説明

貨物保護シート

【課題】貨物を移送又は搬送する際に貨物の破損、汚染等を防止し得る貨物保護シートを提供する。
【解決手段】隣接する貨物同士の間、及び、貨物と壁類の間の少なくとも一箇所に配設される、厚みが0.5〜5mmの熱可塑性樹脂シートからなる貨物保護シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物保護シートに関する。詳しくは、車輌に貨物を積み降ろしする際、車輌で貨物を搬送する際、倉庫又は工場で貨物を出し入れする際、或いは、倉庫又は工場内で貨物を移動する際などに貨物の破損、汚染等を防止するため、貨物と壁類の間、隣接する貨物同士の間などに配設する、熱可塑性樹脂シートからなる貨物保護シートに関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂、肥料、セメントなどの工業製品、籾、米、小麦粉などの農産物等の粉粒体は、クラフト紙製袋、樹脂製袋、擬革製フレキシブルコンテナー袋などに充填して包装し、搬送、保管などされる。
通常、クラフト紙等の紙袋、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル袋等の樹脂袋を用いて粉粒体を包装する場合、1袋当たり5〜30kg程度の製品を充填し、その10〜50袋を移送単位としてパレットに積載し、フォークリフトやホイストなどを用いて移送する。また、擬革製フレキシブルコンテナー袋を用いる場合は、1袋当たり0.1〜2t程度の製品を充填し、パレットに積載してフォークリフトやホイストなどを用いて移送する。
【0003】
通常、フォークリフトやホイストなどを用いる貨物の移送としては、車輌に貨物を積み降ろしする移送、倉庫又は工場に貨物を出し入れする移送、或いは、倉庫又は工場内で貨物を移動する移送などが例示される。また、長距離の移送としては、鉄道貨物車や貨物自動車(トラック)に積載して搬送することが例示される。
【0004】
パレットは木製の物が多く、古くなると木材組織が崩れて鋭利な刺状の木屑を発生することがある。木製の古いパレットにクラフト紙包装体、樹脂袋包装体、擬革製フレキシブルコンテナー包装体を積載して、フォークリフトなどを用いて移送する際に、パレットが隣接するこれらの包装体に接触すると、パレットの刺状の木屑が突き刺さり、包装体を汚染、破損などする原因になる。更には、製品に異物が混入する原因となることもある。また、上記包装体を鉄道貨物車輌や貨物自動車(トラック)などに同様にして積み降ろしする際にも、パレットの木屑が突き刺さったり、車輌壁に接触して同様の問題が起こることがある。更に、これらの車輌で貨物を搬送などする際にも上記包装体がそれらの車輌壁などに触れて汚染されることもある。
【0005】
【特許文献1】特開2003−117981号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、貨物を移送又は搬送する際に貨物の破損、汚染等を防止し得る貨物保護シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の厚みを有する熱可塑性樹脂シートからなる保護シートを貨物と壁類の間及び隣接する貨物同士の間などに配設することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に到った。
すなわち、本発明は、隣接する貨物同士の間、及び、貨物と壁類の間の少なくとも一箇所に配設される、厚みが0.5〜5mmの熱可塑性樹脂シートからなる貨物保護シートである。
【0008】
本発明に係わる貨物保護シートの好ましい態様として、貨物が、紙袋包装体、樹脂袋包装体及びフレキシブルコンテナー包装体から選ばれた少なくとも1種のパレット積載貨物である前記貨物保護シート、壁類が、車輌の壁、倉庫の壁、工場の壁及び建家内の間仕切り壁から選ばれた少なくとも1種のものである前記貨物保護シート、熱可塑性樹脂シートが、発泡倍率1.1〜5倍のポリオレフィン系樹脂発泡シートである前記貨物保護シートがそれぞれ挙げられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の貨物保護シートを隣接する貨物同士の間、貨物と壁類の間などに配設して用いることにより、パレットに紙袋包装体、樹脂袋包装体、フレキシブルコンテナー