貯蔵倉庫
【課題】 爆発時における爆発片の飛散方向を制御することができる貯蔵倉庫を提供する。
【解決手段】 (1)で示すように、火薬類等が貯蔵される倉庫本体19の外面は第1土層31で覆われており、第1土層31の外面は遮水性を有する第1シート体21で覆われている。更に、第1シート体21の外面は第2土層32で覆われており、第2土層32の外面が第2シート体22によって覆われている。第2シート体22は、爆発時における第2土層32の飛散を抑える補強用シートが使用されていると共に、他の範囲より破断強度の低い所定範囲9が設けられている。従って(2)で示すように、一定の大きさ以上の爆発が発生した場合、第2シート体22の所定範囲9がまず破断することになる。すると、破断した所定範囲9を介して爆風が上方に集中的に開放される。従って、爆発による破損部分等の飛散方向が上方へと制御され、破損部分等の周囲への飛散の影響が減少する。
【解決手段】 (1)で示すように、火薬類等が貯蔵される倉庫本体19の外面は第1土層31で覆われており、第1土層31の外面は遮水性を有する第1シート体21で覆われている。更に、第1シート体21の外面は第2土層32で覆われており、第2土層32の外面が第2シート体22によって覆われている。第2シート体22は、爆発時における第2土層32の飛散を抑える補強用シートが使用されていると共に、他の範囲より破断強度の低い所定範囲9が設けられている。従って(2)で示すように、一定の大きさ以上の爆発が発生した場合、第2シート体22の所定範囲9がまず破断することになる。すると、破断した所定範囲9を介して爆風が上方に集中的に開放される。従って、爆発による破損部分等の飛散方向が上方へと制御され、破損部分等の周囲への飛散の影響が減少する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は貯蔵倉庫に関し、特に、爆発危険性を有する火薬類等を貯蔵するための貯蔵倉庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の火薬類等を貯蔵するための貯蔵倉庫は、コンクリート製の構造体で構成されているのが一般的である。
【0003】
又、特許文献1に示すように、一対の不透水性のシートの間に複数の密封式のチューブ群を配列して連続構造体を形成し、この連続構造体に発泡ウレタン等を充填して所定の形状に立ち上がらせて貯蔵倉庫を構築する方法が提案されている。これによって、施工が容易となり、トンネル内で大きな容積の倉庫を確保できるとされている。
更に、特許文献1と同様に複数の密封式のチューブ群等を用いて、底部となるベース枠、屋根構造及び端壁構造よりなるエヤテント型の貯蔵倉庫が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6−23518号公報
【特許文献2】実公昭62−19794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の貯蔵倉庫では、火薬類が爆発したときの構造体の破損部分等の飛散に関する問題があった。以下に特許文献1の貯蔵倉庫を例に図で説明する。
【0006】
図14は特許文献1で開示された貯蔵倉庫の爆発時における状態を示す概略断面図である。
【0007】
図を参照して、貯蔵倉庫である地下式倉庫70は、トンネル71と、トンネル71内に設置された複数の密封式チューブ群等よりなる連続構造体72とから構成されている。そして、連続構造体72内に設置された火薬等が爆発すると、爆風は図の矢印で示すように放射状に拡散する。従って、地下式倉庫70が破損するような爆発が発生した場合、爆発によってトンネル71及び連続構造体72の破損部分が周囲に広範囲で飛散してしまっていた。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、爆発時における爆発片の飛散方向を制御することができる貯蔵倉庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、倉庫本体の外面を覆う第1土層と、第1土層の外面を覆う、遮水性を有する第1シート体と、第1シート体の外面を覆う第2土層と、第2土層の外面を覆い、倉庫本体の爆発時における第2土層の飛散を抑えるための第2シート体と、第2シート体を設置面に固定する固定手段とを備え、第2シート体の所定範囲の破断強度は、他の範囲の破断強度より小さいものである。
【0010】
このように構成すると、爆発時、第2シート体は所定範囲がまず破断する。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第2シート体は、複数の引張強度の異なる第1の繊維と複数の引張強度の異なる第2の繊維とを交差するように編むことによって構成され、所定範囲は、第1の繊維のうち強度が相対的に低い繊維と、第2の繊維のうち強度が相対的に低い繊維とが重なり合う範囲によって規定されるものである。
【0012】
このように構成すると、所定範囲は強度の低い第1の繊維と第2の繊維とで構成される。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、所定範囲は、倉庫本体の上方に位置し、第2シート体の外面を覆う第3土層と、第3土層の外面であって、少なくとも所定範囲の上方を覆うように設置され、倉庫本体の爆発時における第3土層の飛散を抑えるための第3シート体とを更に備えたものである。
【0014】
このように構成すると、第2シート体を破断して飛散した第2土層等は第3シート体で更に飛散が抑制される。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第2シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成され、所定範囲は、第1の繊維のうち隣接間隔が大きな範囲と、第2の繊維のうち隣接間隔が大きな範囲とが重なり合う範囲によって規定されるものである。
【0016】
このように構成すると、所定範囲は隣接間隔の大きな第1の繊維と第2の繊維とで構成される。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第2シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成され、所定範囲の外周位置を通る第1の繊維及び第2の繊維の少なくとも一部が外周位置で切断されるものである。
【0018】
このように構成すると、所定範囲は一部が切断された第1の繊維と第2の繊維とで構成される。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第2シート体は、密度の異なる不織布によって構成され、所定範囲は、不織布の相対的に小さな密度の分布範囲によって規定されるものである。
【0020】
このように構成すると、所定範囲は密度の小さな不織布で構成される。
【0021】
請求項7記載の発明は、火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、倉庫本体の外面を覆う第1土層と、第1土層の外面を覆う、遮水性を有する第1シート体と、第1シート体の外面を覆う第2土層と、第2土層の外面を覆い、倉庫本体の爆発時における第2土層の飛散を抑えるための第2シート体と、第2シート体を設置面に固定する第1固定手段と、第2シート体の外面を覆う第3土層と、第3土層の外面を覆い、倉庫本体の爆発時における第3土層の飛散を抑えるための第3シート体と、第3シート体を設置面に固定する第2固定手段とを備え、第2シート体の破断強度は一定であると共に、第3シート体の所定範囲の破断強度は他の範囲の破断強度より小さいものである。
【0022】
このように構成すると、第2シート体で緩和された後の爆発によって、第3シート体は所定範囲がまず破断する。
【0023】
請求項8記載の発明は、火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、倉庫本体の外面を覆う土層と、土層の外面を覆い、遮水性を有すると共に倉庫本体の爆発時における土層の飛散を抑えるためのシート体と、シート体を設置面に固定する固定手段とを備え、シート体の所定範囲の破断強度は、他の範囲の破断強度より小さいものである。
【0024】
このように構成すると、爆発時、シート体は所定範囲がまず破断する。
【0025】
請求項9記載の発明は、火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、倉庫本体の外面を覆い、遮水性を有すると共に倉庫本体の爆発時における倉庫本体の飛散を抑えるためのシート体と、シート体を設置面に固定する固定手段と、シート体の外面を覆う土層とを備え、シート体の所定範囲の破断強度は、他の範囲の破断強度より小さいものである。
【0026】
このように構成すると、爆発時、シート体は所定範囲がまず破断する。
【0027】
請求項10記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の構成において、シート体は、ゴムシートよりなり、所定範囲は、ゴムシートに形成された切れ目によってその周囲が規定されるものである。
【0028】
このように構成すると、切れ目の部分におけるゴムシートの破断強度が低下する。
【0029】
請求項11記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の構成において、シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成された繊維シートがゴムシートに埋設されて構成され、所定範囲は、第1の繊維のうち、強度が相対的に低い繊維と、第2の繊維のうち、強度が相対的に低い繊維とが重なり合う範囲によって規定されるものである。
【0030】
このように構成すると、所定範囲は強度の低い第1の繊維と第2の繊維とで構成される。
【0031】
請求項12記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の構成において、シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成された繊維シートがゴムシートに埋設されて構成され、所定範囲は、第1の繊維のうち、隣接間隔が大きな範囲と、第2の繊維のうち、隣接間隔が大きな範囲とが重なり合う範囲によって規定されるものである。
【0032】
このように構成すると、所定範囲は隣接間隔の大きな第1の繊維と第2の繊維とで構成される。
【0033】
請求項13記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の構成において、シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成された繊維シートがゴムシートに埋設されて構成され、所定範囲の外周位置を通る第1の繊維及び第2の繊維の少なくとも一部が外周位置で切断されるものである。
【0034】
このように構成すると、所定範囲は一部が切断された第1の繊維と第2の繊維とで構成される。
【0035】
請求項14記載の発明は、火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、倉庫本体の外面を覆う土層と、土層の外面を覆い、少なくとも倉庫本体の爆発時における土層の飛散を抑える機能を有するシート体と、シート体を設置面に固定する固定手段とを備え、シート体の所定範囲の破断強度は、他の範囲の破断強度より小さいものである。
