説明

貫入型パイプひずみ計

【課題】
本願発明は、運搬が容易で低コストかつ手軽に設置出来、更には、土砂崩壊の前兆現象をより多くの人に容易かつ迅速に知らせ、土砂崩壊による被害を未然に回避することが出来る貫入型パイプひずみ計の技術を提供することを目的とする。
【解決手段】
複数のひずみゲージ27を外周面に取り付けた内パイプ12を外パイプ13に内蔵して一体化したパイプひずみ計本体11の先端部に掘削用スクリュー18を設け、ひずみ計本体11の後端部に取り付けた回動用工具(20,21)によってひずみ計本体11を地中の浅層に埋設したのち、回動用工具(20,21)を取り外し、ひずみ計本体11の後端部に、土砂崩壊の危険性を示す前兆現象の発生を知らせる警告を発生する警告装置31を取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中に埋設して使用され、斜面の土砂崩壊、豪雨における地盤表層の崩壊又は土石流の発生等に伴って生じる地盤のひずみをパイプひずみ計本体に内蔵されているひずみゲージで検出し、その検出値を地上の計測器で読み取るパイプひずみ計に係る技術であって、特に地盤の浅層におけるひずみの変化を測定する貫入型パイプひずみ計に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
従来のパイプひずみ計には、下記特許文献1に示すものがある。従来のパイプひずみ計は、図11に示すように、危険箇所と想定される地盤に地中深く埋設され、パイプに生じたひずみを内部のひずみゲージで検知して計測することにより、地滑り発生位置の確認等、地滑り現象の評価に用いられてきた。
【0003】
即ち、従来のパイプひずみ計は、以下のようにして設置していた。まず、ボーリングマシンで前記パイプひずみ計の設置孔を20mから30mの深さで予めプレボーリングする。次に、計測管1を構成する多数の鋼管1a,1b,1c・・・の外周面にそれぞれひずみゲージ5を貼付して保護材6で覆う。そして、各鋼管の端部を継手管2により嵌合してリベット3で締めた挿入管1を前記設置孔へ挿入する。最後に前記設置孔にセメントミルクを注入して隙間を塞ぎ、地中へ確実に定着させて検出精度の向上を図るという手順で設置されていた。
【特許文献1】実用新案登録第2514095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のパイプひずみ計の設置作業は、大掛かりであった。まず、20m超の計測管1は、多数の鋼管から構成されるため、運搬が容易ではなかった。
【0005】
また、設置の際には、ボーリングマシンにより20m超の埋設孔をプレボーリングする作業と、計測管1を埋設する作業を別々に行う必要があった。一方、埋設時に鋼管に貼付したひずみゲージ5が埋設孔とこすれて剥がれないように逐一保護材6で覆う作業が必要であった。更に多数の鋼管から計測管1を組み立てる作業も必要であった。また、検出精度向上のため、ひずみ計埋設後の設置孔にセメントミルクを注入する作業は必須になっていた。これらの作業には、多大な設置時間、労力、高いコスト負担が必要となっていたため、従来のパイプひずみ計は手軽に設置できるものではなかった。
【0006】
尚、従来のパイプひずみ計では、地中深く埋設して地滑り発生位置等を評価しているが、斜面の土砂崩壊等の発生前には、地盤の浅層でも地盤にひずみが発生し始め、土砂崩壊等が近づくにつれて地盤のひずみが増加するという前兆現象が発生する。従って、前記前兆現象たる浅層のひずみを正確に計測し、前記ひずみ増加量の変化を評価することにより、浅層にひずみが発生してから土砂崩壊等に至るまでの時間や崩壊の度合いを判断することが可能と言える。
【0007】
そこで本願発明者は、上述した従来の課題に鑑みて、地盤の浅層に発生したひずみを計測するため、人力での運搬が容易で様々な場所に設置できること、設置時間が大幅に短縮されること及び設置にかかる労力及びコスト負担を大幅に軽減できることにより地中への埋設設置が手軽にできる、特願2006―009989号公報(以降は先行文献1とする)の貫入型パイプひずみ計を発明した。
【0008】
以上のように、先行文献1の貫入型パイプひずみ計は、人力による搬入が容易であって、装置規模の大きさから特許文献1のパイプひずみ計が搬入できないような土砂崩壊の危険性が高くて足場が非常に悪い地盤にも設置できること、及び設置コストの大幅軽減から、パイプひずみ計をより多く設置して土砂崩壊の前兆現象を一層迅速に検知出来ることから、土砂崩壊の危険性が高い地盤における崩壊の前兆現象を事前にいち早く察知することが出来るものである。
【0009】
従って、先行文献1の貫入型パイプひずみ計は、土砂崩壊の前兆現象を素早く検知することにより、例えば、崩壊の被害を受けると推測される危険な地盤の下側に住居を持つ住民をいち早く避難させること等が出来るため、土砂崩落による人的被害等を未然に回避するという目的上、大変有意義な発明であると言える。
【0010】
しかし、土砂崩壊による被害を未然に回避するという目的を一層確実に果たすためには、土砂崩壊の前兆現象を容易かつ迅速に検知することも重要であるが、地盤を監視する者や土砂の崩壊前に避難を促すべき出来る限り多くの住民等に対して、前記前兆現象の発生を容易かつ迅速に知得させることも住民避難の実効を図る上で重要であると考えられる。
