紙幣を取出可能にすべく、紙幣集積空間の紙幣取出口を開閉するシャッタ16Bとを備えている。
【0049】
また、紙幣識別部15は、識別プログラムに基づき、搬送紙幣の表面及び裏面を光学的に検知し、その検知結果に基づき搬送紙幣を識別するラインセンサ15Aを備えている。
【0050】
更に、紙幣識別装置2は、紙幣識別部15の識別プログラムを更新する更新用プログラムを格納したSDカード6を挿入するSDカード挿入部20を有している。
【0051】
図1に示す紙幣識別装置2は、表示部11A及び操作部11Bを備えた操作表示部11と、SDカード挿入部20と、検知センサ19A等のセンサ部19と、紙幣搬送部14、羽根車16A、シャッタ16Bや分岐部18等を駆動する駆動部21と、ラインセンサ15A等の紙幣識別部15とを有している。
【0052】
更に、紙幣識別装置2は、紙幣識別部15を制御する識別用制御部22と、この紙幣識別装置2全体を制御する本体制御部23とを有している。
【0053】
識別用制御部22は、紙幣識別部15の固定設定内容を記憶した識別用ROM22Aと、識別用制御部22の識別プログラム等のプログラムを記憶する識別用RAM22Bと、識別用制御部22全体を制御する識別用CPU22Cとを有している。尚、識別プログラムは、搬送紙幣の金種、真偽や方向等を識別するために種別毎の判定情報やプログラムが含まれているものとする。
【0054】
本体制御部23は、紙幣識別装置2の固定設定内容を記憶した制御用ROM23Aと、本体制御部23の各種プログラムや各種設定内容等のプログラムを記憶した制御用RAM23Bと、本体制御部23全体を制御する制御用CPU23Cとを有している。
【0055】
制御用RAM23Bは、揮発性記憶領域231及び不揮発性記憶領域232で構成し、その不揮発性記憶領域232には、紙幣識別装置2の製造番号と、紙幣識別装置2の製造時等に、当該紙幣識別装置2を識別する装置コードとが格納してある。尚、装置コードは、例えば、製造者側では把握しているものの、顧客に対しては隠匿した構成としているため、顧客による装置コードの不正利用を回避できるものである。
【0056】
制御用CPU23Cは、SDカード挿入部20に挿入したSDカード6からプログラム情報を読み出すと、プログラム情報内に当該紙幣識別装置2の製造番号に該当する製造番号があるか否かを判定する製造番号判定部31を有している。尚、プログラム情報とは、後述するが、プログラム及び、そのプログラムがインストール可能な紙幣識別装置2の製造番号を対応付けた情報である。
【0057】
制御用CPU23Cは、製造番号判定部31にて該当する製造番号がある場合、この製造番号に対応したプログラム情報をSDカード6から読み出すSDカード制御部32と、SDカード制御部32にて読み出したプログラムを制御用RAM23Bや識別用RAM22Bにインストールするインストール制御部33とを有している。
【0058】
また、図1に示すプログラム提供装置3は、通信網4との通信インタフェースを司る通信部41と、SDカード6を挿入するSDカード挿入部42と、作成したプログラム情報を管理する管理テーブル43と、紙幣識別装置2の製造番号毎にプログラムの更新履歴を管理する履歴管理部44と、プログラム提供装置3全体を制御する提供制御部45とを有している。
【0059】
提供制御部45は、通信網4経由で通信端末装置5との通信接続に応じて、通信端末装置5に対して案内画面を提供する画面提供部51とを有している。
【0060】
画面提供部51は、通信端末装置5に対して、例えば、プログラムを要求する要求画面や、インストール対象の製造番号等を指定する指定画面等の案内画面を提供するものである。図3は、通信端末装置5に提供する指定画面の一例を端的に示す説明図である。
【0061】
図3に示す指定画面60では、インストール対象の紙幣識別装置2の製造番号を指定する製造番号入力欄60Aと、インストール対象の紙幣識別装置2にインストールするプログラム名を指定するプログラム名入力欄60Bとを有している。
【0062】
製造番号入力欄60Aでは、例えば、複数の紙幣識別装置2で連続する製造番号を範囲指定可能な構成とし、プログラム名入力欄60Bは、製造元で予め準備した複数のプログラム名を一覧表示し、これら一覧表示から所望のプログラム名を指定可能とする選択タブで構成している。図3の例では、インストール対象の製造番号60Aとして「00305〜00405」、これらインストール対象の製造番号の紙幣識別装置2に対するインストール対象プログラム名60Bとして「RO」、例えば、ルーマニア仕様のテンプレートがインストールされたことになる。
【0063】
提供制御部45は、指定画面60の製造番号入力欄60A上で、通信端末装置5側で指定したインストール対象の製造番号を検出する製造番号検出部52と、指定画面60のプログラム名入力欄60B上で、通信端末装置5側で指定したインストールするプログラム名を検出するプログラム名検出部53とを有している。
【0064】