【0036】
このように構成すると、爆発時、シート体は所定範囲がまず破断する。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、爆発時、第2シート体は所定範囲がまず破断するため、爆発による破損部分等の飛散方向を制御することができる。
【0038】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、所定範囲は強度の低い第1の繊維と第2の繊維とで構成されるため、所定範囲の設定が容易で、その部分での破断が確実に生じる。
【0039】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、第2シート体を破断して飛散した第2土層等は第3シート体で更に飛散が抑制されるため、より安定した爆発抑制機能が発揮される。
【0040】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、所定範囲は隣接間隔の大きな第1の繊維と第2の繊維とで構成されるため、所定範囲の設定が容易で、その部分での破断が確実に生じる。
【0041】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、所定範囲は一部が切断された第1の繊維と第2の繊維とで構成されるため、所定範囲の設定が容易で、その部分での破断が確実に生じる。
【0042】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、所定範囲は密度の小さな不織布で構成されるため、所定範囲の設定が容易で、その部分での破断が確実に生じる。
【0043】
請求項7記載の発明は、第2シート体で緩和された後の爆発によって、第3シート体は所定範囲がまず破断するため、爆発の抑制効果が高まると共に、爆発による破損部分等の飛散方向を制御することができる。
【0044】
請求項8記載の発明は、爆発時、シート体は所定範囲がまず破断するため、爆発による破損部分等の飛散方向を制御することができる。
【0045】
請求項9記載の発明は、爆発時、シート体は所定範囲がまず破断するため、爆発による破損部分等の飛散方向を制御することができる。
【0046】
請求項10記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の効果に加えて、切れ目の部分におけるゴムシートの破断強度が低下するため、所定範囲の設定が容易で、その部分での破断が確実に生じる。
【0047】
請求項11記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の効果に加えて、所定範囲は強度の低い第1の繊維と第2の繊維とで構成されるため、遮水性は損なわず、所定範囲の破断が確実に生じる。
【0048】
請求項12記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の効果に加えて、所定範囲は隣接間隔の大きな第1の繊維と第2の繊維とで構成されるため、遮水性は損なわず、所定範囲の破断が確実に生じる。
【0049】
請求項13記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の効果に加えて、所定範囲は一部が切断された第1の繊維と第2の繊維とで構成されるため、遮水性は損なわず、所定範囲の破断が確実に生じる。
【0050】
請求項14記載の発明は、爆発時、シート体は所定範囲がまず破断するため、爆発による破損部分等の飛散方向を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明の第1の実施の形態による貯蔵倉庫の外観形状を示す平面図である。
【図2】図1で示したII−IIラインの断面図である。
【図3】図2で示したIII−IIIラインから見た第2シート体を示す平面図である。
【図4】図2で示した貯蔵倉庫の爆発時の状態を示す概略断面図である。
【図5】図3で示した第2シート体の他の構造を示す図である。
【図6】この発明の第2の実施の形態による貯蔵倉庫の所定範囲部分の概略断面図である。
【図7】この発明の第3の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図である。
【図8】この発明の第4の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図である。
【図9】この発明の第5の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図である。
【図10】図9で示したX部分の拡大図である。
【図11】この発明の第6の実施の形態による貯蔵倉庫の所定範囲部分の概略断面図である。
【図12】この発明の第7の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図である。
【図13】この発明の第8の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図である。
【図14】従来の貯蔵倉庫の爆発時における状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1はこの発明の第1の実施の形態による貯蔵倉庫の外観形状を示す平面図であり、図2は図1で示したII−IIラインの断面図である。
【0053】
これらの図を参照して、貯蔵倉庫11の中心となる、火薬類等が貯蔵されている倉庫本体19は、地面である設置面7上に設置されている。倉庫本体19は、その材質は限定しないが、以下に述べるようなその外面に設置する構造体等を保持できるような強度を有する構造であれば良い。
【0054】
倉庫本体19の外面であって設置面7より上の面が第1土層31で覆われており、その外面が第1シート体21によって覆われている。第1シート体21は総ゴム製の遮水シートが用いられており、第1シート体21の内方側に位置する倉庫本体19及び第1土層31への雨水等の浸入を阻止する遮水機能を有している。
【0055】
又、第1シート体21の外面は第2土層32で覆われており、その外面が第2シート体22によって覆われている。更に、第2シート体22の外面は第3土層33で覆われている。第2シート体22は、天然繊維、合成繊維又は金属繊維等の織布よりなる補強用シートが用いられており、倉庫本体19の一定の大きさ未満の爆発時における第2土層32の飛散を抑えるように、その網目間隔及び繊維強度等が決定されている。即ち、第2シート体22は爆発抑制機能を有している。
【0056】
又、各々が第2シート体22の上方側に位置すると共に第2シート体22の長手方向(図2の貫通方向)に所定間隔で並ぶ、図1の二点鎖線及び図2の破線で示す幅Aの複数の所定範囲9a〜9cの破断強度は、他の範囲の破断強度より小さくなるように設定されている。第2シート体22における所定範囲9a〜9c部分の具体的な構造及び効果については後述する。
【0057】
又、第2シート体22の設置面7側の端部となる平坦部41a、41bの各々は、固定手段の一例となるアンカーボルト等の複数の固定部材42a、42bによって長手方向に連続的に設置面7に固定されている。平坦部41a、41bの幅や強度及び固定部材42a、42bの設置間隔は、第2シート体22において必要な爆発抑制機能の程度に応じて設定すれば良い。
【0058】
又、このような貯蔵倉庫11は、図2の二点鎖線で示すように、地下に設置される貯蔵倉庫11に対しても同様に適用することができる。以下に、上述した地上に設置される貯蔵倉庫11と相違する点を中心に説明する。
【0059】
図2を参照して、倉庫本体19は、地面5を掘削して形成された掘削底面である設置面7上に設置されている。又、第2シート体22の外面は、その上面が地面5に整列した第3土層33によって覆われている。即ち、掘削側面44a、44bを含め掘削部分の残りが全て第3土層33で埋められることになる。尚、このような第3土層33を第2シート体22の固定手段とし、第2シート体22の平坦部41a、41bを設置面7上に固定しても良い。その場合、上述したアンカーボルト等の固定部材42a、42bは無くても良い。又は、第3土層33と固定部材42a、42bとを併せて固定手段として使用しても良い。
【0060】
尚、このような地下に設置される貯蔵倉庫11における効果については、後述する地上に設置される貯蔵倉庫11と同様であることは言うまでも無い。
【0061】
ここで、第2シート体22における所定範囲9a〜9c部分の具体的な構造について説明する。
【0062】
図3は図2で示したIII−IIIラインから見た第2シート体を示す平面図である。
【0063】
図を参照して、第2シート体22は、第1の繊維である複数の縦糸51、52と、第2の繊維である複数の横糸53、54とを直交するように編むことによって構成されている。尚、実線で示す縦糸51と一点鎖線で示す縦糸52とは引張強度の異なるものが使用されており、縦糸52の各々には、その引張強度が縦糸51の引張強度より低いものが使用されている。実線で示す横糸53と一点鎖線で示す横糸54との関係についても同様である。
【0064】
このような第2シート体22においては、引張強度が相対的に低い縦糸52と横糸54とが交差して重なり合う、図のハッチングで示す範囲が所定範囲9として規定される。従って、所定範囲9の破断強度が他の範囲の破断強度より小さくなる。このように、第2シート体22の所定範囲9が相対的に引張強度の低い縦糸52と横糸54とで構成されるため、所定範囲9の位置や強度等の設定が容易になると共に、後述する所定範囲9部分での破断が確実に生じる。
【0065】
次に、倉庫本体19の爆発時における貯蔵倉庫11の安全性、及び第2シート体22の所定範囲9部分による効果について説明する。
【0066】
図4は図2で示した貯蔵倉庫の爆発時の状態を示す概略断面図であって、(1)は爆発直後の状態を示すものであって、(2)は爆発によって第2シート体の所定範囲が破断した状態を示すものである。
【0067】
まず(1)を参照して、倉庫本体19に収納されている火薬類がなんらかの原因で爆発すると、図の矢印で示すように周囲にその破片が飛散したり爆風が放射状に拡散する。しかし、倉庫本体19の設置面7より上の周囲は第2シート体22で覆われているため、一定の大きさ未満の爆発の場合、破片や爆風は第2シート体22により抑制される。又、第2シート体22は倉庫本体19の外方を覆うと共に、その平坦部41a、41bが設置面7に固定されているため、第2シート体22は爆風等によって捲りあがることが無い。その結果、第2シート体22が破損しない状態では、倉庫本体19を包囲した第2シート体22に伝達された爆風等の外部への拡散が抑制されるため、周囲の安全性が向上する。尚、設置面7の方向に拡散した爆風は地面に吸収され、設置面7より上の周囲に影響を与えることは無い。
【0068】
尚、第1シート体21も倉庫本体19を包囲するように設置されているが、第1シート体21はあくまで遮水機能としての役割を果たすものである。従って、倉庫本体19の爆発を抑制する機能を有する必要は無く、爆風等によって外部に拡散する虞がある強度であっても良い。
【0069】
このように、貯蔵倉庫11においては、第1シート体21と第2シート体22とが遮水機能と爆発抑制機能とを分担している。従って、例えばゴムシートの内部に織布を埋設したような、遮水機能と爆発抑制機能とが一体化したシート体を1枚用いる貯蔵倉庫の場合に比べて、効率的な配置が可能となる。即ち、各々の機能を要する範囲に第1シート体21と第2シート体22とを設置すれば良いため、第1シート体21と第2シート体22との設置範囲に無駄が無くなる。
