説明

貨物を船舶に且つ/若しくは船舶から輸送するためのプラント

貨物(23)を船舶(24)に且つ船舶(24)から輸送するためのプラント(1,20)であって、プラントは高架レール構造体(2)及びクレーンユニット(3)を備えており、高架レール構造体(2)は船舶(24)の片側に配置されており、且つ船舶の長手軸に本質的に平行に延在する長手レール(6)を備えており、クレーンユニットは荷物若しくは荷物群を船舶に且つ船舶から移動させるように配置されており、長手レールに支持されており、且つ長手レールに沿って移動可能である。クレーンユニットはさらにブーム(10)及びトロリー(21)を備えており、クレーンユニットのブームはブームの一端が船舶に及ぶように長手レールに本質的に垂直に延在しており、且つクレーンユニットのブームは長手レールに本質的に垂直であり、且つブームの中心線に本質的に平行である方向に延在する横手レール(13)を備えている。トロリーがブームの横手レールに移動可能に連結されており、且つクレーンユニットのトロリーは荷物若しくは荷物群を持ち上げるための持ち上げ装置(22)を備えている。さらに、ブーム(10)の横手レール(13)は高架レール構造体(2)の長手レール(6)の下に配置されている。このようにして、トロリーはいかなる妨害も無く、横手レールに沿って前後に移動可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貨物を船舶に且つ/若しくは船舶から輸送するためのプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
プラントは高架レール構造体及びクレーンユニットを備える形式であり、高架レール構造体は船舶の片側に配置されており、且つ船舶の長手方向に本質的に平行に延在する長手レールを備えており、クレーンユニットは荷物若しくは荷物群を船舶に且つ/若しくは船舶から移動するために配置されており、長手レールに支持されており、且つ長手レールに沿って移動可能である。クレーンユニットはさらにブーム及びブームに連結されているトロリーを備えており、クレーンユニットのブームは一端が船舶に及ぶように長手レールに本質的に垂直に延在しており、長手レールに本質的に垂直であり、且つブームの中心線に本質的に平行である方向に延在する横手レールを備えている。トロリーはブームの横手レールに沿って移動可能であり、荷物若しくは荷物群を持ち上げるための持ち上げ装置を備えている。
【0003】
ここでは、船舶から貨物を降ろすためにクレーン及び/若しくは船舶をまたぐ高架レール構造体を備えるいくつかのプラントについて言及すべきである。従って、このようなプラントは船舶の両側に支持部材を有している。本発明のプラントは船舶の片側にのみ配置されている高架レール構造体を備えており、ここでクレーンユニットは高架レール構造体から外側に向かって船舶に至るまで延在している。このようにして、二つではなく、船舶の片側に一つのみの埠頭を設置する必要がある。船舶の両側に埠頭を設置することは高価であり、多くの場合に可能ではない。
【0004】
また、基本的なプラントは一つの長手レールと一つのクレーンユニットを有しているが、本発明によるプラントは複数のレール、複数のクレーンユニットなどを備えることが出来ることは当業者には自明であるべきであることをここでは言及すべきである。従って、例えば、クレーム内で用いられる際の“クレーンユニット”は本明細書では“少なくとも一つのクレーンユニット”として理解されるべきである。同じことがプラントの他の要素についてもいうことができる。
【0005】
また、用語“貨物”も広く解釈されるべきであることを当業者は理解するであろう。本明細書の範囲における貨物は、例えばコンテナ、バルク材料、車などの多くの様々な物品を備えてもよい。
【0006】
また、用語、長手及び横手は船舶に相対して用いられていることも言及すべきである。従って、クレーンユニットのブーム上の“横手レール”は船舶の長手方向軸に垂直なので、“横手”と呼ばれる。
【0007】
さらに、“本質的に”若しくは“本質的”という言い回しは、本発明の要件を満たす尺度(amount)として解釈することに言及すべきである。例えば、用語“本質的に平行”は本発明に依るプラントが運転するように十分に平行に近いという意味で解釈されるべきである。当業者はこの区別を行うことは出来る。
【0008】
貨物を船舶に積み込んだり且つ/若しくは降ろしたりするプラントは長年の間用いられてきた。そのようなプラントの一つの一般的な利用はコンテナを船舶に積み込んだり且つ/若しくは降ろしたりすることである。そのようなプラントは通常、埠頭に配置されている船対陸(ship to shore)コンテナクレーンを備えており、船舶の積み降ろしの際には、一つずつコンテナを船舶から降ろし、それらを埠頭、トラック、列車、コンテナ処理システム(container handling system)などのいずれかに置く。同一の船対陸コンテナクレーンが通常また、船舶の積み込みの際に、コンテナを埠頭、トラック、列車などから船舶に降ろすために用いられる。
【0009】
コンテナは通常、長手軸が船舶の長手軸に平行に配置されるように船舶に配置される。さらに、コンテナは複数が並んで、“コンテナベイ”として配置される。コンテナベイは船舶の長手方向に垂直なラインに沿って配置され、鉛直に積層された複数のコンテナを備えている。コンテナは積層状態に配置されているので、船対陸コンテナクレーンは通常船舶の長手方向に平行に配置されているトラック(track)、換言すれば埠頭の水位線に平行なトラックに沿って、コンテナクレーンが移動できるような機構で配置されている。そのような機構は通常トラック上、若しくはレール上を回転する車輪を備えている。レール若しくはトラックは通常埠頭上に配置されている。このように、コンテナクレーンは埠頭に沿って移動することが出来、それにより単一のクレーンが単一の船舶の多くの様々なコンテナベイ上で動作できるようになる。さらに、コンテナクレーンは埠頭に沿って移動できるので、埠頭は多くの様々なサイズの船舶を使用可能にすることが出来る。さらに、トラック若しくはレール上に二つ以上のクレーンを配置することも可能である。このように、複数のクレーンが同時に同一の船舶上で動作することが出来る。これは、積み降ろし作業を高速化させる。
【0010】
この形式の船対陸コンテナクレーンには多くの様々な例がある。三つの例が特許文献1乃至3に開示されている。
【0011】
この形式のコンテナクレーンの問題の一つとしてコンテナクレーンが相対的に重くなり、クレーンを支持する地面を非常に強力に補強しなければならないことが挙げられる。クレーンは埠頭の先端を移動するので、クレーンによって埠頭に印加された荷重の下で、埠頭が倒壊しないようにするために、埠頭の水面側端部を非常に良く補強する必要がある。埠頭の補強は通常高価であり複雑である。
【0012】
