説明

貯蔵器の開口部にディスペンサ部材を固定するための固定装置および設置方法

本発明は投与部材(3)を流体貯蔵器(4)の開口部(41)に固定するための固定装置に関する。本発明の装置は、前記装置は対称軸(X)を有すると共に、投与部材(3)を収容するための手段(113)と貯蔵器の開口部への固定のための手段(12)とを備えた固定用リング(1;1´)を有する。前記リングは、周囲の外壁(111,121)とバンド(2;2´)とを有し、前記バンドは、貯蔵器開口部上にリングをブロックする形でリングに設置される。このバンドは、リングの外壁と接触状態になる内壁(21)を有する。そして、本発明の装置の特徴は、リングの外壁に少なくとも1つのシート(114;114´)が設けられていること、および、バンドの内壁(21)に前記リングのシートに嵌まる突出プロフィール(24;24´;24´´)が少なくとも1つ設けられていることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプや弁といったディスペンサ部材を流体貯蔵器の開口部に固定するための固定装置および装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、前記開口部は、流体を格納する格納スペースとして働く貯蔵器の本体から突き出たネックに形成される。本発明の場合、装置は対称軸を有し、ディスペンサ部材を収容する手段と貯蔵器の開口部への固定のための手段とを備えた固定リングを有する。それに加えて、固定装置は更に、リングを囲むように設計されたバンドを有し、当該バンドは、リングの外壁と接触状態になるように設計された内壁を有している。こうした、リングとバンドとを有する種類の固定装置は、香水、化粧品、特に医薬の分野でよく使用される。
【0003】
一般に、固定リングは、貯蔵器の開口部を囲む形に配置されることで固定を実現するように設計された周縁スカートを有する。従来の貯蔵器開口部は、外向きに突き出た周縁補強部を備えるネックによって形成されている。従って、補強部は下向きの肩が形成された形となり、当該肩は、スカートへの留めを実現する留め領域として働く。また、従来の様態では、スカートは留めヘッドを備え、当該ヘッドは、効果的な形として、スカートの内周にそって等間隔で分散配置される。ただし変形例では、前記留めヘッドは、やはりネックの肩の下に嵌まる形で働く切れ目のない周縁ビーズと置き換えてもよい。スカートは、その全周にわたって切れ目がない形としてもよいが、それ以外に、スロットによって隔てられた複数のセグメントを形成する形で分割してもよい。各セグメントには留めヘッドを1つ以上設けてよい。
【0004】
こうした、ヘッドまたはビーズを有するスカートを備えた固定リングを装着するには、スカートが、ネックに形成された周縁補強部の上を通過するにつれて、径方向外向きに変形させられるようにする必要がある。前記周縁補強部の上を通過した後、スカートは再びその本来の状態に戻ることができ、そのヘッドまたはビーズが補強部の肩の下に嵌まった形となる。効果的な構成として、その時スカートは、円筒形の初期状態に戻ることができる。ネック上の所定位置に固定リングをロックするために、ロック用バンドが固定リングに装着される。バンドの内壁はスカートの外壁を囲む形、あるいは、これと契合する形となる。それにより、スカートはもはや径方向外向きに変形することはない。こうして、留めプロフィール(ヘッドまたは切れ目のないビーズ)は、補強部の肩の下に永続的にロックされる。以上が、従来の形でネックに形成された貯蔵器開口部にポンプまたは弁といったディスペンサ部材を固定する技術として、現在の通常の形である。
【0005】
EP 0 653 359号およびEP 0 707 895号の文書には、こうした種類の固定装置が示されている。EP 653 359号の文書では、スカートは分割されており、複数の留めヘッドを備えているが、それに対し、EP0 707 895号の文書では、スカートは切れ目のない形で、留めヘッドに類似した内側突起を備えている。当然のことながら、バンドのリングへの装着は、リングが貯蔵器に開口部に装着された後とするのが必須であり、そうすることで、装着を行う間、スカートは径方向外向きに変形することができる。上記の先行技術文書のいずれにおいても、固定リングは外向きに突出したプロフィールを備え、当該プロフィールは、バンドの底面側端部に接する接触領域が形成された形に設計されている。