尚、提供制御部45は、製造番号検出部52にてインストール対象の製造番号を順次検出すると、順次検出した製造番号に対応する更新履歴を履歴管理部44に問合せ、その問合せ結果である更新履歴を指定画面60上にポップアップ表示するものである。その結果、通信端末装置5側のユーザは、製造番号単位で現在の更新履歴を認識することで無駄な更新を回避することができる。
【0065】
提供制御部45は、プログラム名検出部53を通じてインストール対象のプログラム名を検出した場合、そのプログラム名に対応するプログラムを作成するプログラム作成部54と、このプログラム作成部54にて作成したプログラム及びインストール対象の製造番号を対応付けてプログラム情報を作成するプログラム情報作成部55とを有している。
【0066】
更に、提供制御部45は、プログラム情報作成部55にて作成したプログラム情報を管理テーブル43に管理すると共に、プログラム情報をSDカード6に格納するプログラム提供部56を有している。
【0067】
プログラム提供部56は、SDカード挿入部42に挿入したSDカード6にプログラム情報を格納するSDカード制御部56Aを有している。
【0068】
図4は、SDカード6内部のデータ構成を端的に示す説明図である。
【0069】
図4に示すSDカード6には、少なくも1個以上のプログラム情報を格納し、そのプログラム情報は、インストール対象の紙幣識別装置2の製造番号6Aと、インストールするプログラム名6Bと、インストールするプログラム6Cとを対応付けて格納している。
【0070】
図5は、管理テーブル43のテーブル内容を端的に示す説明図である。
【0071】
図5に示す管理テーブル43は、紙幣識別装置2の機種名43A、プログラムを要求した販売代理店を識別するグループ43B、プログラム名43Cと、インストール対象の製造番号43Dと、インストールするプログラム43Eとを対応付けて管理している。尚、プログラム提供部56は、プログラム情報作成部55にて作成したプログラム情報内のインストール対象の製造番号、プログラム名及びプログラム名の他に、インストール対象の機種名及び販売代理店グループを管理テーブル43に管理するものである。
【0072】
尚、図5の例では、機能名43Aとして「GFR−VX1」、そのグループ43Bとして「11」、インストール対象の製造番号43Dとして「00305〜00405」、インストールするプログラム名43Cとして「RO」、インストールするプログラム43Eとしてプログラム内容が対応付けて、その管理テーブル43内に管理されている。
【0073】
尚、請求項記載のプログラムインストールシステムはプログラムインストールシステム1、貨幣識別装置は紙幣識別装置2、プログラム提供装置はプログラム提供装置3、指定部は製造番号検出部52、プログラム作成部はプログラム作成部54、プログラム提供部はプログラム情報作成部55及びプログラム提供部56、プログラムインストール部は製造番号判定部31、SDカード制御部32及びインストール制御部33、指定画面提供部は画面提供部51、指定画面は指定画面60、装置情報指定部は製造番号入力欄60A、プログラム指定部はプログラム名入力欄60B、履歴管理部は履歴管理部44等に対応している。
【0074】
次に、実施例1のプログラムインストールシステム1の動作について説明する。図6は、プログラム要求処理に関わるプログラム提供装置3内の提供制御部45内部の処理動作を示すフローチャートである。
【0075】
図6に示すプログラム要求処理は、通信端末装置5から通信網4経由でインストールするプログラム及びインストール対象の紙幣識別装置2の製造番号を指定し、製造番号を対応付けたプログラムをプログラム情報として作成し、そのプログラム情報をSDカード6に格納する処理である。
【0076】
プログラム提供装置3内の提供制御部45は、通信網4経由で通信端末装置5との通信接続中に、画面提供部51を通じて要求画面を通信端末装置5に対して提供し、この要求画面上で通信端末装置5からのプログラム要求を検出すると(ステップS11)、画面提供部51を通じて指定画面60(図3参照)を通信端末装置5に提供する。
【0077】
更に、提供制御部45は、製造番号検出部52を通じて指定画面60の製造番号入力欄60A上で、通信端末装置5からインストール対象の製造番号の指定操作を検出したか否かを判定する(ステップS12)。
【0078】
提供制御部45は、インストール対象の製造番号の指定操作を検出した場合(ステップS12肯定)、この製造番号に対応する更新履歴を履歴管理部44から読み出し、この製造番号に対応する更新履歴を指定画面60上にポップアップ表示する(ステップS13)。尚、通信端末装置5側のユーザは、指定画面60上のポップアップ表示で製造番号単位の紙幣識別装置2の更新履歴を認識し、その更新の要否を認識できる。
【0079】
更に、提供制御部45は、プログラム名検出部53を通じて指定画面60のプログラム名入力欄60B上で、通信端末装置5からインストールするプログラム名の指定操作を検出したか否かを判定する(ステップS14)。