包装体などを積載して、フォークリフトやホイストなどを用いて、車輌に貨物を積み降ろしする際、倉庫又は工場で貨物を出し入れする際、倉庫又は工場内で貨物を移動する際、或いは、車輌で貨物を搬送する際などに貨物の破損、汚染等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明に係わる貨物保護シートは、熱可塑性樹脂シートを貨物、車輌、倉庫、工場、間仕切り壁等の各種壁類に立てかけて貨物を保護し得る寸法に加工すること、熱可塑性樹脂シートを貨物を保護し得る寸法に加工し、更に自立可能又は吊り下げ可能に加工すること等により製造することができる。
【0011】
本発明の貨物保護シートの製造に用いる熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸及びその共重合樹脂、ポリブチレンサクシネート等の生分解性樹脂等が挙げられる。これらの内、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体等のポリエチレン系樹脂、及び、ポリプロピレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体等のポリプロピレン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂が好ましい。廃棄物の処理問題などを考慮するときは、ポリ乳酸及びその共重合樹脂を用いることが好ましい。
【0012】
貨物の保護性、ハンドリング性、耐久性などを考慮すると、シートの厚みは0.5〜5mm程度が好ましい。シートの形状は、保護する貨物の大きさによるが、通常、一辺の長さが50〜200cm程度の正方形又は長方形のシートが好ましい。
【0013】
上記樹脂を用いて熱可塑性樹脂シートを製造する方法には、特に制限はなく公知の方法で差し支えない。例えば、Tダイが装着された押出成形機を用いて、180〜240℃において混練、溶融してシート状に押出成型する方法が挙げられる。
【0014】
熱可塑性樹脂シートの内でも、ポリオレフィン系樹脂発泡シート、プラスチックダンボール等が好ましい。貨物の保護性、軽量性、耐水性、平板性が良好であることを考慮すると、熱可塑性樹脂発泡シートが好ましい。更に、これらに加えて耐熱性、耐薬品性にも優れるシートとして、上記ポリオレフン系樹脂から製造されるポリオレフィン系樹脂発泡シートが好ましく例示される。具体的には、上記ポリエチレン系樹脂発泡シート、上記ポリプロピレン系樹脂発泡シートが好ましい。ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、公知の方法で製造されたシートで差し支えない。例えば、特開2003−117981号公報(特許文献1参照)に記載される製造方法が挙げられる。
【0015】
上記ポリオレフィン系樹脂に発泡剤を添加、混合して発泡剤を含むポリオレフィン系樹脂組成物を製造し、得られた樹脂組成物をTダイが装着された押出機を用いて混練、溶融し、押出機ダイよりシート状で空気流動層へ吐出し、緊張下、空気流動層において吐出シートの表裏両面に空気を噴出して表層部を冷却しながら内部を発泡させ、次いで、一対のエンドレススチールベルトで挟持して搬送しながら冷却、賦形することによりポリオレフィン系樹脂発泡シートが製造される。上記樹脂組成物には、発泡剤の他、必要に応じて、顔料、染料、着色剤、発泡核剤、帯電防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、粉粒状無機充填材等の他の添加剤を添加してもよい。
【0016】
ポリオレフィン系樹脂発泡シートの剛性、軽量性、強度などを考慮すると発泡倍率は1.1〜5倍程度が好ましい。更に好ましくは1.3〜3倍である。厚みは0.5〜5mm程度が好ましい。発泡シートの形状は、貨物の保護性を考慮すると一辺の長さが50〜200cm程度の正方形又は長方形のシートが好ましい。
【0017】
ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、市販品で差し支えない。市販品としては、三井化学ファブロ(株)製、商品名:パロニア、同パロニアスーパー、同パロニアスーパーHD、同ハッポート、同セルプラン、同セルプランライトなどが挙げられる。
【0018】
次いで、本発明の貨物保護シート及びその使用方法について説明する。本発明の貨物保護シートは、上記熱可塑性樹脂シート、好ましくはポリオレフィン系樹脂発泡シート又はプラスチックダンボール、更に好ましくはポリオレフィン系樹脂発泡シートを貨物、車輌、倉庫、工場、間仕切り壁等の各種壁類に立てかけて貨物を保護し得る寸法に加工すること、熱可塑性樹脂シートを貨物を保護し得る寸法に加工し、更に自立可能又は吊り下げ可能に加工すること等により製造することができる。本発明において、貨物を保護し得る寸法としては、一辺の長さが50〜200cm程度の正方形又は長方形のシートが挙げられる。
【0019】
本発明の貨物保護シートは、車輌に貨物を積み降ろしする際、車輌で貨物を搬送する際、倉庫又は工場に貨物を出し入れする際、倉庫又は工場内で貨物を移動する際などに貨物の破損、汚染等を防止するために使用される。好ましい使用方法としては、貨物と壁類の間、隣接する貨物同士の間などに配設することが挙げられる。配設位置は、貨物の移動、移送の際に妨げにならない位置が好ましい。具体的には、各種壁類に対しては、立てかけるようにして常時接触するように配設してもよい。貨物に対しては、1〜50cm程度の間隔をもって配設することが好ましい。移動、移送が完了した貨物については、接触して配設してもよい。
【0020】
本発明において、壁類としては、倉庫、工場などの壁、鉄道貨物車、貨物自動車(トラック)などの車輌の壁、倉庫、工場などの建家内の間仕切り壁等が挙げられる。また、本発明において、貨物としては、パレットに積載された紙袋包装体、樹脂袋包装体、フレキシブルコンテナー包装体、及びパレットに積載されたこれら包装体の混載物が好ましく例示される。
【0021】
通常、紙袋包装体又は樹脂袋包装体は、1個のパレット上に5〜10段程度に多段積みされ、フォークリフトなどを用いる際の移送単位が形成される。1個のパレット上に形成されたこの移送単位は、倉庫、工場内などで保管する際には、2〜4段程度に多段積みされる。車輌で移送、搬送する際には、通常、2段積み以下である。紙袋包装体の包装資材としては、クラフト紙製袋が例示される。樹脂袋包装体の包装資材としては、低密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等から形成された樹脂袋が例示される。通常、紙袋包装体及び樹脂袋包装体には1袋当たり5〜30kg程度の製品が充填される。
【0022】
また、フレキシブルコンテナー包装体は、車輌で移送、搬送する際には、通常、2段積み以下であるが、倉庫、工場内などで保管する際は、2段積み以上の多段積みも可能である。フレキシブルコンテナー包装体の包装袋資材としては、帆布等の布状物に軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン等の熱可塑性樹脂を塗布するか、又は、帆布等にこれらの樹脂フィルムを加熱圧着して得られる擬革と称される人工皮革製(擬革製)の折り畳み可能の大型通い袋が挙げられる。通称、擬革製フレキブルコンテナーと称される。通常、フレキブルコンテナー包装体には1袋当たり0.1〜2t程度の製品が充填される。
【0023】
本発明の貨物保護シートは、倉庫、工場などに於いて貨物を保管などする際、車輌に貨物を積み降ろしする際、車輌で貨物を搬送する際、これらの建家又は車輌の壁と貨物の間、建家内の間仕切り壁と貨物の間などに配設される。また、倉庫又は工場内に貨物を保管などのために積み上げされる隣接貨物同士の間、或いは、車輌に積載される隣接貨物同士の間などに配設される。
【0024】
図1は、自立可能に加工された貨物保護シートの一例を示す側面図である。熱可塑性樹脂シート1の長さ方向の一方の先端部が、自立台2の幅方向のほぼ中央部に長さ方向へ向かってほぼ直線状に形成された溝3に嵌入され、自立可能型の貨物保護シート4aが形成される。自立台2の材質としては、熱可塑性樹脂、木材、金属などが例示できる。貨物の汚染防止などを考慮すると熱可塑性樹脂が好ましい。自立台2の形状は特に問わないが、断面形状が正方形又は長方形である柱状物が好ましい。
【0025】
ここで、自立可能とは、常時、完全に自立できる状態であることのみを意味しない。例えば、プラッターなどを用いて車輌に貨物を積み込み、荷下ろしなどする際に倒れて、プラッターなどによる移送作業の妨げにならない程度に実質的に倒れない状態を維持できれば、車輌などが運行中に振動して貨物の側面に寄りかかるように傾くことがあってもよい。具体的には、プラッターなどによる移送作業中にプラッターなどの方向に倒れなければよいことを意味する。