この問題を最小化する方法の一つとして、埠頭の上にクレーンを持ち上げ、クレーンを高架レール上に配置することが挙げられる。あらかじめ画定された場所に設置された土台によって地面に支持される構造によって高架レールを支持する。このように、非常に強力な埠頭を建造する必要はなく、むしろ、高架レールを支持する構造を支持するための限られた数の強力な点土台のみを設置する必要がある。特許文献4にそのようなシステムが開示されている。
【0013】
現在のコンテナクレーンの別の問題として、現在利用できるクレーンは(船舶の長手軸に平行な方向に)広すぎるので、同時に二つ並んだコンテナベイで作業が出来ないことが挙げられる。典型的なクレーンは27mの広さを有しており、一方典型的なコンテナは20フィート(6.10メートル)若しくは40フィート(12.19メートル)の長さのいずれかである。コンテナはコンテナクレーンの“脚部”の間を通過することが出来る必要があるので、現在のコンテナクレーンはコンテナの幅より広い。これは、コンテナクレーンの脚部の間の距離が単一のコンテナの長さより大きくなる必要があることを意味している。この問題の解決法としては単一のコンテナクレーンに二つ以上のブームを配置することが挙げられる。そのような解決法が特許文献5に示されている。単一のコンテナクレーンに二つ以上のブームを配置することによって、コンテナクレーンは二つ以上の隣接したベイで同時に動作することが出来る。八個のブームを有する同様のクレーンが特許文献6に開示されている。しかしながら、この解決法は非常に大きく且つ高価なコンテナクレーン構造を必要とする。さらに、これは埠頭上の荷重を増加させる。さらに、並んで配置されている二つ以上のブームを有するように常に望まれているわけではない。また、この解決法には、異なった船舶上ではコンテナベイ間の隙間が異なる可能性があるという問題もある。この隙間は船舶に応じて、約0.5乃至2mの領域になる可能性がある。これはブーム間の間隔が固定された複数のブームを有するクレーンユニットは埠頭に対して非常に柔軟性が無く、用いることが出来るターミナルの手配(terminal logistics)に深刻な制限を与えることを意味する。
【0014】
二つ並んだコンテナベイで作業する際の問題の別の解決法として、クレーンを船舶の両端に配置することが挙げられる。このようにして、最初のコンテナベイは船舶の一方の側からアクセスすることが出来、一方隣接するコンテナベイは船舶の他方の側からアクセスすることが出来る。しかしながら、これは二つ並んだ埠頭を建設する必要があり、また非常に高価となる。この形式の解決法は特許文献7に開示されている。
【0015】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第04/022474号公報
【特許文献2】特開2003−292166号公報
【特許文献3】米国特許公開2002−071743号公報
【特許文献4】欧州特許第0790955号公報
【特許文献5】欧州特許第0318264号公報
【特許文献6】特開平5−338991号
【特許文献7】国際公開第2005−012149号公報
【発明の概要】
【0017】
従って、本発明の態様は、船舶の同一側から二つの並んだコンテナベイを同時に空にする若しくは満たすことができる背景技術で述べたようなプラントを設けることである。
【0018】
本発明の別の態様は、非常に柔軟性があり、多くの様々な構成を担うことが出来る背景技術で述べたようなプラントを設けることである。
【0019】
これらの態様は、背景技術で述べたような高架レール構造体の長手レールの下に配置されたブームの横手レールを有するプラントによって部分的に提供される。このようにして、トロリーは何の妨害もなく横手レールの全長に沿って自由に移動する。
【0020】
一つの有利な実施例として、高架レール構造体の同一の長手レールに支持される少なくとも二つのクレーンユニットをプラントは備えることが出来る。クレーンユニットは高架レール構造体によって支持されているので、クレーンユニットはいかなる“脚部”を持たず、そのことは横手レールに沿ったコンテナの移動をクレーンの脚部によって制限しない。クレーンユニットは典型的なコンテナベイの幅より狭くすることが出来る。このようにして、二つのクレーンユニットが二つの並んだコンテナベイにおいて同時に並んで動作できる。
【0021】
典型的な実施例として、高架レール構造体は長手レールを支持する複数の鉛直柱を備えており、鉛直柱は個別の土台によって支持されている。これは、プラントを建造する際に、非常に強力に補強された埠頭を建造する必要がないことを意味する。むしろ、限られた数の個別の強力な土台のみを建設する必要がある。
【0022】
典型的な実施例として、プラントはさらに道路及び/若しくはレールのシステムを備えても良く、それにより車両がクレーンユニットに且つ/若しくはクレーンユニットから貨物を移動させることが出来る。しかしながら、プラントはまた大型貨物処理プラント(large freight handling plant)の一部であっても良く、ここでは貨物は直接船舶から貨物処理プラントへ移動される。
【0023】
コンテナベイが鉛直柱に並んで(inline)配置されているようなケースを扱うために、プラントは高架レール構造体と水面の間に配置されている少なくとも一つの道路及び/若しくはレールを備えることが出来る。このようにして、コンテナベイのコンテナを鉛直柱の前方の位置に且つ/若しくは位置から積み込むことが出来る。また、高架レール構造体と水面の間に配置されている道路及び/若しくはレールは船舶アクセスレーンとしても用いても良い。これにより、技術者、労働者、船員などが貨物の積み降ろしを妨げることなく、船舶に容易にアクセスできるようになる。
【0024】
さらに、ブーム及び/若しくは横手レールが高架レール構造体の鉛直梁(vertical beam)を通過できるようにするために、ブーム及び/若しくは横手レールは開放可能なセクションを備えることが出来る。
【0025】
一実施例において、セクションを長手レールに垂直であり、且つ横手レールに垂直である軸の周りに回転可能に配置することが出来る。他の実施例では、セクションを長手レールに平行な軸の周りに回転可能に配置することが出来る。しかしながら、他の多くの形式の移動可能なセクションを想像しても良いことが当業者には自明であるべきである。
【0026】
好適な実施例において、長手レールの長さをクレーンユニットの幅の二倍、好ましくは三倍、最も好ましくは四倍、より大きく作成することが出来る。また、長手レールは埠頭と同じ長さにすることも出来、船舶の全長に延在することも出来る。
【0027】
一実施例において、高架レール構造体は二つの長手レールを備えても良く、二つの長手レールは船舶側長手レールと埠頭側長手レールである。これはクレーンユニットにおいて安定したプラットフォームを提供する。
【0028】
一つの好適な実施例において、埠頭側長手レールはブーム及び/若しくは横手レールの下に配置されても良く、水面側長手レールはブーム及び/若しくは横手レールの上に配置されても良い。このようにして、コンテナは水面側長手レールを越えて、埠頭側長手レールに行くことが出来る。しかしながら、クレーンユニットは高架レール構造体の鉛直フレーム要素を通過する必要があるので、クレーンは水面側長手レールにおいてのみ“開放”する必要がある。これはクレーンユニットの建設を単純化する。