【0011】
本願発明は、土砂崩壊による被害を未然に回避するという課題をさらに確実に解決するため、土砂崩壊の前兆現象を容易かつ迅速に検知可能にすることに加え、地盤監視者や危険地盤周辺に住む多くの住民等に対して前記前兆現象の発生を容易かつ迅速に知らせることを可能とした貫入型パイプひずみ計を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の問題を解決するため、請求項1の発明は、ひずみゲージを取り付けたパイプ部材を地中に埋設することにより、地中に生じたひずみを計測するパイプひずみ計において、複数のひずみゲージを外周面に取り付けた内パイプを外パイプに内蔵して一体化した二重円管構造のパイプひずみ計本体と、前記パイプひずみ計本体の先端部に設けた掘削用スクリューと、前記パイプひずみ計本体回動用の工具を連結できる、パイプひずみ計本体の後端部に設けた工具取付部と、を備え、前記パイプひずみ計本体の全長を大人の肩の高さよりも長さが短い短尺状に形成し、地盤のひずみの計測結果に応じて警告発生器から警告を発生する警告装置を前記パイプひずみ計本体に接続している。
【0013】
(作用)請求項1に係るパイプひずみ計は、以下の作用を奏する。即ち、(a)パイプひずみ計の全長が、人の肩の高さより長さの短い短尺状であるため、コンパクトかつ軽量に形成される。(b)パイプひずみ計の全長が短いため、大規模なボーリング機器を使うことなく埋設作業が行われる。(c)パイプひずみ計自体が、先端に掘削用スクリューを備え、かつ後端にパイプひずみ計を回動させる工具を連結できるため、工具を用いることでボーリングと埋設作業が同時に行われる。(d)各ひずみゲージは、二重円環の内パイプに取り付けられ、かつ外パイプに覆われているため、逐一保護材で覆わなくても埋設時に地盤と接触して剥がれることが無い。(e)コンパクトであるため、多数の鋼管から組み立てる必要が無い。(f)貫入時においてスクリューが半径方向外側へ排除した土は、スクリューの通過後地盤の圧力によって半径方向内側に押し戻され、パイプひずみ計本体と埋設孔と間の隙間を塞ぐ。また埋設後のスクリューは、地中に堅く定着する。従って、埋設後にセメントミルクを注入しなくてもパイプひずみ計全体が地盤の浅層に堅固に定着する。(g)警告装置は、地盤のひずみが一定の大きさになった場合に警告発生器から警告を発生する。従って、警告を受けた者は、パイプひずみ計の設置箇所において土砂崩壊の前兆現象が発生したことを容易かつ迅速に知得する。
【0014】

請求項2の発明は、請求項1記載の貫入型パイプひずみ計において、前記パイプひずみ計本体の後端部に、周方向等分複数箇所に放射状に延出する板状受圧部を備えた受圧板を取り付けている。
【0015】
(作用)受圧板が、地盤に埋設されることでパイプひずみ計の後端部が、より一層地盤に堅固に定着する。また、定着後の板状の受圧部には、土砂の圧力が作用することにより、土砂の動きが負荷となり適格にパイプひずみ計本体の後端部に作用する。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の貫入型パイプひずみ計について、前記板状受圧部の先端側が、鋭角状に形成されている。
【0017】
(作用)鋭角状に形成された前記板状受圧部の先端側が、地盤を貫きつつ受圧板全体を地中に埋没させる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の貫入型パイプひずみ計について、前記工具を、携帯式電動回動工具としている。
【0019】
(作用)パイプひずみ計に、携帯式の電動回動工具を用いることで、掘削及び埋設作業が、迅速かつ容易に行われる。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の貫入型パイプひずみ計について、前記警告装置は、前記警告発生器をパイプひずみ計本体の後端部に直接取り付けている。
【0021】
(作用)警告発生器による警告は、埋設したパイプひずみ計本体と警告発生器を一体化することにより、土砂崩壊の前兆現象の発生地点、即ち、近く土砂崩壊が発生する地点から直接発せられる。警告を受けた者は、土砂崩壊の危険性がある地点を容易かつ迅速に把握する。また、警告装置を含む貫入型パイプひずみ計の全体構成が簡素になる。
【0022】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の貫入型パイプひずみ計について、前記警告装置が、パイプひずみ計本体に接続され、地盤のひずみの計測データに基づく信号を送信する送信機と、パイプひずみ計本体から分離された状態で前記信号を受信する受信機と、前記パイプひずみ計本体に直接接続せずに前記受信機に接続され、前記受信した信号に基づく警告を発生する警告発生器を備えるようにした。
【0023】
(作用)受信機に接続された警告発生器は、送信機から送信されたひずみの計測データに基づく信号に応じてパイプひずみ計の埋設地点から離れた位置において警告を発生する。パイプひずみ計の埋設位置から離れた地点にいる者が、前記埋設位置の土砂崩壊の前兆現象の発生、即ち、土砂崩壊の危険性を容易かつ迅速に知得する。
