説明

貯湯式給湯装置

【課題】給湯経路に設けられた給湯逆止弁の故障を判定する機能を備えた貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】混合弁14で混合後の湯を供給する給湯管15が接続されると共に、給水管8に設けた減圧弁10より上流側で給水管8から分岐した混合栓給水管20が接続された混合栓19と、給湯管15に設けられた給湯流量センサ16および給湯温度検出手段18および給湯逆止弁17と、給湯温度検出手段18で検出される給湯温度が設定温度になるように混合弁14の開度のフィードバック制御を行う貯湯制御部22とを備えた貯湯式給湯装置において、給湯流量センサ16が水流を検知すると、貯湯制御部22は、混合弁14のフィードバック制御を行い、フィードバック制御中に、給湯温度検出手段18で検出される給湯温度が所定時間継続して給湯設定温度より低い場合は、給湯逆止弁17が故障したと判定し、エラー報知するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、給湯経路に設けられた給湯逆止弁の故障を判定する機能を備えた貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の貯湯式給湯装置においては、図3に示すように、湯水を貯湯する貯湯タンク101と、貯湯タンク101内の湯水を加熱する加熱手段102と、貯湯タンク101の下部に接続され貯湯タンク101に上水を供給する給水管103と、給水管103に設けられ給水の圧力を減圧する減圧弁104と、貯湯タンク101の上部に接続された出湯管105と、貯湯タンク101の上部に設けられ貯湯タンク101内の過圧を逃がす過圧逃がし弁106と、減圧弁104より下流側で給水管103から分岐した給水バイパス管107と、出湯管105からの湯と給水バイパス管107からの上水を混合して給湯設定温度の湯とする混合弁108と、混合弁108で混合された設定温度の温水を台所や洗面所等に設けられた混合栓109に供給する給湯管110と、減圧弁104より上流側で給水管103から分岐し混合栓109に上水を供給する混合栓給水管111と、給湯管110途中に設けられ給湯管110内の水流を検知する給湯流量センサ112と、混合弁108で混合後の給湯温度を検出する給湯温度センサ113とを備え、そして、給湯管110(または混合栓109内の湯側流路)に給湯の流れと逆方向の流れを遮断する給湯逆止弁114を設けて、貯湯タンク101側への逆流を防止するものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−133619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の貯湯式給湯装置において、給湯逆止弁114が異物を噛み込んだり、給湯逆止弁114の弁体の破損等によって逆流防止機能が働かなくなる状態となることがあり、その時に、混合栓109が開栓され、給湯管110からの湯と混合栓給水管111からの上水を混合しながら給湯しようとした場合、減圧されていない混合栓給水管111からの上水の給水圧が給湯管110からの湯の給湯圧よりも高いため、上水が給湯管110側に逆流するという現象が生じる。
【0005】
そうすると、給湯管110を逆流する上水は、混合弁108、出湯管105を通過し、過圧逃がし弁106から排出され、混合弁108の開度によっては、給湯管110を逆流する上水の一部が給水バイパス管107側に回り込んで貯湯タンク101下部から流入し、貯湯タンク101内の湯が押し出されて過圧逃がし弁106から排出されてしまう場合もある。
【0006】
しかし、給湯管110に設けられた給湯流量センサ112は給湯管110内の水流を検知するだけであり、逆流現象が生じている時、通常の給湯による水流を検知しているのか、それとも逆流による水流を検知しているかは判断することができない。また、混合栓109からは上水のみが給湯され、ユーザは不審に思うものの、この状態ではエラー報知することなく、給湯逆止弁114の故障を検知して報知することがなかった。