【0029】
一実施例において、クレーンユニットはクレーンユニットに戴置される巻き上げ機構及び巻き上げ機構からトロリーまで伸びるロープ若しくはケーブルシステムを備えても良く、ロープ若しくはケーブルシステムは持ち上げ装置によって荷物若しくは荷物群を巻き上げるのに用いられる。重い持ち上げ機はクレーン上の離れた機械室の固定された場所に配置することが出来るので、より軽いトロリーを用いることが出来る。これはトロリーがより速く、より少ない動力で移動可能になる。
【0030】
クレーンユニットが鉛直フレーム要素を通過する際に、ロープ若しくはケーブルシステムのロープ若しくはケーブルが鉛直フレーム要素を通過できるようにするために、ブームの中心線に本質的に平行である方向にブームに沿って移動可能であり、クレーンユニットの通常動作時にブームの前方の位置に保持され、ロープ若しくはケーブルをブームの前方に引くことを可能にする“ブーム先端トロリー”をクレーンユニットは備えても良い。また、ブーム先端トロリーを水面側長手レールの埠頭側に配置することができ、この位置において、水面側長手レールの下に配置されているロープ若しくはケーブルシステムのロープ若しくはケーブルが完全に水面側レールの埠頭側に待避されるように、ブーム先端トロリーは移動可能であっても良い。
【0031】
クレーンユニットのブームに生じる圧縮荷重を支持することが出来るようにするために、ブームの中心軸に本質的に平行な方向に発生するクレーンユニットのブーム構造における少なくともいくらかの荷重が長手レールを支持する高架レール構造体の桁(girder)を介して少なくとも部分的に導かれるように、ブームを設計しても良い。
【0032】
さらに、クレーンユニットは桁の水面側に配置される第一のローラー及び桁の埠頭側に配置される第二のローラーを備えるように配置しても良く、第一及び第二のローラーはブームの中心軸に垂直であり、且つ長手レールの軸に垂直である回転軸を有しており、長手レールに平行な一つ以上のレール上を移動するように配置される。そして、ブームの中心軸に本質的に平行な方向に配置されている荷重はローラー及びレールを通して桁に移動する。
【0033】
高架レール構造体の長手レールを支持する鉛直フレーム要素の前方に配置されている船舶のコンテナベイのコンテナにアクセスするために、長手レールに平行な方向に移動可能であるように、鉛直フレーム部材を配置しても良い。
【0034】
一実施例において、長手レールは鋼鉄建築(steel construction)によって支持されても良い。この鋼鉄建築は鋼鉄橋を建造する際に用いられる建築方式と同様であって良い。もちろん、高架レール構造体を建築する多くの他の方法があることを当業者は理解するであろう。
【0035】
本明細書で用いた用語“備える”は定まった特徴、数(integers)、工程若しくは構成要素の存在を明確にするために用いられたが、他の一つ以上の特徴、数、工程、構成要素、若しくはそれらの群の存在若しくは追加を排除するものではないことを強調すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明によるプラントの第一の実施例の概略斜視図を示している。
【図2】図1に示されたプラントにおける単一のクレーンユニットの拡大概略斜視図を示している。
【図3】図4のIII−III線によって画定される断面側面図として本発明によるプラントの第二の実施例を示している。
【図4】図3に示されるプラントの正面図を示している。
【図5】クレーンユニットが待避位置にある図3に示されたプラントの側面図を示している。
【図6a】クレーンユニットが高架レール構造体の鉛直柱を超えて移動する一実施例を概略的に示している。
【図6b】クレーンユニットが高架レール構造体の鉛直柱を超えて移動する一実施例を概略的に示している。
【図6c】クレーンユニットが高架レール構造体の鉛直柱を超えて移動する一実施例を概略的に示している。
【図7】プラントの概略側面図を示している。
【図8】埠頭側長手レール及びフレーム部材の概略正面図を示している。
【図9】水面側長手レール及びフレーム部材の概略正面図を示している。
【図10】プラントの二つの異なった構成の概略正面図を示している。
【図11】プラントの二つの異なった構成の概略正面図を示している。
【図12】クレーンユニットが鉛直フレーム部材を通過する準備を行っている三つの異なった工程の概略側面図を示している。
【図13】クレーンユニットが鉛直フレーム部材を通過する準備を行っている三つの異なった工程の概略側面図を示している。
【図14】クレーンユニットが鉛直フレーム部材を通過する準備を行っている三つの異なった工程の概略側面図を示している。
【図15】水面側長手レールに配置されたブームの一部の詳細図を示している。
【図16】埠頭側長手レールに配置されたブームの一部の詳細図を示している。
【図17】水面側長手レール近傍における水面側長手レールとクレーンユニットの詳細側面図を示している。
【図18】水面側長手レール近傍における水面側長手レールとクレーンユニットの詳細側面図を示している。
【図19】水面側長手レールを支持する水面側桁の断面図を示している。
【図20】埠頭側長手レールを支持する埠頭側桁の断面図を示している。
【図21】長手レールを支持する桁構造の正面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下では、添付された図面によって示される実施例を参照してより詳細に発明を記述する。示される実施例は例示的目的のみのために用いられ、且つ本発明の範囲を制限するために用いられるべきではないことを強調すべきである。
【0038】
図1に示され、より詳細には図2に示されているプラント1は高架レール構造体2及び三つのクレーンユニット3a、3b、3cを備えている。高架クレーン構造体2及びクレーンユニット3は埠頭4に配置されている。船舶(不図示)は船舶の長手方向軸が埠頭4の長手方向5に平行に配置されるように埠頭に停泊する。トラック、列車などがプラントに貨物を配達する、且つ/若しくはプラントから貨物を持ち去ることができるように、複数の道路及び/若しくはレール(不図示)が埠頭に配置される。
【0039】
高架レール構造体2は埠頭4の長手方向5及び船舶(不図示)の長手方向に平行になるように配置された二つの長手レール6a及び6bから成っている。長手レール6は複数の鉛直柱7によって支持されている。鉛直柱7は埠頭の表面の下に配置された土台8によって支持されている。
【0040】
クレーンユニット3は車輪9一式によって長手レールに支持されている。車輪9によって、クレーンユニットは長手レールに沿って前後に移動できるようになっている。このようにして、クレーンユニットは埠頭及び船舶の長手方向軸に沿って前後に移動可能であることから、クレーンユニットは船舶の前部から後部までのいかなる場所にもアクセス可能である。このようにして、クレーンユニットは船舶のいかなるコンテナベイにもアクセス可能となる。
【0041】
