説明

貯湯式給湯装置

【課題】地震による振動や揺れを受けてもつぶれや変形を起こさない支持脚を備えた貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】湯水を貯湯する上下椀状の筒体から成る貯湯タンク1と、この貯湯タンク1へ給水する給水管2と、前記貯湯タンク1から給湯する出湯管3と、前記貯湯タンク1の湯水を加熱する加熱手段9と、前記貯湯タンク1を覆う枠体23とを備えたもので、前記枠体23底部のベース板24には切り欠き部25を設け、貯湯タンク1の椀状底部を載置する載置部29を形成した支持脚26が、貯湯タンク1下部に取り付けられ前記切り欠き部25を貫通して備えられているので、地震に強くつぶれや変形を防止出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加熱手段で加熱されて貯湯タンクに貯湯された湯水を給湯する貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の貯湯式給湯装置に於いては、貯湯タンクを支持する支持脚は、貯湯タンク下部から枠体底部のベース板までを支持するタンク脚と、ベース板に固定され該ベース板から下を支持する枠脚とに2分割されているものであった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−2144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところがこの従来のものでは、支持脚1つに対して、2つの脚とこれを固定する複数の部品が必要であり、部品点数が多く加工代を含めると高価であり、しかも組み付けも複雑で時間がかかると言う課題と、地震による揺れや振動でベース板の分割面に応力が集中して変形すると言う問題点も有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記課題を解決するため、特にその構成を、湯水を貯湯する上下椀状の筒体から成る貯湯タンクと、この貯湯タンクへ給水する給水管と、前記貯湯タンクから給湯する出湯管と、前記貯湯タンクの湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクを覆う枠体とを備えたものに於いて、前記枠体底部のベース板には切り欠き部を設け、貯湯タンクの椀状底部を載置する載置部を形成した支持脚が、貯湯タンク下部に取り付けられ前記切り欠き部を貫通して備えられたものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のようにこの発明によれば、貯湯タンク下部からベース板の切り欠き部を通り、1つの支持脚で貯湯タンクを支持するので、部品点数は少なくて済み安価であると共に、組み付けも容易で時間もかからないものであり、更に支持脚は貯湯タンクの重量を上部の取り付け部だけではなく、貯湯タンクの椀状底部を載置する載置部で受けるようにしているので、取り付け部には大きな力がかからいと共に、一体型で分割面がないから、揺れや振動に強く変形することもなく長期に渡って、水が入ると重量物となる貯湯タンクを確実に支持することが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この発明の一実施形態の貯湯式給湯装置の概略構成図。
【図2】同要部の斜視図。
【図3】図2の一部分解斜視図。
【図4】ベース板と支持脚の取り付け状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次にこの発明の一実施形態の貯湯式給湯装置を図面に基づいて説明する。
1は湯水を貯湯する上下椀状の筒体から成る貯湯タンク、2は貯湯タンク1下部へ給水する給水管、3は貯湯タンク1上部から出湯する出湯管、4は給水管2から分岐された給水バイパス管、5は出湯管3からの湯と給水バイパス管4からの水とを給湯設定温度に混合する給湯混合弁、6は給湯混合弁5で混合された湯水を給湯栓(図示せず)に供給する給湯管、7は給湯管6から流出する給湯の流量をカウントする給湯流量カウンタ、8は給湯管6から給湯される湯水の温度を検出する給湯温度センサである。
【0009】
9は貯湯タンク1内の湯水を加熱する加熱手段としてのヒートポンプ式加熱手段で、冷媒を圧縮する圧縮機10と、圧縮された高温冷媒と貯湯タンク1からの湯水とを熱交換する冷媒水熱交換器11と、冷媒水熱交換器11で放熱された冷媒を減圧する膨張弁12と、低温低圧の冷媒を蒸発される蒸発器13とを環状に接続して構成され、一定の加熱能力で作動するように制御されるもので、貯湯タンク1下部から取り出した湯を加熱して貯湯タンク1上部に戻すようにしているため沸き上げる湯量を自在にコントロールできるものである。
【0010】
14は貯湯タンク1下部の湯水を冷媒水熱交換器11へ循環させて貯湯タンク1上部に戻す加熱循環回路、15は加熱循環回路14途中に設けられた加熱循環ポンプ、16は冷媒水熱交換器11へ入水する湯水の温度を検出する入水温度センサ、17は冷媒水熱交換器11で加熱された湯水の温度を検出する沸き上げ温度センサである。
【0011】
