説明

貯湯式給湯システム

【課題】 蓄熱給湯運転から燃焼給湯運転へ切換える際の、給湯箇所への給湯温度を安定化することが可能な技術を提供する。
【解決手段】 本明細書が開示する貯湯式給湯システムは、貯湯タンクと、貯湯タンクからの水を必要に応じて加熱する補助熱源機と、貯湯タンクからの水を補助熱源機を経由して給湯箇所へ送る熱源機経路と、貯湯タンクからの水を補助熱源機を経由しないで給湯箇所へ送るバイパス経路と、バイパス経路に設けられたバイパス制御弁と、熱源機経路を流れる水とバイパス経路を流れる水の合計流量を取得する流量取得手段を備えている。その貯湯式給湯システムは、蓄熱給湯運転と燃焼給湯運転を切り換え可能である。その貯湯式給湯システムでは、蓄熱給湯運転において、流量取得手段で取得される合計流量が少ないほど、バイパス制御弁の開度を下げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯式給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に補助熱源機を備える貯湯式給湯システムが開示されている。この貯湯式給湯システムでは、貯湯タンクに十分な量の高温の水が貯えられている場合には、補助熱源機による加熱を行うことなく、給湯箇所への給湯を行う。このような態様での給湯運転を、以下では蓄熱給湯運転という。蓄熱給湯運転を行うことにより、貯湯タンクに貯えられた高温の水が減少していく。貯湯タンクが湯切れした場合には、補助熱源機による加熱を利用して、給湯箇所への給湯を行う。このような態様での給湯運転を、以下では燃焼給湯運転という。
【0003】
特許文献1の貯湯式給湯システムは、貯湯タンクからの水を補助熱源機を経由して給湯箇所へ送る熱源機経路と、貯湯タンクからの水を補助熱源機を経由しないで給湯箇所へ送るバイパス経路と、バイパス経路に設けられたバイパス制御弁を備えている。蓄熱給湯運転を行っている間は、バイパス制御弁を全開にする。これにより、貯湯タンクからの水は熱源機経路とバイパス経路の双方を流れることになり、給湯箇所へ水を送る際の圧力損失が低下し、給湯箇所へ十分な流量での給湯を行うことができる。また、燃焼給湯運転を行っている間は、バイパス制御弁を全閉にする。これにより、貯湯タンクからの水は全て熱源機経路に流れることになり、補助熱源機における温度調整が容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−210182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓄熱給湯運転においてバイパス制御弁を全開にすると、多くの水は圧力損失が小さいバイパス経路を流れて、圧力損失が大きい熱源機経路には少量の水が流れる。給湯箇所への給湯流量が少ない場合はこの傾向が顕著となり、大部分の水はバイパス経路を流れて、熱源機経路にはほとんど水が流れなくなる。その結果、熱源機経路の内部に水が滞留してしまう。熱源機経路の内部に滞留した水は、自然放熱によって徐々に冷却されて、低温の水となってしまう。
【0006】
熱源機経路の内部に低温の水が滞留している状態で、貯湯タンクが湯切れして蓄熱給湯運転から燃焼給湯運転に切り換わると、バイパス制御弁を全閉とすることで、貯湯タンクからの水が全て熱源機経路に送り出され、熱源機経路の内部に滞留している低温の水が給湯箇所へ押し出されてしまう。特に、補助熱源機よりも下流側の熱源機経路の内部に滞留している低温の水は、補助熱源機による加熱がなされないまま、給湯箇所に送り出されてしまう。蓄熱給湯運転から燃焼給湯運転へ切換える際に、給湯温度が不安定となってしまう。
【0007】
本明細書で開示する技術は、上記の課題を解決するために創作されたものである。本明細書では、蓄熱給湯運転から燃焼給湯運転へ切換える際の、給湯箇所への給湯温度を安定化することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書が開示する貯湯式給湯システムは、貯湯タンクと、貯湯タンクからの水を必要に応じて加熱する補助熱源機と、貯湯タンクからの水を補助熱源機を経由して給湯箇所へ送る熱源機経路と、貯湯タンクからの水を補助熱源機を経由しないで給湯箇所へ送るバイパス経路と、バイパス経路に設けられたバイパス制御弁と、熱源機経路を流れる水とバイパス経路を流れる水の合計流量を取得する流量取得手段を備えている。その貯湯式給湯システムは、補助熱源機による加熱を行うことなく給湯箇所へ給湯する蓄熱給湯運転と、補助熱源機による加熱を行って給湯箇所へ給湯する燃焼給湯運転を切り換え可能である。その貯湯式給湯システムでは、蓄熱給湯運転において、流量取得手段で取得される合計流量が少ないほど、バイパス制御弁の開度を下げる。