突出プロフィールの有する強度は、バンド(それ自体が突出プロフィールに接している)を押さえつけることによってリングを貯蔵器の開口部上の所定位置に置くのを可能にするのに充分なものである。こうして、バンドに圧力を加えることにより、第1段階では、貯蔵器の開口部にリングを装着することができ、さらに、第2段階では、より強く押さえることによって、バンドによって突出プロフィールが変形または破壊される。その結果、リング(さらに具体的にはスカート)を囲む形で永続的に嵌めることができ、それによって、リングは貯蔵器の開口部にロックされる。このように、上記文書のいずれにおいても、リングの有する実質的に円筒形をした外壁に対して外向きに突出した部材を、バンドの底面側エッジと組み合わせる形で用いることにより、バンドはリング上で一時的に事前位置づけされる。
【0006】
しかし、バンドがリング上で最終装着位置に入った後に、リングへのバンドの安定的な固定に関連して別の問題が発生する。つまり、バンドがいかなる形でも外れないようにする必要がある。バンドが外れれば、スカートは再び外向き変形が自由になり、そうなると、リングが外れる可能性が出てくるからである。
従来の技術ではすでに、スナップ留めまたはクリンプ留めのシステムが、バンドをリングにスナップ留めまたはクリンプ留めする目的で設けられていた。EP0 704 251号の文書では、傾斜スプラインまたは垂直のスプラインをバンドの内壁から突き出る形で設ける技術も開示されており、当該スプラインは、リングの製造素材に食い込むように設計されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、固定リングとバンドとを有し、バンドがリング上に事前位置づけされる、および/または、バンドがより簡単かつ安定した形でリングに永続的に固定される、という装置を規定することにより、先行技術の上記の問題を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明が提案するのは、リングの外壁に少なくとも1つのリセスを設け、さらに、バンドの内壁には、リングのリセスに嵌まる形で働く、少なくとも1つの突出プロフィールを設ける、という構成である。
【発明の効果】
【0009】
これにより、バンドは間違いなくリングにスナップ留めされる。
また、1つの実施の形態では、リセス内に嵌まった状態のプロフィールは、バンドが最終的にリングに装着された最終装着位置に対応している。この場合、バンド上のプロフィールは、リングへのバンドの事前位置づけのためには働かない。
また、別の実施の形態では、リセス内に嵌まった状態のプロフィールは、バンドがリングに装着される途中の中間装着位置に対応している。この場合、リングのリセスは、バンドをリングに永続的に固定するためではなく、単に、それを一時的に事前位置づけするためだけに働く。
【0010】
これら実施の形態の両方に共通する特徴によれば、前記少なくとも1つのリセスは、軸に垂直な面で延びている。リセスについては、例えば、環状グルーブまたは、環状に広がる複数のグルーブセグメントの形としてもよい。
また、本発明の別の側面として、内壁は頂上側端部と底面側端部とを有し、前記少なくとも1つの突出プロフィールは、底面側端部よりも頂上側端部に近い位置、効果的な構成としては頂上側端部の近傍に形成されている。この実施の形態は特に、リングへのバンドの最終的な固定に良く適合している。
【0011】
また、1つの変形例では、内壁は底面側端部を有し、前記少なくとも1つの突出プロフィールは前記底面側端部に形成されており、前記少なくとも1つのプロフィールは、中間装着位置において、前記少なくとも1つのリセスの中に嵌まる状態となる。この実施の形態は、より具体的には、リングへのバンドの事前位置づけ、および、その後の最終的な固定に適合している。また、効果的な構成として、前記少なくとも1つのプロフィールは、最終装着位置では、リングの底面側エッジの下に嵌まる状態になる。この特徴は独立して保護されてもよい。例えば、リングはリセス無しとして、バンド上の突出プロフィールは最終装着位置において、リングの下にスナップ留めの状態になるのみである、という形にできる。
【0012】