【0080】
提供制御部45は、インストールするプログラム名の指定操作を検出した場合(ステップS14肯定)、プログラム作成部54を通じて、このプログラム名に対応するプログラムを作成する(ステップS15)。
【0081】
更に、提供制御部45は、インストールするプログラムを作成すると、インストールするプログラム及びインストール対象の製造番号に基づき、プログラム情報作成部46を通じてプログラム情報を作成する(ステップS16)。
【0082】
提供制御部45は、プログラム情報を作成すると、このプログラム情報を管理テーブル43内に登録管理する(ステップS17)。
【0083】
更に、提供制御部45は、プログラム情報を管理テーブル43内に管理した後、SDカード制御部32を通じて、このプログラム情報をSDカード6に格納し(ステップS18)、図6に示す処理動作を終了する。
【0084】
また、提供制御部45は、インストール対象の製造番号の指定操作を検出しなかった場合(ステップS12否定)、インストールするプログラム名の指定操作を検出したか否かを判定すべく、ステップS14に移行する。
【0085】
また、提供制御部45は、プログラム名の指定操作を検出しなかった場合(ステップS14否定)、インストール対象の製造番号の指定操作を検出したか否かを判定すべく、ステップS12に移行する。
【0086】
図6に示すプログラム要求処理では、通信端末装置5側でインストール対象の製造番号及びプログラム名を指定し、プログラム提供装置3側でインストール対象の製造番号に対応するプログラムを作成し、インストール対象の製造番号及びプログラムに対応したプログラム情報を作成し、このプログラム情報を管理テーブル43に管理すると共に、このプログラム情報をSDカード6に格納する。その結果、プログラム提供装置3側では、通信端末装置5側で指定したインストール対象の紙幣識別装置2のプログラム情報を作成し、このプログラム情報をSDカード6でインストール対象の紙幣識別装置2に提供できる。
【0087】
更に、プログラム要求処理では、通信端末装置5側でインストール対象の製造番号を指定すると、当該製造番号の紙幣識別装置2に対応した更新履歴を履歴管理部43から読み出し、この読み出した更新履歴を指定画面60上にポップアップ表示する。その結果、通信端末装置5側のユーザは、指定画面60上のポップアップ表示に基づき、指定した製造番号の紙幣識別装置2に関わる更新履歴を認識しながら、当該紙幣識別装置2の更新の要否を認識できる。
【0088】
次に、プログラム情報を格納したSDカード6を紙幣識別装置2に挿入した場合の紙幣識別装置2側の動作について説明する。図7は、第1プログラムインストール処理に関わる紙幣識別装置2内の本体制御部23内部の処理動作を示すフローチャートである。
【0089】
図7に示す第1プログラムインストール処理は、プログラム情報を格納したSDカード6を挿入し、このSDカード6に格納したプログラム情報内に当該紙幣識別装置2の製造番号に該当する製造番号がある場合、当該製造番号に対応したプログラム情報内のプログラムをインストールする処理である。
【0090】
紙幣識別装置2内の本体制御部23は、SDカード挿入部20にSDカード6を挿入したか否かを判定する(ステップS21)。
【0091】
本体制御部23は、SDカード挿入部20にSDカード6を挿入した場合(ステップS21肯定)、SDカード6に格納されたプログラム情報の全製造番号の内、制御用RAM23Bに記憶された製造番号に該当する製造番号があるか否かを判定する(ステップS22)。
【0092】
本体制御部23は、該当する製造番号がある場合(ステップS22肯定)、該当する製造番号に対応したプログラム名をSDカード6から読み出し(ステップS23)、このプログラム名を表示部11Aに画面表示する(ステップS24)。尚、紙幣識別装置2側の顧客は、インストール可能なプログラム名を認識できる。
【0093】
本体制御部23は、プログラム名を表示部11Aに画面表示すると、この画面上でインストールOKを指示するOKボタンのボタン操作を検出したか否かを判定する(ステップS25)。
【0094】
本体制御部23は、OKボタンのボタン操作を検出した場合(ステップS25肯定)、プログラムのインストール動作を実行するものと判断し、ステップS23で読み出したプログラムを制御用RAM23Bや識別用RAM22Bにインストールし(ステップS26)、図7に示す処理動作を終了する。
【0095】
また、本体制御部23は、OKボタンのボタン操作を検出しなかった場合(ステップS25否定)、画面上でNGボタンのボタン操作を検出したか否かを判定する(ステップS27)。
【0096】
本体制御部23は、NGボタンのボタン操作を検出した場合(ステップS27肯定)、プログラムのインストール動作を実行することなく、図7に示す処理動作を終了する。
【0097】
また、本体制御部23は、NGボタンのボタン操作を検出しなかった場合(ステップS27否定)、OKボタンのボタン操作を検出したか否かを判定すべく、ステップS25に移行する。
