説明

貯湯システム

【課題】貯湯タンク側から設定温度の湯を供給可能な場合に、冷えた補助熱源機を通って出湯温度が設定温度より低下することなく、設定温度での出湯を確保することのできる貯湯システムを提供する。
【解決手段】給水路が入口に接続された貯湯タンク14内の湯水を太陽熱を利用した集熱装置21によって加熱して貯湯しておき、貯湯タンク14内の湯水と給水とを混合弁17で混合して給湯器12の入水口へ供給する。給湯器12は設定温度で出湯するように必要に応じて加熱動作(追い加熱)を行う。制御ユニット60は、貯湯タンクに設定温度より所定温度以上高い湯が蓄えられている場合であっても給湯器12の熱交換器が冷えた状態の場合は、給湯器12による加熱が行われるように、入水口へ供給される水の温度が設定温度より所定温度以上低い温度となるように混合比を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽熱や排熱を利用して加熱した貯湯タンク内の湯水を後段の補助熱源機に供給し、不足分を補助熱源機で加熱して出湯させる貯湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種装置の排熱や太陽熱などを利用して加熱した水を貯湯タンクに蓄えるようにし、該貯湯タンク内の湯温が十分高い場合には貯湯タンクからの湯に混合弁で給水を混合して設定温度の湯を出湯し、設定温度に足りない場合は後段の補助熱源機で不足分を加熱して出湯する給湯システムがある(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような給湯システムは、貯湯タンク側と補助熱源機側とがペアとして組まれており、補助熱源機の特性を熟知した上で貯湯タンク側の混合弁を制御して、補助熱源機へ湯水の供給を行っていた。たとえば、補助熱源機がガス給湯器の場合、バーナを燃焼させるための最低燃焼量や最低作動水量などの制約があるため、その特性を踏まえて貯湯タンク側の混合弁の制御が行われる。
【0004】
ところで、既築住宅に太陽熱などを利用する上記の給湯システムを導入する場合、多くの場合、今まで使用されていた給湯器などが存在する。しかし、新しく設置するシステム側では、既設の給湯器に関する上記特性を熟知できないため、その給湯器を補助熱源機として再利用することができず、廃棄していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−010114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
排熱や太陽熱などを利用して貯湯タンク内の水を加熱する上記の給湯システムでは、貯湯タンク内の湯を優先的に使用して補助熱源機での加熱を控えることが省エネルギにつながる。そのため、貯湯タンクに熱い湯が十分蓄えられている場合には、補助熱源機へ供給する湯水の温度が設定温度となるように混合弁の混合比を設定し、補助熱源機での加熱を停止させるように制御していた。
【0007】
しかし、混合弁から加熱停止状態の補助熱源機へ設定温度の湯を供給しても、補助熱源機の熱交換器が冷えているときは、この熱交換器を通る間に湯水の熱が奪われるため、補助熱源機の出側の給湯配管には設定温度の湯がなかなか出てこないという問題があった。すなわち、冷えた熱交換器は、この熱交換器を通る湯水によって徐々に暖められるため、設定温度の湯が出るまでに数分かかる場合もあった。たとえば、シャワーであれば、この間、シャワーを浴びることができず、湯水が無駄に捨てられるという消費者行動があった。この結果、湯水が無駄になるだけでなく、消費者の貴重な時間まで無駄にしていた。
【0008】
特に、既設の給湯器などを補助熱源機に再利用しようとすると、その熱交換器を通る間に湯水がどの程度温度低下するかなどの特性が分からず、さらに、その給湯器内部の温度センサなどの情報を取得するといった連携動作も難しい。そのため、冷えた熱交換器による温度低下の問題を考慮すれば、既設の給湯器を補助熱源機に再利用することがさらに困難になっていた。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、貯湯タンク側から設定温度の湯を供給可能な場合に、冷えた補助熱源機を通って出湯温度が設定温度より低下することなく、設定温度での出湯を確保することのできる貯湯システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0011】
[1]給水路が入口に接続された貯湯タンクと、
前記貯湯タンクに蓄えられた水を加熱する加熱機と、
入水口から供給される水を熱交換器で加熱して出湯する補助熱源機の前記入水口と前記貯湯タンクの出口とを接続する接続配管と、
前記接続配管の途中に介挿され、前記貯湯タンクから供給される水と給水路から供給される水とを混合する混合弁と、
前記補助熱源機による加熱無しにもしくは前記補助熱源機による加熱を足して設定温度の出湯が行われるように前記混合弁の混合比を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記貯湯タンクに前記設定温度より所定温度以上高い湯が蓄えられている場合であっても前記補助熱源機の熱交換器が冷えた状態の場合は、前記入水口へ供給する水の温度が、前記補助熱源機による加熱を足して前記設定温度の出湯が行われる入水温度となるように、前記混合弁の混合比を制御する
ことを特徴とする貯湯システム。
【0012】
上記発明では、補助熱源機の熱交換器が冷えた状態の場合、この熱交換器を通る間に湯水が温度低下するので、貯湯タンクから設定温度の湯を補助熱源機へ供給できる状態であっても、補助熱源機の熱交換器が冷えている場合は、補助熱源機へ供給する湯水の温度を意図的に低くして、補助熱源機での加熱が行われるようにする。
【0013】
[2]前記制御部は、前記貯湯タンクに前記設定温度より所定温度以上高い湯が貯湯されている場合であって前記補助熱源機の熱交換器が冷えた状態でない場合は、前記補助熱源機による加熱無しに前記設定温度の出湯が行われるように前記混合弁の混合比を制御する
ことを特徴とする[1]に記載の貯湯システム。
【0014】