【0024】
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の貫入型パイプひずみ計について、前記警告発生器は、表示装置または警報装置のうち一つ(又は双方)である。
【0025】
(作用)警告発生器は、光又は音の一方、またはその双方により警告を発生する。地盤監視者や危険地盤周辺住民は、表示装置の光により視覚を通じて、また警報装置の音により聴覚を通じて土砂崩壊の前兆現象の発生、即ち土砂崩壊の危険性を容易かつ迅速に認識する。また、光や音が強ければ、前記前兆現象の発生を広範囲にいる者が、容易かつ迅速に知得する。
【0026】
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれかに記載の貫入型パイプひずみ計について、前記警告発生器は、計測した地盤のひずみが増加するにつれて、段階的に異なる警告を発生する。
【0027】
(作用)警告発生器は、地盤のひずみの増加量に応じて時系列的に警告内容を変化させる。警告を受ける者は、実際の土砂崩壊時期が近づいていることを知得する。
【発明の効果】
【0028】
以下に請求項1〜8に記載された発明の効果を説明する。
【0029】
請求項1の発明は以下の効果を奏する。即ち、(a)パイプひずみ計がコンパクトかつ軽量であって運搬が容易となるため、人力で持ち運び様々な場所に設置できる。(b)設置作業が小規模かつ容易であるため、設置時間が短縮されかつ設置労力が軽減される。更に、設置に必要なコストが軽減される。(c)パイプひずみ計が、地盤の浅層に堅く定着するため、前記地盤の浅層におけるひずみが正確に計測できる。(d)警告装置によって発せられる警告によって土砂崩壊の危険性を容易にいち早く認識することが出来るため、地盤監視者は、住民へ迅速に避難勧告を発することが出来、危険地盤周辺住民は、迅速に避難することにより、現実の土砂崩壊に伴って発生する人的または物的被害を未然に回避することができる。
【0030】
請求項2の発明は、受圧板を設けることにより、地盤の浅層におけるひずみが更に正確に検出できる。
【0031】
請求項3の発明は、先端側が鋭角形状に形成されているため、例えば、足で押し込んだり、ハンマーで叩くことにより受圧板全体を地中に容易に埋設出来る。
【0032】
請求項4の発明は、パイプひずみ計後端に取り付ける工具が、携帯式の電動工具であるため、支援電源の供給がされない場所や、足場の悪い斜面等様々な場所においてパイプひずみ計の埋設作業を迅速にすることが出来る。
【0033】
請求項5の発明によれば、警告を知得した者は、土砂崩壊の危険地点を感覚的に認識することが出来るため、危険地盤周辺住民への避難勧告と実際の避難が迅速に行われ、土砂崩壊によって発生する被害を更に確実に回避することができる。
【0034】
請求項6の発明によれば、パイプひずみ計の設置位置近辺にいなくても土砂崩壊発生の前兆現象を知得することが出来る。従って、危険地盤周辺に住む多くの住民は、土砂崩壊の危険性を迅速かつ容易に知得して避難することが出来、地盤監視者は、土砂崩壊が発生する地点から離れた安全な場所で土砂崩壊の前兆現象を計測して多くの住民に避難を勧告することが出来る。即ち、土砂崩壊によって発生する被害を更に確実に回避することができる。
【0035】
請求項7の発明によれば、警告を受ける者は、土砂崩壊発生の危険性を音や光により五感で容易かつ迅速に認識することが出来る、また、音や光を強くすることによって広範囲に伝播させることで、広範囲にいる人が容易かつ迅速に認識することが出来る。更に、光と音を併用して五感による認識を併用させることにより、危険性を更に容易かつ迅速に認識させる。
【0036】
請求項8の発明によれば、警告を受ける者が、実際の土砂崩壊時期を容易かつ迅速に認識することができるため、現実の土砂崩壊に伴って発生する被害をより確実に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面1〜14を参照して本願発明の好適な実施形態(実施例1から実施例3)について説明する。
【0038】
図1は、実施例1の貫入型パイプひずみ計の外観を表す分解斜視図、図2は、受圧板を取り付けたパイプひずみ計の一部破断斜視図、図3は、パイプひずみ計本体の内部構造を表す一部軸方向断面図、図4は、警告装置31の構成を説明するブロック図、図5は、本願パイプひずみ計を使用した土砂崩壊実験を説明する写真の図であって、(a)図は、実大模型地盤と切土の様子を表す写真の図、(b)図は、本願パイプひずみ計を斜面に埋設した写真の図。(c)図は、土砂崩壊実験の結果に基づくクリープ曲線を表すグラフ、図6は、周方向におけるひずみゲージの取付状況を表すパイプひずみ計本体のA−A’断面図で、(a)図は、2枚のひずみゲージを貼付した図、(b)図は、4枚のひずみゲージを貼付した図である。また図7は、パイプひずみ計後端の拡大斜視図、図8は、工具取付用治具の軸方向断面図、図9は、電動工具の取付構造を表す分解斜視図、図10は、貫入型パイプひずみ計の設置状況を表す参考図で、(a)図は、設置前の状況を表す図、(b)図は、受圧板と警告発生器を設置する状況を表す図、(c)図は設置後の状況をそれぞれ表す図である。図11は、実施例2の貫入型パイプひずみ計の外観を表す分解斜視図、図12は、T字型手動式回動工具21の外観を表す斜視図である。図13は、実施例3の警告装置31’の構成を説明するブロック図である。図14は、警告装置31’の構成を表す一部断面正面図で、(a)図は、送受信機が警告装置にそれぞれ内蔵され一体化されたもの一部断面正面図。(b)図は、送受信機が警告装置と別体に形成されて接続されたものの一部断面正面図である。