【0098】
また、本体制御部23は、SDカード挿入部20にSDカード6を挿入しなかった場合(ステップS21否定)、図7に示す処理動作を終了する。
【0099】
また、本体制御部23は、該当する製造番号がない場合(ステップS22否定)、SDカード6内にインストール可能なプログラムなしを示すメッセージを表示部11Aに画面表示し(ステップS28)、図7に示す処理動作を終了する。尚、紙幣識別装置2の顧客は、SDカード6内にインストール可能なプログラムがないことを認識できる。
【0100】
図7に示す第1プログラムインストール処理では、プログラム情報を格納したSDカード6が当該紙幣識別装置2内に挿入されると、このSDカード6に格納したプログラム情報内に当該紙幣識別装置2の製造番号に該当する製造番号がある場合、インストール可能なプログラムがあるものと判断し、そのインストール可能なプログラム名を表示部11Aに画面表示する。その結果、紙幣識別装置2の顧客は、SDカード6内にインストール可能なプログラム名を認識できる。
【0101】
また、第1プログラムインストール処理では、インストール可能なプログラム名を画面表示した後、OKボタンのボタン操作を検出すると、そのプログラム名に対応したプログラムをインストールする。その結果、紙幣識別装置2の顧客ユーザは、自らプログラムのインストール要否を選択できる。
【0102】
また、第1プログラムインストール処理では、SDカード6に格納したプログラム情報内に当該紙幣識別装置2の製造番号に該当する製造番号がない場合、インストール可能なプログラムがないと判断し、プログラムなしのメッセージを画面表示する。その結果、紙幣識別装置2のユーザは、SDカード6内にインストール可能なプログラムがないことを認識できる。
【0103】
実施例1では、インストール対象の紙幣識別装置2の製造番号に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報を紙幣識別装置2に提供すると共に、紙幣識別装置2側でプログラム情報を検出すると、当該プログラム情報内に当該紙幣識別装置2の製造番号に該当する製造番号がある場合、当該プログラム情報内の当該製造番号報に対応したプログラムをインストールする。その結果、製造者は、指定した紙幣識別装置2に対してのみ有効なプログラム情報を作成し、紙幣識別装置2間相互のプログラムの不正利用を確実に防止することで、プログラムに要する開発コストの回収を図ることができる。
【0104】
また、実施例1では、プログラムを複数個の製造番号に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報を紙幣識別装置2に提供する。その結果、製造者は、複数台の紙幣識別装置2に単一のプログラムをインストールする場合でも、指定した紙幣識別装置2毎にプログラム情報を作成するのではなく、指定した複数台の紙幣識別装置2にのみ有効な1個のプログラム情報を作成するだけで済むため、その生産効率を大幅に向上させることができる。
【0105】
また、実施例1では、プログラム情報を格納したSDカード6を通じて、プログラム情報を紙幣識別装置2に提供する。その結果、製造者は、SDカード6を使用してプログラム情報を紙幣識別装置2に提供できる。
【0106】
また、実施例1では、複数個のプログラム情報を格納したSDカード6を通じて、これら複数個のプログラム情報を紙幣識別装置2に提供する。その結果、製造者は、SDカード6を使用して複数個のプログラム情報を紙幣識別装置2に提供できる。
【0107】
また、実施例1では、プログラム提供装置3で提供した指定画面60上でインストール対象の製造番号及びプログラム名を指定する。その結果、販売代理店は、インストール対象の紙幣識別装置2及びプログラムを簡単に指定できる。
【0108】
また、実施例1では、指定画面60上でインストール対象の製造番号を指定すると、当該製造番号に対応した更新履歴を履歴管理部44から読み出し、この製造番号の紙幣識別装置2に関わる更新履歴を指定画面60上にポップアップ表示する。その結果、販売代理店は、インストール対象の紙幣識別装置2の更新履歴に基づき、インストールすべきプログラムを認識できる。
【0109】
尚、上記実施例1では、プログラム提供装置3から紙幣識別装置2に対してSDカード6を使用してプログラム情報を提供するようにしたが、プログラム提供装置3から紙幣識別装置2に対してオンラインでプログラム情報を提供するようにしても良く、この場合につき、以下に実施例2として説明する。
【実施例2】
【0110】
図8は、実施例2のプログラムインストールシステム内部の概略構成を示すブロック図である。尚、実施例1のプログラムインストールシステム1と同一の構成については同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0111】
