説明

貯蔵安定性の改善された接着性を有する硬化性組成物

【課題】非錫系金属触媒と架橋性珪素基を有する有機重合体を含む、特に貯蔵安定性が改善し、接着性を有する硬化性組成物を提供する。
【解決手段】(A)珪素原子に結合した加水分解性基を有し、水分の作用によりシロキサン結合を形成することによって架橋し得る架橋性珪素基を有し主鎖がポリシロキサンでない有機重合体、及び(B)硬化触媒として金属化合物、を含有する接着性を有する硬化性組成物であって、前記(B)金属化合物が、錫を除く金属からなる群から選ばれる1種以上の金属の化合物であって、該金属原子にα−又はβ−ケトアルコールの残基が結合してなり、α炭素が飽和炭素である金属化合物であり、前記(A)有機重合体100質量部に対して前記(B)金属化合物を0.1〜20質量部含有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は架橋性珪素基を有する有機重合体を用いる硬化性組成物に関し、特に貯蔵安定性が改善し、接着性を有する硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
分子内に架橋性珪素基を有する有機重合体は、室温においても空気中の水分と反応してゴム状に硬化するという特徴を有する。分子内に架橋性珪素基を有する有機重合体の中でも、主鎖骨格がポリオキシアルキレン系重合体である有機重合体は、特許文献1などに開示されている。このポリオキシアルキレン系重合体は既に工業的に生産されており、シーリング材、接着剤などの用途に広く使用されている。このような有機重合体の代表例は、通常、伸びや柔軟性を保持するために、珪素原子1つあたり2つの加水分解性基が結合してなる架橋性珪素基を有する。
【0003】
上記の有機重合体を含有する硬化性組成物は、シラノール縮合触媒を用いて硬化させており、通常、ジブチルスズビスアセチルアセトナートなどの有機錫系触媒が広く使用されている。しかしながら、近年、有機錫系化合物はその毒性が指摘されており、代替となる非錫硬化触媒が望まれている。
【0004】
この非有機錫系触媒としてチタン触媒を使用する脱アルコール型シリコーン組成物は、特許文献2、特許文献3などに開示されている。この脱アルコール型シリコーン組成物は既に工業的に生産されており、多くの用途に広く使用されている。
【0005】
一方、架橋性珪素基を含有する有機重合体に対して、硬化触媒としてチタン触媒、アルミニウム触媒、または、ジルコニウム触媒を組み合わせた硬化性組成物についても特許文献4〜7などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭52−73998号公報
【特許文献2】特公昭39−27643号公報(米国特許3175993号)
【特許文献3】米国特許3334067号
【特許文献4】特開2002−249672号公報
【特許文献5】特開昭58−17154号公報(特公平3−57943号公報)
【特許文献6】特開昭62−146959号公報(特公平5−45635号公報)
【特許文献7】特開2004−51809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが特許文献4などに開示されている硬化性組成物、すなわち架橋性珪素基を有する有機重合体の硬化触媒としてチタン触媒、アルミニウム触媒、または、ジルコニウム触媒を用いた場合、現在一般的に使用されている有機錫系化合物の場合に比べると、硬化速度が小さく、実用的な硬化性を持つには至らない場合があった。
【0008】
本発明は、硬化触媒として金属触媒と架橋性珪素基を有する有機重合体を含む、特に貯蔵安定性が改善し、接着性を有する硬化性組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、このような問題を解決するために鋭意検討した結果、架橋性珪素基を有する有機重合体として、珪素原子に加水分解性基が結合してなる架橋性珪素基を有する有機重合体を用い、その硬化触媒として「金属原子にα−又はβ−ケトアルコールの残基が結合してなり、α炭素が飽和炭素である金属化合物」を用いることで、非有機錫触媒でありながら十分に実用的な硬化性と接着性を維持しながら、貯蔵安定性が改善した硬化性組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明の硬化性組成物は、(A)珪素原子に結合した加水分解性基を有し、水分の作用によりシロキサン結合を形成することによって架橋し得る架橋性珪素基を有し主鎖がポリシロキサンでない有機重合体、及び(B)硬化触媒として金属化合物、を含有する接着性を有する硬化性組成物であって、前記(B)金属化合物が、錫を除く金属からなる群から選ばれる1種以上の金属の化合物であって、該金属原子にα−又はβ−ケトアルコールの残基が結合してなり、α炭素が飽和炭素である金属化合物であり、前記(A)有機重合体100質量部に対して前記(B)金属化合物を0.1〜20質量部含有することを特徴とする。
【0011】
前記(B)金属化合物が、少なくとも金属アルコキシドと、ヒドロキシカルボン酸エステルとを反応させた反応物であることが好ましい。
前記ヒドロキシカルボン酸エステルが、乳酸エステル、リンゴ酸エステル及びクエン酸エステルからなる群から選択される1種以上であることが好適である。
また、前記金属アルコキシドが、炭素数1〜12のアルコキシド基を含む金属アルコキシドであることが好ましい。
【0012】
前記金属が、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、バナジウム及びタンタルからなる群から選択される1種以上であることが好適である。
【0013】
前記(A)有機重合体の主鎖骨格が、ポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体、及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好適である。
【0014】
前記架橋性珪素基が下記式(1)で示される基であることが好ましい。
【0015】
【化1】

【0016】
前記式(1)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、Rが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは加水分解性基を示し、該加水分解性基がアルコキシ基であることが好ましく、該加水分解性基の少なくとも一部がメトキシ基であることがより好ましい。Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは1、2又は3の整数であり、2又は3が好ましく、3がより好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、非錫硬化触媒である金属触媒と、架橋性珪素基を有する有機重合体を含む、特に貯蔵安定性が改善し、接着性に優れており、接着剤やシーリング材などとして有用な硬化性組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これらは例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0019】
本発明の硬化性組成物は、(A)珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、水分の作用によりシロキサン結合を形成することによって架橋し得る架橋性珪素基を有し主鎖がポリシロキサンでない有機重合体、及び(B)硬化触媒として金属化合物、を含有する接着性を有する硬化性組成物であって、前記金属化合物が、錫を除く金属からなる群から選ばれる1種以上の金属の化合物であって、該金属にα−又はβ−ケトアルコールの残基が結合してなり、α炭素が飽和炭素である金属化合物であり、前記(A)有機重合体100質量部に対して前記(B)硬化触媒を0.1〜20質量部含有することを特徴とする。
【0020】
本発明に用いる(A)架橋性珪素基を有する有機重合体は、主鎖がポリシロキサンでない有機重合体であり、ポリシロキサンを除く各種の主鎖骨格を持つものを使用することができる。
【0021】
具体的には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体等のポリオキシアルキレン系重合体;エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレン等との共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリルおよび/またはスチレン等との共重合体、ポリブタジエン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリル及びスチレン等との共重合体、これらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体等の炭化水素系重合体;アジピン酸等の2塩基酸とグリコールとの縮合、または、ラクトン類の開環重合で得られるポリエステル系重合体;エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のモノマーをラジカル重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体;(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等のモノマーをラジカル重合して得られるビニル系重合体;前記有機重合体中でのビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体;ポリサルファイド系重合体;ε−カプロラクタムの開環重合によるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の縮重合によるナイロン6・6、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の縮重合によるナイロン6・10、ε−アミノウンデカン酸の縮重合によるナイロン11、ε−アミノラウロラクタムの開環重合によるナイロン12、上記のナイロンのうち2成分以上の成分を有する共重合ナイロン等のポリアミド系重合体;たとえばビスフェノールAと塩化カルボニルより縮重合して製造されるポリカーボネート系重合体、ジアリルフタレート系重合体等が例示される。
【0022】
さらに、ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエン等の飽和炭化水素系重合体や、ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体は比較的ガラス転移温度が低く、得られる硬化物が耐寒性に優れることからより好ましい。
【0023】
また、本発明に用いる(B)硬化触媒は、その添加量が多いと、得られる組成物の深部硬化性が低下する場合がある。従って、ポリオキシアルキレン系重合体および(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、透湿性が高く1液型組成物にした場合に深部硬化性に優れることから特に好ましく、ポリオキシアルキレン系重合体は最も好ましい。
【0024】
本発明に用いる(A)架橋性珪素基を有する有機系重合体の架橋性珪素基は、珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうる基である。前記架橋性珪素基としては、例えば、下記一般式(2)で示される基が好適である。
【0025】
【化2】

【0026】
前記式(2)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基またはRSiO−(Rは、前記と同じ)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、Rが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1または2を、それぞれ示す。またp個の下記一般式(3)におけるbは同一である必要はない。pは0〜19の整数を示す。但し、a+(bの和)≧1を満足するものとする。
【0027】
【化3】

【0028】
該加水分解性基や水酸基は1個の珪素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、a+(bの和)は1〜5の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が架橋性珪素基中に2個以上結合する場合には、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
架橋性珪素基を形成する珪素原子は1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合等により連結された珪素原子の場合には、20個程度あってもよい。
【0029】
前記架橋性珪素基としては、下記一般式(1)で示される架橋性珪素基が、入手が容易である点から好ましい。
【0030】
【化4】