【0007】
また、混合栓109として、給湯温度が設定できるハンドルを備え、そのハンドルで温度を設定すると、湯温の変化に応じて内部のエレメントが伸縮してバルブが動き湯と水の量を調節するようなサーモスタット混合栓が用いられた場合、サーモスタット混合栓109の内部は常時、湯側流路と水側流路とが連通しており、給湯逆止弁114の逆流防止機能が働かなくなると、サーモスタット混合栓109が閉栓状態でも、前記逆流現象が生じることがあるが、サーモスタット混合栓109が閉栓状態の場合、給湯逆止弁114の故障を検知して報知する手段がないと、ユーザは異常が発生していることを全く認識することができず、湯水が過圧逃がし弁106から無駄に排出され続けてしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、この発明は上記課題を解決するために、特に請求項1ではその構成を、湯水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンク下部に接続され前記貯湯タンク内に上水を供給する給水管と、前記貯湯タンク上部に接続され高温の湯を取り出す出湯管と、前記給水管に設けられ給水圧を減圧する減圧弁と、該減圧弁より下流側で前記給水管から分岐した給水バイパス管と、前記出湯管からの高温の湯と前記給水バイパス管からの上水とを混合する混合弁と、該混合弁で混合された湯を供給する給湯管と、該給湯管が接続されると共に、減圧弁より上流側で給水管から分岐した混合栓給水管が接続され、給湯管から供給される湯と混合栓給水管から供給される上水を混合して給湯することができる混合栓と、前記給湯管に設けられ前記給湯管内の水流を検知する水流検知手段と、前記混合弁で混合後の給湯温度を検出する給湯温度検出手段と、前記給湯管または前記給湯管と連通する前記混合栓内の湯側流路に設けられ、給湯の流れと逆方向の流れを遮断する給湯逆止弁と、前記給湯温度検出手段で検出される給湯温度が給湯設定温度になるように混合弁の開度のフィードバック制御を行う貯湯制御部とを備えた貯湯式給湯装置において、前記水流検知手段が水流を検知すると、前記貯湯制御部は、前記混合弁のフィードバック制御を行い、前記フィードバック制御中に、前記給湯温度検出手段で検出される給湯温度が所定時間継続して前記給湯設定温度より低い場合は、エラー報知するものとした。
【0009】
また、請求項2では、前記貯湯制御部は、前記フィードバック制御中に、前記給湯温度検出手段で検出される給湯温度が所定時間継続して前記給湯設定温度より低い場合は、前記混合弁を強制的に駆動させて前記混合弁の固着確認を行い、前記混合弁が固着していないと判断した場合は、前記給湯逆止弁が故障したと判定するものとした。
【0010】
また、請求項3では、湯水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンク下部に接続され前記貯湯タンク内に上水を供給する給水管と、前記貯湯タンク上部に接続され高温の湯を取り出す出湯管と、前記給水管に設けられ給水圧を減圧する減圧弁と、該減圧弁より下流側で前記給水管から分岐した給水バイパス管と、前記出湯管からの高温の湯と前記給水バイパス管からの上水とを混合する混合弁と、該混合弁で混合された湯を供給する給湯管と、該給湯管が接続されると共に、減圧弁より上流側で給水管から分岐した混合栓給水管が接続され、給湯管から供給される湯と混合栓給水管から供給される上水を混合して給湯することができる混合栓と、前記給湯管に設けられ前記給湯管内の水流及び水流の方向を検知する逆流検知機能付水流検知手段と、前記給湯管または前記給湯管と連通する前記混合栓内の湯側流路に設けられ、給湯の流れと逆方向の流れを遮断する給湯逆止弁とを備えた貯湯式給湯装置において、前記逆流検知機能付水流検知手段が所定時間継続して逆流を検知した場合は、前記給湯逆止弁が故障したと判定し、エラー報知するものとした。