実施例1のプログラムインストールシステム1と実施例2のプログラムインストールシステム1Aとが異なるところは、紙幣識別装置2及びプログラム提供装置3A間を通信網4経由で通信接続し、紙幣識別装置2がプログラム提供装置3Aからオンライン上でプログラム情報をダウンロード可能にした点にある。
【0112】
プログラム提供部56は、通信網4経由で紙幣識別装置2と接続中に、当該紙幣識別装置2に対するプログラム情報のダウンロードを制御するダウンロード制御部70を有している。
【0113】
ダウンロード制御部70は、管理テーブル43内のプログラム情報内に、接続中の紙幣識別装置2の製造番号に該当する製造番号があるか否かを判定する製造番号判定部71と、製造番号判定部71にて該当する製造番号がある場合、紙幣識別装置2からのダウンロード要求を検出するダウンロード要求検出部72とを有している。
【0114】
更に、ダウンロード制御部70は、紙幣識別装置2からのダウンロード要求を検出すると、この紙幣識別装置2に対して自装置の製造番号に対応したプログラム情報のダウンロードを実行するダウンロード実行部73を有している。
【0115】
また、紙幣識別装置2は、通信網4と通信接続する通信部24を備え、通信部24を使用して、通信網4経由でプログラム提供装置3Aと通信接続するものである。
【0116】
更に、紙幣識別装置2は、本体制御部23を制御する制御用CPU23Dを有し、制御用CPU23Dは、接続中のプログラム提供装置3Aに対して、所定操作に応じてダウンロード要求を通知するダウンロード要求部34を有している。
【0117】
更に、制御用CPU23D内のインストール制御部33は、接続中のプログラム提供装置3Aに対するダウンロード要求に対して、プログラム提供装置3Aからプログラム情報をダウンロードすると、このダウンロードしたプログラム情報内のプログラムを制御用RAM23Bや識別用RAM22Bにインストールするものである。
【0118】
次に、実施例2のプログラムインストールシステム1Aの動作について説明する。図9は、実施例2の第2プログラムインストール処理に関わるプログラム提供装置3A内の提供制御部45A内部の処理動作を示すフローチャートである。
【0119】
図9に示す第2プログラムインストール処理とは、プログラム提供装置3A側で、プログラム情報内に、接続中の紙幣識別装置2の製造番号に該当する製造番号がある場合、この接続中の紙幣識別装置2に対してプログラム情報を伝送し、紙幣識別装置2側でプログラムを更新する処理である。
【0120】
図9においてプログラム提供装置3A内の提供制御部45Aは、通信網4経由で紙幣識別装置2と接続中であるか否かを判定する(ステップS31)。
【0121】
提供制御部45Aは、紙幣識別装置2と接続中の場合(ステップS31肯定)、製造番号判定部71を通じて、管理テーブル43内のプログラム情報内に、この接続中の紙幣識別装置2の製造番号に該当する製造番号があるか否かを判定する(ステップS32)。
【0122】
提供制御部45Aは、プログラム情報内に該当する製造番号がある場合(ステップS32肯定)、この製造番号に対応したプログラム情報を管理テーブル43から読み出す(ステップS33)。
【0123】
提供制御部45Aは、製造番号に対応するプログラム情報を読み出すと、画面提供部51を通じて、このプログラム情報のプログラム名を紙幣識別装置2に対して画面提供する(ステップS34)。尚、紙幣識別装置2のユーザは、インストール可能なプログラム名を表示部11A上で認識できる。
【0124】
更に、提供制御部45Aは、プログラム名を紙幣識別装置2に対して画面提供すると、紙幣識別装置2からダウンロードOK要求を検出したか否かを判定する(ステップS35)。尚、ダウンロードOK要求は、紙幣識別装置2側の操作部11Bの特定操作でプログラム提供装置3Aに通知されるものである。
【0125】
提供制御部45Aは、紙幣識別装置2からダウンロードOK要求を検出した場合(ステップS35肯定)、この紙幣識別装置2の製造番号に対応するプログラム情報を紙幣識別装置2に対してダウンロードし(ステップS36)、図9に示す処理動作を終了する。尚、紙幣識別装置2側のインストール制御部33は、ダウンロードしたプログラム情報からプログラムを読み出し、このプログラムを制御用RAM23Bや識別用RAM22Bにインストールすることになる。
【0126】
提供制御部45Aは、紙幣識別装置2からダウンロードOK要求を検出しなかった場合(ステップS35否定)、紙幣識別装置2からダウンロードNG要求を検出したか否かを判定する(ステップS37)。尚、ダウンロードNG要求は、紙幣識別装置2側の操作部11Bの特定操作でプログラム提供装置3Aに通知されるものである。
【0127】
提供制御部45Aは、紙幣識別装置2からダウンロードNG要求を検出した場合(ステップS37肯定)、図9に示す処理動作を終了する。
【0128】
提供制御部45Aは、紙幣識別装置2からダウンロードNG要求を検出しなかった場合(ステップS37否定)、紙幣識別装置2からダウンロードOK要求を検出したか否かを判定すべく、ステップS35に移行する。