【0031】
前記式(1)中、R、Xは前記におなじ、aは1、2又は3の整数である。硬化性を考慮し、十分な硬化速度を有する硬化性組成物を得るには、前記式(1)においてaは2以上が好ましく、3がより好ましい。
【0032】
上記Rの具体例としては、たとえばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、RSiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等があげられる。これらの中ではメチル基が好ましい。
【0033】
上記Xで示される加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、たとえば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等があげられる。これらの中では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましく、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基がさらに好ましい。加水分解性が穏やかで取扱やすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基の中では炭素数の少ないものの方が反応性が高く、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基の順のように炭素数が多くなるほどに反応性が低くなる。目的や用途に応じて選択できるが通常メトキシ基やエトキシ基が使用される。
【0034】
架橋性珪素基の具体的な構造としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基[−Si(OR)]、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基[−SiR(OR)]、があげられる。ここでRはメチル基やエチル基のようなアルキル基である。
【0035】
また、架橋性珪素基は1種で使用しても良く、2種以上併用してもかまわない。架橋性珪素基は、主鎖または側鎖あるいはいずれにも存在しうる。
【0036】
架橋性珪素基を形成する珪素原子は1個以上であるが、シロキサン結合などにより連結された珪素原子の場合には、20個以下であることが好ましい。
【0037】
架橋性珪素基を有する有機重合体は直鎖状、または分岐を有してもよく、その数平均分子量はGPCにおけるポリスチレン換算において500〜100,000程度、より好ましくは1,000〜50,000であり、特に好ましくは3,000〜30,000である。数平均分子量が500未満では、硬化物の伸び特性の点で不都合な傾向があり、100,000を越えると、高粘度となる為に作業性の点で不都合な傾向がある。
【0038】
高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物を得るためには、有機重合体に含有される架橋性珪素基は重合体1分子中に平均して少なくとも1個、好ましくは1.1〜5個存在するのがよい。分子中に含まれる架橋性珪素基の数が平均して1個未満になると、硬化性が不充分になり、良好なゴム弾性挙動を発現しにくくなる。架橋性珪素基は、有機重合体分子鎖の主鎖の末端あるいは側鎖の末端にあってもよいし、また、両方にあってもよい。特に、架橋性珪素基が分子鎖の主鎖の末端にのみあるときは、最終的に形成される硬化物に含まれる有機重合体成分の有効網目長が長くなるため、高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物が得られやすくなる。
【0039】
前記ポリオキシアルキレン系重合体は、本質的に下記一般式(4)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
−R−O− ・・・(4)
前記一般式(4)中、Rは炭素数1〜14の直鎖状もしくは分岐アルキレン基であり、炭素数1〜14の、さらには2〜4の、直鎖状もしくは分岐アルキレン基が好ましい。
【0040】
一般式(4)で示される繰り返し単位の具体例としては、
−CHO−、−CHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CHCH(C)O−、−CHC(CHO−、−CHCHCHCHO−
等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特にシーリング材等に使用される場合には、プロピレンオキシド重合体を主成分とする重合体から成るものが非晶質であることや比較的低粘度である点から好ましい。
【0041】
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、たとえばKOHのようなアルカリ触媒による重合法、たとえば特開昭61−197631号、同61−215622号、同61−215623号、同61−215623号に示されるような有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる、有機アルミ−ポルフィリン錯体触媒による重合法、たとえば特公昭46−27250号および特公昭59−15336号などに示される複金属シアン化物錯体触媒による重合法等があげられるが、特に限定されるものではない。有機アルミ−ポルフィリン錯体触媒による重合法や複金属シアン化物錯体触媒による重合法によれば数平均分子量6,000以上、Mw/Mnが1.6以下の高分子量で分子量分布が狭いポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
【0042】
上記ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格中にはウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。ウレタン結合成分としては、たとえばトルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートと水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体との反応から得られるものをあげることができる。
【0043】
ポリオキシアルキレン系重合体への架橋性珪素基の導入は、分子中に不飽和基、水酸基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させることにより行うことができる(以下、高分子反応法という)。
【0044】
高分子反応法の具体例として、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体に架橋性珪素基を有するヒドロシランや架橋性珪素基を有するメルカプト化合物を作用させてヒドロシリル化やメルカプト化し、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得る方法をあげることができる。不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体は水酸基等の官能基を有する有機重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させ、不飽和基を含有するポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
【0045】
また、高分子反応法の他の具体例として、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体とイソシアネート基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させる方法や末端にイソシアネート基を有するポリオキシアルキレン系重合体と水酸基やアミノ基等の活性水素基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させる方法をあげることができる。イソシアネート化合物を使用すると、容易に架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
【0046】
架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の具体例としては、特公昭45−36319号、同46−12154号、特開昭50−156599号、同54−6096号、同55−13767号、同57−164123号、特公平3−2450号、特開2005−213446号、同2005−306891号、国際公開特許WO2007−040143号、米国特許3,632,557、同4,345,053、同4,960,844等の各公報に提案されているものをあげることができる。
【0047】
上記の架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0048】
前記飽和炭化水素系重合体は芳香環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体であり、その骨格をなす重合体は、(1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレンなどのような炭素数2から6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させるか、(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合させ、あるいは、上記オレフィン系化合物とを共重合させた後、水素添加するなどの方法により得ることができるが、イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体は、末端に官能基を導入しやすく、分子量を制御しやすく、また、末端官能基の数を多くすることができるので好ましく、イソブチレン系重合体が特に好ましい。
【0049】
主鎖骨格が飽和炭化水素系重合体であるものは、耐熱性、耐候性、耐久性、及び湿気遮断性に優れる特徴を有する。
【0050】
イソブチレン系重合体は、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよいし、他単量体との共重合体でもよいが、ゴム特性の面からイソブチレンに由来する繰り返し単位を50質量%以上含有するものが好ましく、80質量%以上含有するものがより好ましく、90〜99質量%含有するものが特に好ましい。
【0051】
飽和炭化水素系重合体の合成法としては、従来、各種重合方法が報告されているが、特に近年多くのいわゆるリビング重合が開発されている。飽和炭化水素系重合体、特にイソブチレン系重合体の場合、Kennedyらによって見出されたイニファー重合(J. P. Kennedyら、J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed. 1997年、15巻、2843頁)を用いることにより容易に製造することが可能であり、分子量500〜100,000程度を、分子量分布1.5以下で重合でき、分子末端に各種官能基を導入できることが知られている。
【0052】
反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の製法としては、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号、特開平1−197509号、特許公報第2539445号、特許公報第2873395号、特開平7−53882号の各明細書などに記載されているが、特にこれらに限定されるものではない。
【0053】
上記の架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。
【0054】
前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体の主鎖を構成する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、メタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルジメトキシメチルシラン、メタクリロイルオキシメチルジエトキシメチルシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ビス(トリフルオロメチル)メチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマーが挙げられる。
【0055】
前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体では、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとともに、以下のビニル系モノマーを共重合することもできる。該ビニル系モノマーを例示すると、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等の珪素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。
【0056】
これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。なかでも、生成物の物性等から、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーからなる重合体が好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーからなる(メタ)アクリル系重合体であり、特に好ましくはアクリル酸エステルモノマーからなるアクリル系重合体である。一般建築用等の用途においては配合物の低粘度、硬化物の低モジュラス、高伸び、耐候、耐熱性等の物性が要求される点から、アクリル酸ブチル系モノマーが更に好ましい。一方、自動車用途等の耐油性等が要求される用途においては、アクリル酸エチルを主とした共重合体が更に好ましい。このアクリル酸エチルを主とした重合体は耐油性に優れるが低温特性(耐寒性)にやや劣る傾向があるため、その低温特性を向上させるために、アクリル酸エチルの一部をアクリル酸ブチルに置き換えることも可能である。ただし、アクリル酸ブチルの比率を増やすに伴いその良好な耐油性が損なわれていくので、耐油性を要求される用途にはその比率は40%以下にするのが好ましく、更には30%以下にするのがより好ましい。また、耐油性を損なわずに低温特性等を改善するために側鎖のアルキル基に酸素が導入されたアクリル酸−2−メトキシエチルやアクリル酸−2−エトキシエチル等を用いるのも好ましい。ただし、側鎖にエーテル結合を持つアルコキシ基の導入により耐熱性が劣る傾向にあるので、耐熱性が要求されるときには、その比率は40%以下にするのが好ましい。各種用途や要求される目的に応じて、必要とされる耐油性や耐熱性、低温特性等の物性を考慮し、その比率を変化させ、適した重合体を得ることが可能である。例えば、限定はされないが耐油性や耐熱性、低温特性等の物性バランスに優れている例としては、アクリル酸エチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸−2−メトキシエチル(質量比で40〜50/20〜30/30〜20)の共重合体が挙げられる。本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが質量比で40%以上含まれていることが好ましい。なお上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/あるいはメタクリル酸を表す。
【0057】
本発明において、(メタ)アクリル酸エステル重合体を得る方法は、特に限定されず、公知の重合法(例えば、特開昭63−112642号、特開2007−230947号、特開2001−40037号、特開2003−313397号等の記載の合成法)を利用することができ、ラジカル重合反応を用いたラジカル重合法が好ましい。ラジカル重合法としては、重合開始剤を用いて所定の単量体単位を共重合させるラジカル重合法(フリーラジカル重合法)や、末端などの制御された位置に反応性シリル基を導入することが可能な制御ラジカル重合法が挙げられる。但し、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物などを用いる通常のフリーラジカル重合法で得られる重合体は、分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子量分布が狭く、粘度の低い(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得るためには、制御ラジカル重合法を用いることが好適である。
【0058】
制御ラジカル重合法としては、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いたフリーラジカル重合法やリビングラジカル重合法が挙げられ、付加−開裂移動反応(Reversible Addition-Fragmentation chain Transfer;RAFT)重合法、遷移金属錯体を用いたラジカル重合法(Transition-Metal-Mediated Living Radical Polymerization)等のリビングラジカル重合法がより好ましい。また、反応性シリル基を有するチオール化合物を用いた反応や、反応性シリル基を有するチオール化合物及びメタロセン化合物を用いた反応(特開2001−40037号公報)も好適である。
【0059】
<フリーラジカル重合法>
フリーラジカル重合法を用いる場合は、連鎖移動剤、開始剤を用いて0℃〜200℃で反応させることが好ましい。より好ましくは25℃〜150℃の範囲内に設定することが特に好ましい。重合反応温度を上記範囲内に設定することにより、反応を暴走させることなく安定に進行させることができる。使用する重合性不飽和化合物の不飽和基の活性にもよるが、比較的重合性の高いアクリル酸エステル系の重合性不飽和化合物を用いた場合でも、反応温度を0℃未満とした場合、活性が低くなり、充分な重合率を達成するために必要な時間が長くなり、効率が悪い。さらに、スチレン型不飽和化合物のように重合活性が低い化合物を用いた場合でも、25℃以上の条件であれば、充分な重合率を達成することができる。フリーラジカル重合法を用いる場合において、反応時間は、重合率、分子量等を考慮して適宜設定することができるが、例えば上記のような条件では反応時間は、通常は1〜144時間、好ましくは2〜8時間の範囲内に設定することが好ましい。
【0060】
前記連鎖移動剤としては、公知の連鎖移動剤を広く使用でき特に制限はないが、チオール化合物が好ましく、反応性シリル基を有するチオール化合物がより好ましい。例えば、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン、メルカプトメチルジメチルメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルジメチルエトキシシラン、メルカプトメチルトリプロポキシシシラン、メルカプトメチルメチルジプロポキシシラン、メルカプトメチルジメチルプロポキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−モノメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−モノフェニルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−ジメチルモノメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−モノメチルジエトキシシラン、4−メルカプトブチル−トリメトキシシランおよび3−メルカプトブチル−トリメトキシシランが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0061】
前記連鎖移動剤は、分子量、分子量分布等を考慮して適宜設定することができるが、通常の量で使用することができ、具体的には、重合させようとする重合性不飽和化合物100mol部に対して、通常は0.001〜30mol部、好ましくは0.01〜20mol部の量で使用される。
【0062】
前記開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、イオン性開始剤およびレドックス開始剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0063】
前記アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(V−60、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V−59、和光純薬工業(株)製)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(V−40、和光純薬工業(株)製)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(V−30、和光純薬工業(株)製)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチル−バレロニトリル(V−19、和光純薬工業(株)製)等のアゾニトリル化合物、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド](VA−080、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド](VA−082、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド](VA−085、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド](VA−086、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレート(VA−088、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド](VF−096、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)(VAm−110、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)(VAm−111、和光純薬工業(株)製)等のアゾアミド化合物、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(VR−110、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)(VR−160、和光純薬工業(株)製)等のアルキルアゾ化合物等が挙げられる。
【0064】
前記過酸化物系開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド(パーメックH、日脂(株)製)、シクロヘキサノンパーオキ種(パーヘキサH、日脂(株)製)、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド(パーヘキサQ、日脂(株)製)、メチルアセトアセテートパーオキサイド(パーキュアーSA、日脂(株)製)、アセチルアセトンパーオキサイド(パーキュアーA、日脂(株)製)等のケトンパーオキサイド類、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサTMH、日脂(株)製)、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(パーヘキサHC、日脂(株)製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサ3M、日脂(株)製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(パーヘキサC、日脂(株)製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン(パーヘキサCD−R、日脂(株)製)、2,2’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン(パーヘキサ22、日脂(株)製)、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート)パーヘキサV、日脂(株)製)、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(パーテトラA、日脂(株)製)等のパーオキシケタール類、t−ブチルヒドロパーオキサイド(パーブチルH−69、日脂(株)製)、p−メンタンヒドロパーオキサイド(パーメンタH、日脂(株)製)、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド(パークミルP、日脂(株)製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド(パーオクタH、日脂(株)製)、クメンヒドロパーオキサイド(パークミルH−80、日脂(株)製)、t−ヘキシルヒドロパーオキサイド(パーヘキシルH、日脂(株)製)等のヒドロパーオキサイド類、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(パーヘキシン25B、日脂(株)製)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(パーブチルD−R、日脂(株)製)、t−ブチルクミルパーオキ種(パーブチルC、日脂(株)製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25B、日脂(株)製)、ジクミルパーオキ種(パークミルD−R、日脂(株)製、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日脂(株)製)等のジアルキルパーオキサイド類、オクタノイルパーオキ種(パーロイルO、日脂(株)製)、ラウロイルパーオキ種(パーロイルL、日脂(株)製)、ステアロイルパーオキ種(パーロイルS、日脂(株)製)、スクシニックアシッドパーオキ種(パーロイルSA、日脂(株)製)、ベンゾイルパーオキサイド(ナイパーBW、日脂(株)製)、イソブチリルパーオキサイド(パーロイルIB、日脂(株)製)、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキ種(ナイパーCS、日脂(株)製)、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキ種(パーロイル355、日脂(株)製)等のジアシルパーオキサイド類、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルNPP−50M、日脂(株)製)、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルIPP−50、日脂(株)製)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(パーロイルTCP、日脂(株)製)、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート(パーロイルEEP、日脂(株)製)、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート(パーロイルOPP、日脂(株)製)、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート(パーロイルMBP、日脂(株)製)、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート(パーロイルSOP、日脂(株)製)等のパーオキシジカーボネート類、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(ナイパーND−R、日脂(株)製)、クミルパーオキシネオデカノエート(パークミルND−R、日脂(株)製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(パーオクタND−R、日脂(株)製)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート(パーシクロND−R、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(パーヘキシルND−R、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(パーブチルND−R、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(パーヘキシルPV、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシピバレート(パーブチルPV、日脂(株)製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーオクタO、日脂(株)製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ250、日脂(株)製)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーシクロO、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーヘキシルO、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(パーブチルIB、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーヘキシルI、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド(パーブチルMA、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート(パーブチル355、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシラウレート(パーブチルL、日脂(株)製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25MT、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーブチルI、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(パーブチルE、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(パーヘキシルZ、日脂(株)製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25Z、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシアセテート(パーブチルA、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート(パーブチルZT、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(パーブチルZ、日脂(株)製)、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート(パーブチルIF、日脂(株)製)等のパーオキシエステル類、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート(ペロマーAC、日脂(株)製)、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド(パーブチルSM、日脂(株)製)、3,3’−4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB−50、日脂(株)製)、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン(ノフマーBC、日脂(株)製)等が挙げられる。
【0065】
前記イオン性開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス[2−(フェニルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−545、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−クロロフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−546、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−548、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−552、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−553、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(VA−50、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−558、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−041、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−044、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−054、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−058、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−059、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−060、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](VA−061、和光純薬工業(株)製)等のカチオン性開始剤、過硫酸カリウム(KPS、和光純薬工業(株)製)、過硫酸アンモニウム(APS、和光純薬工業(株)製)などのアニオン性開始剤、が挙げられる。
【0066】
前記レドックス開始剤としては、例えば、有機過酸化物と第3級アミンに基づく系、例えば過酸化ベンゾイルとジメチルアニリンに基づく系;並びに有機ヒドロパーオキシドと遷移金属に基づく系、例えばクメンヒドロパーオキシドとコバルトナフテートに基づく系等が挙げられる。
【0067】
前記開始剤は、分子量、分子量分布等を考慮して適宜設定することができるが、通常の量で使用することができ、具体的には、重合させようとする重合性不飽和化合物100mol部に対して、通常は0.001〜30mol部、好ましくは0.01〜20mol部の量で使用される。
【0068】
<付加−開裂移動反応重合法>
付加−開裂移動反応重合法を用いる場合は、連鎖移動剤、開始剤を用いて0℃〜200℃で反応させることが好ましい。より好ましくは25℃〜150℃範囲内に設定することが特に好ましい。重合反応温度を上記範囲内に設定することにより、反応を暴走させることなく安定に進行させることができる。使用する重合性不飽和化合物の不飽和基の活性にもよるが、比較的重合性の高いアクリル酸エステル系の重合性不飽和化合物を用いた場合でも、反応温度を0℃未満とした場合、活性が低くなり、充分な重合率を達成するために必要な時間が長くなり、効率が悪い。さらに、スチレン型不飽和化合物のように重合活性が低い化合物を用いた場合でも、25℃以上の条件であれば、充分な重合率を達成することができる。付加−開裂移動反応重合法を用いる場合において、反応時間は、重合率、分子量等を考慮して適宜設定することができるが、例えば上記のような条件では反応時間は、通常は30分〜144時間、好ましくは1〜24時間の範囲内に設定することが好ましい。
【0069】
前記連鎖移動剤としては、例えば、ベンゾイル−1−ピルロレカルボジチオエ−ト、ベンゾイルジチオベンゾエ−ト、シアノイソプロピルジチオベンゾエ−ト、クミルジチオベンゾエ−ト、メトキシカルボニルフェニルメチルジチオベンゾエ−ト、シアノベンジルジチオベンゾエ−ト、1−フェニルエチルジチオベンゾエ−ト、t−ブチルジチオベンゾエイトS−(チオベンジル)チオグリコリル酸、1−フェニルエチルフェニルジチオベンゾエ−ト、3−ベンジルスルファニルチオカルボニルスルファニル−プロピオン酸、2−(ベンジルスルファニルチオカルボニルスルファニル)エタノール、3−ベンジルスルファニルチオカルボニルスルファニルプロピオン酸、S−(1−エトキシカルボニルエチル)O−エチルキサンテ−ト、エチル−2−(2−トリフルオロエトキシチオカルボニルスルファニル)プロピオネ−ト、エチル−2−(1−ジエトキシホスホニル−2,2,2−トリフルオロエトキシチオカルボニルスルファニル)プロピオネ−ト、ビスチオベンゾイルジスルフィド、ビス(2,6−ジメチルチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(2,4−ジメチルチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(4−メトキシチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(2,4ジメトキシチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(2,4−ジフルオロチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(4−シアノチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(3,5―ジシアノチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ジチオベンゾエ−ト)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6―ペンタフルオロチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(4−フェニルチオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(2−ナフチルチオニル)ジスルフィド、ビス(1−ナフチルチオニル)ジスルフィド、トリフェニルメチルジチオイソニコチネ−ト、2−シアノイソプロピル(2,6−ジメチル)ジチオベンゾエ−ト、2−シアノイソプロピル(2,4−ジメチル)ジチオベンゾエ−ト、2−シアノイソプロピル(4−メトキシ)ジチオベンゾエ−ト、2−シアノイソプロピル(2,4−ジメトキシ)ジチオベンゾエ−ト、2−シアノイソプロピル(4−フルオロ)ジチオベンゾエ−ト、2−シアノイソプロピル(2,4−ジフルオロ)ジチオベンゾエ−ト、2−シアノイソプロピルジチオイソニコチネ−ト、2−シアノイソプロピル4−シアノジチオベンゾエイト、2−シアノイソプロピル3,5−ジシアノジチオベンゾエイト、2−シアノイソプロピル3,5−ビス(トリフルオロメチル)ジチオベンゾエ−ト、2−シアノイソプロピル2,3,4,5、6−ペンタフルオロジチオベンゾエ−ト、2−シアノイソプロピル4−ピリジニウムジチオカルボキシエ−ト4−トルエンスルフォネイト塩、2−シアノイソプロピル(4−フェニル)ジチオベンゾエ−ト、2−シアノイソプロピル−2−ナフチルジチオレ−ト、2−シアノイソプロピル−1−ナフチルジチオレ−ト、2−シアノ−4−メチルペンタ−2−イルジチオベンゾエ−ト、2−シアノ−4−メチルペンタ−2−イル−4−シアノジチオベンゾエ−ト、2−シアノ−4−メチルペンタ−2−イル3,5−ビストリフルオロメチルジチオベンゾエ−ト、2−シアノ−4−メチルペンタ−2−イル−4−メトキシニルジチオベンゾエ−トが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0070】
前記連鎖移動剤は、分子量、分子量分布等を考慮して適宜設定することができるが、通常の量で使用することができ、具体的には、重合させようとする重合性不飽和化合物100mol部に対して、通常は0.001〜30mol部、好ましくは0.01〜20mol部の量で使用される。
【0071】
前記開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、イオン性開始剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0072】
前記アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(V−60、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V−59、和光純薬工業(株)製)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(V−40、和光純薬工業(株)製)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(V−30、和光純薬工業(株)製)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチル−バレロニトリル(V−19、和光純薬工業(株)製)等のアゾニトリル化合物、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド](VA−080、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド](VA−082、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド](VA−085、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド](VA−086、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレート(VA−088、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド](VF−096、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)(VAm−110、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)(VAm−111、和光純薬工業(株)製)等のアゾアミド化合物、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(VR−110、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)(VR−160、和光純薬工業(株)製)等のアルキルアゾ化合物等が挙げられる。
【0073】
前記過酸化物系開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド(パーメックH、日脂(株)製)、シクロヘキサノンパーオキ種(パーヘキサH、日脂(株)製)、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド(パーヘキサQ、日脂(株)製)、メチルアセトアセテートパーオキサイド(パーキュアーSA、日脂(株)製)、アセチルアセトンパーオキサイド(パーキュアーA、日脂(株)製)等のケトンパーオキサイド類、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサTMH、日脂(株)製)、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(パーヘキサHC、日脂(株)製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサ3M、日脂(株)製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(パーヘキサC、日脂(株)製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン(パーヘキサCD−R、日脂(株)製)、2,2’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン(パーヘキサ22、日脂(株)製)、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート)パーヘキサV、日脂(株)製)、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(パーテトラA、日脂(株)製)等のパーオキシケタール類、t−ブチルヒドロパーオキサイド(パーブチルH−69、日脂(株)製)、p−メンタンヒドロパーオキサイド(パーメンタH、日脂(株)製)、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド(パークミルP、日脂(株)製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド(パーオクタH、日脂(株)製)、クメンヒドロパーオキサイド(パークミルH−80、日脂(株)製)、t−ヘキシルヒドロパーオキサイド(パーヘキシルH、日脂(株)製)等のヒドロパーオキサイド類、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(パーヘキシン25B、日脂(株)製)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(パーブチルD−R、日脂(株)製)、t−ブチルクミルパーオキ種(パーブチルC、日脂(株)製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25B、日脂(株)製)、ジクミルパーオキ種(パークミルD−R、日脂(株)製、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日脂(株)製)等のジアルキルパーオキサイド類、オクタノイルパーオキ種(パーロイルO、日脂(株)製)、ラウロイルパーオキ種(パーロイルL、日脂(株)製)、ステアロイルパーオキ種(パーロイルS、日脂(株)製)、スクシニックアシッドパーオキ種(パーロイルSA、日脂(株)製)、ベンゾイルパーオキサイド(ナイパーBW、日脂(株)製)、イソブチリルパーオキサイド(パーロイルIB、日脂(株)製)、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキ種(ナイパーCS、日脂(株)製)、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキ種(パーロイル355、日脂(株)製)等のジアシルパーオキサイド類、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルNPP−50M、日脂(株)製)、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルIPP−50、日脂(株)製)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(パーロイルTCP、日脂(株)製)、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート(パーロイルEEP、日脂(株)製)、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート(パーロイルOPP、日脂(株)製)、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート(パーロイルMBP、日脂(株)製)、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート(パーロイルSOP、日脂(株)製)等のパーオキシジカーボネート類、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(ナイパーND−R、日脂(株)製)、クミルパーオキシネオデカノエート(パークミルND−R、日脂(株)製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(パーオクタND−R、日脂(株)製)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート(パーシクロND−R、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(パーヘキシルND−R、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(パーブチルND−R、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(パーヘキシルPV、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシピバレート(パーブチルPV、日脂(株)製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーオクタO、日脂(株)製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ250、日脂(株)製)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーシクロO、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーヘキシルO、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(パーブチルIB、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーヘキシルI、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド(パーブチルMA、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート(パーブチル355、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシラウレート(パーブチルL、日脂(株)製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25MT、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーブチルI、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(パーブチルE、日脂(株)製)、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(パーヘキシルZ、日脂(株)製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25Z、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシアセテート(パーブチルA、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート(パーブチルZT、日脂(株)製)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(パーブチルZ、日脂(株)製)、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート(パーブチルIF、日脂(株)製)等のパーオキシエステル類、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート(ペロマーAC、日脂(株)製)、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド(パーブチルSM、日脂(株)製)、3,3’−4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB−50、日脂(株)製)、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン(ノフマーBC、日脂(株)製)等が挙げられる。
【0074】
前記イオン性開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス[2−(フェニルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−545、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−クロロフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−546、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−548、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−552、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−553、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(VA−50、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−558、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−041、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−044、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−054、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−058、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−059、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−060、和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](VA−061、和光純薬工業(株)製)等のカチオン性開始剤、過硫酸カリウム(KPS、和光純薬工業(株)製)、過硫酸アンモニウム(APS、和光純薬工業(株)製)などのアニオン性開始剤、が挙げられる。
【0075】
前記開始剤は、分子量、分子量分布等を考慮して適宜設定することができるが、通常の量で使用することができ、具体的には、重合させようとする重合性不飽和化合物100mol部に対して、通常は0.001〜30mol部、好ましくは0.01〜20mol部の量で使用される。
【0076】
<反応性シリル基を有するチオール化合物及びメタロセン化合物を用いた重合法>
金属触媒としてメタロセン化合物を用い、さらに分子中に少なくとも1つの反応性シリル基を有するチオール化合物を用いて0℃〜150℃で反応させることが好ましい。より好ましくは25℃〜120℃範囲内に設定することが特に好ましい。重合反応温度を上記範囲内に設定することにより、反応を暴走させることなく安定に進行させることができる。使用する重合性不飽和化合物の不飽和基の活性にもよるが、比較的重合性の高いアクリル酸エステル系の重合性不飽和化合物を用いた場合でも、反応温度を0℃未満とした場合、活性が低くなり、充分な重合率を達成するために必要な時間が長くなり、効率が悪い。さらに、スチレン型不飽和化合物のように重合活性が低い化合物を用いた場合でも、25℃以上の条件であれば、充分な重合率を達成することができる。該重合法を用いる場合において、反応時間は、重合率、分子量等を考慮して適宜設定することができるが、例えば上記のような条件では反応時間は、通常は1〜12時間、好ましくは2〜8時間の範囲内に設定することが好ましい。
【0077】
上記メタロセン化合物としては特に限定されないが、例えば、ジシクロペンタジエン−Ti−ジクロライド、ジシクロペンタジエン−Ti−ビスフェニル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,5,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イルのようなチタノセン化合物;ジシクロペンタジエニル−Zr−ジクロライド、ジシクロペンタジエン−Zr−ビスフェニル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,5,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエン−Zr−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジメチルシクロペンタジエニル−Zr−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル)のようなジルコノセン化合物;ジシクロペンタジエニル−V−クロライド、ビスメチルシクロペンタジエニル−V−クロライド、ビスペンタメチルシクロペンタジエニル−V−クロライド、ジシクロペンタジエニル−Ru−クロライド、ジシクロペンタジエニル−Cr−クロライドなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0078】
前記メタロセン化合物は、通常の触媒量で使用することができ、具体的には、重合させようとする重合性不飽和化合物100mol部に対して、通常は0.1〜0.00001mol部、好ましくは0.0001〜0.00005mol部の量で使用される。
【0079】
上記反応性シリル基を有するチオール化合物としては特に限定されないが、例えば、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン、メルカプトメチルジメチルメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルジメチルエトキシシラン、メルカプトメチルトリプロポキシシシラン、メルカプトメチルメチルジプロポキシシラン、メルカプトメチルジメチルプロポキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−モノメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−モノフェニルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−ジメチルモノメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−モノメチルジエトキシシラン、4−メルカプトブチル−トリメトキシシランおよび3−メルカプトブチル−トリメトキシシラン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0080】
前記反応性シリル基を有するチオール化合物の使用量は、得ようとする重合体の分子量、重合速度等を考慮して適宜設定することができるが、反応を円滑に進め、かつ反応を暴走させないためには、メタロセン化合物と反応性シリル基を有するチオール化合物とは通常は100:1〜1:50000の範囲内のモル比、好ましくは10:1〜1:10000のモル比で使用される。
【0081】
<遷移金属錯体を用いたラジカル重合法>
遷移金属錯体を用いたラジカル重合法を用いる場合は、遷移金属錯体、有機ハロゲン化物及び/または配位子を用いて0℃〜200℃で反応させることが好ましい。より好ましくは25℃〜150℃範囲内に設定することが特に好ましい。重合反応温度を上記範囲内に設定することにより、反応を暴走させることなく安定に進行させることができる。使用する重合性不飽和化合物の不飽和基の活性にもよるが、比較的重合性の高いアクリル酸エステル系の重合性不飽和化合物を用いた場合でも、反応温度を0℃未満とした場合、活性が低くなり、充分な重合率を達成するために必要な時間が長くなり、効率が悪い。さらに、スチレン型不飽和化合物のように重合活性が低い化合物を用いた場合でも、25℃以上の条件であれば、充分な重合率を達成することができる。付加−開裂移動反応重合法を用いる場合において、反応時間は、重合率、分子量等を考慮して適宜設定することができるが、例えば上記のような条件では反応時間は、通常は30分〜144時間、好ましくは1〜24時間の範囲内に設定することが好ましい。
【0082】
前記遷移金属錯体としては特に限定されず、例えば、WO97/18247号に記載されているものが利用可能である。中でも好ましいものとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅を用いる場合は、必要に応じて0価の銅、塩化第二銅、臭化第二銅、ヨウ化第二銅を使用することもできる。
また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl(PPh)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl(PPh)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl(PPh)、及び2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr(PBu)も触媒として好適である。
【0083】
触媒として銅化合物を用いる場合、その配位子として、WO97/18247号に記載されている配位子の利用が可能である。特に限定はされないが、アミン系配位子が良く、好ましくは、2,2′−ビピリジル及びその誘導体等のビピリジル化合物、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン、ビスピコリルアミン、トリアルキルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミン等の脂肪族アミン等の配位子である。本発明においては、これらの内では、ポリアミン化合物、特にペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミン等の脂肪族ポリアミンが好ましい。また、触媒として銅化合物を用いる場合の配位子として、ポリアミン化合物、ピリジン系化合物、又は脂肪族アミン化合物を用いる場合には、これらの配位子がアミノ基を3つ以上持つものであることが好ましい。なお、本発明におけるアミノ基とは、窒素原子−炭素原子結合を有する基を表すが、この中でも、窒素原子が炭素原子及び/又は水素原子とのみ結合する基であることが好ましい。また、上記に挙げたメタロセン化合物も使用できる。
【0084】
上記のような配位子を用いる量は、通常の原子移動ラジカル重合の条件では、遷移金属の配位座の数と、配位子の配位する基の数から決定され、ほぼ等しくなるように設定されている。例えば、通常、2,2′−ビピリジル及びその誘導体をCuBrに対して加える量はモル比で2倍であり、ペンタメチルジエチレントリアミンの場合はモル比で1倍である。本発明において配位子を添加して重合を開始する、及び/または、配位子を添加して触媒活性を制御する場合は、特に限定はされないが、金属原子が配位子に対して過剰になる方が好ましい。配位座と配位する基の比は好ましくは1.2倍以上であり、更に好ましくは1.4倍以上であり、特に好ましくは1.6倍以上であり、特別に好ましくは2倍以上である。
【0085】
有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられる。
具体的に例示するならば、C−CHX、C−C(H)(X)CH、C−C(X)(CH、XCH−C−CHX、XC(H)(CH)−CH5−C(H)(CH)X(ただし、上の化学式中、Cはフェニル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)、R−C(H)(X)−CO、R−C(CH)(X)−CO、R−C(H)(X)−C(O)R、R−C(CH)(X)−C(O)R、R−C−SOX(式中、R、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)等が挙げられる。
【0086】
遷移金属錯体を用いたラジカル重合法において、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリn−ブトキシアルミニウム、トリt−ブトキシアルミニウム、トリsec―ブトキシアルミニウムのようなアルミニウムトリアルキレートやジオクチル錫やジエチルヘキシル錫、ジブチル錫の様な二価錫化合物やグルコース、アスコルビン酸のような有機物など重合を活性化させるための添加剤として使用できる。
【0087】
前記(メタ)アクリル酸エステル重合体の合成において、重合は無溶剤または各種溶剤中で行うことができる。溶剤の種類としては、例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等、ポリオキシアルキレン重合体が挙げられ、単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0088】
また、溶剤としてポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体等を用いることにより、後の脱気工程等を不要とすることができる。
【0089】
上記の架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。
【0090】
これらの架橋性珪素基を有する有機重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。具体的には、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体、架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体、及び架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体、からなる群から選択される2種以上をブレンドしてなる有機重合体も使用できる。
【0091】
架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体をブレンドしてなる有機重合体の製造方法は、特開昭59−122541号、特開昭63−112642号、特開平6−172631号、特開平11−116763号公報等に提案されているが、特にこれらに限定されるものではない。好ましい具体例は、架橋性珪素基を有し分子鎖が実質的に、下記一般式(5):
−CH−C(R)(COOR)− ・・・(5)
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数1から8のアルキル基を示す)で表される炭素数1から8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と、下記一般式(6):
−CH−C(R)(COOR)− ・・・(6)
(式中、Rは前記に同じ、Rは炭素数10以上のアルキル基を示す)で表される炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなる共重合体に、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体をブレンドして製造する方法である。
【0092】
前記一般式(5)のRとしては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数1から8、好ましくは1から4、さらに好ましくは1から2のアルキル基があげられる。なお、Rのアルキル基は単独でもよく、2種以上混合していてもよい。
【0093】
前記一般式(6)のRとしては、たとえばラウリル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基等の炭素数10以上、通常は10から30、好ましくは10から20の長鎖のアルキル基があげられる。なお、Rのアルキル基はRの場合と同様、単独でもよく、2種以上混合したものであってもよい。
【0094】
該(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の分子鎖は実質的に式(5)及び式(6)の単量体単位からなるが、ここでいう「実質的に」とは該共重合体中に存在する式(5)及び式(6)の単量体単位の合計が50質量%をこえることを意味する。式(5)及び式(6)の単量体単位の合計は好ましくは70質量%以上である。
【0095】
また式(5)の単量体単位と式(6)の単量体単位の存在比は、質量比で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40がさらに好ましい。
【0096】
該共重合体に含有されていてもよい式(5)及び式(6)以外の単量体単位としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含む単量体;その他アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位があげられる。
【0097】
架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体と架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体をブレンドしてなる有機重合体は、特開平1−168764号、特開2000−186176号公報等に提案されているが、特にこれらに限定されるものではない。
【0098】
さらに、反応性珪素官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体をブレンドしてなる有機重合体の製造方法としては、他にも、架橋性珪素基を有する有機重合体の存在下で(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重合を行う方法が利用できる。この製造方法は、特開昭59−78223号、特開昭59−168014号、特開昭60−228516号、特開昭60−228517号等の各公報に具体的に開示されているが、これらに限定されるものではない。
【0099】
本発明では、(B)成分の硬化触媒として、錫を除く金属からなる群から選ばれる1種以上の金属の化合物であって、該金属にα−又はβ−ケトアルコールの残基が結合してなり、α炭素が飽和炭素である金属化合物を使用する。これらの触媒は、(A)成分である有機重合体の硬化触媒として機能する。従来、(A)成分である架橋性珪素基を有する有機重合体の硬化触媒として、ジブチル錫ジラウレートやジブチル錫ビスアセチルアセトネートなどの有機錫化合物が用いられているが、本発明の触媒(B)を用いることにより、非有機錫触媒でありながら十分に実用的な硬化性と接着性を維持しつつ、貯蔵安定性が改善した硬化性組成物が得られる。
【0100】
前記(B)金属化合物としては、例えば、下記式(7)で表される金属化合物が好適に用いられる。
MZx(OR)y ・・・(7)
【0101】
前記式(7)において、Mは錫を除く金属から選ばれる金属原子を表し、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、バナジウム又はタンタルが好ましく、チタン、アルミニウム又はジルコニウムがより好ましい。Zは、下記式(8)で示されるアルコキシド基であり、Zが複数ある場合、同一であっても異なっていてもよい。Rは炭素数1〜30の置換あるいは非置換の有機基であって、−ORがα−又はβ−ケトアルコールの残基でない基を表し、Rがイソプロプル基であることが好ましい。−OR基が複数ある場合、同一であっても異なっていてもよく、複数の−OR基が一緒になって、ポリオール残基になってもよいが、−ORの少なくとも1つが炭素数1〜30のアルコキシ基であることが好ましい。
【0102】
前記式(7)において、x及びyは、x+y=金属原子Mの価数を満たす数であり、組成物中のxの平均値は正数であり、組成物中のyの平均値は0又は正数である。なお、チタン及びジルコニウムの価数は4であり、アルミニウムの価数は3である。本発明において、組成物中のxの平均値は、0.1〜4.0が好ましく、0.3〜3.0がより好ましい。
【0103】
【化5】