実施の形態の全てに共通する、本発明の別の側面として、バンドは、外壁に少なくとも1つのリセスを備えている。また、効果的な構成として、前記少なくとも1つのリセスは、軸方向に見て、前記少なくとも1つの突出プロフィールと同じ高さに位置している。また、好ましい構成として、前記少なくとも1つのリセスおよび前記少なくとも1つの突出プロフィールは、バンドの有する、内向きに延びた変形部の形で形成されている。こうして、固定装置にキャップを装着することができるが、キャップは、バンドの前記少なくとも1つのリセスに嵌まった状態になるように設計された内側突起を備える。リセスと突起との組み合わせによって、キャップの固定装置への確実な保持を可能にするスナップ留め固定システムが形成される。これにより、バンドが変形すると、外側リセスと内側突出プロフィールとが生成され、これは、リングへのバンドの永続的な固定および/または中間的な固定に役立つとともに、さらには、バンドへのキャップの一時的な固定にとっても役立つ。
【0013】
また、実際的な実施の形態では、リングは、上側周囲ブッシングと当該ブッシングから下に延びるスカートとを有し、スカートにはスロットで隔てられたセグメントが形成されており、各セグメントには内向きに突き出た留めヘッドが少なくとも1つ形成されており、前記少なくとも1つのリセスはブッシングの高さに形成されている。
本発明はまた、上記のように規定された固定装置を貯蔵器の開口部に装着する方法であって、当該開口部には留め用の肩が設けられており、当該方法においては、前記少なくとも1つの突出プロフィールは、留めヘッドが貯蔵器の開口部の留め用の肩の下に嵌まった状態になるまで、前記少なくとも1つのリセスに嵌まった状態を保つ、という方法を定義する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明については、非限定的な例として示す本発明の3つの実施の形態を示す添付図面を参照しながら、さらに充分な説明をする。
3つの実施の形態全てにおいて、本発明の固定装置は、流体貯蔵器4の開口部に永続的な形で装着されるように設計されている。貯蔵器については、本発明の3つの実施の形態全てにおいて同一としてよい。ただし、異なる形状、色、あるいは外観を有することにしてもよい。ここに示す例では、開口部41はネック40に形成されている。当該ネックは肩44につながっており、肩はすでに、流体を格納する働きをする貯蔵器本体の一部を形成している。ネック40は肩44から突き出た形で、内側に開口部41を形作っている。効果的な構成として、ネック40は対称軸Xに関して対称な形となっている。前記内壁は円筒形としてもよいし、わずかに凹みをつけてもよい。例えば、断面を狭くした部分を有し、その下でネックの内壁が少し凹んでいる、という形にしてもよい。ネックはさらに頂上周縁部42を有し、ここには、上向きに突出した形で密封ビーズ421を形成してもよい。また、ネック40の外壁には、外向きに突出した形で周縁補強部423が形成されている。前記補強部423は肩43を介してネックの下側部分につながっており、当該肩は下向きかつ外向きになっている。前記肩43は、本発明の各種固定装置への留めを実現する留め領域として働く。前記ネック40の設計は、ガラスまたはプラスチックで作られた貯蔵器に関するものとして完全に従来通りである。
【0015】
実施の形態の全てにおいて、本発明の各種固定装置はディスペンサ部材3(ポンプや弁など)と組み合わされている。従来通りの様態で、ディスペンサ部材は本体30を有し、当該本体には、ネック40または貯蔵器本体の中にまで入り込む取り込み口が形作られている。ここに示す例では、本体3は外向きに突出した周縁カラー31を備えている。前記カラー31の底面にはネックガスケット34を設けてもよく、当該ガスケットは、ネック40の周縁エッジ42に接して圧縮されることで密封を実現する、という形で働く。周縁ビーズ421は、ガスケットを局所的により強く圧縮することで、密封の状態を向上させるのに役立つ。本体30はディスペンサヘッド32と組み合わされ、当該ヘッドには、例えばスプレーノズルの形で投与開口部を組み込むこともできる。ディスペンサヘッド32はまた、ディスペンサ部材の駆動を目的として押されるように設計されたプッシャーとして働く形にもできる。例えば、戻しバネ33によってディスペンサヘッド32をその休止位置に押し戻すこともできる。こうした構成により、ユーザがディスペンサヘッド32の頂上面を押下することで、バネ33は圧縮され、本体30から所定量(「ドーズ」分)の流体が投与される。ディスペンサ部材に関するこうした設計は、ポンプであれ弁であれ、完全に従来通りであり、いかなる場合も、ディスペンサ部材の具体的な設計は本発明にとって全く重要性を持たない。
【0016】
本発明の各種固定装置は全て、2つの構成要素(すなわち、固定リング1、バンド2)から成る。本発明の各種実施の形態において、固定リングおよびバンドそれぞれの構造は実質的に同一、類似、あるいは同種のものである。
