説明

貯湯式給湯装置

【課題】ユーザが所望の設定使用湯量を操作設定するものにおいて、長期にわたり設定使用湯量を変更し忘れていた場合に、連日多量の残湯が発生し、非効率的な沸き上げ運転を行ってしまう。
【解決手段】各種の設定操作を行うリモートコントローラ20に設けられ所望の設定使用湯量を操作設定可能とした使用湯量操作手段22と、出湯流量センサ7の検出値に基づき一日ごとの使用湯量を積算して所定日数分記憶する使用湯量記憶手段25と、設定された設定使用湯量を沸き上げるよう加熱手段10を制御する沸き上げ制御手段26と、使用湯量記憶手段25の記憶内容を参照して一日ごとの使用湯量が設定使用湯量より所定量少ない湯量を超えない日が所定日数継続すると推奨設定使用湯量を報知する報知手段21とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーが自ら設定した所望の設定使用湯量を沸き上げるようにした貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の貯湯式給湯装置においては、湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンクへ給水する給水管と、前記貯湯タンクから出湯する出湯管と、前記貯湯タンクからの出湯流量を検出する出湯流量センサと、前記貯湯タンクの湯水を加熱する加熱手段と、各種の設定操作を行うリモートコントローラに設けられ所望の設定使用湯量を操作設定する使用湯量操作手段と、前記使用湯量操作手段で設定された設定使用湯量を沸き上げるよう加熱手段を制御する沸き上げ制御手段とを備え、主に深夜時間帯に設定使用湯量相当の熱量を貯湯するように沸き上げるものが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
近年では、省エネ意識の向上に伴って、ヒートポンプ式給湯装置においても特許文献1のようにユーザー自ら設定した所望の設定使用湯量を沸き上げるようにしたものが商品化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−127049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような従来のものでは、一旦ユーザが所望の設定使用湯量を操作設定した後に、季節が冬から夏へ変わって放熱量や使用する湯量が減少しても、ユーザーが設定使用湯量を変更し忘れていた場合に、連日多量の残湯が発生し、非効率的な沸き上げ運転を行ってしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンクへ給水する給水管と、前記貯湯タンクから出湯する出湯管と、前記貯湯タンクからの出湯流量を検出する出湯流量センサと、前記貯湯タンクの湯水を加熱する加熱手段と、各種の設定操作を行うリモートコントローラに設けられ所望の設定使用湯量を操作設定とした使用湯量操作手段と、前記出湯流量センサの検出値に基づき一日ごとの使用湯量を積算して所定日数分記憶する使用湯量記憶手段と、前記使用湯量操作手段で設定された設定使用湯量を沸き上げるよう加熱手段を制御する沸き上げ制御手段と、使用湯量記憶手段の記憶内容を参照して一日ごとの使用湯量が設定使用湯量より所定量少ない湯量を超えない日が所定日数継続すると推奨設定使用湯量を報知する報知手段とを備えたものとした。
【0007】
また、請求項2では、前記報知手段は、一日の最初の出湯時、または前記リモートコントローラの一日の最初の操作時に報知を行うようにした。
【0008】
また、請求項3では、前記推奨設定使用湯量を、前記設定使用湯量未満かつ前記設定使用湯量より所定量少ない湯量以上とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設定使用湯量が連日の使用湯量を超過していて残湯が発生している状態が継続した場合に、適切な設定使用湯量を報知するので、ユーザーは適切な設定使用湯量を簡単に設定することができ、非効率的な沸き上げ運転を長期間継続してしまうことを防止すると共に、ユーザーの省エネ意識を啓発することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の概略構成図
【図2】設定使用湯量と使用湯量および推奨設定使用湯量の関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の一実施形態の貯湯式給湯装置を図面に基づいて説明する。