【0070】
又、第2シート体22の外面が第3土層33によって覆われているため、第2シート体22の設置状態が安定すると共に、倉庫本体19の爆発によって伝達された爆風等による第2シート体22の浮き上がりが、第3土層33によって確実に防止されることになる。従って、第2シート体22の爆発抑制機能が向上する。
【0071】
尚、第1土層31、第2土層32及び第3土層33の土の種類や施工厚さは、倉庫本体19内に貯蔵される火薬類の爆発力による第2シート体22への影響等に応じて、種々の構造に決定すれば良い。
【0072】
次に(2)を参照して、一定の大きさ以上の爆発の場合、即ち第2シート体22による爆発抑制機能を超える大きさの爆発が発生すると、第2シート体22は、相対的に破断強度の低い所定範囲9の部分がまず破断する。すると、所定範囲9は第2シート体22の上方側に位置しているため、図の矢印で示すように破断した所定範囲9を介して爆風等が上方を向いて外方に集中的に開放される。即ち、破断した所定範囲9以外の部分の方向への飛散が抑制されているため、爆発による土層や倉庫本体19等の破損部分が上方へ飛散するように制御される。
【0073】
又、貯蔵倉庫11の設置時においては、爆発による破損部分等の周囲への飛散距離によって制約を受ける場合がある。しかしながら、上述したように爆発による破損部分等の飛散方向を上方向(高さ方向)となるように制御することによって、周囲への飛散の影響を減少させることが可能となる。
【0074】
次に、図3で示した織布よりなる第2シート体22は特定構造によって所定範囲9が規定されているが、他の構造によって所定範囲9が規定される織布よりなる第2シート体22について説明する。
【0075】
図5は図3で示した第2シート体の他の構造を示す図である。
【0076】
まず(1)を参照して、この構造による第2シート体22は、第1の繊維である複数の縦糸51と、第2の繊維である複数の横糸53とを直交するように編むことによって構成されている。尚、縦糸51及び横糸53の各々の破断強度は同一である。又、図で示すように、縦糸51の各々は異なる隣接間隔W1、W2で配置されており、W1はW2より大きくなるように設定されている。横糸53においても第1の繊維51と同様である。
【0077】
このような第2シート体22においては、各々の隣接間隔がW1となるように配置された範囲の縦糸51の各々と、該範囲と同一の範囲の横糸53の各々とが交差して重なり合う、図のハッチングで示す範囲が相対的に破断強度の低い所定範囲9として規定される。
【0078】
次に(2)を参照して、この構造による第2シート体22は、第1の繊維である複数の縦糸51と、第2の繊維である複数の横糸53とを直交するように編むことによって構成されている。尚、縦糸51及び横糸53の各々の破断強度は同一である。又、図のハッチングで示す所定範囲9の外周位置を通る縦糸51及び横糸53の各々の一部が切断されている。これによって、所定範囲9の破断強度が他の範囲より低くなる。
【0079】
尚、(1)及び(2)で示した構造よりなる第2シート体22においては、図3で示した第2シート体22と同様に、所定範囲9の位置や強度等の設定が容易になると共に、所定範囲9部分での破断が確実に生じることになる。
【0080】
図6はこの発明の第2の実施の形態による貯蔵倉庫の所定範囲部分の概略断面図であって、第1の実施の形態の図2の拡大図に相当するものである。
【0081】
図を参照して、基本的な構成は第1の実施の形態の貯蔵倉庫と同一であるので、ここではその相違点について主に説明する。
【0082】
この実施の形態による貯蔵倉庫の第2シート体22は、不織布で構成されている点が大きく異なっている。そして、第2シート体22の破線で示す所定範囲9の部分の不織布の密度は、他の範囲の密度より小さくなるように設定されている。そのため、所定範囲9の破断強度は他の範囲より低くなる。
【0083】
このように、第2シート体22の所定範囲9は相対的に密度の小さな不織布で構成されているため、所定範囲9の位置や強度等の設定が容易になると共に、所定範囲9部分での破断が確実に生じることになる。従って、所定範囲9による効果を含む種々の効果も第1の実施の形態と同様となる。
【0084】
尚、第1の実施の形態による貯蔵倉庫と同様、この実施の形態による貯蔵倉庫は地上又は地下のいずれにも設置できることは言うまでも無い。
【0085】
図7はこの発明の第3の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図であって、第1の実施の形態の図2に対応するものである。
【0086】
この実施の形態による貯蔵倉庫13にあっては、相対的に破断強度の低い所定範囲9を有する第3シート体23と遮水性を有する第1シート体21との間に、第2シート体22が更に設置されている点を除いては、第1の実施の形態による貯蔵倉庫と同一である。
【0087】
即ち、第1シート体21の外面が第2土層32で覆われており、その外面が第2シート体22で覆われている。第2シート体22は織布又は不織布よりなる補強用シートが用いられており、全体の破断強度が一定となるように設定されている。又、第2シート体22の設置面7側の端部となる平坦部41a、41bの各々は、第1固定手段の一例となるアンカーボルト等の複数の固定部材42a、42bによって長手方向に連続的に設置面7に固定されている。即ち、第2シート体22は、倉庫本体19の爆発時における第2土層32の飛散を抑える爆発抑制機能を有している。
【0088】
又、第2シート体22の外面が第3土層33で覆われており、その外面が第3シート体23で覆われている。更に、第3シート体23の外面が第4土層34で覆われている。第3シート体23は、図2で示した第2シート体と同一のものが使用されていると共に、その機能及び設置形態等も同一である。
【0089】
貯蔵倉庫13はこのように構成されているため、倉庫本体19の爆発は第2シート体22によって緩和された後、第3シート体23の内面に到達する。そして、第2シート体22によって緩和された爆発が一定の大きさ以上の場合、第3シート体23は所定範囲9がまず破断することになる。従って、貯蔵倉庫13は爆発の抑制効果が向上すると共に、第1の実施の形態による貯蔵倉庫と同様に爆発による破損部分等の飛散方向を制御することができる。
【0090】
尚、第1の実施の形態による貯蔵倉庫と同様、図で示す地上に設置される場合に限らず、貯蔵倉庫13は地下に設置される場合であっても同様に適用することができる。
【0091】
図8はこの発明の第4の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図であって、第1の実施の形態の図2に対応するものである。
【0092】
この実施の形態による貯蔵倉庫14にあっては、特に第2シート体22の上方に第3シート体23を更に設置している点を除いては、地下に設置される第1の実施の形態による貯蔵倉庫と同一である。即ち、第2シート体22の外面が第3土層33で覆われており、第3土層33の上面38には、第2シート体22の所定範囲9を含む上方を覆うように平面状に設置された第3シート体23が設置されている。更に、第3シート体23の上面が第4土層34によって覆われている。第3シート体23は織布又は不織布で構成されていると共に、全体の破断強度が一定となるように設定されている。
【0093】
このような貯蔵倉庫14では、爆発によって第2シート体22の所定範囲9を破断して上方に飛散する第2土層32等が、第3シート体23によって更にその飛散が抑制されることになる。従って、より安定した爆発抑制機能が発揮される。その際、平面状に設置された第3シート体23は、その上面が第4土層34によって覆われているため、爆発時における捲り上がりが防止される。
【0094】
尚、第1の実施の形態による貯蔵倉庫と同様、図で示す地下に設置される場合に限らず、この実施の形態による貯蔵倉庫は地上に設置される場合であっても同様に適用することができる。
【0095】
図9はこの発明の第5の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図であって、第1の実施の形態の図2に対応するものであり、図10は図9で示したX部分の拡大図である。
【0096】
図を参照して、火薬類等が設置されている倉庫本体19の外面であって設置面7より上の面が第1土層31で覆われており、その外面がシート体25によって覆われている。更に、シート体25の外面が第2土層32で覆われている。
【0097】
シート体25は、図3で示した第2シート体22を構成する繊維シートである織布26がゴムシート27に埋設されたものが使用されている。即ち、遮水機能と爆発抑制機能とを併せ持つ一体型のシート体25となる。又、上述した通り、織布26は相対的に破断強度の低い範囲を有しているため、ゴムシート27による遮水性は損なわず、この範囲に対応してシート体25の破線で示す所定範囲9が規定される。
【0098】
又、シート体25の設置面7側の端部となる平坦部41a、41bの各々は、固定手段の一例となるアンカーボルト等の複数の固定部材42a、42bによって長手方向に連続的に設置面7に固定されている。
【0099】
このように、遮水機能と爆発抑制機能とを併せ持つシート体25によって、第1の実施の形態による貯蔵倉庫と同様に、倉庫本体19及び第1土層31への雨水等の浸入を防止すると共に、倉庫本体19の爆発による第1土層31の飛散を抑制することができる。又、シート体25の所定範囲9の破断強度が他の範囲より低くなるため、爆発による破損部分等の飛散方向を制御することができる。
【0100】
尚、第1の実施の形態による貯蔵倉庫と同様、図で示す地上に設置される場合に限らず、貯蔵倉庫15は地下に設置される場合であっても同様に適用することができる。
【0101】
図11はこの発明の第6の実施の形態による貯蔵倉庫の所定範囲部分の概略断面図であって、第5の実施の形態の図10に対応するものである。
【0102】
図を参照して、基本的な構成は第5の実施の形態の貯蔵倉庫と同一であるので、ここではその相違点について主に説明する。
【0103】
この実施の形態による貯蔵倉庫のシート体25は、ゴムシートのみで構成されている点が大きく異なっている。そして、シート体25の破線で示す所定範囲9の周囲には切れ目57が形成されている。この切れ目57によって、所定範囲9の周囲の破断強度が他の範囲より低くなるため、第5の実施の形態と同様の効果を奏すると共に、所定範囲9の設定が容易で、その部分での破断が確実に生じる。
【0104】
尚、第5の実施の形態による貯蔵倉庫と同様、この実施の形態による貯蔵倉庫は地上又は地下のいずれにも設置できることは言うまでも無い。
【0105】
図12はこの発明の第7の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図であって、第5の実施の形態の図9に対応するものである。
【0106】
図を参照して、基本的な構成は第5の実施の形態の貯蔵倉庫と同一であるので、ここではその相違点について主に説明する。
【0107】
この実施の形態による貯蔵倉庫17にあっては、シート体25の外面側の構造が大きく異なっている。即ち、貯蔵倉庫17は、図9で示したシート体25の外面を覆う第2土層32を備えておらず、シート体25の外面が露出した状態となっている。
【0108】