固定リング1は、実質的に、ディスペンサ部材3を収容する手段と容器のネック40への固定のための手段とを有する。
【0017】
より厳密に言えば、ここに示す例では、固定リング1は、頂上側ブッシング11と底面側スカート12とを備える。ブッシング11は外壁111および内壁112を有する。ブッシング11はまた、上側自由端部115を有する。ブッシング111は、底面側スカート112につながっているが、下向きの肩113が内向きに延びる形で形成されている。前記肩113は、ディスペンサ部材3の本体30に形成された径方向カラー31の外側マージンと契合する形で働く。内向きに延びた肩113は、カラー31の頂上面に受け止められる形でこれと接触状態になり、スカート12はカラー31のエッジを囲む形で延びている。従って、ブッシング111はカラー31より上の位置に置かれる。ブッシングの内径は、その内壁112の位置では、カラー31の外径よりも小さくなっている。
【0018】
スカート12も内壁122および外壁121を有する。内向きに延びた肩113の存在により、スカート12の内壁122の位置は、径方向に見て、ブッシング11の内壁112よりさらに外となっている。言い換えると、内壁122の位置におけるスカート12の直径は、内壁112におけるブッシング11の内径よりも大きくなっている。スカート112の外壁121は、正確な円筒形としてもよい。また、リセス114以外の位置でのブッシング11の外壁111の外径よりもわずかに小さい外径を有することにしてもよい。ただし、外壁121が外壁111と一直線になる形で延び、両者が同じ外径を有する、という形にすることも可能である。本発明の実施の形態では、スカート12は切れ目のない形とはなっておらず、縦方向スロット125によって切り離された複数のセグメント123からできている。スロット125はブッシング11の高さにまで延ばしてもよいし、そこまで届かない位置で止めてもよい。したがって、スカートは本質的に、その高さ方向では、交互に並ぶセグメント123とスロット125とによって作られる。ただし、スロット125がブッシング111の高さにまで延びておらず、そのため、スカートは上側部分にわたって切れ目のない状態を保つ、という変形例を考案することも可能である。スカート12のセグメント123の内壁122には、径方向内向きに突出した留めヘッドまたはスナップ留めヘッド124が設けられている。例えば、1つのセグメント123につき2つのヘッド124を設けることも可能である。また、2つのヘッド124の代わりに切れ目のないビーズセグメントを1つ設けることも可能である。ヘッド124は、スカート12の下側端部126の位置に形成される。より厳密に言えば、これらはセグメント123の下側半分にわたって延びている。前記ヘッド124は、図2、3、5、6、8、9で分かるように、ネックの肩43の下に接する状態になる形で働く。この形状だと、ネック40の頂上周縁エッジ42がガスケット34の底面に押し付けられ、オプションとして設けられるビーズ421はガスケット34内の比較的深い所まで入り込む。そうして、安全で、しかも耐漏洩となる様態で固定が実現される。
【0019】
しかし、こうした耐漏洩様態の固定はバンド2だけで維持することができる。最終装着位置では、図3、6、9に示すように、前記バンド2はスカート12の外側を囲んで、肩43の下でヘッドをロックしている。つまり、バンド2はロック機能を有するが、人目を引く外観を与えるトリム機能や、さらには、リング1を保護する保護機能まで有する。バンド2は、内壁21、外壁22、頂上側端部25、そして底面側端部27を有した、実質的に円筒形のドラムの形をしている。頂上側端部25には内向きに延びたリムが形成されており、当該リムによって貫通開口部26が形作られている。こうした全体的な形状は、図1〜9に示す実施の形態が有するバンドの全てに共通している。
【0020】
