説明

貫通配線付き接合基板

【課題】貫通孔内に配した樹脂が熱膨張することによって電極を破損することを防止した貫通配線付き接合基板の提供。
【解決手段】
一面1aに電極層2が形成された第一基板1、及び電極層2と接合樹脂層3を介して、第一基板1と接合された第二基板4とを備えた貫通配線付き接合基板10Aであって、第一基板1の他面1b側から電極層2が露出するまで第一基板1を貫通する貫通孔5と、貫通孔5の内部において、貫通孔5の内側面5c及び電極層2を覆う貫通配線層6と、貫通配線層6を覆い貫通孔5の内部に充填された充填樹脂部7とを有し、充填樹脂部7を構成する樹脂のヤング率は、接合樹脂層3を構成する樹脂のヤング率よりも小さいことを特徴とする貫通配線付き接合基板10A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通配線付き接合基板に関する。より詳しくは、本発明は、貫通配線を有する第一基板に接合樹脂層を介して接着された第二基板を有する貫通配線付き接合基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板の一面に形成された接続電極と、基板の他面から接続電極まで貫通した貫通孔と、貫通孔の内部に形成された貫通電極(貫通配線)と、を有する半導体基板が、接着材を介してガラス板と接合された接合基板が知られている(特許文献1)。この貫通孔の内部には、貫通孔の内壁面に形成された貫通電極層を保護するために、樹脂が充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−200228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1等に開示された従来の接合基板(図6参照)では、貫通孔105の底部において、接続電極102と貫通電極106とが積層してなる接続部にクラックが生じることがあった(図7参照)。そして、このクラックが次第に拡大し、接続電極102と貫通電極106との電気的接続が断たれてしまうことがあった。これは、接合基板に温度変化が生じた場合に、貫通孔105内に充填されている絶縁樹脂107が膨張して、接続電極102と貫通電極106とが積層してなる接続部を変形させることが原因であると推定される。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、貫通孔内に配した樹脂が熱膨張することによって接続電極と貫通電極とが積層してなる接続部を破損することを防止した貫通配線付き接合基板の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の貫通配線付き接合基板は、一面に電極層が形成された第一基板、及び
前記電極層と接合樹脂層を介して、前記第一基板と接合された第二基板とを備えた貫通配線付き接合基板であって、
前記第一基板の他面側から前記電極層が露出するまで前記第一基板を貫通する貫通孔と、
前記貫通孔の内部において、前記貫通孔の内側面及び前記電極層を覆う貫通配線層と、
前記貫通配線層を覆い、前記貫通孔の内部に充填された充填樹脂部とを有し、
前記充填樹脂部を構成する樹脂のヤング率は、前記接合樹脂層を構成する樹脂のヤング率よりも小さいことを特徴とする。
【0007】
本発明の貫通配線付き接合基板によれば、貫通配線付き接合基板の温度上昇に伴って充填樹脂部が膨張したとしても、電極層と貫通配線層とが積層してなる接続部を間に挟んで対向する接合樹脂層が、接続部を支持する。このため、接続部の変形が抑制され、接続部の破損を防止できる。この結果、電極層と貫通配線層との電気的接続の信頼性を高められる。
【0008】
本発明の請求項2に記載の貫通配線付き接合基板は、請求項1において、前記充填樹脂部を構成する樹脂のガラス転移温度が、前記接合樹脂層を構成する樹脂のガラス転移温度以下であることを特徴とする。
この構成によれば、充填樹脂部又は接合樹脂層のガラス転移温度より高い温度においても、「充填樹脂部のヤング率」<「接合樹脂層のヤング率」の関係を確実に維持できる。一般的な樹脂は、そのガラス転移温度を超えた状態ではヤング率が低下する(軟化する)。よって、本発明の貫通配線付き接合基板の温度が上昇する際、接合樹脂層が軟化するよりも前に充填樹脂部が軟化するので、充填樹脂部の膨張による前記接続部の変形および破損を一層確実に防止できる。
【0009】