このような貯蔵倉庫17においては、図10で示した第2土層32を設置する必要が無くなるため、施工の手間を省くことができ、貯蔵倉庫17の設置工程をより簡略化することができる。
【0109】
尚、第5の実施の形態による貯蔵倉庫と同様、図で示す地上に設置される場合に限らず、貯蔵倉庫17は地下に設置される場合であっても適用することができる。その場合、シート体25の側面と掘削側面との間に土層を設け、シート体25の上面が露出するように構成すれば良い。
【0110】
図13はこの発明の第8の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図であって、第5の実施の形態の図9に対応するものである。
【0111】
この実施の形態による貯蔵倉庫18にあっては、シート体25の設置位置及び設置形状を除いては、第5の実施の形態による貯蔵倉庫と同一である。即ち、倉庫本体19の外面は、土層を介さずに直接シート体25に覆われている。
【0112】
このような貯蔵倉庫18においては、シート体25で直接倉庫本体19を遮水すると共にその爆発を抑制することになるため、第5の実施の形態による貯蔵倉庫に比べて、シート体25の使用量を抑えることができる。即ち、コスト的に有利な貯蔵倉庫18となる。
【0113】
尚、第5の実施の形態による貯蔵倉庫と同様、図で示す地上に設置される場合に限らず、貯蔵倉庫18は地下に設置される場合であっても同様に適用することができる。
【0114】
尚、上記の各実施の形態では、種々の機能を有するシート体が用いられているが、少なくとも爆発抑制機能を有すると共に、相対的に破断強度の低い所定範囲を有するシート体があれば、他の機能を有するシート体は無くても良い。
【0115】
又、上記の各実施の形態では、平面視において各々が一定間隔で長手方向に並ぶ特定形状の所定範囲がシート体の上方に位置するように設定されているが、例えば平面視において長手方向に連続する帯状に形成する等、爆風の飛散方向を制御することができれば、所定範囲は他の形状であっても良い。又、貯蔵倉庫の設置条件によっては、例えば所定範囲をシート体の側面に位置させる等、爆風の飛散方向を上方以外の他の方向に制御するようにしても良い。
【0116】
更に、上記の各実施の形態では、各シート体の設置形態については上面が平面状の特定形状としているが、各シート体の上面が平面状に形成されていなくても、例えば倉庫本体の外方を覆うアーチ状に形成する等、各シート体は他の設置形態であっても良い。その際、設置時にできるだけ角部等が現れないように設置すれば、シート体の破断を防止する意味で好ましい。
【0117】
更に、上記の各実施の形態では、倉庫本体はその外面が矩形断面形状を有する特定形状に形成されているが、例えば上部が半円状の断面形状を有するもの等、火薬等が貯蔵できるように形成されていれば、他の形状であっても良い。
【0118】
更に、上記の各実施の形態では、爆発抑制機能を有するシート体はアンカーボルト等の固定手段によって設置面に固定されているが、該シート体の側面又は外面を覆う土層の圧力又は土層との摩擦抵抗によって、該シート体がその機能を確保できるような設置状態が保持される場合、アンカーボルト等は無くても良い。
【0119】
更に、上記の第1〜第4の実施の形態では、遮水機能を有するシート体は総ゴム製のシートを用いているが、例えば塩化ビニルやポリエチレン等よりなる合成樹脂製のシート、又は金属製のシート等、遮水性を有するものであれば、他の素材のシートであっても良い。
【0120】
更に、上記の第1〜第4の実施の形態では、爆発抑制機能を有するシート体は所定範囲の有無を問わず織布又は不織布よりなるシートを用いているが、爆発抑制機能を有すると共に、所定範囲を有する場合は所定範囲の破断強度が他の範囲より低くなるように構成されていれば、例えば金網、又は樹脂ネット等を用いても良い。
【0121】
更に、上記の第1〜第4の実施の形態では、爆発抑制機能を有するシート体を1枚又は2枚設置しているが、より大きな爆発力に応じて、該シート体を3枚以上設置するように構成しても良い。その際、相対的に強度の低い所定範囲を有する該シート体は少なくとも1枚あれば良い。又は、複数の該シート体に所定範囲を設定し、これらの該シート体の各々の所定範囲が特定方向に整列するように設置しても良い。
【0122】
更に、上記の第1〜第4及び第8の実施の形態では、最外方に位置するシート体の外面が土層によって覆われているが、最外方に位置するシート体の外面を覆う土層は無くても良い。
【0123】
更に、上記の第4の実施の形態では、特定形状の第3シート体が設置されているが、少なくとも第2シート体の所定範囲の上方を覆うように設置されていれば、第3シート体は他の形状であっても良い。
【0124】
更に、上記の第5の実施の形態では、図3で示した特定形状の織布がゴムシートに埋設されたシート体を使用しているが、図5で示す他の形態の織布をゴムシートに埋設したシート体を使用しても良い。
【0125】
更に、上記の第5〜第8の実施の形態では、各々が特定のシート体を使用しているが、各々が使用しているシート体を他の実施の形態において使用しても良いことは言うまでも無い。又は、遮水性及び爆発抑制機能を有すると共に、所定範囲の破断強度が他の範囲より低くなるように構成されているものであれば、他の素材のシート体を使用しても良い。
【符号の説明】
【0126】
7…設置面
9…所定範囲
11、13〜15、17、18…貯蔵倉庫
19…倉庫本体
21…第1シート体
22…第2シート体
23…第3シート体
25…シート体
26…織布
27…ゴムシート
31…第1土層
32…第2土層
33…第3土層
38…上面
42…固定部材
51、52…縦糸
53、54…横糸
57…切れ目
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【技術分野】
【0001】
この発明は貯蔵倉庫に関し、特に、爆発危険性を有する火薬類等を貯蔵するための貯蔵倉庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の火薬類等を貯蔵するための貯蔵倉庫は、コンクリート製の構造体で構成されているのが一般的である。
【0003】
又、特許文献1に示すように、一対の不透水性のシートの間に複数の密封式のチューブ群を配列して連続構造体を形成し、この連続構造体に発泡ウレタン等を充填して所定の形状に立ち上がらせて貯蔵倉庫を構築する方法が提案されている。これによって、施工が容易となり、トンネル内で大きな容積の倉庫を確保できるとされている。
更に、特許文献1と同様に複数の密封式のチューブ群等を用いて、底部となるベース枠、屋根構造及び端壁構造よりなるエヤテント型の貯蔵倉庫が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6−23518号公報
【特許文献2】実公昭62−19794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の貯蔵倉庫では、火薬類が爆発したときの構造体の破損部分等の飛散に関する問題があった。以下に特許文献1の貯蔵倉庫を例に図で説明する。
【0006】
図14は特許文献1で開示された貯蔵倉庫の爆発時における状態を示す概略断面図である。
【0007】
図を参照して、貯蔵倉庫である地下式倉庫70は、トンネル71と、トンネル71内に設置された複数の密封式チューブ群等よりなる連続構造体72とから構成されている。そして、連続構造体72内に設置された火薬等が爆発すると、爆風は図の矢印で示すように放射状に拡散する。従って、地下式倉庫70が破損するような爆発が発生した場合、爆発によってトンネル71及び連続構造体72の破損部分が周囲に広範囲で飛散してしまっていた。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、爆発時における爆発片の飛散方向を制御することができる貯蔵倉庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、倉庫本体の外面を覆う第1土層と、第1土層の外面を覆う、遮水性を有する第1シート体と、第1シート体の外面を覆う第2土層と、第2土層の外面を覆い、倉庫本体の爆発時における第2土層の飛散を抑えるための第2シート体と、第2シート体を設置面に固定する固定手段とを備え、第2シート体の所定範囲の破断強度は、他の範囲の破断強度より小さいものである。
【0010】
このように構成すると、爆発時、第2シート体は所定範囲がまず破断する。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第2シート体は、複数の引張強度の異なる第1の繊維と複数の引張強度の異なる第2の繊維とを交差するように編むことによって構成され、所定範囲は、第1の繊維のうち強度が相対的に低い繊維と、第2の繊維のうち強度が相対的に低い繊維とが重なり合う範囲によって規定されるものである。
【0012】
このように構成すると、所定範囲は強度の低い第1の繊維と第2の繊維とで構成される。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、所定範囲は、倉庫本体の上方に位置し、第2シート体の外面を覆う第3土層と、第3土層の外面であって、少なくとも所定範囲の上方を覆うように設置され、倉庫本体の爆発時における第3土層の飛散を抑えるための第3シート体とを更に備えたものである。
【0014】
このように構成すると、第2シート体を破断して飛散した第2土層等は第3シート体で更に飛散が抑制される。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第2シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成され、所定範囲は、第1の繊維のうち隣接間隔が大きな範囲と、第2の繊維のうち隣接間隔が大きな範囲とが重なり合う範囲によって規定されるものである。
【0016】
このように構成すると、所定範囲は隣接間隔の大きな第1の繊維と第2の繊維とで構成される。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第2シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成され、所定範囲の外周位置を通る第1の繊維及び第2の繊維の少なくとも一部が外周位置で切断されるものである。
【0018】
このように構成すると、所定範囲は一部が切断された第1の繊維と第2の繊維とで構成される。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第2シート体は、密度の異なる不織布によって構成され、所定範囲は、不織布の相対的に小さな密度の分布範囲によって規定されるものである。
【0020】
このように構成すると、所定範囲は密度の小さな不織布で構成される。
【0021】
請求項7記載の発明は、火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、倉庫本体の外面を覆う第1土層と、第1土層の外面を覆う、遮水性を有する第1シート体と、第1シート体の外面を覆う第2土層と、第2土層の外面を覆い、倉庫本体の爆発時における第2土層の飛散を抑えるための第2シート体と、第2シート体を設置面に固定する第1固定手段と、第2シート体の外面を覆う第3土層と、第3土層の外面を覆い、倉庫本体の爆発時における第3土層の飛散を抑えるための第3シート体と、第3シート体を設置面に固定する第2固定手段とを備え、第2シート体の破断強度は一定であると共に、第3シート体の所定範囲の破断強度は他の範囲の破断強度より小さいものである。
