説明

貯遊技媒体管理装置及び貯遊技媒体管理システム

【課題】遊技店において、予め登録された会員に対して、貯玉サービスを提供する場合に、いかにして貯玉を有価価値と同様に扱うかを課題とする。
【解決手段】貯玉移行元の会員により会員カード処理機70に携帯電話機80をかざし操作され、移行貯玉数を入力された後に、移行先の会員により会員カード処理機70に携帯電話機80をかざし操作されると、会員管理テーブル14aにて管理する貯玉移行元の会員の貯玉を移行先会員の貯玉口座へ移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技店に登録された会員に付与された会員識別情報に対応付けて該会員の貯遊技媒体数を管理する貯遊技媒体管理装置及び貯遊技媒体管理システムに関し、特に、遊技店に会員登録された会員に対して貯遊技媒体サービスを行う場合に、貯遊技媒体を現金等の他の有価価値と同様に取り扱い、もって会員に対して利便性の高い貯遊技媒体サービスを行うことができる貯遊技媒体管理装置及び貯遊技媒体管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ店等の遊技店では、遊技店に会員登録した会員に対して会員カードを発行するとともに、各会員に対して会員カードを用いた貯玉サービスを提供する貯玉管理システムが導入されることが多い。例えば、特許文献1には、会員により獲得された玉数を貯玉数として会員カードIDに対応付けてターミナルコントローラで管理しておき、この貯玉数を遊技台で再プレイに利用したり景品交換に利用する技術が開示されている。
【0003】
このように、従来の貯玉管理システムでは、各会員に付与した会員カードを利用した貯玉サービスを提供してきたわけであるが、昨今の携帯電話機の普及に伴って、会員カードの代わりにこの携帯電話機を利用する試みがなされている。この場合には、会員が携帯電話機を計数機等にかざし操作すると、管理装置では、この携帯電話機の識別情報に対応付けて計数結果である玉数を貯玉として記憶し、会員が携帯電話機を台間機等にかざすとともに所定の再プレイ操作を行うと、預け入れた玉の再プレイを行うことが可能となる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−210818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記貯玉管理システムでは、各会員ごとにそれぞれ異なる貯玉口座を設け、会員一人一人に対して個別的に貯玉サービスを提供することを前提としたものであり、会員である遊技客にとってやや利便性の悪いものとなっている。
【0006】
この点を具体的に説明すると、上記貯玉は、一般景品のみならず特殊景品に交換可能な有価価値であるため、本来は、現金等の他の有価価値と同様の性質を持つものであるが、かかる現金が会員相互間で自由に貸し借りできるものであるにも係わらず、この貯玉は会員相互間で貸し借りすることができない。
【0007】
このため、ある会員から他の会員に貯玉を受け渡す場合には、この貯玉を再プレイ操作で一旦玉に変換し、この玉自体を受け渡す必要が生ずるが、物理的な玉の受け渡しを行ったのでは余分な手間や会員の運搬負担が要する結果となる。
【0008】
また、かかる貯玉を一旦特殊景品に交換して現金化し、この現金を会員間で受け渡すことも考えられるが、この場合にも、会員が貯玉を再プレイ操作して現物の玉として借り受ける作業や、この現物の玉を計数機に投出して計数させる作業や、計数結果をカウンターに持参して特殊景品に交換させる作業や、この特殊景品を景品交換所に持ち込んで現金に変えてもらう作業が必要となり、会員の作業負担は大きい。特に、この遊技店が玉の貸し単価よりも買い単価を低く設定する(等価交換でない)ような場合には、会員が一旦少ない現金に現金化して他の会員にこの現金を受け渡し、当該他の会員がこの現金を用いて玉を借り受けるという事態が生じ、会員にとって不利となる。
【0009】
本来、上記貯玉は現金と同様の有価価値であるため、現金と同様に会員間で受け渡すことができるべきであり、かかる会員のニーズに効率良く対応する貯玉管理システムをいかに実現するかが大きな課題となっている。なお、かかる課題は貯玉管理システムに限ったものではなく、貯メダル管理システムを含めた各種貯遊技媒体システムに共通して発生する課題である。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、遊技店に会員登録された会員に対して貯遊技媒体サービスを行う場合に、貯遊技媒体を現金等の他の有価価値と同様に取り扱い、もって会員に対して利便性の高い貯遊技媒体サービスを行うことができる貯遊技媒体管理装置及び貯遊技媒体管理システムを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、遊技店に登録された会員に付与された会員識別情報に対応付けて該会員の貯遊技媒体数を管理する貯遊技媒体管理装置であって、前記会員識別情報ごとに該会員の貯遊技媒体数を記憶する管理テーブルと、前記会員間での貯遊技媒体数の移行を要求する貯遊技媒体数移行要求に応答して、前記管理テーブルで管理する各会員識別情報に対応する貯遊技媒体数を加減処理して、前記会員間に跨る貯遊技媒体移行処理を行う貯遊技媒体移行手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記貯遊技媒体移行手段は、貯遊技媒体移行元を示す第1の会員識別情報、貯遊技媒体移行先を示す第2の会員識別情報及び移行対象となる貯遊技媒体数を含む貯遊技媒体移行依頼を受け付けた場合に、前記管理テーブル上の前記第1の会員識別情報に対応する貯遊技媒体数から前記移行対象となる貯遊技媒体数を減算処理しつつ、前記管理テーブル上の前記第2の会員識別情報に対応する貯遊技媒体数に前記移行対象となる貯遊技媒体数を加算処理することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、遊技店に登録された会員に付与された会員識別情報に対応付けて該会員の貯遊技媒体数を管理する管理装置と、前記管理装置に対して遊技媒体数の預入要求又は引出要求を行う前記遊技店内に配設された店舗内機器とを有する貯遊技媒体管理システムであって、前記店舗内機器は、貯遊技媒体移行元を示す第1の会員識別情報、貯遊技媒体移行先を示す第2の会員識別情報及び移行対象となる貯遊技媒体数を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けた第1の会員識別情報、貯遊技媒体移行先を示す第2の会員識別情報及び移行対象となる貯遊技媒体数を含む貯遊技媒体移行依頼を前記管理装置に対して行う貯遊技媒体移行依頼手段とを備え、前記管理装置は、前記会員識別情報ごとに該会員の貯遊技媒体数を記憶する管理テーブルと、前記店舗内機器から前記貯遊技媒体移行依頼を受け付けた場合に、前記管理テーブル上の前記第1の会員識別情報に対応する貯遊技媒体数から前記移行対象となる貯遊技媒体数を減算処理しつつ、前記管理テーブル上の前記第2の会員識別情報に対応する貯遊技媒体数に前記移行対象となる貯遊技媒体数を加算処理して、前記会員間に跨る貯遊技媒体移行処理を行う貯遊技媒体移行手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記受付手段は、前記会員が所有する携帯端末をかざすかざし部と、該かざし部にかざし操作された携帯端末との間で非接触によるデータ通信を行って該携帯端末の識別情報を読み取る識別情報読取手段と、移行対象となる貯遊技媒体数を入力する入力手段とを備え、前記貯遊技媒体移行依頼手段は、前記識別情報読取手段により読み取られた貯遊技媒体移行元の携帯端末の識別情報からなる前記第1の会員識別情報並びに貯遊技媒体移行先の携帯端末の識別情報からなる前記第2の会員識別情報と、前記入力手段により入力された貯遊技媒体数とを含む貯遊技媒体移行依頼を前記管理装置に対して行うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記携帯端末の識別情報は、前記携帯端末に内蔵されたICチップに記憶された該ICチップを一意に特定するIDmであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記貯遊技媒体移行依頼手段は、前記識別情報読取手段によって前記貯遊技媒体移行元の携帯端末の識別情報と、前記貯遊技媒体移行先の携帯端末の識別情報とを前記識別情報読取手段により所定の期間内にそれぞれ別個に読み取られた場合に、貯遊技媒体移行依頼を前記管理装置に対して行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記携帯端末は、他の携帯端末との間で相互通信を行う相互通信手段と、前記相互通信手段によって他の携帯端末と通信可能な状態で、当該携帯端末から当該他の携帯端末への貯遊技媒体移行先を示す会員識別情報及び移行対象となる貯遊技媒体数を含む貯遊技媒体移行依頼を受け付けた場合に、当該携帯端末の識別情報、当