本発明の請求項3に記載の貫通配線付き接合基板は、請求項1又は2において、前記電極層の前記第二基板側に、パッシベーション層が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、パッシベーション層によって、電極層を保護できると共に電極層の構造的強度を高められるので、前記接続部の変形および破損を一層確実に防止できる。
【0010】
本発明の請求項4に記載の貫通配線付き接合基板は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記電極層が、前記貫通配線層と接続する領域において、薄肉化されていることを特徴とする。
この構成によれば、前記電極層の厚さ方向に前記貫通配線層が入り込んでいるため、前記電極層と前記貫通配線層との機械的な結合が強固となる。したがって、前記接続部の破損を一層確実に防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の貫通配線付き接合基板によれば、貫通孔内に配した樹脂が熱膨張することによって電極を破損することを防止できる。この結果、貫通配線層と電極層との電気的接続の信頼性を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明にかかる貫通配線付き接合基板の第一実施形態の断面を示す模式図である。
【図2】本発明にかかる貫通配線付き接合基板の第一実施形態の断面を示す模式図である。
【図3】本発明にかかる貫通配線付き接合基板の第二実施形態の断面を示す模式図である。
【図4】接合樹脂と充填樹脂のヤング率比に対する応力の関係を示すグラフである。
【図5】本発明にかかる貫通配線付き接合基板の製造方法の一例を示す模式的な断面図である。
【図6】従来の貫通配線付き接合基板の断面を示す模式図である。
【図7】従来の貫通配線付き接合基板において、充填樹脂が熱膨張している様子を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
[貫通配線付き接合基板10A]
図1は本発明にかかる貫通配線付き接合基板の第一実施形態である貫通配線付き接合基板10Aの断面図である。
【0014】
貫通配線付き接合基板10Aは、一面1aに電極層2が形成された第一基板1、及び電極層2と接合樹脂層3を介して、第一基板1と接合された第二基板4とを備えている。
さらに貫通配線付き接合基板10Aは、第一基板1の他面1b側から電極層2が露出するまで第一基板1を貫通する貫通孔5と、貫通孔5の内部において、貫通孔5の内側面5c及び電極層2を覆う貫通配線層6と、貫通配線層6を覆い貫通孔5の内部に充填された充填樹脂部7とを有している。
また、貫通配線付き接合基板10Aにおいて、充填樹脂部7を構成する樹脂のヤング率E1は、接合樹脂層3を構成する樹脂のヤング率E2よりも小さい。
【0015】
第一基板1の材料は特に制限されず、公知の配線基板に使用される材料が適用でき、例えばシリコン、ガラスが用いられる。
第二基板4の材料は特に制限されず、公知の配線基板に使用される材料が適用でき、例えばシリコン、ガラス、樹脂等が用いられる。
第一基板1の材料と第二基板4の材料とは、同じであっても異なっていてもよい。
第一基板1の厚さは特に制限されず、本発明の貫通配線付き接合基板の用途に応じて適宜設定できる。例えば5μm〜300μmとすれば良い。
【0016】
第一基板1の一面1aに形成された電極層2の材料は、導電性物質であれば特に制限されず、公知の配線基板に使用される金属が使用できる。例えば、銅、スズ、アルミニウム、金、銅−スズ合金等が挙げられる。
【0017】
電極層2の厚さは特に制限されず、通常0.1μm〜20μmであれば良く、0.5μm〜15μmが好ましく、1μm〜10μmがより好ましく、1μm〜5μmが更に好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、電極層2の構造的強度を高められる。上記範囲の上限値以下であると、電極層2と貫通配線層6の電気的接続における電気抵抗を低減できる。
【0018】
第一基板1には貫通孔5が形成されている。貫通孔5は、第一基板1の他面1bから一面1aに配された電極層2まで貫通している。つまり、貫通孔5の底部5dを覆って蓋となる様に電極層2が配されている。貫通孔5の一端は、第一基板1の他面1bに開口している。
【0019】
貫通孔5の孔径、開口径、形状及び経路は特に制限されず、貫通孔5の目的に応じて、所望のものとすれば良い。