【0129】
提供制御部45Aは、製造番号判定部71を通じて、管理テーブル43内のプログラム情報内に、この接続中の紙幣識別装置2の製造番号に該当する製造番号がない場合(ステップS32否定)、画面提供部51を通じて、該当するプログラムなしを示すメッセージを紙幣識別装置2に対して画面提供し(ステップS38)、図9に示す処理動作を終了する。尚、紙幣識別装置2側のユーザは、プログラムなしを表示部11A上で認識できる。
【0130】
また、提供制御部45Aは、通信網4経由で紙幣識別装置2と接続中でない場合(ステップS31否定)、図9に示す処理動作を終了する。
【0131】
図9に示す第2プログラムインストール処理では、紙幣識別装置2と通信接続中に、管理テーブル43に管理されたプログラム情報内に当該紙幣識別装置2の製造番号に該当する製造番号がある場合、インストール可能なプログラムがあると判断し、インストール可能なプログラム名を当該紙幣識別装置2に画面提供する。その結果、紙幣識別装置2のユーザは、インストール可能なプログラム名を表示部11A上で認識できる。
【0132】
更に、第2プログラムインストール処理では、インストール可能なプログラム名を紙幣識別装置2に画面提供した後、紙幣識別装置2側のダウンロードOK要求に応じて当該紙幣識別装置2に対するプログラム情報のダウンロードを実行する。その結果、紙幣識別装置2のユーザは、自らプログラムのインストール要否を選択できる。
【0133】
また、第2プログラムインストール処理では、管理テーブル43に管理されたプログラム情報内に当該紙幣識別装置2の製造番号に該当する製造番号がない場合、インストール可能なプログラムがないと判断し、インストール可能なプログラムなしメッセージを当該紙幣識別装置2に画面提供する。その結果、紙幣識別装置2のユーザは、インストール可能なプログラムがないことを認識できる。
【0134】
実施例2では、インストール対象の紙幣識別装置2の製造番号に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報を紙幣識別装置2に提供すると共に、紙幣識別装置2と通信接続し、当該プログラム情報内に当該紙幣識別装置2の製造番号に該当する製造番号がある場合、当該プログラム情報内の当該製造番号に対応したプログラムをインストールする。その結果、製造者は、指定した紙幣識別装置2に対してのみ有効なプログラム情報を作成し、紙幣識別装置2間相互のプログラムの不正利用を確実に防止することで、プログラムに要する開発コストの回収を図ることができる。
【0135】
また、実施例2では、プログラムを複数個の製造番号に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報を紙幣識別装置2に提供する。その結果、製造者は、複数台の紙幣識別装置2に単一のプログラムをインストールする場合でも、指定した紙幣識別装置2毎にプログラム情報を作成するのではなく、指定した複数台の紙幣識別装置にのみ有効な1個のプログラム情報を作成するだけで済むため、その生産効率の大幅向上が図れる。
【0136】
また、実施例2では、プログラム提供装置3Aが紙幣識別装置2と通信接続し、プログラム情報を紙幣識別装置2に提供する。その結果、製造者は、紙幣識別装置2と通信接続し、そのオンライン上でプログラム情報を紙幣識別装置2に提供できる。
【0137】
尚、上記実施例1及び2では、通信端末装置5と通信接続し、その指定画面60上のインストール対象の製造番号及びプログラム名を検出すると、製造番号に対応したプログラム情報を作成し、そのプログラム情報をSDカード6又はオンラインで紙幣識別装置2に提供するようにしたが、通信端末装置5と通信接続しなくても、紙面でインストール対象の製造番号及びプログラム名を受け付けて、これらインストール対象の製造番号及びプログラム名をプログラム提供装置3に手入力したとしても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0138】
また、上記実施例1及び2では、説明の便宜上、通信端末装置5のユーザを販売代理店としたが、紙幣識別装置2の顧客や、その製造元であっても、同様の効果が得られることは言うまでもない。また、同様に、紙幣識別装置2についても、顧客に限定されるものではなく、製造元や販売代理店等に配置したとしても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0139】
また、上記実施例1及び2では、指定画面60上のインストール対象の製造番号として、連続する製造番号を範囲指定できるようにしたが、当然ながら、製造番号が連続してなくても、複数個のインストール対象の製造番号を順次指定し、これら複数個の製造番号に対応した1個のプログラム情報を作成できることは言うまでもない。
【0140】