クレーンユニットのそれぞれが船舶に及ぶブーム10を備えている。ブームは先行技術によって良く知られているように、ケーブル11及び枠構造12によって支持されている。このようにして、クレーンを船舶の片側のみに配置するように支持することが可能となる。
【0042】
ブームはさらにブーム10の底部に沿って伸びる横手レール13を備えている。従って、横手レールはブームの長手方向軸に平行な軸に沿って伸びており、且つ高架レール構造体2の長手レール6に対して垂直な若しくは横の軸に沿って伸びている。トロリー(不図示)を移動可能、すなわち横手レールに沿って前後に移動可能なように横手レールに取り付けることができる。トロリーには貨物を船舶から持ち上げたり、且つ/若しくは船舶に置いたり出来るような持ち上げ手段(不図示)が装備される。
【0043】
長手レール6及び横手レール13の配置の結果、長手レールにおけるクレーンユニットの移動及びブームの横手レールに沿ったトロリーの移動の組み合わせによって、船舶におけるいかなる場所にもトロリーは至ることができる。さらにクレーンユニット3があるために、トロリーは高架レール構造体の支持部の両側で運転可能である。換言すれば、トロリーは高架レール構造体の船舶側の支持部側及び高架レール構造体の地面側の支持部側どちらでも運転可能である。
【0044】
図1及び図2に見ることが出来るように、ブーム10及び、従ってまた横手レール13は長手レール6の下に配置されている。このようにして、横手レール13はブーム10の全長に沿って破断されない。これにより、トロリーはブームの前端14から後端15までいかなる妨害もなく移動することが出来る。換言すれば、トロリーは長手レール6の両側、船舶に近い側及び船舶から最も遠い側どちらでも動作可能である。従って、トロリーの移動経路は他の従来のクレーンユニットと同一である。しかしながら、それに沿ってトロリーが移動する横手レールが長手レールの下に配置されているので、コンテナがクレーンユニットの脚部を通過する必要がないという違いがある。
【0045】
ブームの前端14は最も前方の土台若しくは高架レール構造体の支持部を超えて延在している。本実施例ではトロリーは高架レールの支持部の両側において動作することが出来る。
【0046】
図3乃至5に示されているプラント20は本発明によるプラントの他の実施例であるが、本質的な構成要素は図1及び図2に示されたものと同一である。従って、同一要素を記述する際には、同一の参照符号を用いる。
【0047】
第一の実施例2のように、プラント20は高架レール構造体2及び複数のクレーンユニット3を備えている。高架レール構造体は埠頭4に配置されている。高架レール構造体2は複数の鉛直柱7によって支持されている二つの長手レール6a、6bを備えている。鉛直柱7はそれぞれの柱の底部にある点土台8の形式の支持部によって支持されている。高架レール構造体の一つの可能な実施例として、鉛直柱は約50mの高さを有し、長手方向の間隔が約75mであり、横手方向の間隔が約35乃至50メートルである。前部の柱から水面までの距離はおよそ13mにしても良い。
【0048】
クレーンユニット3は車輪9によって長手レール6に支持されており、クレーンユニットは長手レールに沿って前後に独立に移動可能である。クレーンユニット3はフレーム構造12に連結されるケーブル11によって支持されているブーム10を備えている。本例では、ブームを単一の箱桁(single box girder)として示しているが、例えば二重箱桁(double box girder)のように他にも様々な形式がある。典型的な場合には、クレーンユニットは500乃至650トンの重量を有しても良い。
【0049】
ブーム10の底部には横手レール13がある。トロリー21は横手レールに沿って前後に移動可能であるように配置されている。トロリーには船舶24から貨物23を持ち上げたり、船舶に貨物23を置いたり出来るような持ち上げ装置22が装備されている。図に示されている例では、貨物は複数のコンテナ23である。コンテナの標準的な長さが20フィート及び40フィートの形式があることは注意すべきである。従って、トロリーの持ち上げ手段は通常20フィートのコンテナを二つ、若しくは40フィートのコンテナを一つ持ち上げるように設計されている。
【0050】
図3に見ることが出来るように、ブームは船舶を超えて延在しており、それによりトロリー21は船舶の全幅にアクセス可能である。
【0051】
本発明の態様の一つを満足するために、クレーンユニットの最大幅は標準的なコンテナベイの幅より小さく、例えばクレーンユニットの幅は約12メートル(〜39フィート)とすることができる。このようにして、二つのクレーンユニットが二つの並んだコンテナベイで動作するように配置することが出来る。これは、図4に示されており、図4のコンテナは40フィートのコンテナである。
【0052】
長手レール上のクレーンユニットを再編成する際に、例えば前回の船舶とは異なったサイズ及び/若しくはコンテナベイの編成を有する新しい船舶が入港した際に、クレーンユニットを長手レールに沿って移動させることが出来る。クレーンユニットが鉛直柱を通過するために、ブーム10はセクション35で開放できるように構成されている。そのようなセクションの一つの実施例が図6a乃至6cに示されている。セクション35は軸36に対して側部に旋回可能であるように配置されており、それによりブームが柱を通過できるようにブームを開放する。図1乃至5に示されている実施例では、二つの長手レール6a、6bがそれぞれ鉛直柱で支持されているので、ブーム10は二つの開放するセクションを有していることに注意すべきである。
【0053】
トロリーは多くの更なる方法で配置することが出来る。一つの例は、クレーンユニットのブームに配置されているバスバーシステム(bus bar system)を通して動力が供給される自己推進ユニット(self propelled unit)である。他の例はロープ牽引トロリーである。しかしながら、上記のようにクレーンユニットが鉛直柱を通過する際に、トロリーを牽引するのに用いられるロープもまた開放できる必要があるので、ロープ牽引トロリーは直接には使うことが出来ない。さらに、横手レールに垂直な方向に沿って持ち上げ装置を移動できるようにする手段を備えることに言及すべきである。このようにして、持ち上げ装置はクレーンユニットと同一方向に移動することが出来る。
【0054】
埠頭4は、水面と第1の鉛直柱の間の領域30、二つの鉛直柱の間の領域31及び第2の鉛直柱の後ろの領域32の三つの領域に分けることが出来る。貨物を貨物プラント20から受け取ったり、貨物プラント20に届けたりするトラックや列車のような車両を使用可能にする道路及び/若しくはレールが、領域30、31、32のそれぞれに設けられている。横手レールは長手レールの下にあるので、トロリーは何の問題もなく三つの領域全てに至ることが出来る。
【0055】
しかしながら、コンテナベイが鉛直柱に一致して設置されている場合、トロリーが鉛直柱の後ろの領域31、32に届かないような位置にクレーンユニットを配置させなければならない。これは例えば、図1のクレーンユニット3aに示されている状態である。この場合、トロリーは鉛直柱の前方の領域30にある車両に荷物を積み降ろしすることが出来る。