前記孔径としては、例えば50μm〜100μmとすれば良い。前記開口径としては、例えば50μm〜100μmとすれば良い。
前記形状としては、図1の様に、貫通孔5の断面において対向する二つの内側面5cが平行となる形状であっても良いし、非平行であってもよい。非平行の場合、貫通孔5の底部5dから開口部に向けて孔径が拡がるテーパー形状であることが好ましい。このようなテーパー形状であると、熱膨張した充填樹脂部7が開口部側に逃げることがより容易となり、貫通孔5の底部5dに配された電極層2及び貫通配線層6の変形や破損をより一層防止することができる。
【0020】
貫通孔5の「深さ」/「開口径」の比(アスペクト比)としては、1/1〜20/1が好ましく、1/1〜10/1がより好ましく、1/1〜5/1が更に好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、貫通孔5の孔径が太くなり過ぎず、貫通孔5が第一基板1を占有する体積を小さくすることができると共に、貫通孔5の第一基板1内における配置がより容易となる。
上記範囲の上限値以下であると、第一基板1の温度上昇による充填樹脂部7の熱膨張が生じる際、充填樹脂部7の膨張した部分を、貫通孔5の開口部側(第一基板1の他面1b側)に逃がすことができる。この結果、貫通孔5の底部5dには、充填樹脂部7の熱膨張による応力が加わり難くなり、電極層2及び貫通配線層6の変形や破損をより一層確実に防止できる。
【0021】
図1では、貫通孔5は第一基板1の厚さ方向に延設されている。言い換えると、貫通孔5は第一基板1の一面1a及び他面1bに対して垂直に延設されている。
本発明の貫通配線付き接合基板における貫通孔は、必ずしも第一基板の一面及び他面に垂直に延設されている必要はなく、第一基板の一面及び他面に対して斜めに延設されていても良い。
【0022】
貫通配線層6は、貫通孔5の内側面5c(内壁面5c)及び貫通孔5の底部5dに配された電極層2を覆っている。貫通孔5の底部5dにおいて、電極層2の上に貫通配線層6が積層されている。貫通配線層6は第一基板1の他面1bに配された表面配線8と接続されているので、電極層2は貫通配線層6を介して他面1bの表面配線8と電気的に接続されている。貫通配線層6の厚さは、例えば0.5μm〜10μmとすれば良い。
【0023】
充填樹脂部7は、貫通孔5の内部で貫通配線層6が占有しない空間を埋めると共に、第一基板1の他面1bの表面配線8を覆っている。
【0024】
接合樹脂層3は、第一基板1の一面1aと第二基板4の一面4aとを接着している。また、接合樹脂3は、電極層2の第二基板4側と第二基板4の一面4aとの間に介在し、両者を接着している。
【0025】
接合樹脂層3の厚さは特に制限されず、貫通配線付き接合基板の目的に応じて適宜調整される。例えば図2に示すように、第一基板1の一面1aに光学デバイス9やMEMSデバイスが形成されている場合、光学デバイス9のレンズやMEMSデバイスの可動機構の上方に空隙Sが必要となることがある。この場合、接合樹脂層3の厚さを比較的厚くして、空隙Sを確保する必要がある。接合樹脂層3の厚さを厚くすることによって、第一基板1の一面1aと第二基板4の一面4a間の距離を長くすることができるので、空隙Sを拡げられる。
【0026】
貫通配線層6及び電極層2を支持する接合樹脂層3が比較的薄い場合(例えば1.0μm〜10μm)には、第二基板4の一面4aが接合樹脂層3を支持することによって、間接的に貫通配線層6及び電極層2を支持できる。
一方、接合樹脂層3が比較的厚い場合(例えば30μm〜100μm)には、第二基板4の間接的な支持が得られないため、実質的に接合樹脂層3のみで、貫通配線層6及び電極層2を支持することになる。この場合、接合樹脂層3を構成する樹脂のヤング率と充填樹脂部7を構成する樹脂のヤング率との関係が特に重要となる。
【0027】
充填樹脂部7を構成する樹脂(充填樹脂)及び接合樹脂層3を構成する樹脂(接合樹脂)は、各々のヤング率が所定の関係となるように選定されている。前記所定の関係とは、「接合樹脂層3のヤング率E1」>「充填樹脂部7の樹脂のヤング率E2」である。この関係が満たされる樹脂の組み合わせであれば、各樹脂の種類は特に限定されない。
【0028】
接合樹脂層3を構成する樹脂及びを充填樹脂部7構成する樹脂の好適な組み合わせとしては、例えば以下の表1に示すものが挙げられる。ここで例示した樹脂の組み合わせであると、充填樹脂部7が熱膨張する際に、接合樹脂層3が貫通配線層6及び電極層2を支持して、その変形や破損を防止することがより一層確実となる。