また、上記実施例1及び2では、インストール対象の製造番号として紙幣識別装置2固有の製造番号を使用したが、例えば、製品バグ等のバグ解消プログラムのように全紙幣識別装置2をインストール対象とする場合、紙幣識別装置2毎に製造番号を入力するのは非常に手間がかかる。そこで、そのインストール対象の製造番号として全紙幣識別装置2共通の共通コードを予め準備しておき、インストール対象の製造番号として1個の共通コードを使用した場合、全紙幣識別装置2に対してプログラムがインストール可能となるようにしても良い。
【0141】
また、上記実施例1及び2では、通信端末装置5と通信接続し、その指定画面60上のインストール対象の製造番号及びプログラム名を検出すると、製造番号に対応したプログラム情報を作成し、そのプログラム情報をSDカード6又はオンライン上で紙幣識別装置2に提供するようにしたが、インストール対象の製造番号及びプログラム名の指定後、そのプログラムの費用支払状況をも監視し、支払済みの場合にのみ、SDカード6又はオンライン上でプログラム情報を提供するようにしても良く、この場合、確実に開発コストの回収を図ることができる。
【0142】
また、上記実施例1及び2では、インストール対象の紙幣識別装置2を製造番号で指定するようにしたが、個々の紙幣識別装置2を識別できる装置情報であれば、これら製造番号に限定されるものではなく、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0143】
また、上記実施例1及び2実施例では、紙幣を識別する機能を備えた紙幣識別装置2を例に挙げて説明したが、硬貨を識別する機能を備えた装置、更には、紙幣及び硬貨両方を識別する機能を備えた装置であっても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0144】
また、上記実施例2では、プログラム提供装置3Aと紙幣識別装置2との通信接続中に、プログラム情報内に接続中の紙幣識別装置2の製造番号に該当する製造番号がある場合、そのプログラム情報を接続中の紙幣識別装置2に伝送するようにしたが、プログラム情報の内、該当するプログラムのみを紙幣識別装置2に伝送するようにしても良く、この場合、紙幣識別装置2側でプログラム情報からプログラムを読み出すような処理負担を大幅に軽減できる。
【0145】
以上、上記実施例について説明したが、本実施例によって本願の技術的思想の範囲が限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲を逸脱しない限り、各種様々な実施例が実施可能であることは言うまでもない。また、本実施例に記載した効果は、これに限定されるものではない。
【0146】
また、本実施例で説明した各種処理の内、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動で行うことも可能であることは勿論のこと、その逆に、手動で行われるものとして説明した処理の全部又は一部を自動で行うことも可能であることは言うまでもない。また、本実施例で説明した処理手順、制御手順、具体的名称、各種データやパラメータを含む情報についても、特記した場合を除き、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0147】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的に記載したものであって、必ずしも物理的に図示のように構成されるものではなく、その各装置の具体的な態様は図示のものに限縮されるものでは到底ないことは言うまでもない。
【0148】
さらに、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)、(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上、又は同CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明の貨幣識別装置のプログラムインストールシステム及び貨幣識別装置のプログラムインストール方法では、インストール対象の貨幣識別装置の装置情報に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報を貨幣識別装置に提供し、貨幣識別装置側で当該プログラム情報内に自装置に該当する装置情報がある場合、当該プログラム情報内の当該装置情報に対応したプログラムをインストールすることで、製造者は、指定した貨幣識別装置に対してのみ有効なプログラム情報を作成し、貨幣識別装置間相互のプログラムの不正利用を確実に防止することで、プログラムに要する開発コストの回収を図ることができるため、例えば金融機関等で使用される紙幣識別装置等に有用である。
【符号の説明】
【0150】
1 プログラムインストールシステム
1A プログラムインストールシステム
2 紙幣識別装置
3 プログラム提供装置
3A プログラム提供装置
4 通信網
6 SDカード
23B 制御用RAM
24 通信部