【0056】
また、コンテナを埠頭に直接移動させ、コンテナをコンテナ積載所(container stack)に運搬するコンテナ輸送車両(container handling vehicle)によって受け取る場合があることも注意すべきである。そしてコンテナは積載所からトラックや列車などに輸送される。
【0057】
図5は船舶が埠頭領域に入港若しくは埠頭領域から出港する場合をさらに示している。この際に、クレーンユニットのブームは待避することができ、船舶がクレーンユニットを自由に通過できるようにする。これは、たいていの船舶のための標準的な沿岸クレーンユニットである。
【0058】
図7乃至20は本発明によるプラントの第三の実施例(40)の様々な図を示している。第三の実施例は第一及び第二の実施例と多くの類似点を共有しており、従って同一構成要素を言及するときには同一の参照符号が使われる。参照符号が同一でも、異なる実施例により構成要素の詳細は異なっているかもしれないことについては注意されたい。
【0059】
図7乃至20のプラントは高架レール構造体2及び複数のクレーンユニット3を備えている。高架レール構造体は埠頭4に配置されている。高架レール構造体2は水面側鋼鉄桁41a及び埠頭側鋼鉄桁41bを備えている。それぞれの桁は二つの長手レール6a、6bを支持している。これは、本実施例では二つの水面側長手レール6a及び二つの埠頭側長手レール6bがあることを意味している。複数の鉛直フレーム42は埠頭上の長手鋼鉄桁を支持している。鉛直フレーム42は高架レール構造体の長手軸に沿って移動できるように配置されている。鉛直フレームには、長手鋼鉄桁の底部のレール43a、43bに対して回転するようにフレームの頭部に車輪が設けられており、同様に、埠頭の表面のレール44a、44bの上で回転するようにフレームの底部に車輪が設けられている。鉛直フレームは水面側鉛直柱45a、埠頭側鉛直柱45b及び二つの鉛直柱の間に配置された支持部材46から成っている。鉛直柱はそれぞれクレームの専門用語を用いて鉛直フレーム部材と解釈することができる。鉛直フレームの剛性に依って、水面側鉛直柱の車輪及び埠頭側鉛直柱の車輪は対等なので、鉛直フレームは長手レールに沿って移動する際に旋回しないことが想像できることは注意すべきである。
【0060】
本実施例40では、水面側長手鋼鉄桁は埠頭側鋼鉄桁より高い位置に配置されている。この理由は後に議論する。従って、水面側長手レール6aは埠頭側長手レール6bよりも高い位置に配置されている。
【0061】
この高架レール構造体の一つの可能な実施例として、フレーム要素の水面側柱は52.5mの高さを有し、フレーム要素の埠頭側柱は35.7mの高さを有している。水面側鋼鉄桁の高さは約7mであり、埠頭側鋼鉄桁の高さは5.5mである。鋼鉄桁の幅は約3.5mである。フレーム要素の埠頭側柱の中心とフレーム要素の水面側柱の中心の間の距離は約55mである。
【0062】
クレーンユニット3は車輪9によって長手レール6a、6bに支持されており、長手レールに沿って前後に独立に移動可能である。クレーンユニット3はフレーム構造12に連結されているケーブル11に支持されているブーム10を備えている。鉛直フレーム42の水面側鉛直柱45aの中心からブームの先端までの距離は約70メートルであり、鉛直フレームの埠頭側鉛直柱45bの中心からブームの後部までの距離は約20mである。
【0063】
ブーム10の底部には、横手レール13がある。横手レールはまたトロリーレールと呼ばれる。トロリー21は横手レールの上に配置されており、トロリーは横手レールに沿って前後に移動可能である。トロリーには船舶24から貨物23を持ち上げたり、船舶に貨物23を置いたりすることができる持ち上げ装置22が装備されている。図に示されている例では、貨物は複数のコンテナ23を備えている。コンテナの標準的な長さが20フィート及び40フィートの形式があることに注意すべきである。本実施例のトロリーの持ち上げ装置は20フィートのコンテナを四つ若しくは40フィートのコンテナを二つ同時に持ち上げることが出来るように構成されている。
【0064】
トロリー21には電気レール(フェストゥーンランウェイ)を通して動力が供給されている。このように、トロリーは自己動力の下で横手レール13に沿って前後に移動可能である。しかしながら、本実施例ではクレーンユニットの後部に配置されている機械室48に配置されている巻き上げ機から駆動するケーブル47によって持ち上げ装置22は動作する。ケーブルは従来の方法であるカテナリートロリー(不図示)によってブームの長さに沿った弛みに対して支持されている。ブーム先端トロリー49は常にブームの前方にケーブルを引くためにブームの先端に配置されている。ケーブルの経路の非常に単純な記述は、ケーブルが機械室からブームの前方へ伸び、ブーム先端トロリーの滑車をまわり、主トロリー21へ戻り、持ち上げ装置へ降り、主トロリーへ戻り、そして機械室へ戻るようにすることである。
【0065】
ブーム先端トロリー49は全体ケーブルシステムをブームに沿って後方に待避させることが出来るように移動可能である。ブーム先端トロリーが待避しようとすると、主トロリーは常にブーム先端トロリーから離れるように移動し、ブーム先端トロリーに引っかかる。そしてブーム先端トロリーがブームの先端から機械的に自由になると、主トロリーはブーム先端トロリーと共にブームに沿って後方へ移動する。ブーム先端トロリーがブームに沿って後方へ移動するにつれて、ケーブルの弛みは機械室内のケーブルドラムによって取り上げられる。ケーブルが再びブームの先端から伸びるようにしようとする際に、主トロリーはブーム先端トロリーをブームの先端まで押し、ブーム先端トロリーはブームの先端の位置に機械的に固定され、主トロリーはブーム先端トロリーを自由にする。そして主トロリーはブームに沿って前後に移動可能である一方でブーム先端トロリーはブームの先端に残され、ケーブルはブームの先端から伸びるようになる。ブーム先端トロリーはまた同様に、より従来型のクレーンユニットで用いても良いことが想像できることに注意すべきである。
【0066】
図10及び図11は長手鋼鉄桁41bに九個のクレーンユニットが配置されている図7のプラントの正面図を示している。三個の鉛直フレーム42a、42b、42cは長手鋼鉄桁を支持している。この図では簡略化のために埠頭側レールしか示していない。図11では、鉛直フレーム42a、42b、42cは全て図10に比べて一コンテナベイ分の距離だけ左に移動している。同様に、三個のクレーンユニット3は一コンテナベイ分の距離だけ右に移動している。このようにして、図10においてフレーム要素の前方にあるコンテナベイは図11に示された配置によってアクセスすることが出来る。
【0067】