1は湯水を貯湯する貯湯タンク、2は貯湯タンク1下部へ給水する給水管、3は貯湯タンク1上部から出湯する出湯管、4は給水管2から分岐された給水バイパス管、5は出湯管3からの湯と給水バイパス管4からの水とを給湯設定温度に混合する給湯混合弁、6は給湯混合弁5で混合された湯水を給湯栓(図示せず)に供給する給湯管、7は給湯管6から流出する給湯の流量をカウントして貯湯タンク1からの出湯流量を検出する出湯流量センサとしての給湯流量カウンタ、8は給湯管6から給湯される湯水の温度を検出する給湯温度センサ、9は給水管2を流れる水の温度を検出する給水温度センサである。
【0012】
10は貯湯タンク1内の湯水を加熱する加熱手段としてのヒートポンプ式加熱手段で、冷媒を圧縮する圧縮機11と、圧縮された高温冷媒と貯湯タンク1からの湯水とを熱交換する冷媒水熱交換器12と、冷媒水熱交換器12で放熱された冷媒を減圧する膨張弁13と、低温低圧の冷媒を蒸発される蒸発器14とを環状に接続して構成されている。
【0013】
15は貯湯タンク1下部の湯水を冷媒水熱交換器12へ循環させて貯湯タンク1上部に戻す加熱循環回路、16は加熱循環回路15途中に設けられた加熱循環ポンプ、17は冷媒水熱交換器12へ入水する湯水の温度を検出する入水温度センサ、18は冷媒水熱交換器12で加熱された湯水の温度を検出する沸き上げ温度センサである。
【0014】
19は貯湯タンク1の外周側面上下に複数設けられ、貯湯タンク1内の湯水の温度を検出し、貯湯量を検出する貯湯量検出手段としての貯湯温度センサTHで、ここでは、頂部貯湯温度センサTH1、上部貯湯温度センサTH2、中間貯湯温度センサTH3、下部貯湯温度センサTH4の4個の貯湯温度センサ19が設けられている。
【0015】
20は各種の設定操作を行うリモートコントローラで、給湯装置に関する各種の情報(給湯設定温度、残湯量、給湯装置の作動状態、沸き上げモード、推奨する設定使用湯量等)を表示する報知手段としての表示部21と、給湯設定温度を設定操作すると共に設定使用量を手動入力するための増減設定スイッチ22(所望の設定使用湯量を操作設定する使用湯量操作手段に相当)と、給湯負荷に応じた目標貯湯量を設定する自動湯量モードと手動操作によって入力された設定使用湯量に応じた目標貯湯量を設定する手動湯量モードとで沸き上げモードを選択的に変更するための沸き上げモード設定スイッチ23とを備えている。
【0016】
24は給湯流量センサ7、給湯温度センサ8、給水温度センサ9、入水温度センサ17、沸き上げ温度センサ18、貯湯温度センサ19の検出値が入力され、給湯混合弁5、圧縮機11、膨張弁13、加熱循環ポンプ16の作動を制御すると共に、リモートコントローラ20と通信可能に接続された制御手段である。この制御手段24は、予め給湯装置の作動を制御するためのプログラムが記憶されていると共に、演算、比較、記憶機能、時計機能を有しているものである。
【0017】
25は給湯流量カウンタ7の検出値に基づき一日ごとの使用湯量を積算して所定日数分記憶する使用湯量記憶手段で、給湯動作ごとに給湯流量カウンタ7のカウントする給湯流量と給水温度センサ9の検出する給水温度と設定されている給湯設定温度とから、貯湯タンク1から給湯される熱量を所定温度(ここでは43℃)相当の使用湯量に換算し、一日単位で積算して最新の所定期間(ここでは7日間)記憶するものである。
【0018】
26は、深夜時間帯になると、手動湯量モードにおいては、ユーザーが増減設定スイッチ21によって直接入力された使用したい湯量(設定使用湯量、例えば400L等)に所定の余裕分を加算した目標貯湯量を沸き上げ、深夜時間帯で沸き上げきれなかった分を昼間時間帯に沸き増すと共に、自動湯量モードにおいては、使用湯量記憶手段25で記憶している直近7日間の使用湯量から平均湯量と標準偏差を算出し、これに基づいた目標貯湯量を深夜時間帯に沸き上げ、深夜時間帯に沸き上げきれなかった分を特定時間帯外の昼間時間帯に沸き増し、目標貯湯量を沸き上げた後にも最低貯湯量を確保するよう沸き増す沸き上げ制御手段である。
【0019】
給湯栓が開かれると、貯湯タンク1の底部に給水管2から市水が流入すると共に貯湯タンク1の頂部から出湯管3を介して高温の湯が出湯し、給湯混合弁5で給水バイパス管4からの水と混合されて給湯管6を通過する。次いで、給湯流量カウンタ7が給湯開始と見なせる最低作動水量以上の流量を検出すると、制御手段24は給湯温度センサ8で検出する給湯温度がリモートコントローラ20で設定した給湯設定温度となるように給湯混合弁5の開度を調節し、出湯管3からの湯と給水バイパス管4からの水とを混合して給湯設定温度の湯を給湯する。そして、給湯栓が閉じられて給湯流量カウンタ7が給湯停止と見なせる最低作動水量未満の流量を検出すると、制御手段24は給湯混合弁5の制御を停止して給湯動作を終了する。