上記発明では、貯湯タンクから十分熱い湯を補助熱源機へ供給できる状態で、かつ補助熱源機の熱交換器が冷えた状態でなければ、補助熱源機による加熱無しに設定温度の湯が出湯される温度の湯水を補助熱源機へ供給する。たとえば、給湯口までに1℃の温度低下を見込む場合、補助熱源機の入水口へ供給する水温が設定温度+1℃となるように混合比を設定する。
【0015】
[3]前記制御部は、前回の出湯終了から所定の判定基準時間以上経過しているときは、前記熱交換器が前記冷えた状態にあると判断し、前回の出湯終了から前記判定基準時間の経過前であれば、前記熱交換器は前記冷えた状態でないと判断する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の貯湯システム。
【0016】
上記発明では、前回の出湯終了からの経過時間により、熱交換器が冷えた状態であるか否かを判断する。
【0017】
[4]前記制御部は、前記判定基準時間を、給水温度もしくは外気温度が第1の温度より低い場合に設定する時間より、給水温度もしくは外気温度が前記第1温度より高い場合に長くする
ことを特徴とする[3]に記載の貯湯システム。
【0018】
上記発明では、夏場は冬場に比べて、出湯終了後における補助熱源機の熱交換器の温度低下は緩やかに生じる。そこで、夏場(給水温度もしくは外気温度が高いとき)は、熱交換器が冷えた状態であるとの判定基準時間を、冬場に比べて長くする。これにより、夏場は追い加熱の頻度が減り、貯湯タンクの湯水を優先的に利用して省エネルギ効果を高めることができる。
【0019】
[5]前記補助熱源機は、所定の最低加熱量以上の加熱動作のみ可能であり、
前記制御部は、当該貯湯システムに接続して使用され得る複数の補助熱源機の中の最大の最低加熱量に所定のマージンを加えた熱量を最小限加熱量とし、前記入水口へ供給する水の温度が、前記最小限加熱量による前記補助熱源機での温度上昇分を前記設定温度から減じた温度以下になるように前記混合比を設定する
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1項に記載の貯湯システム。
【0020】
上記発明では、既設の給湯システムで使用されていた給湯器などを補助熱源機に流用する場合など、補助熱源機の機種が特定できない場合でも、流用される可能性のある給湯器の中で最大の最低加熱量に、器具のばらつきによるマージンを加えた熱量を最小限加熱量とするので、補助熱源機での追い加熱を確実に行わせることができる。
【0021】
[6]前記補助熱源機を有し、
前記補助熱源機は、所定の最低加熱量以上の加熱動作のみ可能であり、
前記制御部は、前記補助熱源機の最低加熱量に所定のマージンを加えた熱量を最小限加熱量とし、前記入水口へ供給する水の温度が、前記最小限加熱量による前記補助熱源機での温度上昇分を前記設定温度から減じた温度以下になるように前記混合比を設定する
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1項に記載の貯湯システム。
【0022】
上記発明では、貯湯システムが補助熱源機を含む構成となっており、その補助熱源機の最低加熱量に対応した最小限加熱量を設定して混合比の制御が行われる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る貯湯システムによれば、貯湯タンク側から設定温度の湯を供給可能な場合に、冷えた補助熱源機を通って出湯温度が設定温度より低下することがなく、設定温度での出湯を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の貯湯システムを含む給湯システムの構成を示す説明図である。
【図2】補助熱源機としての給湯器の概略構成を示す説明図である。
【図3】集熱運転の概略動作を示す説明図である。
【図4】給湯運転の概略動作を示す説明図である。
【図5】ソーラー追い焚き運転の概略動作を示す説明図である。
【図6】風呂熱回収運転の概略動作を示す説明図である。
【図7】貯湯出湯禁止中の運転状態を示す説明図である。
【図8】給湯運転時の貯湯システムの動作を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
図1は、本発明の貯湯システムを含む給湯システム10の構成を示している。給湯システム10は、貯湯システム11と、補助熱源機としての給湯器12とを有する。
【0027】
貯湯システム11は、太陽光を利用して加熱した湯を蓄える貯湯タンク14を備えており、該貯湯タンク14からの湯水に給水を混合したものを給湯器12の入水口へ供給する。補助熱源機である給湯器12は、貯湯システム11から供給される水を必要に応じて設定温度に加熱して給湯配管13へ出湯する機能を果たす。貯湯システム11は、太陽光を利用して加熱した湯を優先的に利用することで給湯器12による加熱(これを以下、「追い加熱」とする。)を少なく抑えて、省エネルギでの給湯を可能にする。
【0028】
貯湯システム11の詳細構成を説明する。貯湯タンク14は、中空略円柱状のタンクであり、底部と天井部のそれぞれに配管接続口が設けてある。底部の配管接続口には給水管15の終端が接続されている。天井部の配管接続口には接続配管16の一端が接続され、この接続配管16の他端は給湯器12の入水口に接続されている。
【0029】
接続配管16の途中には、貯湯タンク14からの湯と給水とを混合する混合弁17が設けてある。ここでは、混合弁17は、第1バルブ17aと第2バルブ17bの2つで構成される。第1バルブ17aは接続配管16に介挿されている。第2バルブ17bは、給水管15の途中から分岐して第1バルブ17aの給湯器12側で接続配管16に合流する分岐給水管15aの途中に介挿されている。第1バルブ17aと第2バルブ17bは開度(通水量)をそれぞれ0%から100%まで調整可能な水量調整弁である。第1バルブ17aと第2バルブ17bの開度により、貯湯タンク14からの湯と給水との混合比が調整される。
【0030】