【0026】
本発明の貨物保護シートは、自立型に限定されない。例えば、上部に天井、幌の支持具のような支持可能物がある場合には、それらの支持可能物にフックなどを取り付けて、ロープ、テープ、紐などを用いて吊り下げできるように加工してもよい。フォークリフトを用いて、パレットに多段積みされた紙袋包装体、樹脂袋包装体、フレキシブルコンテナー包装体等を移送する際に、隣接する貨物に移送中のパレットが接触して、これらを汚染、破損することを防止する場合は、隣接する貨物同士の間に自立型又は吊り下げ型の貨物保護シートを配設することが好ましい。
【0027】
更に、本発明の貨物保護シートは、貨物、壁類等に立てかける得る寸法に加工することでもよい。特に、貨物と車輌壁の間、貨物と倉庫壁の間、貨物と工場壁の間、貨物と建家内の間仕切り壁の間などに配設して、貨物の汚染、破損などを防止する場合は、これらの壁類又は貨物に立てかける得る寸法に加工することでよい。
【0028】
また、上記自立可能に加工された貨物保護シート、又は吊り下げ可能に加工された貨物保護シートであっても、それらから自立台又はロープ、テープ、紐などの吊り下げ具を取り外すことにより、壁類又は貨物に立てかけて用いることもできる。
【0029】
本発明の貨物保護シートの形状は、保護する貨物の大きさに応じて適宜決めることができる。パレット上に積載された多段積み紙袋包装体、樹脂袋包装体、フレキシブルコンテナー包装体等の大きさ及び高さ、鉄道車輌、貨物自動車などに積載される貨物の大きさ及び高さ、倉庫、工場などに保管される貨物の大きさ及び高さなどを考慮すると、一辺の長さが50〜200cm程度の正方形又は長方形に形成することが好ましい。
【0030】
図2は、貨物自動車の荷台に積み込まれた多段積みクラフト紙袋包装体からなる貨物を貨物保護シートを用いて保護する状態を示す側面模式図である。具体的には、貨物自動車の左側面から見た模式図であり、10は貨物自動車の荷台、11は貨物自動車荷台の前部壁、12は開かれた状態の貨物自動車荷台の左側壁(通称:あおり)を示す。
【0031】
図3は、貨物自動車の荷台に積み込まれた多段積みクラフト紙袋包装体からなる貨物を貨物保護シートを用いて保護する状態を示す平面模式図である。図3において、A、B、C及びDは貨物、4a、4b、4c、4dは自立型貨物保護シート、4’a、4’b、4’c、4’d、4’e、4’fは立てかけ型貨物保護シート、10は貨物自動車の荷台、11は貨物自動車荷台の前部壁、12は貨物自動車荷台の左側壁、13は貨物自動車荷台の右側壁をそれぞれ示す。図2及び図3では、荷台10、左側壁12及び右側壁13の後方部は省略する。
【0032】
図2及び3において、パレット5にクラフト紙袋包装体6が8段積みされ、更にその上のパレット7にクラフト紙袋包装体8が8段積みされ、パレット単位で2段積みされた貨物Aが形成される。また、パレット5’にクラフト紙袋包装体6’が8段積みされ、更にその上のパレット7’にクラフト紙袋包装体8’が8段積みされて、パレット単位で2段積みされた貨物Bが形成される。同様にして、貨物C及びDが形成される。
【0033】
図3において、隣接する貨物AとB、AとC、BとD、CとDの間に自立可能型の貨物保護シート4a、4b、4c、4dがそれぞれ配設され貨物を保護する。また、貨物A及びCと前部壁11の間に貨物保護シート4’a、4’d、貨物A及びBと右側壁13の間に貨物保護シート4’b、4’c、貨物C及びDと左側壁12の間に貨物保護シート4’e、4’fがそれぞれ配設され貨物を保護する。図2は、パレット単位で2段積みされた一実施例であるが、倉庫、工場などで貨物を保管などするときには、3段積み、4段積みすることもできる。
【0034】
図2に示したように、通常、パレットにクラフト紙袋包装体を積む際には、1段当たり5袋、1パレット当たり8段積みして、合計40袋を1パレットとして、フォークリフトなどによる移送単位とする。
【0035】
本発明において、隣接する貨物同士の間とは、図3に示す例では、隣接する貨物AとB、AとC、BとD、CとDの間を意味する。即ち、本発明の貨物保護シートは、前後左右の全ての側に隣接する貨物同士の間に配設して用いることができる。