以下、図1〜3を参照して、本発明の固定装置に関する第1の実施の形態を詳細に説明する。ブッシング11の外壁111の位置で、固定リング1にはリセス114が設けられており、当該リセスは、壁111に設けられた凹みまたはノッチの形を取り、周囲を囲んだ形とすることができる。言い換えると、リセス114におけるブッシング11の直径は、壁111における外径よりも小さくなっている。リセス114については、ブッシング11の全周にわたって延ばし、切れ目のない環状グルーブを形成する形としてもよい。グルーブ114は、端壁の両側に側壁が並んでおり、これら側壁はそれぞれ外壁111に合流している。リセス114以外での外壁111におけるブッシング11の外径は、外壁121のスカート12の外径に比べて、同一あるいは少し大きい値とすればよい。言い換えると、ブッシング11は、スカート12に対してごくわずかに外向きに突出した形とする。バンド2の内壁21における内径は、ブッシング11の外壁111における外径と比べて、同一あるいはわずかに小さい。好ましい構成として、バンドの内壁21のほとんどの部分は円筒形になっている。従って、きつい装着様態でバンド2をブッシング11上に嵌めて、バンド2をリング1上で所定位置に保持したり、事前配置したりできるようにする、という形が可能である。バンド2は、図1、2に示される様態、すなわち、その底面側端部27がスカート12の頂上側端部と同じ高さに位置付けられるような様態で、リングの上に嵌めることができる。つまり、リング1とバンド2とは一時的なサブアセンブリを構成することになる。バンドとリングとの間の摩擦は、両者を少なくとも一時的に一体化した状態に保つのに充分な強さである。
【0021】
本発明では、バンド2の内壁21には、径方向内向きに延びた突出プロフィール24が設けられている。前記プロフィール24については、切れ目のない周縁リブの形であって、内径が内壁21の内径よりも小さくなっている、という形にすればよい。突出プロフィール24は、底面側端部27よりも頂上側端部25に近い位置に置かれている。突出プロフィール24の位置は、例えば、バンド2の上側半分の中央とすることができる。固定装置が貯蔵器ネックに装着される際、バンド2は、図1、2に示す様態でリング1上に事前位置づけまたは事前装着される。加えて、ディスペンサ部材3はリング内部で所定位置にある。結果としてできる、バンド、リング、そしてディスペンサ部材から成る組立物は、図1に示す様態でネック40の上に設置される。スカートがネック40を囲む形で嵌まり始める一方で、本体30は開口部41内部に挿入される。組立物は、スカート12のヘッド124がネックの肩43の下に嵌まる状態になるまで、ネックに沿って下がって行く。前記組立物をこうして所定位置に置くこと可能にするためには、スカートが、周縁補強部423の上を通過する際に、径方向外向きに変形することが必要である。これは、スロット125によって可能となり、当該スロットはセグメント123が互いに関わりなく変形することを可能にする。ネックへのリング装着手順におけるこの第1段階の間、バンド、リング、そしてディスペンサ部材から成る組立物は変化しない、という点に留意する必要がある。言い換えると、バンド2はこの時点でなお、リング2上に事前位置づけされた状態であって、その底面側端部27はスカート12の頂上側端部と実質的に同じ高さに位置している。これは、ブッシング11の外壁111における、バンド2とリング1との間の強固な装着接触によって可能となる。リング1は、圧力が加わることによってネック40に装着されるが、この圧力は、ディスペンサヘッド32、バンド2のいずれかに加えられる。その場合、バンド2とリング1との間の強固な装着接触の強さは、スカート12がネック40を囲む形で装着されつつある間もバンド2が所定位置に留まっていられる、という程度にする必要がある。ネックにスカート12を装着する作業が終了すると直ちに、バンド2の頂上側端部25に力が加えられ、その結果、バンドがリング1に対して移動させられる。こうして、バンド2は、その突出プロフィール24がリング1のブッシング11に形成されたリセス114内に収容される状態になるまで移動させられる。この状態は図3に示す。こうして、リセス114に嵌まった突出プロフィール24によって、バンド2はリング1に永続的な形でスナップ留めされる。バンド2の底面側端部27が肩44と接触することは必要ですらない。さらに、バンド2の内向きに延びたリム25についても、ブッシング11の頂上側端部115に受け止められる形で接触する状態にする必要はない。ただし、そうすることは可能である。この最終位置では、バンド2の内壁21をスカート12の外壁121と接触させることができる。そうして、ヘッド124は肩43の下でロックされる。ただし、バンドとスカートとの間に小さな隙間が残ってもよい。
【0022】