【0022】
このように構成すると、第2シート体で緩和された後の爆発によって、第3シート体は所定範囲がまず破断する。
【0023】
請求項8記載の発明は、火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、倉庫本体の外面を覆う土層と、土層の外面を覆い、遮水性を有すると共に倉庫本体の爆発時における土層の飛散を抑えるためのシート体と、シート体を設置面に固定する固定手段とを備え、シート体の所定範囲の破断強度は、他の範囲の破断強度より小さいものである。
【0024】
このように構成すると、爆発時、シート体は所定範囲がまず破断する。
【0025】
請求項9記載の発明は、火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、倉庫本体の外面を覆い、遮水性を有すると共に倉庫本体の爆発時における倉庫本体の飛散を抑えるためのシート体と、シート体を設置面に固定する固定手段と、シート体の外面を覆う土層とを備え、シート体の所定範囲の破断強度は、他の範囲の破断強度より小さいものである。
【0026】
このように構成すると、爆発時、シート体は所定範囲がまず破断する。
【0027】
請求項10記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の構成において、シート体は、ゴムシートよりなり、所定範囲は、ゴムシートに形成された切れ目によってその周囲が規定されるものである。
【0028】
このように構成すると、切れ目の部分におけるゴムシートの破断強度が低下する。
【0029】
請求項11記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の構成において、シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成された繊維シートがゴムシートに埋設されて構成され、所定範囲は、第1の繊維のうち、強度が相対的に低い繊維と、第2の繊維のうち、強度が相対的に低い繊維とが重なり合う範囲によって規定されるものである。
【0030】
このように構成すると、所定範囲は強度の低い第1の繊維と第2の繊維とで構成される。
【0031】
請求項12記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の構成において、シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成された繊維シートがゴムシートに埋設されて構成され、所定範囲は、第1の繊維のうち、隣接間隔が大きな範囲と、第2の繊維のうち、隣接間隔が大きな範囲とが重なり合う範囲によって規定されるものである。
【0032】
このように構成すると、所定範囲は隣接間隔の大きな第1の繊維と第2の繊維とで構成される。
【0033】
請求項13記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の構成において、シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成された繊維シートがゴムシートに埋設されて構成され、所定範囲の外周位置を通る第1の繊維及び第2の繊維の少なくとも一部が外周位置で切断されるものである。
【0034】
このように構成すると、所定範囲は一部が切断された第1の繊維と第2の繊維とで構成される。
【0035】
請求項14記載の発明は、火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、倉庫本体の外面を覆う土層と、土層の外面を覆い、少なくとも倉庫本体の爆発時における土層の飛散を抑える機能を有するシート体と、シート体を設置面に固定する固定手段とを備え、シート体の所定範囲の破断強度は、他の範囲の破断強度より小さいものである。
【0036】
このように構成すると、爆発時、シート体は所定範囲がまず破断する。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、爆発時、第2シート体は所定範囲がまず破断するため、爆発による破損部分等の飛散方向を制御することができる。
【0038】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、所定範囲は強度の低い第1の繊維と第2の繊維とで構成されるため、所定範囲の設定が容易で、その部分での破断が確実に生じる。
【0039】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、第2シート体を破断して飛散した第2土層等は第3シート体で更に飛散が抑制されるため、より安定した爆発抑制機能が発揮される。
【0040】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、所定範囲は隣接間隔の大きな第1の繊維と第2の繊維とで構成されるため、所定範囲の設定が容易で、その部分での破断が確実に生じる。
【0041】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、所定範囲は一部が切断された第1の繊維と第2の繊維とで構成されるため、所定範囲の設定が容易で、その部分での破断が確実に生じる。
【0042】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、所定範囲は密度の小さな不織布で構成されるため、所定範囲の設定が容易で、その部分での破断が確実に生じる。
【0043】
請求項7記載の発明は、第2シート体で緩和された後の爆発によって、第3シート体は所定範囲がまず破断するため、爆発の抑制効果が高まると共に、爆発による破損部分等の飛散方向を制御することができる。
【0044】
請求項8記載の発明は、爆発時、シート体は所定範囲がまず破断するため、爆発による破損部分等の飛散方向を制御することができる。
【0045】
請求項9記載の発明は、爆発時、シート体は所定範囲がまず破断するため、爆発による破損部分等の飛散方向を制御することができる。
【0046】
請求項10記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の効果に加えて、切れ目の部分におけるゴムシートの破断強度が低下するため、所定範囲の設定が容易で、その部分での破断が確実に生じる。
【0047】
請求項11記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の効果に加えて、所定範囲は強度の低い第1の繊維と第2の繊維とで構成されるため、遮水性は損なわず、所定範囲の破断が確実に生じる。
【0048】
請求項12記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の効果に加えて、所定範囲は隣接間隔の大きな第1の繊維と第2の繊維とで構成されるため、遮水性は損なわず、所定範囲の破断が確実に生じる。
【0049】
請求項13記載の発明は、請求項8又は請求項9記載の発明の効果に加えて、所定範囲は一部が切断された第1の繊維と第2の繊維とで構成されるため、遮水性は損なわず、所定範囲の破断が確実に生じる。
【0050】
請求項14記載の発明は、爆発時、シート体は所定範囲がまず破断するため、爆発による破損部分等の飛散方向を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明の第1の実施の形態による貯蔵倉庫の外観形状を示す平面図である。
【図2】図1で示したII−IIラインの断面図である。
【図3】図2で示したIII−IIIラインから見た第2シート体を示す平面図である。
【図4】図2で示した貯蔵倉庫の爆発時の状態を示す概略断面図である。
【図5】図3で示した第2シート体の他の構造を示す図である。
【図6】この発明の第2の実施の形態による貯蔵倉庫の所定範囲部分の概略断面図である。
【図7】この発明の第3の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図である。
【図8】この発明の第4の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図である。
【図9】この発明の第5の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図である。
【図10】図9で示したX部分の拡大図である。
【図11】この発明の第6の実施の形態による貯蔵倉庫の所定範囲部分の概略断面図である。
【図12】この発明の第7の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図である。
【図13】この発明の第8の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図である。
【図14】従来の貯蔵倉庫の爆発時における状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1はこの発明の第1の実施の形態による貯蔵倉庫の外観形状を示す平面図であり、図2は図1で示したII−IIラインの断面図である。
【0053】
これらの図を参照して、貯蔵倉庫11の中心となる、火薬類等が貯蔵されている倉庫本体19は、地面である設置面7上に設置されている。倉庫本体19は、その材質は限定しないが、以下に述べるようなその外面に設置する構造体等を保持できるような強度を有する構造であれば良い。
【0054】
倉庫本体19の外面であって設置面7より上の面が第1土層31で覆われており、その外面が第1シート体21によって覆われている。第1シート体21は総ゴム製の遮水シートが用いられており、第1シート体21の内方側に位置する倉庫本体19及び第1土層31への雨水等の浸入を阻止する遮水機能を有している。
【0055】
又、第1シート体21の外面は第2土層32で覆われており、その外面が第2シート体22によって覆われている。更に、第2シート体22の外面は第3土層33で覆われている。第2シート体22は、天然繊維、合成繊維又は金属繊維等の織布よりなる補強用シートが用いられており、倉庫本体19の一定の大きさ未満の爆発時における第2土層32の飛散を抑えるように、その網目間隔及び繊維強度等が決定されている。即ち、第2シート体22は爆発抑制機能を有している。
【0056】
又、各々が第2シート体22の上方側に位置すると共に第2シート体22の長手方向(図2の貫通方向)に所定間隔で並ぶ、図1の二点鎖線及び図2の破線で示す幅Aの複数の所定範囲9a〜9cの破断強度は、他の範囲の破断強度より小さくなるように設定されている。第2シート体22における所定範囲9a〜9c部分の具体的な構造及び効果については後述する。
【0057】
又、第2シート体22の設置面7側の端部となる平坦部41a、41bの各々は、固定手段の一例となるアンカーボルト等の複数の固定部材42a、42bによって長手方向に連続的に設置面7に固定されている。平坦部41a、41bの幅や強度及び固定部材42a、42bの設置間隔は、第2シート体22において必要な爆発抑制機能の程度に応じて設定すれば良い。
【0058】
又、このような貯蔵倉庫11は、図2の二点鎖線で示すように、地下に設置される貯蔵倉庫11に対しても同様に適用することができる。以下に、上述した地上に設置される貯蔵倉庫11と相違する点を中心に説明する。