貯湯タンク14は、たとえば、容量100リットルを有し、底から20リットルの水位の箇所に、その箇所の水温を検出する第1温度センサ41が、底から40リットルの水位の箇所に、その箇所の水温を検出する第2温度センサ42が、底から60リットルの水位の箇所に、その箇所の水温を検出する第3温度センサ43が、底から80リットルの水位の箇所に、その箇所の水温を検出する第4温度センサ44がそれぞれ設けてある。
【0031】
また、貯湯タンク14の天井部の配管接続口の近傍の接続配管16には、貯湯タンク14から出てくる湯水の温度を検出するタンク出湯温度センサ46が設けてある。給水管15の途中には給水温度を検出する給水温度センサ47が設けてある。さらに混合弁17の出側(給湯器12側)の接続配管16には、水量センサ48が、さらにその下流側(給湯器12側)には、混合弁17で混合後の湯水の温度を検出する混合温度センサ49が設けてある。
【0032】
貯湯タンク14内の下部には、熱媒体循環経路22の一部をなす熱交換用配管18が挿通されている。熱媒体循環経路22は、この熱交換用配管18と、シスターン19と、水-水熱交換器20と、太陽熱の集熱装置21とを経由して熱媒体(ここでは、水)を循環させる経路である。
【0033】
詳細には、熱媒体循環経路22は、熱交換用配管18の出側からシスターン19の入り側へ至る第1熱媒配管22aと、シスターン19の出側から水-水熱交換器20の入り側に至る第2熱媒配管22bと、水-水熱交換器20の出側から集熱装置21の入り側に至る第3熱媒配管22cと、集熱装置21の出側から熱交換用配管18の入り側へ至る第4熱媒配管22dとからなる。図中、集熱装置21は、貯湯システム11の構成要素であるが、外付け機器としてもよい。
【0034】
シスターン19は、熱媒体循環経路22を循環する熱媒体を蓄えるためのタンクである。また、シスターン19は大気圧に開放されたタンクであり、熱媒体の膨張・収縮による体積変動を吸収する。シスターン19は内部の水位を検出する水位センサ19aを備えている。本例の水位センサ19aは低水位検出用電極、高水位検出用電極および共通電極で構成される。
【0035】
水-水熱交換器20は2つの管路を所定の長さに渡って密に接触させたものであり、高温側の管路から低温側の管路へ熱を移動させる役割を果たす。熱媒体循環経路22は、水-水熱交換器20の一方の管路(図中は内側管路20a)の入り側および出側に接続されている。
【0036】
水-水熱交換器20(内側管路20a)の出側から集熱装置21の入り側に至る第3熱媒配管22cの途中には、循環ポンプ24が設けてある。循環ポンプ24は、第3熱媒配管22c内の熱媒体を集熱装置21側へ送出する。この循環ポンプ24の下流側の第3熱媒配管22cには、切替弁25が介挿されている。切替弁25の第1接続口25aには、循環ポンプ24側からの第3熱媒配管22cが接続され、切替弁25の第2接続口25bには集熱装置21側へ至る第3熱媒配管22cが接続されている。切替弁25の第3接続口25cには連結管26の一端が接続されており、連結管26の他端は、集熱装置21から熱交換用配管18の入り側へ至る第4熱媒配管22dの途中に合流して接続されている。
【0037】
集熱装置21には、集熱装置21内の湯水の温度を検出する高温センサ51が設けてある。また、連結管26の合流接続箇所より熱交換用配管18側の第4熱媒配管22dの途中には、その箇所を通る熱媒体の温度を検出する熱媒温度センサ52が設けてある。
【0038】
給湯器12は、入水口から供給される湯水を設定温度に加熱して給湯配管13へ出湯するほか、入水口から供給される水を風呂の設定温度に加熱して浴槽3へ注湯する湯張り機能および、浴槽3内の湯水を追い焚きする追い焚き機能を備えている。
【0039】
追い焚き時に湯水を循環させる追い焚き循環経路は、浴槽3から湯水を給湯器12へ取り込むための風呂戻り管32と、給湯器12内の熱交換器を通る配管と、熱交換器を経て昇温された湯水を浴槽3へ送り出す風呂往き管31などで構成される。風呂往き管31は、途中で水-水熱交換器20の他方の管路(図中、外側管路20b)を経由して浴槽3へ至る。
【0040】
給湯器12と水-水熱交換器20との間には、浴槽3から取り込んだ湯水の温度を検出するための風呂温度センサ53が設けてある。
【0041】
このほか、タンク出湯温度センサ46と混合弁17(第1バルブ17a)との間の接続配管16には、接続配管16の閉鎖・開通を切り替える出湯禁止電磁弁54が設けてある。また、出湯禁止電磁弁54とタンク出湯温度センサ46との間で接続配管16から分岐した2つの分岐配管が設けてあり、その一方の先端には排水電磁弁55が、他方の分岐配管の先端には圧力逃がし弁56が設けてある。また、給水管15には、水フィルタ、減圧弁、逆止弁などが介挿されている。
【0042】
貯湯システム11は、当該貯湯システム11の動作を統括制御する制御ユニット60を備えている。制御ユニット60は、CPU(Central Processing Unit)と、該CPUが実行するプログラムや固定データなどが記憶されたフラッシュROM(Read Only Memory)と、CPUがプログラムを実行する際に各種情報を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、各種の信号を入出するI/F(Interface)部などを主要部とする回路で構成されている。制御ユニット60には、貯湯システム11の各種センサからの検出信号が入力されている。また制御ユニット60から各弁、循環ポンプ24などの制御対象へ制御信号が出力される。
【0043】
貯湯システム11の制御ユニット60は給湯器12の制御基盤70との間で必要な情報の授受を行う。ここでは、制御ユニット60は、給湯器12側で設定されている設定温度の情報や、給湯器12が追い焚き動作中か否かを示す情報などを給湯器12から取得する。また、燃焼禁止・許可を指示する信号、バーナ73を燃焼させずに風呂循環ポンプ85(図2参照)を駆動させる信号(風呂ポンプ駆動信号)を制御ユニット60から給湯器12の制御基盤70へ送信する。
【0044】
図2は、給湯器12の概略構成を示している。給湯器12は、入り側に入水管71が出側に給湯配管13がそれぞれ接続された給湯用水管72aと、出側に風呂往き管31が入り側に風呂戻り管32がそれぞれ接続された追い焚き用水管72bとを備えた一缶二水路型の熱交換器72を備えている。入水管71の始端は貯湯システム11側からの接続配管16が接続される入水口となっている。