【0011】
また、請求項4では、前記貯湯制御部が前記給湯逆止弁の故障と判定した場合は、前記混合弁の開度を湯側全開にするものとした。
【発明の効果】
【0012】
この発明の請求項1によれば、水流検知手段が水流を検知すると、貯湯制御部は、混合弁のフィードバック制御を行い、フィードバック制御中に、給湯温度検出手段で検出される給湯温度が所定時間継続して給湯設定温度より低い場合は、給湯逆止弁が故障したと判定することで、給湯逆止弁の故障を容易に判定でき、エラー報知により、ユーザは給湯逆止弁が故障しているために湯が出ないことが分かり、修理依頼等の対応を迅速に行うことができるものである。
【0013】
また、請求項2によれば、貯湯制御部は、フィードバック制御中に、給湯温度検出手段で検出される給湯温度が所定時間継続して給湯設定温度より低い場合は、混合弁を強制的に駆動させて混合弁の固着確認を行い、混合弁が固着していないと判断した場合は、給湯逆止弁が故障したと判定するので、混合弁の固着による故障と間違うことなく、給湯逆止弁の故障を確実に判定することができるものである。
【0014】
また、請求項3によれば、逆流検知機能付水流検知手段が所定時間継続して逆流を検知した場合は、給湯逆止弁が故障したと判定することで、混合栓急閉に伴う水撃により発生するわずかな逆流現象を除いて、給湯逆止弁の故障を容易且つ確実に判定することができ、エラー報知により、ユーザは給湯逆止弁が故障しているために湯が出ないことが分かり、修理依頼等の対応を迅速に行うことができるものである。
【0015】
また、請求項4によれば、貯湯制御部が給湯逆止弁の故障と判定した場合は、混合弁の開度を湯側全開とすることで、逆流してきた水の給水バイパス管側への回り込みをなくして貯湯タンク内から湯が押し出されるのを防止し、貯湯タンク内に貯湯された湯が無駄に排出されるのを抑制することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の貯湯式給湯装置の一実施形態の概略構成図。
【図2】同一実施形態の給湯逆止弁の故障判定の手順を示すフローチャート。
【図3】この発明の貯湯式給湯装置の他の実施形態の概略構成図。
【図4】同他の実施形態の給湯逆止弁の故障判定の手順を示すフローチャート。
【図5】従来の貯湯式給湯装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の一実施形態について図1に基づき説明する。
1は湯水を貯湯する貯湯タンク2を有した貯湯タンクユニット、3は貯湯タンク2内の湯水を加熱する加熱手段としてのヒートポンプユニット、4はこの貯湯式給湯装置を遠隔操作するリモコン、5は貯湯タンク2の下部に接続された加熱往き管6および貯湯タンク2の上部に接続された加熱戻り管7からなり、貯湯タンク2とヒートポンプユニット3とを湯水が循環するよう環状に接続する加熱循環回路である。
【0018】
8は貯湯タンク2の下部に接続され貯湯タンク2に上水を供給する給水管、9は貯湯タンク2の上部に接続され貯湯タンク2上部から高温の湯を取り出す出湯管、10は給水管8途中に設けられ給水圧を所定の圧力まで減圧する減圧弁、11は給水管8途中に設けられ給水温度を検出する給水温度センサ、12は出湯管9と連通し貯湯タンク2の上部に設けられ、貯湯タンク2内の過圧を逃がす過圧逃がし弁である。
【0019】
13は減圧弁10より下流側で給水管8から分岐した給水バイパス管、14は出湯管9からの高温の湯と給水バイパス管13からの減圧後の上水とを給湯設定温度になるように内部の弁体(図示せず)の弁開度を調整して混合する混合弁、15はその始端が混合弁14に接続され混合弁14で混合された湯を所定の給湯先(後述する混合栓)に供給する給湯管である。
【0020】