【0104】
前記式(8)において、Rは水素原子又は炭素数1〜30の置換あるいは非置換の有機基を表し、2つのRは同一であっても異なっていてもよい。R10は水素原子又は炭素数1〜30の置換あるいは非置換の有機基を表し、2つのR10は同一であっても異なっていてもよい。R11は炭素数1〜30の置換あるいは非置換の有機基を表し、炭素数1〜30の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜30のアルコキシ基がより好ましく、エトキシ基がさらに好ましい。nは0又は1を表し、nが0であることが好ましい。
【0105】
前記式(8)のRの一方が、水素原子又は炭素数1〜4の置換あるいは非置換のアルキル基であり、Rの他方が、メチル基又は置換メチル基であるであることが好ましい。該置換メチル基の置換基としては、エトキシカルボニル基(−C(=O)OC)、又はエトキシカルボニル基(−C(=O)OC)及び水酸基であることが好適である。また、前記式(8)のRの一方がエトキシカルボニル基(−C(=O)OC)であり、Rの他方がエトキシカルボニル基で置換されたメチル基(−CHC(=O)OC)であることが好ましい。
【0106】
前記(B)硬化触媒に用いられる金属化合物の製造方法は特に制限はないが、少なくとも、チタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、ニオブアルコキシド、バナジウムアルコキシド及びタンタルアルコキシドからなる群から選ばれる1種以上の金属アルコキシドと、1種以上のヒドロキシカルボン酸エステルとを反応させることにより得られる反応物が好適である。
【0107】
前記(B)硬化触媒としては、チタン原子にα−又はβ−ケトアルコールの残基が結合してなり、α炭素が飽和炭素であるチタン化合物が好ましい。該チタン化合物としては、少なくともチタンアルコキシドと、ヒドロキシカルボン酸エステルとを反応させた反応物が好ましく、少なくともチタンアルコキシドと、α−ヒドロキシカルボン酸エステルとを反応させた反応物が硬化性の点からより好ましい。また、前記(B)硬化触媒としては、アルミニウム原子にα−又はβ−ケトアルコールの残基が結合してなり、α炭素が飽和炭素であるアルミニウム化合物が好ましい。該アルミニウム化合物としては、少なくともアルミニウムアルコキシドと、ヒドロキシカルボン酸エステルとを反応させた反応物が好ましく、少なくともアルミニウムアルコキシドと、α−ヒドロキシカルボン酸エステルとを反応させた反応物が硬化性の点からより好ましい。
【0108】
前記チタンアルコキシドとしては、例えば、チタニウムテトラメトキシド、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトラアリルオキシド、チタニウムテトラn−プロポキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラn−ブトキシド、チタニウムテトライソブトキシド、チタニウムテトラsec−ブトキシド、チタニウムテトラt−ブトキシド、チタニウムテトラn−ペンチルオキシド、チタニウムテトラシクロペンチルオキシド、チタニウムテトラヘキシルオキシド、チタニウムテトラシクロヘキシルオキシド、チタニウムテトラベンジルオキシド、チタニウムテトラオクチルオキシド、チタニウムテトラキス(2−エチルヘキシルオキシド)、チタニウムテトラデシルオキシド、チタニウムテトラドデシルオキシド、チタニウムテトラステアリルオキシド、チタニウムテトラブトキシドダイマー、チタニウムテトラキス(8−ヒドロキシオクチルオキシド)、チタニウムジイソプロポキシドビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)、チタニウムビス(2−エチルヘキシルオキシ)ビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)、チタニウムテトラキス(2−クロロエトキシド)、チタニウムテトラキス(2−ブロモエトキシド)、チタニウムテトラキス(2−メトキシエトキシド)、チタニウムテトラキス(2−エトキシエトキシド)、チタニウムブトキシドトリメトキシド、チタニウムジブトキシドジメトキシド、チタニウムブトキシドトリエトキシド、チタニウムジブトキシドジエトキシド、チタニウムブトキシドトリイソプロポキシド、チタニウムジブトキシドジイソプロポキシド、チタニウムテトラフェノキシド、チタニウムテトラキス(o−クロロフェノキシド)、チタニウムテトラキス(m−ニトロフェノキシド)、チタニウムテトラキス(p−メチルフェノキシド)、チタニウムテトラキス(トリメチルシリルオキシド)、などが挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を用いても構わない。これらの中でも炭素数1〜12のアルコキシド基を含むチタンアルコキシドが好ましく、炭素数1〜6のアルコキシド基を含むチタンアルコキシドがより好ましく、取り扱いの容易さ、入手し易さ及び硬化性の観点からチタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラn−ブトキシド、チタニウムテトラt−ブトキシドが最も好ましい。
【0109】
前記アルミニウムアルコキシドとしては、例えば、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリアリルオキシド、アルミニウムトリn−プロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリn−ブトキシド、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリsec−ブトキシド、アルミニウムトリt−ブトキシド、アルミニウムトリn−ペンチルオキシド、アルミニウムトリシクロペンチルオキシド、アルミニウムトリヘキシルオキシド、アルミニウムトリシクロヘキシルオキシド、アルミニウムトリベンジルオキシド、アルミニウムトリオクチルオキシド、アルミニウムトリス(2−エチルヘキシルオキシド)、アルミニウムトリデシルオキシド、アルミニウムトリドデシルオキシド、アルミニウムトリステアリルオキシド、アルミニウムトリブトキシドダイマー、アルミニウムトリス(8−ヒドロキシオクチルオキシド)、アルミニウムイソプロポキシドビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)、アルミニウムジイソプロポキシド(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)、アルミニウム(2−エチルヘキシルオキシ)ビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)、アルミニウムビス(2−エチルヘキシルオキシ)(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)、アルミニウムトリス(2−クロロエトキシド)、アルミニウムトリス(2−ブロモエトキシド)、アルミニウムトリス(2−メトキシエトキシド)、アルミニウムトリス(2−エトキシエトキシド)、アルミニウムブトキシドジメトキシド、アルミニウムメトキシドジブトキシド、アルミニウムブトキシドジエトキシド、アルミニウムエトキシドジブトキシド、アルミニウムブトキシドジイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシドジブトキシド、アルミニウムトリフェノキシド、アルミニウムトリス(o−クロロフェノキシド)、アルミニウムトリス(m−ニトロフェノキシド)、アルミニウムトリス(p−メチルフェノキシド)、などが挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を用いても構わない。
【0110】
前記ジルコニウムアルコキシドとしては、例えば、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラアリルオキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトライソブトキシド、ジルコニウムテトラsec−ブトキシド、ジルコニウムテトラt−ブトキシド、ジルコニウムテトラn−ペンチルオキシド、ジルコニウムテトラシクロペンチルオキシド、ジルコニウムテトラヘキシルオキシド、ジルコニウムテトラシクロヘキシルオキシド、ジルコニウムテトラベンジルオキシド、ジルコニウムテトラオクチルオキシド、ジルコニウムテトラキス(2−エチルヘキシルオキシド)、ジルコニウムテトラデシルオキシド、ジルコニウムテトラドデシルオキシド、ジルコニウムテトラステアリルオキシド、ジルコニウムテトラブトキシドダイマー、ジルコニウムテトラキス(8−ヒドロキシオクチルオキシド)、ジルコニウムジイソプロポキシドビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)、ジルコニウムビス(2−エチルヘキシルオキシ)ビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)、ジルコニウムテトラキス(2−クロロエトキシド)、ジルコニウムテトラキス(2−ブロモエトキシド)、ジルコニウムテトラキス(2−メトキシエトキシド)、ジルコニウムテトラキス(2−エトキシエトキシド)、ジルコニウムブトキシドトリメトキシド、ジルコニウムジブトキシドジメトキシド、ジルコニウムブトキシドトリエトキシド、ジルコニウムジブトキシドジエトキシド、ジルコニウムブトキシドトリイソプロポキシド、ジルコニウムジブトキシドジイソプロポキシド、ジルコニウムテトラフェノキシド、ジルコニウムテトラキス(o−クロロフェノキシド)、ジルコニウムテトラキス(m−ニトロフェノキシド)、ジルコニウムテトラキス(p−メチルフェノキシド)、などが挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を用いても構わない。
【0111】
前記ニオブアルコキシドとしては、例えば、ニオブペンタメトキシド、ニオブペンタエトキシド、ニオブペンタリルオキシド、ニオブペンタn−プロポキシド、ニオブペンタイソプロポキシド、ニオブペンタn−ブトキシド、ニオブペンタイソブトキシド、ニオブペンタsec−ブトキシド、ニオブペンタt−ブトキシド、ニオブペンタn−ペンチルオキシド、ニオブペンタシクロペンチルオキシド、ニオブペンタヘキシルオキシド、ニオブペンタシクロヘキシルオキシド、ニオブペンタベンジルオキシド、ニオブペンタオクチルオキシド、ニオブペンタ(2−エチルヘキシルオキシド)、ニオブペンタデシルオキシド、ニオブペンタドデシルオキシド、ニオブペンタステアリルオキシド、ニオブペンタブトキシドダイマー、ニオブペンタ(8−ヒドロキシオクチルオキシド)、ニオブジイソプロポキシドビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)、ニオブビス(2−エチルヘキシルオキシ)ビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)、ニオブペンタ(2−クロロエトキシド)、ニオブペンタ(2−ブロモエトキシド)、ニオブペンタ(2−メトキシエトキシド)、ニオブペンタ(2−エトキシエトキシド)、ニオブブトキシドテトラメトキシド、ニオブジブトキシドトリメトキシド、ニオブブトキシドテトラエトキシド、ニオブジブトキシドトリエトキシド、ニオブブトキシドテトライソプロポキシド、ニオブテトラブトキシドジイソプロポキシド、ニオブペンタフェノキシド、ニオブペンタ(o−クロロフェノキシド)、ニオブペンタ(m−ニトロフェノキシド)、ニオブペンタキス(p−メチルフェノキシド)、などが挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を用いても構わない。
【0112】
前記バナジウムアルコキシドとしては、例えば、バナジウムペンタメトキシド、バナジウムペンタエトキシド、バナジウムペンタリルオキシド、バナジウムペンタn−プロポキシド、バナジウムペンタイソプロポキシド、バナジウムペンタn−ブトキシド、バナジウムペンタイソブトキシド、バナジウムペンタsec−ブトキシド、バナジウムペンタt−ブトキシド、バナジウムペンタn−ペンチルオキシド、バナジウムペンタシクロペンチルオキシド、バナジウムペンタヘキシルオキシド、バナジウムペンタシクロヘキシルオキシド、バナジウムペンタベンジルオキシド、バナジウムペンタオクチルオキシド、バナジウムペンタ(2−エチルヘキシルオキシド)、バナジウムペンタデシルオキシド、バナジウムペンタドデシルオキシド、バナジウムペンタステアリルオキシド、バナジウムペンタブトキシドダイマー、バナジウムペンタ(8−ヒドロキシオクチルオキシド)、バナジウムジイソプロポキシドビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)、バナジウムビス(2−エチルヘキシルオキシ)ビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)、バナジウムペンタ(2−クロロエトキシド)、バナジウムペンタ(2−ブロモエトキシド)、バナジウムペンタ(2−メトキシエトキシド)、バナジウムペンタ(2−エトキシエトキシド)、バナジウムブトキシドテトラメトキシド、バナジウムジブトキシドトリメトキシド、バナジウムブトキシドテトラエトキシド、バナジウムジブトキシドトリエトキシド、バナジウムブトキシドテトライソプロポキシド、バナジウムテトラブトキシドジイソプロポキシド、バナジウムペンタフェノキシド、バナジウムペンタ(o−クロロフェノキシド)、バナジウムペンタ(m−ニトロフェノキシド)、バナジウムペンタキス(p−メチルフェノキシド)、などが挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を用いても構わない。
【0113】
前記タンタルアルコキシドとしては、例えば、タンタルペンタメトキシド、タンタルペンタエトキシド、タンタルペンタリルオキシド、タンタルペンタn−プロポキシド、タンタルペンタイソプロポキシド、タンタルペンタn−ブトキシド、タンタルペンタイソブトキシド、タンタルペンタsec−ブトキシド、タンタルペンタt−ブトキシド、タンタルペンタn−ペンチルオキシド、タンタルペンタシクロペンチルオキシド、タンタルペンタヘキシルオキシド、タンタルペンタシクロヘキシルオキシド、タンタルペンタベンジルオキシド、タンタルペンタオクチルオキシド、タンタルペンタ(2−エチルヘキシルオキシド)、タンタルペンタデシルオキシド、タンタルペンタドデシルオキシド、タンタルペンタステアリルオキシド、タンタルペンタブトキシドダイマー、タンタルペンタ(8−ヒドロキシオクチルオキシド)、タンタルジイソプロポキシドビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)、タンタルビス(2−エチルヘキシルオキシ)ビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)、タンタルペンタ(2−クロロエトキシド)、タンタルペンタ(2−ブロモエトキシド)、タンタルペンタ(2−メトキシエトキシド)、タンタルペンタ(2−エトキシエトキシド)、タンタルブトキシドテトラメトキシド、タンタルジブトキシドトリメトキシド、タンタルブトキシドテトラエトキシド、タンタルジブトキシドトリエトキシド、タンタルブトキシドテトライソプロポキシド、タンタルテトラブトキシドジイソプロポキシド、タンタルペンタフェノキシド、タンタルペンタ(o−クロロフェノキシド)、タンタルペンタ(m−ニトロフェノキシド)、タンタルペンタキス(p−メチルフェノキシド)、などが挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を用いても構わない。
【0114】
前記ヒドロキシカルボン酸エステルとしては、α−ヒドロキシルカルボン酸エステル及びβ−ヒドロキシルカルボン酸エステルのいずれも使用可能であるが、α−ヒドロキシルカルボン酸エステルがより好ましい。
前記α−ヒドロキシルカルボン酸エステルとしては、例えば、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ベンジル、ヒドロキシ酢酸ブチル、ヒドロキシ酢酸sec−ブチル、ヒドロキシ酢酸tert−ブチル、ヒドロキシ酢酸へキシル、ヒドロキシ酢酸プロピル、ヒドロキシ酢酸イソプロピル、ヒドロキシ酢酸ヘプチル、ヒドロキシ酢酸イソアミル、ヒドロキシ酢酸3−メチルペンチル、ヒドロキシ酢酸2−メチルペンチル、ヒドロキシ酢酸1−メチルペンチル、ヒドロキシ酢酸オクチル、ヒドロキシ酢酸ノニル、ヒドロキシ酢酸デシル、ヒドロキシ酢酸ドデシル、ヒドロキシ酢酸ステアリルのようなヒドロキシ酢酸アルキルエステル;ヒドロキシ酢酸フェニル、ヒドロキシ酢酸ベンジルのようなヒドロキシ酢酸アリールエステル;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ベンジル、乳酸ブチル、乳酸sec−ブチル、乳酸tert−ブチル、乳酸へキシル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ヘプチル、乳酸イソアミル、乳酸3−メチルペンチル、乳酸2−メチルペンチル、乳酸1−メチルペンチル、乳酸オクチル、乳酸ノニル、乳酸デシル、乳酸ドデシル、乳酸ヘキサデシル、乳酸ステアリルのような乳酸アルキルエステル類;乳酸フェニル、乳酸ベンジルのような乳酸アリールエステル類;2−ヒドロキシル酪酸メチル、2−ヒドロキシル酪酸エチル、2−ヒドロキシル酪酸ベンジル、2−ヒドロキシル酪酸ブチル、2−ヒドロキシル酪酸sec−ブチル、2−ヒドロキシル酪酸tert−ブチル、2−ヒドロキシル酪酸へキシル、2−ヒドロキシル酪酸プロピル、2−ヒドロキシル酪酸イソプロピル、2−ヒドロキシル酪酸ヘプチル、2−ヒドロキシル酪酸イソアミル、2−ヒドロキシル酪酸3−メチルペンチル、2−ヒドロキシル酪酸2−メチルペンチル、2−ヒドロキシル酪酸1−メチルペンチル、2−ヒドロキシル酪酸オクチル、2−ヒドロキシル酪酸ノニル、2−ヒドロキシル酪酸デシル、2−ヒドロキシル酪酸ドデシル、2−ヒドロキシル酪酸ヘキサデシル、2−ヒドロキシル酪酸ステアリルのような2−ヒドロキシル酪酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシル酪酸フェニル、2−ヒドロキシル酪酸ベンジルのような2−ヒドロキシル酪酸アリールエステル類;2−ヒドロキシ吉草酸メチル、2−ヒドロキシ吉草酸エチル、2−ヒドロキシ吉草酸ベンジル、2−ヒドロキシ吉草酸ブチル、2−ヒドロキシ吉草酸sec−ブチル、2−ヒドロキシ吉草酸tert−ブチル、2−ヒドロキシ吉草酸へキシル、2−ヒドロキシ吉草酸プロピル、2−ヒドロキシ吉草酸イソプロピル、2−ヒドロキシ吉草酸ヘプチル、2−ヒドロキシ吉草酸イソアミル、2−ヒドロキシ吉草酸3−メチルペンチル、2−ヒドロキシ吉草酸2−メチルペンチル、2−ヒドロキシ吉草酸1−メチルペンチル、2−ヒドロキシ吉草酸オクチル、2−ヒドロキシ吉草酸ノニル、2−ヒドロキシ吉草酸デシル、2−ヒドロキシ吉草酸ドデシル、2−ヒドロキシ吉草酸ヘキサデシル、2−ヒドロキシ吉草酸ステアリルのような2−ヒドロキシ吉草酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ吉草酸フェニル、2−ヒドロキシ吉草酸ベンジルのような2−ヒドロキシ吉草酸アリールエステル類;3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸メチル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸エチル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸ベンジル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸ブチル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸sec−ブチル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸tert−ブチル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸へキシル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸プロピル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸イソプロピル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸ヘプチル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸イソアミル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸3−メチルペンチル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸2−メチルペンチル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸1−メチルペンチル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸オクチル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸ノニル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸デシル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸ドデシル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸ヘキサデシル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸ステアリルのような3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸アルキルエステル類;3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸フェニル、3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸ベンジルのような3−メチル−2−ヒドロキシ吉草酸アリールエステル類;2−ヒドロキシヘキシル酸メチル、2−ヒドロキシヘキシル酸エチル、2−ヒドロキシヘキシル酸ベンジル、2−ヒドロキシヘキシル酸ブチル、2−ヒドロキシヘキシル酸sec−ブチル、2−ヒドロキシヘキシル酸tert−ブチル、2−ヒドロキシヘキシル酸へキシル、2−ヒドロキシヘキシル酸プロピル、2−ヒドロキシヘキシル酸イソプロピル、2−ヒドロキシヘキシル酸ヘプチル、2−ヒドロキシヘキシル酸イソアミル、2−ヒドロキシヘキシル酸3−メチルペンチル、2−ヒドロキシヘキシル酸2−メチルペンチル、2−ヒドロキシヘキシル酸1−メチルペンチル、2−ヒドロキシヘキシル酸オクチル、2−ヒドロキシヘキシル酸ノニル、2−ヒドロキシヘキシル酸デシル、2−ヒドロキシヘキシル酸ドデシル、2−ヒドロキシヘキシル酸ヘキサデシル、2−ヒドロキシヘキシル酸ステアリルのような2−ヒドロキシヘキシル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシヘキシル酸フェニル、2−ヒドロキシヘキシル酸ベンジルのような2−ヒドロキシヘキシル酸アリールエステル類;ロイシン酸メチル、ロイシン酸エチル、ロイシン酸ベンジル、ロイシン酸ブチル、ロイシン酸sec−ブチル、ロイシン酸tert−ブチル、ロイシン酸へキシル、ロイシン酸プロピル、ロイシン酸イソプロピル、ロイシン酸ヘプチル、ロイシン酸イソアミル、ロイシン酸3−メチルペンチル、ロイシン酸2−メチルペンチル、ロイシン酸1−メチルペンチル、ロイシン酸オクチル、ロイシン酸ノニル、ロイシン酸デシル、ロイシン酸ドデシル、ロイシン酸ヘキサデシル、ロイシン酸ステアリルのようなロイシン酸アルキルエステル類;ロイシン酸フェニル、ロイシン酸ベンジルのようなロイシン酸アリールエステル類;リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジベンジル、リンゴ酸ジブチル、リンゴ酸ジsec−ブチル、リンゴ酸ジtert−ブチル、リンゴ酸ジへキシル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジイソプロピル、リンゴ酸ジヘプチル、リンゴ酸ジイソアミル、リンゴ酸ジ3−メチルペンチル、リンゴ酸ジ2−メチルペンチル、リンゴ酸ジ1−メチルペンチル、リンゴ酸ジオクチル、リンゴ酸ジノニル、リンゴ酸ジデシル、リンゴ酸ジドデシル、リンゴ酸ジステアリルのようなリンゴ酸ジアルキルエステル類;リンゴ酸ジフェニル、リンゴ酸ジベンジルのようなリンゴ酸ジアリールエステル類;クエン酸トリメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリベンジル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリsec−ブチル、クエン酸トリtert−ブチル、クエン酸トリへキシル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリソプロピル、クエン酸トリヘプチル、クエン酸トリソアミル、クエン酸トリ3−メチルペンチル、クエン酸トリ2−メチルペンチル、クエン酸トリ1−メチルペンチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリノニル、クエン酸トリデシル、クエン酸トリドデシル、クエン酸トリステアリルのようなクエン酸トリアルキルエステル類;クエン酸トリフェニル、クエン酸トリベンジルのようなクエン酸トリアリ−ルエステル類;イソクエン酸トリメチル、イソクエン酸トリエチル、イソクエン酸トリベンジル、イソクエン酸トリブチル、イソクエン酸トリsec−ブチル、イソクエン酸トリtert−ブチル、イソクエン酸トリへキシル、イソクエン酸トリプロピル、イソクエン酸トリソプロピル、イソクエン酸トリヘプチル、イソクエン酸トリソアミル、イソクエン酸トリ3−メチルペンチル、イソクエン酸トリ2−メチルペンチル、イソクエン酸トリ1−メチルペンチル、イソクエン酸トリオクチル、イソクエン酸トリノニル、イソクエン酸トリデシル、イソクエン酸トリドデシル、イソクエン酸トリステアリルのようなイソクエン酸トリアルキルエステル類;イソクエン酸トリフェニル、イソクエン酸トリベンジルのようなイソクエン酸トリアリールエステル類;酒石酸ジメチル、酒石酸ジエチル、酒石酸ジベンジル、酒石酸ジブチル、酒石酸ジsec−ブチル、酒石酸ジtert−ブチル、酒石酸ジへキシル、酒石酸ジプロピル、酒石酸ジイソプロピル、酒石酸ジヘプチル、酒石酸ジイソアミル、酒石酸ジ3−メチルペンチル、酒石酸ジ2−メチルペンチル、酒石酸ジ1−メチルペンチル、酒石酸ジオクチル、酒石酸ジノニル、酒石酸ジデシル、酒石酸ジドデシル、酒石酸ジヘキサデシル、酒石酸ジステアリルのような酒石酸ジアルキルエステル類;酒石酸ジフェニル、酒石酸ジベンジルのような酒石酸ジアリールエステル類等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を用いても構わない。これらの中でも乳酸エステル、リンゴ酸エステル、クエン酸エステルが好ましく、乳酸エチル、リンゴ酸ジエチル、クエン酸トリエチルが入手性及び触媒活性の点からより好ましい。