【0045】
熱交換器72は下方に配置されたバーナ73からの熱を受熱するための多数のフィン72cを備えている。バーナ73にはガス供給管74が接続されている。ガス供給管74の途中には、ガスの供給/遮断を切り替えるガス弁75や供給ガス量を調整する比例弁76などが設けてある。
【0046】
給湯配管13と風呂戻り管32とは、連結管77によって接続されており、該連結管77の途中には、連結管77の閉鎖/開通を切り替える注湯電磁弁78が設けてある。また、連結管77の接続箇所より上流側の給湯配管13の途中には、閉鎖状態から全開状態まで開度を調整可能な水量サーボ79が出湯水量を調整するために設けてある。水量サーボ79の下流側には、出湯温度を検出する出湯温度センサ80が設けてある。
【0047】
さらに、入水管71から分岐し、水量サーボ79より給湯用水管72a側の所定箇所で給湯配管13に合流・接続されたバイパス管81を備え、このバイパス管81の途中に、閉鎖から全開まで開度を調整可能なバイパス調整弁82を備えている。バイパス管81の分岐箇所より上流側の入水管71には、入水管71内の水の流量を検出する流量センサ83および入水温度を検知する入水温度センサ84が設けてある。なお演算で入水温度を推定するようにした器具にあっては入水温度センサ84を設けない場合もある。
【0048】
風呂戻り管32の途中には、浴槽3内の水を、追い焚き循環経路(風呂戻り管32、追い焚き用水管72b、風呂往き管31)を通じて循環させるための風呂循環ポンプ85が設けてある。風呂戻り管32に設けた流水スイッチ86は、風呂循環ポンプ85を作動させたとき、追い焚き循環経路に実際に水が循環しているか否かを検出する。
【0049】
このほか、風呂往き管31および風呂戻り管32には、それぞれ管内の温度を検出する風呂往き温度センサ87、風呂戻り温度センサ88が設けてある。
【0050】
制御基盤70は、CPUと、該CPUが実行するプログラムや固定データなどが記憶されたフラッシュROMと、CPUがプログラムを実行する際に各種情報を一時記憶するRAMなどを主要部とする回路で構成されている。制御基盤70には、給湯器12が有する各種センサ、弁、風呂循環ポンプ85などが接続されている。
【0051】
さらに、制御基盤70には、配線を介して操作パネル(リモコン)89が接続されている。操作パネル89は、給湯の設定温度や風呂の設定温度の指定、湯張り動作や追い焚き動作の開始・終了指示、電源のオン/オフなど各種の操作をユーザから受けるスイッチ類、および動作状態や設定温度などを表示する表示部などで構成される。
【0052】
給湯器12の制御基盤70は、給湯配管13から出湯する給湯動作では、操作パネル89でユーザが設定した給湯設定温度の湯が出湯されるようにバーナ73の燃焼量やバイパス調整弁82の開度などを制御する。
【0053】
浴槽3へ注湯する湯張り動作では、制御基盤70は、バーナ73を燃焼させた状態で注湯電磁弁78および水量サーボ79を開くことにより、熱交換器72の給湯用水管72aを通じて加熱した湯を、給湯配管13から連結管77へ送り出し、風呂戻り管32および風呂往き管31の双方を通じて浴槽3へ流し込む。この際、制御基盤70は、操作パネル89でユーザが設定した風呂設定温度の湯が注湯されるようにバーナ73の燃焼量やバイパス調整弁82の開度などを制御する。さらに浴槽3内の水位が設定水位に達すると注湯動作を停止して、追い焚き動作を行う。
【0054】
追い焚き動作では、注湯電磁弁78を閉鎖し、風呂循環ポンプ85を作動させた状態でバーナ73を燃焼させる。これにより浴槽3内の湯水が風呂戻り管32を通じて給湯器12内に取り込まれて加熱され、過熱後の湯水が風呂往き管31を通じて浴槽3へ送り出される。
【0055】
給湯器12のバーナ73は所定の最低加熱量(最低号数)以下では燃焼させることができない。そのため、給湯器12の制御基盤70は、設定温度の湯を出すために必要な加熱量が最低加熱量より少ない場合は、バーナ73を燃焼オフしたままの状態に制御する。必要な加熱量は、設定温度と入水温度センサ84で検出される入水温度との温度差、流量センサ83で検出される流量、熱効率などに基づいて算出する。
【0056】
次に、貯湯システム11の各種動作について説明する。
【0057】
<集熱運転>
図3は、貯湯システム11が行う集熱運転の概略動作を示している。集熱運転は集熱装置21で太陽光から得た熱を利用して貯湯タンク14内の水を加熱する動作である。集熱運転は、集熱装置21の高温センサ51の検出温度が貯湯タンク14内の水温より一定温度以上高いなどの運転条件を満たす場合に行われる。
【0058】
貯湯タンク14は、底部の配管接続口に接続された給水管15から給水の供給を受けて、通常は満水の状態にある。集熱運転時、制御ユニット60は、切替弁25を第1接続口25aと第2接続口25bとが連通し第3接続口25cを閉鎖した状態に設定した上で、循環ポンプ24を駆動する。
【0059】
図3では、集熱運転において熱媒体(水)が循環する経路を太線で示してある。また各部において熱媒体が流れる方向を矢印で示してある。詳細には、シスターン19内の熱媒体は、循環ポンプ24の作用により、第3熱媒配管22c等を通じて集熱装置21に向かって流れ、集熱装置21を通る際に加熱されて昇温し、第4熱媒配管22dから貯湯タンク14内の熱交換用配管18を経てシスターン19へ戻るように循環する。熱交換用配管18を通る熱媒体より貯湯タンク14内の水温が低い場合、熱交換用配管18にて熱媒体の熱が貯湯タンク14内の水へ移動して貯湯タンク14内の水が加熱される。
【0060】
熱交換用配管18は貯湯タンク14の下部にあり、また、貯湯タンク14の底部から給水が供給され、貯湯タンク14の天井部から接続配管16へ湯水が流出するので、貯湯タンク14内の水温は底部が低く天井部ほど高い温度勾配になっている。
【0061】
<給湯運転>