【0059】
図2を参照して、倉庫本体19は、地面5を掘削して形成された掘削底面である設置面7上に設置されている。又、第2シート体22の外面は、その上面が地面5に整列した第3土層33によって覆われている。即ち、掘削側面44a、44bを含め掘削部分の残りが全て第3土層33で埋められることになる。尚、このような第3土層33を第2シート体22の固定手段とし、第2シート体22の平坦部41a、41bを設置面7上に固定しても良い。その場合、上述したアンカーボルト等の固定部材42a、42bは無くても良い。又は、第3土層33と固定部材42a、42bとを併せて固定手段として使用しても良い。
【0060】
尚、このような地下に設置される貯蔵倉庫11における効果については、後述する地上に設置される貯蔵倉庫11と同様であることは言うまでも無い。
【0061】
ここで、第2シート体22における所定範囲9a〜9c部分の具体的な構造について説明する。
【0062】
図3は図2で示したIII−IIIラインから見た第2シート体を示す平面図である。
【0063】
図を参照して、第2シート体22は、第1の繊維である複数の縦糸51、52と、第2の繊維である複数の横糸53、54とを直交するように編むことによって構成されている。尚、実線で示す縦糸51と一点鎖線で示す縦糸52とは引張強度の異なるものが使用されており、縦糸52の各々には、その引張強度が縦糸51の引張強度より低いものが使用されている。実線で示す横糸53と一点鎖線で示す横糸54との関係についても同様である。
【0064】
このような第2シート体22においては、引張強度が相対的に低い縦糸52と横糸54とが交差して重なり合う、図のハッチングで示す範囲が所定範囲9として規定される。従って、所定範囲9の破断強度が他の範囲の破断強度より小さくなる。このように、第2シート体22の所定範囲9が相対的に引張強度の低い縦糸52と横糸54とで構成されるため、所定範囲9の位置や強度等の設定が容易になると共に、後述する所定範囲9部分での破断が確実に生じる。
【0065】
次に、倉庫本体19の爆発時における貯蔵倉庫11の安全性、及び第2シート体22の所定範囲9部分による効果について説明する。
【0066】
図4は図2で示した貯蔵倉庫の爆発時の状態を示す概略断面図であって、(1)は爆発直後の状態を示すものであって、(2)は爆発によって第2シート体の所定範囲が破断した状態を示すものである。
【0067】
まず(1)を参照して、倉庫本体19に収納されている火薬類がなんらかの原因で爆発すると、図の矢印で示すように周囲にその破片が飛散したり爆風が放射状に拡散する。しかし、倉庫本体19の設置面7より上の周囲は第2シート体22で覆われているため、一定の大きさ未満の爆発の場合、破片や爆風は第2シート体22により抑制される。又、第2シート体22は倉庫本体19の外方を覆うと共に、その平坦部41a、41bが設置面7に固定されているため、第2シート体22は爆風等によって捲りあがることが無い。その結果、第2シート体22が破損しない状態では、倉庫本体19を包囲した第2シート体22に伝達された爆風等の外部への拡散が抑制されるため、周囲の安全性が向上する。尚、設置面7の方向に拡散した爆風は地面に吸収され、設置面7より上の周囲に影響を与えることは無い。
【0068】
尚、第1シート体21も倉庫本体19を包囲するように設置されているが、第1シート体21はあくまで遮水機能としての役割を果たすものである。従って、倉庫本体19の爆発を抑制する機能を有する必要は無く、爆風等によって外部に拡散する虞がある強度であっても良い。
【0069】
このように、貯蔵倉庫11においては、第1シート体21と第2シート体22とが遮水機能と爆発抑制機能とを分担している。従って、例えばゴムシートの内部に織布を埋設したような、遮水機能と爆発抑制機能とが一体化したシート体を1枚用いる貯蔵倉庫の場合に比べて、効率的な配置が可能となる。即ち、各々の機能を要する範囲に第1シート体21と第2シート体22とを設置すれば良いため、第1シート体21と第2シート体22との設置範囲に無駄が無くなる。
【0070】
又、第2シート体22の外面が第3土層33によって覆われているため、第2シート体22の設置状態が安定すると共に、倉庫本体19の爆発によって伝達された爆風等による第2シート体22の浮き上がりが、第3土層33によって確実に防止されることになる。従って、第2シート体22の爆発抑制機能が向上する。
【0071】
尚、第1土層31、第2土層32及び第3土層33の土の種類や施工厚さは、倉庫本体19内に貯蔵される火薬類の爆発力による第2シート体22への影響等に応じて、種々の構造に決定すれば良い。
【0072】
次に(2)を参照して、一定の大きさ以上の爆発の場合、即ち第2シート体22による爆発抑制機能を超える大きさの爆発が発生すると、第2シート体22は、相対的に破断強度の低い所定範囲9の部分がまず破断する。すると、所定範囲9は第2シート体22の上方側に位置しているため、図の矢印で示すように破断した所定範囲9を介して爆風等が上方を向いて外方に集中的に開放される。即ち、破断した所定範囲9以外の部分の方向への飛散が抑制されているため、爆発による土層や倉庫本体19等の破損部分が上方へ飛散するように制御される。
【0073】
又、貯蔵倉庫11の設置時においては、爆発による破損部分等の周囲への飛散距離によって制約を受ける場合がある。しかしながら、上述したように爆発による破損部分等の飛散方向を上方向(高さ方向)となるように制御することによって、周囲への飛散の影響を減少させることが可能となる。
【0074】
次に、図3で示した織布よりなる第2シート体22は特定構造によって所定範囲9が規定されているが、他の構造によって所定範囲9が規定される織布よりなる第2シート体22について説明する。
【0075】
図5は図3で示した第2シート体の他の構造を示す図である。
【0076】
まず(1)を参照して、この構造による第2シート体22は、第1の繊維である複数の縦糸51と、第2の繊維である複数の横糸53とを直交するように編むことによって構成されている。尚、縦糸51及び横糸53の各々の破断強度は同一である。又、図で示すように、縦糸51の各々は異なる隣接間隔W1、W2で配置されており、W1はW2より大きくなるように設定されている。横糸53においても第1の繊維51と同様である。
【0077】
このような第2シート体22においては、各々の隣接間隔がW1となるように配置された範囲の縦糸51の各々と、該範囲と同一の範囲の横糸53の各々とが交差して重なり合う、図のハッチングで示す範囲が相対的に破断強度の低い所定範囲9として規定される。
【0078】
次に(2)を参照して、この構造による第2シート体22は、第1の繊維である複数の縦糸51と、第2の繊維である複数の横糸53とを直交するように編むことによって構成されている。尚、縦糸51及び横糸53の各々の破断強度は同一である。又、図のハッチングで示す所定範囲9の外周位置を通る縦糸51及び横糸53の各々の一部が切断されている。これによって、所定範囲9の破断強度が他の範囲より低くなる。
【0079】
尚、(1)及び(2)で示した構造よりなる第2シート体22においては、図3で示した第2シート体22と同様に、所定範囲9の位置や強度等の設定が容易になると共に、所定範囲9部分での破断が確実に生じることになる。
【0080】
図6はこの発明の第2の実施の形態による貯蔵倉庫の所定範囲部分の概略断面図であって、第1の実施の形態の図2の拡大図に相当するものである。
【0081】
図を参照して、基本的な構成は第1の実施の形態の貯蔵倉庫と同一であるので、ここではその相違点について主に説明する。
【0082】
この実施の形態による貯蔵倉庫の第2シート体22は、不織布で構成されている点が大きく異なっている。そして、第2シート体22の破線で示す所定範囲9の部分の不織布の密度は、他の範囲の密度より小さくなるように設定されている。そのため、所定範囲9の破断強度は他の範囲より低くなる。
【0083】
このように、第2シート体22の所定範囲9は相対的に密度の小さな不織布で構成されているため、所定範囲9の位置や強度等の設定が容易になると共に、所定範囲9部分での破断が確実に生じることになる。従って、所定範囲9による効果を含む種々の効果も第1の実施の形態と同様となる。
【0084】
尚、第1の実施の形態による貯蔵倉庫と同様、この実施の形態による貯蔵倉庫は地上又は地下のいずれにも設置できることは言うまでも無い。
【0085】
図7はこの発明の第3の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図であって、第1の実施の形態の図2に対応するものである。
【0086】
この実施の形態による貯蔵倉庫13にあっては、相対的に破断強度の低い所定範囲9を有する第3シート体23と遮水性を有する第1シート体21との間に、第2シート体22が更に設置されている点を除いては、第1の実施の形態による貯蔵倉庫と同一である。
【0087】
即ち、第1シート体21の外面が第2土層32で覆われており、その外面が第2シート体22で覆われている。第2シート体22は織布又は不織布よりなる補強用シートが用いられており、全体の破断強度が一定となるように設定されている。又、第2シート体22の設置面7側の端部となる平坦部41a、41bの各々は、第1固定手段の一例となるアンカーボルト等の複数の固定部材42a、42bによって長手方向に連続的に設置面7に固定されている。即ち、第2シート体22は、倉庫本体19の爆発時における第2土層32の飛散を抑える爆発抑制機能を有している。
【0088】
又、第2シート体22の外面が第3土層33で覆われており、その外面が第3シート体23で覆われている。更に、第3シート体23の外面が第4土層34で覆われている。第3シート体23は、図2で示した第2シート体と同一のものが使用されていると共に、その機能及び設置形態等も同一である。
【0089】
貯蔵倉庫13はこのように構成されているため、倉庫本体19の爆発は第2シート体22によって緩和された後、第3シート体23の内面に到達する。そして、第2シート体22によって緩和された爆発が一定の大きさ以上の場合、第3シート体23は所定範囲9がまず破断することになる。従って、貯蔵倉庫13は爆発の抑制効果が向上すると共に、第1の実施の形態による貯蔵倉庫と同様に爆発による破損部分等の飛散方向を制御することができる。
【0090】
尚、第1の実施の形態による貯蔵倉庫と同様、図で示す地上に設置される場合に限らず、貯蔵倉庫13は地下に設置される場合であっても同様に適用することができる。
【0091】
図8はこの発明の第4の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図であって、第1の実施の形態の図2に対応するものである。
【0092】
この実施の形態による貯蔵倉庫14にあっては、特に第2シート体22の上方に第3シート体23を更に設置している点を除いては、地下に設置される第1の実施の形態による貯蔵倉庫と同一である。即ち、第2シート体22の外面が第3土層33で覆われており、第3土層33の上面38には、第2シート体22の所定範囲9を含む上方を覆うように平面状に設置された第3シート体23が設置されている。更に、第3シート体23の上面が第4土層34によって覆われている。第3シート体23は織布又は不織布で構成されていると共に、全体の破断強度が一定となるように設定されている。
【0093】