図4〜6に示す実施の形態は、図1〜3に示した実施の形態の変形例を構成するものである。これら変形例の実施の形態では、固定装置はさらに、バンド2の上に装着されるキャップ5を備えている。キャップ5は、バンド2を囲む形で働くスリーブ52を有する。スリーブ52は、下向きになる形でスリーブ52の内部に形成されたセットバック55をはさんで、キャップ5の残り部分につながった形となる。前記セットバック55より先の部分でのキャップの形状については、終端が頂上壁51となる形であれば、どんなものでもよい。つまり、キャップ5は、バンド、リング、そしてディスペンサ部材3の一部を収容する内部スペース50を形成する。これは図6に示してある。この状態では、セットバック55はバンド2の頂上側端部25に受け止められる形で接している。本発明では、スリーブ52の内壁には突起53が設けられており、当該突起は、切れ目のない形で延びていてもよいし、分散した形となっていてもよい。言い換えると、突起53は、切れ目のない環状ビーズの形であってもよいし、分散した突起点、突起部分または突起セグメントの形であってもよい。スリーブ52の内径は、外壁22におけるバンド2の外径に比べてわずかに大きくなっている。ただし、突起53における内径は、外壁22におけるバンド2の外径よりも小さい。加えて、バンドの外壁22にはリセス23が設けられており、当該リセスは、効果的な構成として、バンドの全周縁にわたって延びている。前記リセス23は、切れ目のない環状のグルーブまたはチャネルの形としてもよい。リセス23におけるバンドの外径は、外壁22におけるバンドの外径より小さい。効果的な構成として、前記リセス23は、突出プロフィール24と同じ高さに位置する。ただし、前記リセス23を突出プロフィール24よりも高い位置または低い位置に設けることも可能である。また、リセス23および突出プロフィール24は、バンドを内向きに変形させる単一の作業によって形成するのが好ましい。これは、ローリングまたはナーリングによって実現できる。そうした場合、突出プロフィール24とリセス23とは、単一の環状周縁変形によって作られる。リセス23は、図1〜3における第1の実施の形態にも見られたが、当該実施の形態では必須ではなかった。第1の実施の形態におけるバンド2は、その外壁22では正確な円筒形としてよかった。逆に、図4〜6に示す実施の形態では、前記リセス23が、キャップ5上の突起53を収容する形で使用される。この状態は図4〜6に示してある。キャップ5は、スカート12がネック40に装着される前に、バンドに事前装着される。リセス23に嵌まった状態の突起53は、強い固定を形成する必要がない。キャップはディスペンサ部材の駆動のために取り除かれることになるからである。したがって、キャップ5が最終的にバンド2に装着された状態となる最終装着位置が実現されるのは、突起53がリセス23に嵌まった時点、そして、任意の形として、セットバック55がバンド2の頂上側端部25に受け止められる形で接触する状態になった時点である。リング、バンド、ディスペンサ部材、そしてキャップから成る組立物は、キャップ5を押さえることで装着される。第1の段階で、スカート12のセグメント123は、ヘッド124が補強部423の上を通過して肩43の下に嵌まる状態になるまでの間、径方向外向きに変形する。装着の前記第1段階の間、バンド2はリング1上の所定位置に留まる。その後、より強い圧力が加えられると、バンド2はリング1の上を移動し、図6に示す最終位置に達する。この位置では、突起53はリセス23に嵌まっており、その一方、突出プロフィール24はリセス114に嵌まっている。このように、突出プロフィール24は、外側リセス23との組み合わせで、バンドをリングに永続的に固定する働きと、キャップをバンドに取り外し可能な形で固定する働きとを果たす。
【0023】
以下、図7〜9を参照しながら、本発明の第3の実施の形態について詳細に説明する。この第3の実施の形態でも、固定リング1´はブッシング11およびスカート12を有する。スカート12には、スロット125によって隔てられたセグメント123が形成されているが、スロットはブッシング11までは延びていない。従って、スカート12の上側部分には切れ目がなく、すなわちスロットフリーとなっている。本発明では、スカート12の外壁121にはリセス114´が設けられており、当該リセスは、スカートの周囲全体にわたって延びる切れ目のない周縁グルーブ(またはチャネル)を形成している。別の形で規定するなら、スロットによってスカートが分割された高さにまでブッシング11が延びるものとして規定されている場合、リセス114がブッシング11の高さに位置する形を考えることが可能である。この場合、スカートはスロット125によって隔てられたセグメント123から成る部分によってのみ構成される。加えて、バンド2´は突出プロフィール24´を備え、当該プロフィールは、この例では、バンドの下側自由端部27´の位置に形成されている。