【0020】
この給湯時、使用湯量記憶手段25は、給湯流量カウンタ7のカウントする給湯流量と給水温度センサ9の検出する給水温度と設定されている給湯設定温度とから、貯湯タンク1から給湯される熱量を所定温度(ここでは43℃)相当の使用湯量に換算して、一日単位で積算して最新の7日間分だけ記憶する。
【0021】
そして、沸き上げ制御手段26は、沸き上げモード設定スイッチ23で手動湯量モードが設定されている場合において、設定使用湯量と直近7日間の使用湯量を比較し、直近7日間の間に、使用湯量が設定使用流量より所定量(例えば50L)少ない量を超えた日が一日もなければ、設定使用湯量未満かつ設定使用湯量より所定量少ない湯量以上である推奨設定使用湯量(例えば設定使用湯量−30L)を報知可能な状態とし、制御手段24は、一日の最初の出湯時、またはリモートコントローラ20が一日の最初に操作された際に表示部21で報知を行うようにしている。
【0022】
このように、設定使用湯量が連日の使用湯量を超過していて残湯が発生している状態が継続した場合に、気づき易いタイミングで適切な設定使用湯量を報知するので、ユーザーは湯の使用状況と自ら設定した設定使用湯量との乖離状態を把握して、過不足のない適切な設定使用湯量を簡単に設定することができ、非効率的な沸き上げ運転を長期間継続してしまうことを防止すると共に、ユーザーの省エネ意識を啓発することができる。
【0023】
なお、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、例えば、加熱手段としてヒートポンプ式加熱手段10に代えて電熱ヒータを用いたものでもよく、また、使用湯量の算出に当たって、給水温度センサ9で検出する給水温度に代えて、下部貯湯温度センサTH4等で検出する給水温度や、入水温度センサ17で検出する給水温度を用いてもよいものである。
【0024】
また、推奨設定使用湯量として、設定使用湯量未満かつ設定使用湯量より所定量(50L)少ない湯量以上である、設定使用湯量−30Lを例示したが、設定使用湯量より所定量少ない湯量(設定使用湯量−50L)を用いてもよいものである。
【符号の説明】
【0025】
1 貯湯タンク
2 給水管
3 出湯管
7 給湯流量カウンタ(出湯流量センサ)
10 ヒートポンプ式加熱手段(加熱手段)
20 リモートコントローラ
21 表示部(報知手段)
22 増減設定スイッチ(使用湯量操作手段)
25 使用湯量記憶手段
26 沸き上げ制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンクへ給水する給水管と、前記貯湯タンクから出湯する出湯管と、前記貯湯タンクからの出湯流量を検出する出湯流量センサと、前記貯湯タンクの湯水を加熱する加熱手段と、各種の設定操作を行うリモートコントローラに設けられ所望の設定使用湯量を操作設定可能とした使用湯量操作手段と、前記出湯流量センサの検出値に基づき一日ごとの使用湯量を積算して所定日数分記憶する使用湯量記憶手段と、前記使用湯量操作手段で設定された設定使用湯量を沸き上げるよう加熱手段を制御する沸き上げ制御手段と、使用湯量記憶手段の記憶内容を参照して一日ごとの使用湯量が設定使用湯量より所定量少ない湯量を超えない日が所定日数継続すると推奨設定使用湯量を報知する報知手段とを備えたことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記報知手段は、一日の最初の出湯時、または前記リモートコントローラの一日の最初の操作時に報知を行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記推奨設定使用湯量を、前記設定使用湯量未満かつ前記設定使用湯量より所定量少ない湯量以上であることを特徴とする請求項1または2記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−241983(P2012−241983A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113126(P2011−113126)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)