【0029】
【表1】

【0030】
本明細書及び特許請求の範囲において、各樹脂のヤング率は、板状及びフィルム状樹脂の引張特性の試験方法を定めたJIS K 7163(1994年)の方法・条件で測定されたものである。
各樹脂のヤング率は温度によって変化するが、前記所定の関係は、各樹脂のガラス転移温度を超えない限り維持される。したがって、本発明の貫通配線付き接合基板は上記温度範囲で使用することが好ましい。
【0031】
本発明において、充填樹脂部7を構成する樹脂のガラス転移温度が、接合樹脂層3を構成する樹脂のガラス転移温度以下であることが好ましい。
このガラス転移温度の関係を満たす樹脂の組み合わせであると、充填樹脂部7又は接合樹脂層3のガラス転移温度より高い温度においても、「充填樹脂部7のヤング率E2」<「接合樹脂層3のヤング率E1」の関係を確実に維持できる。一般的な樹脂は、そのガラス転移温度を超えた状態ではヤング率が低下する(軟化する)。よって、本発明の上記貫通配線付き接合基板の温度が上昇する際、接合樹脂層3が軟化するよりも前に充填樹脂部7が軟化するので、充填樹脂部7の熱膨張による貫通配線層6及び電極層2の変形および破損を一層確実に防止できる。
【0032】
ここで、図1の貫通配線付き接合基板10Aにおいて、孔径=100μm及び深さ=200μmの貫通孔5内に充填樹脂部7を充填し、貫通配線層6=5μm、電極層2=1μm、接合樹脂層3=50μmの条件で、25℃→260℃の温度上昇が生じた場合の充填樹脂部7の熱膨張による、貫通配線層6及び電極層2に加わる応力を構造シミュレーションを用いて計算した。この結果を図3に示す。
【0033】
図3では、「接合樹脂のヤング率E1/充填樹脂のヤング率E2」で表されるヤング率比を横軸に取り、このヤング率比=1の場合の応力を基準(値=1)として、ヤング率比を変更した場合の応力を計算し、基準に対する比を求めて縦軸に取っている。
【0034】
図3において、プロットAは、ヤング率比=1(接合樹脂のヤング率=0.3GPa/充填樹脂のヤング率=0.3GPa)の場合である。プロットBはヤング率比=5.7(接合樹脂のヤング率=1.7GPa/充填樹脂のヤング率=0.3GPa)の場合である。プロットCはヤング率比=11.7(接合樹脂のヤング率=3.5GPa/充填樹脂のヤング率=0.3GPa)の場合である。
【0035】
図3の結果から、ヤング率比が高い値であるほど、貫通配線層6及び電極層2にかかる応力が低減する傾向があると言える。したがって、本発明の貫通配線付き接合基板において、ヤング率比が高いほど、貫通配線層6及び電極層2の変形や破損が防止できるので好ましい。ヤング率比の好適な範囲としては、1〜40が好ましく、5〜30がより好ましく、10〜20が更に好ましい。ヤング率比が1よりも小さいと、本発明の効果が得られにくくなる。ヤング率比が40よりも大きいと、接合樹脂の熱応力によって電極層にダメージが与えられる可能性がある。
【0036】
[貫通配線付き接合基板10B]
図4は本発明にかかる貫通配線付き接合基板の第二実施形態である貫通配線付き接合基板10Bの断面図である。
図4において、図1〜2に示したものと同じ構成部材には同じ符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態が、前述の第一実施形態と異なる点は、電極層2の第二基板4側に、パッシベーション層11が形成されている点である。パッシベーション層11によって、電極層2を保護できると共に、電極層2の構造的強度を高められるので、貫通配線層6及び電極層2の変形および破損を一層確実に防止できる。
【0037】
パッシベーション層11を構成する材料としては、SiN、SiO、ポリイミド、PBO等が例示できる。これらのなかでも、SiN、SiOのようなヤング率の大きい材料の方が、電極層の変形を抑制できるため、好ましい。
【0038】
本発明において、電極層2が貫通配線層6と接続する領域において、薄肉化されていることが好ましい。
【0039】
<貫通配線付き接合基板の製造方法>
本発明の貫通配線付き接合基板の製造方法を、貫通配線付き接合基板10Aを例として、図5を参照しながら説明する。