18は貯湯タンク1の外周側面上下に複数設けられ、貯湯タンク1内の湯水の温度を検出し、貯湯量を検出する貯湯量検出手段としての貯湯温度センサで、ここでは、頂部貯湯温度センサ18a、上部貯湯温度センサ18b、中間貯湯温度センサ18c、下部貯湯温度センサ18dの4個の貯湯温度センサ18が設けられており、下部貯湯温度センサ18dは給湯があった際の最低温度を検出することで給水管2からの給水温度を検出する給水温度検出手段を兼ねているものである。
【0012】
19はリモコンで、給湯装置に関する各種の情報(給湯設定温度、残湯量、給湯装置の作動状態、沸き上げモード等)を表示する表示部20と、給湯設定温度を設定操作するための増減設定スイッチ21とを備えている。
【0013】
22は給湯流量センサ7、給湯温度センサ8、入水温度センサ16、沸き上げ温度センサ17、貯湯温度センサ18の検出値が入力され、給湯混合弁5、圧縮機10、膨張弁12、加熱循環ポンプ15の作動を制御すると共に、リモコン19と通信可能に接続された制御手段であり、この制御手段22は、予め給湯装置の作動を制御するためのプログラムが記憶されていると共に、演算、比較、記憶機能、時計機能を有しているものである。
【0014】
23は貯湯タンク1及び各種配管、制御手段22等を覆う四角形の枠体で、底部には貯湯タンク1の椀状底部と対向する底板を形成するベース板24が備えられ、このベース板24の3箇所には凹状の切り欠き部25が形成されており、この切り欠き部25には貯湯タンク1下部の3箇所に備えられた支持脚26が貫通して設けられている。
【0015】
前記支持脚26は、先端の取り付け部27を貯湯タンク1下部の周方向等間隔の3箇所に予め溶接して固定された固定部28にネジとナットで取り付けるものであり、更に支持脚26の取り付け部27に続く中間部分には、貯湯タンク1の椀状底部を載置するように椀状に形成された載置部29が設けられると共に、この載置部29の下方にはベース板24の切り欠き部25内を挿通しネジで該ベース板24を固定するベース固定部30が備えられ、又支持脚26の側面視が逆T字状となるように底部には、アンカーボルトが打ち込まれて支持脚26を設置面に固定するアンカー固定部31が備えられ、これで器具全体が設置面に固定されるものである。
【0016】
次に支持脚26による支持について説明すれば、今支持脚26の取り付け部27を貯湯タンク1の固定部28にネジとナットで取り付けることで、載置部29上に貯湯タンク1の椀状底部が載置するかたちとなり、この支持脚26に予め切り欠き部25を挿通していたベース板24を取り付ければ、支持脚26による貯湯タンク1の支持は終了するものであり、その後は、各種配管を接続した後に、枠体23の残りの面を取り付けることで、貯湯式給湯装置が完成するものである。
【0017】
このように支持脚26は、貯湯タンク1の下部からベース板24の下までを、一体型の支持脚26で構成しているので、従来のように途中で分割されていないことで、部品点数が少なくて済み安価であると共に、組み付けも容易で時間もかからないものであり、又一体型で分割面がないから、揺れや振動に強く変形することもなく、更に支持脚26は貯湯タンク1の重量を上部の取り付け部27だけではなく、水が入ると重量が増す貯湯タンク1の椀状底部を載置する載置部29でも受けるようにしているので、取り付け部27に負荷が集中せず、大きな地震の発生でも変形することなく、強固に貯湯タンク1を支持することが出来るものである。
【0018】
次にこの貯湯式給湯装置について簡単に説明すれば、深夜の安価な電力を使用してお湯を沸き上げ貯湯し、昼間や夜に給湯として使用するものであり、作動としては、加熱手段9及び加熱循環ボンプ15の駆動で、貯湯タンク1下部の低温水を加熱循環回路14を介して、加熱手段9の冷媒水熱交換器11に流通させて加熱した高温水を、加熱循環回路14を介して貯湯タンク1の上部に戻し、順次この加熱を繰り返して、貯湯タンク1内の湯水を沸き上げて貯湯するものである。
【0019】
そして給湯栓を開くことで貯湯タンク1の高温水と給水バイパス管4の給水とが、給湯混合弁5で給湯設定温度の温水とされて給湯されるもので、貯湯タンク1内の高温水が最低貯湯量に達するまで随時、良好な給湯が行われるものである。
【符号の説明】
【0020】
1 貯湯タンク
2 給水管
3 出湯管
9 ヒートポンプ式加熱手段(加熱手段)
23 枠体
24 ベース板
25 切り欠き部
26 支持脚
29 載置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する上下椀状の筒体から成る貯湯タンクと、この貯湯タンクへ給水する給水管と、前記貯湯タンクから給湯する出湯管と、前記貯湯タンクの湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクを覆う枠体とを備えたものに於いて、前記枠体底部のベース板には切り欠き部を設け、貯湯タンクの椀状底部を載置する載置部を形成した支持脚が、貯湯タンク下部に取り付けられ前記切り欠き部を貫通して備えられた事を特徴とする貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−88011(P2013−88011A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228249(P2011−228249)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】