図4は、給湯運転の概略動作を示している。図4では、給湯運転において湯水が流れる経路を太線で示してある。また各部において湯水が流れる方向を矢印で示してある。給湯運転では、貯湯タンク14からの湯水と分岐給水管15aからの給水とが混合弁17で混合されて給湯器12の入水口(入水管71)へ供給される。給湯器12は供給された水を必要に応じて加熱して給湯配管13へ出湯する。給湯運転の詳細は後述する。
【0062】
<ソーラー追い焚き運転>
図5は、ソーラー追い焚き運転の概略動作を示している。ソーラー追い焚き運転は集熱装置21で太陽光から得た熱を利用して浴槽3内の湯水を補助的に追い焚きする動作である。
【0063】
ソーラー追い焚き運転では、制御ユニット60は、切替弁25を第1接続口25aと第2接続口25bとが連通し第3接続口25cを閉鎖した状態に設定した上で、循環ポンプ24を駆動する。すなわち、集熱運転と同じように熱媒体を循環させ、熱媒体を集熱装置21で加熱する。さらに、ソーラー追い焚き運転では、制御ユニット60は、給湯器12に対して燃焼(加熱動作)を停止させた状態で風呂循環ポンプ85を駆動するように指示する。
【0064】
図5では、ソーラー追い焚き運転において熱媒体(水)が循環する経路を太線で示してある。また、浴槽水の循環経路を太破線で示してある。さらに、各部において熱媒体が流れる方向および浴槽水の流れる方向をそれぞれ矢印で示してある。ソーラー追い焚き運転は、熱媒体循環経路22を循環する熱媒体の温度が浴槽水の温度より高いことなどが運転条件となっており、水-水熱交換器20において、内側管路20aを通る熱媒体から外側管路20bを通る浴槽水へ熱が移動することで、浴槽水が加熱される。
【0065】
<風呂熱回収運転>
図6は、風呂熱回収運転の概略動作を示している。風呂熱回収運転は、風呂の残り湯の熱を利用して貯湯タンク14内の湯水を加熱する動作である。
【0066】
風呂熱回収運転では、制御ユニット60は、切替弁25を第1接続口25aと第3接続口25cとが連通し第2接続口25bを閉鎖した状態に設定した上で、循環ポンプ24を駆動する。これにより、集熱装置21を通らずに、水-水熱交換器20と貯湯タンク14とを通って熱媒体が循環する。また、給湯器12に対して燃焼(加熱動作)を停止させた状態で風呂循環ポンプ85を駆動するように指示する。これにより、浴槽水が、水-水熱交換器20の外側管路20bを含む追い焚き循環経路を循環する。
【0067】
図6では、風呂熱回収運転において熱媒体(水)が循環する経路と浴槽水の循環経路を太線で示してある。また、浴槽水の循環経路を太破線で示してある。さらに各部において熱媒体が流れる方向および浴槽水の流れる方向をそれぞれ矢印で示してある。風呂熱回収運転は、貯湯タンク14内の水温(第1温度センサ41)が浴槽3の水温より低いことが運転条件となっており、水-水熱交換器20において、外側管路20bを通る浴槽水から内側管路20aを通る浴槽水へ熱が移動し、この熱が熱交換用配管18にて貯湯タンク14内の水へ移動することで、貯湯タンク14内の水が加熱される。これにより、集熱運転の負担が軽減される。
【0068】
より詳細には、風呂熱回収運転では、まず、風呂循環ポンプ85を一時的に作動させ、浴槽水があるか否かを確認する。そして、浴槽水があり、かつ、浴槽水の温度が第1温度センサ41の検出温度より所定温度(たとえば、15℃)以上高い場合に風呂熱回収運転を行い、差が10℃以下もしくは1時間を越えると運転を停止するようになっている。時間的制限は、風呂循環ポンプ85の耐久性を考慮したものである。
【0069】
<貯湯出湯禁止運転>
貯湯タンク14内の湯水が100時間以上停留すると、レジオネラ菌の繁殖による問題があり、その対策のため、殺菌を行う。貯湯出湯禁止運転では、貯湯タンク14からの出湯を禁止し、貯湯タンク14内の水を60度以上にした状態を15分以上継続させることで殺菌を行う。
【0070】
図7は、貯湯出湯禁止中の運転状態を示している。98時間以内に貯湯タンク14内の湯の大半(ここでは、100リットル中の93リットル)が使用されなかった場合、貯湯出湯禁止運転に入る。貯湯出湯禁止運転では、制御ユニット60は、出湯禁止電磁弁54を閉じる。これにより、分岐給水管15aからの給水のみが接続配管16を通じて給湯器12の入水口へ供給される。
【0071】
貯湯出湯禁止運転に入ってから100時間以内に、集熱運転(太陽熱)により貯湯タンク14内の湯水全体(第1温度センサ41、第2温度センサ42、第3温度センサ43、第4温度センサ44のすべての検出温度)が60度以上の状態で15分以上継続(殺菌完了)したか否かを監視し、殺菌完了したら、出湯禁止電磁弁54を開いて、貯湯出湯禁止運転を終了する。
【0072】
100時間以内に殺菌完了しなかった場合は、排水電磁弁55を開き、タンク下部から給水される新鮮な水により貯湯タンク14内の湯水をすべて排水し、新しい水を貯湯タンク14に充填した後、出湯禁止電磁弁54を開いて貯湯出湯禁止運転を終了する。
【0073】
<給湯運転の詳細>
次に、本発明に係る給湯運転についてより詳細に説明する。前述したように、給湯器12は、最低加熱量以下の加熱動作はできないので、最低加熱量の加熱を行った場合に出湯温度が設定温度を超える場合はバーナ73を燃焼させない。入水温度が低く、設定温度の湯を出すために最低加熱量以上の加熱が必要な場合は設定温度の湯がでるようにバーナ73を燃焼させてその燃焼量を制御するように動作する。
【0074】
上記のように給湯器12が動作するため、貯湯タンク14に熱い湯が蓄えられている場合に貯湯システム11側から給湯器12の入水口へ設定温度の湯を供給すると、給湯器12は燃焼オフのままとなる。そのため、給湯開始時に給湯器12の熱交換器72が冷えた状態(所謂、コールドスタート)の場合には、冷えた熱交換器72を通る間に湯水の熱が奪われ、給湯配管13への出湯温度が設定温度より低くなってしまう。
【0075】
この現象を回避すべく本発明の貯湯システム11は、貯湯タンク14に設定温度より所定温度以上高い温度の湯が蓄えられている場合であっても、給湯器12の熱交換器72が冷えた状態の場合は、給湯器12による加熱(バーナ73の燃焼)が行われて設定温度の出湯が行われるように、混合弁17の混合比を、給湯器12の入水口へ供給される水の温度が設定温度より所定温度以上低い温度となる混合比に制御する。給湯器12は設定温度で出湯するように自装置での加熱量を制御するので、冷えた熱交換器72の昇温に必要な熱量も自動的に給湯器12側で制御される。よって貯湯システム11としては給湯器12が点火して加熱動作を行う温度の湯水を供給するだけでよく、後の温度調整は給湯器12に任せればよい。