突出プロフィール24´は、下側端部27´の内向きに延びた変形部という形で形成してもよい。つまり、プロフィール24´は、内向きに変形した底面側端部27´の底面内側端部によって作ることができる。本発明では、突出プロフィール24´の位置におけるバンドの内径は、ブッシング11またはスカート12の外径よりも小さくなっている。したがって、バンドがリングの上に嵌められると、突出プロフィール24´をリセス114´に収容された状態とすることができる。この状態は図7、8に示してある。また、バンドの内壁がブッシング11の外壁に対して強固な装着接触の状態になる、という構成を設けることも可能である。これにより、リング1´へのバンド2´の一時的な固定を改善することができる。突出プロフィール24´がリセス114´に嵌まった状態は、バンド2´がリング1´に事前位置づけされた中間装着位置を規定する。バンド、リング、そしてディスペンサ部材から成る組立物は、肩43の下にヘッド124をスナップ留めする形で、ネック4に装着することができる。この第1の作業の間、バンド2´のリング1´に対する位置は変化しない。その後、バンド2´の頂上側端部25に圧力が加えられ、バンドがリングに対して移動させられる。図9で示す最終装着位置では、突出プロフィール24´は、スカート12の底面側端部126の下に収容された形となる。こうして、バンドは、リングの下に引っかけられた形で固定される。この例では、突出プロフィール24´は、バンドをリングに事前位置づけする働き、および、最終装着位置でリングにバンドを保持する働きをする。効果的な構成として、バンドの内壁にはさらに別の突出プロフィール24´´を設けてもよい。これらは、図9に示す最終装着位置でリセス114´に収容される形となり、それによってリングの強度を向上させる。ただし、第2の突出プロフィール24´´は必須ではない。また、バンドはキャップを備えていてもよい。
【0024】
リングの下にバンドを固定する技術は、リングにバンドを事前位置づけする技術とは別に実装してもよい。そうすると、リングからリセス114(114´)を省くこともでき、その場合はただ、リングと契合する形で働く突出プロフィールをリングが備える形で形成されていればよい。
本発明により、リングへのバンドの事前位置づけを簡単かつ正確に行うことが可能となる。また、永続的かつ安定した形でリングにバンドを固定することが可能となる。
【0025】
固定リングは射出成形されたプラスチック素材で作るのが好ましいが、バンドの方は金属製とするのが好ましい。ただし、バンドにプラスチックを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】貯蔵器ネックへの装着の準備ができたディスペンサ部材を備えた、第1の実施の形態の固定装置について、縦断面を示す分解図である。
【図2】図1と同様の図であり、中間装着位置における図である。
【図3】図1、2と同様の図であり、最終装着位置における図である。
【図4】図1乃至3に示す実施の形態の変形例である実施の形態の分解縦断面図である。
【図5】中間装着位置における図である。
【図6】図4、5に示す実施の形態に関する最終装着位置での図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態を、装着直前の状態において縦断面で示す分解図である。
【図8】図7と同様の図であり、中間装着位置における図である。
【図9】図7、8に示す第3の実施の形態の最終装着位置における図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投与部材(3)を流体貯蔵器(4)の開口部(41)に固定するための固定装置であって、前記装置は対称軸(X)を有すると共に、
投与部材(3)を収容するための手段(113)と貯蔵器の開口部への固定のための手段(12)とを備えた固定用リング(1;1´)であって、周囲の外壁(111,121)を有する、という前記リングと、そして、
リングに設置されることで貯蔵器開口部上にリングをロックするバンド(2;2´)であって、リングの外壁と接触状態になるように設計された内壁を有する、という前記バンドと、を有し、
特徴となるのは、
リングの外壁には少なくとも1つのリセス(114;114´)が設けられ、さらに、バンドの内壁(21)には、リングのリセスに嵌まる形で働く、少なくとも1つの突出プロフィール(24;24´;24´´)が設けられていることである、
という前記固定装置。
【請求項2】