前記給湯管15の始端から終端までの間には、羽根車等の回転体の回転数を磁気変換素子で検出し電気信号を出力することで、給湯管15内の給湯の流れ、つまり給湯管15内の水流を検知すると共に、給湯流量をカウントする水流検知手段としての給湯流量センサ16と、給湯の流れと逆方向の流れを遮断する給湯逆止弁17と、混合弁14で混合後の給湯温度を検出する給湯温度検出手段としての給湯温度センサ18とが設けられているものである。なお、本実施形態の給湯流量センサ16は、水流の流れ方向(正流または逆流)を判別する機能は持ち合わせていないものとする。
【0021】
19は給湯管15の終端が接続されると共に、減圧弁10より上流側で給水管8から分岐した混合栓給水管20が接続され、給湯管15から供給される湯と混合栓給水管20から供給される減圧されていない上水を混合して給湯することができる混合栓としてのサーモスタット混合栓で、このサーモスタット混合栓19は給湯温度が設定できるハンドル(図示せず)を備え、そのハンドルで温度を設定すると、湯温の変化に応じて内部のエレメントが伸縮してバルブが動き湯と水の量を調節して給湯を行うものであり、台所や洗面所や浴室等の適所に設けられたものである。
【0022】
21は貯湯タンク2の上下方向に複数個配置された貯湯温度センサ検出手段としての貯湯温度センサで、この貯湯温度センサ21が検出する温度情報によって、貯湯タンク2内にどれだけの熱量が残っているかを検知し、そして、貯湯タンク2内の上下方向の温度分布を検知するものである。
【0023】
22は貯湯タンクユニット1内の各センサの入力を受け各アクチュエータの駆動を制御する貯湯制御部で、この貯湯制御部22にリモコン4が無線または有線により接続されユーザが任意の給湯設定温度等を設定できるようにしているものである。
【0024】
前記ヒートポンプユニット3は、冷媒を圧縮する圧縮機23と、高温高圧の冷媒と貯湯タンク2内の湯水とを熱交換する水冷媒熱交換器24と、水冷媒熱交換器24通過後の冷媒を減圧させる電子膨張弁25と、電子膨張弁25からの低温低圧の冷媒を蒸発させる空気熱交換器26とを冷媒配管で環状に接続したヒートポンプ回路27と、加熱循環回路5に設けられ貯湯タンク2の湯水を循環させる加熱循環ポンプ28とを備えており、ヒートポンプ回路27内には冷媒として二酸化炭素が用いられて超臨界ヒートポンプサイクルを構成しているものである。また、29はヒートポンプユニット3内の各センサの出力を受けて各アクチュエータの駆動を制御する加熱制御部で、貯湯制御部22と通信可能に接続されているものである。
【0025】
前記リモコン4は、混合弁14により混合され給湯管15からサーモスタット混合栓19に供給される湯の設定温度を設定する給湯温度設定スイッチ30と、給湯温度や貯湯式給湯装置の運転情報等を文字表示する表示部31と、音声により貯湯式給湯装置の運転情報を知らせるスピーカ32とを備えているものである。
【0026】
次に、図1に示す貯湯式給湯装置の給湯逆止弁17の故障判定について、図2のフローチャートを用いて説明する。
まず、貯湯制御部22は、給湯流量センサ16の検出する信号から給湯管15内で水流があるか否かを判断し(ステップS1)、給湯流量センサ16が水流を検知し、給湯流量センサ16の検出する信号から給湯管15内で水流があると判断すると、貯湯温度センサ21の検出する温度から貯湯タンク2内に湯があることを確認した後、給水温度センサ11の検出する給水温度または前日の学習給水温度と、貯湯温度センサ21の検出する貯湯温度と、リモコン4の給湯温度設定スイッチ30で設定された給湯設定温度とから求められる見込み開度に混合弁14を制御する。(ステップS2)。
【0027】