【0076】
なお、貯湯システム11は、給湯開始時点が前回の給湯動作の終了から所定の判定基準時間を経過している場合は熱交換器72が冷えた状態(コールドスタート)であると判断し、判定基準時間の経過前であれば冷えた状態にない(ホットスタート)と判断する。
【0077】
図8は、給湯運転時の貯湯システム11の動作の流れを示している。貯湯システム11の制御ユニット60は給湯器12の制御基盤70との通信により、給湯器12側の運転スイッチが「入り」となるか否かを監視する(ステップS101;No)。給湯器12側の運転スイッチが「入り」になると(ステップS101;Yes)、給湯器12の給湯水量(出湯量)がバーナ73の燃焼する最低水量(本例では2.7リットル/分)以上か否かを判定する(ステップS102)。なお、制御ユニット60は、接続配管16に設けた水量センサ48で上記給湯水量を検出する。
【0078】
給湯器12の給湯水量(出湯量)が2.7リットル/分以上ならば(ステップS102;Yes)、制御ユニット60は、給水温度(給水温度センサ47の検出温度)が25℃以上か否かを判断する(ステップS103)。給水温度が25℃以上か否かにより、コールドスタートか否かの判定基準となる前回給湯終了からの時間(判定基準時間)を切り替えるようになっている。すなわち、前回の給湯終了からの時間経過に伴う給湯器12の熱交換器72の温度低下は、夏場は冬場に比べて少ない。そして、給湯器12での追い加熱を控えることが省エネルギに繋がる。そこで、コールドスタートか否かの判定基準時間を夏場は冬場より長くし、追い加熱の頻度を低減させる。なお、本例では、給水温度25℃以上を夏場と判断している。
【0079】
給水温度が25℃未満の場合は(ステップS103;No)、前回の給湯動作終了から8分30秒(冬場の判定基準時間)を経過していれば(ステップS104;No)、コールドスタートと判断し、給湯器12側での燃焼ありで給湯動作を開始させる(ステップS106)。
【0080】
ステップS106では、貯湯タンク14内に設定温度+1℃以上の湯があっても、なくても、給湯器12の入水口へ供給する湯水の温度が給湯器12でバーナ73の燃焼による加熱が行われる温度となるように、混合弁17の混合比を設定する。すなわち、混合弁17で混合後の湯水の温度が、設定温度より、給湯器12で最低加熱量(最低号数)の加熱を行った場合の温度上昇分以上、低い温度、となるように混合弁17の混合比を設定する。
【0081】
ここでは、設定温度−(給湯器12で最低加熱量の加熱を行った場合の上昇温度+マージン(たとえば、1℃))、を給湯器12の入水口へ供給する湯温の上限温度とする。貯湯タンク14に蓄えられている湯の温度がこの上限温度以上の場合は、上限温度の湯を供給し、貯湯タンク14に蓄えられている湯の温度が上限温度より低い場合は、供給可能な最高温度で湯水を供給する。つまり、給水を混ぜずに貯湯タンク14側からの湯水のみを供給する。また、ステップS106の給湯動作を開始した後は、出湯終了まで給湯器12による加熱動作が継続されるように、給湯器12の入水口へ供給する湯水の温度を前述の上限温度以下に制御する。
【0082】
なお、既設住宅に貯湯システム11を設置する場合に、既設の給湯器12を補助熱源機として流用するものとすると、使用される給湯器12として各種の機種が想定される。また同一機種であっても器具毎に最低加熱量にバラツキがある。そのため、想定されるすべての機種の中で最大の最低加熱量に器具のバラツキを考慮して所定のマージンを加えた熱量を最小限加熱量(たとえば、4号)として、上記の混合比を設定する。これにより、どの機種の給湯器12を補助熱源機に使用した場合でも、貯湯システム11側の意図通りに追い加熱を行わせることができる。
【0083】
既設の給湯器12の場合、貯湯システム11の制御ユニット60は、給湯器12とその給湯器12のリモコン89との通信内容から設定温度などの各種情報を受信したり、リモコン89からの指示として制御基盤70へ制御信号を送信したりすればよい。
【0084】
給水温度が25℃未満で(ステップS103;No)前回の給湯動作終了から8分30秒以内であれば(ステップS104;Yes)、コールドスタートでないと判断する。そして、給水温度が20℃以上か否かを調べる(ステップS107)。20℃以上ならば(ステップS107;Yes)、貯湯タンク14の上部(底部から80リットルの水位)の水温を検出する第4温度センサ44の検出温度が設定温度+1℃以上か否かを調べる(ステップS108)。設定温度+1℃以上であれば(ステップS108;Yes)、給湯器12側の燃焼なしで給湯が行われるように給湯動作を開始する(ステップS109)。つまり、給湯器12がコールドスタートでなく、かつ貯湯システム11側から設定温度+1℃の湯を給湯器12の入水口へ供給可能ならば、給湯器12側の燃焼なしで給湯が行われるように給湯動作を開始する。
【0085】
ステップS109の給湯動作では、混合温度センサ49の検出する温度が設定温度+1℃になるように、混合弁17の混合比を設定する。なお、設定温度に「+1」するのは、給湯器12を通って給湯配管13から出湯されるまでの間の温度低下分を考慮したものである。なお、給湯器12の入水口へ送り出す湯を設定温度より何度高く設定するかは適宜に定めればよく、+1℃に限定されるものではない。
【0086】
貯湯タンク14の上部の第4温度センサ44の検出温度が設定温度+1℃未満の場合は(ステップS108;No)、貯湯タンク14に必要温度の湯が蓄えられていない「湯切れ」と判断し、給湯器12側の燃焼ありで給湯動作を開始する(ステップS106)。
【0087】
コールドスタートでなくかつ給水温度が20℃未満の場合は(ステップS107;No)、貯湯タンク14の第3温度センサ43(底部から60リットルの水位の温度センサ)の検出温度が設定温度+1℃以上か否かを調べる(ステップS111)。第3温度センサ43の検出温度が設定温度+1℃以上であれば(ステップS111;Yes)、給湯器12がコールドスタートでなくかつ貯湯システム11側から設定温度+1℃の湯を給湯器12の入水口へ供給可能と判断し、給湯器12側の燃焼なしで給湯が行われるように給湯動作を開始する(ステップS109)。