【0039】
実施例1に係るパイプひずみ計10は、図10(c)図に示すように、地中に埋設して使用され、斜面の土砂崩壊等に伴って生じる地盤のひずみをパイプひずみ計本体11の内部に長手方向等間隔に貼付された図3のひずみゲージ27によって電気信号として検出し、検出した信号に基づき警告装置31の外部に設けたスピーカ32から警報音を発生させ、併せて警告表示ランプ(33,34)を点灯させる構成になっている。
【0040】
また、図1〜図7によりパイプひずみ計本体11の具体的構成を説明すると、パイプひずみ計本体11は、その先端に設けられた掘削用スクリュー18及びその後端に設けられた工具取付用スリット13bによって主として構成されている。パイプ本体部11aは、図3に示すように外周面に長手方向所定間隔で複数(例えば、長手方向に4箇所)のひずみゲージ27が貼付された円環状の内パイプ12が、同心円状の外パイプ13で覆われると共に、内外のパイプ12,13間に充填されたエポキシ樹脂14が固化することにより一体に形成されている。また、工具取付用スリット13bは、外パイプ13後端部の開口部13eの周縁部に対向して形成され、パイプひずみ計本体11全体を回動させる工具が取り付けられる。
【0041】
また、各ひずみゲージ27から導出するリード線28は、内パイプ12の側壁に穿孔された挿通孔(図示せず)から内パイプ12の内部を通り、内パイプ12の後端部に固定した雌コネクタ15へ接続されている。雌コネクタ15は、内パイプ12の後端開口部を閉塞した状態で、外パイプ13の後端開口部13eから突出している。
【0042】
また、ひずみゲージ27は、図6(a)図に示すように、周方向等間隔に内パイプ12を挟んで対向するように2枚貼付されている。この場合、ひずみゲージ27が周方向のどの位置に貼付されたかが判るように、外パイプ13の後端開口部13eの周縁にマーキング等により印をつけておく。また、マーキング等の印に代えて、ひずみゲージ27と工具取付用スリット13bとの周方向位置を対応させても良い。
【0043】
即ち、パイプひずみ計本体11は、ひずみゲージ27の周方向位置を確認し、2枚のひずみゲージ27の対向する方向が、土砂崩壊時における地盤の移動方向、即ち斜面の傾斜方向(平地での土石流を想定すれば上流から下流方向)と一致するように設置することで、地盤の変動から測定時に各ひずみゲージ27が受ける負荷は最大となり、地盤のひずみの測定精度が最も高くなる。
【0044】
一方、パイプひずみ計本体11(外パイプ13)の後端側には、受圧板19が着脱自在に取り付けられる。実施例1において受圧板19には、中央の円筒部19bから半径方向外側に向かって2箇所の板状受圧部19aが対向するように延出されている。円筒部19bの上端には、円孔19dを形成する内フランジ部19cが設けられている。一方、パイプ本体部11aを構成する外パイプ13の後端部13aは、他のエリアより厚肉状に形成され、後端開口部13eから先端方向に向かった外周面には、雄ネジ部13cと円環状の段差部13dがそれぞれ形成されている。
【0045】
受圧板19は、円筒部19bをパイプひずみ計本体11の後端側から被せるようにして、内フランジ部19cが、外パイプ13側の段差部13dに支持される状態とする。内フランジ部19cは、円孔19dから突出した雄ネジ部13cにねじ込まれる雌ネジ17d付キャップ17の前縁部17bと、段差部13dとの間に挟圧固定される。埋設時における板状受圧部19aには、土砂の圧力が作用するため、土砂の動きが負荷となり、適格にパイプひずみ計本体11の後端部に作用する。尚、板状受圧部19aに作用する負荷を最大にするため、板状受圧部19aの板面方向が、斜面の上下方向(図6(a)及び図10(b)を参照)に対して垂直になる(ひずみケージ27の配置方向と直交する)ように受圧板19を取り付ける。
【0046】
警告装置31は、外側面にスピーカ32を備え、上面に黄色表示ランプ33と赤色表示ランプ34を備えると共に、下面に突出し、雌ねじ付キャップの円孔17aの内径より微小長さだけ小さな外径に形成された中空の固定棒35の先端に雄コネクタ36を備えている。雄コネクタ36は、固定棒35の内部を通るリード線37によって、警告装置31内部に設けられたひずみ計測機38に接続される。キャップ17の内部には、上部内周に凹部17eを形成し、内径が固定棒35の外径より微小長さだけ小さなOリング17fを取り付けるとともに下端内周には、雄ねじ部13cに螺合する雌ねじ部17dを形成する。
【0047】
警告装置31の固定は以下のように行う。まず受圧板19をパイプひずみ計本体11の後端にはめ込み、キャップ17によって固定する際に、固定棒35をキャップ17の円孔17aから内部のOリング17fに挿し通し、先端の雄コネクタ36をパイプひずみ計本体11の後端部の雌コネクタ15に差し込む。その状態でキャップ17を雄ねじ部13cにねじ込むことにより、受圧板19と共に、Oリング17fによって支持された警告装置31が、パイプひずみ計本体11の後端部に固定される。