そして、貯湯制御部22は、給湯温度センサ18で検出した給湯管15を流れる湯の給湯温度と、給湯温度設定スイッチ30で設定された給湯設定温度とを比較し、給湯温度センサ18で検出する給湯温度が給湯設定温度になるよう混合弁14の開度のフィードバック制御を周期的に行い、フィードバック制御中に、給湯温度センサ18で検出する給湯温度が所定時間、例えば20秒継続して給湯温度設定スイッチ30で設定した給湯設定温度より低い温度であるか否かを判断し(ステップS3)、給湯温度センサ18で検出する給湯温度が所定時間継続して給湯設定温度より低い温度であると判断した場合は、混合弁14の弁体を強制的に湯側全開方向と湯側全閉方向に一回ずつ駆動させて混合弁14の固着確認を行い、その時の混合弁14の弁体の位置を検出することで混合弁14が固着していないかどうかを判断し(ステップS4)、混合弁14が固着していないと判断すると、給湯逆止弁17が故障し、混合栓給水管20からサーモスタット混合栓19に供給される上水が給湯管15側に逆流していると判定し、給湯逆止弁17が故障した旨の内容を、リモコン4の表示部31にて文字表示またはスピーカ32から音声にてエラー報知を行い(ステップS5)、混合弁14の開度を湯側全開とするものである(ステップS6)。
【0028】
なお、前記ステップS4で、混合弁14が固着していると判断した場合は、混合弁14が故障していると判定し、混合弁14が故障した旨の内容を、リモコン4の表示部31にて文字表示またはスピーカ32から音声にてエラー報知を行うものである(ステップS7)。
【0029】
以上説明した貯湯式給湯装置の給湯逆止弁17の故障判定において、サーモスタット混合栓19が開栓され給湯している最中、またはサーモスタット混合栓19が閉栓中に給湯逆止弁17の逆流防止機能が働かなくなった場合であっても、前記ステップS1で、給湯流量センサ16が水流を検知し、貯湯制御部22が、前記ステップS3で、混合弁14の開度のフィードバック制御中に、給湯温度センサ18で検出する給湯温度が所定時間継続して給湯設定温度より低いと判断したら、その後、前記ステップS4で、混合弁14が固着していないかどうかを確認し、混合弁14が固着していないと判断したら、給湯逆止弁17が故障したと判定し、混合弁14が固着していると判断したら、混合弁14が故障したと判定するようにしたので、混合弁14の固着による故障と間違うことなく、給湯逆止弁17の故障であることを容易且つ確実に判定することができ、さらに、前記ステップS5で、給湯逆止弁17の故障をエラー報知することにより、ユーザは給湯逆止弁17が故障しているために湯が出ないことが分かり、修理依頼等の対応を迅速に行うことができるものである。
【0030】
また、貯湯制御部22は、給湯逆止弁17が故障したと判定した場合には、前記ステップS5で、給湯逆止弁17の故障をエラー報知するようにしたが、それと同時に、サーモスタット混合栓19を閉じる、または給水元栓(図示せず)を閉じるように促す内容をリモコン4の表示部31にて文字表示またはスピーカ32から音声にて報知するようにしてもよく、それにより、サーモスタット混合栓19からの上水の排出や、給湯管15側に逆流した上水および貯湯タンク2内の湯が過圧逃がし弁12を介して排出されるのを低減することができるものである。
【0031】
また、貯湯制御部22は、給湯逆止弁17の故障と判定した場合に、前記ステップS6で、混合弁14の開度を湯側全開とし、給湯管15を出湯管9のみと連通させたことで、給湯管15を逆流してきた上水の給水バイパス管13側への回り込みをなくして、貯湯タンク2下部から逆流水が流入して貯湯タンク2内から湯が押し出されるのを防止し、貯湯タンク2内に貯湯された湯が過圧逃がし弁12から無駄に排出されるを抑制することができるものである。
【0032】
次に、本発明の他の実施形態について図3に基づき説明するが、この実施形態は先に説明した一実施形態と同一部分については同一符号を付し説明を一部省略し、相違する構成や動作について説明すると、33は先に説明した一実施形態の給湯流量センサ16の代わりに給湯管15に設けられ、給湯管15内の水流及び水流の方向(正流または逆流)を検知すると共に、給湯流量をカウントする逆流検知機能付水流検知手段としての逆流検知機能付給湯流量センサである。
【0033】
