説明

貫通硬化深さが改善された重合性組成物

【課題】本発明の目的は、大きい貫通硬化深さを有し、上記欠点を有さず、そして特に充分に長い加工時間を有し、そして高温を発生させずに硬化する、材料、特に歯科材料を提供することである。
【解決手段】上記目的は、本発明に従って、重合性結合剤に加えて、以下の式I:R−X−O−O−[Y−O−O−]による少なくとも1種の開始剤を含有する組成物によって達成される。本発明はまた、成形体を製造するためのプロセスであって、上記プロセスにおいて、本明細書に記載の組成物が、フロンタル重合によって硬化させられる、プロセスを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科材料(例えば、プロテーゼ材料、インレー、アンレー、歯冠またはブリッジのための材料、および充填剤)として特に適切な重合性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の重合機構が、歯科材料などの重合性材料を硬化させるために使用されている。(メタ)アクリレートベースの材料については、硬化は、ラジカル重合を介して起こり、ラジカル重合において、ラジカル形成、および従って、硬化は、熱的に、化学的に、または光によって、開始され得る。熱硬化は、主にプロテーゼ材料について使用されるが、口腔条件下での硬化については考慮されない。化学開始のために使用されるレドックス開始剤系は、少なくとも2つの成分(通常、過酸化物および還元剤)からなる。過酸化物と還元剤との高い反応速度に起因して、これらの2つの成分は、歯科材料の硬化のほんの少し前に合わせられ得、そしてほんの短い加工時間が利用可能である。さらに、高度に充填された充填用コンポジットの場合には特に、いわゆる開始剤ペーストを促進剤ペーストと、気泡を導入することなく混合することが辛うじて可能であるのみであり、その結果、この目的で、主として光開始剤が使用される。さらなる欠点は、開始剤として使用される過酸化物の乏しい貯蔵安定性である。光硬化性歯科材料の主要な欠点は、その制限された貫通硬化(through−curing)深さ(特に、着色されたコンポジットにおいて)であり、その結果、これらのコンポジットは層状に硬化させられなければならず、これは、時間を浪費する。
【0003】
いわゆるフロンタル重合(FP)において、反応ゾーンが生成され、この反応ゾーンは、サンプル表面から、反応混合物全体を通って進み、これによって重合生成物を生じる。非特許文献1は、アクリル酸n−ブチルのフロンタル重合を記載し、ここでこの反応は、熱によって表面から開始する。この表面層の重合中に生成する反応熱が、隣接する層の重合を誘発し、これによって重合前端が形成され、この重合前端は、1分あたり約1cmの速度で、重合混合物を通って進む。290℃までの温度が、この反応ゾーンにおいて達成される。この高い温度は、モノマーの蒸発、従って膨れをもたらし得るので、この反応は、15×10Paより高い圧力下で行われる。
【0004】
非特許文献2によれば、高い温度は、開始剤の分解(「開始剤バーンアウト」)をもたらし得、従って、重合前端を停止させ得る。
【0005】
非特許文献3は、多官能性(メタ)アクリレートのUV光により誘導されるフロンタル重合を開示する。その重合前端において、200℃を超える温度が測定され、この温度は、口腔内歯科用途のために適切ではない。
【0006】
特許文献1は、ガラス繊維または他の物体をコーティングするために適切であることが意図された、フロンタル重合により硬化可能な組成物を開示する。
【0007】
特許文献2および特許文献3は、熱で開始されるフロンタル重合によるポリマー勾配材料(polymeric gradient material)の生成を開示する。
【0008】
ボアホール内でタイバーおよび強化用鉄を固定するために特に適切であることが意図された、フロンタル重合により硬化可能なモルタルが、特許文献4から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,222,835号明細書
【特許文献2】米国特許第6,057,406号明細書
【特許文献3】米国特許第6,313,237号明細書
【特許文献4】米国特許第6,533,503号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】A.Khan,J.A.Pojman,Trends in Polymer Science,4(1996)253−257
【非特許文献2】WashingtonおよびSteinbock,Polymer News,2003,第28巻,303−310
【非特許文献3】Nasonら,Macromolecules 38(2005)5506−5512
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、大きい貫通硬化深さを有し、上記欠点を有さず、そして特に充分に長い加工時間を有し、そして高温を発生させずに硬化する、材料、特に歯科材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
重合性組成物であって、該重合性組成物は、
(i)以下の式I:
−X−O−O−[Y−O−O−] (式I)
による開始剤であって、式Iにおいて、
は、H、または直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C20基、芳香族C〜C14基、または1つのこのような脂肪族基と1つのこのような芳香族基との組み合わせであるか、あるいはRについて与えられる意味のうちの1つを有し、該直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C20基は、1つ以上の多重結合、ならびに/またはO、Sおよび−NR−から選択される1つ以上のヘテロ原子を含み得;
は、H、フェニルまたはC〜Cアルキルであり;
Xは、−CO−であるか、または存在せず;
は、−CO−M、−SO−Mまたは−P(=O)(−M)(−R)であり;
は、R’、−OR’または−OO(CO)R’であり、ここでR’は、H、または直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C20基、芳香族C〜C14基、またはこのような脂肪族基とこのような芳香族基との組み合わせであり、該直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C20基は、1つ以上の多重結合ならびに/またはO、SおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み得、そしてmは0または1であり;
Mは、−CH=CHまたは−C(R)=CHであり;
は、C〜C10アルキル基またはC〜Cシクロアルキル基、フェニル基またはベンジル基、あるいは−F、−Clまたは−Brであり、該C〜C10アルキル基または該C〜Cシクロアルキル基は、1つ以上のS原子またはO原子を含み得、該C〜C10アルキル基、C〜Cシクロアルキル基、フェニル基またはベンジル基は、ハロゲン化され得;
Yは、二価の直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C基であり;そして
nは、0、1、または2である、
開始剤、ならびに
(ii)重合性結合剤、
を含有することを特徴とする、組成物。
(項目2)
式Iの可変物のうちの少なくとも1つが、以下の意味:
が、H、または直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C基、芳香族C〜C10基、または1つのこのような脂肪族基と1つのこのような芳香族基との組み合わせであるか、あるいはRについて与えられる意味のうちの1つを有し、該直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C基は、多重結合ならびに/またはOおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み得る;
Xが、−CO−であるか、または存在しない;
が、−CO−M、−SO−Mまたは−P(=O)(−M)(−R)である;
が、R’、−OR’または−OO(CO)R’であり、ここでR’は、H、または直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C基、芳香族C〜C10基、または1つのこのような脂肪族基と1つのこのような芳香族基との組み合わせであり、そしてmは0または1である;
Mが、−CH=CHまたは−C(R)=CHである;
が、C〜Cアルキル基、−F、−Cl、−Br、−CFまたはフェニル基である;
Yが、二価の直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C基である;ならびに
nが、0、1または2である、
のうちの1つを有する、上記項目に記載の組成物。
(項目3)
単官能性もしくは多官能性の(メタ)アクリレート、N−一置換もしくはN−二置換の(メタ)アクリルアミド、またはこれらの混合物から選択されるラジカル重合性結合剤を含有する、上記項目のうちのいずれか1項に記載の組成物。
(項目4)
前記結合剤として、単官能性および/または多官能性のメルカプト化合物と、二官能性および/または多官能性の不飽和モノマーとの混合物(チオール−エン樹脂)を含有する、上記項目のうちのいずれか1項に記載の組成物。
(項目5)
少なくとも1種の光開始剤をさらに含有する、上記項目のうちのいずれか1項に記載の組成物。
(項目6)
少なくとも1種の安定剤をさらに含有する、上記項目のうちのいずれか1項に記載の組成物。
(項目7)
充填剤をさらに含有する、上記項目のうちのいずれか1項に記載の組成物。
(項目8)
溶媒、矯味矯臭剤、色素、微生物致死活性成分、フッ化物イオン放出添加剤、光学光沢剤、可塑剤またはUV吸収剤から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含有する、上記項目のうちのいずれか1項に記載の組成物。
(項目9)
それぞれ前記組成物の全質量に対して、
(a)0.1重量%〜10重量%の式Iによる開始剤、
(b)0.01重量%〜10重量%の光開始剤、
(c)10重量%〜99重量%の重合性結合剤、
(d)0重量%〜85重量%の充填剤、
(e)0重量%〜30重量%の添加剤、
を含有する、上記項目のうちのいずれか1項に記載の組成物。
(項目10)
結合剤としてのアクリレートおよび0.2重量%〜5重量%の式(I)の開始剤、または
結合剤としてのアクリルアミドおよび0.2重量%〜5重量%の式(I)の開始剤、または
結合剤としてのメタクリレートおよび1重量%〜10重量%の式(I)の開始剤、または
結合剤としてのチオール−エン樹脂および1重量%〜10重量%の式(I)の開始剤、
を含有する、上記項目のうちのいずれか1項に記載の組成物。
(項目11)
歯科材料として使用するための、上記項目のうちのいずれか1項に記載の組成物。
(項目12)
成形体を製造するためのプロセスであって、該プロセスにおいて、上記項目のうちのいずれか1項に記載の組成物が、フロンタル重合によって硬化させられる、プロセス。
(項目13)
歯科材料を製造するための、フロンタル重合によって硬化可能な組成物。
(項目14)
歯科材料を硬化させるためのフロンタル重合の使用。
(項目15)
フロンタル重合の開始剤として使用するための組成物であって、式(I)の化合物を含有する、組成物。
(項目16)
歯科材料を製造するための、フロンタル重合によって硬化可能な組成物の使用。
(項目17)
フロンタル重合の開始剤としての、式(I)の化合物の使用。
【0013】
(摘要)
重合性結合剤および以下の式Iによる開始剤:
−X−O−O−[Y−O−O−] (式I)
を含有する組成物であって、式Iにおいて、Rは、H、または直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C20基(1つ以上の多重結合ならびに/またはO、Sおよび−NR−から選択される1つ以上のヘテロ原子を含み得る)、芳香族C〜C14基、または1つのこのような脂肪族基と1つのこのような芳香族基との組み合わせであるか、あるいはRについて与えられる意味のうちの1つを有し;Rは、H、フェニルまたはC〜Cアルキルであり;Xは、−CO−であるか、または存在せず;Rは、−CO−M、−SO−Mまたは−P(=O)(−M)(−R)であり;Rは、R’、−OR’または−OO(CO)R’であり、ここでR’は、H、または直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C20基(1つ以上の多重結合ならびに/またはO、SおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み得る)、芳香族C〜C14基、または1つのこのような脂肪族基と1つのこのような芳香族基との組み合わせであり、そしてmは0または1であり;Mは、−CH=CHまたは−C(R)=CHであり;Rは、C〜C10アルキル基またはC〜Cシクロアルキル基(これらの基は、1つ以上のS原子またはO原子を含み得る)、フェニル基またはベンジル基(これらのC〜C10アルキル基、C〜Cシクロアルキル基、フェニル基またはベンジル基は、ハロゲン化され得る)、−F、−Clあるいは−Brであり;Yは、二価の直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C基であり;そしてnは、0、1または2である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、大きい貫通硬化深さを有し、上記欠点を有さず、そして特に充分に長い加工時間を有し、そして高温を発生させずに硬化する、材料、特に歯科材料を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記目的は、本発明に従って、重合性結合剤に加えて、以下の式I:
−X−O−O−[Y−O−O−] 式I
による少なくとも1種の開始剤を含有する組成物によって達成され、式Iにおいて、
は、H、または直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C20基(1つ以上の多重結合ならびに/またはO、Sおよび−NR−から選択される1つ以上のヘテロ原子を含み得る)、芳香族C〜C14基、または1つのこのような脂肪族基と1つのこのような芳香族基との組み合わせであるか、あるいはRについて与えられる意味のうちの1つを有し;
は、H、フェニルまたはC〜Cアルキルであり;
Xは、−CO−であるか、または存在せず;
は、−CO−M、−SO−Mまたは−P(=O)(−M)(−R)であり;
は、R’、−OR’または−OO(CO)R’であり、ここでR’は、H、または直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C20基(1つ以上の多重結合ならびに/またはO、SおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み得る)、芳香族C〜C14基、または1つのこのような脂肪族基と1つのこのような芳香族基との組み合わせであり、そしてmは0または1であり;
Mは、−CH=CHまたは−C(R)=CHであり;
は、C〜C10アルキル基またはC〜Cシクロアルキル基(これらの基は、1つ以上のS原子またはO原子を含み得る)、フェニル基またはベンジル基(これらのC〜C10アルキル基、C〜Cシクロアルキル基、フェニル基またはベンジル基は、ハロゲン化され得、特に、フッ素化またはパーフルオロ化され得る)、−F、−Clまたは−Brであり;
Yは、二価の直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C基であり;そして
nは、0、1または2である。
【0016】
式Iは、化学原子価論に合う化合物のみを包含する。
【0017】
好ましいものは、上記可変物のうちの少なくとも1つが以下の意味:
が、H、または直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C基(多重結合ならびに/またはOおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み得る)、芳香族C〜C10基、または1つのこのような脂肪族基と1つのこのような芳香族基との組み合わせであるか、あるいはRについて与えられる意味のうちの1つを有し、好ましくは、分枝鎖脂肪族C〜C基またはクミル基である;
Xが、−CO−であるかまたは存在せず、好ましくは存在しない;
が、−CO−M、−SO−Mまたは−P(=O)(−M)(−R)であり、好ましくは、−CO−Mまたは−P(=O)(−M)(−R)である;
が、R’、−OR’または−OO(CO)R’であり、ここでR’は、H、または直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C基、芳香族C〜C10基、または1つのこのような脂肪族基と1つのこのような芳香族基との組み合わせであり、そしてmは0または1であり、好ましくは、RがR’またはOR’であり、ここでR’は、直鎖または分枝鎖のC〜C基である;
Mが、−CH=CHまたは−C(R)=CHであり、特に−CH=CHである;
が、C〜Cアルキル基、−F、−Cl、−Br、−CFまたはフェニル基であり、好ましくは、−CH、−CFまたはFである;
Yが、二価の直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C基であり、好ましくは分枝鎖C〜C基である;ならびに
nが、0、1または2であり、好ましくは0または1である、
のうちの1つを有する、式Iによる化合物である。
【0018】
式(I)の化合物は、重合性過酸化物開始剤である。これらの化合物は、重合するときにラジカルの付加によって、過酸化物種を生成し、この過酸化物種は、より低い温度で分解し、これによって、重合前端温度を低下させることを可能にすると仮定される。ここで、この手順は、ラジカルにより誘導される不安定化と呼ばれる。この不安定化は、おそらく、枝分れ度の増加に起因する。基Mの二重結合へのラジカルの付加により、ラジカルが形成され、このラジカルは、さらなるモノマー分子を付加させ得、これによって、CO基に隣接するC原子における枝分れ度を増加させる。例えば、過アクリル酸tert−ブチルの二重結合へのラジカル「・R」の付加中、および形成されたラジカルへのモノマー分子「ビニル−Z」のさらなる付加中に、より強く分枝した種が形成され(破線の枠内の構造を参照のこと)、この種は、イソ酪酸−tert−ブチルエステルの構造と類似である:
【0019】
【化1】

この種は、使用される過アクリル酸tert−ブチルと比較して増加した枝分れ度に起因して、より容易に熱で分離し、これによって、重合前端の温度の低下を可能にする。本発明による組成物は、式Iの開始剤を含有し、従って、比較的低い前端温度でフロンタル重合により硬化し得ることを特徴とする。このことは、モノマーの沸騰および従って膨れ(これらは、不均質性および不安定性をもたらし得る)が回避されるという利点を有する。重合中に大気圧を超える圧力を加えることが、必要とされない。さらに、低い重合前端温度の結果として、開始剤の分解が回避され、そして安定な重合前端が達成される。
【0020】
式Iによる開始剤は、比較的容易に手に入れられる。これらの開始剤の合成は、例えば、公知のヒドロペルオキシドと不飽和酸ハロゲン化物との反応によって、行われ得る。
一般:
【0021】
【化2】

具体例:
【0022】
【化3】

ペル化合物(per compound)として過酸化水素から出発して、対称的な構造を有する開始剤が得られ得る:
具体例:
【0023】
【化4】

式Iによる本発明による開始剤の好ましい例は、特に、以下のものである:
【0024】
【化5】

【0025】
【化6】

【0026】
【化7】

本発明による組成物は、歯科材料として使用するため、または歯科材料を製造するために、特に適切である。この目的で、本発明による組成物は、重合性結合剤を含有し、この重合性結合剤は、好ましくは、重付加樹脂から選択され、そして特に好ましくは、ラジカル重合樹脂から選択される。この重合性結合剤はまた、以下でポリ反応樹脂とも呼ばれ、ここでポリ反応とは、重合および重付加についての一般的な用語である。
【0027】
1つ以上のポリ反応性基を含む低分子量モノマーまたはオリゴマーモノマーの混合物から一般的になる、公知の重合樹脂および重付加樹脂が、ポリ反応樹脂として使用され得る。ラジカル重合性樹脂は、重合樹脂の場合に特に考慮に入れられる。重付加樹脂の場合、チオール−エン樹脂がとりわけ適切である。重合樹脂および重付加樹脂の両方の場合において、架橋性ポリ反応樹脂の使用が好ましい。
【0028】
結合剤としてのラジカル重合性樹脂の使用は、本発明によれば特に好ましい。非常に特に好ましいものは、ラジカル重合性結合剤として、単官能性もしくは多官能性の(メタ)アクリレート、N−一置換もしくはN−二置換の(メタ)アクリルアミド、またはこれらの混合物を含有する組成物である。さらに、少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも60重量%、そして特に、少なくとも70重量%(すなわち、70重量%〜100重量%)の多官能性(メタ)アクリレートおよび/または多官能性(メタ)アクリルアミドを含有するようなラジカル重合性結合剤が好ましく、ここで百分率は、重合性結合剤の質量に対してである。単官能性の(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミドとは、1つの(メタ)アクリレート基または(メタ)アクリルアミド基を有する化合物を意味し、多官能性の(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミドとは、2つ以上、好ましくは2個〜4個の(メタ)アクリレート基または(メタ)アクリルアミド基を有する化合物を意味する。多官能性モノマーはまた、架橋モノマーとも呼ばれる。
【0029】
好ましい単官能性(メタ)アクリレートおよび多官能性(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシプロピルエステル、ブチルエステル、ベンジルエステル、2−フェノキシエチルエステル、グリシジルエステル、テトラヒドロフルフリルエステル、またはイソボルニルエステル;ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、ビス−GMA(2molのメタクリル酸と1molのビスフェノール−A−グリシジルエーテルとの付加生成物)、2molの(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシアルキルと1molのジイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートまたは2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート)との付加生成物;ジ(メタ)アクリル酸のジエチレングリコールエステル、トリエチレングリコールエステルまたはテトラエチレングリコールエステル;(メタ)アクリレート末端を有するポリ(エチレングリコール)およびポリ(プロピレングリコール);トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリトリトール;ならびにジ(メタ)アクリル酸グリセロールおよびトリ(メタ)アクリル酸グリセロール;ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,10−デカンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,12−ドデカンジオールおよびモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリル酸ジペンタエリトリトールである。さらに、エトキシ化モノマー(例えば、エトキシ化ビス−GMAまたはエトキシ化トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン)もまた適切である。アクリレート類は、対応するメタクリレート類と比較して、より高い反応性を示し、このことは、より速い重合前端により示される。さらに適切なラジカル重合性モノマーは、N−一置換またはN−二置換の(メタ)アクリルアミド(例えば、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−エチルメタクリルアミドまたはN−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド)である。さらに、ビニル基含有モノマーまたはアリル基含有モノマー(例えば、N−ビニルピロリドンまたはアリルエーテル)が、ラジカル重合性結合剤として使用され得る。対応する架橋モノマー(例えば、架橋性ピロリドン(例えば、1,6−ビス(3−ビニル−2−ピロリジニル)−ヘキサン)、または市販のビスアクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、エチレンビスメタクリルアミド(例えば、N,N’−ジエチル−1,3−ビス(アクリルアミド)−プロパン、1,3−ビス(メタクリルアミド)−プロパン、1,4−ビス(アクリルアミド)−ブタンまたは1,4−ビス−(アクリロイル)−ピペラジン))が、さらに使用され得る。
【0030】
本発明のさらなる実施形態によれば、結合剤として重付加樹脂を使用する組成物が好ましい。二官能性もしくは多官能性のメルカプト化合物と、二官能性もしくは多官能性の不飽和モノマー(特に、アリル化合物もしくはノルボルネン化合物)との混合物からなるチオール−エン樹脂が、重付加樹脂として特に好ましい。「二官能性もしくは多官能性」とは、それぞれの化合物が、2つ以上、好ましくは2個、3個または4個の反応性のアリル基、ノルボルネニル基またはメルカプト基を含むことを意味する。ここでまた、少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも60重量%、そして特に、少なくとも70重量%(すなわち、70重量%〜100重量%)の多官能性化合物を含有するような結合剤が好ましく、ここで百分率は、重合性結合剤の質量に対してである。
【0031】
単官能性もしくは多官能性のメルカプト化合物の例は、o−ジメルカプトベンゼン、m−ジメルカプトベンゼンもしくはp−ジメルカプトベンゼン、およびチオグリコールのエステル、または3−メルカプトプロピオン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパンもしくはペンタエリトリトールとのエステルである。二官能性もしくは多官能性のアリル化合物の例は、アリルアルコールとジカルボン酸またはトリカルボン酸(マロン酸、マレイン酸、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、または没食子酸)とのエステル、ならびに単官能性もしくは三官能性のアリルエーテル(例えば、ジアリルエーテル、α,ω−ビス[アリルオキシ]アルカン、レゾルシノールジアリルエーテルまたはヒドロキノンジアリルエーテル)、ならびにピロガロールトリアリルエーテル、または他の化合物(例えば、1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、テトラアリルシランもしくはテトラアリルオルトシリケート)である。二官能性もしくは多官能性のノルボルネン化合物の例は、シクロペンタジエンまたはフランと二官能性もしくは多官能性の(メタ)アクリレートとのディールス−アルダー付加生成物、ならびに5−ノルボルネン−2−メタノールもしくは5−ノルボルネン−2−オールとジカルボン酸もしくはポリカルボン酸(例えば、マロン酸、マレイン酸、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸もしくは没食子酸)、またはジイソシアネートもしくはポリイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはその環状三量体である2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアン酸トルイレンもしくはジイソシアン酸イソホロン)とのエステルおよびウレタンである。
【0032】
さらに、二官能性もしくは多官能性のアルキンが、チオール成分と反応し得る(チオール−エン樹脂)。
【0033】
式Iの開始剤に加えて、本発明による歯科材料は、好ましくは、ラジカル重合および/または重付加のための少なくとも1種のさらなる開始剤を含有する。熱開始剤および特に光開始剤は、ラジカル重合のための開始剤として好ましい。特に好ましい実施形態によれば、本発明は、従って、式(I)の開始剤に加えて、ラジカル重合性結合剤およびラジカル重合のための光開始剤を含有する組成物に関する。
【0034】
特に、有機ペル化合物およびアゾ化合物が、熱開始剤として使用され得る。ヒドロペルオキシド(例えば、クメンヒドロペルオキシドまたはtert−ブチルヒドロペルオキシド)、ジアルキルペルオキシド(例えば、ジ−tert−ブチルペルオキシドまたはジクメンペルオキシド)、ジペルオキシケタール(例えば、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンまたはメチルエチルケトンペルオキシド)、過酸エステル(例えば、ペルオキシ酢酸tert−アミル、過ピバル酸tert−ブチル、tert−ブチルペル−2−エチルヘキサノエートまたは過イソ酪酸tert−ブチル)、ジアシルペルオキシド(例えば、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジイソブチリル、過酸化ジオクタノニル、または過酸化ジラウロイル)、およびペルオキシジカーボネート(例えば、ペルオキシジ炭酸ジイソプロピル、ペルオキシジ炭酸ジ−n−ブチルまたはペルオキシジ炭酸ジシクロヘキシル)が、有機ペル化合物として適切である。適切なアゾ化合物の例は、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)またはアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)である。
【0035】
気体を形成するペル化合物(例えば、ニトリルおよびペルオキシド)の量は、好ましくは、2重量%未満、特に好ましくは、1重量%未満である。アゾ化合物は、好ましくは、1重量%未満、特に好ましくは、0.5重量%未満の量で使用される。熱分解の際に気体を形成しないペル化合物(例えば、パースルフェート)は、5重量%までの量で使用され得る。全ての百分率は、材料の全体の質量に対してである。
【0036】
ラジカル重合性樹脂およびチオール−エン重付加樹脂をベースとする組成物のために好ましい光開始剤は、公知のNorrish I型ラジカルUV光開始剤であり(J.P.Fouassier,Photoinitiation,Photopolymerization and Photocuring,Hanser Publishers,Munich,Vienna,New York 1995,22以下を参照のこと)、例えば、ベンジルケタール、ベンゾインエーテル、メチルチオフェニルモルホリノケトン、ジアルコキシアセトフェノン、ヒドロキシアルキルフェニルアセトフェノン、アミノケトンまたはアシルホスフィンオキシドである。適切なNorrish II型二分子UV光開始剤は、ベンゾフェノン/アミンの系、ミヒラーのケトン/ベンゾフェノンの系、およびチオキサントン/アミンの系である(J.P.Fouassier,J.F.Rabek(編者),Radiation Curing in Polymer Science and Technology,第III巻,Elsevier Applied Science,London and New York 1993,189以下を参照のこと)。可視領域のために適切な光開始剤(J.P.Fouassier,J.F.Rabek(編者),Radiation Curing in Polymer Science and Technology,第III巻,Elsevier Applied Science,London and New York 1993,228以下を参照のこと)は、例えば、ビスアシルホスフィンオキシドであるが、とりわけ、α−ジケトン(例えば、9,10−フェナントレンキノン、ジアセチル、フリル、アニシル、4,4’−ジクロロベンジルおよび4,4’−ジアルコキシベンジルであり、特に、ショウノウキノン)である。α−ジケトンによる開始を促進するために、芳香族アミンとの組み合わせが、好ましくは使用される。有用であることがすでに示されているレドックス系は、ショウノウキノンとアミン(例えば、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルまたは構造的に関連する系)との組み合わせである。Norrish I型光開始剤(とりわけ、モノアシルトリアルキルゲルマニウム化合物またはジアシルジアルキルゲルマニウム化合物(例えば、ベンゾイルトリメチルゲルマニウム、ジベンゾイルジエチルゲルマニウムもしくはビス(4−メトキシベンゾイル)ジエチルゲルマニウム))が、特に適切である。異なる光開始剤の混合物(例えば、ショウノウキノンおよび4−ジメチルアミノエチルベンゾエートと組み合わせたジベンゾイルジエチルゲルマニウム)もまた使用され得る。
【0037】
尚早なポリ反応を防止するために、本発明による組成物は、好ましくは、1種以上の重合抑制剤または重付加抑制剤を安定剤として含有し、これらの抑制剤は、約2年〜3年にわたる材料の貯蔵安定性を可能にし、そして制御されないポリ反応を防止し得る。フェノール(例えば、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)または2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル−フェノール(BHT))(これらは、酸素の存在下でのみ有効であり、そして好ましくは、200ppm〜2000ppmの濃度範囲で使用される)が、ラジカル反応樹脂およびチオール−エン樹脂のためのいわゆる好気性抑制剤として使用される。他方で、嫌気性抑制剤(例えば、フェノチアジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル(TEMPO)、ヨウ素、ヨウ化銅(I))は、酸素の非存在下でさえも、非常に低い濃度(10ppm〜50ppm)で有効である。重合は、これらの添加剤が消費されるときにのみ起こる。好気性抑制剤と嫌気性抑制剤との混合物を使用することもまた、しばしば有利である。
【0038】
さらに、ポリ反応樹脂はまた、好ましくは、ラジカル重合可能な酸基含有接着性モノマーを含有する。適切な酸基含有モノマーは、重合可能なカルボン酸(例えば、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリト酸無水物、10−メタクリロイルオキシデシルマロン酸、N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)−N−フェニルグリシンおよび4−ビニル安息香酸)である。適切なホスホン酸モノマーの例は、ビニルホスホン酸、4−ビニルフェニルホスホン酸、4−ビニルベンジルホスホン酸、2−メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、2−メタクリルアミドエチルホスホン酸、4−メタクリルアミド−4−メチル−ペンチル−ホスホン酸、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)−2−オキサ−ブチル]−アクリル酸、または2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)−2−オキサ−ブチル]−アクリルのエチルエステルもしくは2,4,6−トリメチルフェニルエステルである。適切な酸性の重合可能なリン酸エステルの例は、2−メタクリロイルオキシプロピルのリン酸一水素エステルもしくはリン酸二水素エステル、2−メタクリロイルオキシエチルのリン酸一水素エステルもしくはリン酸二水素エステル、リン酸水素2−メタクリロイルオキシエチルフェニル、ジペンタエリトリトール−ペンタメタクリロイルオキシホスフェート、10−メタクリロイルオキシデシル−リン酸二水素、リン酸モノ−(1−アクリロイル−ピペリジン−4−イル)−エステル、リン酸二水素6−(メタクリルアミド)ヘキシル、および1,3−ビス−(N−アクリロイル−N−プロピル−アミノ)−プロパン−2−イル−リン酸二水素である。適切な重合可能なスルホン酸の例は、ビニルスルホン酸、4−ビニルフェニルスルホン酸または3−(メタクリルアミド)プロピルスルホン酸である。
【0039】
列挙された酸モノマーは、ラジカル重合可能であり、従って、ラジカル重合性結合剤と組み合わせるために特に適切である。好ましいモノマーは、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリト酸無水物、10−メタクリロイルオキシデシルマロン酸、2−メタクリルアミドエチルホスホン酸、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)−2−オキサ−ブチル]−アクリル酸のエチルエステルもしくは2,4,6−トリメチルフェニルエステル、10−メタクリロイルオキシデシル−リン酸二水素、リン酸二水素6−(メタクリルアミド)ヘキシル、または1,3−ビス−(N−アクリロイル−N−プロピル−アミノ)−プロパン−2−イル−リン酸二水素である。酸モノマー、および特に、好ましい酸モノマーは、好ましくは、歯科材料の全質量に対して、0重量%〜20重量%、特に好ましくは、1重量%〜10重量%の量で使用される。
【0040】
さらに、本発明による組成物は、機械特性を改善するため、または粘度を調節するために、例えば、有機粒子または無機粒子で充填され得る。これらの充填剤は、好ましくは、0.01μm〜10μm、特に好ましくは0.02μm〜5μmの平均粒径を有する。好ましい無機粒子充填剤は、酸化物をベースとする非晶質球状材料(例えば、発熱性シリカまたは沈降シリカ、ZrOおよびTiO、あるいはSiO、ZrOおよび/もしくはTiOの混合酸化物であり、10nm〜200nmの平均粒径を有する)、ミニ充填剤(例えば、石英、ガラスセラミックまたはガラス粉末であり、0.01μm〜1μmの平均粒径を有する)、ならびにX線非透過性充填剤(例えば、三フッ化イッテルビウムまたはナノ粒子状の酸化タンタル(V)もしくは硫酸バリウムであり、好ましくは、10nm〜200nmの平均粒径を有する)である。
【0041】
さらに、本発明に従って使用される組成物は、さらなる添加剤(特に、溶媒または対応する溶媒混合物、および矯味矯臭剤、色素、微生物致死活性成分、フッ化物イオン放出添加剤、光学光沢剤、可塑剤あるいはUV吸収剤)を含有し得る。
【0042】
歯科材料として使用するために特に好ましい、本発明による組成物は、以下の成分:
a) 0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.2重量%〜8重量%、そして特に好ましくは0.5重量%〜5重量%の式Iによる開始剤;
b) 0.01重量%〜10重量%、特に好ましくは0.1重量%〜3.0重量%の1種以上の熱開始剤および/または光開始剤(好ましくは、光開始剤)、
c) 10重量%〜99重量%、好ましくは20重量%〜99重量%、そして特に好ましくは25重量%〜98重量%の結合剤、
d) 0重量%〜85重量%、特に好ましくは0重量%〜75重量%、非常に特に好ましくは0重量%〜60重量%、そして特に0重量%〜40重量%の1種以上の充填剤、
e) 0重量%〜30重量%、特に好ましくは0重量%〜20重量%、そして非常に特に好ましくは0重量%〜10重量%の安定剤および/または添加剤
を含有する。
【0043】
ラジカル重合可能なモノマーと重付加樹脂との異なる反応性に起因して、式(I)による開始剤は、使用される結合剤に依存して、以下の量:
アクリレート: 0.2重量%〜5重量%、特に好ましくは0.5重量%〜2重量%;
アクリルアミド: 0.2重量%〜5重量%、特に好ましくは0.5重量%〜2重量%;
メタクリレート: 1重量%〜10重量%、特に好ましくは2重量%〜5重量%,
チオール−エン樹脂: 1重量%〜10重量%、特に好ましくは2重量%〜5重量%
で好ましくは使用される。
【0044】
全ての重量%は、他に記載されない場合、組成物の全体の質量に対してである。単一成分の組成物が、本発明によれば好ましい。
【0045】
式(I)の開始剤、および必要に応じて、さらなる熱開始剤の量もまた、充填剤、溶媒および他の非反応性成分の量と共に変化する。非反応性成分の割合が大きい場合、高い開始剤量がより選択されやすく、一方で、非反応性成分の割合が小さい場合、より低い量の開始剤が、これらの材料の貫通硬化を起こすために充分である。
【0046】
本発明による組成物は、式(I)の開始剤がフロンタル重合によって低い前端温度で硬化され得、その結果、高温に関連する問題が回避される点で、1種以上の式(I)の開始剤の含有に起因して、特徴付けられる。式(I)の開始剤の量は、好ましくは、前端温度が40℃〜100℃、好ましくは50℃〜80℃になるように、選択される。
【0047】
本発明による組成物は、歯科材料として、特に、プロテーゼプラスチック、セメント、コンポジット、コンポジットセメントまたは充填用コンポジット、前装材料およびインレー材料として、特に適切である。
【0048】
本発明はまた、歯科用成形体または非歯科用成形体を製造するためのプロセスに関する。この目的で、本発明による組成物は最初に、例えば適切な鋳型への導入によって、所望の形状に形成され、次いで、好ましくはフロンタル重合されて、貫通硬化される。例えば、今日の最近のプロテーゼプラスチックは、しばしば、光硬化性材料であり、これらの材料は、それらの層の厚さに起因して、特定の貫通硬化の問題を示す。このようなプロテーゼは成型後に、例えば、いわゆる光炉内で硬化される。すなわち、これらのプロテーゼは、適切な波長の光を照射され、これによって重合反応が誘発される。ここで、本発明による歯科材料は、有利に使用され得る。なぜなら、貫通硬化深さがフロンタル重合の使用によって改善され得るからである。
【0049】
本発明のさらなる主題は、フロンタル重合の際、特に、上で規定したラジカル重合性結合剤ベースの組成物のフロンタル重合の際に、前端温度を低下させるため、および/または貫通硬化深さを改善するための式(I)の開始剤の使用である。上で規定した式(I)の化合物の、フロンタル重合のための開始剤としての使用は、同様に、本発明の主題である。
【0050】
本発明はまた、フロンタル重合によって硬化可能な組成物の、歯科材料として、または歯科材料を製造するための使用に関する。ラジカル重合性組成物の使用が好ましい。これらの組成物は、好ましくは、上記成分を、特に規定された量で含有する。
【0051】
歯科用途に加えて、本発明による組成物はまた、非歯科用途のために適切である。ここで、これらは、特に産業用途(例えば、コイルおよびプリント回路基板のためのシーリング材料、キャスティング化合物およびシーリング化合物、ならびに接着剤);外科用途および医療用途(例えば、電子構成要素を備える医療機器のシーリング);自動車製造における使用(種々の車部品の産業上の包埋およびシーリングが挙げられる);しっかりした信頼性のあるシールが必要とされるエレクトロニクス用途(電子構成要素および電子部品の包埋が挙げられる)で呼ばれ得る。医療分野における使用、およびインビボ硬化性材料(例えば、骨セメント)の製造のために使用もまた、目的である。
【0052】
歯科目的に最適化された、上で規定した組成物は、非歯科用途のために適切である。さらに、一般に全てのラジカル重合性結合剤が、非歯科用組成物のために使用され得る。良い概説は、G.Webster,G.Bradley,C.Lowe,A Compilation of Oligomers and Monomers Commercially Available for UV Today,SITA Technology,London(2001)に与えられている。ここで好ましいものは、第III ii)節、第III iii)節、第III iv)節に記載される化合物である。第I節からのオリゴマー化合物、および第III i)節からのモノアクリレートは、好ましくは、小さい割合のみ(30重量%未満、好ましくは10重量%未満)で使用される。一般に、アクリレートは、メタクリレートより好ましい。特に、充分な重合熱発生を起こすような混合物が好ましい。このことは、例えば、好ましくは、1グラムあたりの二重結合の数を保ち、これによって、発熱活性を可能な限り高く保つ目的で、低い分子量のアクリレートベースのモノマーを採用することにより、達成される。無機材料と有機材料との両方が、充填剤として適切であり、使用される量は、前端温度が適切な範囲未満になるべきではないという事実によって、制限される。
【0053】
非歯科用途のために特に適切なものは、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジアクリル酸ポリエチレングリコール、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、エトキシ化トリアクリル酸トリメチロールプロパン、テトラ酢酸ジトリメチロールプロパンおよびペンタ/ヘキサアクリル酸ジペンタエリトリトールから選択される、多官能性アクリレートである。好ましい実施形態によれば、この多官能性アクリレートは、トリアクリル酸トリメチロールプロパンである。
【0054】
非歯科用組成物は、好ましくは、同様に、光開始剤をさらに含有する。好ましい光開始剤は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,2−ジメトキシ−l,2−ジフェニルエタン−1−オンおよび2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンである。
【0055】
好ましい充填剤は、粘土および炭酸カルシウムである。
【0056】
さらに好ましい非歯科用組成物は、環状脂肪族エポキシドおよびビニルエーテル、ならびにこれらとエポキシポリオレフィンエーテルとの混合物から選択される液体樹脂、少なくとも1種の陽イオン性光開始剤(好ましくは、UV照射または加熱の際にルイス酸を形成する1種以上のヨードニウム塩)、光開始剤のための活性化剤(例えば、α−ヒドロキシケトン)、ならびに式(I)による開始剤を含有する、組成物である。環状脂肪族エポキシドが液体樹脂として使用される場合、その組成物はまた、好ましくは、ヒドロキシル成分を含有し、このヒドロキシル成分は、UV照射の際にエポキシド(例えば、アルキルアルコール)と反応する。これらの組成物は、可塑剤、顔料および色素をさらに含有し得る。
【0057】
低下した前端温度が必要とされない場合、式(I)の開始剤の添加は、省略され得る。すなわち、本発明はまた、ラジカル重合性結合剤ならびにラジカル重合のための開始剤(好ましくは、熱開始剤および/または光開始剤)を含有する組成物の、歯科材料として、または歯科材料を製造するための使用に関する。上で規定した成分は、結合剤および開始剤として特に適切である。さらに、これらの組成物は、充填剤および1種以上の上記のような添加剤を含有し得る。
【0058】
歯科材料を硬化させるためのフロンタル重合の使用は、同様に、本発明の主題である。
【0059】
本発明は、実施例によって、以下でより詳細に説明される。
【実施例】
【0060】
(実施例1:過アクリル酸tert−ブチル(tBPA)の合成)
3.9mmolのtert−ブチルヒドロペルオキシド(70%水溶液として)を丸底フラスコに導入し、そして約3mlのHOに溶解した約10,000ppmのMeHQを抑制剤として添加した。1当量のKOH(50%,水性)をゆっくりと滴下により添加し、次いで12当量のNaClを20%溶液として、氷浴で冷却しながら添加した。0.5時間撹拌し、−5℃〜0℃まで冷却した後に、1.1当量のアクリル酸クロリド(400ppmのフェノチアジンを抑制剤として含有する)を、激しく撹拌しながら非常にゆっくりと滴下により添加し、一定温度でさらに3.5時間撹拌した後に、約15mlの塩化メチレンを添加し、そしてその反応溶液をNaHCO溶液で抽出した。無水NaSOで乾燥させて濾過した後に、約10,000ppmのヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)を抑制剤としてその有機相に再度添加した。その生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl)により精製した。抑制剤が精製の際に分離されたので、さらに1,000ppmのMeHQを添加した。注意深く吸引することにより、主生成物の損失なくその溶媒を除去すると、約200mg(収率33%)の過アクリル酸tert−ブチルが黄色がかった液体として得られた。
【0061】
【化8】

(実施例2:過アクリル酸tert−ブチルの熱安定性)
167μmol/gのペル化合物を含有する、種々のペル化合物のジメタクリル酸ヘキサンジオール(HDDMA)混合物の熱安定性を、DSCを使用して調査した。重合を開始させるために充分なペルオキシドが分解する温度を決定する目的で、200℃への加熱を、1℃/分の加熱速度で行った(表1を参照のこと)。1つのDSCパンあたりの秤量した量は、約15mgであり、Alを含む容器を、「比較サンプル」として使用した。実施例1からの過アクリル酸tert−ブチル(tBPA)に加えて、プロピオン酸(tBPP)およびイソ酪酸−tert−ブチルパーエステル(tBPiB)を、ペル化合物として調査した。純粋なHDDMAの開始温度を同様に決定した。その結果を表1に要約する。
【0062】
表1は、tBPAのHDDMAへの添加が、重合の開始温度を明らかに低下させること(ΔT≒60℃)、すなわち、tBPAが開始剤として活性であることを示す。
【0063】
表1:種々のペル化合物により開始されるHDDMAの重合の開始温度
【0064】
【表1】

*)比較例。
【0065】
これらの結果は、イソ酪酸パーエステルtBPiBについてより低い開始温度をさらに示し、これは、過アクリル酸tBPAにおける重合のモデル物質を表し、そしてラジカルにより誘導される重合により使用される過アクリル酸エステルの不安定化を実証する。分枝が少ないtBPPは、tBPiBより高い開始温度を示す。これらの結果から、tBPAの場合、フロンタル重合は、約80℃の重合前端温度で起こると結論付けられ得る。
【0066】
(実施例3:過アクリル酸tert−ブチルの保存安定性)
過アクリル酸tert−ブチル(tBPA)の保存安定性の評価を可能にするために、光開始剤としての1μmol/gのビス(4−メトキシベンゾイル)ジエチルゲルマニウム、および種々の量のtBPA(約0.1%または1%、それぞれ、4.71mmol/gおよび47.1mmol/gに対応)を含む、N−アクリロイルモルホリン(NAM)の処方物を、43℃で8週間保存し、次いで、この混合物の粘度を測定した。その結果を表2に示す。8週間後、測定精度枠内で同じ粘度が得られた。このことは、室温でのtBPAの良好な保存安定性を実証する。重合は観察されなかった。
【0067】
これらの結果は、過アクリル酸tert−ブチルを含有する樹脂の、室温での高い保存安定性を実証する。
【0068】
表2:NAM中のtBPAの粘度、剪断速度102s−1;保存期間8週間
【0069】
【表2】

(実施例4:樹脂混合物のフロンタル重合(FP))
トリアクリル酸トリメチロールプロパン(TMPTA)と、UV光開始剤(5% Darocur 1173)および種々の量の過アクリル酸tert−ブチル(tBPA)との混合物の照射試験を、密封したパスツールピペット内で、広帯域照射(5秒、320nm〜500nm、光の強度=3W/cm)によって実施した。測定のために注いだ450mgの処方物は、約14mmの充填レベルに対応した。ピペットを下から照射し、そして重合した層の厚さを測定した。その結果を表3に示す。
【0070】
アクリル酸−tert−ブチルエステルを、比較モノマーとして使用した。この比較モノマーは、反応性ペルオキシド基を含まないので、フロンタル重合を誘発しない。重合した層の厚さは、添加剤なしで達成された層の厚さと同じである。1重量%のtBPAの添加は、層の厚さの明らかな増加をもたらした。このことは、ここでフロンタル重合が起こることを実証する。層の厚さを正確に測定するために、試験をより多量の重合性組成物を用いて繰り返した。52mmの層の厚さが測定された。これは、比較例の10倍である。ほんの0.2重量%のtBPAの添加もまた、すでに、層の厚さの明らかな増加(約60%〜70%)をもたらした。
【0071】
表3:TMPTAのFP結果
【0072】
【表3】

*比較例
**モノマー全体が硬化した
***1gの充填量。
【0073】
第2連の試験において、25重量%の充填剤(Aerosil OX−50,Degussa,SiO、一次粒径40nm)もまた含有する混合物を使用した。12mmの硬化した層が、1%のtBPAを用いて得られ、そしてほんの4mm〜5mmの層は、tBPAなしで得られた。
【0074】
これらの結果は、充分な量の過アクリル酸tBPAを含有する樹脂系を用いるフロンタル重合を実証し、充填された系もまた、フロンタル重合をもたらす。例えば、義歯が、このような処方物を用いてフロンタル重合によって製造され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性組成物であって、該重合性組成物は、
(i)以下の式I:
−X−O−O−[Y−O−O−] (式I)
による開始剤であって、式Iにおいて、
は、H、または直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C20基、芳香族C〜C14基、または1つのこのような脂肪族基と1つのこのような芳香族基との組み合わせであるか、あるいはRについて与えられる意味のうちの1つを有し、該直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C20基は、1つ以上の多重結合、ならびに/またはO、Sおよび−NR−から選択される1つ以上のヘテロ原子を含み得;
は、H、フェニルまたはC〜Cアルキルであり;
Xは、−CO−であるか、または存在せず;
は、−CO−M、−SO−Mまたは−P(=O)(−M)(−R)であり;
は、R’、−OR’または−OO(CO)R’であり、ここでR’は、H、または直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C20基、芳香族C〜C14基、またはこのような脂肪族基とこのような芳香族基との組み合わせであり、該直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C20基は、1つ以上の多重結合ならびに/またはO、SおよびNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み得、そしてmは0または1であり;
Mは、−CH=CHまたは−C(R)=CHであり;
は、C〜C10アルキル基またはC〜Cシクロアルキル基、フェニル基またはベンジル基、あるいは−F、−Clまたは−Brであり、該C〜C10アルキル基または該C〜Cシクロアルキル基は、1つ以上のS原子またはO原子を含み得、該C〜C10アルキル基、C〜Cシクロアルキル基、フェニル基またはベンジル基は、ハロゲン化され得;
Yは、二価の直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C基であり;そして
nは、0、1、または2である、
開始剤、ならびに
(ii)重合性結合剤、
を含有することを特徴とする、組成物。
【請求項2】
式Iの可変物のうちの少なくとも1つが、以下の意味:
が、H、または直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C基、芳香族C〜C10基、または1つのこのような脂肪族基と1つのこのような芳香族基との組み合わせであるか、あるいはRについて与えられる意味のうちの1つを有し、該直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C基は、多重結合ならびに/またはOおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み得る;
Xが、−CO−であるか、または存在しない;
が、−CO−M、−SO−Mまたは−P(=O)(−M)(−R)である;
が、R’、−OR’または−OO(CO)R’であり、ここでR’は、H、または直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C基、芳香族C〜C10基、または1つのこのような脂肪族基と1つのこのような芳香族基との組み合わせであり、そしてmは0または1である;
Mが、−CH=CHまたは−C(R)=CHである;
が、C〜Cアルキル基、−F、−Cl、−Br、−CFまたはフェニル基である;
Yが、二価の直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族C〜C基である;ならびに
nが、0、1または2である、
のうちの1つを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
単官能性もしくは多官能性の(メタ)アクリレート、N−一置換もしくはN−二置換の(メタ)アクリルアミド、またはこれらの混合物から選択されるラジカル重合性結合剤を含有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記結合剤として、単官能性および/または多官能性のメルカプト化合物と、二官能性および/または多官能性の不飽和モノマーとの混合物(チオール−エン樹脂)を含有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1種の光開始剤をさらに含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の安定剤をさらに含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
充填剤をさらに含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
溶媒、矯味矯臭剤、色素、微生物致死活性成分、フッ化物イオン放出添加剤、光学光沢剤、可塑剤またはUV吸収剤から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
それぞれ前記組成物の全質量に対して、
(a)0.1重量%〜10重量%の式Iによる開始剤、
(b)0.01重量%〜10重量%の光開始剤、
(c)10重量%〜99重量%の重合性結合剤、
(d)0重量%〜85重量%の充填剤、
(e)0重量%〜30重量%の添加剤、
を含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
結合剤としてのアクリレートおよび0.2重量%〜5重量%の式(I)の開始剤、または
結合剤としてのアクリルアミドおよび0.2重量%〜5重量%の式(I)の開始剤、または
結合剤としてのメタクリレートおよび1重量%〜10重量%の式(I)の開始剤、または
結合剤としてのチオール−エン樹脂および1重量%〜10重量%の式(I)の開始剤、
を含有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
歯科材料として使用するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
成形体を製造するためのプロセスであって、該プロセスにおいて、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物が、フロンタル重合によって硬化させられる、プロセス。
【請求項13】
歯科材料を製造するための、フロンタル重合によって硬化可能な組成物。
【請求項14】
歯科材料を硬化させるためのフロンタル重合の使用。
【請求項15】
フロンタル重合の開始剤として使用するための組成物であって、式(I)の化合物を含有する、組成物。

【公開番号】特開2012−111944(P2012−111944A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246447(P2011−246447)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(501151539)イフォクレール ヴィヴァデント アクチェンゲゼルシャフト (54)
【氏名又は名称原語表記】Ivoclar Vivadent AG
【住所又は居所原語表記】Bendererstr.2 FL−9494 Schaan Liechtenstein
【Fターム(参考)】