【0115】
前記β−ヒドロキシルカルボン酸エステルとしては、例えば、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸ベンジル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸sec−ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸tert−ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸へキシル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸ソプロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸ヘプチル、3−ヒドロキシプロピオン酸ソアミル、3−ヒドロキシプロピオン酸3−メチルペンチル、3−ヒドロキシプロピオン酸3−メチルペンチル、3−ヒドロキシプロピオン酸1−メチルペンチル、3−ヒドロキシプロピオン酸オクチル、3−ヒドロキシプロピオン酸ノニル、3−ヒドロキシプロピオン酸デシル、3−ヒドロキシプロピオン酸ドデシル、3−ヒドロキシプロピオン酸ステアリルのような3−ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル類;3−ヒドロキシプロピオン酸フェニル、3−ヒドロキシプロピオン酸ベンジルのような3−ヒドロキシプロピオン酸アリールエステル類;3−ヒドロキシ酪酸メチル、3−ヒドロキシ酪酸エチル、3−ヒドロキシ酪酸ベンジル、3−ヒドロキシ酪酸ブチル、3−ヒドロキシ酪酸sec−ブチル、3−ヒドロキシ酪酸tert−ブチル、3−ヒドロキシ酪酸へキシル、3−ヒドロキシ酪酸プロピル、3−ヒドロキシ酪酸ソプロピル、3−ヒドロキシ酪酸ヘプチル、3−ヒドロキシ酪酸ソアミル、3−ヒドロキシ酪酸3−メチルペンチル、3−ヒドロキシ酪酸3−メチルペンチル、3−ヒドロキシ酪酸1−メチルペンチル、3−ヒドロキシ酪酸オクチル、3−ヒドロキシ酪酸ノニル、3−ヒドロキシ酪酸デシル、3−ヒドロキシ酪酸ドデシル、3−ヒドロキシ酪酸ステアリルのような3−ヒドロキシ酪酸アルキルエステル類;3−ヒドロキシ酪酸フェニル、3−ヒドロキシ酪酸ベンジルのような3−ヒドロキシ酪酸アリールエステル類;3−ヒドロキシ吉草酸メチル、3−ヒドロキシ吉草酸エチル、3−ヒドロキシ吉草酸ベンジル、3−ヒドロキシ吉草酸ブチル、3−ヒドロキシ吉草酸sec−ブチル、3−ヒドロキシ吉草酸tert−ブチル、3−ヒドロキシ吉草酸へキシル、3−ヒドロキシ吉草酸プロピル、3−ヒドロキシ吉草酸ソプロピル、3−ヒドロキシ吉草酸ヘプチル、3−ヒドロキシ吉草酸ソアミル、3−ヒドロキシ吉草酸3−メチルペンチル、3−ヒドロキシ吉草酸3−メチルペンチル、3−ヒドロキシ吉草酸1−メチルペンチル、3−ヒドロキシ吉草酸オクチル、3−ヒドロキシ吉草酸ノニル、3−ヒドロキシ吉草酸デシル、3−ヒドロキシ吉草酸ドデシル、3−ヒドロキシ吉草酸ステアリルのような3−ヒドロキシ吉草酸アルキルエステル類;3−ヒドロキシ吉草酸フェニル、3−ヒドロキシ吉草酸ベンジルのような3−ヒドロキシ吉草酸アリールエステル類;3−ヒドロキシヘキサン酸メチル、3−ヒドロキシヘキサン酸エチル、3−ヒドロキシヘキサン酸ベンジル、3−ヒドロキシヘキサン酸ブチル、3−ヒドロキシヘキサン酸sec−ブチル、3−ヒドロキシヘキサン酸tert−ブチル、3−ヒドロキシヘキサン酸へキシル、3−ヒドロキシヘキサン酸プロピル、3−ヒドロキシヘキサン酸ソプロピル、3−ヒドロキシヘキサン酸ヘプチル、3−ヒドロキシヘキサン酸ソアミル、3−ヒドロキシヘキサン酸3−メチルペンチル、3−ヒドロキシヘキサン酸3−メチルペンチル、3−ヒドロキシヘキサン酸1−メチルペンチル、3−ヒドロキシヘキサン酸オクチル、3−ヒドロキシヘキサン酸ノニル、3−ヒドロキシヘキサン酸デシル、3−ヒドロキシヘキサン酸ドデシル、3−ヒドロキシヘキサン酸ステアリルのような3−ヒドロキシヘキサン酸アルキルエステル類;3−ヒドロキシヘキサン酸フェニル、3−ヒドロキシヘキサン酸ベンジルのような3−ヒドロキシヘキサン酸アリールエステル類;3−ヒドロキシイソ酪酸メチル、3−ヒドロキシイソ酪酸エチル、3−ヒドロキシイソ酪酸ベンジル、3−ヒドロキシイソ酪酸ブチル、3−ヒドロキシイソ酪酸sec−ブチル、3−ヒドロキシイソ酪酸tert−ブチル、3−ヒドロキシイソ酪酸へキシル、3−ヒドロキシイソ酪酸プロピル、3−ヒドロキシイソ酪酸ソプロピル、3−ヒドロキシイソ酪酸ヘプチル、3−ヒドロキシイソ酪酸ソアミル、3−ヒドロキシイソ酪酸3−メチルペンチル、3−ヒドロキシイソ酪酸3−メチルペンチル、3−ヒドロキシイソ酪酸1−メチルペンチル、3−ヒドロキシイソ酪酸オクチル、3−ヒドロキシイソ酪酸ノニル、3−ヒドロキシイソ酪酸デシル、3−ヒドロキシイソ酪酸ドデシル、3−ヒドロキシイソ酪酸ステアリルのような3−ヒドロキシイソ酪酸アルキルエステル類;3−ヒドロキシイソ酪酸フェニル、3−ヒドロキシイソ酪酸ベンジルのような3−ヒドロキシイソ酪酸アリールエステル類;3−ヒドロキシイソ吉草酸メチル、3−ヒドロキシイソ吉草酸エチル、3−ヒドロキシイソ吉草酸ベンジル、3−ヒドロキシイソ吉草酸ブチル、3−ヒドロキシイソ吉草酸sec−ブチル、3−ヒドロキシイソ吉草酸tert−ブチル、3−ヒドロキシイソ吉草酸へキシル、3−ヒドロキシイソ吉草酸プロピル、3−ヒドロキシイソ吉草酸ソプロピル、3−ヒドロキシイソ吉草酸ヘプチル、3−ヒドロキシイソ吉草酸ソアミル、3−ヒドロキシイソ吉草酸3−メチルペンチル、3−ヒドロキシイソ吉草酸3−メチルペンチル、3−ヒドロキシイソ吉草酸1−メチルペンチル、3−ヒドロキシイソ吉草酸オクチル、3−ヒドロキシイソ吉草酸ノニル、3−ヒドロキシイソ吉草酸デシル、3−ヒドロキシイソ吉草酸ドデシル、3−ヒドロキシイソ吉草酸ステアリルのような3−ヒドロキシイソ吉草酸アルキルエステル類;3−ヒドロキシイソ吉草酸フェニル、3−ヒドロキシイソ吉草酸ベンジルのような3−ヒドロキシイソ吉草酸アリールエステル類;3−ヒドロキシオクチル酸メチル、3−ヒドロキシオクチル酸エチル、3−ヒドロキシオクチル酸ベンジル、3−ヒドロキシオクチル酸ブチル、3−ヒドロキシオクチル酸sec−ブチル、3−ヒドロキシオクチル酸tert−ブチル、3−ヒドロキシオクチル酸へキシル、3−ヒドロキシオクチル酸プロピル、3−ヒドロキシオクチル酸ソプロピル、3−ヒドロキシオクチル酸ヘプチル、3−ヒドロキシオクチル酸ソアミル、3−ヒドロキシオクチル酸3−メチルペンチル、3−ヒドロキシオクチル酸3−メチルペンチル、3−ヒドロキシオクチル酸1−メチルペンチル、3−ヒドロキシオクチル酸オクチル、3−ヒドロキシオクチル酸ノニル、3−ヒドロキシオクチル酸デシル、3−ヒドロキシオクチル酸ドデシル、3−ヒドロキシオクチル酸ステアリルのような3−ヒドロキシオクチル酸アルキルエステル類;3−ヒドロキシオクチル酸フェニル、3−ヒドロキシオクチル酸ベンジルのような3−ヒドロキシオクチル酸アリールエステル類;3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ベンジル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ブチル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸sec−ブチル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸tert−ブチル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸へキシル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸プロピル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ソプロピル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ヘプチル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ソアミル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸3−メチルペンチル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸3−メチルペンチル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸1−メチルペンチル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸2−(ヒドロキシメチル)アクリル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ノニル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸デシル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ドデシル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ステアリルのような3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アルキルエステル類;3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸フェニル、3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ベンジルのような3−ヒドロキシ2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アリールエステル類等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を用いても構わない。
【0116】
前記金属アルコキシドと、前記ヒドロキシカルボン酸エステルとを反応させる反応条件は特に制限はないが、−20℃〜120℃、好ましくは0℃〜80℃の反応温度で、5分〜100時間反応させることが好適である。−20℃未満で行うと反応に長時間を要し、生産効率が悪い。120℃を超えると副反応が起こる可能性があり好ましくない。
【0117】
(B)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対し、0.1〜20質量部であり、0.5〜10質量部程度がより好ましく、2〜8質量部程度が特に好ましい。(B)成分の配合量がこの範囲を下回ると実用的な硬化速度が得られない場合があり、また硬化反応が充分に進行し難くなる場合がある。一方、(B)成分の配合量がこの範囲を上回ると可使時間が短くなり過ぎて作業性が悪くなる傾向がある。
【0118】
本発明は、硬化触媒として、前述した金属化合物を使用するが、本発明の効果を低下させない程度に他の硬化触媒を併用することもできる。他の硬化触媒としては、例えば、2−エチルヘキサン酸錫、バーサチック酸錫、2−エチルヘキサン酸ビスマス等のカルボン酸金属塩;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫フタレート、ジブチル錫ジオクタノエート、ジブチル錫ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ビス(メチルマレエート)、ジブチル錫ビス(エチルマレエート)、ジブチル錫ビス(ブチルマレエート)、ジブチル錫ビス(オクチルマレエート)、ジブチル錫ビス(トリデシルマレエート)、ジブチル錫ビス(ベンジルマレエート)、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ビス(エチルマレエート)、ジオクチル錫ビス(オクチルマレエート)、ジブチル錫ジメトキサイド、ジブチル錫ビス(ノニルフェノキサイド)、ジブテニル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫ビス(エチルアセトアセテート)、ジブチル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等の4価の有機錫化合物が挙げられる。しかしながら、有機錫化合物は添加量に応じて、得られる硬化性組成物の毒性が強くなる場合がある。
【0119】
本発明の組成物には充填剤を添加することができる。充填剤としては、フュームシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸、およびカーボンブラックの如き補強性充填剤;重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、ガラスミクロバルーン、フェノール樹脂や塩化ビニリデン樹脂の有機ミクロバルーン、PVC粉末、PMMA粉末など樹脂粉末の如き充填剤;石綿、ガラス繊維およびフィラメントの如き繊維状充填剤等が挙げられる。充填剤を使用する場合、その使用量は(A)成分の重合体100質量部に対して1〜250質量部が好ましく、より好ましくは10〜200質量部である。
【0120】
前記充填剤は、特開2001−181532号公報に記載されているように、酸化カルシウムなどの脱水剤と均一に混合した後、気密性素材で構成された袋に封入し、適当な時間放置することにより予め脱水乾燥することも可能である。この低水分量充填剤を使用することにより、特に一液型組成物とする場合、貯蔵安定性を改良することができる。
【0121】
また、透明性の高い組成物を得る場合には、特開平11−302527号公報に記載されているように、メタクリル酸メチルなどの重合体を原料とした高分子粉体や、非晶質シリカなどを充填剤として使用することができる。また、特開2000−38560号公報に記載されているように、その表面に疎水基が結合した二酸化珪素微粉末である疎水性シリカなどを充填剤として使用することにより透明性の高い組成物を得ることができる。二酸化珪素微粉末の表面は、一般的にシラノール基(−SiOH)となっているが、このシラノール基に有機珪素ハロゲン化物やアルコール類等を反応させることによって、(−SiO−疎水基)を生成させたものが疎水性シリカである。具体的には、二酸化珪素微粉末の表面に存在するシラノール基に、ジメチルシロキサン,ヘキサメチルジシラザン,ジメチルジクロルシーリング材リメトキシオクチルシーリング材リメチルシラン等を反応結合させたものである。なお、表面がシラノール基(−SiOH)で形成されている二酸化珪素微粉末は、親水性シリカ微粉末と呼ばれる。
【0122】
これら充填剤の使用により強度の高い硬化物を得たい場合には、主にヒュームシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレー、および活性亜鉛華などから選ばれる充填剤が好ましく、架橋性珪素基を有する有機重合体(A)100質量部に対し、1〜200質量部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。また、低強度で破断伸びが大である硬化物を得たい場合には、主に酸化チタン、重質炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛、およびシラスバルーンなどから選ばれる充填剤を、架橋性珪素基を有する有機重合体(A)100質量部に対して5〜200質量部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。なお、一般的に炭酸カルシウムは、比表面積の値が大きいほど硬化物の破断強度、破断伸び、接着性の改善効果は大きくなる。もちろんこれら充填剤は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。炭酸カルシウムを使用する場合、表面処理微細炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムなどの粒径が大きい炭酸カルシウムを併用することが望ましい。表面処理微細炭酸カルシウムの粒径は0.5μm以下が好ましく、表面処理は脂肪酸や脂肪酸塩で処理されていることが好ましい。また、粒径が大きい炭酸カルシウムの粒径は1μm以上が好ましく表面処理されていないものを用いることができる。
【0123】
組成物の作業性(キレなど)向上や硬化物表面を艶消し状にするために、有機バルーン、無機バルーンの添加が好ましい。これらの充填剤は表面処理することもでき、1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用することもできる。作業性(キレなど)向上には、バルーンの粒径は0.1mm以下が好ましい。硬化物表面を艶消し状にするためには、5〜300μmが好ましい。
【0124】
本発明の組成物には接着性付与剤を添加することができる。接着性付与剤としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1,3−ジアミノイソプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等の塩素原子含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート含有シラン類;メチルジメトキシシーリング材リメトキシシラン、メチルジエトキシシラン等のハイドロシラン類等が具体的に例示されうるが、これらに限定されるものではない。
【0125】
接着性付与剤は、あまりに多く添加すると、硬化物のモジュラスが高くなり、少なすぎると接着性が低下することから、すべての架橋性珪素基を有する重合体100質量部に対して0.1〜15質量部添加することが好ましく、さらには0.5〜10質量部添加することが好ましい。
【0126】
本発明の組成物には粘着性付与剤を添加することができる。粘着性付与樹脂としては、特に限定されないが、常温で固体、液体を問わず通常使用されるものを使用することができる。具体例としては、スチレン系ブロック共重合体、その水素添加物、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂(例えば、カシューオイル変性フェノール樹脂、トール油変性フェノール樹脂等)、テルペンフェノール樹脂、キシレン−フェノール樹脂、シクロペンタジエン−フェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル樹脂、キシレン樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂、スチレン共重合体樹脂、石油樹脂(例えば、C5炭化水素樹脂、C9炭化水素樹脂、C5C9炭化水素共重合樹脂等)、水添石油樹脂、テルペン系樹脂、DCPD樹脂石油樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。スチレン系ブロック共重合体及びその水素添加物としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレンプロピレ−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)等が挙げられる。上記粘着性付与樹脂は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0127】
粘着性付与樹脂は(A)有機重合体100質量部に対して、5〜1,000質量部、好ましくは10〜100質量部の範囲で使用されることが好適である。
【0128】
本発明の組成物には可塑剤を添加することができる。可塑剤の添加により、硬化性組成物の粘度やスランプ性および組成物を硬化して得られる硬化物の引張り強度、伸びなどの機械特性が調整できる。可塑剤の例としては、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチル等の脂肪族エステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル、等の炭化水素系油;プロセスオイル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類をあげることができる。
【0129】