該貯遊技媒体移行先を示す会員識別情報及び移行対象となる貯遊技媒体数を含む加算指示データ及び減算指示データを生成する指示データ生成手段と、前記指示データ生成手段により生成された加算指示データを当該他の携帯端末へ送信して記憶させる加算指示データ送信手段と、前記店舗内機器に当該携帯端末又は当該他の携帯端末のいずれか一方がかざし操作された場合に、前記指示データ生成手段により生成された加算指示データ又は減算指示データを前記店舗内機器に対して送信する指示データ送信手段とを備え、前記貯遊技媒体移行依頼手段は、前記携帯端末から前記加算指示データ又は前記減算指示データを受信した場合に、該加算指示データ又は該減算指示データを含む貯遊技媒体移行依頼を前記管理装置に通知し、前記貯遊技媒体移行手段は、前記店舗内機器から前記加算指示データ又は前記減算指示データを含む貯遊技媒体移行依頼を受け付けた場合に、該加算指示データ又は該減算指示データに含まれる当該携帯端末の識別情報を貯遊技媒体移行元の識別情報とし、該加算指示データ又は該減算指示データに含まれる当該貯遊技媒体移行先を示す会員識別情報を貯遊技媒体移行先の識別情報とし、該加算指示データ又は該減算指示データに含まれる貯遊技媒体数を移行対象となる貯遊技媒体数として前記管理テーブルを更新し、前記会員間に跨る貯遊技媒体移行処理を行うことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記携帯端末は、前記加算指示データを暗号化する加算指示データ暗号化手段をさらに備え、前記管理装置は、前記加算指示データ暗号化手段により暗号化された加算指示データを復号化する加算指示データ復号化手段をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、会員識別情報ごとに会員の貯遊技媒体数を遊技店内の管理装置の管理テーブルに記憶し、会員間での貯遊技媒体数の移行を要求する貯遊技媒体数移行要求に応答して、該管理テーブルで管理する各会員識別情報に対応する貯遊技媒体数を加減処理して、会員間に跨る貯遊技媒体移行処理を行うように構成したので、貯遊技媒体を現金等の他の有価価値と同様に取り扱い、もって会員に対して利便性の高い貯遊技媒体サービスを行うことができる。
【0020】
また、本発明によれば、貯遊技媒体移行元を示す第1の会員識別情報、貯遊技媒体移行先を示す第2の会員識別情報及び移行対象となる貯遊技媒体数を含む貯遊技媒体移行依頼を受け付けた場合に、管理装置の管理テーブル上の該第1の会員識別情報に対応する貯遊技媒体数から該移行対象となる貯遊技媒体数を減算処理しつつ、該管理テーブル上の該第2の会員識別情報に対応する貯遊技媒体数に該移行対象となる貯遊技媒体数を加算処理するように構成したので、管理装置に対して、貯遊技媒体移行元の会員の会員識別情報、貯遊技媒体移行先の会員の会員識別情報及び移行対象となる貯遊技媒体数を指定すれば、会員間に跨る貯遊技媒体移行処理を行うことができる。
【0021】
また、本発明によれば、店舗内機器が貯遊技媒体移行元を示す第1の会員識別情報、貯遊技媒体移行先を示す第2の会員識別情報及び移行対象となる貯遊技媒体数を受け付け、受け付けた第1の会員識別情報、貯遊技媒体移行先を示す第2の会員識別情報及び移行対象となる貯遊技媒体数を含む貯遊技媒体移行依頼を遊技店内の管理装置に対して行い、該貯遊技媒体移行依頼を受け付けた管理装置が会員間に跨る貯遊技媒体移行処理を行うように構成したので、店舗内機器に貯遊技媒体移行操作を行うだけで会員間に跨る貯遊技媒体移行処理を行うことができる。
【0022】
また、本発明によれば、店舗内機器にかざし操作された携帯端末との間で非接触によるデータ通信を行って該携帯端末の識別情報を読み取り、かつ、移行対象となる貯遊技媒体数の入力を受け付け、読み取られた貯遊技媒体移行元の携帯端末の識別情報からなる第1の会員識別情報、貯遊技媒体移行先の携帯端末の識別情報からなる第2の会員識別情報及び店舗内機器に入力された貯遊技媒体数とを含む貯遊技媒体移行依頼を前記管理装置に対して行うように構成したので、会員カードの代わりに携帯端末を利用して貯遊技媒体サービスを行う遊技店においても会員間に跨る貯遊技媒体移行処理を行うことができる。
【0023】
また、本発明によれば、携帯端末の識別情報として該携帯端末に内蔵されたICチップに記憶された該ICチップを一意に特定するIDmを用いるように構成したので、携帯端末のIDmを用いて会員管理を行う遊技店においても会員間に跨る貯遊技媒体移行処理を行うことができる。
【0024】
また、本発明によれば、店舗内機器のかざし部により貯遊技媒体移行元の携帯端末の識別情報と、貯遊技媒体移行先の携帯端末の識別情報とを所定の期間内にそれぞれ別個に読み取られた場合に、貯遊技媒体移行依頼を管理装置に対して行うように構成したので、会員が店舗内機器に携帯端末をかざし操作し、移行対象となる貯玉数を入力するだけで会員間に跨る貯遊技媒体移行処理を行うことができる。
【0025】
また、本発明によれば、携帯端末が、他の携帯端末との間で相互通信を行って、他の携帯端末と通信可能な状態で該携帯端末から該他の携帯端末への貯遊技媒体移行先を示す会員識別情報及び移行対象となる貯遊技媒体数を含む貯遊技媒体移行依頼を受け付けた場合に、該携帯端末の識別情報、該貯遊技媒体移行先を示す会員識別情報及び移行対象となる貯遊技媒体数を含む加算指示データ及び減算指示データを生成し、生成された加算指示データを該他の携帯端末へ送信し、会員により店舗内機器に該携帯端末又は該他の携帯端末のいずれか一方がかざし操作された場合に、生成された加算指示データ又は減算指示データを該店舗内機器に対して送信し、該加算指示データ又は該減算指示データを受信した店舗内機器が、該加算指示データ又は該減算指示データを含む貯遊技媒体移行依頼を該管理装置に通知し、該貯遊技媒体移行依頼を受信した該管理装置が、該加算指示データ又は該減算指示データに含まれる該携帯端末の識別情報を貯遊技媒体移行元の識別情報とし、該加算指示データ又は該減算指示データに含まれる該貯遊技媒体移行先を示す会員識別情報を貯遊技媒体移行先の識別情報とし、該加算指示データ又は該減算指示データに含まれる貯遊技媒体数を移行対象となる貯遊技媒体数として、管理テーブルを更新するように構成したので、貯玉移行元の会員又は貯玉移行先の会員のいずれか一方が遊技店にて携帯端末をかざし操作すれば、遊技店以外の場所においても会員間で貯玉移行操作を行うことができる。
【0026】
また、本発明によれば、携帯端末が加算指示データを暗号化し、管理装置が携帯端末により暗号化された加算指示データを復号化するように構成したので、加算指示データが記憶される携帯端末を保持する会員がIDmを視認できなくなり、該会員による加算指示データの不正生成を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る貯遊技媒体管理装置及び貯遊技媒体管理システムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例1及び2では、携帯電話機を会員特定媒体として利用するとともに、遊技媒体としてパチンコ玉を対象とした場合を示すこととする。
【実施例1】
【0028】
まず、本実施例1に係る貯玉管理システムの概念について説明する。図1は、本実施例1に係る貯玉管理システムの概念を説明するための説明図である。同図に示すように、この貯玉管理システムは、遊技店にて予め登録処理された会員の会員情報及び該会員により預け入れられた貯玉数を管理する会員管理用ターミナルコントローラ(以下、「会員管理T/C」と言う)10と、貯玉の際に利用される会員カード処理機70とが通信回線を介して相互に接続される。
【0029】
ここで、本実施例1に係る貯玉管理システムでは、会員間での貯玉の譲渡を可能にしており、ある会員Aが会員カード処理機70に自らの携帯電話機aをかざし操作して貯玉残高を確認し、所定の貯玉数移行操作を行った後に、引き続き他の会員Bがこの会員カード処理機70に自らの携帯電話機bをかざし操作すると、会員Aの貯玉口座内の任意の貯玉数を他の会員Bの貯玉口座に移行することができる。
【0030】
この点を図1を用いて具体的に説明すると、会員カード処理機70にはかざし部78が設けられており、会員Aがこのかざし部78に携帯電話機aをかざし操作すると(ステップS101)、この会員カード処理機70から会員管理T/C10に対して貯玉残高の問い合わせが行われ、会員カード処理機70の表示部73に貯玉残高が表示される。
【0031】
その後、会員Aが会員カード処理機70の入力部74を用いて暗証番号、移行指示操作及び移行貯玉数を入力し(ステップS102)、引き続き会員Bがかざし部78に携帯電話機bをかざし操作すると(ステップS103)、会員カード処理機70は、会員管理T/C10に対して、会員Aの貯玉口座から会員Bの貯玉口座に対して指定された貯玉数を移行するよう貯玉移行依頼を行う(ステップS104)。なお、図1の例では、移行貯玉数として「1000玉」を入力した場合を示している。
【0032】
この貯玉移行依頼を受け付けた会員管理T/C10は、暗証番号を照合した上で、貯玉移行依頼に含まれる貯玉数を会員Aの貯玉口座から減算するとともに、会員Bの貯玉口座に該貯玉数を加算し(ステップS105)、会員カード処理機70に移行処理結果を送信する(ステップS106)。これにより、会員Aの貯玉口座の貯玉残高は5000玉から4000玉に減少し、会員Bの貯玉口座の貯玉残高は3000玉から4000玉に増加することになる。
【0033】
その後、かかる移行処理結果を受信した会員カード処理機70は、表示部73上に「1000玉の貯玉移行処理完了」等の貯玉移行結果を表示する(ステップS107)。これにより、会員A及びBは、貯玉移行処理の成否結果を確認することができる。
【0034】
このように、本実施例1では、貯玉移行元の会員Aの携帯電話機aと貯玉移行先の会員Bの携帯電話機bとを遊技店に設置される会員カード処理機70のかざし部78に順次かざし操作することにより、貯玉口座間の貯玉移行を可能としている。
【0035】
次に、本実施例1に係る貯玉管理システムのシステム構成について説明する。図2は、本実施例1に係る貯玉管理システムのシステム構成を示す構成図である。同図に示すように、遊技店内には、会員管理T/C10と、島コントローラ20と、台間ユニット30と
、パチンコ機40と、計数機50と、景品管理装置60と、景品払出機65と、会員カード処理機70とが設けられている。また、会員管理T/C10には、景品管理装置60、会員カード処理機70及び島コントローラ20が接続されており、島コントローラ20には、各島に設置された複数のパチンコ機40にそれぞれに併設された台間ユニット30が接続されており、会員カード処理機70には、パチンコ玉数を計数する計数機50が接続されている。
【0036】
パチンコ機40は、パチンコ玉を遊技領域に発射して遊技客がパチンコ遊技を行う遊技機であり、台間ユニット30は、各パチンコ機40にそれぞれ併設して設けられた玉貸し機である。ここで、この台間ユニット30は、会員管理T/C10で管理される貯玉を再プレイする再プレイ端末の役割についても担っており、会員が台間ユニット30のかざし部78に自らの携帯電話機80をかざし操作して所定の再プレイ操作を行うと、会員管理T/C10により管理された貯玉残高から再プレイ分の玉数が減算処理されるとともに、この台間ユニット30からパチンコ機40に対して玉投出指示が行われる。
【0037】
計数機50は、所定の投入口に投入されたパチンコ玉数を計数する計数機であり、会員カード処理機70と接続されている。会員が携帯電話機80を会員カード処理機70にかざし操作を行ったうえで計数機50による計数操作を行うと、この計数値を貯玉することができ、該かざし操作を行わずに計数機50による計数操作を行うと、計数値がバーコード印字された計数レシートが発行される。
【0038】
景品管理装置60は、遊技店内に設けられる景品交換カウンタに配設された景品交換用の端末装置である。具体的には、景品交換カウンタ内の係員が、計数機50から排出された獲得玉数がバーコード印字された計数レシートを遊技客から受け取ると、この計数レシートから獲得玉数をバーコードリーダで読み取るとともに、この獲得玉数分の一般景品を係員による手作業で遊技客に受け渡す。また、遊技客が特殊景品への交換を希望する場合には、係員はこの景品管理装置60に設けられた特殊景品交換ボタンを押下し、景品払出機65に獲得玉数分の特殊景品の払い出しを指示する。
【0039】
また、この景品管理装置60では、計数レシートから読み取った獲得玉数の一部又は全部を会員の貯玉残高に預け入れることもできる。例えば、係員が貯玉を希望する会員から計数レシートを受け取ったならば、該会員に対して携帯電話機80をかざすよう指示して、該携帯電話機80からICチップ81に記憶されるIDmを読み取った後に、貯玉操作を行って会員管理T/C10に貯玉依頼を行う。なお、このIDmは、ICチップ81を一意に特定する識別情報であり、例えば、ICチップ81の製造番号である。
【0040】
会員カード処理機70は、会員による貯玉を行う際に利用される会員用端末装置であり、携帯電話機80から会員特定情報を読み取るリーダライタ75を備えている。この会員カード処理機70は、計数結果がバーコード印字された計数レシートを発行する印字機能、並びに、計数機50により計数された計数結果の一部または全部を会員管理T/C10にて記憶管理される貯玉残高に貯玉加算させる計数貯玉機能を有する。ここでは、この会員特定情報として携帯電話機80のIDmを用いることとしている。
【0041】
会員管理T/C10は、後述する会員管理テーブル14aを用いて遊技店に登録された会員の統括管理を行う管理装置である。この会員管理テーブル14aは、会員ID、IDm、貯玉数、暗証番号及び属性情報を対応付けて記憶している。なお、本実施例1では、IDmを会員IDと一対一に対応付けている。
【0042】
この会員管理T/C10は、会員カード処理機70又は景品管理装置60から貯玉加算依頼を受け付けた際に該当する貯玉口座内の貯玉数を加算する加算処理機能と、台間ユニ
ット30又は景品管理装置60から貯玉減算依頼を受け付けた際に該当する貯玉口座内の貯玉数を減算する減算処理機能とを有する。
【0043】
次に、図2に示した会員管理T/C10及び会員カード処理機70の構成について説明する。図3は、図2に示した会員管理T/C10及び会員カード処理機70の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、会員カード処理機70は、会員が所持する携帯電話機80を用いた貯玉の預け入れを行う際に用いられるカード処理機であり、I/F部71と、カードリーダ72と、表示部73と、入力部74と、リーダライタ75と、制御部76とを有する。
【0044】
I/F部71は、会員管理T/C10との間でデータ通信を行うためのインターフェースであり、カードリーダ72は、会員カードに記憶された会員IDを読み取るための装置である。なお、本実施例1では、会員特定媒体として携帯電話機80を用いることとしたが、会員カードを用いる場合には、このカードリーダ72が使用される。
【0045】
表示部73は、液晶パネル等からなる表示デバイスであり、例えば、会員が所定の操作を行うと、後述する移行対象となる貯玉数を入力する画面(以下、「移行貯玉数入力画面」と言う)を表示する。入力部74は、数字及び文字等を入力するテンキー、メニュー等を選択する特殊キー等からなる入力デバイスである。この特殊キーを用いて移行貯玉数入力画面を選択することができ、該移行貯玉数入力画面上の移行貯玉数や(同画面には表示されない)暗証番号は上記テンキーを用いて入力される。
【0046】
リーダライタ75は、携帯電話機80に内蔵されたICチップ81との間で非接触によるデータ通信を行う装置であり、この会員カード処理機70の前面に設けられたかざし部78に携帯電話機80がかざし操作された際に、この携帯電話機80内のICチップ81からIDmを取得する処理等を行う。
【0047】
制御部76は、会員カード処理機70の全体制御を行う制御部であり、カード処理部76aと、貯玉処理部76bとを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムを図示しないCPUにロードして実行し、カード処理部76a及び貯玉処理部76bにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0048】
カード処理部76aは、カードリーダ72に挿入された会員カードから会員特定情報の読取処理等を行う処理部である。なお、本実施例1では、会員特定媒体として携帯電話機を用いることとしたが、会員カードを用いる場合には、このカード処理部76aにより会員ID等を取得することになる。
【0049】
貯玉処理部76bは、貯玉に関する各種処理を行う処理部であり、かざし部78に携帯電話機80がかざし操作されると、会員管理T/C10に対して貯玉数取得依頼を送信し、所定の貯玉加算操作がなされると、携帯電話機80のIDmを含む貯玉加算依頼を会員管理T/C10に対して送信する。
【0050】
この貯玉処理部76bは、複数の会員の貯玉口座間の貯玉数の移行依頼を会員管理T/C10に対して送信する貯玉移行依頼部76cを有する。具体的には、この貯玉移行依頼部76cは、貯玉移行元の会員Aから所定の貯玉移行操作がなされた場合に、この会員Aの携帯電話機aのIDm、貯玉移行先の会員Bの携帯電話機bのIDm及び移行対象となる貯玉数を含む貯玉移行依頼を会員管理T/C10に送信する。
【0051】
次に、図2に示した会員管理T/C10の構成について説明する。図3に示すように、
この会員管理T/C10は、I/F部11と、表示部12と、入力部13と、記憶部14と、制御部15とを有する。
【0052】
I/F部11は、会員カード処理機70との間でデータ通信を行うためのインターフェースであり、表示部12は、液晶パネルやディスプレイ等の表示デバイスであり、入力部13は、キーボードやマウス等の入力デバイスである。
【0053】
記憶部14は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、ここには一定の属性情報が登録された会員を管理する会員管理テーブル14aを記憶する。この会員管理テーブル14aは、図4に示すように、会員IDごとにIDm、貯玉数、暗証番号及び属性情報が記憶されている。
【0054】
制御部15は、会員管理T/C10を全体制御する制御部であり、会員登録処理部15aと、貯玉管理部15bとを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行し、会員登録処理部15a及び貯玉管理部15bにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0055】
会員登録処理部15aは、図示しない会員登録受付端末から新規会員の会員登録依頼を受け付けた場合に、かかる新規会員の会員登録処理を行う処理部である。具体的には、新規会員の携帯電話機のIDmを含む会員登録依頼を受け付けた場合には、同一のIDmの二重登録を防ぐために会員管理テーブル14aのIDmをサーチし、このIDmが登録済みであるか否かを調べる。その結果、このIDmが未登録である場合には新たな会員IDを採番し、IDm、暗証番号及び属性情報等を会員管理テーブル14aに新規登録する。
【0056】
貯玉管理部15bは、会員管理テーブル14aを用いて各会員の貯玉数、暗証番号及び属性情報を管理する管理部であり、貯玉移行処理部15cを有する。この貯玉管理部15bは、会員カード処理機70からIDm及び暗証番号を含む暗証番号照合依頼を受け付けた場合には、会員管理テーブル14aから該IDmに対応する暗証番号を取得し、取得した暗証番号と受信した暗証番号との照合処理を行い、照合結果を貯玉処理部76bに送信する。また、会員カード処理機70からIDmを含む貯玉数取得依頼を受け付けた場合には、会員管理テーブル14aから該IDmに対応する貯玉数を取得し、取得した貯玉数を貯玉処理部76bに送信する。
【0057】
貯玉移行処理部15cは、本発明の特徴をなす処理部であり、会員カード処理機70からの貯玉移行依頼に応答して、異なる会員の貯玉口座間の貯玉移行処理を行う処理部である。例えば、会員カード処理機70から携帯電話機aのIDm、移行対象となる貯玉数及び携帯電話機bのIDmを含む貯玉移行依頼を受け付けたならば、携帯電話機aのIDmに対応する会員管理テーブル14aの貯玉数から移行対象となる貯玉数を減算するとともに、携帯電話機bのIDmに対応する会員管理テーブル14aの貯玉数に貯玉数を加算する。
【0058】
図4は、本実施例1による貯玉移行処理前の会員管理テーブル14aと貯玉移行処理後の会員管理テーブル14aの一例を示した説明図である。ここでは、会員ID「0001」の貯玉口座から会員ID「0002」の貯玉口座へ1000玉の貯玉を移行処理した場合を示している。
【0059】
同図に示すように、この会員管理テーブル14aには、会員IDごとにIDm、貯玉数、暗証番号、属性情報(氏名、住所、電話番号)が登録されており、貯玉移行処理を行う前の時点では、会員ID「0001」の貯玉数が「5000玉」であり、会員ID「00
02」の貯玉数が「3000玉」とされている。
【0060】
この状況下で、会員ID「0001」の貯玉口座から会員ID「0002」の貯玉口座へ1000玉の貯玉移行処理がなされると、同図中に斜線を付したように、会員ID「0001」の貯玉数が1000玉減算されて4000玉となり、会員ID「0002」の貯玉数が1000玉加算されて4000玉となる。
【0061】
次に、図2に示した会員管理T/C10及び会員カード処理機70による貯玉移行処理について説明する。図5は、本実施例1に係る貯玉移行処理に関する会員管理T/C10及び会員カード処理機70間の制御シーケンスを示す図である。
【0062】
同図に示すように、会員Aにより携帯電話機aが会員カード処理機70のかざし部78にかざし操作されると(ステップS201肯定)、会員カード処理機70は、リーダライタ75を介して携帯電話機aに内蔵されるICチップ81からIDmを取得する(ステップS202)。その後、入力部74を介して暗証番号の入力操作を受け付けると(ステップS203肯定)、携帯電話機aのIDm及び入力された暗証番号を含む暗証番号照合依頼を会員管理T/C10に送信する(ステップS204)。
【0063】
この暗証番号照合依頼を受信した会員管理T/C10は、該暗証番号照合依頼に含まれる暗証番号が正しいか否かを判定する(ステップS205)。具体的には、会員管理テーブル14aから暗証番号照合依頼に含まれる携帯電話機aのIDmに対応する暗証番号を取得し、取得した暗証番号と暗証番号照合依頼に含まれる暗証番号とを比較し、一致する場合には暗証番号が正しいと判定し、一致しない場合には暗証番号が誤っていると判定する。その後、暗証番号照合結果を会員カード処理機70に送信する(ステップS206)。
【0064】
かかる暗証番号照合結果を受信した会員カード処理機70の貯玉処理部76bは、暗証番号が誤りである場合には(ステップS207否定)、表示部73にエラー内容を表示し(ステップS208)、再度、暗証番号の入力を受け付ける(ステップS203)。これに対して、暗証番号が正しい場合には(ステップS207肯定)、貯玉処理部76bは、携帯電話機aのIDmを含む貯玉数取得依頼を会員管理T/C10に送信する(ステップS209)。
【0065】
この貯玉数取得依頼を受信した会員管理T/C10の貯玉管理部15bは、会員管理テーブル14aから貯玉数取得依頼に含まれる携帯電話機aのIDmに対応する貯玉数を取得し(ステップS210)、取得した貯玉残高数を会員カード処理機70に送信する(ステップS211)。
【0066】
この貯玉残高数を受信した会員カード処理機70の貯玉処理部76bは、入力部74を介して貯玉移行メニューの選択操作を受け付けると(ステップS212肯定)、表示部73上に移行対象となる貯玉数を入力する画面及び会員Aの貯玉残高数を表示する(ステップS213)。これにより、会員Aは、移行可能な貯玉数を確認して移行対象となる貯玉数を入力することができる。
【0067】
そして、会員カード処理機70の貯玉処理部76bは、移行対象となる貯玉数の入力操作を受け付けると(ステップS214肯定)、移行対象となる貯玉数が会員Aの貯玉残高数を超えないか判定する(ステップS215)。移行対象となる貯玉数が会員Aの貯玉残高数を超える場合には(ステップS215否定)、表示部73にエラー内容を表示し(ステップS216)、再度、表示部73上に移行対象となる貯玉数を入力する画面を表示して移行貯玉数の入力を受け付ける(ステップS214)。これに対して、入力された移行
対象となる貯玉数が会員Aの貯玉数を超えない場合には(ステップS215肯定)、会員Bによる携帯電話機bのかざし操作を受け付ける(ステップS217)。
【0068】
そして、会員Bにより携帯電話機bがかざし操作されると(ステップS217肯定)、会員カード処理機70は、リーダライタ75を介して携帯電話機bに内蔵されるICチップ81からIDmを取得する(ステップS218)。その後、貯玉移行依頼部76cは、携帯電話機aのIDm、移行貯玉数及び携帯電話機bのIDmを含む貯玉移行依頼を会員管理T/C10に送信する(ステップS219)。
【0069】
この貯玉移行依頼を受け付けた会員管理T/C10の貯玉移行処理部15cは、携帯電話機aのIDmに対応する会員管理テーブル14aの貯玉数から移行対象となる貯玉数を減算するとともに、携帯電話機bのIDmに対応する会員管理テーブル14aの貯玉数に移行対象となる貯玉数を加算する(ステップS220)。
【0070】
上述してきたように、本実施例1では、会員Aにより携帯電話機aが会員カード処理機70のかざし部78にかざし操作され、貯玉移行メニューを選択されたならば、表示部73上に移行貯玉数入力画面を表示し、該移行貯玉数入力画面に移行対象となる貯玉数の入力操作がされた後に、会員Bにより携帯電話機bがかざし操作されたならば、会員カード処理機70は会員管理T/C10に対して貯玉移行依頼を送信し、該貯玉移行依頼を受け付けた会員管理T/C10は、携帯電話機aのIDmに対応する会員管理テーブル14aの貯玉数から移行対象となる貯玉数を減算するとともに、携帯電話機bのIDmに対応する会員管理テーブル14aの貯玉数に移行対象となる貯玉数を加算するように構成したので、会員間で貯玉を授受することが可能となり、貯玉を有価価値と同様に扱うことができるようになる。
【0071】
なお、上記実施例1では、貯玉移行元の会員Aが携帯電話機aをかざし操作して貯玉移行メニューを選択して移行貯玉数を入力し、その後、貯玉移行先の会員Bが携帯電話機bをかざし操作したならば貯玉移行処理を行う場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、貯玉移行先の会員Bが携帯電話機bをかざし操作して、次に貯玉移行メニューを選択して移行貯玉数を入力し、その後、貯玉移行元の会員Aが携帯電話機aをかざし操作をしたならば貯玉移行処理を行うように構成してもよい。すなわち、会員Aのかざし操作、会員Bのかざし操作及び移行貯玉数の入力操作等は、上述した本実施例1の順序で操作されなくてもよい。
【0072】
また、上記実施例1では、携帯電話機80に内蔵されるICチップ81に記憶されるIDmを用いて会員管理を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な会員特定情報を用いて会員管理する場合にも同様に適用される。
【0073】
また、上記実施例1では、会員が所持する携帯電話機がかざし操作されると貯玉移行処理を行う場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、会員が所持する会員カードがカードリーダ72に挿入操作されると貯玉移行処理を行うように構成してもよい。例えば、会員Aにより会員カードがカードリーダ72に挿入操作され、さらに貯玉移行メニューを選択されたならば、表示部73上に移行貯玉数入力画面を表示し、該移行貯玉数入力画面に移行貯玉数の入力操作がされた後に、会員Bにより会員カードがカードリーダ72に挿入操作されたならば、貯玉移行処理を行うことになる。
【実施例2】
【0074】
ところで、上記実施例1では、会員A及びBの両者が遊技店にいることを前提として、貯玉移行元の会員Aの携帯電話機aと貯玉移行先の会員Bの携帯電話機bとを遊技店に設置される会員カード処理機70のかざし部78に順次かざし操作することにより、貯玉口
座間の貯玉移行を行う場合を示したが、実際には、会員A及びBが共に遊技店にいるとは限らない。
【0075】
そこで、本実施例2では、アクセスポイントを介さず直接データを授受するアドホックモード方式の通信(以下、「アドホック通信」と言う)により携帯電話機同士で一時的に貯玉移行を行い、遊技店にて会員A又Bのいずれか一方による携帯電話機のかざし操作がされたならば、貯玉移行処理を行う場合を示すこととする。なお、この場合の貯玉管理システムのシステム構成は図2と同様のものとなる。
【0076】
まず、本実施例2に係る貯玉管理システムの概念について説明する。図6は、本実施例2に係る貯玉管理システムの概念を説明するための説明図である。ここで、本実施例2に係る貯玉管理システムでは、会員間での貯玉の譲渡を可能にしており、ある会員Aの携帯電話機a及び会員Bの携帯電話機bにより貯玉移行操作を行った後に、会員A又はBのいずれか一方が遊技店に設置される会員カード処理機70に自らの携帯電話機a又はbをかざし操作すると、会員Aの貯玉口座内の任意の貯玉数を他の会員Bの貯玉口座に移行することができる。
【0077】
この点を図6を用いて具体的に説明すると、会員A及びBがそれぞれの携帯電話機a及びbを用いて、移行対象となる貯玉数等の入力をして(ステップS301)、会員Bが会員カード処理機70のかざし部78に携帯電話機bをかざし操作すると(ステップS302)、この会員カード処理機70は、会員管理T/C10に対して、会員Aの貯玉口座から会員Bの貯玉口座に対して指定された貯玉数を移行するよう貯玉移行依頼を行う(ステップS303)。なお、図6の例では、移行貯玉数として「1000玉」を入力した場合を示している。
【0078】
この貯玉移行依頼を受け付けた会員管理T/C10は、貯玉移行依頼に含まれる貯玉数を会員Aの貯玉口座から減算するとともに、会員Bの貯玉口座に該貯玉数を加算し(ステップS304)、会員カード処理機70に移行処理結果を送信する(ステップS305)。これにより、会員Aの貯玉口座の貯玉残高は5000玉から4000玉に減少し、会員Bの貯玉口座の貯玉残高は3000玉から4000玉に増加することになる。
【0079】
その後、かかる移行処理結果を受信した会員カード処理機70は、表示部73上に「1000玉の貯玉移行処理完了」等の貯玉移行結果を表示する(ステップS306)。これにより、会員Bは、貯玉移行処理の成否結果を確認することができる。
【0080】
このように、本実施例2では、貯玉移行元の会員A及び貯玉移行先の会員Bがそれぞれの携帯電話機a及びbを用いて所定の貯玉移行操作を行った後、会員A又はBのいずれか一方が会員カード処理機70のかざし部78に自らの携帯電話機a又はbをかざし操作することにより、貯玉口座間の貯玉移行を可能としている。
【0081】
次に、図6に示した携帯電話機a及びbによる貯玉移行処理について説明する。図7は、図6に示した貯玉移行処理に関する携帯電話機間の制御シーケンスを示す図である。同図に示すように、貯玉移行元の会員Aが携帯電話機aにより貯玉移行操作を行う場合、携帯電話機aは貯玉移行アプリが起動状態となっている必要があり(ステップS401肯定)、同様に貯玉移行先の会員Bの携帯電話機bも貯玉移行アプリが起動状態となっている必要ある(ステップS402肯定)。なお、ここで言う貯玉移行アプリとは、携帯電話機a及びb間で貯玉移行操作を行う際に使用されるアプリケーションであり、貯玉移行操作を行う会員A及びBは、予め携帯電話サービス等を利用して貯玉移行アプリをダウンロードする必要がある。
【0082】
その後、会員Aにより貯玉移行アプリ上で所定の操作がされると、携帯電話機aは携帯電話機bに対して通信確立を要求し(ステップS403)、携帯電話機bがかかる通信確立要求に対して応答すると(ステップS404)、携帯電話機a及びbは通信確立状態となる(ステップS405)。
【0083】
その後、貯玉移行アプリにより携帯電話機aの表示部上に移行貯玉数入力画面(図8参照)が表示され(ステップS406)、この移行貯玉数入力画面上で貯玉移行先の会員Bの会員ID及び移行対象となる貯玉数の入力操作がされると(ステップS407肯定)、携帯電話機aは、加算指示データ及び減算指示データを生成する。
【0084】
この加算指示データ及び減算指示データの生成について具体的に説明すると、まず、携帯電話機aは、携帯電話機aのIDmを暗号化する(ステップS408)。そして、この暗号化されたIDm及び移行貯玉数入力画面にて入力された移行対象となる貯玉数等からなる加算指示データを生成するとともに(ステップS409)、移行貯玉数入力画面にて入力された会員Bの会員ID及び該貯玉数等からなる減算指示データを生成する(ステップS410)。
【0085】
その後、携帯電話機aは、加算指示データを携帯電話機bに送信し(ステップS411)、携帯電話機aが有するICチップ内の記憶部に減算指示データを記憶する(ステップS412)。かかる加算指示データを受信した携帯電話機bは、携帯電話機bが有するICチップ内の記憶部に該加算指示データを記憶する(ステップS413)。なお、本実施例2では、加算指示データ及び減算指示データをICチップ内の記憶部に記憶する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、携帯電話機a又はbが有するICチップ内の記憶部以外の記憶部に記憶するように構成してもよい。
【0086】
次に、図6に示した携帯電話機aが表示制御する移行貯玉数入力画面の一例について説明する。図8は、図6に示した携帯電話機aが表示制御する移行貯玉数入力画面の一例を示す図である。同図に示すように、この移行貯玉数入力画面500は、貯玉移行先の会員の会員IDを入力する入力枠510、移行対象となる貯玉数を入力する入力枠520が設けられており、会員Aは、これらの入力枠510及び520に所望の事項を入力して確定ボタン530を指示操作する。
【0087】
これにより、携帯電話機aは、携帯電話機aのIDm、入力枠510に入力された貯玉移行先の会員Bの会員ID及び入力枠520に入力された移行貯玉数等から構成される加算指示データ及び減算指示データを生成する。
【0088】
次に、図6に示した携帯電話機aにより生成される加算指示データのデータ構造について具体的に説明する。図9は、図6に示した携帯電話機aにより生成される加算指示データの一例を示す図である。同図に示すように、この加算指示データ600は、データ判別コード610と、移行貯玉数620と、移行元会員特定情報630と、移行先会員特定情報640と、指示データID650とから構成される。
【0089】
データ判別コード610は、本データが加算指示データ600であることを表すコードであり、加算指示データ600及び減算指示データ700を読取処理する会員管理T/C10は、このデータ判別コード610により加算指示データ600又は減算指示データ700の別を判断する。なお、図9の例では、データ判別コード610が「1」の場合に加算指示データ600を表す。
【0090】
移行貯玉数620は、移行対象となる貯玉数を示すデータであり、具体的には、移行貯玉数入力画面500の入力枠520に入力された貯玉数である。なお、図9の例では、移
行貯玉数として「1000玉」を入力した場合を示している。
【0091】
移行元会員特定情報630は、貯玉を譲り渡す会員Aの会員特定情報を表すデータであり、本実施例2では、会員Aが有する携帯電話機aのIDmとなる。なお、実際には、該IDmは携帯電話機aにより暗号化される。これは、会員BにIDmを視認できないようにすることで加算指示データを不正に生成できないようにするためである。
【0092】
移行先会員特定情報640は、貯玉を譲り受ける会員の会員特定情報を表すデータであり、本実施例2では、会員Aが移行貯玉数入力画面500の入力枠510に入力した会員Bの会員IDとなる。なお、図9の例では、会員Bの会員IDを「0002」とした場合を示している。
【0093】
指示データID650は、貯玉移行操作ごとに採番されるユニークなID情報であり、該貯玉移行操作により生成される1組の加算指示データ600及び減算指示データ700の指示データID650及び指示データID750には同じID情報が設定される。会員管理T/C10は、この指示データID650を用いて貯玉移行処理の重複処理を防止する。なお、図9の例では、指示データID650を「ABC」とした場合を示している。
【0094】
なお、本実施例2では、加算指示データ600に移行先会員特定情報640を有する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、加算指示データ600に移行先会員特定情報640を有しないように構成してもよい。かかる場合には、会員Bが加算指示データ600が記憶される携帯電話機bをかざし操作すると、リーダライタ75を介して加算指示データ600及び携帯電話機bのIDmを取得し、取得した加算指示データ600及び携帯電話機bのIDmを含む貯玉移行依頼を貯玉管理部15bに送信する。これにより、会員Bが携帯電話機bに記憶される加算指示データ600を異なる会員(例えば、会員C)に譲り渡すと、会員Aから会員Cへ貯玉の移行が可能となり、現金と同様に複数人に跨って貯玉の授受が可能となる。
【0095】
次に、図6に示した携帯電話機aにより生成される減算指示データのデータ構造について具体的に説明する。図10は、図6に示した携帯電話機aにより生成される減算指示データの一例を示す図である。同図に示すように、この減算指示データ700は、データ判別コード710と、移行貯玉数720と、移行元会員特定情報730と、移行先会員特定情報740と、指示データID750とから構成される。
【0096】
データ判別コード710は、本データが減算指示データ700であることを表すコードであり、上述したデータ判別コード610と同様に、会員管理T/C10が、加算指示データ600又は減算指示データ700の別を判断する際に用いられる。なお、図10の例では、データ判別コード710が「2」の場合に減算指示データ700を表す。
【0097】
移行貯玉数720は、移行する貯玉数を示すデータであり、上述した移行貯玉数620と同様に、移行貯玉数入力画面500の入力枠520に入力した移行貯玉数である。移行元会員特定情報730は、貯玉を譲り渡す会員の会員特定情報を表すデータであり、本実施例2では、会員Aが有する携帯電話機aのIDmとなる。なお、上述した加算指示データ600内の移行元会員特定情報630は暗号化したが、移行元会員特定情報730は暗号化しなくてもよい。減算指示データ700は携帯電話機aに記憶され、会員Aにより携帯電話機aのIDmを視認されても問題とならないからである。
【0098】
移行先会員特定情報740は、貯玉を譲り受ける会員の会員特定情報を表すデータであり、本実施例2では、会員Aが移行貯玉数入力画面500の入力枠510に入力した会員Bの会員IDとなる。
【0099】
指示データID750は、会員管理T/C10が貯玉移行処理の重複処理を防止する際に使用するデータである。なお、図10の例では、図9に示した指示データID650と同様に、指示データID750を「ABC」とした場合を示している。ここで、貯玉移行処理の重複処理を防止する機能について説明すると、例えば、会員Bにより携帯電話機bのかざし操作をされて貯玉移行処理が正常に完了すると、会員管理T/C10は、加算指示データ600内の指示データID650である「ABC」を記憶しておく。その後、会員Aにより携帯電話機aのかざし操作をされた場合、減算指示データ700内の指示データID750が、記憶済みの指示データID「ABC」と同一であるため、貯玉移行処理済みと判断して貯玉移行処理を行わないことになる。
【0100】
なお、本実施例2では、減算指示データ700に移行元会員特定情報730を有する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、減算指示データ700に移行元会員特定情報730を有しないように構成してもよい。かかる場合には、会員Aにより携帯電話機aのかざし操作がされると、リーダライタ75を介して減算指示データ700及び携帯電話機aのIDmを取得し、取得した減算指示データ700及び携帯電話機aのIDmを含む貯玉移行依頼を貯玉管理部15bに送信する。これにより、会員Aが保持する減算指示データ700を異なる会員(例えば、会員D)に譲り渡すと、会員Dから会員Bへ貯玉の移行が可能となり、現金と同様に複数人に跨って貯玉の授受が可能となる。
【0101】
次に、図6に示した会員管理T/C10及び会員カード処理機70の構成について説明する。図11は、図6に示した会員管理T/C10及び会員カード処理機70の構成を示す機能ブロック図である。ここでは、図3に示した構成部位と同様の機能を有する部位には同一符号を付すこととしてその詳細な説明を省略する。同図に示すように、携帯電話機90は、暗号化処理部91と、ICチップ92とを有する。暗号化処理部91は、公開鍵暗号又は慣用暗号系等の暗号化ロジックによりデータを暗号化する処理部であり、具体的には、加算指示データ600内の移行元会員特定情報630(携帯電話機aのIDm)を暗号化する。なお、この暗号化処理部91が採用する暗号化ロジックは、公開鍵暗号系又は慣用暗号系等のいかなるものであってもよいが、後述する復号化処理部16bの復号化ロジックに対応するものでなければならない。
【0102】
ICチップ92は、記憶部93を有し、この記憶部93は不揮発性メモリなどの記憶デバイスであり、具体的には、会員A及Bにより携帯電話機を用いて貯玉移行操作がされると、加算指示データ600又は減算指示データ700が記憶される。
【0103】
会員カード処理機70は、制御部77が図3に示した制御部76と異なる。これは、貯玉処理部77aが有する貯玉移行依頼部77bが図3に示した制御部76と異なるためである。具体的には、この貯玉移行依頼部77bは、貯玉移行元の会員A又は貯玉移行先の会員Bのいずれか一方によりかざし部78に携帯電話機90がかざし操作されると、加算指示データ600又は減算指示データ700を含む貯玉移行依頼を会員管理T/C10に送信する。
【0104】
会員管理T/C10は、制御部16が図3に示した制御部15と異なる。これは、貯玉管理部16aが有する復号化処理部16b及び貯玉移行処理部16cが図3に示した制御部15と異なるためである。この復号化処理部16bは、公開鍵暗号又は慣用暗号系等の復号化ロジックによりデータを復号化する処理部であり、例えば、貯玉移行依頼部77bから加算指示データ600を受け付けた場合に、暗号化された移行元会員特定情報630(携帯電話機aのIDm)を復号化する処理部である。なお、上述したように、該復号化ロジックは、携帯電話機90が有する暗号化処理部91の暗号化ロジックに対応するものでなければならない。
【0105】
貯玉移行処理部16cは、本発明の特徴をなす処理部であり、会員カード処理機70からの貯玉移行依頼に応答して、異なる会員の貯玉口座間の貯玉移行処理を行う処理部である。例えば、会員カード処理機70から加算指示データ600を受け付けた場合には、データ判別コード610を読み取り、加算指示データ600であることを判別し、復号化処理部16bにより復号化された移行元会員特定情報630(携帯電話機aのIDm)に対応する会員管理テーブル14aの貯玉数から移行貯玉数620を減算するとともに、移行先会員特定情報640(会員Bの会員ID)に対応する会員管理テーブル14aの貯玉数に移行貯玉数620を加算する。また、会員カード処理機70から減算指示データ700を受け付けた場合には、データ判別コード710を読み取り、減算指示データ700であることを判別し、移行元会員特定情報730(携帯電話機aのIDm)に対応する会員管理テーブル14aの貯玉数から移行貯玉数720を減算するとともに、移行先会員特定情報740(会員Bの会員ID)に対応する会員管理テーブル14aの貯玉数に移行貯玉数720を加算する。
【0106】
次に、図11に示した会員管理T/C10及び会員カード処理機70による貯玉移行処理について説明する。図12は、本実施例2に係る貯玉移行先の会員Bが携帯電話機bをかざし操作した場合の貯玉移行処理に関する会員管理T/C10及び会員カード処理機70間の制御シーケンスを示す図である。同図に示すように、会員Bにより携帯電話機bが会員カード処理機70にかざし操作されると(ステップS801肯定)、会員カード処理機70は、リーダライタ75を介して携帯電話機bに記憶される加算指示データ600を取得する(ステップS802)。その後、会員カード処理機70の貯玉移行依頼部77bは、加算指示データ600を貯玉管理部16aに送信する(ステップS803)。
【0107】
この加算指示データ600を受信した会員管理T/C10の貯玉管理部16aは、復号化処理部16bにより加算指示データ600内の暗号化された移行元会員特定情報630を復号化させる(ステップS804)。その後、貯玉管理部16aは、貯玉移行処理が既に処理済であるか否かを判別する(ステップS805)。上述したように、この判別処理は、加算指示データ600内の指示データID650を用いて行う。
【0108】
貯玉移行処理が処理済である場合には(ステップS805否定)、会員カード処理機70にエラー通知する(ステップS806)。これに対して、貯玉移行処理が未処理である場合には(ステップS805肯定)、移行貯玉数620が会員Aの貯玉残高を超えないか判別する(ステップS807)。具体的には、復号化された移行元会員特定情報630(携帯電話機aのIDm)に対応する会員管理テーブル14aの貯玉数を取得し、取得した貯玉数と移行貯玉数620とを比較する。
【0109】
移行貯玉数620が会員Aの貯玉数を超える場合には(ステップS807否定)、貯玉管理部16aは、会員カード処理機70にエラー通知する(ステップS808)。それに対して、移行貯玉数620が会員Aの貯玉数を超えない場合には(ステップS807肯定)、復号化された移行元会員特定情報630(携帯電話機aのIDm)に対応する会員管理テーブル14aの貯玉数から移行貯玉数620を減算するとともに、移行先会員特定情報640(会員Bの会員ID)に対応する会員管理テーブル14aの貯玉数に移行貯玉数620を加算し(ステップS809)、貯玉移行結果を会員カード処理機70に送信する(ステップS810)。
【0110】
その後、会員カード処理機70は、エラー通知があったか否かを判別する(ステップS811)。エラー通知がない場合には(ステップS811肯定)、表示部73に「1000玉の貯玉移行処理完了」等の正常終了画面を表示する(ステップS812)。これに対して、エラー通知があった場合には、表示部73に「貯玉移行処理エラー」等の異常終了
画面を表示する(ステップS813)。
【0111】
次に、貯玉移行元の会員Aが遊技店に設置された会員カード処理機に携帯電話機aをかざし操作した場合について説明する。図13は、本実施例2に係る貯玉移行元の会員Aが携帯電話機aをかざし操作した場合の貯玉移行処理に関する会員管理T/C10及び会員カード処理機70間の制御シーケンスを示す図である。同図に示すように、会員Aにより携帯電話機aが会員カード処理機70にかざし操作されると(ステップS901肯定)、会員カード処理機70は、リーダライタ75を介して携帯電話機aに記憶される減算指示データ700を取得する(ステップS902)。その後、会員カード処理機70の貯玉移行依頼部77bは、減算指示データ700を貯玉管理部16aに送信する(ステップS903)。
【0112】
この減算指示データ700を受信した会員管理T/C10の貯玉管理部16aは、貯玉移行処理が既に処理済であるか否かを判別する(ステップS904)。上述したように、この判別処理は、減算指示データ700内の指示データID750を用いて行う。
【0113】
貯玉移行処理が処理済である場合には(ステップS904否定)、会員カード処理機70にエラー内容を通知する(ステップS905)。これに対して、貯玉移行処理が未処理である場合には(ステップS904肯定)、移行貯玉数720が会員Aの貯玉残高を超えないか判別する(ステップS906)。具体的には、移行元会員特定情報730(携帯電話機aのIDm)に対応する会員管理テーブル14aの貯玉数を取得し、取得した貯玉数と移行貯玉数720とを比較する。
【0114】
移行貯玉数720が会員Aの貯玉残高を超える場合には(ステップS906否定)、貯玉管理部16aは、会員カード処理機70にエラー通知する(ステップS907)。それに対して、移行貯玉数720が会員Aの貯玉残高を超えない場合には(ステップS906肯定)、移行元会員特定情報730(携帯電話機aのIDm)に対応する会員管理テーブル14aの貯玉数から移行貯玉数720を減算するとともに、移行先会員特定情報740(会員Bの会員ID)に対応する会員管理テーブル14aの貯玉数に移行貯玉数720を加算し(ステップS908)、貯玉移行結果を会員カード処理機70に送信する(ステップS909)。
【0115】
その後、会員カード処理機70は、エラー通知があったか否かを判別する(ステップS910)。エラー通知がない場合には(ステップS910肯定)、表示部73に正常終了画面を表示する(ステップS911)。これに対して、エラー通知があった場合には(ステップS910否定)、表示部73に異常終了画面を表示する(ステップS912)。
【0116】
上述してきたように、本実施例2では、会員A及びBにより携帯電話機a及びbを用いた貯玉移行操作が行われた後、会員Bにより遊技店に設置される会員カード処理機70に携帯電話機bをかざし操作されたならば、貯玉移行依頼部77bは会員管理T/C10に加算指示データ600を含む貯玉移行依頼を送信し、該貯玉移行依頼を受け付けた貯玉移行処理部16cは、移行元会員特定情報630に対応する会員管理テーブル14aの貯玉数から移行貯玉数620を減算するとともに、移行先会員特定情報640に対応する会員管理テーブル14aの貯玉数に移行貯玉数620を加算するように構成したので、遊技店以外の場所でも貯玉の移行操作をすることができる。
【0117】
なお、上記実施例2では、各会員の貯玉を会員管理T/C10上で管理し、貯玉移行元の会員A又は貯玉移行先の会員Bのいずれか一方が遊技店にて携帯電話機のかざし操作をすると貯玉移行処理を行う場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、貯玉を各会員が所持する携帯電話機内の記憶部にて管理し、貯玉移行アプリにより貯玉移行
操作を行った時点で貯玉移行処理を完了するように構成してもよい。
【0118】
また、上記実施例2では、携帯電話機間の貯玉移行操作をアドホック通信により行う場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、携帯電話機同士がアクセスポイントを介してデータを授受するインフラストラクチャモード方式の通信を用いて貯玉移行操作を行うように構成してもよい。
【0119】
また、上記実施例1及び2では、各会員について自由に貯玉移行処理を行う場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、本会員(会員の個人情報を用いて遊技店に会員登録された会員)及び仮会員(会員の簡易情報を用いて遊技店に仮登録された会員)等の会員種別を用いて会員管理する場合には、会員種別毎に貯玉移行処理権限を設定可能とし、該権限を有しない会員種別に対しては貯玉移行処理できないように構成してもよい。かかる場合には、会員種別と貯玉移行処理権限と対応付けて管理する移行権限管理テーブルを会員管理T/C10の記憶部に格納し、貯玉移行依頼を受け付けた会員管理T/C10は、該移行権限管理テーブルを参照して貯玉移行処理権限を有する会員種別の場合には貯玉移行処理を行う。例えば、本会員のみに貯玉移行処理権限が設定された場合、会員管理T/C10は、本会員同士の場合には貯玉移行処理を行うが、仮会員同士又は本会員と仮会員間の場合には貯玉移行処理を行わない。
【0120】
また、上記実施例1及び2では、会員A又はBに指定された移行貯玉数を会員Aの貯玉口座から会員Bの貯玉口座に移行する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、貯玉移行処理にかかる手数料を徴収するように構成してもよい。例えば、会員Aから会員Bへ1000玉の貯玉移行を行う際に、会員Aの貯玉口座から1100玉を減算し、会員Bの貯玉口座に1000玉を加算する。あるいは、会員Aの貯玉口座から1000玉を減算して、会員Bの貯玉口座に900玉を加算する。
【0121】
また、上記実施例2では、携帯電話機a又はbに加算指示データ600又は減算指示データ700が記憶される期間を制限しない場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、加算指示データ600又は減算指示データ700が携帯電話機a又はbに記憶される期間を制限するように構成してもよい。例えば、携帯電話機a又はbに加算指示データ600又は減算指示データ700が記憶されてから所定の日数(例えば、7日間)が経過すると、携帯電話機a又はbが加算指示データ600又は減算指示データ700を自動的に削除する。
【産業上の利用可能性】
【0122】
以上のように、本発明にかかる貯遊技媒体管理システムは、遊技店に登録された会員に付与された会員識別情報に対応付けて該会員の貯遊技媒体数を管理する貯玉サービスを提供する場合に有用であり、特に、貯遊技媒体を現金等の他の有価価値と同様に取り扱い、もって会員に対して利便性の高い貯遊技媒体サービスを提供する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本実施例1に係る貯玉管理システムの概念を説明するための説明図である。
【図2】本実施例1に係る貯玉管理システムのシステム構成を示す構成図である。
【図3】図2に示した会員管理T/C及び会員カード処理機の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】本実施例1による貯玉移行処理前の会員管理テーブルと貯玉移行処理後の会員管理テーブルの一例を示した説明図である。
【図5】本実施例1に係る貯玉移行処理に関する会員管理T/C及び会員カード処理機間の制御シーケンスを示す図である。
【図6】本実施例2に係る貯玉管理システムの概念を説明するための説明図である。
【図7】図6に示した貯玉移行処理に関する携帯電話機間の制御シーケンスを示す図である。
【図8】図6に示した携帯電話機が表示制御する移行貯玉数入力画面の一例を示す図である。
【図9】図6に示した携帯電話機により生成される加算指示データの一例を示す図である。
【図10】図6に示した携帯電話機により生成される減算指示データの一例を示す図である。
【図11】図6に示した会員管理T/C及び会員カード処理機の構成を示す機能ブロック図である。
【図12】本実施例2に係る貯玉移行先の会員が携帯電話機をかざし操作した場合の貯玉移行処理に関する会員管理T/C及び会員カード処理機間の制御シーケンスを示す図である。
【図13】本実施例2に係る貯玉移行元の会員が携帯電話機をかざし操作した場合の貯玉移行処理に関する会員管理T/C及び会員カード処理機間の制御シーケンスを示す図である。
【符号の説明】
【0124】
10 会員管理T/C
11 I/F部
12 表示部
13 入力部
14 記憶部
14a 会員管理テーブル
15 制御部
15a 会員登録処理部
15b 貯玉管理部
15c 貯玉移行処理部
16 制御部
16a 貯玉管理部
16b 復号化処理部
16c 貯玉移行処理部
20 島コントローラ
30 台間ユニット
40 パチンコ機
50 計数機
60 景品管理装置
70 会員カード処理機
71 I/F部
72 カードリーダ
73 表示部
74 入力部
75 リーダライタ
76 制御部
76a カード処理部
76b 貯玉処理部
76c 貯玉移行依頼部
77 制御部
77a 貯玉処理部
77b 貯玉移行依頼部
78 かざし部
80 携帯電話機
81 ICチップ
90 携帯電話機
91 暗号化処理部
92 ICチップ
93 記憶部
500 移行貯玉数入力画面
510 貯玉移行先会員の会員ID入力枠
520 移行対象となる貯玉数入力枠
530 確定ボタン
600 加算指示データ
610 データ判別コード
620 移行貯玉数
630 移行元会員特定情報
640 移行先会員特定情報
650 指示データID
700 減算指示データ
710 データ判別コード
720 移行貯玉数
730 移行元会員特定情報
740 移行先会員特定情報
750 指示データID

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技店に登録された会員に付与された会員識別情報に対応付けて該会員の貯遊技媒体数を管理する貯遊技媒体管理装置であって、
前記会員識別情報ごとに該会員の貯遊技媒体数を記憶する管理テーブルと、
前記会員間での貯遊技媒体数の移行を要求する貯遊技媒体数移行要求に応答して、前記管理テーブルで管理する各会員識別情報に対応する貯遊技媒体数を加減処理して、前記会員間に跨る貯遊技媒体移行処理を行う貯遊技媒体移行手段と
を備えたことを特徴とする貯遊技媒体管理装置。
【請求項2】
前記貯遊技媒体移行手段は、貯遊技媒体移行元を示す第1の会員識別情報、貯遊技媒体移行先を示す第2の会員識別情報及び移行対象となる貯遊技媒体数を含む貯遊技媒体移行依頼を受け付けた場合に、前記管理テーブル上の前記第1の会員識別情報に対応する貯遊技媒体数から前記移行対象となる貯遊技媒体数を減算処理しつつ、前記管理テーブル上の前記第2の会員識別情報に対応する貯遊技媒体数に前記移行対象となる貯遊技媒体数を加算処理することを特徴とする請求項1に記載の貯遊技媒体管理装置。
【請求項3】
遊技店に登録された会員に付与された会員識別情報に対応付けて該会員の貯遊技媒体数を管理する管理装置と、前記管理装置に対して遊技媒体数の預入要求又は引出要求を行う前記遊技店内に配設された店舗内機器とを有する貯遊技媒体管理システムであって、
前記店舗内機器は、
貯遊技媒体移行元を示す第1の会員識別情報、貯遊技媒体移行先を示す第2の会員識別情報及び移行対象となる貯遊技媒体数を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けた第1の会員識別情報、貯遊技媒体移行先を示す第2の会員識別情報及び移行対象となる貯遊技媒体数を含む貯遊技媒体移行依頼を前記管理装置に対して行う貯遊技媒体移行依頼手段とを備え、
前記管理装置は、
前記会員識別情報ごとに該会員の貯遊技媒体数を記憶する管理テーブルと、
前記店舗内機器から前記貯遊技媒体移行依頼を受け付けた場合に、前記管理テーブル上の前記第1の会員識別情報に対応する貯遊技媒体数から前記移行対象となる貯遊技媒体数を減算処理しつつ、前記管理テーブル上の前記第2の会員識別情報に対応する貯遊技媒体数に前記移行対象となる貯遊技媒体数を加算処理して、前記会員間に跨る貯遊技媒体移行処理を行う貯遊技媒体移行手段とを備えた
ことを特徴とする貯遊技媒体管理システム。
【請求項4】
前記受付手段は、前記会員が所有する携帯端末をかざすかざし部と、該かざし部にかざし操作された携帯端末との間で非接触によるデータ通信を行って該携帯端末の識別情報を読み取る識別情報読取手段と、移行対象となる貯遊技媒体数を入力する入力手段とを備え、
前記貯遊技媒体移行依頼手段は、前記識別情報読取手段により読み取られた貯遊技媒体移行元の携帯端末の識別情報からなる前記第1の会員識別情報並びに貯遊技媒体移行先の携帯端末の識別情報からなる前記第2の会員識別情報と、前記入力手段により入力された貯遊技媒体数とを含む貯遊技媒体移行依頼を前記管理装置に対して行うことを特徴とする請求項3に記載の貯遊技媒体管理システム。
【請求項5】
前記携帯端末の識別情報は、前記携帯端末に内蔵されたICチップに記憶された該ICチップを一意に特定するIDmであることを特徴とする請求項4に記載の貯遊技媒体管理システム。
【請求項6】
前記貯遊技媒体移行依頼手段は、前記識別情報読取手段によって前記貯遊技媒体移行元
の携帯端末の識別情報と、前記貯遊技媒体移行先の携帯端末の識別情報とを前記識別情報読取手段により所定の期間内にそれぞれ別個に読み取られた場合に、貯遊技媒体移行依頼を前記管理装置に対して行うことを特徴とする請求項4又は5に記載の貯遊技媒体管理システム。
【請求項7】
前記携帯端末は、他の携帯端末との間で相互通信を行う相互通信手段と、前記相互通信手段によって他の携帯端末と通信可能な状態で、当該携帯端末から当該他の携帯端末への貯遊技媒体移行先を示す会員識別情報及び移行対象となる貯遊技媒体数を含む貯遊技媒体移行依頼を受け付けた場合に、当該携帯端末の識別情報、当該貯遊技媒体移行先を示す会員識別情報及び移行対象となる貯遊技媒体数を含む加算指示データ及び減算指示データを生成する指示データ生成手段と、前記指示データ生成手段により生成された加算指示データを当該他の携帯端末へ送信して記憶させる加算指示データ送信手段と、前記店舗内機器に当該携帯端末又は当該他の携帯端末のいずれか一方がかざし操作された場合に、前記指示データ生成手段により生成された加算指示データ又は減算指示データを前記店舗内機器に対して送信する指示データ送信手段とを備え、
前記貯遊技媒体移行依頼手段は、
前記携帯端末から前記加算指示データ又は前記減算指示データを受信した場合に、該加算指示データ又は該減算指示データを含む貯遊技媒体移行依頼を前記管理装置に通知し、
前記貯遊技媒体移行手段は、
前記店舗内機器から前記加算指示データ又は前記減算指示データを含む貯遊技媒体移行依頼を受け付けた場合に、該加算指示データ又は該減算指示データに含まれる当該携帯端末の識別情報を貯遊技媒体移行元の識別情報とし、該加算指示データ又は該減算指示データに含まれる当該貯遊技媒体移行先を示す会員識別情報を貯遊技媒体移行先の識別情報とし、該加算指示データ又は該減算指示データに含まれる貯遊技媒体数を移行対象となる貯遊技媒体数として前記管理テーブルを更新し、前記会員間に跨る貯遊技媒体移行処理を行う
ことを特徴とする請求項4、5又は6に記載の貯遊技媒体管理システム。
【請求項8】
前記携帯端末は、前記加算指示データを暗号化する加算指示データ暗号化手段をさらに備え、前記管理装置は、前記加算指示データ暗号化手段により暗号化された加算指示データを復号化する加算指示データ復号化手段をさらに備えたことを特徴とする請求項7に記載の貯遊技媒体管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−302143(P2008−302143A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154494(P2007−154494)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】