【0036】
図2は、パレット上に多段積みされたクラフト紙袋包装体からなる貨物の一例であるが、樹脂袋包装体、フレキシブルコンテナー包装体からなる貨物も同様にして保護することができる。通常、フレキシブルコンテナー包装体からなる貨物は大型であることから、車輌に積載する際には、1パレット当たり1〜2袋を1段積みし、パレット単位で2段積み程度とすることが好ましい。
【0037】
図2及び3に示した一実施例において貨物自動車に貨物を積載するときは、先ず、左側壁12を開き、次いで、前部壁11と右側壁13に立てかけ型の貨物保護シート4’a、4’bをそれぞれ立てかけて配設する。パレット5及び7上のクラフト紙袋包装体6及び8からなる貨物Aを荷台10に積載する。更に、右側壁13に立てかけ型貨物保護シート4’cを立てかけ、貨物Aの右側に自立型保護シート4aを配設して、貨物Bを荷台10に積載する。同様の作業を繰り返して、貨物保護シート4b、4c、4d及び4’dをそれぞれ配設して貨物C及びDを荷台10に積載する。最後に、貨物C及びDに立てかけ型貨物保護シート4’e、4’fを立てかけた後、左側壁12を閉止して、貨物C及びDと左側壁12の間に立てかけ型貨物保護シート4’eと4’fが配設された状態とする。貨物自動車で貨物を搬送する際は、貨物保護シートを配設した状態で搬送することが好ましい。貨物の荷下ろしをする際は、上記作業を逆順に実施すればよい。
【0038】
貨物保護シートの高さは貨物の高さとほぼ等しくすることが最も好ましい。しかし、貨物が汚染、破損などの事故に合う原因は、フォークリフトなどによる移送中のパレットが隣接する貨物に接触することに起因することが多いことを考慮すると、貨物保護シートの高さは、少なくともフォークリフトなどで移送中のパレットの高さ以上であればよい。また、車輌壁による汚染、破損を防止する際には、貨物保護シートの高さは車輌壁の高さ以上とすることが好ましい。
【実施例】
【0039】
以下、実施例を示して、本発明の貨物保護シートについて更に詳細に説明する。
実施例1
ポリプロピレン発泡シート〔三井化学ファブロ(株)製、商品名:ハッポート、厚み:2mm、スキン層なし、発泡倍率:1.3倍、縦(MD)方向長さ:200cm、横(TD)方向長さ:80cm〕を2枚用意して、それぞれの横方向の端部を重ね合わせて加熱圧着して、縦方向の長さが200cm、横方向の長さが150cmの広幅ポリプロピレン発泡シートを作成した。また、1辺の長さが15cmの正方形断面を有する長さが150cmの木製柱状物の幅方向の中央部に深さが10cmの直線状溝を木製柱状物の長さ方向に向かって形成し、自立台を作成した。自立台の溝に広幅ポリプロピレン発泡シートの縦方向の一方の先端を嵌入して自立型貨物保護シート4aを作成した。同様にして、自立型貨物保護シート4b、4c、4dを作成した。
【0040】
実施例2
ポリエチレン発泡シート〔三井化学ファブロ(株)製、商品名:パロニアスーパーHD、厚み:3mm、スキン層なし、発泡倍率:2倍、MD方向長さ:200cm、TD方向長さ:80cm〕を用いた以外は、実施例1と同様にして、縦方向の長さ200cm、横方向の長さ150cmの広幅ポリエチレン発泡シートを作成した。得られた広幅ポリエチレン発泡シートの横方向のそれぞれの端部から50cm、縦方向の一端部から5cmの位置の2箇所に穴を設けた。それぞれの穴にポリプロピレン製テープを取り付けて、吊り下げ型貨物保護シート4’aを作成した。同様にして、自立型貨物保護シート4’b、4’c、4’d、4’e、4’fを作成した。
【0041】
実用評価試験
実施例1得られた自立型貨物保護シート4a、4b、4c、4d、及び、実施例2で得られた吊り下げ型貨物保護シート4’a、4’b、4’c、4’d、4’e、4’fを用いた。但し、実施例2で得られた吊り下げ型貨物保護シートは、ポリプロピレン製テープを取り外して立てかけ型貨物保護シートとして用いた。
【0042】
車輌として10t積み貨物自動車を用いた。クラフト紙製紙袋に1袋当たり25kgのビスフェノールーAを充填して、クラフト紙包装体(縦:約70cm、横:約40cm、厚み:約16cm)を作成した。得られたクラフト紙包装体を木製パレット(縦:140cm、横:110cm、高さ:14cm)上に1段当たり5袋を平板状に積載し、これを8段積みして、1パレット上に合計40袋(製品重量:合計1t)を積載した。パレット上の積み荷の総高さは約125cmであった。これをパレット単位で2段積みして、図2に示すようにパレット単位で2段積みされた貨物A及びBを形成し、更に同様にして、貨物C及びDを形成した。