図示しないデバイスが形成されたシリコンからなる第一基板1の一面1aに、TEOSを用いたプラズマCVD等によってSiOからなる絶縁層12を形成する。次に前記絶縁層12の所定の位置に、スパッタ法やフォトリソグラフィによって銅からなる電極層2を形成する。この後、必要に応じて、CVD等によってパッシベーション層を形成してもよい。
つづいて、第一基板1の一面1aに、スクリーン印刷法等によって接合樹脂を塗工して、さらに石英ガラス製の第二基板4の一面4aを塗工面に貼り合せることによって、厚さ10〜50μmの接合樹脂層3を形成する(図5(a))。この後、必要に応じて、第一基板1の他面1bを研磨することによって、第一基板1の薄肉化を行う。
【0040】
次に、第一基板1の他面1bに所望のパターンの感光性樹脂からなるマスクを形成し(不図示)、CFやSF等のエッチングガスを用いたドライエッチング法によって、貫通孔5を形成する。これにより、第一基板1の一面1aに形成した電極層2が、貫通孔5の底部5dに露出する(図5(b))。このとき、貫通孔5の底部に位置する電極層2が、その厚さ方向に幾分エッチングされるようにするとよい。これにより、電極層2の表面不純物が除去されるため、電極層2と貫通配線層6との電気的な接続信頼性を高めることができる。さらに、前記電極層の厚さ方向に前記貫通配線層が入り込んでいるため、前記電極層と前記貫通配線層との機械的な結合が強固となる。
次に、形成した貫通孔5の内側面5c及び第一基板1の他面1bに、TEOSを用いたプラズマCVD等によってSiOからなる絶縁層13を形成する(図5(c))。
【0041】
つづいて、スパッタ法等によって、チタン、クロム、チタン−タングステン合金等からなるバリア層及び銅からなるめっきシード層を成膜して(不図示)、電解めっき法等によって、銅からなる貫通配線層6を形成する。この際、必要に応じて、第一基板1の他面1bに表面配線8を形成してもよい(図5(d))。
【0042】
貫通孔5の空いている空間及び第一基板1の他面1bの所望の領域に、真空印刷法や真空ラミネート法によって、充填樹脂を配して充填樹脂部7を形成する(図5(e))。
以上の製法によって、本発明に掛かる貫通配線付き接合基板10Aが得られる。
【符号の説明】
【0043】
1…第一基板、1a…第一基板の一面、1b…第一基板の他面、2…電極層、3…接合樹脂層、4…第二基板、4a…第二基板の一面、5…貫通孔、5c…貫通孔の内側面(内壁面)、5d…貫通孔の底部、6…貫通配線層、7…充填樹脂部、8…表面配線、9…デバイス、10A,10B…本発明の貫通配線付き接合基板、11…パッシベーション層、12…絶縁層、13…絶縁層、100…従来の貫通配線付き接合基板、101…半導体基板、102…電極パッド、103…接着材、104…ガラス基板、105…貫通孔、106…配線層、107…配線保護樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に電極層が形成された第一基板、及び
前記電極層と接合樹脂層を介して、前記第一基板と接合された第二基板を備えた貫通配線付き接合基板であって、
前記第一基板の他面側から前記電極層が露出するまで前記第一基板を貫通する貫通孔と、
前記貫通孔の内部において、前記貫通孔の内側面及び前記電極層を覆う貫通配線層と、
前記貫通配線層を覆い、前記貫通孔の内部に充填された充填樹脂部とを有し、
前記充填樹脂部を構成する樹脂のヤング率は、前記接合樹脂層を構成する樹脂のヤング率よりも小さいことを特徴とする貫通配線付き接合基板。
【請求項2】
前記充填樹脂部を構成する樹脂のガラス転移温度が、前記接合樹脂層を構成する樹脂のガラス転移温度以下であることを特徴とする請求項1に記載の貫通配線付き接合基板。
【請求項3】
前記電極層の前記第二基板側に、パッシベーション層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の貫通配線付き接合基板。
【請求項4】
前記電極層が、前記貫通配線層と接続する領域において、薄肉化されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の貫通配線付き接合基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−38165(P2013−38165A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171906(P2011−171906)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】