また、高分子可塑剤を使用することができる。高分子可塑剤を使用すると重合体成分を分子中に含まない可塑剤である低分子可塑剤を使用した場合に比較して、初期の物性を長期にわたり維持する。更に、該硬化物にアルキド塗料を塗布した場合の乾燥性(塗装性ともいう)を改良できる。高分子可塑剤の具体例としては、ビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリアルキレングリコールのエステル類;セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤;分子量500以上、さらには1000以上のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールあるいはこれらポリエーテルポリオールの水酸基をエステル基、エーテル基などに変換した誘導体等のポリエーテル類;ポリスチレンやポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0130】
これらの高分子可塑剤のうちで、(A)成分の重合体と相溶するものが好ましい。この点から、ポリエーテル類やビニル系重合体が好ましい。また、ポリエーテル類を可塑剤として使用すると、表面硬化性および深部硬化性が改善され、貯蔵後の硬化遅延も起こらないことから好ましく、中でもポリプロピレングリコールがより好ましい。また、相溶性および耐候性、耐熱性の点からビニル系重合体が好ましい。ビニル系重合体の中でもアクリル系重合体および/又はメタクリル系重合体が好ましく、ポリアクリル酸アルキルエステルなどアクリル系重合体がさらに好ましい。この重合体の合成法は、分子量分布が狭く、低粘度化が可能なことからリビングラジカル重合法が好ましく、原子移動ラジカル重合法がさらに好ましい。また、特開2001−207157号公報に記載されているアクリル酸アルキルエステル系単量体を高温、高圧で連続塊状重合によって得た、いわゆるSGOプロセスによる重合体を用いるのが好ましい。
【0131】
高分子可塑剤の数平均分子量は、好ましくは500〜15000であるが、より好ましくは800〜10000であり、さらに好ましくは1000〜8000、特に好ましくは1000〜5000である。最も好ましくは1000〜3000である。分子量が低すぎると熱や降雨により可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できず、アルキド塗装性が改善できない。また、分子量が高すぎると粘度が高くなり、作業性が悪くなる。高分子可塑剤の分子量分布は特に限定されないが、狭いことが好ましく、1.80未満が好ましい。1.70以下がより好ましく、1.60以下がなお好ましく、1.50以下がさらに好ましく、1.40以下が特に好ましく、1.30以下が最も好ましい。
【0132】
数平均分子量はビニル系重合体の場合はGPC法で、ポリエーテル系重合体の場合は末端基分析法で測定される。また、分子量分布(Mw/Mn)GPC法(ポリスチレン換算)で測定される。
【0133】
また、高分子可塑剤は、架橋性珪素基を有しないものでよいが、架橋性珪素基を有してもよい。架橋性珪素基を有する場合、反応性可塑剤として作用し、硬化物からの可塑剤の移行を防止できる。架橋性珪素基を有する場合、1分子あたり平均して1個以下、さらには0.8個以下が好ましい。架橋性珪素基を有する可塑剤、特に架橋性珪素基を有するオキシアルキレン重合体を使用する場合、その数平均分子量は(A)成分の重合体より低いことが必要である。
【0134】
可塑剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また低分子可塑剤と高分子可塑剤を併用してもよい。なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。
【0135】
可塑剤の使用量は、(A)成分の重合体100質量部に対して好ましくは5〜150質量部、より好ましくは10〜120質量部、さらに好ましくは20〜100質量部である。5質量部未満では可塑剤としての効果が発現しなくなり、150質量部を越えると硬化物の機械強度が不足する。
【0136】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、加水分解により分子内に1価のシラノール基を有する化合物を生成する化合物を添加しても良い。この化合物は硬化物の表面のべたつきを悪化させずに硬化物のモジュラスを低下させる作用を有する。特にトリメチルシラノールを生成する化合物が好ましい。加水分解により分子内に1価のシラノール基を有する化合物を生成する化合物としては、特開平5−117521号公報に記載されている化合物をあげることができる。また、ヘキサノール、オクタノール、デカノールなどのアルキルアルコールの誘導体であって加水分解によりトリメチルシラノールなどのRSiOHを生成するシリコン化合物を生成する化合物、特開平11−241029号公報に記載されているトリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールあるいはソルビトールなどの水酸基数が3以上の多価アルコールの誘導体であって加水分解によりトリメチルシラノールなどのR3SiOHを生成するシリコン化合物を生成する化合物をあげることができる。
【0137】
また、特開平7−258534号公報に記載されているようなオキシプロピレン重合体の誘導体であって加水分解によりトリメチルシラノールなどのRSiOHを生成するシリコン化合物を生成する化合物もあげることができる。さらに特開平6−279693号公報に記載されている架橋可能な加水分解性珪素含有基と加水分解によりモノシラノール含有化合物となりうる珪素含有基を有する重合体を使用することもできる。
【0138】
加水分解により分子内に1価のシラノール基を有する化合物を生成する化合物は、架橋性珪素基を有する有機重合体(A)100質量部に対して、0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部の範囲で使用される。
【0139】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて垂れを防止し、作業性を良くするためにチクソ性付与剤(垂れ防止剤)を添加しても良い。垂れ防止剤としては特に限定されないが、例えば、ポリアミドワックス類;水添ヒマシ油誘導体類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸類等が挙げられる。また、特開平11−349916号公報に記載されているような粒子径10〜500μmのゴム粉末や、特開2003−155389号公報に記載されているような有機質繊維を用いると、チクソ性が高く作業性の良好な組成物が得られる。これらチクソ性付与剤(垂れ防止剤)は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。チクソ性付与剤は架橋性珪素基を有する有機重合体(A)100質量部に対して、0.1〜20質量部の範囲で使用される。
【0140】
本発明の組成物においては、エポキシ基を有する化合物を使用できる。エポキシ基を有する化合物を使用すると硬化物の復元性を高めることができる。エポキシ基を有する化合物としてはエポキシ化不飽和油脂類、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル類、脂環族エポキシ化合物類、エピクロルヒドリン誘導体に示す化合物及びそれらの混合物等が例示できる。具体的には、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、ビス(2−エチルヘキシル)−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカーボキシレート(E−PS)、エポキシオクチルステアレ−ト、エポキシブチルステアレ−ト等があげられる。これらのなかではE−PSが特に好ましい。エポキシ化合物は(A)架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対して0.5〜50質量部の範囲で使用するのがよい。
【0141】
本発明の組成物には光硬化性物質を使用できる。光硬化性物資を使用すると硬化物表面に光硬化性物質の皮膜が形成され、硬化物のべたつきや耐候性を改善できる。光硬化性物質とは、光の作用によってかなり短時間に分子構造が化学変化をおこし、硬化などの物性的変化を生ずるものである。この種の化合物には有機単量体、オリゴマー、樹脂或いはそれらを含む組成物等多くのものが知られており、市販の任意のものを採用し得る。代表的なものとしては、不飽和アクリル系化合物、ポリケイ皮酸ビニル類あるいはアジド化樹脂等が使用できる。不飽和アクリル系化合物としては、アクリル系又はメタクリル系不飽和基を1ないし数個有するモノマー、オリゴマー或いはそれ等の混合物であって、プロピレン(又はブチレン、エチレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の単量体又は分子量10,000以下のオリゴエステルが例示される。具体的には、例えば特殊アクリレート(2官能)のアロニックスM−210,アロニックスM−215,アロニックスM−220,アロニックスM−233,アロニックスM−240,アロニックスM−245;(3官能)のアロニックスM−305,アロニックスM−309,アロニックスM−310,アロニックスM−315,アロニックスM−320,アロニックスM−325,及び(多官能)のアロニックスM−400などが例示できるが、特にアクリル官能基を含有する化合物が好ましく、また1分子中に平均して3個以上の同官能基を含有する化合物が好ましい。(以上アロニックスはいずれも東亜合成化学工業株式会社の製品である。)ポリケイ皮酸ビニル類としては、シンナモイル基を感光基とする感光性樹脂でありポリビニルアルコールをケイ皮酸でエステル化したものの他、多くのポリケイ皮酸ビニル誘導体が例示される。アジド化樹脂は、アジド基を感光基とする感光性樹脂として知られており、通常はジアジド化合物を感光剤として加えたゴム感光液の他、「感光性樹脂」(昭和47年3月17日出版、印刷学会出版部発行、第93頁〜、第106頁〜、第117頁〜)に詳細な例示があり、これらを単独又は混合し、必要に応じて増感剤を加えて使用することができる。なお、ケトン類、ニトロ化合物などの増感剤やアミン類などの促進剤を添加すると、効果が高められる場合がある。光硬化性物質は(A)架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部の範囲で使用するのがよく、0.1質量部以下では耐候性を高める効果はなく、20質量部以上では硬化物が硬くなりすぎて、ヒビ割れを生じる傾向がある。
【0142】
本発明の組成物には酸素硬化性物質を使用することができる。酸素硬化性物質には空気中の酸素と反応し得る不飽和化合物を例示でき、空気中の酸素と反応して硬化物の表面付近に硬化皮膜を形成し表面のべたつきや硬化物表面へのゴミやホコリの付着を防止するなどの作用をする。酸素硬化性物質の具体例には、キリ油、アマニ油などで代表される乾性油や、該化合物を変性してえられる各種アルキッド樹脂;乾性油により変性されたアクリル系重合体、エポキシ系樹脂、シリコン樹脂;ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、1,3−ペンタジエンなどのジエン系化合物を重合または共重合させてえられる1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、C5〜C8ジエンの重合体などの液状重合体や、これらジエン系化合物と共重合性を有するアクリロニトリル、スチレンなどの単量体とをジエン系化合物が主体となるように共重合させてえられるNBR、SBRなどの液状共重合体や、さらにはそれらの各種変性物(マレイン化変性物、ボイル油変性物など)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらのうちではキリ油や液状ジエン系重合体がとくに好ましい。又、酸化硬化反応を促進する触媒や金属ドライヤーを併用すると効果が高められる場合がある。これらの触媒や金属ドライヤーとしては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸コバルト、オクチル酸ジルコニウム等の金属塩や、アミン化合物等が例示される。酸素硬化性物質の使用量は、架橋性珪素基を有する有機重合体(A)100質量部に対して0.1〜20質量部の範囲で使用するのがよく、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。前記使用量が0.1質量部未満になると汚染性の改善が充分でなくなり、20質量部をこえると硬化物の引張り特性などが損なわれる傾向が生ずる。特開平3−160053号公報に記載されているように酸素硬化性物質は光硬化性物質と併用して使用するのがよい。
【0143】
本発明の組成物には酸化防止剤(老化防止剤)を使用することができる。酸化防止剤を使用すると硬化物の耐熱性を高めることができる。酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、モノフェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系が例示できるが、特にヒンダードフェノール系が好ましい。同様に、チヌビン622LD,チヌビン144,CHIMASSORB944LD,CHIMASSORB119FL(以上いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製);MARKLA−57,MARKLA−62,MARKLA−67,MARKLA−63,MARKLA−68(以上いずれも旭電化工業株式会社製);サノールLS−770,サノールLS−765,サノールLS−292,サノールLS−2626,サノールLS−1114,サノールLS−744(以上いずれも三共株式会社製)に示されたヒンダードアミン系光安定剤を使用することもできる。酸化防止剤の具体例は特開平4−283259号公報や特開平9−194731号公報にも記載されている。酸化防止剤の使用量は、(A)架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲で使用するのがよく、さらに好ましくは0.2〜5質量部である。
【0144】
本発明の組成物には光安定剤を使用することができる。光安定剤を使用すると硬化物の光酸化劣化を防止できる。光安定剤としてベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系化合物等が例示できるが、特にヒンダードアミン系が好ましい。光安定剤の使用量は、(A)架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲で使用するのがよく、さらに好ましくは0.2〜5質量部である。光安定剤の具体例は特開平9−194731号公報にも記載されている。
【0145】
本発明の組成物に光硬化性物質を併用する場合、特に不飽和アクリル系化合物を用いる場合、特開平5−70531号公報に記載されているようにヒンダードアミン系光安定剤として3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤を用いるのが組成物の保存安定性改良のために好ましい。3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤としてはチヌビン622LD,チヌビン144,CHIMASSORB119FL(以上いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製);MARKLA−57,LA−62,LA−67,LA−63(以上いずれも旭電化工業株式会社製);サノールLS−765,LS−292,LS−2626,LS−1114,LS−744(以上いずれも三共株式会社製)などの光安定剤が例示できる。
【0146】
本発明の組成物には紫外線吸収剤を使用することができる。紫外線吸収剤を使用すると硬化物の表面耐候性を高めることができる。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、置換トリル系及び金属キレート系化合物等が例示できるが、特にベンゾトリアゾール系が好ましい。紫外線吸収剤の使用量は、(A)架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲で使用するのがよく、さらに好ましくは0.2〜5質量部である。フェノール系やヒンダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系光安定剤とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を併用して使用するのが好ましい。
【0147】
本発明の組成物にはエポキシ樹脂を添加することができる。エポキシ樹脂を添加した組成物は特に接着剤、殊に外壁タイル用接着剤として好ましい。エポキシ樹脂としてはエピクロルヒドリン−ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリン−ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテルなどの難燃型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、p−オキシ安息香酸グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、m−アミノフェノール系エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン系エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、各種脂環式エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンなどのごとき多価アルコールのグリシジルエーテル、ヒダントイン型エポキシ樹脂、石油樹脂などのごとき不飽和重合体のエポキシ化物などが例示されるが、これらに限定されるものではなく、一般に使用されているエポキシ樹脂が使用されうる。エポキシ基を少なくとも分子中に2個含有するものが、硬化に際し反応性が高く、また硬化物が3次元的網目をつくりやすいなどの点から好ましい。さらに好ましいものとしてはビスフェノールA型エポキシ樹脂類またはノボラック型エポキシ樹脂などがあげられる。これらのエポキシ樹脂と(A)架橋性珪素基を有する有機重合体の使用割合は、質量比で(A)/エポキシ樹脂=100/1〜1/100の範囲である。(A)/エポキシ樹脂の割合が1/100未満になると、エポキシ樹脂硬化物の衝撃強度や強靱性の改良効果がえられがたくなり、(A)/エポキシ樹脂の割合が100/1をこえると、有機系重合体硬化物の強度が不十分となる。好ましい使用割合は、硬化性樹脂組成物の用途などにより異なるため一概には決められないが、たとえばエポキシ樹脂硬化物の耐衝撃性、可撓性、強靱性、剥離強度などを改善する場合には、エポキシ樹脂100質量部に対して(A)成分を1〜100質量部、さらに好ましくは5〜100質量部使用するのがよい。一方、(A)成分の硬化物の強度を改善する場合には、(A)成分100質量部に対してエポキシ樹脂を1〜200質量部、さらに好ましくは5〜100質量部使用するのがよい。
【0148】
エポキシ樹脂を添加する場合、本発明の組成物には、エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤を併用できることは当然である。使用し得るエポキシ樹脂硬化剤としては、特に制限はなく、一般に使用されているエポキシ樹脂硬化剤を使用できる。具体的には、例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペリジン、m−キシリレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、アミン末端ポリエーテル等の一級、二級アミン類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリプロピルアミンのような三級アミン類、及び、これら三級アミン類の塩類;ポリアミド樹脂類;イミダゾール類;ジシアンジアミド類;三弗化硼素錯化合物類;無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ドデシニル無水琥珀酸、無水ピロメリット酸、無水クロレン酸等のような無水カルボン酸類;アルコール類;フェノール類;カルボン酸類;アルミニウム又はジルコニウムのジケトン錯化合物等の化合物を例示することができるが、これらに限定されるものではない。また、硬化剤も単独でも2種以上併用してもよい。
【0149】
エポキシ樹脂の硬化剤を使用する場合、その使用量はエポキシ樹脂100質量部に対し、0.1〜300質量部の範囲である。
【0150】
エポキシ樹脂の硬化剤としてケチミンを用いることができる。ケチミンは、水分のない状態では安定に存在し、水分によって一級アミンとケトンに分解され、生じた一級アミンがエポキシ樹脂の室温硬化性の硬化剤となる。ケチミンを用いると1液型の組成物を得ることができる。このようなケチミンとしては、アミン化合物とカルボニル化合物との縮合反応により得ることができる。
【0151】
ケチミンの合成には公知のアミン化合物、カルボニル化合物を用いればよいが、たとえばアミン化合物としてはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,3−ジアミノブタン、2,3−ジアミノブタン、ペンタメチレンジアミン、2,4−ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、p,p’−ビフェニレンジアミンなどのジアミン;1,2,3−トリアミノプロパン、トリアミノベンゼン、トリス(2−アミノエチル)アミン、テトラキス(アミノメチル)メタンなどの多価アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミンなどのポリアルキレンポリアミン;ポリオキシアルキレン系ポリアミン;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノシラン;などが使用されうる。また、カルボニル化合物としてはアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ジエチルアセトアルデヒド、グリオキサール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;シクロペンタノン、トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、トリメチルシクロヘキサノン等の環状ケトン類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトン等の脂肪族ケトン類;アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸メチルエチル、ジベンゾイルメタン等のβ−ジカルボニル化合物;などが使用できる。
【0152】
ケチミン中にイミノ基が存在する場合には、イミノ基をスチレンオキサイド;ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル;グリシジルエステルなどと反応させてもよい。これらのケチミンは、単独で用いてもよく、二種類以上を併用して用いてもよく、エポキシ樹脂100質量部に対し、1〜100質量部使用され、その使用量はエポキシ樹脂およびケチミンの種類によって異なる。
【0153】
本発明の硬化性組成物には、ポリリン酸アンモニウム、トリクレジルホスフェートなどのリン系可塑剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、および、熱膨張性黒鉛などの難燃剤を添加することができる。上記難燃剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0154】
難燃剤は(A)成分100質量部に対して、好ましくは5〜200質量部、より好ましくは10〜100質量部の範囲で使用される。
【0155】