前記逆流検知機能付給湯流量センサ33は、羽根車等の回転体の回転を検出するセンサ部(図示せず)を2組設け、一方のセンサ部の出力信号が他方のセンサ部の出力信号よりも電気角で90度進んでいる信号が得られるように一方のセンサ部を他方のセンサ部に対して回転方向に位置をずらして配置し、両センサ部の出力信号の位相を比較してどちらのセンサ部の出力信号の位相が進んでいるかにより正流か逆流かを判別する正逆判定部(図示せず)を内蔵しているものである。
【0034】
次に、図3に示す貯湯式給湯装置の給湯逆止弁17の故障判定について、図4のフローチャートを用いて説明する。
まず、貯湯制御部22は、逆流検知機能付給湯流量センサ33の検出する信号から給湯管15内で逆流があるか否かを判断し(ステップS8)、給湯管15内で逆流がある、すなわち、混合栓給水管20からサーモスタット混合栓19に供給される上水が給湯管15側に逆流していると判断すると、逆流検知機能付給湯流量センサ33の検出する信号から逆流検知機能付給湯流量センサ33が所定時間、例えば20秒継続して逆流を検知したか否かを判断し(ステップS9)、逆流検知機能付給湯流量センサ33が所定時間継続して逆流を検知したと判断した場合は、貯湯温度センサ21の検出する温度から貯湯タンク2内に湯があることを確認した後、給湯逆止弁17が故障していると判定し、給湯逆止弁17が故障した旨の内容を、リモコン4の表示部31にて文字表示またはスピーカ32から音声にてエラー報知を行い(ステップS10)、混合弁14の開度を湯側全開とするものである(ステップS11)。
【0035】
以上説明した貯湯式給湯装置の給湯逆止弁17の故障判定において、サーモスタット混合栓19が開栓され給湯している最中、またはサーモスタット混合栓19が閉栓中に給湯逆止弁17の逆流防止機能が働かなくなった場合であっても、前記ステップS9で、逆流検知機能付給湯流量センサ33が所定時間継続して逆流を検知したと、貯湯制御部22が判断した場合は、前記ステップS10で、給湯逆止弁17が故障したと判定するので、サーモスタット混合栓19急閉に伴う水撃により発生するわずかな逆流現象を、給湯逆止弁17の故障と間違うことがなく、それを除いて給湯逆止弁17の故障を容易且つ確実に判定することができ、さらに、前記ステップS10で、給湯逆止弁17の故障をエラー報知することにより、ユーザは給湯逆止弁17が故障しているために湯が出ないことが分かり、修理依頼等の対応を迅速に行うことができるものである。
【0036】
また、貯湯制御部22は、給湯逆止弁17が故障したと判定した場合には、前記ステップS10で、給湯逆止弁17の故障をエラー報知するようにしたが、それと同時に、サーモスタット混合栓19を閉じる、または給水元栓(図示せず)を閉じるように促す内容をリモコン4の表示部31にて文字表示またはスピーカ32から音声にて報知するようにしてもよく、それにより、サーモスタット混合栓19からの上水の排出や、給湯管15側に逆流した上水および貯湯タンク2内の湯が過圧逃がし弁12を介して排出されるのを低減することができるものである。
【0037】
また、貯湯制御部22は、給湯逆止弁17の故障と判定した場合に、前記ステップS11で、混合弁14の開度を湯側全開とし、給湯管15を出湯管9のみと連通させたことで、給湯管15を逆流してきた上水の給水バイパス管13側への回り込みをなくして、貯湯タンク2下部から逆流水が流入して貯湯タンク2内から湯が押し出されるのを防止し、貯湯タンク2内に貯湯された湯が過圧逃がし弁12から無駄に排出されるを抑制することができるものである。
【0038】
なお、本発明は先に説明した一実施形態および他の実施形態に限定されることなく、給湯逆止弁17は給湯管15と連通するサーモスタット混合栓19内の湯側流路に設けられていてもよく、その場合であっても同様に給湯逆止弁17の故障判定を行うことができるものである。
【0039】
また、先に説明した一実施形態および他の実施形態では、貯湯タンク2内の湯水を加熱する加熱手段としてヒートポンプユニット3を適用したが、加熱手段としては電気ヒータ、灯油やガスを燃料とする燃焼バーナであってもよいものである。
【0040】