【0009】
上記の貯湯式給湯システムでは、蓄熱給湯運転の際に、熱源機経路を流れる水とバイパス経路を流れる水の合計流量が少ないほど、バイパス制御弁の開度を下げる。これにより、蓄熱給湯運転において、給湯流量が少ないときでも、確実に熱源機経路に水を流すことができる。従って、熱源機経路の内部に低温の水が滞留してしまう事態を防ぐことができる。蓄熱給湯運転から燃焼給湯運転に切り換る際に、熱源機経路から給湯箇所へ低温の水が送られてしまう事態を防ぐことができる。蓄熱給湯運転から燃焼給湯運転への切り替えの際の給湯温度を安定化することができる。
【0010】
上記の貯湯式給湯システムでは、蓄熱給湯運転において、熱源機経路を流れる水の流量に対するバイパス経路を流れる水の流量の比率が一定となるように、バイパス制御弁の開度を調整することが好ましい。
【0011】
上記の貯湯式給湯システムによれば、蓄熱給湯運転において、給湯箇所への給湯流量が少ない場合であっても、確実に熱源機経路に水を流すことができる。
【発明の効果】
【0012】
本明細書が開示する貯湯式給湯システムによれば、蓄熱給湯運転から燃焼給湯運転へ切り換える際の、給湯箇所への給湯温度を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の給湯システム10の構成を模式的に示す図である。
【図2】実施例1の給湯システム10の動作を説明するフローチャートである。
【図3】実施例1の給湯システム10における、バイパス制御弁74の開度と、熱源機往路54を流れる水と熱源機バイパス路58を流れる水の合計流量と、熱源機/バイパス流量比率の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施例に係る給湯機について、図面を参照しながら説明する。図1は、給湯システム10の概略構成を示す接続図である。給湯システム10は、給湯箇所(例えば、蛇口、浴槽、シャワー等)に給湯設定温度での給湯を行う。図示するように、給湯システム10は、ヒートポンプ(HP)ユニット12と、タンクユニット14と、ガス熱源機16と、コントローラ15を備えている。
【0015】
HPユニット12は、熱媒体(本実施例では二酸化炭素)を循環させる熱媒体循環路20と、熱媒体循環路20に配設されている蒸発器22、圧縮器24、凝縮器26および膨張弁28と、蓄熱循環水路30と、蓄熱循環水路30に配設されている蓄熱循環ポンプ32を備えている。
【0016】
蒸発器22は、外気を送風するファン22aを備えており、送風した外気と熱媒体循環路20内の熱媒体との間で熱交換させる熱交換器である。後に説明するように、蒸発器22には、膨張弁28を通過後の低圧低温の液体状態にある熱媒体が供給される。蒸発器22は、熱媒体と外気とを熱交換させることによって、熱媒体を加熱する。熱媒体は、加熱されることにより気化して、比較的高温であり、低圧の気体状態となる。
【0017】
圧縮器24は、熱媒体循環路20内の熱媒体を圧縮して凝縮器26側に送り出す。圧縮器24が熱媒体循環路20内の熱媒体を送り出すので、熱媒体が、蒸発器22、圧縮器24、凝縮器26、膨張弁28の順に熱媒体循環路20内を循環する。圧縮器24には、蒸発器22を通過後の熱媒体が供給される。すなわち、比較的高温であり、低圧の気体状態にある熱媒体が供給される。圧縮器24が熱媒体を圧縮すると、熱媒体は高温高圧の気体状態となる。
【0018】
凝縮器26は、熱媒体循環路20内の熱媒体と蓄熱循環水路30内の水との間で熱交換させる熱交換器である。凝縮器26の熱媒体循環路20には、圧縮器24から送り出された熱媒体が供給される。すなわち、高温高圧の気体状態にある熱媒体が供給される。凝縮器26では、熱媒体によって蓄熱循環水路30内の水が加熱される。また、熱媒体は、熱を奪われることによって冷却される。これによって、熱媒体は、比較的低温であり、高圧の液体状態となる。
【0019】