本発明の組成物には、組成物の粘度を低減し、チクソ性を高め、作業性を改善する目的で、溶剤を使用することができる。溶剤としては、特に限定は無く、各種の化合物を使用することができる。具体例としては、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、石油系溶媒等の炭化水素系溶剤、トリクロロエチレン等のハロゲン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、エーテル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーン系溶剤が例示される。溶剤を使用する場合、組成物を屋内で使用した時の空気への汚染の問題から、溶剤の沸点は、150℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく、250℃以上が特に好ましい。これらの溶剤は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0156】
但し、溶剤の配合量が多い場合には、人体への毒性が高くなる場合があり、また、硬化物の体積収縮などが見られる場合がある。従って、溶剤の配合量は、(A)成分の有機重合体100質量部に対して、3質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましく、溶剤を実質的に含まないことが最も好ましい。
【0157】
本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物又は硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加物の例としては、たとえば、硬化性調整剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、防蟻剤、防かび剤などがあげられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。本明細書にあげた添加物の具体例以外の具体例は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号、特開2001−72854号の各公報などに記載されている。
【0158】
本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製することも可能であり、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調製することもできる。作業性の点からは、1成分型が好ましい。
【0159】
前記硬化性組成物が1成分型の場合、すべての配合成分が予め配合されるため、水分を含有する配合成分は予め脱水乾燥してから使用するか、また配合混練中に減圧などにより脱水するのが好ましい。前記硬化性組成物が2成分型の場合、架橋性珪素基を有する重合体を含有する主剤に硬化触媒を配合する必要がないので配合剤中には若干の水分が含有されていてもゲル化の心配は少ないが、長期間の貯蔵安定性を必要とする場合には脱水乾燥するのが好ましい。脱水、乾燥方法としては粉状などの固状物の場合は加熱乾燥法、液状物の場合は減圧脱水法または合成ゼオライト、活性アルミナ、シリカゲル、生石灰、酸化マグネシウムなどを使用した脱水法が好適である。また、イソシアネート化合物を少量配合してイソシアネート基と水とを反応させて脱水してもよい。また、3−エチル−2−メチル−2−(3−メチルブチル)−1,3−オキサゾリジンなどのオキサゾリジン化合物を配合して水と反応させて脱水してもよい。かかる脱水乾燥法に加えてメタノール、エタノールなどの低級アルコール;n−プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、メチルシリケート、エチルシリケート、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン化合物を添加することにより、さらに貯蔵安定性は向上する。
【0160】
脱水剤、特にビニルトリメトキシシランなどの水と反応し得る珪素化合物の使用量は(A)架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対して、0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部の範囲が好ましい。
【0161】
本発明の硬化性組成物の調製法には特に限定はなく、例えば上記した成分を配合し、ミキサーやロールやニーダーなどを用いて常温または加熱下で混練したり、適した溶剤を少量使用して成分を溶解させ、混合したりするなどの通常の方法が採用されうる。
【0162】
また、本発明の硬化性組成物の調製方法において、前記成分(A)及び(B)を含む組成物を密閉条件下、所定温度で熟成させる熟成工程を含むことが好適である。該熟成工程により、貯蔵安定性をより改善させることができる。ここで熟成とは、(A)有機重合体の加水分解性基の一部と(B)金属化合物のアルコキシル基の一部をエステル交換反応させることを意味する。上記熟成により、化学平衡の状態に達することが好適である。
【0163】
前記熟成工程における反応温度条件は特に制限はないが、30℃〜100℃で反応させることが好ましく、30℃〜90℃がより好ましく、40℃〜80℃がさらに好ましい。反応温度を上記範囲内に設定することにより、反応を暴走させることなく安定に進行させることができる。反応温度を30℃未満とした場合、活性が低くなり、充分な反応達成に必要な時間が長くなり、効率が悪い。反応時間は、反応温度等を考慮して適宜設定することができるが、少なくとも平衡状態に達するまで反応させることが望ましく、例えば上記のような条件では反応時間は、通常は1〜336時間、好ましくは72〜168時間の範囲内に設定することが好適である。
【0164】
前記熟成工程は少なくとも成分(A)及び(B)を含む組成物に対して行えばよいものであり、熟成工程の時期及び回数に制限はなく、適宜決定すればよい。例えば、成分(A)及び(B)からなる硬化性組成物を調製する場合は、成分(A)及び(B)を含む混合物を所定温度で熟成させればよい。成分(A)及び(B)に加えて、他の配合物質を配合する場合は、成分(A)、(B)及び他の配合物質を含む組成物に対して熟成工程を行ってもよく、成分(A)及び(B)を含む組成物に対して熟成工程を行った後、他の配合物質を添加してもよい。また、少なくとも成分(A)及び(B)を含む組成物の熟成工程後、残りの配合物質の一部又は全てを配合し、さらに熟成工程を行ってもよい。また、全ての配合物質を配合した組成物に対してさらに所定温度で熟成させてもよい。
【0165】
本発明の硬化性組成物は大気中の湿気により常温で硬化することが可能であり、常温湿気硬化型硬化性組成物として好適に用いられるが、必要に応じて、適宜、加熱により硬化を促進させてもよい。
【実施例】
【0166】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0167】
合成例、実施例および比較例における分析、測定は以下の方法に従って行った。
1)数平均分子量の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により下記条件で測定した。本発明において、該測定条件でGPCにより測定し、標準ポリエチレングリコールで換算した最大頻度の分子量を数平均分子量と称する。
THF溶媒測定装置
・分析装置:Alliance(Waters社製)、2410型示差屈折検出器(Waters社製)、996型多波長検出器(Waters社製)、Milleniamデータ処理装置(Waters社製)
・カラム:Plgel GUARD+5μmMixed-C×3本(50×7.5mm,300×7.5mm:PolymerLab社製)
・流速:1mL/分
・測定温度:40℃
【0168】
2)貯蔵安定性試験及び硬化性(TFT)試験
調製した硬化性組成物を23℃の環境下にて24時間放置し、粘度及び硬化時間を測定した。該条件を初期と称し、該測定された粘度を初期粘度とした。粘度は、BS型回転粘度計(ローターNo.7−10回転)により測定した(測定温度23℃)。硬化時間は、JIS A 1439 5.19に準じて、23℃RH50%の環境下にて指触乾燥時間(TFT)を測定した。
次にサンプルを50℃の環境下にて所定期間(1、2、4週間)放置した。そして23℃の環境下で3時間静置し、粘度及び硬化時間を測定した。該測定された粘度を各所定期間の貯蔵粘度とした。さらに、各所定期間の貯蔵粘度を初期粘度にて割ることで、各所定期間の増粘率とした。
【0169】
3)接着強度試験
被着材の上に0.2gの硬化性組成物を均一に塗布し、25mm×25mmの面積で直ちに貼り合わせた。貼り合わせ後、23℃相対湿度50%の雰囲気下で7日間、目玉クリップ小により圧締した直後にJIS K 6850 剛性被着材の引張りせん断接着強さ試験方法に準じて測定した。被着材としては、硬質塩化ビニル、ポリカーボネイト、軟鋼板、アルマイトアルミを使用した。
【0170】
(合成例1)
プロピレングリコールを開始剤とし、合成した亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドを反応させて、数平均分子量25000、かつMw/Mn=1.3のポリオキシプロピレンジオールを得た。このポリオキシプロピレンジオールにナトリウムメトキシド(NaOMe)のメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、更に塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。未反応の塩化アリルを減圧脱気により除去し、さらに生成した金属塩を水により抽出除去して、末端にアリル基を有するポリオキシプロピレンを得た。得られたアリル基末端ポリオキシプロピレンに対し、白金ビニルシロキサン錯体のイソプロパノール溶液を添加し、トリメトキシシランを反応させ、ポリスチレン換算の数平均分子量が約26000、1分子当たり1.5個の末端トリメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン系重合体M1を得た。
【0171】
(合成例2)
プロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドを反応させて、数平均分子量13000、かつMw/Mn=1.3のポリオキシプロピレンジオールを得た。このポリオキシプロピレンジオールにナトリウムメトキシド(NaOMe)のメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、更に塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。未反応の塩化アリルを減圧脱気により除去し、さらに生成した金属塩を水により抽出除去して、末端にアリル基を有するポリオキシプロピレンを得た。得られたアリル基末端ポリオキシプロピレンに対し、白金ビニルシロキサン錯体のイソプロパノール溶液を添加し、トリメトキシシランを反応させ、ポリスチレン換算の数平均分子量が約14000、1分子当たり1.5個の末端トリメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン系重合体M2を得た。
【0172】
(合成例3)
グリセリンを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドを反応させて、数平均分子量13000、かつMw/Mn=1.3のポリオキシプロピレンジオールを得た。このポリオキシプロピレンジオールにナトリウムメトキシド(NaOMe)のメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、更に塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。未反応の塩化アリルを減圧脱気により除去し、さらに生成した金属塩を水により抽出除去して、末端にアリル基を有するポリオキシプロピレンを得た。得られたアリル基末端ポリオキシプロピレン100質量部に対し、50質量部トルエンを加え、3.41質量部のAIBN(東京化成工業(株)製)を加え、さらに8.25質量部のメルカプトプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業(株)製)を80℃に加温し、3時間反応させた。反応終了後、トルエン及び未反応物を加熱減圧脱気により除去し、ポリスチレン換算の数平均分子量が約15000、1分子当たり2.7個の末端トリメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン系重合体M3を得た。
【0173】
(合成例4)
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および環流冷却器を備えたフラスコに、n−ブチルアミン(東京化成工業(株)製)を30.00g加え、続いてアクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM5103、信越化学工業(株)製)を96.12g加えた。室温で24時間攪拌し、シリル化剤を得た。続いて数平均分子量10000のポリオキシプロピレンジオール(商品名:プレミノール4010、旭硝子(株)製)を100質量部、m−キシレンジイソシアネート(商品名:タケネート500、三井化学(株)製)3.75質量部を窒素雰囲気下にて入れた。攪拌混合しながら90℃で3時間反応させてウレタンプレポリマーを得た。得られたウレタンプレポリマー100質量部に対して、先程得たシリル化剤を5.92質量部加え、80℃に加温し、3時間反応させた。FT−IRにて2250cm−1付近のイソシアネート基に起因するピークの消失と1660cm−1付近の尿素基に起因するピークの出現を確認し、目的とするポリマーが合成できたことを確認した。ポリスチレン換算の数平均分子量が約11000、1分子当たり2.0個の末端トリメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン系重合体M4を得た。
【0174】
(合成例5)
フラスコに溶剤である酢酸エチル40質量部、メチルメタクリレート59質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート25質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン22質量部、及び金属触媒としてルテノセンジクロライド0.1質量部を仕込み窒素ガスを導入しながら80℃に加熱した。ついで、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン8質量部をフラスコ内に添加し80℃で6時間反応を行った。室温に冷却後、ベンゾキノン溶液(95%THF溶液)を20質量部添加して重合を停止した。ポリスチレン換算にて数平均分子量は5000であり、かつMw/Mn=1.6また1分子当たり平均2.0個のトリメトキシシリル基を有するアクリル酸エステル系重合体A1を得た。
【0175】
(合成例6)
攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに、酢酸エチルを36.7質量部入れ、80℃に加熱した。別の容器にメチルメタクリレート66質量部、ステアリルメタクリレート13質量部g、n−ブチルアクリレート6質量部、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5.4質量部、メルカプトプロピルトリメトキシシラン7.6質量部、AIBN2.6質量部を混合し、それを3時間かけて滴下し、さらに6時間80℃反応させ、ポリスチレン換算にて数平均分子量は6000であり、かつMw/Mn=1.6また1分子当たり平均2.0個のトリメトキシシリル基を有するアクリル酸エステル系重合体A2を得た。
【0176】
(合成例7)
撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、トルエンを10質量部、メチルメタクリレート70質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート30質量部、アクリロキシメチルトリメトキシシラン15.2質量部、メチル2−ブロモイソブチレート5.5質量部及び遷移金属触媒としてCuBr4.3質量部、Cuを0.2質量部、配位子としてN,N,N’,N’’,N’’―ペンタメチレンジエチレントリアミン2.8質量部仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を80℃に加熱した。12時間の反応後、反応物の温度を室温に戻し、反応物にベンゾキノン溶液(95%THF溶液)を20質量部添加して重合を停止し、脱水メタノール(東京化成工業(株)製)にて反応物を沈殿精製し、ポリスチレン換算にて数平均分子量は6000であり、かつMw/Mn=1.1また1分子当たり平均2.0個のトリメトキシシリル基を有するアクリル酸エステル系重合体A3を得た。
【0177】
(合成例8)
撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、メチルメタクリレート66質量部、ステアリルメタクリレート15質量部、n−ブチルメタアクリレート13質量部、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン20質量部、合成した2−フェニルプロピル−2−ジチオベンゾエ−ト5.7質量部、AIBN1.7質量部を仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を80℃に加熱した。撹拌中のフラスコ内の内容物の温度が80℃に維持できるように、加熱及び冷却を8時間行った。反応後、反応物の温度を室温に戻し、ポリスチレン換算にて数平均分子量は8000であり、かつMw/Mn=1.1また1分子当たり平均3.7個のトリメトキシシリル基を有するアクリル酸エステル系重合体A4を得た。
【0178】
(合成例9)
表1に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、チタニウムテトライソプロポキシド2.83g(9.97m mol)入れ、続いて乳酸エチル1.17g(9.97m mol)を入れた。30℃で2時間反応させ、混合物から減圧下にてイソプロピルアルコールを除去し、透明な淡黄色の液体T−1を3.40g得た。
【0179】
(合成例10)
表1に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、チタニウムテトライソプロポキシド2.40g(8.43m mol)入れ、続いてDL−リンゴ酸ジエチル1.60g(8.43m mol)を入れた。30℃で2時間反応させ、混合物から減圧下にてイソプロピルアルコールを除去し、透明な淡黄色の液体T−2を3.49g得た。
【0180】
(合成例11)
表1に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、チタニウムテトライソプロポキシド2.61g(9.18m mol)入れ、続いてDL−リンゴ酸ジエチル1.39g(11.02m mol)を入れた。30℃で2時間反応させ、混合物から減圧下にてイソプロピルアルコールを除去し、透明な淡黄色の液体T−3を3.44g得た。
【0181】
(合成例12)
表1に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、チタニウムテトライソプロポキシド2.22g(7.81m mol)入れ、続いてDL−リンゴ酸ジエチル1.78g(6.25m mol)を入れた。30℃で2時間反応させ、混合物から減圧下にてイソプロピルアルコールを除去し、透明な淡黄色の液体T−4を3.56g得た。
【0182】
(合成例13)
表1に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、チタニウムテトライソプロポキシド1.71g(6.02m mol)入れ、続いてDL−リンゴ酸ジエチル2.29g(12.03m mol)を入れた。70℃で7時間反応させ、混合物から減圧下にてイソプロピルアルコールを除去し、透明な淡黄色の液体T−5を4.00g得た。
【0183】
(合成例14)
表1に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、チタニウムテトライソプロポキシド2.25g(7.92m mol)入れ、続いてクエン酸トリエチル1.75g(6.33m mol)を入れた。30℃で2時間反応させ、混合物から減圧下にてイソプロピルアルコールを除去し、透明な淡黄色の液体T−6を3.62g得た。
【0184】
(合成例15)
表1に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、チタニウムテトライソプロポキシド2.03g(7.14m mol)入れ、続いてクエン酸トリエチル1.97g(7.14m mol)を入れた。30℃で2時間反応させ、混合物から減圧下にてイソプロピルアルコールを除去し、透明な淡黄色の液体T−7を3.57g得た。
【0185】
(合成例16)
表1に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、チタニウムテトライソプロポキシド1.85g(6.51m mol)入れ、続いてクエン酸トリエチル2.15g(7.81m mol)を入れた。30℃で2時間反応させ、混合物から減圧下にてイソプロピルアルコールを除去し、透明な淡黄色の液体T−8を3.53g得た。
【0186】
(合成例17)
表1に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、チタニウムテトライソプロポキシド1.36g(4.79m mol)入れ、続いてクエン酸トリエチル2.64g(9.58m mol)を入れた。70℃で7時間反応させ、混合物から減圧下にてイソプロピルアルコールを除去し、透明な淡黄色の液体T−9を4.00g得た。
【0187】
(合成例18)
表1に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、チタニウムテトライソプロポキシド2.20g(7.74m mol)入れ、続いてDL−リンゴ酸ジエチル0.73g(3.87m mol)、クエン酸トリエチル3.87g(3.87m mol)を入れた。70℃で7時間反応させ、混合物から減圧下にてイソプロピルアルコールを除去し、透明な淡黄色の液体T−10を4.00g得た。
【0188】
(合成例19)
表1に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、チタニウムテトラメトキシド1.90g(11.05m mol)入れ、DL−リンゴ酸ジエチル2.10g(11.05m mol)を入れた。50℃で2時間反応させ、混合物から減圧下にてメタノールを除去し、透明な淡黄色の液体T−11を3.34g得た。
【0189】
(合成例20)
表1に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、チタニウムテトラ t−ブトキシド2.56g(7.52m mol)入れ、DL−リンゴ酸ジエチル1.43g(7.52m mol)を入れた。30℃で2時間反応させ、混合物から減圧下にてt−ブタノールを除去し、透明な淡黄色の液体T−12を3.54g得た。
【0190】
(合成例21)
撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに大気に触れないようシリンジにてチタニウムテトラクロリドを1.00g(5.27m mol)とり、続いてドデカノール3.93g(521.09m mol)とトリエチルアミン2.56g(25.31m mol)を混合した溶液を滴下し反応させた。反応後、ろ過し、チタニウムテトラドデコキシドを得た。表1に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、先程得られたチタニウムテトラドデコキシド3.22g(4.08m mol)入れ、DL−リンゴ酸ジエチル0.78g(4.08m mol)を入れた。70℃で2時間反応させ透明な淡黄色の液体T−13を4.00g得た。
【0191】
【表1】