【0048】
尚、受圧板19を取り付けないパイプひずみ計本体11については、取り付けたときに比べて地盤のひずみの検出精度が若干下がるものの、地盤のひずみの計測には何ら問題が無い。
【0049】
図4により、警告装置31の内部構成を説明する。雄コネクタ36は、リード線28によってひずみゲージ27へ接続された雌コネクタ15へ取り付けられ、リード線37により、警告装置31の内部に設けられた計測装置39へ接続される。計測装置39は、スピーカー32及び黄赤表示ランプ(33,34)にそれぞれ接続されると共に、内部に地盤のひずみ信号を解析して前記スピーカー及び各表示ランプに警報発生命令及び点灯命令を送る図示しないCPUと市販電池等による内蔵電源を備えている。
【0050】
尚、黄赤表示ランプ(33,34)は、発光が目立つものが良く、カラーLEDや蛍光灯・白熱電球に黄赤のカバーを被せたものや黄赤色の回転灯等を使用することが考えられる。
【0051】
また、本願出願人は、土がクリープ破壊(クリープとは一定荷重下でゆっくり生ずる塑性ひずみの増加現象をいう)する場合の時間とひずみ量との関係を表すクリープ曲線(参考資料:地盤工学会:地盤工学ハンドブックP1337〜P1352,1999)と、そのクリープ曲線の形状から土のクリープ破壊が、ひずみが漸減する1次(遷移)クリープ、ひずみ速度が一定(定常)となる2次(定常)クリープ及びひずみ速度が増大する3次(加速)クリープの各課程を経て行われることに着目して土砂崩壊の実験を行った。
【0052】
その内容は、土資料である関東ロームを重機で固めた高さ5m、斜面勾配45度の実大模型地盤を作成し、斜面下方をパワーショベルによって切土(削り取り)する(図5(a)を参照)ことで不安定化した斜面の下方近傍に本願の貫入型パイプひずみ計を設置(図5(g)を参照)して前記クリープ曲線を実測するという実験であった。実験結果は、図5(c)のグラフに示すとおりであって、本願出願人は、実際の土砂崩壊の約6分前に2次(定常)クリープが発生してその現象が4分継続した後、崩壊の約2分前から3次(加速)クリープが発生し、その後崩壊に至ることを知ることとなった。
【0053】
従って、上記実験結果を考慮し、本願パイプひずみ計の各実施例においては、例えば計測装置39が、図で言う2次クリープ発生時点における地盤のひずみ量を検知したときに、土砂崩壊の危険レベルをD1(一定時間経過後に土砂崩壊が発生するため住民はなるべく速やかに避難すべき)として、黄色表示ランプ33を表示させると同時にスピーカー32から例えば断続的な警報音を発生させることによって、地盤監視者や、危険地盤周辺住民に注意を促すことにすることが考えられる。また、図で言う3次クリープ発生時点における地盤のひずみ量を検知した場合には、土砂崩壊の危険レベルをD2(まもなく土砂崩壊が発生するため、一刻も早く避難すべき)として、赤色表示ランプ34を表示させると同時にスピーカー32から例えばレベルD1より断続の感覚が短い、危急を知らせる警報音を発生させるようにすることが考えられる。また、前記警告ランプと警報音は、地盤のひずみが一定の累積量に達したときに発生させる他、ひずみの増加傾向に基づく危険レベルD1及びD2を設定し、ひずみが一定の増加傾向を示したときに発生させることも考えられる。
【0054】
次に図8及び図9により、ひずみ計10に回動工具20を連結する構造を説明する。図8は、電動回動工具20をパイプひずみ計本体11後端部に連結する際に用いる金属製の工具固定治具30の断面図である。治具30は、円筒状の太軸30aと細軸30eとが同軸状に形成され、太軸30aの内側には、パイプひずみ計本体11の後端部(の雌コネクタ15)をすっぽり覆うことのできる円柱形の円孔(開口部)30bが形成され、太軸30aの前端部には、ひずみ計10後端側のスリット13bに係合できる爪30cと、治具固定キャップ40の後端フランジ部40bとひずみ計本体11側の後端開口部13eの周縁との間に挟持固定される段差部30dが形成されている。一方で細軸30eは、回動工具のチャック20aに把持させる部位である。細軸30eの外周面には、周方向等分3箇所に面取り30fがなされている。
【0055】
そして、パイプひずみ計本体11の後端側における雌コネクタ15の上から、工具固定治具30を被せて各爪30cと工具取付用スリット13bを係合させる。その状態で細軸30eの上からキャップ40を被せてねじ込み、段差部30dを介して治具30を、ひずみ計本体11側の後端開口部13eの周縁に挟圧固定する。最後に、円孔40aから露出した細軸30eを電動回動工具20のチャック20aに把持させる。
【0056】
次に、実施例1に係る貫入型パイプひずみ計の地中への設置方法を図10に基づいて説明する。例えば土砂崩壊の危険性がある斜面のひずみを計測する場合には、図10(a)に示すようにまず、後端部に電動回動工具20を取り付けたパイプひずみ計を掘削用スクリュー18を下にして、斜面に対して垂直に立てる。その状態で、工具20を回転させてひずみ計本体11を地中へねじ込ませ、図10(b)に示すように、厚肉後端部13aの段差部13dが地表面とほぼ面一になるまで地中に埋設し、埋設においては、周方向上の各ひずみゲージ27の配置方向が、斜面の傾斜方向と一致するようにひずみ計本体11の周方向位置を調整する。