膨張弁28には、凝縮器26を通過後の熱媒体が供給される。すなわち、比較的低温であり、高圧の液体状態の熱媒体が供給される。熱媒体は、膨張弁28を通過すると、減圧されて膨張する。これによって、低温低圧の液体状態となる。膨張弁28を通過した熱媒体は、上述したように蒸発器22に供給される。
【0020】
HPユニット12が作動すると、圧縮器24、ファン22a、蓄熱循環ポンプ32が駆動する。これによって、熱媒体循環路20内の熱媒体が外気から熱を吸収し、高温となった熱媒体によって蓄熱循環水路30内を流れる水が加熱される。
【0021】
タンクユニット14は、貯湯タンク40と、蓄熱循環往路42と、蓄熱循環復路44と、タンク給水路46と、タンク出水路48と、第1給湯路50と、第2給湯路52と、熱源機往路54と、熱源機復路56と、熱源機バイパス路58と、タンクバイパス路60を備えている。
【0022】
貯湯タンク40は、HPユニット12によって加熱された高温の水を貯える。貯湯タンク40の底部近傍には蓄熱循環往路42が接続されており、貯湯タンク40の頂部近傍には蓄熱循環復路44が接続されている。HPユニット12の蓄熱循環ポンプ32が駆動すると、貯湯タンク40の下部から低温の水が吸い出されて、蓄熱循環往路42を経て蓄熱循環水路30に送られる。凝縮器26を通過することで加熱された水は、蓄熱循環水路30から蓄熱循環復路44を経て貯湯タンク40の上部に戻される。貯湯タンク40内には、上部に高温の水の層が形成され、下部に低温の水の層が形成される。このように、高温の層と低温の層が形成されている状態を、温度成層という。貯湯タンク40の上部には、内部の水の温度を検出するタンクサーミスタ41が設けられている。
【0023】
貯湯タンク40の底部近傍にはタンク給水路46が接続されており、貯湯タンク40の頂部近傍にはタンク出水路48が接続されている。タンク給水路46は上水道に接続しており、貯湯タンク40の下部に低温の水(水道水)を供給する。タンク出水路48はタンクバイパス路60と合流して第1給湯路50に接続しており、貯湯タンク40の上部の水を第1給湯路50に送り出す。タンク出水路48には、タンク出水路48を流れる水の流量を調整する高温水制御弁62、タンク出水路48を流れる水の流量を検出する高温水流量センサ64、タンク出水路48を流れる水の温度を検出する高温水サーミスタ66が設けられている。
【0024】
タンクバイパス路60は、タンク給水路46から分岐し、タンク出水路48と合流して第1給湯路50に接続している。タンクバイパス路60には、タンクバイパス路60を流れる水の流量を調整する低温水制御弁68、タンクバイパス路60を流れる水の流量を検出する低温水流量センサ70、タンクバイパス路60を流れる水の温度を検出する低温水サーミスタ72が設けられている。
【0025】
第1給湯路50には、タンク出水路48からの高温の水と、タンクバイパス路60からの低温の水が混合した水が供給される。貯湯タンク40の上部に給湯設定温度よりも高い温度の水が貯えられている場合には、高温水制御弁62の開度と、低温水制御弁68の開度を調整することによって、タンク出水路48からの高温の水の流量と、タンクバイパス路60からの低温の水の流量の比率を調整して、給湯設定温度に調温された水を第1給湯路50に流すことができる。高温水制御弁62および低温水制御弁68は、いわゆるミキシングバルブを構成している。第1給湯路50には、第1給湯路50を流れる水の温度を検出する第1給湯サーミスタ73が設けられている。
【0026】
第1給湯路50は、熱源機往路54と熱源機バイパス路58に分岐している。熱源機往路54は、ガス熱源機16を介して、熱源機復路56に接続している。熱源機復路56は、熱源機バイパス路58と合流して第2給湯路52に接続している。熱源機バイパス路58には、熱源機バイパス路58を流れる水の流量を調整するバイパス制御弁74が設けられている。第2給湯路52には、第2給湯路52を流れる水の温度を検出する第2給湯サーミスタ76が設けられている。
【0027】
ガス熱源機16は、ガスを燃焼させるバーナ78と、バーナ78の燃焼熱を利用して内部を流れる水を加熱する燃焼加熱路80を備えている。燃焼加熱路80の上流側は熱源機往路54に接続しており、燃焼加熱路80の下流側は熱源機復路56に接続している。ガス熱源機16は、熱源機往路54から受け入れた水を必要に応じて加熱し、熱源機復路56へ送り出す。
【0028】
コントローラ15は、HPユニット12、タンクユニット14およびガス熱源機16の各構成要素の動作を制御する。
【0029】
次に、図2のフローチャートを参照しながら、給湯システム10の動作について説明する。給湯システム10に電源が投入されると、コントローラ15は以下の処理を行う。
【0030】
ステップS2では、給湯箇所への給湯流量が所定値を超えるまで待機する。本実施例の給湯システム10では、高温水流量センサ64で検出される高温水流量と、低温水流量センサ70で検出される低温水流量を合算して合計流量を算出することで、給湯箇所への給湯流量を取得する。ステップS2で給湯箇所への給湯流量が所定値を超えると(YESとなると)、ステップS4へ進む。
【0031】
ステップS4では、貯湯タンク40における湯切れの有無を判断する。本実施例の給湯システム10では、タンクサーミスタ41で検出されるタンク上部温度Taが、給湯設定温度T0以上である場合に、貯湯タンク40には十分な量の温水が貯えられており、湯切れをしていないと判断する。なお、貯湯タンク40における湯切れの判断は、他の様々な手法によって行ってもよい。ステップS4で貯湯タンク40が湯切れをしていないと判断した場合(NOの場合)、ステップS6へ進む。
【0032】
ステップS6では、給湯箇所への給湯温度が給湯設定温度T0に一致するように、高温水制御弁62と低温水制御弁68の開度をそれぞれ調整する。高温水制御弁62と低温水制御弁68の開度の調整は、様々な手法により行うことができる。例えば、高温水サーミスタ66で検出される温度Tbと、低温水サーミスタ72で検出される温度Tcと、給湯設定温度T0に基づいて、高温水制御弁62と低温水制御弁68の開度を調整してもよい。あるいは、第1給湯サーミスタ73で検出される温度Tdと、給湯設定温度T0に基づいて、高温水制御弁62と低温水制御弁68の開度を調整してもよい。高温水制御弁62と低温水制御弁68の開度をそれぞれ調整することで、第1給湯路50には給湯設定温度T0に調温された水が供給される。
【0033】
ステップS8では、バイパス制御弁74の開度を調整する。本実施例の給湯システム10では、熱源機往路54を流れる水と熱源機バイパス路58を流れる水の合計流量、すなわち給湯箇所への給湯流量に応じて、バイパス制御弁74の開度を調整する。
【0034】
図3は、バイパス制御弁74の開度と、熱源機往路54を流れる水と熱源機バイパス路58を流れる水の合計流量と、熱源機/バイパス流量比率の関係を示している。ここでいう熱源機/バイパス流量比率とは、熱源機往路54を流れる水の流量に対する、熱源機バイパス路58を流れる水の流量の比率を示している。バイパス制御弁74の開度を一定とした場合、合計流量がある程度の大きさであれば、合計流量に関わらず熱源機/バイパス流量比率はほぼ一定となる。しかしながら、合計流量が少なくなると、熱源機/バイパス流量比率は急激に上昇する。これは、合計流量が少なくなると、第1給湯路50からの水の大部分が熱源機バイパス路58を流れて、熱源機往路54にはほとんど水が流れなくなってしまうことを意味している。
【0035】
そこで、本実施例の給湯システム10では、熱源機/バイパス流量比率がほぼ一定となるように、熱源機往路54を流れる水と熱源機バイパス路58を流れる水の合計流量に応じて、バイパス制御弁74の開度を調整する。より具体的には、合計流量が所定値(例えば12リットル/分)を超えている場合には、バイパス制御弁74の開度を100%とする。この場合には、合計流量の大きさに関わらず、熱源機/バイパス流量比率はほぼ一定となる。そして、合計流量が所定値を下回る場合には、熱源機/バイパス流量比率がほぼ一定に保たれるように、バイパス制御弁74の開度を下げる。バイパス制御弁74の開度は、例えば図3に示す関係から、任意の合計流量に対して、一定の熱源機/バイパス流量比率を実現するバイパス制御弁74の開度を線形補間によって算出しておくことで、設定しておくことができる。これによって、合計流量が少ない場合でも、熱源機往路54に温水を確実に送り出し、ガス熱源機16および熱源機復路56内に水が滞留することを防止することができる。ステップS8でバイパス制御弁74の開度を調整した後、ステップS10へ進む。
【0036】
ステップS10では、給湯箇所への給湯が終了したか否かを判断する。本実施例の給湯システム10では、給湯箇所への給湯流量が所定値を下回った場合に、給湯箇所への給湯が終了したと判断する。ステップS10で給湯が終了したと判断した場合(YESの場合)、給湯システム10は給湯運転を終了する。給湯が終了していないと判断した場合(NOの場合)、ステップS4へ戻る。
【0037】
ステップS6からステップS10までの一連の動作においては、給湯システム10はガス熱源機16による加熱を行うことなく、貯湯タンク40に貯えられた高温の水を利用して給湯箇所への給湯を行っている。すなわち、給湯システム10は蓄熱給湯運転を行っている。この蓄熱給湯運転を継続していくと、貯湯タンク40に貯えられた高温の水が減少していき、貯湯タンク40が湯切れを生じることになる。
【0038】
ステップS4で、貯湯タンク40が湯切れしたと判断した場合(YESの場合)、ステップS12へ進む。
【0039】
ステップS12では、バイパス制御弁74を全閉にする。これにより、第1給湯路50を流れる水の全量が熱源機往路54へ送り出される。
【0040】
ステップS14では、ガス熱源機16を作動する。第1給湯路50から熱源機往路54へ流れた水は、ガス熱源機16で加熱された後、熱源機復路56から第2給湯路52へ流入し、給湯箇所へ送られる。
【0041】
ステップS16では、給湯箇所への給湯温度が給湯設定温度T0に一致するように、ガス熱源機16での火力を調整する。ガス熱源機16での火力の調整は、例えば第2給湯サーミスタ76で検出される温度Teと、給湯設定温度T0に基づいて行うことができる。
【0042】
ステップS18では、ステップS10と同様に、給湯箇所への給湯が終了したか否かを判断する。ステップS18で給湯が終了したと判断した場合(YESの場合)、ステップS20でガス熱源機16を停止した後、給湯システム10は給湯運転を終了する。ステップS18で給湯が終了していないと判断した場合(NOの場合)、ステップS16へ戻る。
【0043】
ステップS12からステップS18までの一連の動作においては、給湯システム10はガス熱源機16による加熱を利用して、給湯箇所への給湯を行っている。すなわち、給湯システム10は燃焼給湯運転を行っている。
【0044】
仮に、蓄熱給湯運転において、バイパス制御弁74を常に全開とした場合、第1給湯路50からの水の大部分は熱源機バイパス路58を流れて、熱源機往路54、ガス熱源機16、熱源機復路56にはわずかな水しか流れなくなる。特に、給湯箇所への給湯流量が少ない場合には、この傾向は顕著となり、熱源機往路54、ガス熱源機16、熱源機復路56にはほとんど水が流れなくなる。このような場合、熱源機往路54、ガス熱源機16、熱源機復路56内に滞留した水は、自然放熱によって温度が低下していく。その後に蓄熱給湯運転から燃焼給湯運転に切り換える際に、ステップS12でバイパス制御弁74を全閉にすることで、ガス熱源機16や熱源機復路56内に滞留していた水は、ガス熱源機16で加熱されることなく、第2給湯路52を経て給湯箇所へ供給されてしまう。その結果、給湯箇所に低温の水が一時的に供給されてしまい、給湯温度が不安定となってしまう。
【0045】
上記の点について、本実施例の給湯システム10では、ステップS8に示すように、蓄熱給湯運転において、熱源機往路54を流れる水と熱源機バイパス路58を流れる水の合計流量に応じて、バイパス制御弁74の開度を調整する。このような構成とすることによって、給湯箇所への給湯流量が少ない場合であっても、熱源機往路54、ガス熱源機16および熱源機復路56に確実に水を送り出し、熱源機往路54、ガス熱源機16および熱源機復路56内に水が滞留することを防止することができる。蓄熱給湯運転から燃焼給湯運転に切り換る際に、ガス熱源機16や熱源機復路56から低温の水が給湯箇所へ送り出されてしまう事態を防ぐことができる。蓄熱給湯運転から燃焼給湯運転に切り換る際の給湯温度を安定化することができる。
【0046】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
【0047】
上記の実施例では、貯湯タンク40にHPユニット12によって加熱された高温の水を貯える場合について説明した。これとは異なり、例えば太陽熱温水器によって加熱された高温の水を貯湯タンク40に貯える構成としてもよい。あるいは、コージェネレーションシステムの排熱を利用して加熱された高温の水を貯湯タンク40に貯える構成としてもよい。