【0192】
表1において、各配合物質の配合量はgで示される。(B)成分x及び(B)成分yは、合成例9〜21で得られたT−1〜T−13を前記式(7)で示した場合の前記式(7)中のx及びyをそれぞれ示したものである。
合成例1〜21で用いた各化合物の詳細は下記の通りである。
n−ブチルアクリレート(東京化成工業(株)製)
ステアリルメタクリレート(商品名:ライトエステルS、共栄社(株)製)
メチルメタクリレート(商品名:ライトエステルM、共栄社(株)製)
2−エチルヘキシルメタクリレート(商品名:ライトエステルEH、共栄社(株)製)
n−ブチルメタクリレート(商品名:ライトエステルMB、共栄社(株)製)
メルカプトプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業(株)製)
AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(東京化成工業(株)製)
THF(テトラヒドロフラン、和光純薬工業(株)製)
酢酸エチル(和光純薬工業(株)製)
プレミノール4010:旭硝子(株)製、数平均分子量10000のポリオキシプロピレンジオール
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業(株)製)
脱水メタノール(東京化成工業(株)製)
メチル2−ブロモイソブチレート(東京化成工業(株)製)
CuBr(東京化成工業(株)製)
Cu(東京化成工業(株)製)
N,N,N’,N’’,N’’―ペンタメチレンジエチレントリアミン(東京化成工業(株)製)
ルテノセンジクロライド(東京化成工業(株)製)
塩化アリル(東京化成工業(株)製)
m−キシレンジイソシアネート(商品名:タケネート500、三井化学(株)製)
チタニウムテトラt−ブトキシド(東京化成工業(株)製)
チタニウムテトラメトキシド(東京化成工業(株)製)
チタニウムテトライソプロポキシド(商品名:オルガチックス TA−10、マツモトファインケミカル(株)製)
チタニウムテトラクロリド(東京化成工業(株)製)
ドデカノール(東京化成工業(株)製)
トリエチルアミン(東京化成工業(株)製)
【0193】
(実施例1)
表2に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を60質量部と合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を10質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例9で得たT−1を3.40質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表4に示した。
【0194】
(実施例2)
表2に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を60質量部と合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を10質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例10で得たT−2を3.49質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表4に示した。
【0195】
(実施例3)
表2に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を60質量部と合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を10質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例11で得たT−3を3.44質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表4に示した。
【0196】
(実施例4)
表2に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を60質量部と合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を10質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例12で得たT−4を3.56質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表4に示した。
【0197】
(実施例5)
表2に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を60質量部と合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を10質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例13で得たT−5を4.00質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表4に示した。
【0198】
(実施例6)
表2に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を60質量部と合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を10質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例14で得たT−6を3.62質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表4に示した。
【0199】
(実施例7)
表2に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を60質量部と合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を10質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例15で得たT−7を3.57質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表4に示した。
【0200】
(実施例8)
表2に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を60質量部と合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を10質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例16で得たT−8を3.53質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表4に示した。
【0201】
(実施例9)
表2に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を60質量部と合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を10質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例17で得たT−9を4.00質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表4に示した。
【0202】
(実施例10)
表2に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を60質量部と合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を10質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例18で得たT−10を4.00質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表4に示した。
【0203】
(実施例11)
表3に示した如く、合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を70質量部と合成例3で得たポリオキシプロピレン系重合体M3を20質量部、合成例6で得たアクリル酸エステル系重合体A2を10質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例9で得たT−1を10.00質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表5に示した。
【0204】
(実施例12)
表3に示した如く、合成例4で得たポリオキシプロピレン系重合体M4を60質量部と合成例6で得たアクリル酸エステル系重合体A2を40質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例13で得たT−5を20.00質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表5に示した。
【0205】
(実施例13)
表3に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を10質量部、、合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を20質量部、合成例3で得たポリオキシプロピレン系重合体M3を10質量部、合成例4で得たポリオキシプロピレン系重合体M4を10質量部と合成例7で得たアクリル酸エステル系重合体A2を50質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例18で得たT−10を1.00質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表5に示した。
【0206】
(実施例14)
表3に示した如く、合成例3で得たポリオキシプロピレン系重合体M3を70質量部、合成例6で得たアクリル酸エステル系重合体A2を10質量部と合成例8で得たアクリル酸エステル系重合体A4を20質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例18で得たT−10を15.00質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表5に示した。
【0207】
(実施例15)
表3に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を70質量部と合成例6で得たアクリル酸エステル系重合体A2を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例19で得たT−11を3.34質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表5に示した。
【0208】
(実施例16)
表3に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を70質量部と合成例6で得たアクリル酸エステル系重合体A2を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例20で得たT−11を3.54質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表5に示した。
【0209】
(実施例17)
表3に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を70質量部と合成例6で得たアクリル酸エステル系重合体A2を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例21で得たT−11を4.00質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表5に示した。
【0210】
(実施例18)
表3に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を100質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例13で得たT−5を4.00質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表5に示した。
【0211】
(比較例1)
表3に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を70質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。オルガチックス TC−750(チタニウムジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、マツモトファインケミカル(株)製)を4.00質量部入れ、脱気攪拌し硬化性組成物を得た。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表5に示した。
【0212】
【表2】

