説明

貯湯式給湯暖房装置

【課題】温水循環暖房回路内循環水の補水メンテナンスを必要とする貯湯式給湯暖房装置で、暖房を止めることなく自動的に補水メンテナンスを行うものに関する。
【解決手段】入水管8と出湯管7が接続され湯水を貯湯する貯湯タンク2と、前記貯湯タンク2内の湯水を加熱する熱源装置3と、前記貯湯タンク2内の高温水を熱源とする温水暖房循環回路24とを備え、前記貯湯タンク2又は前記出湯管7に圧力を逃がすための安全弁6を設けると共に、前記安全弁6を前記温水暖房循環回路内24の膨張タンク25に連通させたことによって、沸き上げ運転時の体積膨張分が前記温水暖房循環回路24の循環水として補水されることになるため、補水メンテナンスの度に暖房を止める必要がなくなり、快適で経済的な暖房を行うことが出来るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヒートポンプ給湯器や電気温水器等の貯湯式給湯暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものでは、暖房運転時に温水暖房回路内の循環水が少しずつ蒸発するため、「給水管と膨張タンクを電磁バルブを介して連通させる」等の回路を用いて補水メンテナンスを行うことによって、良好な暖房状態とすることが出来るものであった。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特許第2712667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来のものでは、補水メンテナンスが終了するまで暖房が使えなくなること、構成部品が増えるためにコストが上がり故障しやすくなること等の不具合があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し上記問題点を解決する為、特にその構成を請求項1では、入水管と出湯管が接続され湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する熱源装置と、前記貯湯タンク内の高温水を熱源とする温水暖房循環回路とを備え、前記貯湯タンク又は前記出湯管に圧力を逃がすための安全弁を設けると共に、前記安全弁の排水口を前記温水暖房循環回路内の膨張タンクに連通させたものである。
【0005】
又請求項2では、前記膨張タンクは、前記温水暖房循環回路内の放熱器と熱交換器とを接続する暖房戻り管の途中に設けるものである。
【0006】
又請求項3では、前記熱源装置は、深夜電力や時間帯別契約電力を利用して湯を沸かすヒートポンプ式給湯器あるいは電気温水器から成るものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の請求項1によれば、前記貯湯タンク内を高温の湯水で満たす際の沸き上げ運転時に体積膨張によって前記貯湯タンクから溢れ出る温水が、前記安全弁を通って温水暖房回路の循環水の補水となるものである。
【0008】
又請求項2では、前記膨張タンクを前記温水暖房循環回路内の放熱器と熱交換器とを接続する暖房戻り管の途中に設けることによって、前記安全弁を通って補水される高温熱媒が直接的に前記放熱器へ流入することなく、低温熱媒と共に前記熱交換器を通過し温度調整されるために、前記放熱器に流入する熱媒の温度変動を防ぐことが出来るものである。
【0009】
又請求項3では、安価な深夜電力や時間帯別電力を利用して沸き上げた湯水の体積膨張分を排水せずに補水に用い、補水メンテナンスのために暖房運転を止めることなく、極めて快適で経済的な暖房装置を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次にこの発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は深夜電力や時間帯別契約電力の電力単価が安価な深夜時間帯に湯水を沸き上げて貯湯し、この貯湯した湯水を主に給湯に用いるヒートポンプ式給湯器からなる熱源機器で、湯水を貯湯する貯湯タンク2を備えた貯湯タンクユニットから構成されており、3は貯湯タンク2内の湯水を加熱する加熱手段としてのヒートポンプユニット、4は台所や洗面所等に設けられた給湯栓、5は貯湯タンク2内の高温水を熱源とする床暖パネルからなる放熱器である。
【0011】
前記貯湯タンクユニット1の貯湯タンク2は、上端に圧力を逃がすための安全弁6が設けられた出湯管7と下端に給水管8が接続され、さらに、下部に加熱循環回路を構成する加熱往き管9と、上部に加熱循環回路を構成する加熱戻り管10とが接続され、前記ヒートポンプユニット3によって加熱往き管9から取り出した貯湯タンク2内の湯水を沸き上げて加熱戻り管10から貯湯タンク2内に戻して貯湯され、給水管8からの給水により貯湯タンク2内の湯水が押し上げられて貯湯タンク2内の上部の高温水が出湯管7から押し出されて給湯されるものである。