本実施例では、クレーンや鉛直フレームの異なる配置を提案した。本実施例の桁は61mのスパンに三個のクレーンを安全に支持することが出来るべきである。若しくは、76mのスパンに四個のクレーンであるが、隣接するスパンは61mのスパンに三個までしかクレーンを持つことが出来ない。もし、あるスパンにクレーンがなければ、最大スパンは140mである。もちろん、桁の応力が許容範囲以下である限り他の配置も可能であることは当業者には理解されるであろう。さらに、桁の長さに対してより多くのクレーンユニットを運転出来ることを望む場合は、桁をより強力に作成することが出来る。
【0068】
クレーンユニット3の横手レール13が水面側長手レール6aの下に配置されているので、クレーンユニットが鉛直フレームの水面側柱を通過するために、横手レールが開放可能である必要がある。図12乃至14は水面側鉛直柱を通過するのに必要な工程の一部を示している。
【0069】
図12は水面側長手桁41aの後方へ引かれているブーム先端トロリー及び主トロリーを示している。このように、全てのケーブルもまた水面側長手桁の後方に配置されている。そしてブームをわずかに持ち上げる。そして、トロリーランウェイブリッジ50は図13に示すように下方へ旋回する。そして、ブームは図14に示すように通常位置から低くなっている。そして、クレーンは鉛直フレームの水面側柱を通過することが出来る。トロリーランウェイブリッジについては図17及び18に関する議論において、より詳細に提供される。クレーンユニットが鉛直フレームの水面側鉛直柱を通過した際には、上記の工程を逆に行い、トロリーランウェイブリッジは通常位置に戻ることが出来、主トロリー及びブーム先端トロリーは再びブームの先端へ伸びるように移動することが出来る。
【0070】
図15はクレーンユニットが水面側長手レール41aによって支持される位置におけるクレーンユニットのより詳細な図を示している。この図から明確に見ることが出来るように、長手レール6a(不図示)によって支持される車輪9aは横手レール13上にある。従って、トロリーによってコンテナが運送されているとしても、何の問題もなく主トロリー21は水面側長手レールを越えて横手レールに沿って前後に移動可能である。コンテナが埠頭の表面に非常に近接して輸送されているとしても、コンテナは長手レールを通過することが出来ることは特に注意すべきである。他の形式のクレーン構造で必要とされているようにレール上にコンテナを持ち上げる必要はない。
【0071】
図16はクレーンユニットが埠頭側長手レールによって支持されている位置でのクレーンユニットのより詳細な図を示している。この場合、埠頭側長手レール6b(不図示)に支持されている車輪9bはブームの横手レール13の下にある。クレーンユニットの幅は40'コンテナの幅より小さいので、40'コンテナは埠頭側レールを通過することが出来ない。しかしながら、もし持ち上げ装置22が上に上昇していればトロリー自身は容易に埠頭側レールを通過することが出来ることは注意すべきである。図7で見ることが出来るように、もし望むならばトロリーを埠頭側長手レールの埠頭側の場所にアクセスさせることが出来る。
【0072】
横手ランウェイを開放し、且つクレーンユニットが鉛直柱を通過することが出来るようにするために必要となる機構はむしろ複雑なので、本実施例では高架レール構造体の埠頭側長手レールをクレーンユニットの横手レールの下に配置することに決定した。これは、コンテナは埠頭側長手レールを通過することが出来ないが、ブームの横手レールを開放するために一つの機構のみが必要であることを意味している。クレーンユニットの車輪9bは横手レールの下に配置されているので、何の問題もなくクレーンユニットは埠頭側鉛直柱を超えて移動することが出来る。これはどの特徴がより重要となるかという、優先度の問題である。
【0073】
図17及び18はトロリーランウェイブリッジ50の開放機構と合わせて、ブームと水面側桁41aの間のインターフェースについてより詳細に示した図である。良く知られているように、クレーンユニットのブームは相当な圧縮力を受ける。この力/荷重はブームの中心軸に基本的に平行な方向に発生する。クレーンユニットが鉛直フレームの鉛直柱を通過する必要がある際に、ブームの一部分が開放できるようにする必要があるために、ブームが開放される際にブームが倒壊するのを防止するようなシステムが必要である。さらに、単純な方法でトロリーランウェイブリッジを開放できるようにする機構も必要である。本実施例によって、ブーム内の圧縮荷重Fは長手桁に委ねられるように設けられる。ブームの水面側部分10aの埠頭側端部51aは長手桁41aの水面側サイドを押すように配置されている。同様に、ブームの埠頭側部分10bの水面側端部51bは長手桁41aの埠頭側サイドを押すように配置されている。ブームと桁の間のインターフェースは、長手桁の水面側/埠頭側サイドに配置されているレール53a、53b上を走るブーム10a、10bに取り付けられているローラー52a、52bをそれぞれ通している。レール53a、53bは長手レール6a、6bに平行に配置されている。このように、クレーンユニットが長手レールに沿って横に移動する際に、ブームローラー52a、52bは圧縮力を長手桁に委ねることを可能にする。圧縮荷重は桁内にあり、二つのレール53a、53bの間に配置されている梁配置54によって桁内に支持されている。
【0074】
トロリーランウェイブリッジ50の圧縮荷重を十分に減少させることが出来る点で、本構造はまた有利である。実際に、本実施例では、ブームによって、トロリーランウェイブリッジはほとんど圧縮力を受けない。トロリーランウェイブリッジの設計強度基準はトロリー21自身を支持することが出来るようにする必要があることだけである。
【0075】
ブーム桁10a、10bの端部51a、51bにある球状ジョイント受け口56a、56bに対応するように配置されている球状ジョイント55a、55bがトロリーランウェイブリッジには設けられている。トロリーランウェイブリッジが開放される際には、ブームの水面側部分10aがわずかに持ち上げられ、トロリーランウェイブリッジの球状ジョイントがブーム桁端部の球状ジョイント受け口から自由にはずれることが出来るようになる。そして、トロリーランウェイブリッジは下方へ回転することが出来、ブームの水面側部分は再び通常位置へと下げられる。トロリーランウェイブリッジを再び導入する際には、ブーム10aの水面側部分を再びわずかに持ち上げ、球状ジョイントを受け口にそろえるようにトロリーランウェイブリッジを正しい位置に再び旋回させ、ブームの水面側部分を下降させる。このように、球状ジョイント/受け口はトロリーランウェイブリッジをしっかりとその場所に保持する。
【0076】
また図に見ることが出来るように、クレーンユニットを水面側長手レール6aに支持する車輪9aが取り付けられているベースユニット57をクレーンユニットは備えている。長手桁のそれぞれの側部に、ベースユニットは旋回点結合部(pivot point attachment)58a、58bを備えている。リンク59a、59bの一方の端部は旋回点結合部のそれぞれに旋回可能に連結されている。リンクの他方の端部はブーム桁の端部で旋回連結点(pivot connection points)60a、60bに旋回可能に取り付けられている。このように、ブーム桁は必要に応じて上方若しくは下方に旋回することが出来る。さらに、必要に応じて、ブーム桁は桁から外側に離れるように移動することが出来る。一つの利点は、長手桁の寸法を変えてもクレーンユニットの動作に影響を与えないことである。そのような寸法の変化は製造における許容誤差、熱膨張、摩耗/損傷などのために起こる。