また、先に説明した一実施形態および他の実施形態では、混合栓としてサーモスタット混合栓19を適用したが、混合栓としては湯と水を混合して給湯できるものであればよく、湯用と水用の2つのハンドルが付いた2ハンドル混合栓や湯用と水用を1つのレバーで兼用するシングルレバー混合栓でもよいものである。
【符号の説明】
【0041】
2 貯湯タンク
8 給水管
9 出湯管
10 減圧弁
13 給水バイパス管
14 混合弁
15 給湯管
16 給湯流量センサ(水流検知手段)
17 給湯逆止弁
18 給湯温度センサ(給湯温度検出手段)
19 サーモスタット混合栓(混合栓)
20 混合栓給水管
22 貯湯制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンク下部に接続され前記貯湯タンク内に上水を供給する給水管と、前記貯湯タンク上部に接続され高温の湯を取り出す出湯管と、前記給水管に設けられ給水圧を減圧する減圧弁と、該減圧弁より下流側で前記給水管から分岐した給水バイパス管と、前記出湯管からの高温の湯と前記給水バイパス管からの上水とを混合する混合弁と、該混合弁で混合された湯を供給する給湯管と、該給湯管が接続されると共に、減圧弁より上流側で給水管から分岐した混合栓給水管が接続され、給湯管から供給される湯と混合栓給水管から供給される上水を混合して給湯することができる混合栓と、前記給湯管に設けられ前記給湯管内の水流を検知する水流検知手段と、前記混合弁で混合後の給湯温度を検出する給湯温度検出手段と、前記給湯管または前記給湯管と連通する前記混合栓内の湯側流路に設けられ、給湯の流れと逆方向の流れを遮断する給湯逆止弁と、前記給湯温度検出手段で検出される給湯温度が給湯設定温度になるように混合弁の開度のフィードバック制御を行う貯湯制御部とを備えた貯湯式給湯装置において、前記水流検知手段が水流を検知すると、前記貯湯制御部は、前記混合弁のフィードバック制御を行い、前記フィードバック制御中に、前記給湯温度検出手段で検出される給湯温度が所定時間継続して前記給湯設定温度より低い場合は、エラー報知するようにしたことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記貯湯制御部は、前記フィードバック制御中に、前記給湯温度検出手段で検出される給湯温度が所定時間継続して前記給湯設定温度より低い場合は、前記混合弁を強制的に駆動させて前記混合弁の固着確認を行い、前記混合弁が固着していないと判断した場合は、前記給湯逆止弁が故障したと判定するようにしたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンク下部に接続され前記貯湯タンク内に上水を供給する給水管と、前記貯湯タンク上部に接続され高温の湯を取り出す出湯管と、前記給水管に設けられ給水圧を減圧する減圧弁と、該減圧弁より下流側で前記給水管から分岐した給水バイパス管と、前記出湯管からの高温の湯と前記給水バイパス管からの上水とを混合する混合弁と、該混合弁で混合された湯を供給する給湯管と、該給湯管が接続されると共に、減圧弁より上流側で給水管から分岐した混合栓給水管が接続され、給湯管から供給される湯と混合栓給水管から供給される上水を混合して給湯することができる混合栓と、前記給湯管に設けられ前記給湯管内の水流及び水流の方向を検知する逆流検知機能付水流検知手段と、前記給湯管または前記給湯管と連通する前記混合栓内の湯側流路に設けられ、給湯の流れと逆方向の流れを遮断する給湯逆止弁とを備えた貯湯式給湯装置において、前記逆流検知機能付水流検知手段が所定時間継続して逆流を検知した場合は、前記給湯逆止弁が故障したと判定し、エラー報知するようにしたことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項4】
前記貯湯制御部が前記給湯逆止弁の故障と判定した場合は、前記混合弁の開度を湯側全開にするようにしたことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate