説明

貯蔵容器内原料の切出し方法及び装置

【課題】 貯蔵ホッパの排出口から切り出される原料の流量制御を行えるようにする。
【解決手段】 貯蔵ホッパ9の排出口10の内側に、軸13の外周面に羽根14を螺旋状に取り付けてなるスクリュー12を、上下方向に配置し、駆動用モータ16により回転できるようにする。排出口10の下方のスクリューコンベヤ11のケーシング11aの下側には、ケーシング11a内に排出される原料の重量を検出する重量検出器17を設置する。該重量検出器17で検出した原料の重量の値を制御部18に入力し、制御部18から駆動用モータ16に回転数変更の指令を与えるようにする。スクリュー12を逆方向に回転させて排出口10内の原料を上方へ持ち上げるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体を原料として貯蔵するホッパの如き貯蔵容器内の原料を各種処理装置へ搬送させるようにするために貯蔵容器内から切り出すようにする貯蔵容器内原料の切出し方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、貯蔵容器内の粉粒体の如き原料を切り出して目的のところまで搬送させるようにするものとして、図2に示す如き粉粒体の切出し装置がある。
【0003】
すなわち、粉粒体を貯蔵する貯蔵ホッパ1の下部に、スクリューフィーダ2を設け、該スクリューフィーダ2の両端に設けられた排出口4a,4bに、それぞれ搬送配管5aと5bを接続し、該各搬送配管5a,5bに吹き込み配管6a,6bをそれぞれ連通して設けると共に、該吹き込み配管6a,6bと上記搬送配管5a,5bに開閉弁VとV、VとVを設けた構成としてある。更に、上記搬送配管5a,5bには閉塞検知装置7a,7bを設け、該閉塞検出器7a,7bは、搬送配管5a,5bの閉塞を検知して、検知信号を制御装置8に入力し、制御装置8は、閉塞検知装置7a,7bの検知信号を入力して、駆動用モータ3の回転及び開閉弁VとV及びVとVの開閉を制御するようにしてある。
【0004】
したがって、貯蔵ホッパ1内の粉粒体は、スクリューフィーダ2によって2つの排出口4aと4bのいずれか一方の側から切り出される。この際、いずれの排出口4a,4bに切り出されるかは、駆動用モータ3の回転によって決定されるようにしてある(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−31245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来のスクリューフィーダを用いて切出しを行うようにしてあるようなもので、ホッパ内の粉粒体を切り出すようにする場合は、スクリューフィーダのスクリューを押し出し方向へ回転させて定量切出しを行うようにするものであるため、原料が粉体とか粒体の如き流動性のよいものである場合は、スクリューによる押し出しを停止させても自重による自然流れが生じて、流量制御が不可能となるおそれがあり、又、原料が粉体、粒体以外の圧縮性のある原料(たとえば、プラスチック・フレーク等)は、スクリューで押し出されることにより圧縮されて排出口が閉塞するというおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、原料が粉粒状のものでも圧縮性の高いものでも適正に切り出されて搬送させることができるようにする貯蔵容器内原料の切出し方法及び装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、貯蔵容器内に貯蔵してある原料を貯蔵容器の排出口より切り出すようにする貯蔵容器内原料の切出し方法において、上記排出口に上下方向にスクリューを配設して駆動用モータにより回転できるようにし、上記排出口から排出された原料の重量を検出して、該重量の検出値に基づき上記スクリュー回転駆動用のモータの回転数を制御させ、重量の変化がないように貯蔵容器内の原料を切り出すようにする貯蔵容器内原料の切出し方法、及び、貯蔵容器内に貯蔵してある原料を貯蔵容器の排出口より切り出すようにする貯蔵容器内原料の切出し装置において、上記排出口の内側に軸の外周面に羽根を螺旋状に取り付けてなるスクリューを上下方向に配設して、駆動用モータにより回転できるようにし、且つ上記排出口から切り出された原料の重量を検出する重量検出器を、切出し搬送手段の下部に設け、更に、上記重量検出器からの原料重量の検出値を入力して上記駆動用モータの回転数を制御させるようにする制御部を備え、上記排出口から切り出される原料の重量の変化をなくすようにスクリューの回転数を制御して排出口からの原料切出しを行うようにした貯蔵容器内原料の切出し装置とする。
【0009】
又、上記貯蔵容器内原料の切出し方法において、排出口内に位置する原料を下方への押出し方向とは逆の上向きの方向へ持ち上げるようにスクリューを回転させて切出し量を制御させるようにする構成とする。
【0010】
更に、上記貯蔵容器内原料の切出し装置において、排出口の内側に配設したスクリューの羽根の外径と上記排出口の内径との比を0.5〜1.0未満とするようにした構成とする。
【発明の効果】
【0011】
本願の貯蔵容器内原料の切出し方法及び装置によれば、
(1)貯蔵容器内に貯蔵してある原料を貯蔵容器の排出口より切り出すようにする貯蔵容器内原料の切出し方法において、上記排出口に上下方向にスクリューを配設して駆動用モータにより回転できるようにし、上記排出口から排出された原料の重量を検出して、該重量の検出値に基づき上記スクリュー回転駆動用のモータの回転数を制御させ、重量の変化がないように貯蔵容器内の原料を切り出すようにする方法、及び、貯蔵容器内に貯蔵してある原料を貯蔵容器の排出口より切り出すようにする貯蔵容器内原料の切出し装置において、上記排出口の内側に軸の外周面に羽根を螺旋状に取り付けてなるスクリューを上下方向に配設して、駆動用モータにより回転できるようにし、且つ上記排出口から切り出された原料の重量を検出する重量検出器を、切出し搬送手段の下部に設け、更に、上記重量検出器からの原料重量の検出値を入力して上記駆動用モータの回転数を制御させるようにする制御部を備え、上記排出口から切り出される原料の重量の変化をなくすようにスクリューの回転数を制御して排出口からの原料切出しを行うようにした装置としてあるので、貯蔵容器の排出口から切り出される原料の量に変化があっても、自動的にスクリューの回転数を増減制御することにより、原料の切出し流量調整ができる。
(2)排出口内に位置する原料を下方への押出し方向とは逆の上向きの方向へ持ち上げるようにスクリューを回転させて切出し量を制御させるようにする方法とすることにより、原料が粉粒体の如き小径のものである場合でも、貯蔵ホッパの排出口の内側でスクリューを下方への押出し方向とは逆の方向へ回転させることができ、貯蔵容器内原料の自然流出量と、スクリューによるバックフロー量をバランスさせることができ、定量の切出しを行うことができる。
(3)原料が圧縮性を有するものでも排出口の内側でスクリューを逆回転させて原料を持ち上げるようにすることにより、原料をほぐすことができて詰まらせることなく適切な切出しを行わせることができる。
(4)排出口の内側に配設したスクリューの羽根の外径と上記排出口の内径との比を0.5〜1.0未満とするようにした構成とすることにより、原料の自然流出をなくすことができ、上記(1)の効果をより確実に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1は本発明の実施の一形態を示すもので、貯蔵容器としての貯蔵ホッパ9の下端部に下向きの排出口10を設け、該排出口10の下端を、切出し用スクリューコンベヤ11のケーシング11a途中に接続して、排出口10とケーシング11a内が連通するようにする。
【0014】
上記貯蔵ホッパ9の排出口10の内部には、軸13の外周面に螺旋状に羽根14を取り付けてなるスクリュー12を上下方向に配設すると共に、該スクリュー12の羽根14の外径寸法dと、排出口10の内径寸法Dとの比が、d/D≒0.5〜1.0未満程度となるように構成して取扱う原料の粒径が小さいものでは排出口10と羽根14との隙間15が小さいものとし、且つ原料の粒径が大きいときは、上記隙間15が大きいものとし、該スクリュー12を駆動用モータ16により非押出方向、すなわち、排出口10内の原料を上向きに攪拌させる方向に回転させるようにする。
【0015】
更に、上記スクリューコンベヤ11の途中位置の下側、すなわち、上記排出口10が接続されるスクリューコンベヤ11のケーシング11a部の下側に、ケーシング11a内に排出口10より排出された原料の重量をケーシング11aを介して検出できるようにする重量検出器17を設置して、貯蔵ホッパ9内に貯蔵された原料が排出口10からスクリューコンベヤ11のケーシング11a内に排出されたときの原料の重量を重量検出器17で検出できるようにし、且つ上記重量検出器17を制御部18に接続して、ケーシング11a内に排出させられた原料の重量を重量検出器17で検出すると、その検出値aを制御部18に入力させるようにする。
【0016】
上記制御部18は、上記重量検出器17からの原料重量の検出値aを入力すると、その検出値aに基づいて、排出口10を通過してケーシング11a内に投入された原料の量を求め、且つその量が適正なものであるか否かを、予め定めておいた値との比較で求め、スクリュー12の駆動用モータ16へ原料押出し方向とは逆の方向へ回転させる回転数変更の指令を発するようにしてある。
【0017】
なお、上記スクリュー12の軸13は、図示してないが所要個所が貯蔵ホッパ9に回転できるように支持させてある。19はスクリューコンベヤ11のスクリューである。
【0018】
なお、又、上記d/Dを0.5〜1.0未満としたのは、粒径の大きい原料の場合は隙間15を大きくとる必要があるが、0.5以下では、粒径の大きい原料も自然流れを起すおそれがあること、又、1.0未満としたのは、粉体状のものでも自然流れし難いようにするためである。
【0019】
上記のように構成されているので、貯蔵ホッパ9内に貯蔵されている原料を必要とする処理装置へ送るために、貯蔵ホッパ9の排出口10から順次切り出してスクリューコンベヤ11で搬送させるようにするときは、貯蔵ホッパ9の排出口10を通してスクリューコンベヤ11のケーシング11a内に排出されて落下させられた原料の重量を重量検出器17で検出し、該重量検出器17で検出した値aに基づいて制御部18からの指令によりスクリュー12の駆動用モータ16の回転数を制御するようにし、排出口10から適正な量の原料が切り出されるようにする。この際、上記スクリュー12を回転駆動する駆動用モータ16は、逆回転、すなわち、スクリュー12により原料を排出口10内で上方から下方へ押し出す方向とは逆に、原料を排出口10内で下方から上方へ持ち上げるようにして流動させることができる方向にスクリュー12を回転駆動させるようにする。又、原料の粒径の大小により、貯蔵ホッパ9内のスクリュー12の羽根14の外径dと排出口10の内径Dとのd/Dを、大きくしたものとするとか、小さくしたものとして使用するようにする。
【0020】
原料の粒径が小さい場合は、図1において、スクリュー12の羽根14と貯蔵ホッパ9の排出口10との隙間15は小さくしたものを用いるようにし、原料の粒径が大きい場合は、上記隙間15を或る程度大きくしたものを用いるようにする。
【0021】
図1に示す状態において、貯蔵ホッパ9内のスクリュー12を駆動用モータ16により逆方向に回転させると、排出口10内に堆積されている原料は、スクリュー12の逆回転により押出し方向とは逆に上方へ持ち上げられるよう流動させられながら、排出口10内より排出され、スクリューコンベヤ11のケーシング11a内に落下させられる。該ケーシング11a内に落下させられた原料は、重量検出器17により重量が検出される。検出された重量の値aは、重量検出器17から制御部18へ信号として入力させられ、該制御部18で定量の切出し時の重量の設定値と比較され、差があると、設定値と等しくなるように制御部18から駆動用モータ16へ指令が送られる。これにより、駆動用モータ16の回転数が変更制御され、所定の量の切出しが行われるように排出口10内の原料の流動作用が行われる。
【0022】
この際、原料の粒径が小さい場合は、排出口10の内側にある原料は、上記隙間15を通して落下する原料の自然流出量と、スクリュー12によるバックフローされる量をバランスさせるようにすることにより、定量の切出しを行うことができる。
【0023】
又、原料の粒径が大きく且つ圧縮性のあるものでは、貯蔵ホッパ9の排出口10に導かれた原料は、該排出口10に詰められることにより圧密されてブリッジ現象や閉塞現象を起すことがあり、かかるブリッジや閉塞が生じると、排出口10からスクリューコンベヤ11のケーシング11aへの供給量に変動が生じる場合がある。
【0024】
かかる場合は、重量検出器17の信号を制御部18で入力することにより、ケーシング11aへの供給部に供給される原料の重量を検出し、供給量減少になると、スクリュー12を逆方向へ回転させる回転数を制御して排出口10内の原料を攪拌するようにして、排出量を増加させるようにして切り出すようにする。
【0025】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、たとえば、貯蔵ホッパ9内に配設するスクリュー12は、軸13上下方向に延びるように設けてあればよく、鉛直あるいは斜めに設けるようにしてもよく、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の一形態を示す概要図である。
【図2】従来の粉粒体切出し装置を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
9 貯蔵ホッパ(貯蔵容器)
10 排出口
12 スクリュー
13 軸
14 羽根
15 隙間
16 駆動用モータ
17 重量検出器
18 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵容器内に貯蔵してある原料を貯蔵容器の排出口より切り出すようにする貯蔵容器内原料の切出し方法において、上記排出口に上下方向にスクリューを配設して駆動用モータにより回転できるようにし、上記排出口から排出された原料の重量を検出して、該重量の検出値に基づき上記スクリュー回転駆動用のモータの回転数を制御させ、重量の変化がないように貯蔵容器内の原料を切り出すようにすることを特徴とする貯蔵容器内原料の切出し方法。
【請求項2】
排出口内に位置する原料を下方への押出し方向とは逆の上向きの方向へ持ち上げるようにスクリューを回転させて切出し量を制御させるようにする請求項1記載の貯蔵容器内原料の切出し方法。
【請求項3】
貯蔵容器内に貯蔵してある原料を貯蔵容器の排出口より切り出すようにする貯蔵容器内原料の切出し装置において、上記排出口の内側に軸の外周面に羽根を螺旋状に取り付けてなるスクリューを上下方向に配設して、駆動用モータにより回転できるようにし、且つ上記排出口から切り出された原料の重量を検出する重量検出器を、切出し搬送手段の下部に設け、更に、上記重量検出器からの原料重量の検出値を入力して上記駆動用モータの回転数を制御させるようにする制御部を備え、上記排出口から切り出される原料の重量の変化をなくすようにスクリューの回転数を制御して排出口からの原料切出しを行うようにした構成を有することを特徴とする貯蔵容器内原料の切出し装置。
【請求項4】
排出口の内側に配設したスクリューの羽根の外径と上記排出口の内径との比を0.5〜1.0未満とするようにした請求項3記載の貯蔵容器内原料の切出し装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−242004(P2009−242004A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87109(P2008−87109)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】