【0043】
図2及び3に示したように、10t積み貨物自動車の左側壁12を開き、前部壁11と右側壁13に立てかけ型の貨物保護シート4’a、4’bをそれぞれ立てかけて配設した。フォークリフトを用いて、貨物Aを荷台10に積載した。更に、右側壁13に立てかけ型貨物保護シート4’cを立てかけ、貨物Aの右側に自立型保護シート4aを配設して、貨物Bを荷台10に積載した。同様の作業を繰り返して、図3に示したように、貨物保護シート4b、4c、4d及び4’dをそれぞれ配設して、貨物C及びDを荷台10に順次積載した。最後に、貨物C及びDに立てかけ型貨物保護シート4’e、4’fを立てかけた後、左側壁12を閉止して、貨物C及びDと左側壁12の間に立てかけ型貨物保護シート4’eと4’fが配設された状態とした。
【0044】
貨物を積載した貨物自動車を約4kmの距離にある保管倉庫まで移送した後、フォークリフトを用いて、それぞれのパレット積載包装体(40袋)を順次荷降ろした。
上記フォークリフトによるパレット積載包装体の積み込み作業及び荷降ろし作業は、いずれも支障なく実施できた。また、クラフト紙袋包装体の外観に破損、汚染などの異常は観察されなかった。同様の積み込み、貨物自動車による移送、及び荷降ろし試験を週に適宜2回、合計10週間継続した。いずれも初回試験と同様の結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の貨物保護シートは、紙袋包装体、樹脂袋包装体、フレキシブルコンテナー袋包装体等をパレットに積載して、フォークリフトやホイストなどを用いて移送する際に、パレット等がこれらの包装体に接触して汚染、破損することを防止するために好適に用いられる。また、鉄道貨物車輌や貨物自動車(トラック)を用いて、上記包装体を搬送する際にも、上記包装体がそれらの側壁などに触れて汚染されるのを防止するために用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】自立可能に加工された貨物保護シートの一例を示す側面図である。
【図2】貨物自動車の荷台に積み込まれた多段積みクラフト紙袋包装体からなる貨物を貨物保護シートを用いて保護する状態を示す側面模式図である。
【図3】貨物自動車の荷台に積み込まれた多段積みクラフト紙袋包装体からなる貨物を貨物保護シートを用いて保護する状態を示す平面模式図である。
【符号の説明】
【0047】
1:熱可塑性樹脂シート
2:自立台
3:溝
4a、4b、4c、4d:自立型貨物保護シート
4’a、4’b、4’c、4’d、4’e、4’f:立てかけ型貨物保護シート
5、5’、7、7’:パレット
6、6’、8、8’:クラフト紙袋包装体
A、B、C、D:貨物
10:貨物自動車の荷台
11:貨物自動車荷台の前部壁
12:貨物自動車荷台の左側壁
13:貨物自動車荷台の右側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する貨物同士の間、及び、貨物と壁類の間の少なくとも一箇所に配設される、厚みが0.5〜5mmの熱可塑性樹脂シートからなる貨物保護シート。
【請求項2】
貨物が、紙袋包装体、樹脂袋包装体及びフレキシブルコンテナー包装体から選ばれた少なくとも1種のパレット積載貨物である請求項1記載の貨物保護シート。
【請求項3】
壁類が、車輌の壁、倉庫の壁、工場の壁及び建家内の間仕切り壁から選ばれた少なくとも1種のものである請求項1記載の貨物保護シート。
【請求項4】
熱可塑性樹脂シートが、発泡倍率1.1〜5倍のポリオレフィン系樹脂発泡シートである請求項1記載の貨物保護シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−326628(P2007−326628A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161275(P2006−161275)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(000111432)三井化学ファブロ株式会社 (36)
【Fターム(参考)】