【0088】
第3温度センサ43の検出温度が設定温度+1℃未満の場合は(ステップS111;No)、湯切れと判断して、給湯器12側の燃焼ありで給湯動作を開始する(ステップS106)。
【0089】
給水温度が20℃未満か否かにより、第4温度センサ44と第3温度センサ43とを切り替えるのは以下の理由による。
湯切れが近くなると、貯湯タンク14の上部には熱い湯があり、その下層は、貯湯タンク14の下部から供給される給水に近い温度の水になっている。このため、給水温度が低いほど貯湯タンク14上部の湯とその下層の湯水との温度差は大きくなる。この温度差が大きいと、貯湯タンク14上部の熱い湯が無くなってその下層の湯水が貯湯タンク14から出始めた(湯切れした)とき、給湯器12に供給される湯水の温度が急に低下するので、給湯器12の燃焼制御が追いつかず、一時的に、出湯温度が低下する現象が生じる。そこで、給水温度が低い場合には、湯切れする前に、貯湯タンク14からの湯と給水とを混合する混合弁17における給水の混合率を徐々に増やし、給湯器12に供給する湯水の温度を緩やかに低下させる制御を行う。こうすれば、湯切れが生じたときには既に混合弁17での給水の混合率が増えているので、貯湯タンク14から供給される湯水の温度が湯切れによって急に低下しても、混合弁17から給湯器12に供給される湯水の温度変化は小さく抑えられる。これにより、湯切れの際に給湯器12からの出湯温度が一時的に低下する現象が防止される。このように、混合弁17での給水の混合率を湯切れの前に徐々に増やす制御を行うには、その制御に要する時間を湯切れの前に稼ぐ必要がある。すなわち、貯湯タンク14の上部に熱い湯が多く残っている状態でこの制御を開始する必要がある。そこで、給水温度が低い場合(20℃未満の場合)は、給湯器燃焼ありで給湯を開始するために必要な貯湯タンク14上部の湯の量を、給水温度が高い場合(20℃以上の場合)に比べて、多くする。つまり、給水温度が20℃以上ならば(ステップS107;Yes)、給湯器燃焼ありで給湯を開始させるか否かを、貯湯タンク14の天井部から20リットル分下方の水位の湯温を検出する第4温度センサ44を使用して判断し(ステップS108)、20℃未満ならば上から40リットル分下方の水位の湯温を検出する第3温度センサ43を使用して判断する(ステップS111)。
【0090】
給水温度が25℃以上の場合は(ステップS103;Yes)、前回の給湯動作終了から17分(夏場の判定基準時間)を経過していれば(ステップS105;No)、コールドスタートと判断し、給湯器12側での燃焼ありで給湯動作を開始させる(ステップS106)。
【0091】
給水温度が25℃以上で(ステップS103;Yes)前回の給湯動作終了から17分以内であれば(ステップS105;Yes)、コールドスタートでないと判断する。そして、貯湯タンク14の上部の水温を検出する第4温度センサ44の検出温度が設定温度+1℃以上か否かを調べ(ステップS112)、設定温度+1℃以上であれば(ステップS112;Yes)、給湯器12側の燃焼なしで給湯が行われるように給湯動作を開始する(ステップS109)。貯湯タンク14の上部の第4温度センサ44の検出温度が設定温度+1℃未満の場合は(ステップS112;No)、貯湯タンク14の湯切れと判断して、給湯器12側の燃焼ありで給湯動作を開始する(ステップS106)。
【0092】
このように、給湯器12の熱交換器72が冷えた状態(コールドスタート)か否かを判断し、冷えた状態の場合は、貯湯タンク14から設定温度の湯を供給できる場合であっても、給湯器12側で加熱が行われるように、意図的に低い温度の湯水を給湯器12へ供給する。これにより、貯湯システム11から給湯器12へ設定温度の湯を供給した結果、冷えた熱交換器72に熱を奪われて出湯温度が設定温度より低下してしまうという現象の発生が回避され、設定温度の出湯が可能になる。
【0093】
また、熱交換器72が冷えた状態か否かを前回の給湯動作終了からの経過時間に基づいて判断するので、既設の給湯器12を流用した場合のように給湯器12と多くの情報を授受できない場合でも、貯湯システム11側において給湯器12の熱交換器72が冷えた状態にあるか否かを簡易に認識することができる。また、夏場は、熱交換器72が冷えた状態にあるか否かの判断基準時間を、冬場に比べて長くするので、夏場は熱交換器72が冷えた状態にあると判断する回数が減り、その分、追い加熱の実行が抑制され、貯湯システム11側の湯水の優先利用による省エネルギ化が促進される。
【0094】
なお、実施の形態では、給湯器12の熱交換器72が冷えた状態にあるか否かの判断基準となる判定基準時間を、給水温度に応じて切り替えたが、外気温度、もしくは給水温度と外気温度との組み合わせに基づいて切り替えるようにしてもよい。
【0095】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0096】
実施の形態では、補助熱源機を、バーナ73を燃焼させるタイプの給湯器12としたが、これに限定されるものではない。冷えた状態では放熱器となってしまうような熱交換器で湯水を加熱する方式の補助熱源機であれば、本発明の適用が有用となる。
【0097】
また、実施の形態では、判定基準時間を8分30秒と17分の2段階に切り替えたが、給水温度や外気温度に応じてより多段階に切り替えてもよいし、連続的(無段階)に変更するように構成されてもよい。
【0098】
実施の形態では貯湯タンク14内の水を太陽熱の集熱装置21を利用して加熱したが、貯湯タンク14内の水を加熱する加熱装置は、これに限定されるものではなく、たとえば、発電機の排熱などを利用するものなど、任意でよい。
【0099】
また、実施の形態では、既設の給湯器の流用を想定した貯湯システム11としたが、貯湯システム11が専用の給湯器12を含むようにしてもよい。この場合、給湯器12の最低加熱量などの特性を熟知できるため、その給湯器12の特性に合わせて混合比の調整等を行えばよい。