31 製造番号判定部
32 SDカード制御部
33 インストール制御部
44 履歴管理部
51 画面提供部
52 製造番号検出部
54 プログラム作成部
55 プログラム情報作成部
56 プログラム提供部
60 指定画面
60A 製造番号入力欄
60B プログラム名入力欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別プログラムに基づき、貨幣を識別する貨幣識別装置にプログラムをインストールする貨幣識別装置のプログラムインストールシステムであって、
インストール対象の貨幣識別装置を識別する装置情報を指定する指定部と、
この指定部にて指定した装置情報の貨幣識別装置に関わるプログラムを作成するプログラム作成部と、
このプログラム作成部で作成したプログラムを装置情報に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報を前記貨幣識別装置に提供するプログラム提供部と
を有し、
前記貨幣識別装置は、
当該プログラム情報内に自装置に該当する装置情報がある場合、当該プログラム情報内の当該装置情報に対応したプログラムをインストールするプログラムインストール部を有することを特徴とする貨幣識別装置のプログラムインストールシステム。
【請求項2】
前記プログラム作成部で作成したプログラムを複数個の装置情報に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報を前記貨幣識別装置に提供することを特徴とする請求項1記載の貨幣識別装置のプログラムインストールシステム。
【請求項3】
前記プログラム情報を格納した記録媒体を通じて前記貨幣識別装置に提供することを特徴とする請求項1又は2記載の貨幣識別装置のプログラムインストールシステム。
【請求項4】
複数個のプログラム情報を格納した記録媒体を通じて前記貨幣識別装置に提供することを特徴とする請求項1又は2記載の貨幣識別装置のプログラムインストールシステム。
【請求項5】
前記貨幣識別装置と通信接続し、前記プログラム情報を前記貨幣識別装置に提供することを特徴とする請求項1又は2記載の貨幣識別装置のプログラムインストールシステム。
【請求項6】
前記指定部は、
前記装置情報を指定する装置情報指定部及び、プログラムを識別するプログラム名を指定するプログラム指定部を含む指定画面を提供する指定画面提供部を有し、この指定画面上の装置情報指定部及びプログラム指定部を通じて装置情報及びプログラム名を指定することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の貨幣識別装置のプログラムインストールシステム。
【請求項7】
前記装置情報単位でプログラムの履歴情報を管理する履歴管理部を有し、
前記指定画面上の前記装置情報指定部を通じて装置情報を指定すると、当該装置情報に対応した履歴情報を履歴管理部から読み出し、この履歴情報に基づき、当該装置情報の更新履歴を指定画面上に画面表示することを特徴とする請求項6記載の貨幣識別装置のプログラムインストールシステム。
【請求項8】
前記指定部は、
全貨幣識別装置共通の共通コードを前記装置情報として指定することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の貨幣識別装置のプログラムインストールシステム。
【請求項9】
前記貨幣識別装置にプログラムを提供するプログラム提供装置を有し、
このプログラム提供装置内に、前記指定部、前記プログラム作成部及び前記プログラム提供部を有することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の貨幣識別装置のプログラムインストールシステム。
【請求項10】
識別プログラムに基づき、貨幣を識別する貨幣識別装置にプログラムをインストールする貨幣識別装置のプログラムインストール方法であって、
インストール対象の貨幣識別装置を識別する装置情報を指定する指定ステップと、
指定した装置情報の貨幣識別装置に関わるプログラムを作成するプログラム作成ステップと、
作成したプログラムを装置情報に対応付けてプログラム情報を作成し、このプログラム情報を前記貨幣識別装置に提供するプログラム提供ステップと、
当該プログラム情報内に自装置に該当する装置情報がある場合、当該プログラム情報内の当該装置情報に対応したプログラムをインストールする前記貨幣識別装置側のプログラムインストールステップと
を含むことを特徴とする貨幣識別装置のプログラムインストール方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−18229(P2011−18229A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163019(P2009−163019)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】