リセス(114;114´)内に嵌まった状態のプロフィール(24;24´)は、バンドが最終的にリングに装着された最終装着位置に対応していること、
を特徴とする請求項1に記載の固定装置。
【請求項3】
リセス内に嵌まった状態のプロフィール(24´)は、バンドがリングに装着される途中の中間装着位置に対応していること、
を特徴とする請求項1に記載の固定装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのリセス(24;24´;24´´)は、軸(X)に垂直な面で延びていること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の固定装置。
【請求項5】
内壁(21)は頂上側端部(25)と底面側端部(27;27´)とを有し、前記少なくとも1つの突出プロフィール(24;24´´)は、底面側端部よりも頂上側端部に近い位置、効果的な構成としては頂上側端部の近傍に形成されていること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の固定装置。
【請求項6】
内壁(21)は底面側端部(27´)を有し、前記少なくとも1つの突出プロフィール(24´)は前記底面側端部に形成されており、前記少なくとも1つのプロフィール(24´)は、中間装着位置において、前記少なくとも1つのリセス(114´)の中に嵌まる状態となること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の固定装置。
【請求項7】
外壁(121)は底面側エッジ(126)を有し、前記少なくとも1つのプロフィール(24´)は、最終装着位置では、底面側エッジの下に嵌まる状態になること、
を特徴とする請求項6に記載の固定装置。
【請求項8】
バンドは、外壁(22)に少なくとも1つのリセス(23)を備えていること、
を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の固定装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのリセス(23)は、軸方向に見て、前記少なくとも1つの突出プロフィール(24)と同じ高さに位置していること、
を特徴とする請求項8に記載の固定装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのリセスおよび前記少なくとも1つの突出プロフィールは、バンドの有する、内向きに延びた変形部の形で形成されていること、
を特徴とする請求項8又は9に記載の固定装置。
【請求項11】
バンドの前記少なくとも1つのリセス(23)に嵌まった状態になるように設計された内側突起(53)を備える、というキャップ(5)を更に有すること、
を特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の固定装置。
【請求項12】
リングは、上側周囲ブッシング(11)と当該ブッシングから下に延びるスカート(12)とを有し、スカートにはスロットで隔てられたセグメント(123)が形成されており、各セグメントには内向きに突き出た留めヘッド(124)が少なくとも1つ形成されており、前記少なくとも1つのリセス(114,114´)はブッシングの高さに形成されていること、
を特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の固定装置。
【請求項13】
請求項12に記載の固定装置を貯蔵器(4)の開口部(41)に装着する方法であって、当該開口部には留め用の肩(43)が設けられており、当該方法においては、前記少なくとも1つの突出プロフィール(24´)は、留めヘッド(124)が貯蔵器の開口部の留め用の肩(43)の下に嵌まった状態になるまで、前記少なくとも1つのリセス(114´)に嵌まった状態を保つ、という方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−505793(P2007−505793A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526659(P2006−526659)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002308
【国際公開番号】WO2005/030607
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】