このような貯蔵倉庫14では、爆発によって第2シート体22の所定範囲9を破断して上方に飛散する第2土層32等が、第3シート体23によって更にその飛散が抑制されることになる。従って、より安定した爆発抑制機能が発揮される。その際、平面状に設置された第3シート体23は、その上面が第4土層34によって覆われているため、爆発時における捲り上がりが防止される。
【0094】
尚、第1の実施の形態による貯蔵倉庫と同様、図で示す地下に設置される場合に限らず、この実施の形態による貯蔵倉庫は地上に設置される場合であっても同様に適用することができる。
【0095】
図9はこの発明の第5の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図であって、第1の実施の形態の図2に対応するものであり、図10は図9で示したX部分の拡大図である。
【0096】
図を参照して、火薬類等が設置されている倉庫本体19の外面であって設置面7より上の面が第1土層31で覆われており、その外面がシート体25によって覆われている。更に、シート体25の外面が第2土層32で覆われている。
【0097】
シート体25は、図3で示した第2シート体22を構成する繊維シートである織布26がゴムシート27に埋設されたものが使用されている。即ち、遮水機能と爆発抑制機能とを併せ持つ一体型のシート体25となる。又、上述した通り、織布26は相対的に破断強度の低い範囲を有しているため、ゴムシート27による遮水性は損なわず、この範囲に対応してシート体25の破線で示す所定範囲9が規定される。
【0098】
又、シート体25の設置面7側の端部となる平坦部41a、41bの各々は、固定手段の一例となるアンカーボルト等の複数の固定部材42a、42bによって長手方向に連続的に設置面7に固定されている。
【0099】
このように、遮水機能と爆発抑制機能とを併せ持つシート体25によって、第1の実施の形態による貯蔵倉庫と同様に、倉庫本体19及び第1土層31への雨水等の浸入を防止すると共に、倉庫本体19の爆発による第1土層31の飛散を抑制することができる。又、シート体25の所定範囲9の破断強度が他の範囲より低くなるため、爆発による破損部分等の飛散方向を制御することができる。
【0100】
尚、第1の実施の形態による貯蔵倉庫と同様、図で示す地上に設置される場合に限らず、貯蔵倉庫15は地下に設置される場合であっても同様に適用することができる。
【0101】
図11はこの発明の第6の実施の形態による貯蔵倉庫の所定範囲部分の概略断面図であって、第5の実施の形態の図10に対応するものである。
【0102】
図を参照して、基本的な構成は第5の実施の形態の貯蔵倉庫と同一であるので、ここではその相違点について主に説明する。
【0103】
この実施の形態による貯蔵倉庫のシート体25は、ゴムシートのみで構成されている点が大きく異なっている。そして、シート体25の破線で示す所定範囲9の周囲には切れ目57が形成されている。この切れ目57によって、所定範囲9の周囲の破断強度が他の範囲より低くなるため、第5の実施の形態と同様の効果を奏すると共に、所定範囲9の設定が容易で、その部分での破断が確実に生じる。
【0104】
尚、第5の実施の形態による貯蔵倉庫と同様、この実施の形態による貯蔵倉庫は地上又は地下のいずれにも設置できることは言うまでも無い。
【0105】
図12はこの発明の第7の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図であって、第5の実施の形態の図9に対応するものである。
【0106】
図を参照して、基本的な構成は第5の実施の形態の貯蔵倉庫と同一であるので、ここではその相違点について主に説明する。
【0107】
この実施の形態による貯蔵倉庫17にあっては、シート体25の外面側の構造が大きく異なっている。即ち、貯蔵倉庫17は、図9で示したシート体25の外面を覆う第2土層32を備えておらず、シート体25の外面が露出した状態となっている。
【0108】
このような貯蔵倉庫17においては、図10で示した第2土層32を設置する必要が無くなるため、施工の手間を省くことができ、貯蔵倉庫17の設置工程をより簡略化することができる。
【0109】
尚、第5の実施の形態による貯蔵倉庫と同様、図で示す地上に設置される場合に限らず、貯蔵倉庫17は地下に設置される場合であっても適用することができる。その場合、シート体25の側面と掘削側面との間に土層を設け、シート体25の上面が露出するように構成すれば良い。
【0110】
図13はこの発明の第8の実施の形態による貯蔵倉庫の概略断面図であって、第5の実施の形態の図9に対応するものである。
【0111】
この実施の形態による貯蔵倉庫18にあっては、シート体25の設置位置及び設置形状を除いては、第5の実施の形態による貯蔵倉庫と同一である。即ち、倉庫本体19の外面は、土層を介さずに直接シート体25に覆われている。
【0112】
このような貯蔵倉庫18においては、シート体25で直接倉庫本体19を遮水すると共にその爆発を抑制することになるため、第5の実施の形態による貯蔵倉庫に比べて、シート体25の使用量を抑えることができる。即ち、コスト的に有利な貯蔵倉庫18となる。
【0113】
尚、第5の実施の形態による貯蔵倉庫と同様、図で示す地上に設置される場合に限らず、貯蔵倉庫18は地下に設置される場合であっても同様に適用することができる。
【0114】
尚、上記の各実施の形態では、種々の機能を有するシート体が用いられているが、少なくとも爆発抑制機能を有すると共に、相対的に破断強度の低い所定範囲を有するシート体があれば、他の機能を有するシート体は無くても良い。
【0115】
又、上記の各実施の形態では、平面視において各々が一定間隔で長手方向に並ぶ特定形状の所定範囲がシート体の上方に位置するように設定されているが、例えば平面視において長手方向に連続する帯状に形成する等、爆風の飛散方向を制御することができれば、所定範囲は他の形状であっても良い。又、貯蔵倉庫の設置条件によっては、例えば所定範囲をシート体の側面に位置させる等、爆風の飛散方向を上方以外の他の方向に制御するようにしても良い。
【0116】
更に、上記の各実施の形態では、各シート体の設置形態については上面が平面状の特定形状としているが、各シート体の上面が平面状に形成されていなくても、例えば倉庫本体の外方を覆うアーチ状に形成する等、各シート体は他の設置形態であっても良い。その際、設置時にできるだけ角部等が現れないように設置すれば、シート体の破断を防止する意味で好ましい。
【0117】
更に、上記の各実施の形態では、倉庫本体はその外面が矩形断面形状を有する特定形状に形成されているが、例えば上部が半円状の断面形状を有するもの等、火薬等が貯蔵できるように形成されていれば、他の形状であっても良い。
【0118】
更に、上記の各実施の形態では、爆発抑制機能を有するシート体はアンカーボルト等の固定手段によって設置面に固定されているが、該シート体の側面又は外面を覆う土層の圧力又は土層との摩擦抵抗によって、該シート体がその機能を確保できるような設置状態が保持される場合、アンカーボルト等は無くても良い。
【0119】
更に、上記の第1〜第4の実施の形態では、遮水機能を有するシート体は総ゴム製のシートを用いているが、例えば塩化ビニルやポリエチレン等よりなる合成樹脂製のシート、又は金属製のシート等、遮水性を有するものであれば、他の素材のシートであっても良い。
【0120】
更に、上記の第1〜第4の実施の形態では、爆発抑制機能を有するシート体は所定範囲の有無を問わず織布又は不織布よりなるシートを用いているが、爆発抑制機能を有すると共に、所定範囲を有する場合は所定範囲の破断強度が他の範囲より低くなるように構成されていれば、例えば金網、又は樹脂ネット等を用いても良い。
【0121】
更に、上記の第1〜第4の実施の形態では、爆発抑制機能を有するシート体を1枚又は2枚設置しているが、より大きな爆発力に応じて、該シート体を3枚以上設置するように構成しても良い。その際、相対的に強度の低い所定範囲を有する該シート体は少なくとも1枚あれば良い。又は、複数の該シート体に所定範囲を設定し、これらの該シート体の各々の所定範囲が特定方向に整列するように設置しても良い。
【0122】
更に、上記の第1〜第4及び第8の実施の形態では、最外方に位置するシート体の外面が土層によって覆われているが、最外方に位置するシート体の外面を覆う土層は無くても良い。
【0123】
更に、上記の第4の実施の形態では、特定形状の第3シート体が設置されているが、少なくとも第2シート体の所定範囲の上方を覆うように設置されていれば、第3シート体は他の形状であっても良い。
【0124】
更に、上記の第5の実施の形態では、図3で示した特定形状の織布がゴムシートに埋設されたシート体を使用しているが、図5で示す他の形態の織布をゴムシートに埋設したシート体を使用しても良い。
【0125】
更に、上記の第5〜第8の実施の形態では、各々が特定のシート体を使用しているが、各々が使用しているシート体を他の実施の形態において使用しても良いことは言うまでも無い。又は、遮水性及び爆発抑制機能を有すると共に、所定範囲の破断強度が他の範囲より低くなるように構成されているものであれば、他の素材のシート体を使用しても良い。
【符号の説明】
【0126】
7…設置面
9…所定範囲
11、13〜15、17、18…貯蔵倉庫
19…倉庫本体
21…第1シート体
22…第2シート体
23…第3シート体
25…シート体
26…織布
27…ゴムシート
31…第1土層
32…第2土層
33…第3土層
38…上面
42…固定部材
51、52…縦糸
53、54…横糸
57…切れ目
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、
地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、
前記倉庫本体の外面を覆う第1土層と、
前記第1土層の外面を覆う、遮水性を有する第1シート体と、
前記第1シート体の外面を覆う第2土層と、
前記第2土層の外面を覆い、前記倉庫本体の爆発時における前記第2土層の飛散を抑えるための第2シート体と、
前記第2シート体を前記設置面に固定する固定手段とを備え、
前記第2シート体の所定範囲の破断強度は、他の範囲の破断強度より小さい、貯蔵倉庫。
【請求項2】
前記第2シート体は、複数の引張強度の異なる第1の繊維と複数の引張強度の異なる第2の繊維とを交差するように編むことによって構成され、
前記所定範囲は、前記第1の繊維のうち強度が相対的に低い繊維と、前記第2の繊維のうち強度が相対的に低い繊維とが重なり合う範囲によって規定される、請求項1記載の貯蔵倉庫。
【請求項3】
前記所定範囲は、前記倉庫本体の上方に位置し、
前記第2シート体の外面を覆う第3土層と、
前記第3土層の外面であって、少なくとも前記所定範囲の上方を覆うように設置され、前記倉庫本体の爆発時における前記第3土層の飛散を抑えるための第3シート体とを更に備えた、請求項1又は請求項2記載の貯蔵倉庫。
【請求項4】
前記第2シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成され、
前記所定範囲は、前記第1の繊維のうち隣接間隔が大きな範囲と、前記第2の繊維のうち隣接間隔が大きな範囲とが重なり合う範囲によって規定される、請求項1記載の貯蔵倉庫。
【請求項5】
前記第2シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成され、