【0057】
その後、パイプひずみ計本体11の後端部から電動回動工具20を取り外し、治具固定キャップ40をゆるめて外し、治具30を取り除く。そして、図10(b)に示すように、受圧板19をひずみ計本体11後端側の雄ネジ部13cの上から被せて、板状受圧部19aの鋭角状に形成された先端部を地中に押し込んだり叩き込んだり等して埋設する。そして、板状受圧部19aの板面方向が、斜面の傾斜方向(ひずみゲージ27の配置方向)に対して垂直になるように、受圧板19の周方向位置を調整する。
【0058】
警告装置31は、受圧板19を埋設後、固定棒35先端の雄コネクタ36をキャップ17上端の円孔17に挿入した状態で雌コネクタ15に差し込んだ後、キャップ17をねじ込んで受圧板19共々パイプひずみ計本体11の後端部に固定する。
【0059】
また、パイプひずみ計本体11は、例えば、後端部に取り付けた工具20による埋設作業や人力による持ち運びの容易性を考慮してパイプひずみ計の全長L(スクリュー18の先端から雌コネクタ15の後端までの長さ)を大人の肩の高さより短い長さに形成する。従って、全長Lは60cmから1m程度に形成することが望ましい。また全長を1m前後とした場合、パイプひずみ計各部の寸法は、例えば、スクリューの長さを10cm程度、パイプひずみ計本体11を構成する外パイプ13の外径(厚肉後端部の外径を除く)を15mm程度に形成する。また、このとき受圧板19の幅(パイプひずみ計の直系方向に沿った幅)は、15cm程度、上下高さ(パイプひずみ計の軸方向に沿った高さ)は10cm程度に形成している。
【0060】
更に、内パイプ12、外パイプ13及び掘削用スクリュー18の素材は、埋設時に電動回動工具20のトルク(例えば12Vの電動ドリル、電動ドライバ等を使用する場合には、140N.m程度)によって塑性変形をしない十分な剛性を備え、更に地中に埋設する点から耐腐食性を備えた素材とすべき点からステンレス等の金属素材を用いることが望ましい。また、軽量化が図れる面から十分な剛性等を備えたプラスチック、適切な高分子等の樹脂系素材を用いる事も考えられる。また、外パイプ13に剛性の高い耐腐食性金属を用い、内パイプ12に適切な樹脂系素材を用い、十分な剛性及び耐腐食性を保持しつつ軽量化を図ることも考えられる。
【0061】
また、厚肉後端部13aは外パイプ13と一体で形成するか、工具取付用スリット13b等を形成した別部材からなる厚肉後端部13aを外パイプ13の後端部に溶接等で接合し一体化することが考えられる。また、掘削用スクリュー18は、中実棒等を用いた別部材で形成し、外パイプ13の前後端の開口周縁部へ溶接等で接合し一体化することが考えられる。尚、接合前に内パイプ12の先端側は、エポキシ樹脂を固化させること等により封をしておく。
【0062】
受圧板19の素材は、押し込んだり叩き込んだり等して埋設する際に破損しない十分な剛性を備え、地中に埋設する点でステンレス等の金属素材が望ましい。また、十分な剛性を備えたプラスチック、適切な高分子等の樹脂系素材を用いる事も考えられる。また、板状受圧部19aは、円筒部19bから半径方向外側に向かって周方向等間隔に4箇所以上延出させることもできる。この場合、パイプひずみ計本体11後端部の地盤への固定は一層堅固になると共に、板状受圧部19aは、板面の設置方向が、斜面の上下方向に対して垂直とならなくても、地盤の移動による負荷を十分に受けるため、地盤のひずみの計測精度が向上する。
【0063】
尚、実施例では、ひずみゲージ27は、内パイプ12外周の長手方向4箇所(図3では長手方向2箇所、一部省略)に貼付されている。また、ひずみゲージ27は、長手方向1箇所以上に貼付すればよい。
【0064】
また、実施例1ではひずみゲージ27が、内パイプ12の周方向等分2ヶ所(図6(a)参照)に貼付されているが、図6(b)に示すように周方向等分4箇所とすることも考えられる。この場合、斜面の上下方向と各ひずみゲージ27の対向する方向を一致させなくても、内パイプ12を挟んで対向するように貼付された各ひずみゲージ27に関する検出値の差分から地盤のひずみが精度良く検出されるため、埋設時にひずみゲージ27の設置方向に留意しなくて良い点で意義がある。尚、ひずみゲージ27は、周方向等分6箇所、8箇所・・・と増加することも出来、周方向等分3箇所(奇数箇所)とすることも考えられる。
【0065】
次に、実施例2に係る貫入型パイプひずみ計を図11に基づいて説明する。実施例2のパイプひずみ計本体11’は、厚肉後端部13’a及び雄ねじ部13’cの長手方向の寸法L1’及びL2’を実施例1のL1,L2よりそれぞれ長く形成したものである。また、受圧板19’の円筒部19’bは、円孔19’dの形成された内フランジ部19’cを曲げ部19’eの形成された板状受圧部19’aの後端部側に突出させて形成(突出長さをL3とする)する。キャップ17’は、外周に棒状の工具を挿入するための工具挿入孔17’dを少なくとも一つ形成し、長手方向の寸法L4’は、実施例1のキャップ17の寸法L4より長さ(L2’-L2)分だけ長く形成する。