【0077】
図19及び図20は本実施例で用いられる水面側及び埠頭側長手鋼鉄桁それぞれの断面図を示している。図に見ることが出来るように、桁は鋼鉄橋に用いられる桁に似ている。鋼鉄桁はユニットとして工場内で組み立てられ、そして船舶若しくは他の輸送手段によってプラント場へ輸送されることを可能にする。これはコンクリート/鋼鉄構造体から組み立てられる上記第1の実施例とは対照的である。コンクリート/鋼鉄タイプの構造体は組み上げる場所において組み立てられる必要がある。利用に応じて、これら二つの選択方法の好ましい方が用いられる。
【0078】
さらに図に見ることが出来るように、桁の寸法に応じて、桁の内部及び/若しくは外部を様々な様式の場所として用いることが出来る。例えば、機材室、機械室、事務室、休憩室などを桁に戴置したり、若しくは内部に設けたり出来る。内部はまた作業員を構造体のある場所から別の場所へ運ぶために用いることも出来る。
【0079】
図21は正面からの高架レール構造体を示している。例として、長手レールは1.2kmの長さを有することが出来る。図に見ることが出来るように、長手桁の端部はある量の移動が可能となるような方法で支持されている。この構造によって、熱変化による桁の長さの変化を吸収することが出来るようになる。示されている実施例では、桁の一方の端部は固定支持されており、一方、桁の他方の端部は旋回可能に支持されている。
【0080】
上記で示した図面及び記述は、単純で概略的な方法で例示的な実施例を示したことに注意されたい。電気的及び機械的詳細に関しては、当業者には良く知られており、不必要に記述を複雑化させてしまうので、示さなかった。例えば、構造の実際の建設に関しては詳細に記述しなかった。土木技術における当業者は通常の知識を用いて本発明による構造を設計することが出来るべきである。プラントを建造する材料に関しても多くの様々な利用できる選択肢がある。一つの例として、高架レール構造体をコンクリート及び鋼鉄の組み合わせから製造することが出来るが、他にも多くの選択肢が当業者には利用できる。また、本実施例の記述において与えられた寸法は単に例を与えるために用いられたに過ぎないことは当業者には明確であるべきである。寸法は請求の範囲を制限するために用いるべきではない。
【0081】
さらに、示した図面は本発明の範囲内に包含されるいくつかの可能な実施例に過ぎない。
【0082】
例えば、図面において、高架レール構造体は埠頭の一部として配置されている。しかしながら、柱の土台を埠頭から離れるように配置することも出来る。例えば、柱を海底に立てることも出来るし、埠頭を浮遊埠頭として配置することも出来る。
【0083】
さらに、図面は全て二つの長手レール及び複数のクレーンユニットを示していた。しかしながら、一つの長手レールのみ、若しくは一つのクレーンユニットのみを有する構造にすることも可能である。レール及びクレーンユニットのいかなる組み合わせも可能である。
【0084】
また、図面は全て埠頭上の車両と船舶の間をコンテナが移動するプラントを示していた。しかしながら、他の選択肢も可能である。例えば、プラントはさらにコンテナ処理プラント(container handling plant)を備えることが出来、それによりコンテナはクレーンユニットによって、船舶から自動的にコンテナを貯蔵するコンテナ処理プラントへ移動し、そして車両及び/若しくは他の船舶に移動する準備を整える。
【0085】
さらに、全ての例は一回の動作で船舶から車両へコンテナを移動させる解決策を示した。しかしながら、コンテナを船舶から中間のラッシングプラットフォームにクレーンユニットによって移動させ、そしてラッシングプラットフォームから埠頭まで第2の機構で移動される場合を想像しても良い。これは、コンテナベイが高架レール構造体の鉛直柱の一つの前方に配置されているような場合に役に立つであろう。この場合、例えば、クレーンは船舶から柱の前方に配置されているラッシングプラットフォームにコンテナを移動させる。そして、鉛直柱を超えてコンテナを横にスライドさせるようにラッシングプラットフォームを配置することが出来、柱を超えたコンテナを受け取ることが出来るように柱の後方に第2の機構を配置させることが出来る。
【0086】
また、本明細書に示した実施例では、ブームが長手レールの下に配置されているクレーンユニットを示したに過ぎないことも言及することが出来る。しかしながら、長手レールの下に配置されているブームのクレーンユニットと長手レールの上に配置されているブームのクレーンユニットを混合させると都合が良い場合があることは当業者には明確であるべきである。例えば、高架レール構造体の鉛直柱のラインに配置されているクレーンユニットは長手レールの上のブームと配置された方がよい。
【0087】
また、図面はブーム及び横手レールが長手レールの下にある場合のみしか示していなかった。しかしながら、ブームは長手レールの上に配置されているが、横手レールは長手レールの下に配置されているような実施例を想像しても良い。例えば、横手レールをブームからつり下げることができる。このようにして、ブームが鉛直梁を超えて移動する際に開放する必要はなく、横手レールのみを開放するだけでよい。
【0088】
さらに、本発明の範囲を逸脱することなく、多くの付加的な特徴をプラントに追加しても良い。例えば、本発明を逸脱することなく、ハッチカバーを貯蔵するための高架プラットフォーム、ドライバーキャブ、別の持ち上げ機構などをプラントに追加しても良い。
【0089】
結論として、本明細書に示されている実施例は本発明のある特徴を開示しているが、本発明の請求の範囲を制限するために用いられるべきではないことが当業者には自明であるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物(23)を船舶(24)に且つ/若しくは船舶(24)から輸送するためのプラント(1、20)であって、前記プラントは高架レール構造体(2)及びクレーンユニット(3)を備えており、
前記高架レール構造体(2)は該船舶(24)の片側に配置されており、且つ該船舶の長手軸に本質的に平行に延在する長手レール(6)を備えており、
前記クレーンユニットは荷物若しくは荷物群を前記船舶に且つ/若しくは前記船舶から移動させるために配置されており、前記長手レールによって支持されており、且つ前記長手レールに沿って移動可能であり、
前記クレーンユニットはさらにブーム(10)及び該ブームに連結されているトロリー(21)を備えており、
前記クレーンユニットの前記ブームは該ブームの一端が該船舶に及ぶように該長手レールに本質的に垂直に延在しており、
前記クレーンユニットの前記ブームは、該長手レールに本質的に垂直であり、且つ該ブームの中心線に本質的に平行である方向に延在する横手レール(13)を備えており、
前記トロリーは前記ブームの前記横手レールに沿って移動可能であり、