【0213】
【表3】

【0214】
表2及び表3において、各配合物質の配合量はgで示される。
【0215】
【表4】

【0216】
【表5】

【0217】
表4及び表5から明らかなように本発明の硬化性組成物は従来のチタン触媒を用いた比較例1の硬化性組成物よりも貯蔵安定性試験後の増粘率が低く、良好な貯蔵安定性を示す。また接着性においても本発明の硬化性組成物は良好な結果を示した。
【0218】
(合成例22)
表6に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに大気に触れないようシリンジにてモノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレートを1.00g(40.60mmol)とり、続いて乳酸エチル4.80g(40.60mmol)を滴下し反応させた。70℃で2時間反応させ透明な淡黄色の液体Al−1を14.80g得た。
【0219】
(合成例23)
表6に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに大気に触れないようシリンジにてアルミニウムsec−ブチレートを10.00g(40.83mmol)とり、続いて乳酸エチル10.83g(81.20mmol)を滴下し反応させた。70℃で2時間反応させ透明な淡黄色の液体Al−2を20.83g得た。
【0220】
(合成例24)
表6に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに大気に触れないようシリンジにてアルミニウムsec−ブチレートを10.00g(40.83mmol)とり、続いて乳酸エチル16.24g(137.49mmol)を滴下し反応させた。70℃で2時間反応させ透明な淡黄色の液体Al−3を26.24g得た。
【0221】
(合成例25)
表6に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに大気に触れないようシリンジにてモノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレートを1.00g(40.60mmol)とり、続いてDL−リンゴ酸ジエチル7.22g(40.60mmol)を滴下し反応させた。70℃で2時間反応させ透明な淡黄色の液体Al−4を17.22g得た。
【0222】
(合成例26)
表6に示した如く、撹拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに大気に触れないようシリンジにてモノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレートを1.00g(40.60mmol)とり、続いてクエン酸トリエチル11.22g(40.60mmol)を滴下し反応させた。70℃で2時間反応させ透明な淡黄色の液体Al−5を21.22g得た。
【0223】
【表6】

【0224】
表6において、各配合物質の配合量はgで示される。(B)成分x及び(B)成分yは、合成例22〜26で得られたAl−1〜Al−5を前記式(7)で示した場合の前記式(7)中のx及びyをそれぞれ示したものである。
合成例22〜26で用いた各化合物の詳細は下記の通りである。
モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート(商品名:AMD、川研ファインケミカル(株)製)
アルミニウムsec−ブチレート(商品名:ASBD、川研ファインケミカル(株)製)
【0225】
(実施例19)
表7に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を60質量部と合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を10質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例22で得たAl−1を4.97質量部入れ、脱気攪拌し密閉容器に充填し50℃の環境下にて3日間放置し、硬化性組成物を調製した。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表8に示した。
【0226】
(実施例20)
表7に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を60質量部と合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を10質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例23で得たAl−2を5.77質量部入れ、脱気攪拌し密閉容器に充填し50℃の環境下にて3日間放置し、硬化性組成物を調製した。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表8に示した。
【0227】
(実施例21)
表7に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を60質量部と合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を10質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例24で得たAl−3を6.35質量部入れ、脱気攪拌し密閉容器に充填し50℃の環境下にて3日間放置し、硬化性組成物を調製した。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表8に示した。
【0228】
(実施例22)
表7に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を60質量部と合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を10質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例25で得たAl−4を4.77質量部入れ、脱気攪拌し密閉容器に充填し50℃の環境下にて3日間放置し、硬化性組成物を調製した。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表8に示した。
【0229】
(実施例23)
表7に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を60質量部と合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を10質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。合成例26で得たAl−5を4.61質量部入れ、脱気攪拌し密閉容器に充填し50℃の環境下にて3日間放置し、硬化性組成物を調製した。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表8に示した。
【0230】
(比較例2)
表7に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を60質量部と合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を10質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレートを4.00質量部入れ、脱気攪拌し密閉容器に充填し50℃の環境下にて3日間放置し、硬化性組成物を調製した。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表8に示した。
【0231】
(比較例3)
表7に示した如く、合成例1で得たポリオキシプロピレン系重合体M1を60質量部と合成例2で得たポリオキシプロピレン系重合体M2を10質量部、合成例5で得たアクリル酸エステル系重合体A1を30質量部、量り取り攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに入れ、100℃に加熱し3時間脱気攪拌し、室温まで戻した。アルミキレートD(川研ファインケミカル(株)製、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート))を10.00質量部入れ、脱気攪拌し密閉容器に充填し50℃の環境下にて3日間放置し、硬化性組成物を調製した。該硬化性組成物の貯蔵安定性、硬化性(TFT)及び接着強度試験の結果を表8に示した。
【0232】
【表7】

【0233】
表7において、各配合物質の配合量はgで示される。
【表8】

【0234】
表8から明らかなように本発明の硬化性組成物は従来のアルミニウム触媒を用いた比較例2及び3の硬化性組成物よりも貯蔵安定性試験後の増粘率が低く、良好な貯蔵安定性を示した。また接着性においても本発明の硬化性組成物は良好な結果を示した。
【産業上の利用可能性】
【0235】
本発明の硬化性組成物は、大気中に暴露されると水分の作用により、三次元的に網状組織を形成し、ゴム状弾性を有する固体へと硬化する。
【0236】
本発明の硬化性組成物は、粘着剤、建造物・船舶・自動車・道路などの接着剤、シーリング材、型取剤、防振材、制振材、防音材、発泡材料、塗料、吹付材などに使用できる。本発明の硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、柔軟性および接着性に優れることから、これらの中でも、接着剤又はシーリング材として用いることがより好ましい。また、太陽電池裏面封止材などの電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁材料、弾性接着剤、コンタクト型接着剤、スプレー型シール材、クラック補修材、タイル張り用接着剤、粉体塗料、注型材料、医療用ゴム材料、医療用粘着剤、医療機器シール材、食品包装材、サイジングボード等の外装材の目地用シーリング材、コーティング材、プライマー、電磁波遮蔽用導電性材料、熱伝導性材料、ホットメルト材料、電気電子用ポッティング剤、フィルム、ガスケット、各種成形材料、および、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材、自動車部品、電機部品、各種機械部品などにおいて使用される液状シール剤等の様々な用途に利用可能である。更に、単独あるいはプライマーの助けをかりてガラス、磁器、木材、金属、樹脂成形物などの如き広範囲の基質に密着しうるので、種々のタイプの密封組成物および接着組成物としても使用可能である。また、本発明の硬化性組成物は、内装パネル用接着剤、外装パネル用接着剤、タイル張り用接着剤、石材張り用接着剤、天井仕上げ用接着剤、床仕上げ用接着剤、壁仕上げ用接着剤、車両パネル用接着剤、電気・電子・精密機器組立用接着剤、ダイレクトグレージング用シーリング材、複層ガラス用シーリング材、SSG工法用シーリング材、または、建築物のワーキングジョイント用シーリング材、としても使用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)珪素原子に結合した加水分解性基を有し、水分の作用によりシロキサン結合を形成することによって架橋し得る架橋性珪素基を有し主鎖がポリシロキサンでない有機重合体、及び
(B)硬化触媒として金属化合物、
を含有する接着性を有する硬化性組成物であって、
前記(B)金属化合物が、錫を除く金属からなる群から選ばれる1種以上の金属の化合物であって、該金属原子にα−又はβ−ケトアルコールの残基が結合してなり、α炭素が飽和炭素である金属化合物であり、
前記(A)有機重合体100質量部に対して前記(B)金属化合物を0.1〜20質量部含有することを特徴とする接着性を有する硬化性組成物。
【請求項2】
前記(B)金属化合物が、少なくとも金属アルコキシドと、ヒドロキシカルボン酸エステルとを反応させた反応物であることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記ヒドロキシカルボン酸エステルが、乳酸エステル、リンゴ酸エステル及びクエン酸エステルからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項2記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記金属アルコキシドが、炭素数1〜12のアルコキシド基を含む金属アルコキシドであることを特徴とする請求項2又は3記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記金属が、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、バナジウム及びタンタルからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記(A)有機重合体の主鎖骨格が、ポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体、及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記架橋性珪素基が下記式(1)で示される基であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の硬化性組成物。
【化1】



(前記式(1)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基であり、Rが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは1、2又は3の整数である。)
【請求項8】
前記式(1)のXがアルコキシ基であることを特徴とする請求項7記載の硬化性組成物。
【請求項9】
前記式(1)のaが2又は3であることを特徴とする請求項7又は8記載の硬化性組成物。
【請求項10】
前記式(1)のaが3であることを特徴とする請求項9記載の硬化性組成物。
【請求項11】
前記式(1)のXの少なくとも一部がメトキシ基であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項記載の硬化性組成物。

【公開番号】特開2011−241390(P2011−241390A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93589(P2011−93589)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(304026696)国立大学法人三重大学 (270)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】(000108111)セメダイン株式会社 (92)
【Fターム(参考)】