【0066】
パイプひずみ計本体11’の埋設は、厚肉後端部13a’を上述した円筒部19b’の突出長さ約L3分だけ地上に露出するように埋設し、受圧板19’の埋設時において、内フランジ部19’cが、地表よりL3高い位置で段差部13’dに支持された状態で、板状受圧部19’aが地中に埋没するようにする。ねじ山最下点と地表にL3の間隔が出来るためねじ山に土が入り込みにくくなる。
【0067】
一方、受圧板19’の埋設は、まず、円孔19’dからネジ部13’cの後端部がキャップ17’をねじ込み可能な程度に露出するまでは、実施例1と同様に曲げ部19’e等を叩くか押圧し、板状受圧部19’aの鋭角な先端を地中に一定の長さ分押し込んでおく。その後、工具挿入孔17’dに、その内形とほぼ同一外形の棒状工具(例えば、孔を六角形状に形成し、六角レンチ等が挿入出来るようにする)を挿入し、前記棒状工具をレバーとすることにより、キャップ17’を回転させる。
【0068】
キャップ17’は、与えられたトルクに応じて前縁部17’が内フランジ部19’c押圧するため、雄ねじ部13’cの寸法L2’だけ、板状受圧部19’aの地上に露出した残り部分を埋設することが出来る。このように、キャップ17’に工具挿入孔17’dを設け、工具を利用出来るようにしておけば、土圧によって埋設に大きな力が必要となる板状受圧部19’aの残り露出部分の埋設をキャップ17’のねじ込みによって容易に行うことが出来る。尚、工具挿入孔17’dを設ける代わりに、キャップ17’の外周を四角形や六角形状にし、スパナ等を取り付けてキャップ17’を回すことも考えられる。
【0069】
尚、埋設には、電動回動工具20を用いる代わりに、治具30’が一体に形成されたT字型手動式回動工具21(図12参照)を用いて手動で埋設してもよい。
【0070】
次に、図13と図14各図により実施例3の貫入型パイプひずみ計を説明する。実施例3は、図1及び図11に示す実施例1または2のパイプひずみ計本体(11,11’)に直付された警告装置31に加え送受信機(41,42)を利用することによって、パイプひずみ計本体(11,11’)と別体に構成され、かつパイプひずみ計本体(11,11’)の埋設位置から離れた位置に設置した警告装置(31a,31b)を備える(以降は、警告装置31,31a,31bを総合して警告装置31’とする)ようにして、警告装置31aと31bにおいても遠隔操作で警告を発生することが出来るようにしたものである。
【0071】
図13により、警告装置31’の構成を説明する。実施例3では、計測装置39に送信機41が接続され、計測装置39は、ひずみゲージ27から受けた地盤のひずみ信号を解析し、スピーカー32及び黄赤色表示ランプ(33,34)から警告を発生させるとともに、送信機41から、警告装置(31a,31b)に向けて、地盤のひずみの計測データに基づく警告発生命令の信号を無線送信する。
【0072】
警告発生命令の信号は、受信機42に接続され、パイプひずみ計本体(11,11’)とは別の位置に設置された警告装置(31a,31b)の内部に設けられた制御装置(43a,43b)に送られ、制御装置(43a,43b)が、スピーカー(32a,32b)及び黄赤色表示ランプ(33a,33b,34a、34b)からそれぞれ信号に応じた警告を発生させる。
【0073】
尚、図14(a)は、送受信機(41,42)が警告装置(31,31a、31b)にそれぞれ内蔵され一体化されたものを示し、図14(b)は、送信機41と受信機42が警告装置31’と別体に形成されて接続されたものを示す。
【0074】
尚、パイプひずみ計本体11に接続した送信機41から送信される信号は、警告発生命令の信号に代えて計測した地盤のひずみの実データ信号とし、受信機42側に接続した解析用の別途計測装置(図示せず)によって解析した上で、スピーカーや表示ランプから警告を発生させても良い。また、パイプひずみ計本体11は、接続する警告装置31からスピーカー32と、黄赤色表示ランプ(33,34)を省略して警告発生命令の信号を送信するだけとし、遠隔側の警告装置(31a,31b)のみから警告を発生させても良い。
【0075】
尚、地盤ひずみの計測データのやりとりは、送受信機(41,42)による無線による送受信を行う代わりに、雄コネクタ36と計測装置39との間を有線の通信ケーブルで接続することによっても可能であり、無線による送受信の代わりインターネット回線を介して行うことも考えられる。この場合もパイプひずみ計本体(11,11’)の埋設位置から離れた位置に警告装置31’を設置することが出来る。
【0076】
以上に示すとおり、本願にかかる貫入型パイプひずみ計は、低コストで様々な場所に簡易に設置できるため、土砂崩壊等の発生するおそれがある危険箇所に手軽に短時間で数多く設置することにより、崩壊の前兆から実際の崩壊に至るまでの地盤の変形現象を計測及び評価出来る。
【0077】
更に、本願にかかる貫入型パイプひずみ計は、土砂崩壊の危険性を地盤監視者や危険地盤周辺に住むより多くの住民等に容易かつ迅速に知らせることが出来るため、土砂崩壊における被害をより確実に回避できる点で意義のある発明となっている。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施例1のパイプひずみ計の外観を表す分解斜視図。