【0012】
前記ヒートポンプユニット3は、圧縮機11と凝縮器としての冷媒‐水熱交換器12と電子膨張弁13と強制空冷式の蒸発器14で構成されたヒートポンプ回路15と、貯湯タンク2内の湯水を前記加熱往き管9及び加熱戻り管10を介して冷媒‐水熱交換器12に循環させる加熱循環ポンプ16と、それらの駆動を制御する加熱制御部17とを備え、貯湯タンク2内の湯水を循環して指示された沸き上げ温度まで沸かし上げるものである。
【0013】
18は前記放熱器5の熱媒である湯水を加熱するための熱交換器で、その一次側には貯湯タンク2上部に接続された熱交往き管19と貯湯タンク2下部に接続された熱交戻り管20とが接続されて熱交循環回路を構成し、熱交戻り管20途中に設けられた熱交循環ポンプ21の作動により貯湯タンク2から取り出した高温水を熱交換器18に循環させ、熱交換により温度低下した中温水を再び貯湯タンク2内に戻すものである。
【0014】
前記熱交換器18の二次側には、熱利用機器5の循環水を循環可能に暖房往き管22と暖房戻り管23より構成される暖房循環回路24が接続され、暖房戻り管23途中に設けられた膨張タンク25によって循環水の体積膨張による水圧上昇を吸収し、同じく暖房戻り管23途中に設けられた暖房循環ポンプ26の作動により熱利用機器5の循環水が熱交換器18に循環されて、一次側の高温水により加熱されて暖房あるいは乾燥が行われるものである。
【0015】
27は前記貯湯タンク2または前記出湯管7に設けられた安全弁6の排水口と前記膨張タンク25とを連通する補水注入管である。前記貯湯タンク2内の湯水が沸き上げ運転の際に体積膨張することによってある基準水圧を上回ったとき、前記安全弁6が作動し、余剰体積分を補水注入管27を通して前記暖房循環回路24の循環水の補水分として前記膨張タンク25に注入されるものである。又、膨張タンク25を暖房戻り管23の途中に設けることによって、安全弁6を通って補水される高温熱媒が直接的に放熱器5へ流入することなく、低温熱媒と共に熱交換器18を通過し温度調整されるために、放熱器5に流入する熱媒の温度変動を防ぐという効果がある。
【0016】
補水注入管27によって安全弁6の排水口と前記膨張タンク25とを連通させたことにより、運転時には常に自動的に循環水の補水が行われることになるため、従来の構造では必要であった補水メンテナンスが不要となるものである。又従来であれば捨て水となっていた余剰体積分を循環水として有効利用するために無駄の少ない経済的な運転が可能となるものである。初設置時に、従来では循環水の液張りのためにホースなどで外部から循環水を注入する必要があったが、本考案では安全弁6を開くことで簡単に注入可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施形態の概略構成図
【符号の説明】
【0018】
1 貯湯タンクユニット
2 貯湯タンク
3 ヒートポンプユニット
5 放熱器
6 安全弁
7 出湯管
8 入水管
18 熱交換器
23 暖房戻り管
24 暖房循環回路
25 膨張タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入水管と出湯管が接続され湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する熱源装置と、前記貯湯タンク内の高温水を熱源とする温水暖房循環回路とを備え、前記貯湯タンク又は前記出湯管に圧力を逃がすための安全弁を設けると共に、前記安全弁の排水口を前記温水暖房循環回路内の膨張タンクに連通させたことを特徴とする貯湯式給湯暖房装置。
【請求項2】
前記膨張タンクは、前記温水暖房循環回路内の放熱器と熱交換器とを接続する暖房戻り管の途中に設けることを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯暖房装置。
【請求項3】
前記熱源装置は、深夜電力や時間帯別契約電力を利用して湯を沸かすヒートポンプ式給湯器あるいは電気温水器から成ることを特徴とする請求項1または2記載の貯湯式給湯暖房装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−10147(P2006−10147A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185857(P2004−185857)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】