前記クレーンユニットの前記トロリーは前記荷物若しくは前記荷物群を持ち上げる持ち上げ装置(22)を備えており、
前記ブーム(10)の前記横手レール(13)が前記高架レール構造体(2)の前記長手レール(6)の下に配置されていることを特徴とするプラント。
【請求項2】
前記プラントは該高架レール構造体(2)の同一の該長手レール(6a、6b)に支持されている少なくとも二つの該クレーンユニット(3a、3b、3c、3d、3e)を備えることを特徴とする請求項1に記載のプラント(1、20)。
【請求項3】
該クレーンユニット(3)の幅が標準的な船舶コンテナ(23)の長さよりも小さいことを特徴とする請求項1若しくは2に記載のプラント(1、20)。
【請求項4】
該高架レール構造体(2)は該長手レール(6)を支持する複数の鉛直柱(7)を備えており、前記鉛直柱は個々の土台(8)によって支持されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプラント(1、20)。
【請求項5】
該プラントはさらに道路及び/若しくはレールシステム(30、31、32)を備えており、それにより車両が貨物(23)を該クレーンユニット(3)に且つ/若しくは該クレーンユニット(3)から移動させることが出来ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプラント(1、20)。
【請求項6】
少なくとも一つの道路(30)及び/若しくはレール(30)が該高架レール構造体(2)と該船舶(24)の間に配置されていることを特徴とする請求項5に記載のプラント(1、20)。
【請求項7】
前記ブーム(10)及び/若しくは前記横手レール(13)は該高架レール構造体(2)の鉛直梁(7)を通過できるように開放可能であるセクション(35)を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプラント(1、20)。
【請求項8】
前記セクション(35)は該長手レール(6)に垂直であり、且つ該横手レール(13)に垂直である軸(36)の周りで回転可能に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のプラント(1、20)。
【請求項9】
前記セクションは該長手レール(6)に平行な軸の周りで回転可能に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のプラント(1、20)。
【請求項10】
該長手レール(6)の長さは該クレーンユニット(3)の幅の二倍、好ましくは三倍、最も好ましくは四倍より大きいことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のプラント(1、20)。
【請求項11】
前記高架レール構造体(2)は二つの長手レールを備えており、前記二つの長手レールは船舶側長手レール(6a)及び埠頭側長手レール(6b)であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のプラント(40)。
【請求項12】
該埠頭側長手レール(6b)は該ブーム(10)及び/若しくは該横手レール(13)の下に配置されており、該水面側長手レール(6a)は該ブーム(10)及び/若しくは該横手レール(13)の上に配置されていることを特徴とする請求項11に記載のプラント(40)。
【請求項13】
前記クレーンユニット(3)は該クレーンユニットに戴置されている巻き上げ機構(38)及び該巻き上げ機構から該トロリー(21)まで伸びているロープ若しくはケーブルシステム(37)を備えており、前記ロープ若しくはケーブルシステムは該持ち上げ装置(22)を通して荷物(23)若しくは荷物群を巻き上げるのに用いられることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のプラント(40)。
【請求項14】
該ブームの中心線に本質的に平行な方向に該ブーム(10)に沿って移動可能であり、該クレーンユニットの通常動作時に該ブームの前方の場所に保持されており、該ロープ若しくはケーブル(37)を該ブームの前方に引くことができる“ブーム先端トロリー”(49)を前記クレーンユニット(3)は備えていることを特徴とする請求項13に記載のプラント(40)。
【請求項15】
前記ブーム先端トロリー(49)は該長手レール(6a)の埠頭側に配置され、且つその位置で、該長手レールの下に配置されているロープ若しくはケーブルシステム(37)のロープ若しくはケーブルが完全に該長手レールの埠頭側に配置されるように前記ブーム先端トロリーは移動することが出来ることを特徴とする請求項14に記載のプラント(40)。
【請求項16】
該ブームの該中心軸に本質的に平行な方向に配置される該クレーンユニット(3)の該ブーム構造(10)上の少なくともいくらかの荷重(F)は該長手レール(6a)を支持する該高架レール構造体(2)の桁(41a)を介して少なくとも部分的に導かれることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載のプラント(40)。
【請求項17】
該クレーンユニット(3)はさらに前記桁(41a)の水面側に配置される第一のローラー(52a)及び前記部材の埠頭側に配置される第二のローラー(52b)を備えており、前記第一及び第二のローラーは該ブーム(10)の中心軸に垂直であり、且つ該長手レール(6a)の軸に垂直である回転軸を有しており、且つ前記第一及び第二のローラーは該長手レールに平行な一つ以上のレール(53a、53b)を走るように配置されることを特徴とする請求項16に記載のプラント(40)。
【請求項18】
該高架レール構造体(2)の該長手レール(6a)は鉛直フレーム(42)によって少なくとも部分的に支持されており、該鉛直フレームは該長手レールに平行な方向に移動可能であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載のプラント(40)。
【請求項19】
該長手レール(6a)は鋼鉄桁(41a)によって支持されることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載のプラント(40)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図6c】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公表番号】特表2010−510146(P2010−510146A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536668(P2009−536668)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009987
【国際公開番号】WO2008/058763
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(509020217)
【Fターム(参考)】