前記所定範囲の外周位置を通る前記第1の繊維及び前記第2の繊維の少なくとも一部が前記外周位置で切断される、請求項1記載の貯蔵倉庫。
【請求項6】
前記第2シート体は、密度の異なる不織布によって構成され、
前記所定範囲は、前記不織布の相対的に小さな密度の分布範囲によって規定される、請求項1記載の貯蔵倉庫。
【請求項7】
火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、
地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、
前記倉庫本体の外面を覆う第1土層と、
前記第1土層の外面を覆う、遮水性を有する第1シート体と、
前記第1シート体の外面を覆う第2土層と、
前記第2土層の外面を覆い、前記倉庫本体の爆発時における前記第2土層の飛散を抑えるための第2シート体と、
前記第2シート体を前記設置面に固定する第1固定手段と、
前記第2シート体の外面を覆う第3土層と、
前記第3土層の外面を覆い、前記倉庫本体の爆発時における前記第3土層の飛散を抑えるための第3シート体と、
前記第3シート体を前記設置面に固定する第2固定手段とを備え、
前記第2シート体の破断強度は一定であると共に、前記第3シート体の所定範囲の破断強度は他の範囲の破断強度より小さい、貯蔵倉庫。
【請求項8】
火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、
地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、
前記倉庫本体の外面を覆う土層と、
前記土層の外面を覆い、遮水性を有すると共に前記倉庫本体の爆発時における前記土層の飛散を抑えるためのシート体と、
前記シート体を前記設置面に固定する固定手段とを備え、
前記シート体の所定範囲の破断強度は、他の範囲の破断強度より小さい、貯蔵倉庫。
【請求項9】
火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、
地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、
前記倉庫本体の外面を覆い、遮水性を有すると共に前記倉庫本体の爆発時における前記倉庫本体の飛散を抑えるためのシート体と、
前記シート体を前記設置面に固定する固定手段と、
前記シート体の外面を覆う土層とを備え、
前記シート体の所定範囲の破断強度は、他の範囲の破断強度より小さい、貯蔵倉庫。
【請求項10】
前記シート体は、ゴムシートよりなり、
前記所定範囲は、前記ゴムシートに形成された切れ目によってその周囲が規定される、請求項8又は請求項9記載の貯蔵倉庫。
【請求項11】
前記シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成された繊維シートがゴムシートに埋設されて構成され、
前記所定範囲は、前記第1の繊維のうち、強度が相対的に低い繊維と、前記第2の繊維のうち、強度が相対的に低い繊維とが重なり合う範囲によって規定される、請求項8又は請求項9記載の貯蔵倉庫。
【請求項12】
前記シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成された繊維シートがゴムシートに埋設されて構成され、
前記所定範囲は、前記第1の繊維のうち、隣接間隔が大きな範囲と、前記第2の繊維のうち、隣接間隔が大きな範囲とが重なり合う範囲によって規定される、請求項8又は請求項9記載の貯蔵倉庫。
【請求項13】
前記シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成された繊維シートがゴムシートに埋設されて構成され、
前記所定範囲の外周位置を通る前記第1の繊維及び前記第2の繊維の少なくとも一部が前記外周位置で切断される、請求項8又は請求項9記載の貯蔵倉庫。
【請求項14】
火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、
地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、
前記倉庫本体の外面を覆う土層と、
前記土層の外面を覆い、少なくとも前記倉庫本体の爆発時における前記土層の飛散を抑える機能を有するシート体と、
前記シート体を前記設置面に固定する固定手段とを備え、
前記シート体の所定範囲の破断強度は、他の範囲の破断強度より小さい、貯蔵倉庫。
【請求項1】
火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、
地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、
前記倉庫本体の外面を覆う第1土層と、
前記第1土層の外面を覆う、遮水性を有する第1シート体と、
前記第1シート体の外面を覆う第2土層と、
前記第2土層の外面を覆い、前記倉庫本体の爆発時における前記第2土層の飛散を抑えるための第2シート体と、
前記第2シート体を前記設置面に固定する固定手段とを備え、
前記第2シート体の所定範囲の破断強度は、他の範囲の破断強度より小さい、貯蔵倉庫。
【請求項2】
前記第2シート体は、複数の引張強度の異なる第1の繊維と複数の引張強度の異なる第2の繊維とを交差するように編むことによって構成され、
前記所定範囲は、前記第1の繊維のうち強度が相対的に低い繊維と、前記第2の繊維のうち強度が相対的に低い繊維とが重なり合う範囲によって規定される、請求項1記載の貯蔵倉庫。
【請求項3】
前記所定範囲は、前記倉庫本体の上方に位置し、
前記第2シート体の外面を覆う第3土層と、
前記第3土層の外面であって、少なくとも前記所定範囲の上方を覆うように設置され、前記倉庫本体の爆発時における前記第3土層の飛散を抑えるための第3シート体とを更に備えた、請求項1又は請求項2記載の貯蔵倉庫。
【請求項4】
前記第2シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成され、
前記所定範囲は、前記第1の繊維のうち隣接間隔が大きな範囲と、前記第2の繊維のうち隣接間隔が大きな範囲とが重なり合う範囲によって規定される、請求項1記載の貯蔵倉庫。
【請求項5】
前記第2シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成され、
前記所定範囲の外周位置を通る前記第1の繊維及び前記第2の繊維の少なくとも一部が前記外周位置で切断される、請求項1記載の貯蔵倉庫。
【請求項6】
前記第2シート体は、密度の異なる不織布によって構成され、
前記所定範囲は、前記不織布の相対的に小さな密度の分布範囲によって規定される、請求項1記載の貯蔵倉庫。
【請求項7】
火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、
地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、
前記倉庫本体の外面を覆う第1土層と、
前記第1土層の外面を覆う、遮水性を有する第1シート体と、
前記第1シート体の外面を覆う第2土層と、
前記第2土層の外面を覆い、前記倉庫本体の爆発時における前記第2土層の飛散を抑えるための第2シート体と、
前記第2シート体を前記設置面に固定する第1固定手段と、
前記第2シート体の外面を覆う第3土層と、
前記第3土層の外面を覆い、前記倉庫本体の爆発時における前記第3土層の飛散を抑えるための第3シート体と、
前記第3シート体を前記設置面に固定する第2固定手段とを備え、
前記第2シート体の破断強度は一定であると共に、前記第3シート体の所定範囲の破断強度は他の範囲の破断強度より小さい、貯蔵倉庫。
【請求項8】
火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、
地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、
前記倉庫本体の外面を覆う土層と、
前記土層の外面を覆い、遮水性を有すると共に前記倉庫本体の爆発時における前記土層の飛散を抑えるためのシート体と、
前記シート体を前記設置面に固定する固定手段とを備え、
前記シート体の所定範囲の破断強度は、他の範囲の破断強度より小さい、貯蔵倉庫。
【請求項9】
火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、
地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、
前記倉庫本体の外面を覆い、遮水性を有すると共に前記倉庫本体の爆発時における前記倉庫本体の飛散を抑えるためのシート体と、
前記シート体を前記設置面に固定する固定手段と、
前記シート体の外面を覆う土層とを備え、
前記シート体の所定範囲の破断強度は、他の範囲の破断強度より小さい、貯蔵倉庫。
【請求項10】
前記シート体は、ゴムシートよりなり、
前記所定範囲は、前記ゴムシートに形成された切れ目によってその周囲が規定される、請求項8又は請求項9記載の貯蔵倉庫。
【請求項11】
前記シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成された繊維シートがゴムシートに埋設されて構成され、
前記所定範囲は、前記第1の繊維のうち、強度が相対的に低い繊維と、前記第2の繊維のうち、強度が相対的に低い繊維とが重なり合う範囲によって規定される、請求項8又は請求項9記載の貯蔵倉庫。
【請求項12】
前記シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成された繊維シートがゴムシートに埋設されて構成され、
前記所定範囲は、前記第1の繊維のうち、隣接間隔が大きな範囲と、前記第2の繊維のうち、隣接間隔が大きな範囲とが重なり合う範囲によって規定される、請求項8又は請求項9記載の貯蔵倉庫。
【請求項13】
前記シート体は、複数の第1の繊維と複数の第2の繊維とを交差するように編むことによって構成された繊維シートがゴムシートに埋設されて構成され、
前記所定範囲の外周位置を通る前記第1の繊維及び前記第2の繊維の少なくとも一部が前記外周位置で切断される、請求項8又は請求項9記載の貯蔵倉庫。
【請求項14】
火薬等を貯蔵するための貯蔵倉庫であって、
地上又は地下の設置面上に設置され、火薬等を貯蔵するための倉庫本体と、
前記倉庫本体の外面を覆う土層と、
前記土層の外面を覆い、少なくとも前記倉庫本体の爆発時における前記土層の飛散を抑える機能を有するシート体と、
前記シート体を前記設置面に固定する固定手段とを備え、
前記シート体の所定範囲の破断強度は、他の範囲の破断強度より小さい、貯蔵倉庫。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−92547(P2012−92547A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240256(P2010−240256)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000106955)シバタ工業株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000106955)シバタ工業株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
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