【図2】受圧板を取り付けたパイプひずみ計の一部破断斜視図。
【図3】パイプひずみ計本体の内部構造を表す一部軸方向断面図。
【図4】警告装置31の構成を説明するブロック図。
【図5】本願パイプひずみ計を使用した土砂崩壊実験を説明する写真の図。 (a)実大模型地盤と切土の様子を表す写真の図 (b)本願パイプひずみ計を斜面に埋設した写真の図。 (c)実験結果に基づくクリープ曲線を表すグラフ
【図6】周方向におけるひずみゲージの取付状況を表すパイプひずみ計本体のA−A’断面図。 (a)2枚のひずみゲージを貼付した図。 (b)4枚のひずみゲージを貼付した図。
【図7】パイプひずみ計後端の拡大斜視図。
【図8】工具取付用治具の軸方向断面図。
【図9】電動工具の取付構造を表す分解斜視図。
【図10】貫入型パイプひずみ計の設置状況を表す参考図。 (a)設置前の状況を表す参考図。 (b)受圧板と警告発生器の設置状況を表す参考図。 (c)設置後の状況を表す参考図
【図11】実施例2のパイプひずみ計の外観を表す分解斜視図。
【図12】T字型手動式回動工具21の外観を表す斜視図。
【図13】実施例3の警告装置31’の構成を説明するブロック図。
【図14】警告装置31’の構成を表す一部断面正面図。 (a)送受信機が警告装置にそれぞれ内蔵され一体化されたものの一部断面正面図。 (b)送受信機が警告装置と別体に形成されて接続されたものの一部断面正面図。
【図15】従来技術のパイプひずみ計の埋設状態を表す正面図。
【符号の説明】
【0079】
10 10’ パイプひずみ計
11 11’ パイプひずみ計本体
12 内パイプ
13 外パイプ
13a 13’a 厚肉後端部
13b 工具取付用スリット
19 19’ 受圧板
19a 19’a 受圧部
20 電動回動工具
21 T字型手動式回動工具
31 31’ 警告装置
32 スピーカー(警告発生器・警報装置)
33 黄色表示ランプ(警告発生器・表示装置)
34 赤色表示ランプ(警告発生器・表示装置)
41 送信機
42 受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひずみゲージを取り付けたパイプ部材を地中に埋設することにより、地盤のひずみを計測するパイプひずみ計において、
複数のひずみゲージを外周面に取り付けた内パイプを外パイプに内蔵して一体化した二重円管構造のパイプひずみ計本体と、
前記パイプひずみ計本体の先端部に設けた掘削用スクリューと、
前記パイプひずみ計本体回動用の工具を連結できる、パイプひずみ計本体の後端部に設けた工具取付部と、
を備え、前記パイプひずみ計本体の全長を大人の肩の高さよりも長さが短い短尺状に形成し、
地盤のひずみの計測結果に応じて警告発生器から警告を発生する警告装置を前記パイプひずみ計本体に接続したことを特徴とする貫入型パイプひずみ計。
【請求項2】
前記パイプひずみ計本体の後端部には、周方向等分複数箇所に放射状に延出する板状受圧部を備えた受圧板が取り付けられたことを特徴とする請求項1記載の貫入型パイプひずみ計。
【請求項3】
前記板状受圧部の先端側が、鋭角状に形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の貫入型パイプひずみ計。
【請求項4】
前記工具が、携帯式電動回動工具であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の貫入型パイプひずみ計。
【請求項5】
前記警告装置は、前記警告発生器がパイプひずみ計本体の後端部に直接取り付けられたことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の貫入型パイプひずみ計。
【請求項6】
前記警告装置は、パイプひずみ計本体に接続され、地盤のひずみの計測データに基づく信号を送信する送信機と、
パイプひずみ計本体から分離された状態で前記信号を受信する受信機と、
前記受信機に接続され、前記受信した信号に基づく警告を発生する警告発生器を備えたことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の貫入型パイプひずみ計。
【請求項7】
前記警告発生器は、表示装置または警報装置のうち少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の貫入型パイプひずみ計。
【請求項8】
前記警告発生器は、計測した地盤のひずみが増加するにつれて、段階的に異なる警告を発生することを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の貫入型パイプひずみ計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−31017(P2009−31017A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192559(P2007−192559)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(803000056)財団法人ヒューマンサイエンス振興財団 (341)
【Fターム(参考)】