【0048】
上記の実施例では、高温水流量センサ64で検出される高温水流量と、低温水流量センサ70で検出される低温水流量を合算することで、温水利用箇所への給湯流量、すなわち熱源機往路54を流れる水と熱源機バイパス路58を流れる水の合計流量を取得している。これとは異なり、例えば第1給湯路50または第2給湯路52に流量センサを別途設けておいて、その検出値から給湯箇所への給湯流量、すなわち熱源機往路54を流れる水と熱源機バイパス路58を流れる水の合計流量を取得してもよい。あるいは、給湯システム10から給湯箇所への給湯流量は上水道から給湯システム10への給水流量と同じであるから、上水道から給湯システム10への給水流量を検出する流量センサを別途設けておいて、その検出値を給湯箇所への給湯流量、すなわち熱源機往路54を流れる水と熱源機バイパス路58を流れる水の合計流量としてもよい。
【0049】
上記の実施例では、タンク給水路46から分岐するタンクバイパス路60が第1給湯路50の上流側でタンク出水路48と合流する構成について説明した。これとは異なり、タンク給水路46から分岐するタンクバイパス路60が第2給湯路52に合流する構成としてもよい。なお、この場合は、高温水流量センサ64で検出される高温水流量が、熱源機往路54を流れる水と熱源機バイパス路58を流れる水の合計流量に相当する。
【0050】
上記の実施例では、熱源機/バイパス流量比率がほぼ一定となるようにバイパス制御弁74の開度を調整する構成について説明した。これとは異なり、熱源機往路54を流れる水の流量がほぼ一定となるようにバイパス制御弁74の開度を調整する構成としてもよい。但し、上記の実施例の方が、合計流量が所定値を超えている場合のバイパス制御弁74の開度がほぼ一定でよく、調整が容易であるため、より実用的である。
【0051】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0052】
10 給湯システム
12 ヒートポンプユニット
14 タンクユニット
15 コントローラ
16 ガス熱源機
20 熱媒体循環路
22 蒸発器
22a ファン
24 圧縮器
26 凝縮器
28 膨張弁
30 蓄熱循環水路
32 蓄熱循環ポンプ
40 貯湯タンク
41 タンクサーミスタ
42 蓄熱循環往路
44 蓄熱循環復路
46 タンク給水路
48 タンク出水路
50 第1給湯路
52 第2給湯路
54 熱源機往路
56 熱源機復路
58 熱源機バイパス路
60 タンクバイパス路
62 高温水制御弁
64 高温水流量センサ
66 高温水サーミスタ
68 低温水制御弁
70 低温水流量センサ
72 低温水サーミスタ
73 第1給湯サーミスタ
74 バイパス制御弁
76 第2給湯サーミスタ
78 バーナ
80 燃焼加熱路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクと、
貯湯タンクからの水を必要に応じて加熱する補助熱源機と、
貯湯タンクからの水を補助熱源機を経由して給湯箇所へ送る熱源機経路と、
貯湯タンクからの水を補助熱源機を経由しないで給湯箇所へ送るバイパス経路と、
バイパス経路に設けられたバイパス制御弁と、
熱源機経路を流れる水とバイパス経路を流れる水の合計流量を取得する流量取得手段を備えており、
補助熱源機による加熱を行うことなく給湯箇所へ給湯する蓄熱給湯運転と、補助熱源機による加熱を行って給湯箇所へ給湯する燃焼給湯運転を切り換え可能であり、
蓄熱給湯運転において、流量取得手段で取得される合計流量が少ないほど、バイパス制御弁の開度を下げることを特徴とする貯湯式給湯システム。
【請求項2】
蓄熱給湯運転において、熱源機経路を流れる水の流量に対するバイパス経路を流れる水の流量の比率が一定となるように、バイパス制御弁の開度を調整することを特徴とする請求項1の貯湯式給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−113495(P2013−113495A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260222(P2011−260222)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】