【0100】
なお、実施の形態では、給湯器12を一缶二水路型としたが風呂の追い焚きと給湯とを別々の熱交換器で行う給湯器であってもかまわない。
【0101】
給湯器12は、最低加熱量以下の加熱動作はできないので、最低加熱量の加熱を行った場合に出湯温度が設定温度を超える場合はバーナ73を燃焼させないようにしたが、例えば、浴槽への湯張り時には燃焼させないようにするが、シャワーや給湯使用時には燃焼させるようにしても良い。なぜならば、浴槽には「どぼん」と入る人がいる(熱い湯をよけるのに時間がかかる)のに対し、シャワーや給湯使用時にはシャワーをよけたり、手をどかせば熱い湯をよけることができるからである。さらにシャワーを浴びる温度は例えば45度以下と考えられるので、浴槽への湯張り時には所定温度以下の給湯使用時には燃焼させないようにするが、所定温度以上の給湯使用時には燃焼させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0102】
3…浴槽
10…給湯システム
11…貯湯システム
12…給湯器
13…給湯配管
14…貯湯タンク
15…給水管
15a…分岐給水管
16…接続配管
17…混合弁
17a…第1バルブ
17b…第2バルブ
18…熱交換用配管
19…シスターン
19a…水位センサ
20…水-水熱交換器
20a…内側管路
20b…外側管路
21…集熱装置
22…熱媒体循環経路
22a…第1熱媒配管
22b…第2熱媒配管
22c…第3熱媒配管
22d…第4熱媒配管
24…循環ポンプ
25…切替弁
25a…第1接続口
25b…第2接続口
25c…第3接続口
26…連結管
31…風呂往き管
32…風呂戻り管
41…第1温度センサ
42…第2温度センサ
43…第3温度センサ
44…第4温度センサ
46…タンク出湯温度センサ
47…給水温度センサ
48…水量センサ
49…混合温度センサ
51…高温センサ
52…熱媒温度センサ
53…風呂温度センサ
54…出湯禁止電磁弁
55…排水電磁弁
56…圧力逃がし弁
60…制御ユニット
70…制御基盤
71…入水管
72…熱交換器
72a…給湯用水管
72b…追い炊き用水管
72c…フィン
73…バーナ
74…ガス供給管
75…ガス弁
76…比例弁
77…連結管
78…注湯電磁弁
79…水量サーボ
80…出湯温度センサ
81…バイパス管
82…バイパス調整弁
83…流量センサ
84…入水温度センサ
85…風呂循環ポンプ
86…流水スイッチ
87…風呂往き温度センサ
88…風呂戻り温度センサ
89…操作パネル(リモコン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水路が入口に接続された貯湯タンクと、
前記貯湯タンクに蓄えられた水を加熱する加熱機と、
入水口から供給される水を熱交換器で加熱して出湯する補助熱源機の前記入水口と前記貯湯タンクの出口とを接続する接続配管と、
前記接続配管の途中に介挿され、前記貯湯タンクから供給される水と給水路から供給される水とを混合する混合弁と、
前記補助熱源機による加熱無しにもしくは前記補助熱源機による加熱を足して設定温度の出湯が行われるように前記混合弁の混合比を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記貯湯タンクに前記設定温度より所定温度以上高い湯が蓄えられている場合であっても前記補助熱源機の熱交換器が冷えた状態の場合は、前記入水口へ供給する水の温度が、前記補助熱源機による加熱を足して前記設定温度の出湯が行われる入水温度となるように、前記混合弁の混合比を制御する
ことを特徴とする貯湯システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記貯湯タンクに前記設定温度より所定温度以上高い湯が貯湯されている場合であって前記補助熱源機の熱交換器が冷えた状態でない場合は、前記補助熱源機による加熱無しに前記設定温度の出湯が行われるように前記混合弁の混合比を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の貯湯システム。
【請求項3】
前記制御部は、前回の出湯終了から所定の判定基準時間以上経過しているときは、前記熱交換器が前記冷えた状態にあると判断し、前回の出湯終了から前記判定基準時間の経過前であれば、前記熱交換器は前記冷えた状態でないと判断する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の貯湯システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記判定基準時間を、給水温度もしくは外気温度が第1の温度より低い場合に設定する時間より、給水温度もしくは外気温度が前記第1温度より高い場合に長くする
ことを特徴とする請求項3に記載の貯湯システム。
【請求項5】
前記補助熱源機は、所定の最低加熱量以上の加熱動作のみ可能であり、
前記制御部は、当該貯湯システムに接続して使用され得る複数の補助熱源機の中の最大の最低加熱量に所定のマージンを加えた熱量を最小限加熱量とし、前記入水口へ供給する水の温度が、前記最小限加熱量による前記補助熱源機での温度上昇分を前記設定温度から減じた温度以下になるように前記混合比を設定する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の貯湯システム。
【請求項6】
前記補助熱源機を有し、
前記補助熱源機は、所定の最低加熱量以上の加熱動作のみ可能であり、
前記制御部は、前記補助熱源機の最低加熱量に所定のマージンを加えた熱量を最小限加熱量とし、前記入水口へ供給する水の温度が、前記最小限加熱量による前記補助熱源機での温度上昇分を前記設定温度から減じた温度以下になるように前記混合比を設定する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の貯湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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